JP6196579B2 - 白金中空ナノ粒子および該粒子担持触媒体ならびに該触媒体の製造方法 - Google Patents

白金中空ナノ粒子および該粒子担持触媒体ならびに該触媒体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、白金中空ナノ粒子と、該粒子を担体に担持させた白金中空ナノ粒子担持触媒体およびその製造方法に関する。また、この白金中空ナノ粒子担持触媒体を電極触媒として用いた燃料電池に関する。
触媒作用を奏する白金を、適当な担体(例えばカーボン粉末等)の表面に担持させてなる触媒体は、排ガスの浄化目的や燃料電池の電極等として幅広く利用されている。例えば、実用化が進行する高分子電解質型の燃料電池(PEFC:固体高分子形燃料電池とも呼ばれる。)の電極触媒として、カーボン担体に触媒作用を奏する白金粒子が担持された白金担持触媒体が使用されている。
このような白金担持触媒体の開発に求められるものの一つに、製造コストを下げることが挙げられる。即ち、高コストの要因となる白金の使用量(担持量)を、触媒性能を低下させることなく削減することである。かかる目的を実現するための一つの方策として考えられるのは、白金を微粒子化すること、すなわち平均粒子径をnmオーダー(典型的には電子顕微鏡観察に基づく平均粒子径が1nm〜100nm程度)にまで小さくする、所謂ナノ粒子化することである。ナノ粒子化により貴金属粒子における露出表面積が大きくなり、単位質量当たりの白金の使用量を減らすことができる。また、触媒活性を発揮し得ない粒子の内部を高価な白金以外の金属(即ち卑金属に属するいずれかの金属)で構成する、いわゆるコアシェル構造の白金粒子とすること等も提案されている。
特開2007−207679号公報 国際公開第2011/108162号公報
J. X. Wang et. al., 218th, Electrochemical Society Meeting, (2010) 642.
さらに、上記のコアシェル構造の白金粒子におけるコア部を除去した、中空構造の白金粒子とすること等も提案されている(例えば、特許文献1および非特許文献1等参照)。
例えば、特許文献1の0028段落には、基体に白金薄膜を被覆した白金被覆粒子を酸あるいはアルカリ溶液に浸漬することで、白金薄膜におけるピンホール等の欠陥部を介して内部の基体を溶出させ、中空白金触媒粒子とすることが開示されている。また非特許文献1には、同様にして形成される中空白金触媒粒子の触媒活性について開示されている。
しかしながら、これらの中空構造の白金触媒粒子については、その特徴的な形態に基づき、更に触媒性能を高めることが期待されてもいる。
本発明は、かかる従来の状況を鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、質量あたりの触媒活性がより高められた中空構造を有する白金中空ナノ粒子を提供すること、また、かかる白金中空ナノ微粒子を担持した優れた触媒体を提供することである。また本発明の他の目的は、かかる構成の触媒体を好適に製造する製造方法を提供すること、かかる構成の触媒体を使用して構築した燃料電池(典型的にはPEFC)を提供することである。
本発明者らは、高活性の触媒体を得るべく鋭意研究を重ねた結果、コアシェル構造の白金ナノ粒子から白金中空ナノ粒子を作製するに際し、コア部の形態を適切に制御することが白金中空ナノ粒子の触媒活性の向上に有効に寄与し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、ここに開示される発明が提供する白金中空ナノ粒子は、平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含み、白金成分により構成されている外殻部と、上記外殻部の内部に備えられる中空部と、を有している。そして、上記中空部は上記外殻部の外部に連通するとともに、上記外殻部には、画像解析法により算出される最大開口径が0.5nm以上である開口が少なくとも一つ備えられていることを特徴としている。
かかる白金中空ナノ粒子は、中空構造であることから本質的に白金量が低減されており、特にコスト面において実用性に優れたものとなる。そして、外殻部に形成される開口の最大開口径が0.5nm以上と、比較的大きな開口を有している。このような大きな開口は、中空ナノ粒子の中空部と外部との間の物質移動を容易にすることができる。また、白金中空ナノ粒子の内表面を反応場として利用できるとともに、かかる反応を促進させることができる。これにより、少ない白金量でより高い触媒性能を発揮し得る白金中空ナノ粒子が提供される。
なお、特許文献1には、白金被覆粒子における被覆の欠陥部と通じて気体を溶解除去することが開示されている。しかしながら、かかる欠陥は微細であって、最大開口径が0.5nm以上のものとして得られ難い。従って、ここに開示される白金中空ナノ粒子と特許文献1の中空白金触媒粒子とは、その構造により区別することができる。
なお、本明細書において「白金中空ナノ粒子」の表現は、特に限定しない限り、一つの粒子または複数の粒子(集合物であり得る。)のいずれをも包含する意味であり、必ずしも単一の粒子のみを意味するものではない。
また、「ナノ粒子」とは、上記のとおり平均粒子径がおよそ100nm以下の粒状物一般を意味し、その形態等には厳密には制限されない。さらに、「平均粒子径」とは、特にことわりの無い限り、画像解析法による平均粒子径を意味し、電子顕微鏡等の観察手段により観察される100個以上の粒子について計測された円相当径を平均した値(算術平均値)である。同様に、「最大開口径」も画像解析法に基づく値であって、電子顕微鏡等の観察手段により観察される一の粒子について計測された、上記開口の最長径である。
ここに開示される白金中空ナノ粒子の好ましい一態様において、画像解析法により算出される平均開口率は5%以上20%以下であることを特徴としている。
かかる構成により、より触媒活性が高い白金中空ナノ粒子が提供される。
ここに開示される白金中空ナノ粒子の好ましい一態様において、平均粒子径は1nm以上50nm以下であることを特徴としている。
かかる平均粒子径を有する白金中空ナノ粒子は、質量活性等の触媒性能がより一層高められる。
ここに開示される白金中空ナノ粒子の好ましい一態様において、上記外殻部の厚みは、0.23nm以上5nm以下であることを特徴としている。
かかる構成により、より少ない白金量で広い反応面積を実現するとともに、中空構造を保ち得る強度と耐久性を備える白金中空ナノ粒子が提供される。
ここに開示される白金中空ナノ粒子の好ましい一態様において、該中空ナノ粒子は、外表面に加え、上記中空部の内表面が触媒として機能することを特徴としている。例えば、上記白金中空ナノ粒子の電気化学的活性表面積に占める、上記白金中空ナノ粒子の上記内表面の電気化学的活性表面積の割合として定義される内表面利用率が、20%以上であり得る。このように、ここに開示される白金中空ナノ粒子は、より触媒性能に優れた触媒体であり得る。
かかる側面から、本発明は、上記のいずれかの白金中空ナノ粒子が、導電性材料からなる担体に担持されている、白金中空ナノ粒子担持触媒体をも提供する。かかる白金中空ナノ粒子担持触媒体は、白金中空ナノ粒子をより実際的に活用しやすい触媒体として提供されるものである。
ここに開示される白金中空ナノ粒子担持触媒体の好ましい一態様において、上記導電性材料はカーボンブラックであることを特徴としている。カーボンブラックは、極めて良好な導電性を有するとともに、耐久性にも優れている。また、カーボンブラックは、そのストラクチャー(炭素質粒子のつながり)および表面形態等から、担持している触媒粒子を物理的および化学的に強固に結合し得る。したがって、かかる構成によると、導電性および耐久性を有する白金中空ナノ粒子担持触媒体を実現することができ、例えばPEFC等の、燃料電池用触媒として好適な触媒が提供される。
他の側面において、本発明は、白金成分により構成されている外殻部と、上記外殻部の内部に備えられる中空部と、を有する白金中空ナノ粒子が担体に担持されてなる白金中空ナノ粒子担持触媒体の製造方法を提供する。かかる製造方法は、白金より卑な卑金属を含む化合物が存在する反応液中に上記担体を浸漬し、上記卑金属を含む化合物を還元することにより、上記担体の表面に上記卑金属からなるテンプレート粒子を生成させること;上記反応液中に白金を含む化合物を供給し、上記白金を含む化合物を還元することにより、上記テンプレート粒子の表面の一部に上記外殻部としての白金を析出させて白金中空ナノ粒子前駆体を形成すること;上記白金中空ナノ粒子前駆体が担持されている上記担体を上記反応液から回収すること;および上記白金中空ナノ粒子前駆体から上記テンプレート粒子を除去し、上記白金中空ナノ粒子を得ること、を包含することを特徴としている。
かかる製造方法は、上記特許文献1や非特許文献1に記載される方法とは異なり、中空白金ナノ粒子の外殻部により大きな開口を形成することができるものである。これにより、中空部の表面(内表面)を反応場として有効に利用できる白金中空ナノ粒子を担持する触媒体を製造することが可能とされる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様において、上記卑金属を含む化合物の還元には、還元剤としてヒドラジンまたはその派生物を用いることを特徴としている。かかる構成によると、テンプレート粒子を被覆する白金からなる外殻部に、比較的大きな欠陥を導入することができ、触媒体における中空ナノ粒子に比較的大きな開口を簡便に形成することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様において、上記テンプレート粒子の除去は、テンプレート粒子に酸処理を施すことで実施することを特徴としている。また、上記卑金属はニッケルであるのが好ましい。これにより、簡便にテンプレート粒子を除去することができ、上記の触媒体を好適に製造することができる。
また、ここに開示される発明は、白金成分により構成されている外殻部と、上記外殻部の内部に備えられる中空部と、を有する白金中空ナノ粒子が担体に担持されてなる触媒体を電極に備えたPEFCの製造方法をも提供する。かかるPEFCの製造方法は、白金より卑な卑金属を含む化合物が存在する反応液中に上記担体を浸漬し、上記卑金属を含む化合物を還元することにより、上記担体の表面に上記卑金属からなるテンプレート粒子を生成させること;上記反応液中に白金を含む化合物を供給し、上記白金を含む化合物を還元することにより、上記テンプレート粒子の表面の一部に上記外殻部としての白金を析出させて白金中空ナノ粒子前駆体を形成すること;上記白金中空ナノ粒子前駆体を上記PEFCの固体電解質の表面に配設すること、および、上記固体電解質表面に配設された上記白金中空ナノ粒子前駆体から上記テンプレート粒子を除去すること、を包含することを特徴としている。かかる構成によると、上記の白金中空ナノ粒子を含む触媒体をPEFCの使用に併せて製造することができる。これにより、触媒体における白金表面の汚染を低減することができ、PEFCの使用時に高活性な触媒体を提供することができる。
実施例で作製した(a)前駆体および(b)白金中空ナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)像である。 実施例で作製した(a)前駆体および(b)白金中空ナノ粒子のエネルギー分散型X線分光(EDX)分析の結果を例示した図である。 実施例で作製した白金中空ナノ粒子の高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡(STEM−HAADF)像である。 図3のSTEM−HAADF像の画像処理例を示した図である。 図4を二値化処理した結果を例示した図である。 一実施形態に係るSOFCの電極接合体の断面構成を例示した図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識に基づいて実施することができる。
[触媒体]
ここに開示される白金中空ナノ粒子担持触媒体は、導電性材料からなる担体に、白金中空ナノ粒子が担持されてなる触媒体である。
かかる担体としては、導電性を有する材料であれば材質や形状等に特に制限はなく、目的の用途に応じて各種のものを用いることができる。例えば、後述する製造工程における液相還元工程において、反応液により意図しない変質および劣化が生じない各種の材料を用いることができる。また、担体の形状についても、白金中空ナノ粒子を少なくとも一つ担持できる寸法があればよく、板状、球状、針状、ロッド状、布状等の各種の形態であってよい。好ましくは、例えば、担体が球状粒子である場合は、担持する白金中空ナノ粒子の3倍以上程度の直径を有していると、この白金中空ナノ粒子を安定して担持できるためにより好ましい。
かかる導電性材料としては、電極体を使用する環境下において導電性を有するものであれば、その組成や形状等に特に制限はなく各種の材料を用いることができる。例えば、導電性材料としては、各種の導電性カーボンや、ZnO,SnO,TiO等やペロブスカイト系酸化物等に代表される導電性セラミックス、オリゴチオフェン,ポリピロール,ポリアニリン等に代表される導電性ポリマー等が好ましい例として例示される。
また、例えば、担体としては、所望の強度および耐久性を備えていること、白金中空ナノ粒子を担持し得る比表面積が大きいこと等は、望ましい要件である。かかる観点から、担体として、例えば、黒鉛材料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー等の、微細構造が略規則的に発達している導電性炭素材料を用いることが好ましい例として示される。なかでも、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等に代表されるカーボンブラックは、高強度で、優れた導電性を示し、そのストラクチャー(炭素質粒子のつながり)および表面形態等から担持している白金中空ナノ粒子を物理的および化学的に強固に結合し得るためにより好ましい。
なお、例えばカーボンブラックなどの粒子状の担体を用いる場合には、この担体の平均粒子径は、例えば、10nm〜100nmとすることができ、好ましくは20nm〜70nm、例えば30nm〜50nm程度とすることができる。なお、カーボンブラックからなる粒子状担体の「平均粒子径」については、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置により測定した体積基準の粒度分布における、積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;D50)を意味するものとする。
[白金中空ナノ粒子]
そして、ここに開示される発明において特徴的な白金中空ナノ粒子は、本質的に、白金成分により構成されている外殻部と、この外殻部の内部に備えられる中空部とからなる中空構造を有している。そして、かかる中空部は外殻部の外部に連通しているとともに、この外殻部には最大開口径が0.5nm以上である開口が少なくとも一つ備えられている。
ここで、本明細書における「白金」成分とは、白金(Pt)を主体とする成分であって、典型的にはPt単体であり得るが、Pt以外の不純物やPt主体の合金を微量含むものであっても、全体として白金が主体である限り、ここでいう「白金」成分に包含され得る。例えば、70質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは実質的に100質量%が、白金からなる構成であり得る。
この白金中空ナノ粒子は、概略として、内部に中空部を有する球形状を基本的な外形とする外殻部により構成されている。そして、かかる球形状体には、中空部から外部に連通する貫通孔が形成されており、かかる貫通孔により外殻部の表面には開口が設けられる。なお、外殻部の基本的な外形でもある「球形状」とは、全体として概ね球体(ボール)と見なせる形態であることを示し、幾何学的球状、ラグビーボール状、多角体状、白血球状(円盤球状)などを含み得る。すなわち、概念的な球形状体をも含むことができる。また、かかる球形状の外殻部に占める開口の割合は特に制限されない。したがって、この外殻部の形状は、略球形状の基本的な外形に対する開口の大きさによって形状が変化し得る。例えば、球形状の基本的な外形に占める開口の割合が大きい場合は球形から大きく乖離した形状であり得るし、開口の割合が小さい場合は球形に近い形状であり得る。
そして、この白金中空ナノ粒子は、電子顕微鏡観察により計測される単一の白金中空ナノ粒子の円相当径の平均として定義される平均粒子径が、100nm以下の大きさにあるナノ粒子である。白金中空ナノ粒子の平均粒子径が小さいと単位質量あたりの表面積を拡大することができるために好ましい反面、粒子の微細化を過度に進めると触媒活性の低下がみられ、触媒体としての性能維持の観点からは好ましくない。また小さすぎる白金中空ナノ粒子は耐久性に問題が生じることが予想される。ここに開示される白金中空ナノ粒子の平均粒子径は、より好ましくは、1〜50nmの範囲にあり、さらに好ましくは、1〜30nmの範囲にあり、代表的には1〜20nm、例えば1〜15nm、より好ましくは、1〜10nmの範囲である。かかる平均粒子径を有する白金中空ナノ粒子は、質量活性が高くなり得る。
また、この白金中空ナノ粒子の粒度分布については、バラつきが小さい、いわゆる単分散に近い粒度分布を呈していることも特徴的である。例えば、電子顕微鏡観察により計測される単一の白金中空ナノ粒子の粒径(円相当径)について、70個数%以上のものの粒径が1〜15nmの範囲に含まれ得る。より限定的には、80個数%以上、さらには95個数%以上のものの粒径が1〜15nmの範囲に含まれる。さらには、70個数%以上、より限定的には80個数%以上のものの粒径が2〜10nmの範囲に含まれたものであり得る。かかる形態の白金中空ナノ粒子を備えることで、より高活性の触媒体が実現されることになる。
以上の白金中空ナノ粒子は、外殻部の内部に中空部が備えられている。かかる中空構造において、外殻部の厚みは特に限定されない。しかしながら、外殻部の全体が1原子層程度の厚みで構成されていると、当該中空構造を保てないか、触媒等としての使用における耐久性を確保できないおそれがあるために好ましくない。したがって、外殻部の厚みは、概ねPt(+3)の2原子層(典型的には、0.23nm)程度以上であるのが好ましい。また、外殻部の厚みは、厚すぎると白金の単位質量あたりで反応に寄与する表面が少なくなるために好ましくない。このため、外殻部の厚みは、5nm以下程度であるのが好ましい。外殻部の厚みは、例えば、0.23nm〜3nm程度とすることができ、好ましくは0.5nm〜3nm程度であり、代表的には1nm〜2nmである。かかる厚みは概ね均一であることが好ましいが、必ずしも原子層レベルで均一である必要はない。かかるシェル部分の厚みは、後述の白金中空ナノ粒子担持触媒体の製造方法において、反応系に加えるPt量等により調整することができる。
また、白金中空ナノ粒子に設けられる開口の大きさも特に制限されないが、最大開口径が0.5nm以上である開口が少なくとも一つ備えられていることが肝要である。かかる大きさの開口が設けられていることで、白金中空ナノ粒子の中空部と外部との間で物質の移動がスムーズに行われ、白金中空ナノ粒子の内表面を触媒反応表面として有効に利用することができる。換言すると、0.5nm未満の開口は反応物質(例えば、Oガス、Hガス)の移動に利用し難く、白金中空ナノ粒子の内表面を触媒反応表面として有効に利用することができない。かかる最大開口径は、0.8nm以上であるのが好ましく、さらには1nm以上、例えば1.2nm以上であるのがより好ましい。なお、最大開口径の上限については特に制限はなく、白金中空ナノ粒子の大きさ等に応じて適宜設定されてよい。しかしながら、大きすぎる開口は、白金中空ナノ粒子の強度を低下させるために好ましくない。したがって、最大開口径は、例えば、当該白金中空ナノ粒子の平均粒子径の50%以下程度であるのが好ましい。
なお、白金中空ナノ粒子の開口の形態については、下記に定義される平均開口率によって、より実際的に好ましい態様を示すことができる。すなわち、平均開口率が、5%以上20%以下となる態様である。ここで、平均開口率とは、白金中空ナノ粒子を任意の一の方向から観察したときに、該白金中空ナノ粒子を貫通するような形態で形成されている開口の、該白金中空ナノ粒子の投影に占める割合である。かかる平均開口率は、8%以上であるのが好ましく、さらには、10%以上であるのがより好ましい。また、かかる平均開口率は、18%以下であるのが好ましく、さらには、15%以下であるのがより好ましい。
なお、本明細書における「開口率」とは、透過型電子顕微鏡等における一つの白金中空ナノ粒子の観察像(二次元透過画像)において、白金中空ナノ粒子の外形(輪郭)で囲まれた面積に占める、当該外形で囲まれた白金中空ナノ粒子の中央部を貫通する開口の面積として規定することができる。そして「平均開口率」とは、100個以上の白金中空ナノ粒子について求めた上記の開口率の平均値(算術平均値)である。これらの画像における白金中空ナノ粒子および開口の面積は、例えば、市販の画像解析ソフト等を用いた画像解析により算出することができる。後述の平均開口率の算出方法からもわかるように、この平均開口率には、観察方向によっては当該白金中空ナノ粒子の輪郭に囲まれない(すなわち、該開口自体が輪郭を形成する)位置に形成された開口は考慮されない。したがって、かかる平均開口率は、実際に白金中空ナノ粒子に設けられた開口の面積割合よりも低めに算出される。この点からも、上記の平均開口率を満たす白金中空ナノ粒子はその内表面を触媒反応表面として有効に利用できるものであることが示される。以下、この平均開口率の算出方法について説明する。
白金中空ナノ粒子の平均開口率は、例えば、以下の1〜6の工程により好適に算出することができる。
1.白金中空ナノ粒子の電子顕微鏡像の取得
2.該粒子の貫通開口部(以下、平均開口率に関する事項に関しては、単に「開口部」という場合がある。)と非貫通開口部(以下、平均開口率に関する事項に関しては、単に「非開口部」という場合がある。)との分離
3.開口部の面積の算出
4.非開口部の面積の算出
5.開口率の算出
6.平均開口率の算出
1.白金中空ナノ粒子の電子顕微鏡像の取得
まず、一つの白金中空ナノ粒子について、適切な倍率の透過型電子顕微鏡像を取得する。電子顕微鏡像の種類については、上記の白金中空ナノ粒子の開口部と非開口部とを識別可能な画像であれば特に制限されない。例えば、粒子画像において、白金中空ナノ粒子の外殻部の表側面と裏側面との有無が確認できるように、外殻部を構成する原子の厚み方向での存在情報が得られるような画像であればよい。典型的には、各種の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM),走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope;STM)等を用いて得られる観察像を利用することができる。
観察像の種類についても、白金中空ナノ粒子の開口部と非開口部とを識別可能な限り特に制限されず、例えば、明視野観察による像であっても良いし暗視野観察による像であっても良い。また、TEM観察であれば、例えば、散乱コントラスト,回折コントラスト,位相(差)コントラスト等のいずれであっても良いし、STEM観察であれば、例えば、明視野(Bright Field;BF)像,環状暗視野(Annular Dark Field:ADF)像や高角散乱環状暗視野環状暗視野(High Angle Annular Dark Field:HADDF)像等のいずれであっても良い。これらは精度よく平均開口率の計測が可能なように適切な倍率で取得する。本明細書においては、よりコントラストの高い像が得られ、開口部と非開口部との識別を精度よく行えることから、STEM−HAADF像を基に平均開口率を求めるようにしている。なお、必要であれば、顕微鏡観察に際し、単一の粒子の観察が容易なように、対象とする白金中空ナノ粒子(白金中空ナノ粒子担持触媒体であり得る)に対して適切な分散処理を行い、観察用試料を用意することができる。かかる粒子画像は、例えば、電子計算機による解析が可能なように、適切な電子データに変換することが好ましい。
2.開口部と非開口部との分離
上記で取得した画像データに基づき、まずは対象とする粒子の外形の輪郭を検出することで、画像を背景と対象粒子部分とに分離する。次いで、かかる粒子の開口部の輪郭を検出することで、開口部と非開口部とを分離する。ここで、開口部(貫通開口部)は、当該画像において、白金中空ナノ粒子の外形(輪郭)で囲まれ、かつ、白金中空ナノ粒子の外殻部の表面側と裏面側とを貫通する開口部(貫通開口部)のみが検出されるようにする。換言すると、当該粒子の輪郭(外形)を形成していない開口部(貫通開口部)のみを抽出する。このような開口部(貫通開口部)は、例えば、観察画像においては、白金中空ナノ粒子のコントラストを適切な閾値によって区分することで、簡便に抽出することができる。なお、最大径(最長径)が0.5nm未満の開口部は、触媒反応の向上に有効に寄与する開口部ではない可能性があること、また、画像データのノイズの可能性があること、等から、ここに開示される白金中空ナノ粒子の平均開口率の計算には含めないようにする。また、ここで、開口部に白金(Pt)が存在しないことを確認するために、TEM−EDXマッピングや、ライン分析を行うことが好ましい。
これらの作業は手動で行っても良いし、例えば画像解析ソフト等における自動輪郭検出機能等を利用して行っても良い。好適には、市販の画像解析ソフトに採用されている二値化機能等の処理機能を利用することができる。
3.開口部面積の算出
次いで、上記の粒子画像において、開口部の全面積を算出する。一つの粒子について開口部が複数ある場合には、かかる複数の開口部の合計を算出する。かかる算出は、例えば、画像解析処理ソフトの自動計測ツール等を利用して行うことができる。
4.非開口部面積の算出
次いで、上記の粒子画像において、非開口部の全面積を算出する。かかる算出は、例えば、画像解析処理ソフトの自動計測ツール等を利用して行うことができる。
5.開口率の算出
これらの値から、一つの白金中空ナノ粒子についての開口率Rを次式に基づき算出することができる。
(%)=100×(開口部の面積)/(開口部の面積+非開口部の面積)
6.平均開口率の算出
また、上記に従い、100個以上の白金中空ナノ粒子について求めた開口率Rを平均することで、平均開口率Rを算出することができる。
以上の構成の白金中空ナノ粒子担持触媒体は、白金中空ナノ粒子の外表面と内表面とが触媒として作用する。したがって、例えば、外表面のみが触媒反応に寄与する一般的な白金粒子と比較して、少ない白金使用量で所望の触媒機能を実現することができ、コスト面において実用性に優れている。また、白金中空ナノ粒子の外殻部に設けられた開口が比較的大きいため、例えば、ピンホールや格子欠陥等のような小さな開口のみを備える白金中空粒子と比較して、その内表面を格段に効率よく触媒反応に利用することができる。そのため、かかる白金中空ナノ粒子担持触媒体は、例えば、従来よりPEFCの標準触媒として用いられてきた白金ナノ粒子担持高比表面積カーボン粉末よりも、質量活性および面積比活性共に非常に優れた触媒体となり得る。
ここで、面積比活性を、白金中空ナノ粒子の電気化学的活性表面積(ECA)あたりの、0.9V(vs.RHE)における酸素還元電流と定義すると、かかる触媒性能としては、例えば、具体的には、この面積比活性が、500μA/cm 以上、例えば900μA/cm 以上、好ましくは1000μA/cm 以上のものとすることができる。
また、質量活性を、白金中空ナノ粒子の単位質量あたりの、0.9V(vs.RHE)における酸素還元電流と定義すると、かかる触媒性能としては、例えば、この質量活性が250mA/mg以上、例えば300mA/mg以上、好ましくは500mA/mg以上のものとすることができる。
そして、例えば、白金中空ナノ粒子の外表面に基づく触媒性能を基準(100)としたときの、白金中空ナノ粒子の内表面により発揮される触媒性能の割合を、ECAを指標とした内表面利用率として評価する。すると、白金中空ナノ粒子は、この内表面利用率が、20%以上、例えば30%以上、好ましくは40%以上のものとして実現することができる。この内表面利用率は、白金中空ナノ粒子の内表面が触媒として有効に利用されていることを示すものであり、白金ナノ粒子を中空構造の白金中空ナノ粒子へと変換することにより実質的に向上されるECA値を大略的に把握するための指標ともなり得る。かかる内表面利用率は、より具体的には、例えば後述の実施例に示す内表面利用率(%)の算出式;式(3)に基づき、白金中空ナノ粒子のECAおよびこれを製造する際に得られるPt部分被覆Ni粒子担持カーボン粒子のECAを利用して求めることができる。
ここに開示される白金中空ナノ粒子担持触媒体は、例えば、以下に示す製造方法により好適に製造することができる。以下に、ここに開示される触媒体の製造方法の好ましい一形態を示しながら説明する。すなわち、ここで開示される白金中空ナノ粒子担持触媒体の製造方法は、白金成分により構成されている外殻部と、この外殻部の内部に備えられる中空部と、を有する白金中空ナノ粒子が担体に担持されてなる触媒体を作製する方法であって、以下の工程を含むようにしている。
(1)白金より卑な卑金属を含む化合物が存在する反応液中に担体を浸漬し、卑金属を含む化合物を還元することにより、担体の表面に卑金属からなるテンプレート粒子を生成させること。
(2)反応液中に白金を含む化合物を供給し、白金を含む化合物を還元することにより、テンプレート粒子の表面の一部に外殻部としての白金を析出させて白金中空ナノ粒子前駆体を形成すること;
(3)白金中空ナノ粒子前駆体が担持されている担体を反応液から回収すること。
(4)白金中空ナノ粒子前駆体からテンプレート粒子を除去し、白金中空ナノ粒子を得ること。
すなわち、かかる製造方法は、先ず、担体上にコア部分が卑金属からなりシェル部分が白金から構成されるコアシェル構造の白金中空ナノ粒子前駆体を作製し、その後、かかる前駆体のコア部分のみを溶解させることで、中空構造の白金中空ナノ粒子を形成するものである。ここで、上記の前駆体において、コア部分たる卑金属テンプレート粒子を覆うシェル部分の白金は、少なくともテンプレート粒子の一部が露出するように、テンプレート粒子を部分的に覆うように形成するものである。かかる構成により、最大開口径が0.5nm以上の比較的大きな開口を有する外殻部が形成されて、上記の白金中空ナノ粒子担持触媒体が作製される。また、反応系をより適切に制御することで、触媒体に担持させる白金中空ナノ粒子の粒子径を均一なものとしたり、分散剤や界面活性剤等の存在を必要とせずに析出させたりすることが可能となる。
まず、この製造方法で好適に使用できる材料について説明する。なお、以下の説明は、本発明を限定することを意図したものではない。
まず、白金中空ナノ粒子前駆体の原料である卑金属を含む化合物および白金を含む化合物は、還元処理を行うことによってそれぞれ卑金属および白金を生成(析出)できるものであれば各種の材料であってよい。
先ず、ここに開示される発明において、卑金属とは、白金より卑な金属であって、白金よりもイオン化傾向の大きい金属を意味する。より好ましくは、水素よりもイオン化傾向の大きい金属であり得る。換言すると、本発明における卑金属は、水素よりも還元電位が低い金属であり得る。このような卑金属としては、例えば、代表的には、鉛(Pb),スズ(Sn),ニッケル(Ni),コバルト(Co),鉄(Fe),カドミウム(Cd),クロム(Cr),亜鉛(Zn),タンタル(Ta),マンガン(Mn),ジルコニウム(Zr),チタン(Ti),セリウム(Ce),アルミニウム(Al),ベリリウム(Be),トリウム(Th),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr),バリウム(Ba)や、これらの合金等が例示される。より好ましくは、ニッケル、コバルト、鉄、スズ等であり得る。
卑金属を含む化合物としては、卑金属の各種の塩を好ましく用いることができる。かかる卑金属塩としては、例えば、塩化物、水酸化物、ホウ化物、臭化物、ヨウ化物、硫化物や;炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、しゅう酸塩、過塩素酸塩などを用いることができる。より具体的には、例えば、卑金属がニッケルである場合、塩化ニッケル六水和物(NiCl・6HO)、硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO)、2−エチルヘキサン酸ニッケル(Ni[OOCCH(C)C)、硫酸ニッケル七水和物(NiSO・7HO)、過塩素酸ニッケル六水和物(Ni(ClO・6HO)、酢酸ニッケル四水和物(Ni(CHCOO)・4HO)などが挙げられる。
白金を含む化合物としては、各種の白金の塩または錯体を好ましく用いることができる。白金の塩としては、例えば、白金の塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物や、水酸化物、硫化物、硫酸塩、硝酸塩、さらには、カリウム複合酸化物、アンモニウム複合酸化物、ナトリウム複合酸化物などの複合酸化物などを用いることができる。また、白金の錯体としては、白金のアンミン錯体、シアノ錯体、ハロゲノ錯体、ヒドロキシ錯体などを用いることができる。具体的には、一例として、例えば、塩化白金六水和物(H(PtCl)・6HO)、白金(IV)塩化物、白金(II)臭化物、白金(IV)ヨウ化物、白金(IV)硫化物、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム六水和物、白金(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナト錯体、白金(II)アセチルアセトナト錯体等が例示される。
以上の化合物の還元には各種の還元剤を用いることができるが、ここに開示する発明においては、卑金属及び白金を含む化合物の還元に際しては比較的強い還元力を有する還元剤を用いるのが好ましい。これは、テンプレート粒子の大きさを無秩序なものではなく、比較的均一に整えることができるからである。また、本出願の発明者らの知見によると、比較的還元力の強い還元剤を用いることで、テンプレート粒子の表面に白金を部分的に(例えば、開口が形成されるように)析出させることができるためである。かかる還元剤としては、必ずしもこれに限定されるものではないが、例えば、ヒドラジンおよびその派生物を用いるのが好ましい例として挙げられる。ヒドラジンおよびその派生物は、強い還元力を有する。そして、この金属イオンが還元剤によって、テンプレート粒子上に還元析出する際に、ある種の濃度勾配が発生し、テンプレート粒子の表面への部分的な堆積を実現するものと考えられる。
かかるヒドラジンおよびその派生物としては、ヒドラジン(HNNH)に加えて、一抱水ヒドラジン(ヒドラジン一水和物、HNNH・HO)、硫酸ヒドラジン(N・HSO)、モノ塩酸ヒドラジン(N・HCl)等の派生物が挙げられる。その他にも、ヒドラジンと同じ分子構造の骨格を持ち、ヒドラジンと同等の還元作用を有する派生物(誘導体を含む)を用いても良い。以下、本明細書において、特にことわりのない限りヒドラジンおよびその派生物を単に「ヒドラジン」と表現する。
一方、担体として用いる材料については、上述の白金中空ナノ粒子担持触媒体で説明したのと同様に、所望の用途に応じて各種の組成、材質、形態のものを用いることができる。好ましくは、担体は、導電性材料からなり、より好ましくはカーボンブラックである。
次に、上述した各材料の反応を生じさせる場である反応液について説明する。
ここで開示される製造方法は、例えば、ひとつの反応液内においてすべての反応を完了させることができる。すなわち、白金中空ナノ粒子前駆体の製造は上記のとおりテンプレート粒子の生成に次いで、外殻部の生成を段階的に行う構成であるが、テンプレート粒子の生成と外殻部の生成は同じ反応液内で引き続き行うことができる。かかる反応液は、上述した各材料を溶媒に溶かした溶液でもよいし、各材料を分散媒に分散させた分散液でもよく、またこの反応液はゲル状またはゾル状の状態であってもよい。もちろん、反応に応じて反応液の状態が変化してもよい。反応液を構成する溶媒(分散媒)は、水系溶媒(水系分散媒)でもよいし、有機系溶媒(有機系分散媒)でもよい。水系溶媒(水系分散媒)で反応液を構成する場合、溶媒には水(純水、イオン交換水、精製水等)や水を含んだ混合液(例えば、水とエタノールの混合溶液)を用いることができる。また、有機系溶媒(有機系分散媒)の場合には、メタノールやエタノールなどのアルコール類や;アセトン、メチルケトンのようなケトン類や;酢酸エチルのようなエステル類などの極性の高いものなどを用いることができる。
以下、かかる製造方法における各工程について説明する。
(1)テンプレート粒子を生成させる工程
ここで開示される製造方法では、先ず、テンプレート粒子を構成するための卑金属を含む化合物を溶媒(または分散媒)に混合させることにより、反応液を調製する。この反応液中に担体を浸漬させた状態で、卑金属を含む化合物を還元することにより、担体の表面に卑金属を析出させて、テンプレート粒子としての卑金属粒子を形成する。
反応液を調製する際には、一定の範囲内に温度条件を維持しながら撹拌するとよい。このときの温度条件としては、20℃〜80℃、より好ましくは20℃〜60℃、例えば50℃程度であるとよい。また、撹拌の回転速度は、例えば、回転式撹拌装置の場合は、100rpm〜500rpm、より好ましくは200rpm〜300rpm程度にすることができる。
反応液における卑金属を含む化合物の濃度等は厳密には限定されず、例えば、卑金属と還元剤との割合を考慮して適宜決定することができる。例えば、還元剤してヒドラジン(HNNH)を用いる場合には、ヒドラジンに対する卑金属の割合を、例えば、モル比[ヒドラジン(mol)/卑金属(mol)]として、10〜300程度、より好ましくは50〜250程度、例えば100〜200程度を目安に調整することができる。なお、溶媒が水その他の水系溶媒(例えば水、水とエタノールの混合溶媒等)である場合等は、卑金属と還元剤とのモル比が上記範囲となるよう調整することで、安定的に上記の卑金属微粒子の粒径や卑金属粒子の生成数を調整することができる。
卑金属の還元に際しては、上記の反応液中にヒドラジンを溶解させておき、反応系に担体を浸漬させた後に、ヒドラジンが還元作用を示すアルカリ性にまで反応液のpHを調整して還元反応を進行させるようにするのがより好ましい。
なお、ヒドラジンの初期濃度についても特に制限されず、例えば、上記のとおりのモル比で卑金属を十分に還元し得るようにするのが好ましい。一例としては、おおよそ1〜3mol/L程度の濃度のヒドラジンを用いることが例示される。卑金属の還元は、ヒドラジンの濃度が1mol/Lよりも低いと十分に進行せず、卑金属がイオンのまま反応液中に残存するか、水酸化物等の形態で析出する可能性が生じる。したがって、担体上にテンプレート粒子を好適に形成させることができなくなるため好ましくない。1mol/L以上という濃度は、通常の液相還元法において還元剤の濃度を例えば10mmol/L程度以下とするのと比較して非常に高い値であるといえる。また、ヒドラジンの濃度が3mol/Lよりも高いと、テンプレート粒子が粗大化してしまい、得られる白金中空ナノ粒子の触媒活性能が劣る可能性が生じるので注意を要する。
担体については、少なくともその一部を反応液に浸漬すればよいが、好ましくは全部を浸漬することである。なお、一例として、導電性担体として導電性カーボンを用いる場合、反応液100質量部に対して、かかる導電性カーボンを2質量部〜20質量部(より好ましくは5質量部〜10質量部)の割合で含ませることが例示されるが、担体の形態にもよるためこれに限定されるものではない。
ヒドラジンが還元作用を示すpHは上記のとおりアルカリ性(すなわちpH>7)であればよく、例えばpH調整剤を反応液に添加してpH10程度(一例としてpH9〜11の範囲)とするなどして調整することができる。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア水、その他の塩基性物質を用いることができる。
また、還元反応に先立って、反応液をゲル状に調製することも好ましい。かかるゲル状の反応液において、卑金属を含む化合物は、かかる卑金属のイオンを中心イオンとする錯体を安定的に形成し得る。そして、このような状態で還元反応を進めることで、無秩序な核生成を抑制しながら、担体の表面に卑金属の核を形成し、ゲルから供給される卑金属により該卑金属の核の均質な成長を実現している。これにより、担体上に単分散に近い粒径のテンプレート粒子を好適に形成することができる。ここで卑金属は担体上に原子レベルで緻密に析出してテンプレート粒子を構成してゆく。したがって、かかるテンプレート粒子は担体に強固な結びつきによって担持されることになる。
なお、本発明において、このように形成されるテンプレート粒子は、結晶構造を有するもののみならず、特定の結晶構造を持たない、いわゆるアモルファス金属ないしは金属ガラスとすることもできる。例えば、テンプレート粒子をこのようなアモルファス金属または金属ガラスで構成することで、テンプレート粒子に構造異方性が発現するのが抑制される。これにより、次工程でテンプレート粒子の表面に白金が均質な厚みで滑らかに析出することができる。
かかる還元処理においては、上記還元剤の添加後から所定の時間(10分間〜6時間、好ましくは10分間〜4時間、例えば30分程度)、上記の反応条件を維持しておくことができる。なお、長時間に亘って(例えば20時間以上)上記の反応条件を維持し続けると、還元剤が分解されて次工程の白金による被覆が好適に行われなくなるため、好ましくない。
また、この際、反応液の温度は、20℃〜80℃程度、より好ましくは20℃〜60℃程度の温度範囲、例えば50℃程度に維持することができる。さらに、上記反応条件を保持している間に、均質化を行うとより好ましい。かかる均質化の手段としては、例えば、超音波ホモジナイズ、超音波分散機、超音波洗浄機等を用いる撹拌等が挙げられ、中でも超音波ホモジナイズを用いるのが好ましい。この場合、超音波ホモジナイズは、例えば、15kHz〜50kHz程度の周波数で、100W〜500W程度の出力で発生した超音波を反応液に照射することが例示される。かかる均質化は、反応の促進の効果を担うこともあり得る。
(2)白金中空ナノ粒子前駆体を形成する工程
この工程(2)では、担体および還元処理により生成されたテンプレート粒子が存在する反応液に、外殻部を構成するための白金を含む化合物を供給し、還元させることで、テンプレート粒子の表面の一部に白金からなる外殻部を形成する。これにより、白金中空ナノ粒子前駆体が得られる。
白金を含む化合物は、そのままの形態(例えば粉末状等の固体)で、もしくは溶液の状態(液体)で、上記の反応液中に添加することができる。白金を含む化合物の添加量は、目的とする白金中空ナノ粒子の形態(典型的には、平均粒子径や平均開口率等)に応じて異なり得るため、厳密には限定されない。かかる白金の添加量は、例えば、白金からなるシェル部分の厚みが反応液に加えた白金(Pt)と卑金属のモル比や、析出した卑金属の粒子径によって決まることから、卑金属の添加量と併せて適宜配合比を定めることができる。例えば、反応液に添加する白金と卑金属のモル比や卑金属の析出条件等により、テンプレート粒子と担体との接触面積と、外殻部と担体との接触面積との割合等も調整することができる。白金を含有する化合物を反応液に添加する際には、反応液を上述の設定温度で維持しながら、撹拌していることが望ましい。例えば、反応液に添加する白金の量は、上記の卑金属とモル単位で同等か、それ以下とするのが好適である。より好ましくは、白金と卑金属とのモル比が、[白金(mol)/卑金属(mol)]として1以下であるのが好ましい。
白金を含む化合物の還元処理が行われると、反応液中では、テンプレート粒子の表面に選択的に白金が析出を始める。この白金の析出に際しては、テンプレート粒子の表面に白金原子はエピタキシャルに堆積してゆく。しかしながら、かかる堆積はテンプレート粒子の表面を均一に被覆するわけではなく、部分的にまだらに進行してゆくものであり得る。これによりテンプレート粒子の表面に白金からなる外殻部を、緻密ながらも開口を有するものとして形成することができる。かかる開口は、結晶構造の欠陥やピンホール等とは区別できる最大開口径が0.5nm以上のものとして形成され得る。この還元処理は、上記の還元剤が添加されている反応液に白金化合物を添加することによりそのまま実施できる。すなわち、かかる還元処理は、前工程で反応液に添加された還元剤の余剰分を利用することができ、白金を含む化合物を反応液に添加した後に反応系を保持するだけでよい。もちろん、この白金の還元処理の際に新たに還元剤を添加してもよい。これにより、白金中空ナノ粒子前駆体が形成される。
(3)白金中空ナノ粒子前駆体が担持されている担体を回収する工程
その後、生成された白金中空ナノ粒子前駆体が担持されている担体(前駆体担持体)を反応液から回収する。かかる前駆体担持体を回収する方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、担体がカーボンブラックなどの微小な形態である場合には、反応液(溶液又は分散液)を濾過し、濾物を洗浄、乾燥する方法が挙げられる。この場合、濾物は、イオン交換水で洗浄し、加熱を伴わずに、あるいは、担体の耐熱性能に応じて60℃〜120℃程度、例えば100℃未満の加熱を伴って1時間〜8時間程度で、乾燥させるとよい。なお、この前駆体担持体は、このままの形態であっても外殻部を構成する白金に因る触媒作用が発現され、触媒体として利用することができる。
(4)テンプレート粒子を除去する工程
この工程(4)では、上記で得られた前駆体担持体におけるテンプレート粒子を除去する。例えば、前駆体担持体を強酸あるいは強塩基等により処理することで、極短時間で簡便にテンプレート粒子のみを除去することができる。例えば、適切な強酸溶液あるいは強アルカリ溶液に浸漬させることが好ましい。前駆体担持体は、上記のとおり比較的大きな開口を有しているため、内部のテンプレート粒子をより一層容易に除去することができる。これにより、担体に白金中空ナノ粒子が担持された白金中空ナノ粒子担持触媒体を得ることができる。これにより、担体上に、外表面のみならず内表面までをも触媒として機能させ得る白金中空ナノ粒子を形成することができ、コスト増の要因となる白金の使用量を低減した実用性に優れる触媒体を製造することができる。
さらに、ここに開示される触媒体の製造方法は、簡便である上に、スケールアップが容易であり、非常に低コストかつ量産性に優れた方法であり得る。
このようにして得られる白金中空ナノ粒子担持触媒体は、触媒活性に優れていることから、例えば、高分子電解質型燃料電池(PEFC)に好適に用いることができる。
一般的なPEFCを図6に示す。図6は、PEFCの基本構造である電極接合体100を模式的に示した断面図である。この電極接合体(PEFC)100は、シート状の電解質膜10と、当該電解質膜10の一方の面(図6における左側の面)に塗布された燃料極20と、電解質膜10の他方の面(図6における右側の面)に塗布された酸化剤極30とを有している。また、燃料極20の外側の面には燃料流通層40が積層されており、酸化剤極30の外側の面には酸化剤流通層50が積層されている。そして、燃料流通層40および酸化剤流通層50の外側の面にはそれぞれ筐体60が配置されている。かかるPEFC100では、燃料極20側が負極となり、酸化剤極30側が正極となる。ここで開示される白金中空ナノ粒子担持触媒体は、例えば、燃料極20および酸化剤極30の少なくとも一方、例えば酸化剤極30に含まれる触媒として好適に用いることができる。
なお、これらの電極20,30にここに開示される白金中空ナノ粒子担持触媒体を使用する際は、かかるPEFCの製造時に白金中空ナノ粒子前駆体の状態の触媒体を用いるようにしてもよい。そして、テンプレート粒子の除去は、電極20,30を製造した後の任意のタイミングで行うことができる。例えば、製造された電極を酸またはアルカリに浸漬させてテンプレート粒子の除去を行っても良い。あるは、PEFCが完成した後のPEFCの運転時に、電極が酸性環境に晒されるのを利用してテンプレート粒子を除去しても良い。なお、このようにテンプレート粒子が除去された直後の白金中空ナノ粒子の表面(内表面および外表面)は極めて清浄となるため、より高い触媒活性を示すものであり得る。
かかるPEFC100に、上述した白金中空ナノ粒子担持触媒体を用いる場合、白金中空ナノ粒子を担持する担体に導電性カーボン(例えばカーボンブラック)を用いるとよい。かかる金属微粒子担持触媒体を触媒体に用いることによって、良好な触媒活性を維持しつつ、PEFCの製造コストを低減させることができる。また、上述の電極接合体100を複数枚重ね合わせると、セルの集合体であるスタックを構成することができ、実用上もとめられる電圧を発生し得る燃料電池が実現される。
以上の製造方法において、上記の前駆体担持体の用意までの工程は、本発明者らによるコアシェル構造の白金ナノ粒子の製造方法を改変しつつ利用することで実施することができる(特許文献2参照)。ただし、この特許文献2に記載の方法において、白金からなるシェル部分がコア粒子の表面を全て覆ってしまわないようにすることが求められる。この点においても、液相還元法を利用し、2段階の還元処理工程を経ることで、上記の前駆体担持体の形態を制御しながら好適に製造することが可能となる。かかる製造方法によると、テンプレート粒子は析出と同時に担体上に強固に付着し、担持されるため、別途、担体に担持させる工程は必要でない。また、析出したテンプレート粒子が凝集するのを抑制することも必要ではない。また、テンプレート粒子と外殻部としての白金では、段階を明瞭に分けて安定した状態で析出されるため、テンプレート粒子と白金からなる外殻部との界面は明瞭に形成される。したがって、テンプレート粒子を除去した後の白金中空ナノ粒子は、中空部の表面に滑らかで清浄な表面を有するものとして提供され得る。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。続いて、本発明に関する実施例を説明する。なお、以下で説明する実施例は本発明を限定することを意図したものではない。
[Pt部分被覆金属粒子の用意]
(例1)
本実施形態では、コア形成用金属としてニッケルを用いるようにした。すなわち、コア形成用金属化合物として塩化ニッケル六水和物を、白金を含む化合物として塩化白金酸六水和物を用い、Pt部分被覆金属粒子を調製した。なお、還元剤としてはヒドラジン一水和物を用いた。また、pH調整のために、水酸化ナトリウムを用いた。また、かかる金属粒子の担体として、カーボンブラック(キャボット社製、品番:Vulcan XC72)を用いた。
[テンプレート粒子の形成]
まず、ビーカーに0.17g(0.72mmol)の塩化ニッケル六水和物(NiCl・6HO)を秤量し、7mlの精製水を加えて撹拌し、溶解させることで、塩化ニッケル水溶液を調製した。この塩化ニッケル水溶液を、ホットスターラーを用いて温度50℃、撹拌速度200rpmの条件で撹拌しながら、6g(120mmol)のヒドラジン一水和物(N・HO)を添加した。ここに、担体としてのカーボンブラックを0.21g浸漬させた後、水酸化ナトリウム2.5gを添加することで水溶液のpHを10以上に調整して、カーボンブラックの表面にニッケル粒子を析出させた。
[Pt部分被覆]
次に、塩化白金酸六水和物(H[PtCl]・6HO)を用いてPtを10質量%含む塩化白金塩水溶液を調製した。この塩化白金塩水溶液1.40g(Pt:0.72mmol)に水酸化ナトリウム0.36g(9.0mmol)を加えて溶解させた。この水溶液を、上記のニッケル粒子を析出させた水溶液に添加し、50℃に保温しながら、30分間撹拌させることで、ヒドラジンによる塩化白金酸の還元を行い、ニッケル粒子の表面に白金(Pt)を析出させた。
[回収]
上記の白金(Pt)を析出させた水溶液をフィルタで濾過して、60℃で一晩乾燥させることで、Niナノ微粒子の表面にPtが析出したPt部分被覆ニッケル粒子を担持したPt部分被覆Ni粒子担持カーボン粉末(以下、単に、「PtNi/C」のように示す場合がある。)を得た。これを、例1のPt部分被覆Ni粒子担持カーボン粉末(PtNi/C)とする。
(例2)
10質量%Pt含有塩化白金塩水溶液を0.70g(0.36mmol)とし、これに加える水酸化ナトリウムを0.18g(4.5mmol)とした以外は、上記例1と同様にして、例2のPt部分被覆Ni粒子担持カーボン粉末を得た。
(例3)
10質量%Pt含有塩化白金塩水溶液を0.28g(0.14mmol)とし、これに加える水酸化ナトリウムを0.08g(2.0mmol)とした以外は、上記例1と同様にして、例3のPt部分被覆Ni粒子担持カーボン粉末を得た。
(例4)
10質量%Pt含有塩化白金塩水溶液を0.14g(Pt:0.072mmol)とし、これに加える水酸化ナトリウムを0.04g(1.0mmol)とした以外は、上記例1と同様にして、例4のPt部分被覆Ni粒子担持カーボン粉末を得た。
[中空Pt粒子の用意]
上記で用意した例1〜4のPtNi/Cを10mg秤り取り、それぞれ恒温槽内で80℃に保った60mlの0.1M硫酸(HSO)水溶液に投入し、該温度で撹拌しながら1時間の浸漬を行った。これによりコア部分のNi粒子を溶解させて、例1〜4のPt中空粒子担持カーボン粉末(以下、単に、「h−Pt/C」のように示す場合がある。)を得た。
[中空Pt粒子の評価]
(A)Ni,Pt溶解量の評価
上記で得たPtNi/Cを1時間浸漬させた後の硫酸水溶液について、NiおよびPtの濃度を測定することで、NiおよびPtの溶出量を定量した。硫酸水溶液中のNiおよびPtの濃度は、誘導結合プラズマ発光分光(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry;ICP−AES)分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、SPS3500)を用いて測定した。また、硫酸水溶液中のNiおよびPtの濃度測定の結果から各成分の溶出量を算出し、硫酸水溶液に投入したNiおよびPtの各成分量に占める割合を求めた。その結果を、下記の表1に示した。
また、表1には、参考のために、固体高分子形燃料電池において標準触媒として使用されているPEFC用電極触媒(田中貴金属工業株式会社製、TEC10E50E)10mgを、例1〜4と同様に、恒温槽内で80℃に保った60mlの0.1M硫酸(HSO)水溶液に1時間の浸漬したときの、該水溶液中へのNiおよびPt成分の溶出割合についても示した。この標準触媒は、高比表面積カーボンの表面に、50質量%の白金微粒子を担持させたものである。
なお、表1中の「N.D.」は、各元素の溶出濃度が検出限界以下であったことを意味しており、白金溶出量については0.2質量%以下であったことを意味している。
表1から明らかなように、PtNi/Cからは、大部分のNi成分が硫酸水溶液へ溶出することがわかった。一方で、全てのPtNi/Cについて、Pt成分の溶出は確認できなかった。また、例1〜4の比較から、反応溶液内に添加したPt成分量が少なくなるにつれて、Ni成分の溶出量が多くなることがわかった。このことから、カーボン粉末の表面に先に析出したNi粒子の表面をPt成分が被覆しており、一部のNi粒子については表面が全てPt成分により被覆された場合に溶出が防止され、表面の一部にでもPt被覆の無いNi粒子についてはNi成分がほぼ全て溶出したこと、を示唆していると考えられる。
なお、比較の標準触媒においてはPt成分が硫酸水溶液へ溶出していることから、例1〜4の粉末に含まれるPt被覆部分(すなわち外殻部)は一般のPtに比較して酸に対する耐久性が高いことが確認できた。
(B)Pt中空粒子形態の評価
上記の例1〜4で得た(a)PtNi/Cと、(b)h−Pt/Cとについて、TEM観察を行った。また、一部の試料については、エネルギー分散型X線分光器(Energy Dispersive X-ray spectrometry;EDX)を用いた走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope;STEM)観察を行った。観察には、原子分解能分析が可能で、STEM−EDX分析装置(日本電子株式会社製,JEM−ARM200F)を用いた。
例1、2および4で得た(a)PtNi/Cと、(b)h−Pt/Cについて得られたTEM像を図1に示した。また、例1および2で得た(a)PtNi/Cと、(b)h−Pt/Cについて得られたSTEM−EDX分析による暗視野STEM像および成分分析の結果を図2に示した。
例1〜4で得た硫酸に浸漬する前の(a)PtNi/Cにおいては、いずれもカーボン粉末の表面に、約30nm以下の微細な粒子が担持されていることが確認できた。より高倍率のTEM像におけるコントラストから、微細な粒子がコアシェル構造を有していることがわかった。また、EDX分析の結果からは、かかるコアシェル構造のコア部はNiからなり、シェル部がPt成分からなることが確認できた。以上のことから、カーボン粉末に担持されているのは、Ni微粒子の表面にPtが存在するコアシェル構造のナノ粒子であることが確認できた。ただし、例1〜3で得られた(a)PtNi/Cについては、ほぼ全ての粒子の表面に、Pt結晶と思われる格子縞が層状に観察されたものの、例4の(a)PtNi/Cについてはこの縞模様が明瞭に観察されなかった。したがって、例4の(a)PtNi/Cにおいては、Pt層が形成されていない部分があるか、もしくは1原子層程度であることが予想された。
例1〜4で得た(b)h−Pt/Cにおいても、カーボン粉末の表面に、約30nm以下の微細な粒子が担持されていることが確認できた。しかしながら、これらのいずれもが、内部のNi成分が溶出しているのが確認できた。具体的には、例1で得られた粒子については、表2に示されるSTEM−EDX分析の結果から明らかなように、コア部にNi成分が殆ど検出されず、ほぼPt成分のみからなるPt中空粒子となっていることが確認できた。また、例2および3で得られたh−Pt/Cにおいて、カーボン粉末の表面に担持されているPt中空粒子をSTEMにより詳細に観察したところ、Pt中空粒子のシェル部に欠陥の存在が確認できた。このような大きな開口が設けられた中空粒子は、これまでに知られている中空粒子とは明らかに異なる形態であるといえる。一方、例4のh−Pt/Cについては、カーボン粉末の表面にPt中空粒子とは異なる形態の粒子状物質が担持されているのが観察された。これは、酸浸漬によりNi成分がほぼ溶出したことに加え、酸浸漬前の(a)PtNi/CにおいてPt成分がごく薄く、または孤立したアイランド状に析出している等したため、酸浸漬により溶解しなかったPt成分であっても中空粒子の構造を保つことができなかったものと考えられた。
(C)Pt中空粒子の平均開口率の測定
上記で得られた例1〜3のh−Pt/Cに担持されたPt中空粒子について、以下の1〜6の手順に従い、平均開口率を測定した。
1.STEM−HAADF像の取得
すなわち、まず、上記で用意した例1〜3のh−Pt/Cを各々アセトンに分散させ、この分散液をマイクログリッド(応研商事株式会社製、マイクログリッドNS−C15 タイプA)に滴下し、乾燥させることで用意した観察試料について、STEM−HAADF像を取得した。STEM−HAADF像は、観察精度を上げるために、観察対象であるPt中空粒子を一つずつ抽出し、一つの粒子ごとにその直径(最長径)が視野辺の1/3以上となるような倍率に設定した。TEM−HAADF像は、高分解能型TEM/STEM装置(日本電子(株)製、JEM−2800)を用いて取り込み、コントラストおよび明度等の調整は当該装置の自動機能を利用した。参考のため、例1のPt中空粒子の中から3つの観察対象粒子を選択し、これらの粒子について取得したSTEM−HAADF像を図3(1)〜(3)に示した。なお、EDXライン分析により、これらの画像において最も暗く見える背景部分には、Ni成分およびPt成分がほぼ観測されないことを確認した。
2.STEM−HAADF像の二値化
次いで、このSTEM−HAADF像の観察対象粒子について、画像解析ソフトを用いた二値化を行い、かかる粒子像を背景から切り出すとともに、黒色部分と白色部分とに分離した。具体的には、画像処理ソフト(マイクロソフト社製のパワーポイント)で粒子周辺の余分な視野をトリミングし、JPEG形式の画像ファイルを作成した。かかる画像を、図4(1)〜(3)に例示した。
そして、これらの粒子画像に対し、画像処理ソフト;Media Cybernetics社製のImage-Pro Plus(Ver. 5.1.1.32)を用いて濃淡(グレースケール)画像を白黒2値に変換する二値化を行った。なお、二値化においては、STEM−HAADF像において白いコントラストとして見られるPt中空粒子の外殻部を黒色部分に、中空部を含むその他の領域を白色部分に変換するようにした。また、二値化における閾値は、まずは画像処理ソフトの自動閾値設定による二値化画像を用意し、この画像と、処理前の画像およびTEM−EDX結果を比較して、Ptの存在する外殻部が明らかに検出されていない場合に、輝度ヒストグラムをみながら手動で閾値を設定するようにした。このとき、閾値は基本的に輝度ヒストグラム中の極小又は極大部とした。本実施形態の一例では、例えば、具体的には、閾値を、画像処理ソフトの「二値化」コマンド(Image-Pro Plusでは、大津の方法に基づく「Threshold」コマンド)により自動で設定される値から「50」を差し引いた値とした。なお、二値化における閾値の設定方法としては、大津の方法,判別識別法,モード法,Kittler法,3σ法,p-tile法等が知られている。また、画像処理において頻繁に発生し得るシミ(ノイズや、外周部の微細な凹凸等)は「フィルタ」機能(Image-Pro Plusでは「Filters」コマンド)を用いて除去した。このシミ除去のための設定は、フィルタのカーネルサイズを「7×7」に、強さを「10」に、適用回数を「3」に指定して行った。これにより得られる二値化画像を、図5(1)〜(3)に例示した。
3.開口部面積の算出
以上の二値化により黒色部分と白色部分とに分けられた粒子画像において、全周を黒色部分に囲まれた白色部分の全面積:Sを画像解析処理にて算出した。かかる面積の算出には、上記ソフトの「カウント/サイズ」機能を使用して自動計測した。なお、この時、最大径が0.5nm未満の白色部分はノイズの可能性があること、また、ガスの出入りに寄与しないと考えられることなどから、上記ソフトの「選別レンジ」を設定することにより、最大径が0.5nm未満の白色部分は面積に含めなかった。図5(1)〜(3)に示された画像において、Sは、黒色部分に囲まれて1カ所ずつ見られる白色部分の面積である。
4.非開口部面積の算出
引き続き、開口部面積の算出の場合と同様にして、黒色部分の全面積:Sを画像解析処理にて算出した。図4(3)と図5(3)との比較からも明らかなように、上記の手順による二値化に従うと、外殻部を示す黒色部分が比較的広めに算出されて、中空部を示す白色部分は狭めに算出される。
5.開口率の算出
これらの値から、一つのPt中空粒子についての開口率Rを次式;R(%)=100×S/(S+S)に基づき算出した。図に示した3つのPt中空粒子の開口率Rの算出結果を、下記の表2に示した。また、参考のために、白色部分で示される開口部の円相当径を算出して、併せて表2に示した。
6.平均開口率の算出
そして、上記開口率Rを、100個以上のPt中空粒子について調べ、その平均値を平均開口率Rとした。例1〜3のPt中空粒子の平均開口率Rを下記表3に示した。
表3に示されるように、例1〜3で得られたPt中空粒子は、中空部が平均開口率5%以上、例えば、10〜20%程度で開口していることが確認できた。なお、例4では粒子形状を保った中空粒子の収率が極端に減少したため、平均開口率としては上限が60%程度以下であるのが好ましいといえる。
(D)触媒性能の評価
上記で得られた例1〜4のh−Pt/CにおけるPt中空粒子の触媒性能を評価するために、電気化学的活性表面積(ECA)をサイクリックボルタンメトリー(CV)測定により、また、面積比活性および質量活性を対流ボルタンメトリー測定により算出した。なお、ECA,面積比活性および質量活性の測定は、酸浸漬前の(a)PtNi/Cと、酸浸漬後の(b)h−Pt/Cとについて行った。また、参考のための、上記の標準触媒についても同様に活性表面積を算出した。
1.ECAの測定
作用極として測定対象の(a)PtNi/Cおよび(b)h−Pt/Cを用い、参照極には白金を、対極には可逆水素電極を用い、電解液には0.1M過塩素酸(HClO)溶液を使用して、三極式セル(回転ディスク電極セル)を作製した。なお、作用極は、測定対象であるh−Pt/Cを純水に分散させた溶液をディスク電極上に3.76×10−5g/cmとなるように滴下し、乾燥させることで作製した。また、この三極式セルには、測定前の30分間に電解液に窒素(N)ガスを吹き込み、セル内を窒素(N)で飽和させた。その後、25℃で、50mV/s、可逆水素電極に対する電位幅0V〜1.2Vの条件で電位を掃引し、応答電流を測定した。
CV測定により得られるCV波形において、低電圧側に観察される水素吸着波のピークの面積から、Ptの水素吸着電荷量:Qdes(μC)を求め、次式(1)を利用することで、触媒体の活性表面積:SPt(m/g)を算出した。
Pt=Qdes/Q・・・(1)
なお、式(3)中、Qは白金の単位活性表面あたりの吸着電荷量を示し、ここでは210×10(μC/m)を用いた。
電気化学的活性表面積の測定結果を下記の表4に示した。
2.面積比活性および質量活性の測定
上記CV測定の場合と同様の構成の三極式セル(回転ディスク電極セル)を使用し、測定前の30分間に電解液に酸素(O)ガスを吹き込み、セル内を酸素(O)で飽和させた。その後、室温(25℃)で、電極回転数(rpm):3600、2500、1600、900、400の速度でそれぞれ回転させることにより反応物と生成物の移動速度を制御しながら、各回転数において可逆水素電極に対する電位幅0.2V〜1.2V、掃引速度10mV/sの条件で電位を掃引し、酸素還元電流を測定した。
得られた電流値から次式を用いて活性支配電流Ikを求めた。具体的には、以下の式(2)に上記測定で得られた数値を代入することで、ω−1/2に対してI−1をプロットするKouteky−Levichプロットを作成した。
/I=1/I+1/(0.62nFACD2/3ν−1/6)・ω−1/2 ・・・(2)
なお、式(2)中、Iは測定電流(mA)、Iは活性支配電流(mA)、nは反応電子数、Fはファラデー定数(ここでは、96485C・mol−1)、Aは白金電極面積(ここでは、0.196cm)、Cは酸素溶解度(ここでは、1.30×10−6mol・cm−3)、Dは酸素拡散係数(ここでは、1.50×10−5cm−1)、vは電解液粘度(ここでは、9.84×10−3cm−1)、ωは電極回転数である。
そして、Kouteky−Levichプロットの切片の逆数から、0.9Vにおける活性支配電流Iを算出し、この値をPt電気化学的活性表面積あたり、および、Pt重量あたりに換算することで、それぞれ、面積比活性、質量活性とした。得られた結果を表4に併せて示した。
4.内表面利用率
下記の式(3)に基づき、Pt中空粒子に関する内表面利用率を算出し、その結果を表4に併せて示した。
内表面利用率(%)=100×[(h−Pt/CのECA)−(PtNi/CのECA)]/(PtNi/CのECA) ・・・(3)
なお、PtNi/Cは中空化処理(酸浸漬)前のPt中空粒子であり、式(3)における[PtNi/CのECA]は、Pt中空粒子の外表面に基づくECAに相当する。なお、内表面利用率との言葉からは、理想的には、式(3)の分母を「h−Pt/Cの内表面の全表面積」とすべきであったが、かかる内表面の全表面積は測定が困難である。したがって、本明細書では、内表面利用率を上式(3)で規定するようにしている。
表4からわかるように、例1〜3では(a)PtNi/Cよりも(b)h−Pt/Cの方が、ECA,面積比活性および質量活性のいずれも高い値を示した。例4については、(b)h−Pt/CにおけるPt中空粒子の残存率が低かったせいか、面積比活性のみ(b)h−Pt/Cの方が高い値を示す結果となった。また、面積比活性および質量活性については、参考として示した標準触媒よりも良好な値を示した。
これらのことより、Ptナノ粒子を触媒として用いる場合、全体がPtから構成されるナノ粒子(標準触媒)を用いるよりも、ナノ粒子の表面のみがPtからなるコアシェル構造のナノ粒子(a;PtNi/C)を用いる方が少ないPt量でより高効率な触媒活性が得られるとともに、さらに、外殻部がPtからなり中空構造のナノ粒子(b;h−Pt/C)を用いる方がより一層少ないPt量でより高効率な触媒活性が得られることが確認できた。
このことから、触媒体として、ここに開示されるPt中空粒子担持カーボン粉末を用いることで、白金使用量を飛躍的に削減しつつ、優れた触媒能を発揮し得る触媒体が実現されることが確認できた。また、ここに開示されるPt中空粒子担持カーボン粉末の製造においては、例えばヒドラジン等によるPtの還元において外殻部に適切な欠陥が導入できない場合、平均開口率の大きい中空Pt粒子が形成されず、高い触媒能を有する触媒体を得ることができないことも確認できた。
すなわち、ここに開示されるPt中空ナノ粒子担持カーボン粉末からなる触媒体によると、低コストで、優れた触媒機能を有する触媒体が提供される。かかる触媒体は、種々の反応が行われる装置等において触媒として利用することができる。例えば、高分子電解質型の燃料電池(PEFC)における触媒層を形成する際に好適に用いることができる。この場合、例えば、PEFCの機能を維持したまま製造コストの削減を図ることができる。
10 電解質膜
20 燃料極
30 酸化剤極
40 燃料流通層
50 酸化剤流通層
60 筐体
100 電極接合体(PEFC)

Claims (18)

  1. 平均粒子径が100nm以下のナノ粒子を含み、
    白金成分により構成されている外殻部と、
    前記外殻部の内部に備えられる中空部と、を有し、
    前記中空部は前記外殻部の外部に連通するとともに、
    前記外殻部には、画像解析法により算出される最大開口径が0.5nm以上である開口が少なくとも一つ備えられ
    面積比活性が、900μA/cm 以上である、白金中空ナノ粒子。
  2. 画像解析法により算出される平均開口率は5%以上20%以下である、請求項1に記載の白金中空ナノ粒子。
  3. 電子顕微鏡観察により計測される単一の白金中空ナノ粒子の円相当径について、70個数%以上のものの粒径が1nm以上15nm以下の範囲に含まれる、請求項1または2に記載の白金中空ナノ粒子。
  4. 前記外殻部の厚みは、0.23nm以上5nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の白金中空ナノ粒子。
  5. 質量活性が、400mA/mg以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の白金中空ナノ粒子。
  6. 前記白金中空ナノ粒子の電気化学的活性表面積に占める、前記白金中空ナノ粒子の前記内表面の電気化学的活性表面積の割合として定義される内表面利用率が、20%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の白金中空ナノ粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載された白金中空ナノ粒子が、導電性材料からなる担体に担持されている、白金中空ナノ粒子担持触媒体。
  8. 前記導電性材料はカーボンブラックである、請求項7に記載の白金中空ナノ粒子担持触媒体。
  9. 請求項7または8に記載の白金中空ナノ粒子担持触媒体を電極に備える固体高分子型燃料電池。
  10. 白金成分により構成されている外殻部と、前記外殻部の内部に備えられる中空部と、を有する白金中空ナノ粒子が担体に担持されてなる触媒体を製造する方法であって、
    白金より卑な卑金属を含む化合物が存在する反応液中に前記担体を浸漬し、前記卑金属を含む化合物を還元することにより、前記担体の表面に前記卑金属からなるテンプレート粒子を生成させること;
    前記反応液中に白金を含む化合物を供給し、前記白金を含む化合物を還元することにより、前記テンプレート粒子の表面の一部に前記外殻部としての白金を析出させて白金中空ナノ粒子前駆体を形成すること;
    前記白金中空ナノ粒子前駆体が担持されている前記担体を前記反応液から回収すること;および
    前記白金中空ナノ粒子前駆体から前記テンプレート粒子を除去し、前記白金中空ナノ粒子を得ること、
    を包含する、製造方法。
  11. 前記卑金属を含む化合物の還元には、還元剤として、ヒドラジン、一抱水ヒドラジン、硫酸ヒドラジンおよびモノ塩酸ヒドラジンからなる群から選択される少なくとも1種を用いる、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記テンプレート粒子の除去は、テンプレート粒子に酸処理を施すことで実施する、請求項10または11に記載の製造方法。
  13. 前記卑金属がニッケルである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記白金の厚みが0.2nm以上1nm以下である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記白金中空ナノ粒子の平均粒子径が、1nm以上50nm以下である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
    前記外殻部は、
  16. 前記担体として導電性材料を使用する、請求項10〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 前記導電性材料としてカーボンブラックを使用する、請求項16に記載の製造方法。
  18. 白金成分により構成されている外殻部と、前記外殻部の内部に備えられる中空部と、を有する白金中空ナノ粒子が担体に担持されてなる触媒体を電極に備えた固体高分子型燃料電池の製造方法であって、
    白金より卑な卑金属を含む化合物が存在する反応液中に前記担体を浸漬し、前記卑金属を含む化合物を還元することにより、前記担体の表面に前記卑金属からなるテンプレート粒子を生成させること;
    前記反応液中に白金を含む化合物を供給し、前記白金を含む化合物を還元することにより、前記テンプレート粒子の表面の一部に前記外殻部としての白金を析出させて白金中空ナノ粒子前駆体を形成すること;
    前記白金中空ナノ粒子前駆体を前記固体高分子型燃料電池の燃料極および酸化剤極の少なくとも一方に配設すること、および
    前記燃料電池を運転して前記白金中空ナノ粒子前駆体を酸性環境に晒すことで前記テンプレート粒子を除去すること、
    を包含する、固体高分子型燃料電池の製造方法。
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