JP2013215610A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】飛距離、飛行安定性及びコントロール性能に優れたゴルフボールの提供。
【解決手段】ゴルフボールは、センター、中間層、補強層、カバー及びペイント層を備えている。ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。カバーは、熱可塑性ポリウレタン(A)及びポリイソシアネート混合物(B)を含む樹脂組成物から成形されている。このポリイソシアネート混合物(B)は、2以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B1)又は3以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(B2)を含む。このポリイソシアネート混合物(B)はさらに、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(B3)を含む。ゴルフボールは、赤道から突出する突起34を有する成形型で得られる。この突起34は、ピンプル28の一部を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、センター、中間層、カバー及びディンプルを備えたゴルフボールに関する。
ゴルフボールに対するゴルファーの最大の関心事は、飛距離である。ゴルファーは特に、ドライバーでのショットにおける飛距離を重視する。ドライバーでのショットにおける飛距離が大きなゴルフボールを使用することにより、ゴルファーは、グリーンに近い地点からセカンドショットを打つことが出来る。
ゴルファーはまた、飛行安定性も重視する。飛距離及び飛行方向のばらつきが小さなゴルフボールを使用することにより、ゴルファーは、このゴルフボールを目標地点に落下させることができる。
さらにゴルファーは、ゴルフボールのスピン性能も重視する。バックスピンの速度が大きいと、ランが小さい。バックスピンの速度が大きなゴルフボールを使用することにより、ゴルファーは、このゴルフボールを目標地点に静止させることができる。サイドスピンの速度が大きいと、ゴルフボールは曲がりやすい。サイドスピンの速度が大きなゴルフボールを使用することにより、ゴルファーは、このゴルフボールを意図的に曲げることができる。スピン性能に優れたゴルフボールは、コントロール性能に優れる。上級ゴルファーは、特にショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能を重視する。
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。乱流剥離によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流剥離によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。抗力の低減及び揚力の向上は、「ディンプル効果」と称される。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。ディンプル効果により、大きな飛距離が得られうる。
通常ゴルフボールは、共に半球状のキャビティを備えた上型及び下型からなる成形型によって成形される。上型キャビティが地球儀の北半球と仮定され下型キャビティが地球儀の南半球と仮定された場合の赤道面(赤道を含む平面)において、上型と下型とが合わせられる。成形型の内周面には多数のピンプルが設けられており、このピンプルによってゴルフボールの表面にディンプルが形成される。ディンプルの形状は、ピンプルの形状が反転された形状である。
上型と下型とのパーティング面からは成形材料(例えば合成樹脂)が漏れ出すので、ゴルフボール表面の赤道部分にはバリが発生する。バリは、パーティングラインに沿って生じる。このバリは、砥石等で研削・除去される。ディンプルの内部に生じたバリの除去は、困難である。バリの除去の容易のため、赤道上にはディンプルが形成されない。換言すれば、成形型のパーティング面には、ピンプルが設けられない。この成形型によって得られたゴルフボールのシームには、大円帯が形成される。大円帯は、赤道と一致する。大円帯は、ディンプルと交差しない。この大円帯がバックスピンの周速が最も早い部分(以下「最速部分」とも称される)と一致すると、十分なディンプル効果が得られない。大円帯と最速部分とが一致する場合のディンプル効果は、大円帯と最速部分とが一致しない場合のディンプル効果に比べて小さい。ディンプル効果の相違は、ゴルフボールの空力的対称性を損なう。大円帯により、飛行安定性が損なわれる。
特開2002−159598公報には、パーティング面が水平面と傾斜面とを備えた成形型が開示されている。この成形型では、パーティング面を避けて、赤道上にピンプルが配置されうる。この成形型により、シームが凹凸であるゴルフボールが得られる。このゴルフボールは、大円帯を有さない。
特開平10−99469号公報には、パーティング面に置かれたピンを有する成形型が開示されている。このピンにより、ゴルフボールにディンプルが形成される。この成形型により、大円帯を有さないゴルフボールが得られる。
特開平11−137727号公報には、パーティング面に隆起を有する成形型が開示されている。この隆起により、ゴルフボールにディンプルが形成される。この成形型により、大円帯を有さないゴルフボールが得られる。
特開2005−224514公報には、カバーに熱可塑性ポリウレタンが用いられたゴルフボールが開示されている。熱可塑性ポリウレタンは、ゴルフボールのコントロール性能に寄与する。
特開平11−178949号公報及び特開2002−336378公報には、ポリウレタンとイソシアネート化合物とを含む樹脂組成物から成形されたカバーを有するゴルフボールが開示されている。この樹脂組成物は、ゴルフボールのコントロール性能に寄与する。さらにこのイソシアネート化合物は、カバーの耐擦傷性を高める。
特開2002−159598公報 特開平10−99469号公報 特開平11−137727号公報 特開2005−224514公報 特開平11−178949号公報 特開2002−336378公報
ドライバーでのショットでは、スピン速度が遅い方が飛距離が大きい傾向が見られる。一方、前述のように、ショートアイアンでのコントロール性能の観点からは、スピン速度が速い方が好ましい。ゴルファーのゴルフボールに対する要求は、近年ますますエスカレートしている。ゴルファーは、飛距離が大きく、飛行方向及び飛距離のばらつきが少なく、かつコントロール性能に優れたゴルフボールを望んでいる。本発明の目的は、飛距離、飛行安定性及びコントロール性能に優れたゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、コアと、このコアの外側に位置するカバーと、このカバーの表面に形成された多数のディンプルとを備える。このコアは、センターと、このセンターの外側に位置する中間層とを備える。カバーは、熱可塑性ポリウレタン(A)及びポリイソシアネート混合物(B)を含む樹脂組成物から成形される。このポリイソシアネート混合物(B)は、2以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B1)又は3以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(B2)を含む。このポリイソシアネート混合物(B)はさらに、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(B3)を含む。このゴルフボールは、成形型によって成形される。この成形型は、一対の半型からなる。この成形型は、キャビティ面にディンプル形成用のピンプルを多数備える。それぞれの半型は、赤道から突出する複数の突起を備える。それぞれの突起は、ピンプルの一部を含む。一方の半型と他方の半型とが合わされたとき、ある突起とこれに隣接する他の突起との間の中心角の全ては、10°以上20°以下である。
好ましくは、カバーの厚みは、0.1mm以上0.7mm以下である。好ましくは、ショアD型硬度計で測定されたカバーの硬度は、50以下である。
好ましくは、ポリイソシアネート混合物(B)におけるイソシアネート基量(NCO%)は、0.1質量%以上30質量%以下である。好ましくは、ポリイソシアネート混合物(B)の量は、熱可塑性ポリウレタン(A)100質量部に対して1質量部以上50質量部以下である。
好ましくは、成形型は、
(a)1つの突起、
(b)この突起(a)に隣接する他の突起
及び
(c)この突起(a)に隣接するさらに他の突起
を含む。この突起(a)と突起(b)との中心角θ1は、この突起(a)と突起(c)との中心角θ2と異なる。
好ましくは、他の突起(b)との中心角θ1とさらに他の突起(c)との中心角θ2とが異なる突起(a)の数の、突起の総数に対する比率P1は、50%以上である。
好ましくは、突起にその一部が含まれるピンプルの直径は、4.0mm以上である。
本発明に係るゴルフボール製造方法は、
(1)熱可塑性ポリウレタン(A)及びポリイソシアネート混合物(B)を含み、このポ リイソシアネート混合物(B)が、2以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポ リマー(B1)又は3以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(B2) と、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(B3)とを含む樹脂組成物 から、ハーフシェルが成形される工程、
(2)センター及び中間層を有するコアが、2枚のハーフシェルで覆われる工程、
(3)一対の半型からなり、そのキャビティ面にディンプル形成用のピンプルを多数備え ており、それぞれの半型が赤道から突出する複数の突起を備えており、それぞれの突起 がピンプルの一部を含んでおり、一方の半型と他方の半型とが合わされたとき、ある突 起とこれに隣接する他の突起との間の中心角が10°以上20°以下である成形型に、 上記コア及び2枚のハーフシェルが投入される工程
及び
(4)上記成形型の中で樹脂組成物が流動し、ピンプルの形状が反転した形状を有するデ ィンプルが形成され、かつ熱可塑性ポリウレタン(A)がウレタンプレポリマー(B1 )又はイソシアネート化合物(B2)で架橋される工程
を含む。
本発明に係るゴルフボールのカバーでは、熱可塑性ポリウレタン(A)がウレタンプレポリマー(B1)又はイソシアネート化合物(B2)で架橋される。このカバーは、ドライバーショットでのスピンを抑制する。このゴルフボールは、ドライバーショットでの飛距離に優れる。ショートアイアンでのショットでは、十分なスピン速度が得られる。このゴルフボールは、ショートアイアンでのコントロール性能に優れる。このゴルフボールでは、打撃されたときの飛行方向のばらつきが小さい。さらにこのゴルフボールは、空力的対称性に優れる。安定した飛行方向と、優れた空力的対称性との相乗効果により、このゴルフボールでは、優れた飛行安定性が達成される。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。 図2は、図1のゴルフボールの成形に用いられる成形型が示された断面図である。 図3は、図2の成形型の一部が示された拡大図である。 図4は、図2の成形型の下型が示された斜視図である。 図5は、図2のV−V線に沿った拡大断面図である。 図6は、図1のゴルフボールが示された平面図である。 図7は、図6のゴルフボールが示された正面図である。 図8は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図9は、本発明の実施例2に係るゴルフボールが示された平面図である。 図10は、図9のゴルフボールが示された正面図である。 図11は、本発明の実施例4に係るゴルフボールが示された平面図である。 図12は、図11のゴルフボールが示された正面図である。 図13は、比較例1のゴルフボールが示された正面図である。 図14は、図13のゴルフボールが示された平面図である。 図15は、比較例3のゴルフボールが示された正面図である。 図16は、図15のゴルフボールが示された平面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール2が示された一部切り欠き断面図である。このゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置する補強層6と、この補強層6の外側に位置するカバー8と、このカバー8の外側に位置するペイント層10とを備えている。コア4は、球状のセンター12と、このセンター12の外側に位置する中間層14とを備えている。このゴルフボール2は、その表面に多数のディンプル16を備えている。ゴルフボール2の表面のうちディンプル16以外の部分は、ランド18である。
このゴルフボール2の直径は、40mmから45mmである。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下が好ましく、42.80mm以下がより好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下である。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上が好ましく、45.00g以上がより好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が好ましい。
センター12は、ゴム組成物が架橋されることで得られる。好ましい基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合は、ポリブタジエンが主成分とされるのが好ましい。具体的には、全基材ゴムに占めるポリブタジエンの比率が50質量%以上、特には80質量%以上とされるのが好ましい。シス−1,4結合の比率が40%以上、特には80%以上であるポリブタジエンが好ましい。
センター12の架橋には、好ましくは、共架橋剤が用いられる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤の具体例としては、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが挙げられる。高い反発性能が得られるという理由から、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が特に好ましい。
共架橋剤として、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸と酸化金属とが配合されてもよい。両者はゴム組成物中で反応し、塩が得られる。この塩が、架橋反応に寄与する。好ましいα,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。好ましい酸化金属としては、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムが挙げられる。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、共架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。ソフトな打球感の観点から、共架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましい。
好ましくは、センター12のゴム組成物は、共架橋剤と共に有機過酸化物を含む。有機過酸化物は、架橋開始剤として機能する。有機過酸化物は、ゴルフボール2の反発性能に寄与する。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。特に汎用性の高い有機過酸化物は、ジクミルパーオキサイドである。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。ソフトな打球感の観点から、有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して3.0質量部以下が好ましく、2.8質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、センター12のゴム組成物は、有機硫黄化合物を含む。好ましい有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド等のモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド等のジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド等のトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド等のテトラ置換体;及びビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィド等のペンタ置換体が例示される。有機硫黄化合物は、反発性能に寄与する。特に好ましい有機硫黄化合物は、ジフェニルジスルフィド及びビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドである。
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。ソフトな打球感の観点から、有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して1.5質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。
センター12に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の配合量は、センター12の意図した比重が達成されるように適宜決定される。特に好ましい充填剤は、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、比重調整の役割のみならず、架橋助剤としても機能する。センター12には、硫黄、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合される。センター12に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
センター12の中心硬度H1は、55以上80以下が好ましい。中心硬度H1が55以上であるセンター12により、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、中心硬度H1は60以上がより好ましく、65以上が特に好ましい。中心硬度H1が80以下であるセンター12により、ドライバーでのショットにおける過剰なスピンが抑制される。この観点から、中心硬度H1は75以下がより好ましく、72以下が特に好ましい。センター12が切断されて得られる半球の切断面の中心点に、JIS−C型硬度計が押しつけられることにより、中心硬度H1が測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。
センター12の表面硬度H2は、65以上95以下が好ましい。表面硬度H2が65以上であるセンター12により、優れた反発性能が達成されうる。この観点から、表面硬度H2は70以上がより好ましく、75以上が特に好ましい。表面硬度H2が95以下であるセンター12により、優れた打球感が達成されうる。この観点から、表面硬度H2は90以下がより好ましく、88以下が特に好ましい。センター12の表面にJIS−C型硬度計が押しつけられることにより、表面硬度が測定される。測定には、この硬度計が装着された自動ゴム硬度測定機(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。
反発性能の観点から、表面硬度H2と中心硬度H1との差(H2−H1)は30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が特に好ましい。ドライバーショットでのスピン抑制の観点から、差(H2−H1)は10以上が好ましく、12以上が特に好ましい。
打球感の観点から、センター12の圧縮変形量は、2.0mm以上が好ましく、2.2mm以上がより好ましく、2.4mm以上が特に好ましい。反発性能の観点から、圧縮変形量は4.0mm以下が好ましく、3.6mm以下がより好ましく、3.4mm以下が特に好ましい。
圧縮変形量の測定では、センター12が金属製の剛板の上に置かれる。このセンター12に向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれた球体は、変形する。球体に98Nの初荷重がかかった状態から1274Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離が、圧縮変形量である。
ドライバーショットでのスピンの抑制の観点から、センター12の直径は36.0mm以上42.0mm以下が好ましい。直径は38.0mm以上がより好ましく、39.0mm以上が特に好ましい。直径は41.0mm以下がより好ましく、40.2mm以下が特に好ましい。センター12の質量は、25g以上42g以下が好ましい。センター12の架橋温度は、通常は140℃以上180℃以下である。センター12の架橋時間は、通常は10分以上60分以下である。センター12が2以上の層から形成されてもよい。センター12が、その表面にリブを備えてもよい。
中間層14には、熱可塑性樹脂組成物が好適に用いられる。この樹脂組成物の基材ポリマーとしては、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー及び熱可塑性ポリスチレンエラストマーが挙げられる。特に、アイオノマー樹脂が好ましい。アイオノマー樹脂は、高弾性である。後述されるように、このゴルフボール2のカバー8は薄い。このゴルフボール2が打撃されると、カバー8が薄いことに起因して、中間層14が大きく変形する。アイオノマー樹脂を含む中間層14は、反発性能に寄与する。
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、反発性能の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに占めるアイオノマー樹脂の比率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85%以上が特に好ましい。
好ましいアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい二元共重合体は、80質量%以上90質量%以下のα−オレフィンと、10質量%以上20質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸とを含む。この二元共重合体は、反発性能に優れる。好ましい他のアイオノマー樹脂としては、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。好ましい三元共重合体は、70質量%以上85質量%以下のα−オレフィンと、5質量%以上30質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸と、1質量%以上25質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとを含む。この三元共重合体は、反発性能に優れる。二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。特に好ましいアイオノマー樹脂は、エチレンと、アクリル酸又はメタクリル酸との共重合体である。
二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1856」、「ハイミラン1855」、「ハイミランAM7311」、「ハイミランAM7315」、「ハイミランAM7317」、「ハイミランAM7318」、「ハイミランMK7320」及び「ハイミランMK7329」;デュポン社の商品名「サーリン6120」、「サーリン6910」、「サーリン7930」、「サーリン7940」、「サーリン8140」、「サーリン8150」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9120」、「サーリン9150」、「サーリン9910」、「サーリン9945」、「サーリンAD8546」、「HPF1000」及び「HPF2000」;並びにエクソンモービル化学社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK7030」、「IOTEK7510」、「IOTEK7520」、「IOTEK8000」及び「IOTEK8030」が挙げられる。2種以上のアイオノマー樹脂が併用されてもよい。1価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂と2価の金属イオンで中和されたアイオノマー樹脂とが併用されてもよい。
中間層14の樹脂組成物に、比重調整等の目的で充填剤が配合されてもよい。好適な充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤として、高比重金属からなる粉末が配合されてもよい。高比重金属の具体例としては、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の配合量は、中間層14の意図した比重が達成されるように適宜決定される。中間層14に、着色剤、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
ドライバーショットでのスピン抑制の観点から、中間層14の厚みは、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましい。ゴルフボール2の反発性能の観点から、厚みは1.8mm以下が好ましく、1.6mm以下がより好ましい。
ドライバーショットでのスピン抑制の観点から、中間層14の硬度は60以上が好ましく、63以上がより好ましく、65以上が特に好ましい。打球感の観点から、硬度は75以下が好ましく、72以下がより好ましい。
本発明では、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して、中間層14の硬度及びカバー8の硬度が測定される。測定には、ショアD型硬度計が取り付けられた自動ゴム硬度計(高分子計器社の商品名「P1」)が用いられる。測定には、熱プレスで成形された、中間層14(又はカバー8)と同一の材料からなる、厚みが約2mmであるシートが用いられる。測定に先立ち、シートは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
補強層6は中間層14とカバー8との間に介在し、両者の密着を高める。後述されるように、このゴルフボール2のカバー8は極めて薄い。薄いカバー8がクラブフェースのエッジで打撃されると、シワが生じやすい。補強層6により、シワが抑制される。
補強層6の基材ポリマーには、二液硬化型熱硬化性樹脂が好適に用いられる。二液硬化型熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂及びセルロース系樹脂が挙げられる。補強層6の機械特性(例えば破断強度)及び耐久性の観点から、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ウレタン樹脂が好ましい。
補強層6が、着色剤(典型的には二酸化チタン)、リン酸系安定剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を含んでもよい。添加剤は、二液硬化型熱硬化性樹脂の主剤に添加されてもよく、硬化剤に添加されてもよい。
補強層6は、主剤及び硬化剤が溶剤に溶解又は分散した液が、中間層14の表面に塗布されることで得られる。作業性の観点から、スプレーガンによる塗布が好ましい。塗布後に溶剤が揮発し、主剤と硬化剤とが反応して、補強層6が形成される。
シワの抑制の観点から、補強層6の厚みは3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。補強層6が容易に形成されるとの観点から、厚みは300μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。厚みは、ゴルフボール2の断面がマイクロスコープで観察されることで測定される。粗面処理により中間層14の表面が凹凸を備える場合は、凸部の直上で厚みが測定される。
シワの抑制の観点から、補強層6の鉛筆硬度は4B以上が好ましく、B以上がより好ましい。ゴルフボール2が打撃されたときの、カバー8から中間層14までの力の伝達ロスが小さいとの観点から、補強層6の鉛筆硬度は3H以下が好ましい。鉛筆硬度は、「JIS K5400」規格に準拠して測定される。
中間層14とカバー8とが十分に密着しており、シワが生じにくい場合は、補強層6が設けられなくてもよい。
カバー8は、樹脂組成物から成形されている。この樹脂組成物は、熱可塑性ポリウレタン(A)及びポリイソシアネート混合物(B)を含む。樹脂組成物の主成分は、熱可塑性ポリウレタン(A)である。熱可塑性ポリウレタン(A)は、軟質である。このポリウレタン(A)が用いられたカバー8は、耐擦傷性に優れる。
熱可塑性ポリウレタン(A)は、分子内にウレタン結合を有する。このウレタン結合は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって形成されうる。ウレタン結合の原料であるポリオールは、複数のヒドロキシル基を有する。低分子量ポリオール及び高分子量ポリオールが用いられうる。
低分子量のポリオールとして、ジオール、トリオール、テトラオール及びヘキサオールが挙げられる。ジオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール及び1,6−シクロヘキサンジメチロールが例示される。アニリン系ジオール又はビスフェノールA系ジオールが用いられてもよい。トリオールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオールが挙げられる。テトラオールの具体例としては、ペンタエリスリトール及びソルビトールが挙げられる。
高分子量のポリオールとして、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)及びポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)のようなポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)及びポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)のような縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートのようなポリカーボネートポリオール;並びにアクリルポリオールが挙げられる。ゴルフボール2の打球感の観点から、高分子量のポリオールの数平均分子量は400以上が好ましく、1000以上がより好ましい。数平均分子量は、10000以下が好ましい。
ウレタン結合の原料であるポリイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートが例示される。2種以上のジイソシアネートが併用されてもよい。
芳香族ジイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)及びパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)が例示される。脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が例示される。脂環式ジイソシアネートとしては、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びトランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)が例示される。
特に好ましい熱可塑性ポリウレタン(A)は、MDI系のポリウレタンである。このポリウレタンでは、ウレタン成分の原料であるイソシアネートの一部又は全部が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)である。MDI系の熱可塑性ポリウレタンは、汎用性に優れる。このポリウレタンは、安価である。
ポリアミンによって鎖長が延長された熱可塑性ポリウレタン(A)も、用いられうる。このポリアミンは、2以上のアミノ基を有する。エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン及びピペラジンのような脂環式ポリアミン並びに芳香族ポリアミンが用いられうる。
熱可塑性ポリウレタン(A)として、
(1)ポリイソシアネート及び高分子量ポリオールから得られるタイプ
(2)ポリイソシアネート、高分子量ポリオール及び低分子量ポリオールから得られるタ イプ
(3)ポリイソシアネート、高分子量ポリオール及びポリアミンから得られるタイプ
並びに
(4)ポリイソシアネート、高分子量ポリオール、低分子量ポリオール及びポリアミンか ら得られるタイプ
が例示される。
耐擦傷性及びスピン性能の観点から、熱可塑性ポリウレタン(A)の硬度は50以下が好ましく、45以下がより好ましく、40以下が特に好ましい。カバー8の強度の観点から、硬度は20以上が好ましく、25以上がより好ましい。硬度は、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して、自動ゴム硬度測定装置(高分子計器社の商品名「P1」)に取り付けられたショアD型のスプリング式硬度計によって測定される。測定には、熱プレスで成形された、厚みが約2mmであるスラブが用いられる。このスラブは、熱可塑性ポリウレタン(A)からなる。23℃の温度下に2週間保管されたスラブが、測定に用いられる。測定時には、3枚のスラブが重ね合わされる。
熱可塑性ポリウレタン(A)の具体例としては、BASFジャパン社の商品名「エラストランXNY80A」、「エラストランXNY85A」、「エラストランXNY90A」、商品名「エラストランXNY97A」、商品名「エラストランXNY585」及び商品名「エラストランXKP016N」;並びに大日精化工業社の商品名「レザミンP4585LS」及び商品名「レザミンPS62490」が挙げられる。カバーの小さな硬度が達成されうるとの観点から、「エラストランXNY80A」、「エラストランXNY85A」及び「エラストランXNY90A」が特に好ましい。
ポリイソシアネート混合物(B)は、2以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B1)又は3以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(B2)を含む。ポリイソシアネート混合物(B)はさらに、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(B3)を含む。カバー8の成形時の加熱により、ウレタンプレポリマー(B1)及びイソシアネート化合物(B2)は、熱可塑性ポリウレタン(A)と反応する。この反応により、熱可塑性ポリウレタン(A)の分子同士が架橋される。架橋された熱可塑性ポリウレタン(A)からなるカバー8は、堅固である。このカバー8を有するゴルフボール2がドライバーで打撃されたとき、飛行方向のばらつきが少ない。このカバー8により、優れた飛行安定性が達成される。さらにこのカバー8は、ドライバーショットでのスピンを抑制する。
ウレタンプレポリマー(B1)は、ウレタン結合を有し、かつ2以上のイソシアネート基を有する。このプレポリマー(B1)の分子量は、熱可塑性ポリウレタン(A)の分子量よりも小さい。このプレポリマー(B1)は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られうる。熱可塑性ポリウレタン(A)の原料として前述されたポリオールが、プレポリマー(B1)の原料として用いられうる。熱可塑性ポリウレタン(A)の原料として前述されたポリイソシアネートが、プレポリマー(B1)の原料として用いられうる。汎用性に優れた4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。ポリイソシアネート成分が過剰な状態でポリオールとポリイソシアネートとが反応することで、イソシアネート基を末端に含むウレタンプレポリマー(B1)が得られうる。反応時のモル比(NCO/OH)は1.1以上が好ましく、1.3以上がより好ましく、1.5以上が特に好ましい。モル比(NCO/OH)は3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。
ウレタンプレポリマー(B1)はウレタン成分を有しているので、このウレタンプレポリマー(B1)によって熱可塑性ポリウレタン(A)が架橋されても、カバー8の硬度は大幅には上昇しない。ウレタンプレポリマー(B1)が用いられたカバー8では、その柔軟性が維持される。このカバー8を備えたゴルフボール2がショートアイアンで打撃されたときのスピン速度は、大きい。このゴルフボール2は、コントロール性能に優れる。
飛行安定性の観点及びドライバーショットでのスピン抑制の観点から、2以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B1)におけるイソシアネート基量(NCO%)は0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能の観点から、このイソシアネート基量は10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。イソシアネート基量Xは、下記数式によって算出される。
X = ((I * 42) / M) * 100
この数式において、Iはイソシアネート基のモル数であり、Mはウレタンプレポリマー(B1)の質量(g)である。42は、NCOの分子量である。
ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能の観点から、2以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(B1)の数平均分子量は1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が特に好ましい。飛行安定性の観点及びドライバーショットでのスピン抑制の観点から、数平均分子量は30000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下が特に好ましい。
好ましいウレタンプレポリマー(B1)は、下記数式で示される。
ポリイソシアネート − (ポリオール − ポリイソシアネート)
上記数式において、nは1以上の整数である。飛行安定性の観点及びドライバーショットでのスピン抑制の観点から、nは10以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下が特に好ましい。上記数式に示されたウレタンプレポリマー(B1)は、両末端にポリイソシアネートを有する。好ましくは、ウレタンプレポリマー(B1)は、両末端に2官能のポリイソシアネートを有する。
ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能の観点から、ウレタンプレポリマー(B1)におけるポリオール成分の数平均分子量は650以上が好ましい。飛行安定性の観点及びドライバーショットでのスピン抑制の観点から、この数平均分子量は3000以下が好ましい。
3以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(B2)は、ジイソシアネートに比べて、より官能性に富む。このイソシアネート化合物(B2)を含むポリイソシアネート混合物(B)は、その添加量が少量であっても、カバー8の十分な架橋密度を達成しうる。ポリイソシアネート混合物(B)の添加量が少量であるカバー8では、このポリイソシアネート混合物(B)が性能(反発性能、コントロール性能、耐擦傷性能等)を阻害しない。
3以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(B2)としては、トリイソシアネート、イソシアヌレート、アダクト体、アロハネート変性体及びビュレット変性体が例示される。トリイソシアネートの具体例としては、ポリメリックMDI、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート及びビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。上記アダクト体は、例えばジイソシアネートと低分子量トリオールとの反応で得られる。遊離ジイソシアネートが除去されたアダクト体が好ましい。アロハネート変性体は、例えば、ジイソシアネートと低分子量ジオールとの反応で形成されるウレタン結合にさらにジイソシアネートが反応することで得られる。ビュレット変性体は、例えば、ジイソシアネートと低分子量ジアミンとの反応で形成されるウレア結合にさらにジイソシアネートが反応することで得られる。
イソシアヌレート、アダクト体、アロハネート変性体及びビュレット変性体のそれぞれの出発原料であるイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,6−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン及び1,4−ジイソシアネートシクロヘキサンが例示される。
好ましいイソシアネート化合物(B2)は、ジイソシアネートのヌレートである。イソホロンジイソシアネートのヌレート、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート及び水素添加キシリレンジイソシアネートのヌレートが特に好ましい。
飛行安定性の観点及びドライバーショットでのスピン抑制の観点から、イソシアネート化合物(B2)におけるイソシアネート基量(NCO%)は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能の観点から、このイソシアネート基量は30質量%以下が好ましく、27質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
イソシアネート化合物(B2)の分子量は200以上が好ましく、350以上がより好ましく、500以上が特に好ましい。分子量は2500以下が好ましく、1500以下がより好ましく、1000以下が特に好ましい。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される。
3以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(B2)の合成のときに、イソシアネート基の数が1又は2である化合物が生成されることがある。本発明において、イソシアネート化合物(B2)の質量には、この副生成物の質量も含まれる。イソシアネート化合物(B2)の全量に対する副生成物の量の比率は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
ポリイソシアネート混合物(B)では、ウレタンプレポリマー(B1)又はイソシアネート化合物(B2)が、熱可塑性樹脂(B3)に分散している。この熱可塑性樹脂(B3)は、イソシアネート基と実質的に反応しない。換言すれば、この熱可塑性樹脂(B3)は、イソシアネート基に対する活性水素を有していない。この熱可塑性樹脂(B3)に分散することにより、ウレタンプレポリマー(B1)及びイソシアネート化合物(B2)の失活が抑制される。この熱可塑性樹脂(B3)に分散することにより、イソシアネート化合物(B2)及びウレタンプレポリマー(B1)の、熱可塑性ポリウレタン(A)との混合が容易になされうる。
イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(B3)として、ゴム弾性を有するエラストマーが好適である。このエラストマーの具体例としては、熱可塑性ポリエステルエラストマー、スチレンブロック含有熱可塑性樹脂エラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性アクリルエラストマー及び熱可塑性塩化ビニルエラストマーが例示される。特に、熱可塑性ポリエステルエラストマー及びスチレンブロック含有熱可塑性樹脂エラストマーが好ましい。熱可塑性ポリエステルエラストマーの具体例としては、東レ・デュポン社の商品名「ハイトレル(例えば3046、3548、4047)」が挙げられる。スチレンブロック含有熱可塑性樹脂エラストマーの具体例としては、三菱化学社の商品名「ラバロン」が挙げられる。イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(B3)として、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリオレフィン、ポリアセタール、フッ素樹脂及びアイオノマー樹脂が用いられてもよい。
ポリイソシアネート混合物(B)における、ウレタンプレポリマー(B1)又はイソシアネート化合物(B2)の量と、熱可塑性樹脂(B3)の量とは、所定のイソシアネート基量(NCO%)が達成されるように調整される。飛行安定性の観点及びドライバーショットでのスピン抑制の観点から、ポリイソシアネート混合物(B)におけるイソシアネート基量(NCO%)は、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能の観点から、ポリイソシアネート混合物(B)におけるイソシアネート基量(NCO%)は、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が特に好ましい。ポリイソシアネート混合物(B)がウレタンプレポリマー(B1)と熱可塑性樹脂(B3)とからなる場合、イソシアネート基量(NCO%)は0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。ポリイソシアネート混合物(B)がイソシアネート化合物(B2)と熱可塑性樹脂(B3)とからなる場合、イソシアネート基量(NCO%)は5質量%以上30質量%以下が好ましい。
カバー8の樹脂組成物における、ポリイソシアネート混合物(B)の量は、熱可塑性ポリウレタン(A)100質量部に対して1質量部以上が好ましい。ポリイソシアネート混合物(B)の量が1質量部以上に設定されることにより、飛行安定性が得られ、かつドライバーショットでのスピンが抑制される。この観点から、ポリイソシアネート混合物(B)の量は4質量部以上がより好ましく、6質量部以上が特に好ましい。ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能の観点から、ポリイソシアネート混合物(B)の量は50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
カバー8の基材樹脂の主成分は、前述の通り、熱可塑性ポリウレタン(A)である。全樹脂に対する熱可塑性ポリウレタン(A)の比率は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。カバー8に、熱可塑性ポリウレタン(A)と共に他の樹脂が併用されてもよい。他の樹脂としては、熱可塑性ポリアミドエラストマー、スチレンブロック含有熱可塑性樹脂エラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー及びアイオノマー樹脂が例示される。
カバー8の樹脂組成物には、必要に応じ、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が適量配合される。
カバー8の樹脂組成物の調製では、まずウレタンプレポリマー(B1)又はイソシアネート化合物(B2)が、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(B3)とブレンドされて、第一のペレットが得られる。一方、熱可塑性ポリウレタン(A)に各種添加剤が添加されて、第二のペレットが得られる。この第一のペレットと第二のペレットとが、ドライブレンドによって混合され、樹脂組成物が得られる。ドライブレンド法が採用されることにより、ブレンド段階での熱可塑性ポリウレタン(A)とイソシアネート基との反応が抑制される。反応が抑制された樹脂組成物の溶融時の粘度は、低い。この溶融樹脂組成物は、流動性に優れる。
この樹脂組成物により、カバー8が成形される。射出成形法及び圧縮成形法により、カバー8が成形されうる。前述の通り、樹脂組成物は流動性に優れるので、カバー8が容易に成形されうる。成形時の加熱により、ポリイソシアネート混合物(B)による熱可塑性ポリウレタン(A)の架橋が開始され、キャビティ内で架橋反応が進行する。この架橋反応により、カバー8に強度が付与される。このカバー8は、繰り返しの打撃によっても破損しにくい。このカバー8は、クラブフェイスとの擦動によっても摩耗しにくい。このカバー8はドライバーショットでのスピンを抑制する。このカバー8を有するゴルフボール2は、飛行安定性に優れる。
カバー8成形のとき、スピュー、ランナー等の残滓(レシジュー)が生じる。これら残滓は、熱可塑性ポリウレタン(A)として、再利用されうる。残滓では、既にイソシアネート基による架橋がなされているので、この残滓が用いられることにより、カバー8での高い架橋密度が達成されうる。架橋密度の観点から、180℃以上の熱履歴を受けた残滓が好ましい。イソシアネート基によって架橋されていない熱可塑性ポリウレタン(A)と、残滓とが併用されてもよい。併用される場合、架橋密度の観点から、熱可塑性ポリウレタン(A)の全量に対する残滓の量の比率は10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が特に好ましい。樹脂組成物の流動性の観点から、この比率は70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
飛行安定性の観点及びドライバーショットでのスピン抑制の観点から、カバー8の硬度は20以上が好ましく、25以上がより好ましい。ショートアイアンでのショットにおけるコントロール性能の観点から、硬度は50以下が好ましく、45以下がより好ましく、40以下が特に好ましい。硬度は、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して、自動ゴム硬度測定装置(高分子計器社の商品名「P1」)に取り付けられたショアD型のスプリング式硬度計によって測定される。測定には、熱プレスで成形された、厚みが約2mmであるスラブが用いられる。23℃の温度下に2週間保管されたスラブが、測定に用いられる。測定時には、3枚のスラブが重ね合わされる。カバー8の樹脂組成物と同一の樹脂組成物からなるスラブが、用いられる。
ゴルフボール2の耐久性の観点から、カバー8の厚みは0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。ドライバーショットでのスピン抑制の観点から、厚みは0.7mm以下が好ましく、0.6mm以下がより好ましく、0.5mm以下が特に好ましい。
図2は、図1のゴルフボール2の成形に用いられる成形型20が示された断面図である。図3は、図2の成形型20の一部が示された拡大図である。この成形型20は、一対の半型からなる。具体的には、成形型20は、上型22と下型24とからなる。上型22と下型24とが合わせられることにより、球状のキャビティが形成される。上型22及び下型24のキャビティ面26には、多数のピンプル28が設けられている。ピンプル28の輪郭は、円である。図2では、一部のピンプル28のみが示されている。実際は、キャビティ面26の全体にわたって多数のピンプル28が配置されている。図2から明らかなように、上型22と下型24とのパーティング面30は凹凸状である。図3において符号Eqで示されている二点鎖線は、上型22のキャビティ面26の最上部が地球儀の北極点Pn(図2参照)と仮定され、下型24のキャビティ面26の最下部が地球儀の南極点Psと仮定されたときの赤道である。
図4は、図2の成形型20の下型24が示された斜視図である。この下型24のパーティング面30は、平坦面32、突起34及び凹み36からなる。図2及び3にも示される通り、平坦面32は、赤道Eqに沿っている。突起34は赤道Eqから突出している。凹み36は、赤道Eqよりも窪んでいる。周方向に沿って、2個の突起34からなる群と2個の凹み36からなる群とが、交互に配置されている。突起34の数は、12である。凹み36の数は、12である。突起34の数は、凹み36の数と同じである。図示されていないが、上型22も同様に、多数の突起34と多数の凹み36とを備えている。上型22が下型24と合わされるとき、下型24の突起34は上型22の凹み36にはめ込まれ、下型24の凹み36には上型22の突起34がはめ込まれる。
下型24の突起34は上型22の凹み36にはめ込まれるので、上型22の凹み36の数は下型24の突起34の数と同一である。下型24の凹み36には上型22の突起34がはめ込まれるので、上型22の突起34の数は下型24の凹み36の数と同一である。この成形型20では、上型22の突起34、上型22の凹み36、下型24の突起34及び下型24の凹み36の数は、それぞれ12個である。この成形型20は、合計で24個の突起34を有している。この成形型20は、合計で24個の凹み36を有している。
図3から明らかなように、突起34はピンプル28の一部を含んでいる。突起34の外縁は円弧である。外縁は、ピンプル28の輪郭と実質的に一致している。突起34が赤道Eqから突出しているので、この突起34に含まれるピンプル28は赤道Eqと交差している。
図5は、図2のV−V線に沿った拡大断面図である。この断面は、赤道Eqに沿っている。図5には、下型24の平坦面32、下型24の2個の突起34a、34b及び上型22の2個の突起34c、34dが示されている。突起34bは、突起34aと隣接している。突起34aと突起34bとは、同じ半型に属している。突起34cは、突起34aと隣接している。突起34aと突起34cとは、異なる半型に属している。2つの突起34の間に他の突起34が存在しないとき、これら2つの突起34は「隣接」していると称される。
図5において符号Oで示されているのは、キャビティの中心点である。図5に示された中心線CLa、CLb及びCLcは、点Oを通過している。中心線CLaは、突起34aの経度方向中心を通過している。中心線CLbは、突起34bの経度方向中心を通過している。中心線CLcは、突起34cの経度方向中心を通過している。図5において符号θ1で示されているのは、突起34aと突起34bとの間の中心角である。図5において符号θ2で示されているのは、突起34aと突起34cとの間の中心角である。
この成形型20は、圧縮成形法、射出成形法、注型成形法等に用いられうる。いずれの方法においても、成形型20に材料が投入される。この材料が成形型20の中で流動し、ピンプル28の形状が反転した形状を有するディンプル16が形成される。
図6は図2の成形型20で得られたゴルフボール2が示された平面図であり、図7はその正面図である。このゴルフボール2は表面に多数のディンプル16を備えている。全てのディンプル16は、円形である。図6及び図7には、符号AからEにより、ディンプル16の種類が示されている。このゴルフボール2は、ディンプルA、ディンプルB、ディンプルC、ディンプルD及びディンプルEを備えている。ディンプルAの直径は4.50mmであり、ディンプルBの直径は4.40mmであり、ディンプルCの直径は4.30mmであり、ディンプルDの直径は4.10mmであり、ディンプルEの直径は3.60mmである。ディンプルAの個数は26個であり、ディンプルBの個数は88個であり、ディンプルCの個数は102個であり、ディンプルDの個数は94個であり、ディンプルEの個数は14個である。このゴルフボール2は、324個のディンプル16を備えている。
図7において、符号Ln1で示されているのは北緯20°の緯線であり、符号Ls1で示されているのは南緯20°の緯線である。ゴルフボール2の表面又はキャビティ面26において、緯線Ln1と緯線Ls1とに囲まれた領域は、低緯度領域である。ゴルフボール2の表面又はキャビティ面26において、低緯度領域以外の領域は、高緯度領域である。図6には、高緯度領域に存在するディンプル16の種類が示されている。その中心の緯度が20°を超えるディンプル16は、「高緯度領域に存在するディンプル」である。図7には、低緯度領域に存在するディンプル16の種類が示されている。その中心の緯度が20°以下であるディンプル16は、「低緯度領域に存在するディンプル」である。
ディンプル16は、ピンプル28の形状が反転した形状を有する。ディンプルAは、ピンプルAによって形成されている。ディンプルBは、ピンプルBによって形成されている。ディンプルCは、ピンプルCによって形成されている。ディンプルDは、ピンプルDによって形成されている。ディンプルEは、ピンプルEによって形成されている。図2から4に示された成形型20は、26個のピンプルA、88個のピンプルB、102個のピンプルC、94個のピンプルD及び14個のピンプルEを備えている。ピンプルAの直径は4.50mmであり、ピンプルBの直径は4.40mmであり、ピンプルCの直径は4.30mmであり、ピンプルDの直径は4.10mmであり、ピンプルEの直径は3.60mmである。
前述の通り、この成形型20は、赤道Eqと交差するピンプル28を備えている。従って、この成形型20で得られたゴルフボール2は、このゴルフボール2の赤道Eqと交差するディンプル16を備えている。このゴルフボール2では、赤道Eqに大円帯が形成されない。赤道Eqと交差するディンプル16は、赤道Eqがバックスピンの最速部と一致したときのディンプル効果を高める。このゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。このゴルフボール2は、赤道と一致しない大円帯も有していない。このゴルフボール2は、外観に優れる。
成形型20の赤道Eqの上の、すべてのピンプル対の中心角θ1、θ2は、20°以下である。従って、ゴルフボール2の赤道Eqの上の、全てのディンプル対の中心角も、20°以下である。このゴルフボール2では、赤道Eqの上でディンプル16が密に配置されている。このゴルフボール2は、空力的対称性及び外観に優れる。優れた空力的対称性と、ポリイソシアネート混合物(B)で架橋されたカバー8との相乗効果により、このゴルフボール2では、優れた飛行安定性が達成される。飛行安定性の観点から、中心角θ1、θ2は19°以下が好ましく、18°以下がより好ましい。成形型20の製作容易の観点から、中心角θ1、θ2は10°以上が好ましく、11°以上がより好ましく、12°以上が特に好ましい。
中心角θ1と中心角θ2とが異なる成形型20により、赤道Eqの上に非等間隔でディンプル16が並んだゴルフボール2が得られる。このゴルフボール2では、赤道Eqがバックスピンの最速部と一致したときに高いディンプル効果が得られる。このゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。空力的対称性の観点から、中心角θ1と中心角θ2との差(θ1−θ2)の差の絶対値は、3°以上が好ましく、6°以上がより好ましい。差の絶対値は、10°以下が好ましい。全ての中心角θ1が同一であることが好ましい。全ての中心角θ2が同一であることが好ましい。
下記条件1を満たす突起34の数の、突起34の総数に対する比率P1は、50%以上が好ましい。
条件1:隣接する一方の突起34との間の中心角θ1が、隣接する他方の突起34と の間の中心角θ2と異なる。
この比率P1が50%以上である成形型20で得られたゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。この観点から、比率P1は60%以上がより好ましく、100%が特に好ましい。図2に示された成形型20の比率P1は、100%である。
図7から明らかなように、ゴルフボール2の赤道Eqには、多数のディンプルBが交差している。ディンプルBの直径は、大きい。直径が大きなディンプル16が赤道Eqと交差したゴルフボール2では、赤道Eqがバックスピンの最速部と一致したときに高いディンプル効果が得られる。このゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。空力的対称性の観点から、赤道Eqに交差するディンプル16の直径は4.0mm以上が好ましく、4.2mm以上がより好ましく、4.4mm以上が特に好ましい。バリの除去によるディンプル16の変形が目立たないとの観点から、赤道Eqに交差するディンプル16の直径は5.0mm以下が好ましい。赤道Eqに交差する全てのディンプル16の直径が上記範囲内であることが、好ましい。換言すれば、成形型20の赤道Eqに交差するピンプル28の直径は4.0mm以上が好ましく、4.2mm以上がより好ましく、4.4mm以上が特に好ましい。赤道Eqに交差するピンプル28の直径は5.0mm以下が好ましい。赤道Eqに交差する全てのピンプル28の直径が上記範囲内であることが、好ましい。
空力的対称性の観点から、低緯度領域に存在する全てのディンプル16の直径が4.0mm以上であることが好ましく、4.1mm以上であることがより好ましい。換言すれば、成形型20の低緯度領域に存在する全てのピンプル28の直径が4.0mm以上であることが好ましく、4.1mm以上であることがより好ましい。図7に示されたゴルフボール2では、低緯度領域にディンプルB、ディンプルC及びディンプルDが存在している。このゴルフボール2の低緯度領域に存在する全てのディンプル16の直径は、4.1mm以上である。
多数のディンプル16が赤道Eqと交差するゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。この観点から、赤道Eqと交差するディンプル16の数は18個以上が好ましく、20個以上がより好ましく、24個以上が特に好ましい。赤道Eqの上に大きなディンプル16が配置されうるとの観点から、赤道Eqと交差するディンプル16の数は33個以下が好ましく、30個以下がより好ましい。図2に示された成形型20では、24個のピンプル28が赤道Eqと交差している。従って、図7に示されたゴルフボール2では、24個のディンプル16が赤道Eqと交差している。
前述の通り、突起34a(図5参照)は、同じ半型に属する突起34bと隣接しており、かつ異なる半型に属する突起34cとも隣接している。この成形型20で得られたゴルフボール2では、最速部が赤道と位置したとき、バックスピンによって順次出現するディンプル16の所属は、
「南半球、南半球、北半球、北半球、南半球、南半球、北半球、北半球−−−」
である。このパターンでのディンプル16の出現により、大きなディンプル効果が得られる。このゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。
下記条件2を満たす突起34の数の、突起34の総数に対する比率P2は、50%以上が好ましい。
条件2:同じ半型の突起34と隣接し、かつ異なる半型の突起34とも隣接する。
この比率P2が50%以上である成形型20で得られたゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。この観点から、比率P2は60%以上がより好ましく、100%が特に好ましい。図2に示された成形型20の比率P2は、100%である。
上記条件1及び2の両方を満たす突起34の数の、突起34の総数に対する比率P3は、50%以上が好ましい。この比率P3が50%以上である成形型20で得られたゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。この観点から、比率P3は60%以上がより好ましく、100%が特に好ましい。図2に示された成形型20の比率P3は、100%である。
ゴルフボール2の低緯度領域において、ディンプル16が密に配置されることが好ましい。このゴルフボール2では、赤道Eqがバックスピンの最速部と一致したときに、高いディンプル効果が得られる。このゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。このゴルフボール2は、外観にも優れる。低緯度領域に、互いに直径の異なる複数種のディンプル16が配置されることにより、低緯度領域でのディンプル16の高密度が達成されうる。空力的対称性及び外観の観点から、低緯度領域に存在するディンプル16の種類数は2以上が好ましく、3以上がより好ましい。図2に示された成形型20では、低緯度領域にピンプルB、ピンプルC及びピンプルDが存在している。この成形型20の低緯度領域では、ピンプル28の種類数は3である。従って、図6及び7に示されたゴルフボール2の低緯度領域では、ディンプル16の種類数は3である。
低緯度領域に存在する全てのディンプル16が直径の大きい順に列べられたときの、上位10%のディンプル16の平均直径Dx1と下位10%のディンプル16の平均直径Dn1との比(Dx1/Dn1)は、1.15以下が好ましい。このゴルフボール2では、赤道Eqがバックスピンの最速部と一致したときに、高いディンプル効果が得られる。このゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。空力的対称性の観点から、比(Dx1/Dn1)は1.10以下がより好ましく、1.07以下が特に好ましい。図6及び7に示された成形型20の低緯度領域は、36個のディンプルB、48個のディンプルC及び36個のディンプルDを有している。低緯度領域におけるディンプル16の数は、120個である。従って、12個のディンプルBが「上位10%のディンプル」に相当し、12個のディンプルDが「下位10%のディンプル」に相当する。このゴルフボール2の、Dx1は4.40mmであり、Dn1は4.10mmであり、比(Dx1/Dn1)は1.07である。
全てのディンプル16が直径の大きい順に列べられたときの、上位10%のディンプル16の平均直径Dx2と下位10%のディンプル16の平均直径Dn2との比(Dx2/Dn2)は、1.30以下が好ましい。比(Dx2/Dn2)が1.30以下であるゴルフボール2は、飛行性能に優れる。飛行性能の観点から、比(Dx2/Dn2)は1.20以下が好ましく、1.16以下がより好ましい。図6及び7に示されたゴルフボール2の比(Dx2/Dn2)は、1.16である。
低緯度領域に存在する全てのディンプル16の直径の標準偏差Σ1は、0.15以下が好ましい。このゴルフボール2では、赤道Eqがバックスピンの最速部と一致したときに、高いディンプル効果が得られる。このゴルフボール2は、空力的対称性に優れる。空力的対称性の観点から、標準偏差Σ1は0.12以下がより好ましい。図6及び7に示されたゴルフボール2の低緯度領域では、ディンプル16の平均直径は4.27mmである。従って、標準偏差Σ1は、下記数式によって算出される。
Σ1 = (((4.40 - 4.27) ・ 36 + (4.30 - 4.27) ・ 48 + (4.10 - 4.27)
・ 36 ) / 120)1/2
このゴルフボール2の標準偏差Σ1は、0.12である。
全てのディンプル16の直径の標準偏差Σ2は、0.30以下が好ましい。標準偏差Σ2が0.30以下であるゴルフボール2は、飛行性能に優れる。飛行性能の観点から、標準偏差Σ2は0.25以下がより好ましく、0.20以下が特により好ましい。図6及び7に示されたゴルフボール2の標準偏差Σ2は、0.20である。
図3において矢印Hpで示されているのは、赤道Eqからの突起34の高さである。赤道Eqがバックスピンの最速部と一致したときに、高いディンプル効果が得られるとの観点から、高さHpは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上が特に好ましい。成形型20の耐久性の観点から、高さHpは1.5mm以下が好ましく、1.3mm以下がより好ましい。
ディンプル16と赤道Eqとの交差幅は、突起34の高さHpとほぼ同一である。ディンプル効果の観点から、交差幅は0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2の製造容易の観点から、交差幅は1.5mm以下が好ましく、1.3mm以下がより好ましい。
ゴルフボール2の製造容易の観点及び成形型20の耐久性の観点から、最も高い突起34の高さHp1と、最も低い突起34の高さHp2との差(Hp1−Hp2)の絶対値は、0.5mm以下が好ましい。理想的には、差(Hp1−Hp2)はゼロである。換言すれば、全ての突起34の、赤道からの高さが同一であることが好ましい。
図8は、図1のゴルフボール2の一部が示された拡大断面図である。この図8には、ディンプル16の最深部及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った断面が示されている。図8における上下方向は、ディンプル16の深さ方向である。図8において二点鎖線38で示されているのは、仮想球である。ディンプル16は、仮想球38の表面から凹陥している。ランド18は、仮想球38の表面と一致している。
図8において両矢印Diで示されているのは、ディンプル16の直径である。この直径Diは、ディンプル16の両側に共通の接線Tが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル16のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル16の輪郭を画定する。直径Diは、2.00mm以上6.00mm以下が好ましい。直径Diが2.00mm以上に設定されることにより、大きなディンプル効果が得られる。この観点から、直径Diは2.20mm以上がより好ましく、2.40mm以上が特に好ましい。直径Diが6.00mm以下に設定されることにより、実質的に球であるというゴルフボール2の本来的特徴が維持される。この観点から、直径Diは5.80mm以下がより好ましく、5.60mm以下が特に好ましい。
本発明では、全てのディンプル16の面積の合計の、ゴルフボール2の仮想球38の表面積に対する比率は、占有率と称される。十分なディンプル効果が得られるとの観点から、占有率は75%以上が好ましく、76%以上がより好ましく、77%以上が特に好ましい。占有率は、86%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、84%以下が特に好ましい。
本発明において「ディンプルの容積」とは、ディンプル16の輪郭を含む平面とディンプル16の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル16の総容積は250mm以上が好ましく、260mm以上がより好ましく、270mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は400mm以下が好ましく、390mm以下がより好ましく、380mm以下が特に好ましい。
ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル16の深さは0.05mm以上が好ましく、0.08mm以上がより好ましく、0.10mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、深さは0.60mm以下が好ましく、0.45mm以下がより好ましく、0.40mm以下が特に好ましい。深さは、接線Tとディンプル16の最深部との距離である。
十分なディンプル効果が得られるとの観点から、ディンプル16の総数は250個以上が好ましく、270個以上が特に好ましい。個々のディンプル16が十分な直径を備えうるとの観点から、総数は400個以下が好ましく、370個以下がより好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、36質量部のアクリル酸亜鉛、10質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド及び0.6質量部のジクミルパーオキサイド(日本油脂社)を混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる成形型に投入し、170℃の温度下で20分間加熱して、直径が39.7mmであるセンターを得た。
60質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1605」)、40質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1706」)及び3質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を射出成形法にてセンターの周りに被覆し、中間層を得た。中間層の厚みTmは、1.0mmであった。
二液硬化型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、40℃雰囲気下で24時間保持して、補強層を得た。
100質量部の熱可塑性ポリウレタン(前述の「エラストランXNY85A」)、25質量部のポリイソシアネート混合物(後に詳説)及び3質量部の二酸化チタンを混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、センター、中間層及び補強層からなる球体を被覆した。この球体及びハーフシェルを、キャビティ面に多数のピンプルを備えた成形型に投入し、圧縮成形法にて厚みが0.5mmであるカバーを得た。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成された。このカバーに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装してペイント層を形成し、ゴルフボールを得た。このゴルフボールでは、直径は42.8mmでり、質量は45.5gであった。このゴルフボールは、図6及び7に示されたディンプルパターンを有する。ディンプルの仕様の詳細が、下記の表4に示されている。
[実施例2から4及び比較例1から3]
センター、中間層、カバー及びディンプルの仕様を下記の表5及び6に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2から4及び比較例1から3のゴルフボールを得た。センターの組成の詳細が、下記の表1に示されている。中間層の組成の詳細が、下記の表2に示されている。カバーの組成の詳細が、下記の表3に示されている。ディンプルの仕様の詳細が、下記の表4に示されている。
[空力的対称性]
ツルテンパー社のスイングマシンに、チタンヘッドを備えたドライバー(SRIスポーツ社の商品名「XXIO」、シャフト硬度:X、ロフト角:9°)を装着した。ヘッド速度が49m/secとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを打撃した。発射地点から落下地点までの距離を測定した。テスト時は、ほぼ無風であった。ポール打ち(POP)及びシーム打ち(PH)のそれぞれ20回の測定の平均値を算出した。ポール打ちでは、赤道を含む平面上にある直線がバックスピンの回転軸となるように、ゴルフボールが打撃される。シーム打ちでは、両極点を結ぶ直線がバックスピンの回転軸となるように、ゴルフボールが打撃される。空力的対称性につき、下記の基準に基づき格付けした。
A:ポール打ちの飛距離とシーム打ちの飛距離の差が0.5m未満
B:ポール打ちの飛距離とシーム打ちの飛距離の差が0.5m以上1.0m未満
C:ポール打ちの飛距離とシーム打ちの飛距離の差が1.0m以上1.5m未満
D:ポール打ちの飛距離とシーム打ちの飛距離の差が1.5m以上
この結果が、下記の表5及び6に示されている。
[スピン性能]
上記スイングマシンに、アプローチウエッジ(SRIスポーツ社の商品名「SRIXON I−302」)を装着した。ヘッド速度が21m/secとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを打撃して、打撃直後のスピン速度を測定した。10回の測定の平均値が、下記の表5及び6に示されている。
[耐擦傷性能の評価]
上記スイングマシンに、サンドウエッジを装着した。ヘッド速度が36m/secとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを打撃した。このゴルフボールの表面を目視観察し、下記の基準に基づき格付けした。
A:傷がほとんどない
B:やや傷がある
C:傷があり、毛羽がある
D:大きな傷があり、毛羽が目立つ
この結果が、下記の表5及び6に示されている。
[飛行安定性]
ツルテンパー社のスイングマシンに、チタンヘッドを備えたドライバー(SRIスポーツ社の商品名「XXIO」、シャフト硬度:X、ロフト角:9°)を装着した。ヘッド速度が49m/secとなるようにマシン条件を設定し、ゴルフボールを打撃した。12回の打撃を行い、最も左側の落下地点と最も右側の落下地点との距離を測地した。この結果を、下記の基準に基づき格付けした。
A:距離が5m未満
B:距離が5m以上10m未満
C:距離が10m以上15m未満
D:距離が15m以上
この結果が、下記の表5及び6に示されている。
Figure 2013215610
Figure 2013215610
Figure 2013215610

カバーに用いられたポリイソシアネート混合物(*5)は、1000質量部のウレタンプレポリマーと2000質量部の熱可塑性ポリエステルエラストマー(東レ・デュポン社の商品名「ハイトレル3046」)とからなる。この混合物では、ウレタンプレポリマーがポリエステルエラストマーに分散している。このウレタンプレポリマーは、250質量部の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(数平均分子量:250)と、750質量部のポリオキシテトラメチレングリコール(数平均分子量:1000)との反応によって得られたものである。このウレタンプレポリマーのイソシアネート基量(NCO%)は、2.1質量%である。この混合物のイソシアネート基量(NCO%)は、0.7質量%である。
カバーに用いられたポリイソシアネート混合物(*6)は、1762質量部のウレタンプレポリマーと3524質量部の熱可塑性ポリエステルエラストマー(前述の「ハイトレル3046」)とからなる。この混合物では、ウレタンプレポリマーがポリエステルエラストマーに分散している。このウレタンプレポリマーは、262質量部の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(数平均分子量:262)と、1500質量部のポリオキシテトラメチレングリコール(数平均分子量:2000)との反応によって得られたものである。このウレタンプレポリマーのイソシアネート基量(NCO%)は、1.2質量%である。この混合物のイソシアネート基量(NCO%)は、0.4質量%である。
カバーに用いられたポリイソシアネート混合物(*7)は、504.6質量部のイソシアヌレート(三井化学ポリウレタン社の商品名「タケネートD−170N」、分子量:504.6)と750質量部の熱可塑性ポリエステルエラストマー(前述の「ハイトレル3046」)とからなる。この混合物では、イソシアヌレートがポリエステルエラストマーに分散している。このイソシアヌレートのイソシアネート基量(NCO%)は、25質量%である。この混合物のイソシアネート基量(NCO%)は、10質量%である。
カバーに用いられたポリイソシアネート混合物(*8)は、250質量部の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(数平均分子量:250)と500質量部の熱可塑性ポリエステルエラストマー(前述の「ハイトレル3046」)とからなる。この混合物では、ジイソシアネートがポリエステルエラストマーに分散している。この混合物のイソシアネート基量(NCO%)は、11.2質量%である。
カバーに用いられたポリイソシアネート混合物(*9)は、262質量部の4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(数平均分子量:262)と500質量部の熱可塑性ポリエステルエラストマー(前述の「ハイトレル3046」)とからなる。この混合物では、ジイソシアネートがポリエステルエラストマーに分散している。この混合物のイソシアネート基量(NCO%)は、11質量%である。
Figure 2013215610
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表5及び6から明らかなように、各実施例のゴルフボールは、飛距離、スピン性能、空力的対称性及び飛行安定性の全てにおいて優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るゴルフボールは、ゴルフ競技での使用に特に適している。
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・補強層
8・・・カバー
10・・・ペイント層
12・・・センター
14・・・中間層
16・・・ディンプル
18・・・ランド
20・・・成形型
22・・・上型
24・・・下型
26・・・キャビティ面
28・・・ピンプル
30・・・パーティング面
32・・・平坦面
34・・・突起
36・・・凹み
38・・・仮想球

Claims (11)

  1. コアと、このコアの外側に位置するカバーと、このカバーの表面に形成された多数のディンプルとを備えており、
    上記コアが、センターと、このセンターの外側に位置する中間層とを備えており、
    上記カバーが、熱可塑性ポリウレタン(A)及びポリイソシアネート混合物(B)を含む樹脂組成物から成形されており、
    上記ポリイソシアネート混合物(B)が、2以上のイソシアネート基を有しイソシアネート基量(NCO%)が0.1質量%以上10質量%以下でありポリオール成分の数平均分子量が650以上であるウレタンプレポリマー(B1)又は3以上のイソシアネート基を有しイソシアネート基量(NCO%)が10質量%以上30質量%以下であるイソシアネート化合物(B2)を含み、かつイソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(B3)を含んでおり、
    一対の半型からなり、そのキャビティ面にディンプル形成用のピンプルを多数備えており、それぞれの半型が赤道から突出する複数の突起を備えており、それぞれの突起がピンプルの一部を含んでおり、一方の半型と他方の半型とが合わされたとき、ある突起とこれに隣接する他の突起との間の中心角の全てが10°以上20°以下である成形型で成形されたゴルフボール。
  2. 上記カバーの厚みが0.1mm以上0.7mm以下である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 上記カバーの、ショアD型硬度計で測定された硬度が50以下である請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. 上記ポリイソシアネート混合物(B)におけるイソシアネート基量(NCO%)が0.1質量%以上30質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
  5. 上記カバーの樹脂組成物における、ポリイソシアネート混合物(B)の量が、熱可塑性ポリウレタン(A)100質量部に対して1質量部以上50質量部以下である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
  6. 上記成形型が、
    (a)1つの突起、
    (b)この突起(a)に隣接する他の突起
    及び
    (c)この突起(a)に隣接するさらに他の突起
    を含んでおり、この突起(a)と突起(b)との中心角θ1が、この突起(a)と突起(c)との中心角θ2と異なっている請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。
  7. 上記他の突起(b)との中心角θ1とさらに他の突起(c)との中心角θ2とが異なる突起(a)の数の、突起の総数に対する比率P1が50%以上である請求項6に記載のゴルフボール。
  8. 上記突起にその一部が含まれるピンプルの直径が4.0mm以上である請求項1から7のいずれかに記載のゴルフボール。
  9. (1)熱可塑性ポリウレタン(A)及びポリイソシアネート混合物(B)を含み、このポリイソシアネート混合物(B)が、2以上のイソシアネート基を有しイソシアネート基量(NCO%)が0.1質量%以上10質量%以下でありポリオール成分の数平均分子量が650以上であるウレタンプレポリマー(B1)又は3以上のイソシアネート基を有しイソシアネート基量(NCO%)が10質量%以上30質量%以下であるイソシアネート化合物(B2)と、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(B3)とを含む樹脂組成物から、ハーフシェルが成形される工程、
    (2)センター及び中間層を有するコアが、2枚のハーフシェルで覆われる工程、
    (3)一対の半型からなり、そのキャビティ面にディンプル形成用のピンプルを多数備えており、それぞれの半型が赤道から突出する複数の突起を備えており、それぞれの突起がピンプルの一部を含んでおり、一方の半型と他方の半型とが合わされたとき、ある突起とこれに隣接する他の突起との間の中心角が10°以上20°以下である成形型に、上記コア及び2枚のハーフシェルが投入される工程
    及び
    (4)上記成形型の中で樹脂組成物が流動し、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成され、かつ熱可塑性ポリウレタン(A)がウレタンプレポリマー(B1)又はイソシアネート化合物(B2)で架橋される工程
    を含むゴルフボール製造方法。
  10. 上記成形型における、同じ半型の突起と隣接しかつ異なる半型の突起とも隣接する突起の数の、突起の総数に対する比率P2が、50%以上である請求項1から8のいずれかに記載のゴルフボール。
  11. 上記成形型における、同じ半型の突起と隣接しかつ異なる半型の突起とも隣接する突起の数の、突起の総数に対する比率P2が、50%以上である請求項9に記載のゴルフボール製造方法。
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