JP2013215697A - コアシェルナノ粒子担持触媒体とその製造方法ならびに該触媒体を用いた燃料電池 - Google Patents

コアシェルナノ粒子担持触媒体とその製造方法ならびに該触媒体を用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた触媒活性を示し、かつ、白金の使用量を削減し得る、コア部分がコバルトで構成されシェル部分が白金で構成されたコアシェル構造を有するナノ微粒子を担持した触媒体を提供すること。
【解決手段】
導電性材料からなる担体に触媒微粒子が担持されてなる触媒体であって、触媒微粒子は、コア部分がコバルトからなり、シェル部分が白金からなるコアシェル構造を有するコアシェルナノ粒子担持触媒体とする。このコアシェルナノ粒子担持触媒体は、コバルトを含む化合物が存在する反応液中に担体を浸漬し、コバルトを含む化合物を還元することにより、担体の表面に前記コア部分としてのコバルト粒子を生成させる工程において、コバルトを含む化合物の還元には、還元剤としてヒドラジンまたはその派生物を用い、反応液におけるヒドラジンまたはその派生物の初期濃度を1〜3mol/Lとする製造方法により製造することができる。
【選択図】図2B

Description

本発明は、触媒活性の高い白金をシェル部分に備えるナノ粒子を担体に担持させたナノ粒子担持触媒体とその製造方法に関する。また、このナノ粒子担持触媒体の利用に関する。より詳細には、このナノ粒子担持触媒体を電極触媒として用いた燃料電池に関する。
触媒作用を奏する白金その他の貴金属粒子を適当な担体(例えばカーボン製の担体)の表面に担持させてなる触媒体は、排ガスの浄化目的や燃料電池の電極等として幅広く利用されている。例えば、実用化が進行する高分子電解質型の燃料電池(PEFC:固体高分子形燃料電池とも呼ばれる。)の電極触媒として、カーボン担体に触媒作用を奏する貴金属(典型的には白金族元素)の粒子が担持された貴金属担持触媒体が使用されている。
このような貴金属担持触媒体の開発に求められるものの一つに製造コストを下げることが挙げられる。即ち、高コストの要因となる白金等の貴金属の使用量(担持量)を、触媒性能を低下させることなく削減することである。かかる目的を実現するための一つの方策として考えられるのは、貴金属粒子を微粒子化すること、すなわち平均粒子径をnmオーダー(典型的には電子顕微鏡(例えばTEM)による観察に基づく平均粒子径が1nm〜100nm程度)まで小さくする、所謂ナノ粒子化することである。ナノ粒子化により貴金属粒子における露出表面積が大きくなり、単位質量当たりの貴金属(白金等)の使用量を減らすことができる。
また、触媒活性を発揮し得ない粒子の内部を高価な貴金属以外の金属(即ち卑金属に属するいずれかの金属)で構成する、いわゆるコアシェル構造の金属粒子の使用も検討されている。例えば、特許文献1には、貴金属元素の使用量を低減させるために、コバルト、ニッケルまたはタングステン等の遷移元素からなるコア粒子の表面に、白金、パラジウム、金、ロジウムまたはイリジウム等の貴金属を付着させた構造の貴金属含有触媒について、第一原理計算に基づきシミュレーションを行い、かかる構造の貴金属含有触媒が理論的には酸素還元反応に好適に利用し得るとの予測が開示されている。また特許文献2には、シェル層(白金層)を有するコアシェル型白金含有触媒において、コア原子と白金の間の結合強さを密度汎関数理論に基づいた第一原理計算によるフェルミ準位を基準としたPt5d電子の平均束縛エネルギーによって評価した結果から、コア粒子をコバルト粒子、鉄粒子、ニッケル粒子、銅粒子の何れかとするのが好ましいことが開示されている。
特開2008−153192号公報 特開2011−072981号公報 国際公開第2011/108162号公報
L. T. Lu et. al., Journal ofMaterials Chemistry, 18, (2008) 2453. H. Li et. al., Solid StateCommunications, 145, (2008) 118.
しかしながら、上記の特許文献1で実際に製造された貴金属含有触媒は、コバルトからなるコア粒子の表面にパラジウムが付着された組み合わせの構成のみであり、その粒径は20nmを超過するものであった。すなわち、特許文献1では、例えば触媒として特に優れた活性を有し需要の高い白金を表面に付着させた貴金属含有触媒については実現されていない。また、20nm以下のレベルの大きさの貴金属含有触媒の実現についても、開示されていない。
さらに、特許文献1では、カーボン製の担体に予め担持させておいたコア粒子の表面に、置換めっき法、スパッタリングあるいは真空蒸着によって所定の貴金属元素を付着させることでコアシェル構造を構築することを開示している。しかしながら、これらの方法で得られるコアシェル構造を有する粒子は、その粒径が大きすぎる(例えば置換めっき法)、コア粒子の表面に貴金属元素が十分に付着されない(例えばスパッタリングや真空蒸着)、スケールアップが困難(例えばスパッタリングや真空蒸着)等の問題があることが知られており、例えば燃料電池用の電極触媒の実現に適したコアシェル構造の貴金属含有触媒をカーボン等の担体上に生成するのは困難であった。
また上記特許文献2の計算結果とは別に実際に製造されたコアシェル型白金含有触媒は、ルテニウムからなるコア粒子の表面に白金が付着された組み合わせの構成のみであった。なお、鉄およびコバルトなどの金属は酸化しやすく、ナノ粒子化すると比表面積の割合が増加するために更に酸化しやすくなることは周知の事実である。そして特許文献2では、かかる酸化しやすいコバルトをコア粒子としたコアシェル型白金含有触媒については実現し得ていない。
一方で、非特許文献1および2は、粒度分布が単分散に近いコバルトナノ粒子の製造について開示している。このようなコバルトナノ粒子を安定して存在させるには、表面の酸化を防ぐこと、ナノ粒子同士の凝集を防ぐこと等が必要となり、例えば非特許文献1および2の開示されているように、ナノ粒子に分散剤や界面活性剤を付着させる等して表面を保護する必要があった。そのため、これらの製造方法で製造されたコバルトナノ粒子は、表面が界面活性剤や分散剤等により保護されており、シェル部分の形成反応が阻害されるため、優れた触媒活性を発揮し得るコアシェルナノ粒子を製造することはできていない。
本発明は、かかる従来の状況を鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、コア部分がコバルトで構成され、シェル部分が白金で構成されたコアシェル構造を有するナノ微粒子を担持し、優れた触媒活性を示す触媒体(コアシェルナノ粒子担持触媒体)を提供することである。また本発明の他の目的は、かかる構成の触媒体を好適に製造する製造方法を提供すること、かかる構成の触媒体を使用して構築した燃料電池(典型的にはPEFC)を提供することである。
本発明者らは、上記特許文献1に記載される置換めっき法やスパッタリング法に代わっていわゆるコアシェル構造の金属微粒子の形成方法について研究を重ねた結果、液相還元法を利用し、2段階の還元処理工程を経ることで、コア部分が卑金属で構成され、シェル部分が貴金属で構成されるコアシェル構造の金属微粒子を備える金属微粒子担持触媒体を製造することに成功している(特許文献3参照)。たとえば、特許文献3には、コア部分がニッケル(Ni)からなり、シェル部分が白金(Pt)からなるPt/Niコアシェル構造の金属微粒子触媒を備える金属微粒子担持触媒体が開示されている。
そして更なる高活性の金属微粒子担持触媒体を得るべく、様々な卑金属と貴金属との組み合わせによるコアシェル構造の金属微粒子を備える触媒体の作製を試みてきた。そして特に、コア部分がコバルト(Co)、シェル部分が白金(Pt)の組み合わせからなるPt/Coコアシェル構造の金属微粒子が担持された触媒体を好適なものとして作製するべく鋭意研究を重ねた結果、所定の条件を満たす反応系によりコア部分がコバルト(Co)、シェル部分が白金(Pt)の組み合わせからなるPt/Coコアシェル構造の金属微粒子を備える触媒体を好適に製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、ここに開示される発明が提供するコアシェルナノ粒子担持触媒体は、担体に触媒微粒子が担持されてなる触媒体であって、上記触媒微粒子は、コア部分がコバルト(Co)からなり、シェル部分が白金(Pt)からなるコアシェル構造(以下、Pt/Coコアシェル構造と表す場合がある。)を有することを特徴とする。ここで、上記触媒微粒子は、例えば、電子顕微鏡観察による平均粒子径が1〜50nmのナノ粒子として考慮することができる。
かかる構成のコアシェルナノ粒子担持触媒体は、触媒微粒子における白金量が低減されており、特にコスト面において実用性に優れたものとなる。また、コア部分をコバルトで構成することにより、コア部分をニッケルで構成したコアシェル構造のナノ粒子担持触媒体と比較して、質量活性および面積比活性共に非常に優れた触媒体となり得る。したがって、コスト増を削減しつつ、より高い触媒活性を発揮するコアシェルナノ粒子担持触媒体が実現されることになる。
ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体の好ましい一態様において、50個数%以上の上記触媒微粒子は、上記コア部分のコバルトが前記担体と面接触するように形成されている。すなわち、コアシェルナノ粒子担持触媒体は、コアシェル構造のシェル部分の表面と担体とが点接触した形態のものや、コア部分と担体とが点接触した形態のものとは区別され得る。かかる構成によると、触媒微粒子(以下、触媒微粒子をコアシェルナノ粒子という場合もある。)はシェル部分とコア部分の両方で、とりわけコア部分がより広い面積を以て担体に強固に固定されるため、例えば触媒微粒子が化学的または物理的な作用により担体から脱落するのが抑制され、耐久性の高い触媒体とすることができる。
ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体の好ましい一態様では、上記触媒微粒子の電子顕微鏡観察による平均粒子径が1nm〜15nmであることを特徴としている。上記触媒微粒子は、例えば上述のとおり電子顕微鏡観察による平均粒子径が、1〜50nmのものとして得られ、典型的には1〜30nm、より限定的には1nm〜15nm、更には2nm〜10nm程度であり得る。かかる平均粒子径を有する触媒微粒子は、質量活性が高くなることに加えて、触媒として使用された場合の耐久性をも備え得る。これにより、高い触媒活性と耐久性とをバランスよく備えるコアシェルナノ粒子担持触媒体が実現される。
ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体の好ましい一態様では、上記触媒微粒子の70個数%以上の粒径は、2nm〜10nmであることを特徴としている。かかる構成によると、触媒微粒子の粒径がより小さな粒径で揃っているため、触媒体においてムラなく高い面積比活性を示すコアシェルナノ粒子担持触媒体が実現される。
ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体の好ましい一態様では、上記シェル部分の厚みは、0.2nm〜1nmであることを特徴としている。かかる構成によると、少ない白金の使用量で触媒活性および耐久性に優れたコアシェルナノ粒子担持触媒体が実現される。
ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体の好ましい一態様では、上記担体は導電性材料により構成されていることを特徴としている。かかる導電性材料としては、カーボンブラックであることがより好ましい。かかる触媒体を、各種電極反応における触媒として用いる場合には、担体が導電性材料であることが好ましい。かかる導電性材料としては、極めて良好な導電性を有するとともに、耐久性にも優れているカーボンブラックを好ましく用いることができる。カーボンブラックは、そのストラクチャー(炭素質粒子のつながり)および表面形態等から担持している触媒微粒子を物理的および化学的に強固に結合し得る。したがって、かかる構成によると、導電性および耐久性を有するコアシェルナノ粒子担持触媒体を実現することができ、例えば燃料電池用触媒として好適な触媒が提供される。
ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体の好ましい一態様において、上記白金の電気化学的活性表面積あたりの酸素還元電流である面積比活性(以下、単に「面積比活性」という場合がある。)は、900mA/cm以上であることを特徴としている。例えば触媒の触媒活性は、この面積比活性を指標として評価することができる。ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体は、例えば、燃料電池用の標準的な白金微粒子触媒の面積比活性が200mA/cm程度であるのと比較して、極めて高い触媒性能を有するものとなり得る。
ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体の好ましい一態様において、上記白金の0.9Vにおける単位質量あたりの酸素還元電流である質量活性(以下、単に「質量活性」という場合がある。)は、300A/g以上であることを特徴としている。例えば、白金のコストを考慮しつつ触媒性能を評価するには、指標として、質量活性を採用するのが相応しい。ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体は、例えば、従来の標準的な燃料電池用の白金微粒子触媒の質量活性が200A/g程度であるのと比較して、極めて高い触媒性能を有するものであり得る。
以上のとおり、本発明が提供するコアシェルナノ粒子担持触媒体は、コストが低減され、さらに優れた触媒活性と耐久性とを備えている。かかるコアシェルナノ粒子担持触媒体は、例えば燃料電池用触媒として用いた場合に効果をより効果的に発揮し得る。従って、本発明は、他の側面として、かかるコアシェルナノ粒子担持触媒体を電極に備える燃料電池(例えば高分子電解質型燃料電池)を提供する。
また、他の側面において本発明は、導電性材料からなる担体に、コア部分がコバルトからなり、シェル部分が白金からなるコアシェル構造を有する触媒微粒子が担持されてなる触媒体を製造する方法を提供する。かかる製造方法は、以下の工程:コバルトを含む化合物が存在する反応液中に上記担体を浸漬し、上記コバルトを含む化合物を還元することにより、上記担体の表面に上記コア部分としてのコバルト粒子を生成させる工程;上記反応液中に白金を含む化合物を供給し、上記白金を含む化合物を還元することにより、上記コバルト微粒子の表面に上記シェル部分としての白金を析出させて上記コアシェル構造を有する触媒微粒子を形成する工程;および上記触媒微粒子が担持されている上記担体を上記反応液から回収する工程;を包含している。
ここで、上記コバルトを含む化合物の還元には、還元剤としてヒドラジンまたはその派生物を用い、上記反応液における上記ヒドラジンまたはその派生物の初期濃度を1〜3mol/Lとすることを特徴とする。
かかる製造方法は、上記特許文献1に記載される置換めっき法やスパッタリング法に代わるコアシェル構造の金属微粒子の形成方法について検討し、上記構成の2段階の還元処理工程によって担体上にコアシェルナノ粒子を形成するようにしたものである。
即ち、ここで開示される製造方法によると、まず、コア部分を構成するコバルトを含有する反応液(典型的には、コバルト塩を含む水溶液等)に担体を浸漬した状態においてコバルトを還元処理し、担体の表面にコバルト粒子を生成させる。次いで、当該反応液に白金を含む化合物(典型的には、白金塩を含む水溶液)を添加し、該化合物を還元処理する。このことによって、予め形成しておいたコバルトからなるコア粒子の表面に、上記還元処理により還元されて析出した白金層を形成することができる。
このように、上記2段階の還元処理を行うことにより、コバルト(Co)からなるコア部分の表面に極薄い白金(Pt)からなるシェル部分(典型的には0.2nm〜5nm程度の厚み、すなわち、1〜20原子層程度の層)を形成することができる。
なお、上記の還元処理には、ヒドラジンまたはその派生物の初期濃度を1〜3mol/Lの限定された範囲に調整することが重要となってくる。かかる系においては、以下の式(1)に示される反応によりコバルトが還元処理される。
2Co2++N+4OH → 2Co+4HO+N↑ (1)
ここで、式(1)の関係からは、ヒドラジン(N)はコバルト(Co)の1/2量存在すればよいともいえる。しかしながら、実際の反応系においては、ヒドラジンの濃度が1mol/Lよりも低いと、コバルトを含む化合物の還元が円滑に進行せず、担体上にコア部分のコバルト微粒子を好適に形成させることができなくなる。これは、通常の液相還元法において、還元剤の濃度を例えば10mmol/L程度以下とするのと比較して非常に高い値である。また、ヒドラジンの濃度が3mol/Lよりも高いと、コア部分となるコバルト微粒子が粗大化してしまい、得られる触媒微粒子の触媒活性能が急激に劣ってしまうために好ましくない。
従って、上記構成の本発明の製造方法によると、担体上に、触媒として機能し難いコア部分を比較的安価なコバルトで構成し、触媒として機能する触媒微粒子の表面(シェル部分)には白金を析出させることができ、コスト増の要因となる白金の使用量を低減した実用性に優れる触媒微粒子を担持した触媒体を製造することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記コバルト微粒子を生成させる工程において、上記反応液中の上記ヒドラジンまたはその派生物に対するコバルトのモル濃度を0.05〜0.5倍とすることを特徴としている。反応液中のコバルトの濃度をかかる構成とすることで、比較的均質な粒径のコバルト微粒子を担体上に析出させることができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記コバルト粒子を生成させる工程を20℃〜80℃の温度範囲で行うことを特徴としている。すなわち、ここに開示される製造方法においては、例えば100℃を超えるような高温での処理は必要ではない。したがって、高温に加熱する手段を必要とせずにコアシェルナノ粒子担持触媒体を製造することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記の全ての工程を20℃〜80℃の温度範囲で行うことを特徴としている。同様に、ここに開示される製造方法においては、全製造工程を通じて、例えば100℃を超えるような高温での処理は必要ではない。したがって、全工程を通じてよりソフトな環境でコアシェルナノ粒子担持触媒体を製造することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、上記担体としてカーボンブラックを使用することを特徴としている。カーボンブラックは、極めて良好な導電性を有するとともに、耐久性にも優れている。また、カーボンブラックは、そのストラクチャー(炭素質粒子のつながり)および表面性状から担持している触媒微粒子を物理的および化学的に強固に結合し得る。したがって、かかる担体としてカーボンブラックを用いることで、導電性および耐久性に優れたコアシェルナノ粒子担持触媒体を製造することができる。
一実施形態に係る固体高分子形燃料電池の電極接合体の断面構成を示した図である。 実施例で作製したサンプル2の透過型電子顕微鏡(TEM)像である。 図2Aの要部を拡大した図である。 図2Aの他の部分を拡大した図である。 実施例で作製したサンプル3のTEM像である。 実施例で作製したサンプル4のTEM像である。 実施例で作製したサンプル5のTEM像である。 実施例で作製したサンプル6のTEM像である。 実施例で作製したサンプル2の粒度分布を示す図である。 実施例で作製したサンプル1〜6のX線回折測定の結果を示すチャートである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識に基づいて実施することができる。
ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体は、本質的に、担体に、触媒微粒子が担持されてなる触媒体である。
かかる担体としては、組成、材質や形状等に特に制限はなく、目的の用途に応じて、各種の金属材料、無機材料、有機材料またはこれらの複合材料等を用いることができる。例えば、後述する製造工程における液相還元工程において、反応液により望まない変質および劣化をすることのない各種の材料を用いることができる。また、担体の形状についても、コアシェルナノ粒子を少なくとも一つ担持できる寸法があればよく、板状、球状、針状、ロッド状、布状等の各種の形態であってよい。好ましくは、例えば、担体が球状粒子である場合は、担持するコアシェルナノ粒子の3倍以上程度の直径を有していると、このコアシェルナノ粒子を安定して担持できるためにより好ましい。後で詳しく説明するが、ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体は、反応プロセスが適正化された条件で初めて作製されるため、担体としてはコアシェルナノ粒子を担持し得る形態のものであれば、その他の物性等の条件が制限されることはなく、広く各種の材料を考慮できるのである。
また、ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体は例えば50℃程度の温度で作製でき、高温処理を必要としないことから、比較的耐熱性に劣る樹脂材料等を担体として用いることも可能である。このコアシェルナノ粒子担持触媒体を各種電極反応における触媒として用いる場合には、担体を導電性材料で構成することが好ましい。かかる導電性材料としては、電極体を使用する環境下において導電性を有するものであれば、その組成や形状等に特に制限はなく各種の材料を用いることができる。例えば、導電性材料としては、各種の導電性カーボンや、ZnO,SnO,TiO等やペロブスカイト系酸化物等に代表される導電性セラミックス、オリゴチオフェン,ポリピロール,ポリアニリン等に代表される導電性ポリマー等が好ましい例として例示される。
また、例えば、担体としては、所望の強度および耐久性を備えていること、触媒微粒子を担持し得る比表面積が大きいこと等は、望ましい要件である。かかる観点から、担体として、例えば、黒鉛材料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー等の、微細構造が略規則的に発達している導電性炭素材料を用いることが好ましい例として示される。なかでも、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等に代表されるカーボンブラックは、高強度で、優れた導電性を示し、そのストラクチャー(炭素質粒子のつながり)および表面形態等から担持している触媒微粒子を物理的および化学的に強固に結合し得るためにより好ましい。
なお、例えばカーボンブラックなどの粒子状の担体を用いる場合には、この担体の平均粒子径は、例えば、10nm〜100nmとすることができ、好ましくは20nm〜70nm、より好ましくは30nm〜50nm程度とすることができる。なお、カーボンブラックからなる粒子状担体の「平均粒子径」については、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置により測定した体積基準の粒度分布における、積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;D50)を意味するものとする。
触媒微粒子の形状は特に限定されないが、代表的には、担体上に存在する液滴状の形態を有すると理解でき、例えば、略部分球状ないしは略部分楕円球状が一般な形態であり得る。この触媒微粒子は、バインダ等の異質の材料等を介することなく、担体の表面に直接的に担持されている。触媒微粒子と担体は、例えば、平面視で略円形ないしは略楕円形状の面を以て接触(面接触)し固定(担持)されている。また、触媒微粒子は、後述するコア部分とシェル部分の両方が、面を以て担体に直接的に固定されている。かかる面接触する触媒微粒子は、担体に担持されている触媒微粒子の総数を100個数%としたときの50個数%以上であり、代表的には80個数%以上、例えば90個数%以上であり得る。望ましくは、ほぼ全ての触媒微粒子のコア部分が担体と面接触するように形成されている。
なお、ここでいう球、楕円球、円および楕円等の形状を示す用語は、それぞれ幾何学的に厳密な球、楕円球、円および楕円等を示すものではなく、この触媒微粒子の代表的な形態を概念的に理解できるよう用いたものである。したがって、触媒微粒子の形状が、一見してかかる球、楕円、円等に分類され得る概念的な形態をも含むことができる。
この接触面は、平坦なものに限ることなく、担体の表面形状に応じた凹凸や湾曲があっても良い。例えば、担体の平坦な表面上に触媒微粒子が担持されていても良いし、表面の凹部に嵌るように、あるいは凸部に被るようにして担持されていても良い。このように面を以て接触し固定されることで、触媒微粒子は担体の表面に強固に担持されることとなる。これにより、例えば触媒としての使用に際し、化学的、物理的な作用により触媒微粒子が担体上を移動したり、担体から脱落することが抑制されて、耐久性の高い触媒体が実現される。この面接触の形態は、好ましくは、コア部分の接触面積がシェル部分の接触面積よりも大きいことである。より望ましくは、コア部分の接触面積がシェル部分の接触面積の2倍以上であり、例えば、コア部分の接触面積がシェル部分の接触面積の3倍以上、より限定的には5倍以上であり得る。
そして、この触媒微粒子は、電子顕微鏡観察により計測される単一の触媒微粒子の直径の平均として定義される平均粒子径が、1〜50nmの範囲の大きさにあるナノ粒子である。触媒微粒子の平均粒子径が小さいと単位質量あたりの表面積を拡大することができるために好ましい反面、粒子の微細化を過度に進めると触媒活性の低下がみられ、触媒体としての性能維持の観点からは好ましくない。また小さすぎる触媒微粒子は耐久性に問題が生じることが予想される。ここに開示される触媒微粒子の平均粒子径は、より限定的には、1〜30nmの範囲にあり、代表的には1〜20nm、例えば1〜15nm、より好ましくは、2〜10nmの範囲である。かかる平均粒子径を有する触媒微粒子は、質量活性が高くなることに加えて、触媒として使用された場合の耐久性をも備えることができる。
また、この触媒微粒子の粒度分布(個数基準)については、バラつきが小さい、いわゆる単分散に近い粒度分布を呈していることも特徴的である。例えば、電子顕微鏡観察により計測される単一の触媒微粒子の粒径について、70個数%以上のものの粒径が1〜15nmの範囲に含まれ得る。より限定的には、80個数%以上、さらには95個数%以上のものの粒径が1〜15nmの範囲に含まれる。さらには、70個数%以上、より限定的には80個数%以上のものの粒径が2〜10nmの範囲に含まれたものであり得る。かかる形態の触媒微粒子を備えることで、より高活性の触媒体が実現されることになる。
以上の触媒微粒子は、コア部分がコバルト(Co)からなり、シェル部分が白金(Pt)からなるPt/Coコアシェル構造を有している。コア部分を構成するコバルトは、電子顕微鏡観察によると、担体との接合面以外の表面のおよそ70%以上、より限定的には80%以上、より好ましくは95%以上(例えば、ほぼ100%)が、白金からなるシェル部分により被覆されている。コア部分を構成するコバルトは、典型的には、不可避的な不純物の混入を除いてほぼ100%がコバルト元素により構成される。シェル部分を構成する白金は、典型的には、不可避的な不純物の混入を除いてほぼ100%が白金元素により構成される。また、触媒微粒子は、上述のように、コア部分とシェル部分の両方で担体と直接的に接合している。担体との接合面の面積は、典型的には、シェル部分よりもコア部分の方が大きく、より体積の大きいコア部分が強固に担体に担持されていることとなる。
かかるコアシェル構造において、シェル部分の厚みは特に限定されることはないが、例えば、0.2nm〜5nm程度とすることができ、より好ましくは0.2〜1nm程度であり、代表的には0.5〜0.6nmである。かかる厚みは、例えば、Pt原子が1〜20原子層程度、例えば1〜4原子層程度、好ましくは2原子層程度の厚みと理解することができる。シェル部分の厚みは、均一であることが好ましいが、必ずしも原子層レベルで均一である必要はない。かかるシェル部分の厚みは、反応系に加えるPt量等により調整することができる。
以上の構成のここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体は、触媒微粒子として触媒性能に寄与するシェル部分のみを白金で構成しているため、白金の使用量が削減されており、コスト面において実用性に優れている。また、白金からなるシェル部分に対して、コア部分をコバルトで構成することにより、相乗的に白金の触媒性能が高められている。すなわち、例えばコア部分をコバルト以外の非白金族元素で構成しているコアシェル構造のナノ粒子担持触媒体と比較して、電気化学的質量活性および面積比活性共に非常に優れた触媒体となり得る。かかる触媒性能としては、例えば、具体的には、白金の電気化学的活性表面積あたりの酸素還元電流である面積比活性が850mA/cm以上、例えば900mA/cm以上、好ましくは1000mA/cm以上のものとすることができる。また、例えば、具体的には、質量活性が200A/g以上、例えば、300A/g以上、より好ましくは350A/g以上のものとすることができる。
ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体は、例えば、以下に示す製造方法により好適に製造することができる、以下に、ここに開示される触媒体の製造方法の好ましい一形態を示しながら説明する。すなわち、ここで開示される製造方法は、担体に、コア部分がコバルトからなり、シェル部分が白金からなるコアシェル構造を有する触媒微粒子が担持されてなる触媒体を製造する方法であって、以下の工程を含むようにしている。
(1)コバルトを含む化合物が存在する反応液中に担体を浸漬し、上記コバルトを含む化合物を還元することにより、上記担体の表面に上記コア部分としてのコバルト粒子を生成させる工程;
(2)上記反応液中に白金を含む化合物を供給し、上記白金を含む化合物を還元することにより、上記コバルト微粒子の表面に上記シェル部分としての白金を析出させて上記コアシェル構造を有する触媒微粒子を形成する工程;および
(3)上記触媒微粒子が担持されている上記担体を前記反応液から回収する工程。
すなわち、かかる製造方法は、水溶液あるいは非水溶液系の液相(反応液)にコバルトを含む化合物および白金を含む化合物を、同時ではなく、段階的に溶解あるいは分散させて、還元剤を用いることにより各段階でその都度コバルトおよび白金を順次還元させて、コアシェル形態に析出させるものである。ここで、コバルトを含む化合物の還元には、還元剤としてヒドラジンまたはその派生物を用い、反応液におけるヒドラジンまたはその派生物の初期濃度を1〜3mol/Lとすることを特徴としている。かかる構成により、ナノサイズで均一なコバルト粒子を、分散剤や界面活性剤等の存在を必要とせずに析出させることが可能とされている。
まず、この製造方法で好適に使用できる材料について説明する。なお、以下の説明は、本発明を限定することを意図したものではない。
まず、コアシェルナノ粒子の原料であるコバルトを含む化合物および白金を含む化合物は、還元処理を行うことによってそれぞれコバルトおよび白金を生成できるものであれば各種の材料であってよい。以下、各々の化合物について詳細に説明する。
コバルトを含む化合物としては、コバルトの塩を好ましく用いることができる。かかるコバルト塩としては、例えば、コバルトの塩化物、水酸化物、ホウ化物、臭化物、ヨウ化物、硫化物や;炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、しゅう酸塩、過塩素酸塩などを用いることができる。より具体的には、一例として、例えば、塩化コバルト六水和物(CoCl・6HO)、硝酸コバルト六水和物(Co(NO・6HO)、2−エチルヘキサン酸コバルト(Co[OOCCH(C)C)、硫酸コバルト七水和物(CoSO・7HO)、過塩素酸コバルト六水和物(Co(ClO・6HO)、酢酸コバルト四水和物(Co(CHCOO)・4HO)などが挙げられる。
白金を含む化合物としては、各種の白金の塩または錯体を好ましく用いることができる。白金の塩としては、例えば、白金の塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物や、水酸化物、硫化物、硫酸塩、硝酸塩、さらには、カリウム複合酸化物、アンモニウム複合酸化物、ナトリウム複合酸化物などの複合酸化物などを用いることができる。また、白金の錯体としては、白金のアンミン錯体、シアノ錯体、ハロゲノ錯体、ヒドロキシ錯体などを用いることができる。具体的には、一例として、例えば、塩化白金六水和物(H(PtCl)・6HO)、白金(IV)塩化物、白金(II)臭化物、白金(IV)ヨウ化物、白金(IV)硫化物、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム六水和物、白金(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナト錯体、白金(II)アセチルアセトナト錯体等が例示される。
還元剤として用いるヒドラジンおよびその派生物は、強い還元力を有し還元剤として機能するだけでなく、共に存在する金属イオンと錯体を形成し得る。この点において、ここに開示される反応系においてヒドラジンおよびその派生物の存在は欠かせない。かかるヒドラジンおよびその派生物としては、ヒドラジン(HNNH)に加えて、一抱水ヒドラジン(ヒドラジン一水和物、HNNH・HO)、硫酸ヒドラジン(N・HSO)、モノ塩酸ヒドラジン(N・HCl)等の派生物が挙げられる。その他にも、ヒドラジンと同じ分子構造の骨格を持ち、ヒドラジンと同等の還元作用を有する派生物(誘導体を含む)を用いても良い。以下、本明細書において、特にことわりのない限りヒドラジンおよびその派生物を単に「ヒドラジン」と表現する。
一方、担体として用いる材料については、上述のコアシェルナノ粒子担持触媒体で説明したのと同様に、所望の用途に応じて各種の組成、材質、形態のものを用いることができる。好ましくは、担体は、導電性材料からなり、より好ましくはカーボンブラックである。
次に、上述した各材料の反応を生じさせる場である反応液について説明する。
ここで開示される製造方法は、本質的に、ひとつの反応液内においてすべての反応を完了させるようにしている。すなわち、コアシェルナノ粒子の製造は上記のとおりコア部分の生成に次いでシェル部分の生成を段階的に行う構成であるが、コア部分の生成とシェル部分の生成は同じ反応液内で引き続き行うことができる。かかる反応液は、上述した各材料を溶媒に溶かした溶液でもよいし、各材料を分散媒に分散させた分散液でもよく、またこの反応液はゲル状またはゾル状の状態であってもよい。もちろん、反応に応じて反応液の状態が変化してもよい。反応液を構成する溶媒(分散媒)は、水系溶媒(水系分散媒)でもよいし、有機系溶媒(有機系分散媒)でもよい。水系溶媒(水系分散媒)で反応液を構成する場合、溶媒には水(純水、イオン交換水、精製水等)や水を含んだ混合液(例えば、水とエタノールの混合溶液)を用いることができる。また、有機系溶媒(有機系分散媒)の場合には、メタノールやエタノールなどのアルコール類や;アセトン、メチルケトンのようなケトン類や;酢酸エチルのようなエステル類などの極性の高いものなどを用いることができる。
以下、かかる製造方法における各工程について説明する。
(1)コバルト粒子を生成させる工程
ここで開示される製造方法では、先ず、コア部分を構成するためのコバルトを含む化合物を溶媒(または分散媒)に混合させることにより、反応液を調製する。この反応液中に担体を浸漬させた状態で、コバルトを含む化合物を還元することにより、担体の表面にコバルトを析出させて、コア部分としてのコバルト粒子を形成する。
反応液を調製する際には、一定の範囲内に温度条件を維持しながら撹拌するとよい。このときの温度条件としては、20℃〜80℃、より好ましくは20℃〜60℃、例えば50℃程度であるとよい。また、撹拌の回転速度は、例えば、回転式撹拌装置の場合は、100rpm〜500rpm、より好ましくは200rpm〜300rpm程度にすることができる。
反応液におけるコバルトを含む化合物の濃度は、厳密には限定されないものの、後述するヒドラジンまたはその派生物の濃度に対して0.01〜0.9倍程度、好ましくは0.02〜0.8倍程度、より限定的には0.05〜0.5倍程度とするのを目安とすることができる。たとえば、一例として、0.5mmol/L〜5mmol/L程度の範囲で調整することが例示される。なお、溶媒が水その他の水系溶媒(例えば水、水とエタノールの混合溶媒等)である場合等は、コバルトを含む化合物の濃度を上記範囲で調整することで、安定的に上記のコバルト微粒子の粒径やコバルト粒子の生成数を調整することができる。
コバルトの還元に際しては、上記の反応液中にヒドラジンを溶解させておき、反応系に担体を浸漬させた後に、ヒドラジンが還元作用を示すアルカリ性にまで反応液のpHを調整して還元反応を進行させるようにするのがより好ましい。
ヒドラジンの初期濃度は、1〜3mol/Lとすることが肝要である。上記の(1)式で示したコバルト(II)の還元は、ヒドラジンの濃度が1mol/Lよりも低いと十分に進行せず、コバルト(II)のまま反応液中に残存するか、Co(OH)の形態で析出することになる。したがって、担体上にコア部分としてのコバルト微粒子を好適に形成させることができなくなる。1mol/L以上という濃度は、通常の液相還元法において還元剤の濃度を例えば10mmol/L程度以下とするのと比較して非常に高い値である。また、ヒドラジンの濃度が3mol/Lよりも高いと、コア部分となるコバルト微粒子が粗大化してしまい、得られる触媒微粒子の触媒活性能が急激に劣ってしまう。ヒドラジンまたはその派生物の初期濃度は、1.0〜2.5mol/Lが好ましく、更には、1.1〜2.2mol/Lであるのがより好ましい。
担体については、少なくともその一部を反応液に浸漬すればよいが、好ましくは全部を浸漬することである。なお、一例として、導電性担体として導電性カーボンを用いる場合、反応液100質量部に対して、かかる導電性カーボンを2質量部〜20質量部(より好ましくは5質量部〜10質量部)の割合で含ませることが例示されるが、担体の形態にもよるためこれに限定されるものではない。
ヒドラジンが還元作用を示すpHは上記のとおりアルカリ性(すなわちpH>7)であればよく、例えばpH調整剤を反応液に添加してpH10程度(一例としてpH9〜11の範囲)とするなどして調整することができる。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア水、その他の塩基性物質を用いることができる。
なお、還元反応に先立って、反応液をゲル状に調製することも好ましい。かかるゲル状の反応液において、コバルトを含む化合物はコバルト(II)を中心イオンとする錯体を安定的に形成し得る。そして、かかる状態で還元反応を進めることで、無秩序な核生成を抑制しながら、担体の表面にコバルト核を形成し、ゲルから供給されるコバルト(II)により該コバルト核の均質な成長を実現している。これにより、担体上に単分散に近い粒径のコバルトナノ粒子を好適に形成することができる。なお、ここでコバルトは担体上に原子レベルで緻密に析出してゆく。したがって、かかるコバルト微粒子は強固な結びつきによって担体に担持されることになる。
かかる還元処理においては、上記還元剤の添加後から所定の時間(10分間〜6時間、好ましくは10分間〜4時間、例えば30分程度)、上記の反応条件を維持しておくことができる。なお、長時間に亘って(例えば20時間以上)上記の反応条件を維持し続けると、析出したコバルト微粒子の表面の反応性が低下して、コアシェル構造が形成されづらくなるため、好ましくない。
また、この際、反応液の温度は、20℃〜80℃程度、より好ましくは20℃〜60℃程度の温度範囲、例えば50℃程度に維持することができる。さらに、上記反応条件を保持している間に、均質化を行うとより好ましい。かかる均質化の手段としては、例えば、超音波ホモジナイズ、超音波分散機、超音波洗浄機等を用いる撹拌等が挙げられ、中でも超音波ホモジナイズを用いるのが好ましい。この場合、超音波ホモジナイズは、例えば、15kHz〜50kHz程度の周波数で、100W〜500W程度の出力で発生した超音波を反応液に照射することが例示される。かかる均質化は、反応の促進の効果を担うこともあり得る。
(2)コアシェル構造を有する触媒微粒子を形成する工程
この工程(2)では、担体および還元処理により生成されたコバルト微粒子が存在する反応液に、シェル部分を構成するための白金を含む化合物を供給し、還元させることで、コバルト微粒子をコア部分としてその表面に白金からなるシェル部分を形成する。これにより、ここに開示されるコアシェルナノ粒子担持触媒体が製造されることになる。
白金を含む化合物は、そのままの形態(例えば粉末状等の固体)で、もしくは溶液の状態(液体)で、上記の反応液中に添加することができる。白金を含む化合物の添加量は、目的とするコアシェル構造の形態に応じて異なり得るため、厳密には限定されない。かかる白金の添加量は、例えば、白金からなるシェル部分の厚みが反応液に加えたPtとCoのモル比および析出したCoの粒径によって決まることから、コバルト添加量と併せて適宜配合比を定めることができる。例えば、反応液に添加するPtとCoのモル比やCoの析出条件等により、コア部分と担体との接触面積と、シェル部分と担体との接触面積との割合等も調整することができる。白金を含有する化合物を反応液に添加する際には、反応液を上述の設定温度で維持しながら、撹拌していることが望ましい。
白金を含む化合物の還元処理が行われると、反応液中では、コバルト粒子の表面に選択的に白金が析出を始める。この白金の析出は、エピタキシャルに行われ得る。また、反応液中のPt濃度を均質に保つことで、シェル部分の厚みをもほぼ均質にすることができる。これによりコバルト微粒子(コア部分)の表面に白金からなるシェル部分を、緻密かつ平滑でより触媒活性の高いものとして形成させることができる。この還元処理は、上記の還元剤が添加されている反応液に白金化合物を添加することによりそのまま実施できる。すなわち、かかる還元処理は、前工程で反応液に添加された還元剤を利用することができ、白金を含む化合物を反応液に添加した後に反応系を保持することによって実施できる。もちろん、この還元処理の際に新たに還元剤を添加してもよい。
以上のここで開示される製造方法では、上述したコバルトを含む化合物の還元処理の後に、白金を含む化合物の還元処理を行うといった、2段階の還元処理を一つのバッチで連続的に行っている。すなわち、コアシェル構造を構成する白金とコバルトのうち、前述の工程(1)においては反応系内に白金よりもイオン化傾向の高いコバルトのみをCo(II)の形態で存在させ、ヒドラジンの還元作用によってCo(II)をコバルト微粒子としてCoに還元する。次いで、工程(2)において反応系内に白金を含む化合物を供給することで白金をPt(IV)の形態で存在させ、引き続きヒドラジンの還元処理によりPt(IV)をコバルト微粒子の表面にPtとして析出させている。このような、連続的かつ簡便な手法により、Pt/Coコアシェル構造を有する触媒微粒子の形成を可能としている。
かかる製造方法によると、コバルト微粒子は析出と同時に担体上に強固に付着し、担持されるため、別途、担体に担持させる工程は必要でないし、凝集を抑制する工程も必要ではない。また、コバルト微粒子は反応液から取り出す必要はないため、例えば大気に曝してコバルト微粒子を酸化させるおそれはないし、酸化を抑制するために界面活性剤や分散剤等により表面を保護する必要もない。さらに、コバルトと白金の析出は、段階を明瞭に分けて安定した状態で行われるため、コア部分(コバルト)とシェル部分(白金)の界面は明瞭に形成されており、コバルトと白金が混合した状態で析出されることはない。
(3)触媒微粒子が担持されている担体を回収する工程
その後、生成された触媒微粒子が担持されている担体(コアシェルナノ粒子担持触媒体)を反応液から回収する。かかる触媒体を回収する方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、担体がカーボンブラックなどの微小な形態である場合には、反応液(溶液又は分散液)を濾過し、濾物を洗浄、乾燥する方法が挙げられる。この場合、濾物は、イオン交換水で洗浄し、加熱を伴わずに、あるいは、担体の耐熱性能に応じて60℃〜120℃程度、例えば100℃未満の加熱を伴って1時間〜8時間程度で、乾燥させるとよい。
以上の工程を経て、白金からなるシェル部分とコバルトからなるコア部分とを有する触媒微粒子が担体に担持されたコアシェルナノ粒子担持触媒体を製造することができる。これにより、担体上に、触媒として機能し難いコア部分を比較的安価なコバルトで構成し、触媒として機能する触媒微粒子の表面(シェル部分)を白金で構成した触媒微粒子を、担持させた状態で形成することができ、コスト増の要因となる白金の使用量を低減した実用性に優れる触媒体を製造することができる。
また、上述の製造方法において作製される触媒体において、触媒微粒子は担体に強固に担持されている。すなわち、触媒微粒子は、表面層を構成するシェル部分のみでなく、コア部分もが担体と面を以て接合しており、またその接合の形態も原子レベルで緻密に接したものとなり得る。したがって、触媒としての使用に際して触媒微粒子が担体から脱落することの少ない、耐久性に優れた触媒担体が得られる。
また、この製造方法において作製される触媒体は、担体に担持された金属微粒子の平均粒子径が1〜30nmの範囲にあり、代表的には1〜20nm、例えば1〜15nm、より好ましくは、2〜10nmの範囲である。またその粒度分布も、例えば、具体的には、70個数%以上、例えば80個数%以上のものの粒径が2〜10nmの範囲に収まるような、単分散に近い形態であり得る。さらに、代表的には、コア部分が2nm〜9nm程度で、シェル部分の厚みが0.5nm〜1nm(2〜4原子層程)程度であり得る。ここに開示される製造方法では、このようなコアシェルナノ粒子担持触媒体を作製するために、上記製造方法における種々の条件を調整することができる。
さらに、ここに開示される製造方法において作製される触媒体は、簡便である上に、スケールアップが容易であり、非常に低コストかつ量産性に優れた方法であり得る。
このようにして得られるコアシェルナノ粒子担持触媒体は、触媒活性に優れていることから、例えば、高分子電解質型燃料電池(PEFC)に好適に用いることができる。
一般的なPEFCを図1に示す。図1は、PEFCの基本構造である電極接合体100を模式的に示した断面図である。この電極接合体(PEFC)100は、シート状の電解質膜10と、当該電解質膜10の一方の面(図1における左側の面)に塗布された燃料極20と、電解質膜10の他方の面(図1における右側の面)に塗布された酸化剤極30とを有している。また、燃料極20の外側の面には燃料流通層40が積層されており、酸化剤極30の外側の面には酸化剤流通層50が積層されている。そして、燃料流通層40および酸化剤流通層50の外側の面にはそれぞれ筐体60が配置されている。かかるPEFC100では、燃料極20側が負極となり、酸化剤極30側が正極となる。ここで開示される金属微粒子担持触媒体は、例えば、燃料極20に含まれる触媒体として好適に用いることができる。
かかるPEFC100に、上述したコアシェルナノ粒子担持触媒体を用いる場合、触媒微粒子を担持する担体に導電性カーボン(例えばカーボンブラック)を用いるとよい。かかる金属微粒子担持触媒体を触媒体に用いることによって、良好な触媒活性を維持しつつ、PEFCの製造コストを低減させることができる。また、上述の電極接合体100を複数枚重ね合わせると、実用上利用し得る電圧を発生する燃料電池、即ちセルの集合体であるスタックを構成することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。続いて、本発明に関する実施例を説明する。なお、以下で説明する実施例は本発明を限定することを意図したものではない。
[コアシェルナノ粒子担持触媒体の作製]
コバルトを含む化合物として塩化コバルト六水和物を、白金を含む化合物として塩化白金酸六水和物を用いた。還元剤としてはヒドラジン一水和物を用いた。また、pH調整のために、水酸化ナトリウムを用いた。導電性材料からなる担体としては、カーボンブラック(キャボット社製、品番:Vulcan XC72)を用いた。
[コア部分の形成]
まず、ビーカーに0.17g(0.7mmol)の塩化コバルト六水和物(CoCl・6HO)を秤量し、7mlの精製水を加えて撹拌して溶解させることで、塩化コバルト水溶液を調製した。この塩化コバルト水溶液を、ホットスターラーを用いて温度50℃、撹拌速度200rpmの条件で撹拌している状態で、錯化剤としてのヒドラジン一水和物(N・HO)を表1に示す量で添加した。
ここに、担体としてのカーボンブラック0.21gを浸漬させた後、水酸化ナトリウム2.5gを添加することで水溶液のpHを10以上に調整して、ヒドラジンによるコバルト塩の還元を進行させ、カーボンブラックの表面にコバルト粒子を析出させた。かかる還元処理は、上述のように、還元剤が添加された塩化コバルト水溶液をホットスターラーで50℃に保温しながら、撹拌速度200rpmの条件で30分間分散させることによって行った。
[シェル部分の形成]
次に、塩化白金酸六水和物(H[PtCl]・6HO)を用いてPtを10質量%含む塩化白金塩水溶液を調製した。この塩化白金塩水溶液0.70g(Ptが0.35mmol)に水酸化ナトリウム0.18g(4.5mmol)を加えて溶解させた。この水溶液を上記反応液に添加し、50℃に保温しながら、30分間撹拌させることで、ヒドラジンによる塩化白金酸の還元処理を行い、コバルト粒子の表面に白金を析出させた。
[回収]
白金の還元処理後、水溶液をフィルタで濾過して、水溶液中のカーボンブラックを回収した。そして、回収物を精製水で洗浄後、60℃で一晩乾燥させることで、導電性材料にPt/Coコアシェルナノ粒子が担持された触媒体を得た。
〈サンプル1〜6〉
上記のコアシェルナノ粒子担持触媒体の作製方法において、錯化剤としてのヒドラジン一水和物を表1のサンプル1〜6に示した添加量で用い、表1に示した初期濃度となるように変化させて調製し、触媒体を作製した。なお、ヒドラジンの初期濃度とは、コバルト塩の還元を行う際のヒドラジン濃度を意味している。これにより得られたコアシェルナノ粒子担持触媒体をそれぞれサンプル1〜6とした。
〈Pt/Niコアシェルナノ粒子担持触媒体〉
参考のために、文献2に開示されたコア部分がニッケル(Ni)からなり、シェル部分が白金(Pt)からなるコアシェル構造を有するナノ粒子を担持した触媒体を用意した。
すなわち、1.2gの塩化ニッケル六水和物(NiCl・6HO)を7mlの純水に溶解し、1mol/Lの塩化ニッケル水溶液を調製した。この塩化ニッケル水溶液を、ホットスターラーを用いて、温度40℃、撹拌速度250rpmの環境で撹拌した。次に、撹拌した状態の塩化ニッケル水溶液に、錯化剤としてヒドラジン一水和物(N・HO)を5.0g、還元剤としてクエン酸三ナトリウム二水和物(Na・2HO)を0.015g添加した。さらに、導電性担体として炭素質担体であるカーボンブラック(キャボット社製、品番:Vulcan XC72)を1.5g添加した後に、pH調整剤として50質量%水酸化ナトリウム水溶液を5.0g添加し、水溶液のpHを約9に調整した。かかる還元処理は、塩化ニッケル水溶液を、40℃に保温しながら、超音波ホモジナイザ(20kHz)で2時間分散させることによって行った。
次に、白金を有する化合物として塩化白金酸六水和物(H〔PtCl〕・6HO)を用いた。この塩化白金酸六水和物を純水に溶解させた10質量%塩化白金酸水溶液を上記水溶液に9.9g添加した。そして、この水溶液を40℃に保温しながら、30分間撹拌させることで塩化白金酸の還元処理を行った。
還元処理後、水溶液をフィルタで濾過して、水溶液中に析出した粒子を回収した。そして、回収した粒子を洗浄、乾燥して、Pt/Niコアシェルナノ粒子担持触媒体を得た。
〈白金ナノ粒子担持触媒体〉
参考のために、固体高分子形燃料電池(PEFC)用の電極触媒である白金ナノ粒子担持触媒体(田中貴金属工業(株)製、TEC10E50E)を用意した。このTEC10E50Eは、高比表面積カーボンに50質量%の白金ナノ粒子を担持させた触媒体であって、標準触媒として多用されているものである。
〈TEM観察による評価〉
上述の製造プロセスを経て得られたサンプル1〜6を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。その観察結果を図2A〜2C、図3〜6に示した。図2A〜2Cはサンプル2のTEM像、図3〜6はそれぞれサンプル3〜6のTEM像である。なお、TEM観察では、触媒微粒子を担持している触媒体の透過像が観察されている。像の全面にみられるグレーの球状体が担体であるカーボンブラックであり、その表面に黒く見えるのが触媒微粒子である。
サンプル1のTEM観察では、担体であるカーボンブラックのみが観察され、その表面にはほぼ何も形成されていないことが確認された。
図2Aはサンプル2の広域のTEM観察像であり、図2Bおよび2Cは、その要部拡大像である。例えば図2Aに示したように、サンプル2のTEM観察では、薄いコントラストで示されるカーボンブラック(担体)の表面の一部に、黒い斑点状に、カーボンブラックより粒径の小さい粒状体(粒子)が形成されているのが確認された。TEM観察によると、より重い金属からなる部分のコントラストは濃く(暗く)、より軽い金属からなる部分のコントラストは薄く(明るく)見える。より詳細に観察すると、図2Bおよび2Cからわかるように、この粒状物は中心部分により軽い金属(Co)からなるコア部分が形成され、このコア部分の表面をより重い金属(Pt)からなるシェル部分が覆っているのがわかった。例えば、図2Bの左上の粒子では、カーボンブラックに接触している部分のコントラストは薄く、この部分にはPtが存在せずにCoのみが存在していることがわかる。粒状物のその部分以外の表面部は、図2Bおよび2Cから、ほぼ全面が濃いコントラストで示されることから、カーボンブラックに接触しているCo部分以外の表面のほぼ全面をPtがコーティングしていることがわかった。TEM観察できる全ての粒子において、カーボンブラックに接触していない表面のほぼ全面をPtがコーティングしていることが観察された。なお、後述するXRDの結果および製造手法からも、サンプル1で担持されている粒状物は、コバルト(Co)からなる微粒子をコアとして、その表面を白金(Pt)からなるシェル部分が被覆したPt/Coコアシェル構造の触媒微粒子であると解される。
カーボンブラックの表面に形成された触媒微粒子の粒径を、TEM像を基に算出した。その粒度分布を図7に示した。ランダムに抽出して観察した100個の触媒微粒子について粒径を調べたところ、観察した100個の触媒微粒子のいずれもが15nm以下であることが確認でき、さらに、80%以上の粒子が4nm〜10nmの範囲に含まれており、このコアシェルナノ粒子担持触媒体には単分散に近い粒度分布のナノ粒子が形成されていることが確認された。さらに、100個の触媒微粒子についての平均粒子径を求めたところ、平均粒子径は7nm(標準偏差2.05nm)であった。
なお、担体上にCoからなるコア部分を形成した状態(シェルが形成されていない状態)のものを反応液から出して観察することは不可能であるため、以下の手法でPtシェル部分の厚みを算出した。析出するコアシェルナノ粒子は球状であると仮定すると、コアシェルを構成するPtシェル部分の厚みtPtは、以下の式(2)で表される。
Pt=d×(1−1/A)×1/2 …(2)
ここで、
A=[1+(nPt×aPt×ρCo)/(nCo×aCo×ρPt)]1/3
d :コアシェルの粒径
Co:コアシェルに含まれるCo量(mol)
Pt:コアシェルに含まれるPt量(mol)
Co:Coの原子量
Pt:Ptの原子量
ρCo:Coの密度
ρPt:Ptの密度
である。
また、反応液に添加した材料は、Co:1molに対してPt:0.5molであることから、粒径が7nmのコアシェルナノ粒子におけるシェル部分の厚さtPtは、0.5〜0.6nm(およそ2原子層程度)となることがわかる。これは、TEM観察結果から推察されるシェル部分のPtの厚みと概ね一致するものであるといえる。また、コア部分と担体との接触面積は、シェル部分と担体との接触面積の5倍以上となることも確認でき、これもTEM観察の結果と一致するものであった。
以上のことから、コバルト含有化合物を還元処理してコバルト微粒子を析出させた後に、白金含有化合物を還元処理して白金を析出させることで、好適なコアシェル構造の触媒微粒子を作製することができることが分かった。この触媒微粒子は、例えば図2Bから解るように、担体であるカーボンブラックの表面に略部分球ないしは略部分楕円球の形状で形成され、触媒微粒子と担体とは点ではなく、平面視略円形ないしは略楕円形の結合領域を以て結合していることも確認された。また、白金部分は、コバルト部分の表面にのみ観察され、カーボンブラックの表面に直に白金が析出している様子は確認できなかった。
サンプル3およびサンプル4をTEM観察したところ、図3および図4からわかるとおり、サンプル2の場合と比べて、10nm程度の大きめの粒子が若干多く形成されたが、コバルト(Co)からなる微粒子をコアとして、その表面を白金(Pt)からなるシェル部分が被覆したPt/Coコアシェル構造の触媒微粒子が、担体としてのカーボンブラック上に形成されているのが確認された。
一方、サンプル5およびサンプル6をTEMで観察したところ、コバルトおよび白金部分が著しく粗大化しており、複数のカーボンブラックを覆うようにして付着しているものも確認された。より詳細な観察では、図5および図6に示したように、複数のカーボンブラックにまたがり被覆するようにコバルト(Co)層が形成され、その表面に白金(Pt)層が薄く形成されていた。なお、この場合も白金はコバルトの表面にのみ形成されていた。
このことから、製造時のヒドラジン濃度が高すぎると、コバルト塩の還元が局所的かつ一気に進行してしまい、形成されるコバルト粒子が大きくなりすぎてしまうことが予想できる。
〈X線回折分析(XRD)による評価〉
サンプル1〜サンプル6についてXRDを行い、各々のサンプルの回折パターンを調べた。図8にその結果を示した。図8には、下から順にサンプル1〜サンプル6のXRD回折結果を示した。
図8から解るように、サンプル1については、コバルト(Co)および白金(Pt)に帰属するピークは観測されず、Co(OH)に帰属するピークのみが現れていた。このことから、サンプル1の作製条件においては、還元剤であるヒドラジン量が少なすぎたため、コバルト塩の還元が十分に進まず、Co(OH)の状態で析出してしまったものと考えられる。
一方、サンプル2〜6については、いずれもコバルト(Co)および白金(Pt)に帰属するピークが確認された。コバルト(Co)、白金(Pt)の各面からの反射強度比はリファレンスパターンにそれぞれよく一致するものであった。このことから、コバルト(Co)と白金(Pt)は合金を形成することなく、各々が単独の結晶相として存在していることが確認できた。
なお、サンプル5のピークが最も鋭く得られているが、これは例えばサンプル2の触媒微粒子が10nmより小さいためにピークがブロードとなってしまうことに因るものである。したがって、このXRDの結果からも、サンプル2〜5となるにつれて触媒微粒子の粒径が大きくなったことが確認できる。
以上のTEM観察およびXRDの結果から、コバルトの還元処理における反応液中のヒドラジンの濃度を1〜3mol/L程度とすることで、コア粒子として適切な粒径のコバルト粒子を分散性良く担体上に形成できることがわかった。そして、引き続きコバルトからなるコア粒子の表面に白金を析出させることで、好適にPt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体を形成できることが確認できた。
〈電気化学的活性表面積の測定〉
サンプル2〜6およびサンプル8〜12のコアシェルナノ粒子担持触媒体の触媒を評価するために、電気化学的活性表面積をサイクリックボルタンメトリー(CV)測定に基づいて算出した。また、参考のための、上記Pt/Niコアシェルナノ粒子担持触媒体および白金ナノ粒子担持触媒体についても同様に活性表面積を算出した。
すなわち、作用極として測定対象となる触媒体を用い、参照極には白金を、対極には可逆水素電極を用い、電解液には0.1M過塩素酸(HClO)溶液を使用して、三極式セルを作製した。なお、作用極は、測定対象である触媒体を純水に分散させた溶液をディスク電極上に3.76×10−5g/cmとなるように滴下し、乾燥させた後、パーフルオロカーボンから構成されるプロトン伝導性膜により固定することで作製した。また、この三極式セルには、測定前の30分間に電解液に窒素(N)ガスを吹き込み、セル内を窒素(N)で飽和させた。その後、25℃で、50mV/s、可逆水素電極に対する電位幅0V〜1.2Vの条件で電位を掃引し、応答電流を測定した。
CV測定により得られるCV波形において、低電圧側の領域に、Ptの水素吸着波が観察される。この水素吸着波のピークの面積から水素吸着電荷量:Qdes(μC)を求め、次式(3)を利用することで、触媒体の活性表面積:SPt(m/g)を算出した。
Pt =Qdes/Q・・・(3)
なお、式(3)中、Qは白金の単位活性表面あたりの吸着電荷量を示し、ここでは210×10(μC/m)を用いた。
電気化学的活性表面積の測定結果を、サンプル2〜6については表2に、サンプル8〜12については表3に示した。なお、表中の「Pt/Niコアシェル触媒体」の欄はPt/Niコアシェルナノ粒子担持触媒体の、「Pt担持触媒体」の欄は白金ナノ粒子担持触媒体の結果を示している。また、サンプル1については触媒微粒子が殆ど形成されていないため、測定を行わなかった。
〈面積比活性および質量活性の測定〉
サンプル2〜6のコアシェルナノ粒子担持触媒体の触媒を評価するために、面積比活性および質量活性を対流ボルタンメトリー測定に基づいて算出した。
すなわち、上記CV測定の場合と同様の構成の三極式セル(回転ディスク電極セル)を使用し、測定前の30分間に電解液に酸素(O)ガスを吹き込み、セル内を酸素(O)で飽和させた。その後、室温(25℃)で、電極回転数(rpm):3600、2500、1600、900、200の速度でそれぞれ回転させることにより反応物と生成物の移動速度を制御しながら、各回転数において可逆水素電極に対する電位幅0.2V〜1.2V、掃引速度10mV/sの条件で電位を掃引し、酸素還元電流を測定した。
得られた電流値から次式を用いて活性支配電流Iを求めた。具体的には、以下の式(4)に上記測定で得られた数値を代入することで、ω−1/2に対してI−1をプロットするKouteky−Levichプロットを作成した。
/I=1/(I+1/0.62nFACD2/3cν−1/6ω1/2) ・・・(4)
なお、式(4)中、Iは測定電流(mA)、Iは拡散の影響の全くないときの活性支配電流(mA)、nは反応電子数、Fはファラデー定数(ここでは、96485C・mol−1)、Aは白金電極面積(ここでは、0.196cm)、Cは酸素溶解度(ここでは、1.30×10−6mol・cm−3)、Dは酸素拡散係数(ここでは、1.50×10−5cm−1)、vは電解液粘度(ここでは、9.84×10−3cm−1)、ωは電極回転数である。
そして、Kouteky−Levichプロットの切片の逆数から、0.9Vにおける活性支配電流Iを算出し、この値をPt電気化学的活性表面積あたり、および、Pt重量あたりに換算することで、それぞれ、面積比活性、質量活性とした。得られた結果を表2に示した。なお、サンプル1については触媒微粒子が殆ど形成されていないため、測定を行わなかった。
[触媒特性の評価]
表2からわかるように、ここに開示される発明のサンプル2〜4は、活性表面積がPt/Niコアシェル触媒体とほぼ同程度であり、この活性比表面積は、例えば標準触媒として用いられるPt担持触媒体と比較するとさほど大きくないことがわかる。しかしながら、面積比活性についてはPt担持触媒体の約5倍、質量活性については約1.7〜2倍と、優れた値を示すことが確認された。なお、面積比活性および質量活性については、類似のコアシェル構造を有するPt/Niコアシェル触媒体に比べても約1.6〜2倍と高い値であった。サンプル2〜4とNiコア−Ptシェル触媒との比較から、サンプル2〜4は主に面積比活性の向上により、質量活性が向上したことが分かる。これは、コアとシェルの相互作用の観点で、Ptシェルに対するコアとしては、NiよりもCoを用いた方が活性向上への寄与が大きいことを示唆している。
一方の、サンプル5、6については、触媒微粒子が粗大化していたため、電気化学的活性表面積が著しく小さくなってしまっていた。そのため、面積比活性はPt/NiコアシェルおよびPt触媒体より高くなったものの、サンプル2〜4と比較すると低い値にとどまる結果となった。さらに、質量活性については、Pt/NiコアシェルおよびPt触媒体よりも低い値であった。
このことから、ここに開示されるPt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体を用いることで、白金使用量を飛躍的に削減しつつ、優れた触媒能を発揮し得る触媒体が実現されることが確認できた。
また、ここに開示されるPt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体の製造において、反応液中のヒドラジンの初期濃度が適切でない場合には、高い触媒能を有する触媒体を得ることができないことも確認できた。すなわち、ヒドラジンの初期濃度が低すぎるとコバルトからなるコア部分を形成することができず、ヒドラジンの初期濃度が高すぎるとコバルトからなるコア部分が粗大化して活性表面積、面積比活性および質量活性の全ての指標において触媒性能が劣ってしまう。したがってコバルト塩の還元処理における反応液中のヒドラジンの濃度を1〜3mol/L程度とすることで、高性能なPt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体を形成できることがわかった。
〈サンプル7〜12〉
上記のコアシェルナノ粒子担持触媒体の作製方法において、表1に示したように、錯化剤としてのヒドラジン一水和物はサンプル1〜6の場合と同様に変化させ、さらに、表1の配合2として示したように、塩化コバルト六水和物を0.68g(2.8mmol)、塩化白金塩水溶液を2.8g(Ptが1.4mmol)および水酸化ナトリウム0.72g(18mmol)として調製することで、触媒体を作製した。これにより得られたPt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体をそれぞれサンプル7〜12とした。
得られたサンプル7〜12について、上記と同様にTEMによる観察を行ったところ、コバルトおよび白金の濃度が高くなったために、カーボンブラックの単位面積あたりに担持されるPt/Coコアシェルナノ粒子の数が大幅に増えたことが確認できた。
そこで、担体としてのカーボンブラックの添加量を0.84gに増量させると、得られるPt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体はそれぞれサンプル1〜6とほぼ同様であって、粒径等の特性に特に差異は見られなかった。すなわち、サンプル7については、カーボンブラック上にPt/Coコアシェルナノ粒子の形成は確認できなかった。サンプル8〜10については、カーボンブラックの表面に、中心部分によりコントラストの薄いコア部分が形成され、そのコア部分の表面によりコントラストが濃い部分として確認されるシェル部分が覆っている粒状物が形成されているのが観察でき、Pt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体が形成されていることが確認できた。このPt/Coコアシェルナノ粒子の粒径は、いずれも15nm以下であることも確認できた。100個のPt/Coコアシェルナノ粒子についてTEM観察により平均粒子径を求めたところ、平均粒子径は8nmであった。また、サンプル11および12については、Pt/Coコアシェル構造ではあるが粗大な粒子が形成されているのが確認された。このPt/Coコアシェルナノ粒子の粒径は、30nmを超過するものも含んでおり、TEM観察による平均粒子径は25nmであった。以上のことから、ヒドラジンによる還元環境が整えられていれば、原料塩濃度が変化してもこの製造プロセスの安定性は極めて高いものであることがわかる。
上記で得られたサンプル8〜12について、電気化学的活性表面積の測定、面積比活性および質量活性の測定を行い、その結果を表3に示した。参考のために、Pt/Niコアシェルナノ粒子担持触媒体および白金ナノ粒子担持触媒体についての値も表3に示した。表3において、「Pt/Niコアシェル触媒体」の欄はPt/Niコアシェルナノ粒子担持触媒体の、「Pt担持触媒体」の欄は白金ナノ粒子担持触媒体の結果を示している。
なお、サンプル7については、これらの評価を行わなかった。
ここに開示される発明のサンプル8〜10は、サンプル2〜4と同様に、Pt担持触媒体に比べて約5倍の面積比活性と、約1.7〜2倍の質量活性を示し、優れた触媒能を有することが確認された。すなわち、反応系においてコバルト化合物の濃度を増加させた配合2(表1参照)の場合であっても、コバルト化合物の濃度が低い配合1(表1参照)の場合とほぼ同等の触媒性能を有するPt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体を得ることができた。このことから、反応系におけるコバルト化合物の濃度よりも、ヒドラジンの初期濃度を適切に整えることで、担体上に高活性のPt/Coコアシェルナノ粒子を形成できることがわかった。
上述の結果が示すように、Pt/Coコアシェル構造のナノ粒子を触媒として用いることによって、純粋な白金を触媒として用いた場合よりも格段に優れた触媒機能が発揮され得る。すなわち、ここに開示されるPt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体によると、低コストで、優れた触媒機能を有する触媒体が提供される。かかるPt/Coコアシェルナノ粒子担持触媒体は、種々の反応が行われる装置において触媒として利用することができる。例えば、高分子電解質型の燃料電池(PEFC)における触媒層を形成する際に好適に用いることができる。この場合、例えば、PEFCの機能を維持したまま製造コストの削減を図ることができる。
10 電解質膜
20 燃料極
30 酸化剤極
40 燃料流通層
50 酸化剤流通層
60 筐体
100 電極接合体(PEFC)

Claims (16)

  1. 担体に触媒微粒子が担持されてなる触媒体であって、
    前記触媒微粒子は、コア部分がコバルトからなり、シェル部分が白金からなるコアシェル構造を有する、コアシェルナノ粒子担持触媒体。
  2. 50個数%以上の前記触媒微粒子は、前記コア部分のコバルトが前記担体と面接触するように形成されている、請求項1に記載のコアシェルナノ粒子担持触媒体。
  3. 前記触媒微粒子の電子顕微鏡観察による平均粒子径が1nm〜15nmである、請求項1または2に記載のコアシェルナノ粒子担持触媒体。
  4. 前記触媒微粒子の70個数%以上の粒径は、2nm〜10nmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコアシェルナノ粒子担持触媒体。
  5. 前記シェル部分の厚みは、0.2nm〜1nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコアシェルナノ粒子担持触媒体。
  6. 前記担体は導電性材料により構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコアシェルナノ粒子担持触媒体。
  7. 前記導電性材料はカーボンブラックである、請求項6に記載のコアシェルナノ粒子担持触媒体。
  8. 前記白金の電気化学的活性表面積あたりの酸素還元電流である面積比活性は、900mA/cm以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコアシェルナノ粒子担持触媒体。
  9. 前記白金の0.9Vにおける単位質量あたりの酸素還元電流である質量活性は、300A/g以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコアシェルナノ粒子担持触媒体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のコアシェルナノ粒子担持触媒体を電極に備える燃料電池。
  11. 担体に、コア部分がコバルトからなり、シェル部分が白金からなるコアシェル構造を有する触媒微粒子が担持されてなる触媒体を製造する方法であって、
    以下の工程:
    コバルトを含む化合物が存在する反応液中に前記担体を浸漬し、前記コバルトを含む化合物を還元することにより、前記担体の表面に前記コア部分としてのコバルト粒子を生成させる工程;
    前記反応液中に白金を含む化合物を供給し、前記白金を含む化合物を還元することにより、前記コバルト微粒子の表面に前記シェル部分としての白金を析出させて前記コアシェル構造を有する触媒微粒子を形成する工程;および
    前記触媒微粒子が担持されている前記担体を前記反応液から回収する工程;
    を包含し、
    前記コバルトを含む化合物の還元には、還元剤としてヒドラジンまたはその派生物を用い、
    前記反応液における前記ヒドラジンまたはその派生物の初期濃度を1〜3mol/Lとすることを特徴とする、製造方法。
  12. 前記コバルト微粒子を生成させる工程において、前記反応液中の前記ヒドラジンまたはその派生物に対するコバルトのモル濃度を0.05〜0.5倍とする、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記コバルト粒子を生成させる工程を20℃〜80℃の温度範囲で行う、請求項11または12に記載の製造方法。
  14. 前記の全ての工程を20℃〜80℃の温度範囲で行う、請求項13に記載の製造方法。
  15. 前記担体として導電性材料を使用する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
  16. 前記導電性材料としてカーボンブラックを使用する、請求項15に記載の製造方法。
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