JP2002159598A

JP2002159598A - ゴルフボール成形型及びゴルフボール

Info

Publication number: JP2002159598A
Application number: JP2000358647A
Authority: JP
Inventors: Takahiro Sajima; 隆弘佐嶌
Original assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date: 2000-11-27
Filing date: 2000-11-27
Publication date: 2002-06-04
Also published as: US20020094886A1; US6685456B2

Abstract

(57)【要約】【課題】空力特性に優れたゴルフボールが得られ、し
かも容易に製作されるゴルフボール成形型の提供【解決手段】ゴルフボール成形型は、上型１と下型３
とからなる。上型１及び下型３のキャビティ面５には、
ディンプル形成のための突起７が多数設けられている。
上型１と下型３との合わせ面は凹凸状である。上型１及
び下型３のそれぞれにおいて、凸部及び凹部の数は３個
以上５個以下である。それぞれの凸部には、合わせ面か
ら１列目の突起７が２個以上８個以下存在している。そ
れぞれの凸部において、合わせ面から１列目の突起７の
うちの少なくとも１個については、下記数式（Ｉ）が成
立する。この数式（Ｉ）においてＲは当該突起７の半径
を表し、Ｌは当該突起７の中心と合わせ面との鉛直方向
直線距離を表す。Ｒ×０．８≦Ｌ≦Ｒ×１．２ −−−（Ｉ）

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフボールの成
形型に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフボールは、その表面に３００個か
ら５５０個程度のディンプルを備えている。ディンプル
の役割は、ゴルフボール飛行時にゴルフボール周りの空
気の流れを乱すことによって境界層の乱流遷移を促進
し、乱流剥離を起こさせることにある（以下、「ディン
プル効果」と称される。）。乱流遷移の促進により空気
のゴルフボールからの剥離点が後方に下がり、圧力抵抗
が小さくなってゴルフボールの飛距離が増大する。ま
た、乱流遷移の促進により、バックスピンに起因するゴ
ルフボールの上側と下側とにおける剥離点の差が助長さ
れ、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。

【０００３】通常ゴルフボールは、共に半球状のキャビ
ティを備えた上型及び下型からなる成形型によって成形
される。上型キャビティが地球儀の北半球と仮定され下
型キャビティが地球儀の南半球と仮定されると、赤道面
（赤道を含む平面）において上型と下型とが合わせられ
る。成形型の内周面には多数の突起が設けられており、
この突起によってゴルフボールの表面にディンプルが形
成される。従って、ディンプルの形状は突起の形状が反
転された形状である。

【０００４】上型と下型との合わせ目からは成形材料
（例えば合成樹脂）が漏れ出すので、ゴルフボール表面
の赤道に相当する部分には、バリが発生する。このバリ
は、砥石等で研削・除去される。ディンプルの内部にバ
リが生じると、このバリの除去が困難となる。バリの除
去の容易のため、赤道上にはディンプルが形成されない
ことが多い。すなわち、成形型の合わせ目には、突起が
設けられないことが多い。これにより、ゴルフボールの
表面には、ディンプルと交差しない大円である大円通路
が形成される。この大円通路がバックスピンの周速が最
も早い部分（以下「最速部分」とも称される）が一致す
ると、十分なディンプル効果が得られず、飛距離が不十
分となる。また、大円通路と最速部分とが一致する場合
としない場合とで得られるディンプル効果が異なるの
で、ゴルフボールの空力的対称性が劣ってしまう。大円
通路の近傍のディンプルがバリの除去の際に若干変形を
起こすこともあり、この変形が生じると、大円通路と最
速部分とが一致した際のディンプル効果がさらに不十分
となる。

【０００５】特開昭６２−４７３７９号公報、特開平８
−１７３５７６号公報及び特開平１１−１３７７２７号
公報には、上型及び下型が凸部及び凹部を備え、上型と
下型との合わせ面が凹凸状とされたゴルフボール成形型
が開示されている。この成形型では、バリが凹凸状に発
生する。従って、赤道上にディンプル形成用の突起が設
けられた場合でも、ディンプルを避けてバリを生じさせ
ることができる。よって、比較的容易にバリが除去され
る。しかしながら、この成形型において合わせ面に突起
が位置すると、やはりディンプルの内部にバリが生じて
しまう。バリの除去のためには、合わせ面を避けて突起
が配置されなければならない。この結果、得られるゴル
フボールには、合わせ面に沿った帯状の平滑部（ディン
プルが存在しない部分）が多数発生する。この帯状平滑
部は比較的広面積であり、赤道とは一致しないものの赤
道の近傍に集中しており、しかも赤道とほぼ平行に延び
る。従って、赤道がバックスピンの最速部分と一致した
ときのディンプル効果は、やはり十分ではない。

【０００６】特開昭６１−１７３９０７号公報には、赤
道上にディンプル形成用の突起が設けられ、この突起１
個ずつのピッチで凸部と凹部が交互に配置されたゴルフ
ボール成形型が開示されている。このゴルフボール成形
型では合わせ面がいわゆるウェーブ状なので、ゴルフボ
ールには帯状平滑部がほとんど発生しない。しかしなが
ら、この成形型では極めて多数の凸部と凹部とが設けら
れる必要があるので、成形型の製作に困難を伴う。

【０００７】特開平１０−１２７８２６号公報には、凸
部と凹部との間に赤道面と一致する平坦面が設けられた
ゴルフボール成形型が開示されている。この成形型は射
出成形用であり、平坦面に成形材料注入用のゲートが設
けられている。この成形型では、赤道面上で互いに隣接
する突起同士の間に平坦面が設けられるため、この突起
同士の間隔が小さくされえず、ディンプルパターン設計
の自由度に劣る。また、上型と下型との合わせ面は二重
の段差を備えるので、成形型の製作が極めて手間であ
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような実
状に鑑みてなされたものであり、空力特性に優れたゴル
フボールが得られ、しかも容易に製作されるゴルフボー
ル成形型の提供をその目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めになされた発明は、そのキャビティ面にディンプル形
成用の突起を多数備えた上型及び下型からなり、この上
型及び下型のそれぞれは、相手方との合わせ面が凹凸状
となるように交互に配置された凸部及び凹部を備えてお
り、上型の凸部、上型の凹部、下型の凸部及び下型の凹
部の数はいずれも３個以上５個以下であり、それぞれの
凸部には、合わせ面から１列目の突起が２個以上８個以
下存在しており、それぞれの凸部において、合わせ面か
ら１列目の突起のうちの少なくとも１個については、下
記数式（Ｉ）が成立するように構成されたゴルフボール
成形型、である。Ｒ×０．８≦Ｌ≦Ｒ×１．２ −−−（Ｉ）（数式（Ｉ）においてＲは当該突起の半径を表し、Ｌは
当該突起の中心と合わせ面との鉛直方向直線距離を表
す。）

【００１０】この成形型から得られるゴルフボールに
は、広面積な帯状平滑部が存在しない。しかも、バリの
除去によってディンプルのエッジに変形が生じた場合で
も、変形部分が大円に沿って並ぶことがない。従って、
このゴルフボールは空力特性に優れる。また、この成形
型は製作が比較的容易であり、しかもディンプルパター
ン設計に対する制約が少ない。

【００１１】好ましくは、成形されるゴルフボールの表
面にディンプルと交差しない大円である大円通路が全く
存在しないように、突起が配置される。この成形型から
得られるゴルフボールは、さらに優れた空力特性を備え
る。

【００１２】好ましくは、上記合わせ面と赤道面とが交
差する位置に成形材料注入用のゲートが設けられる。こ
の成形型は射出成形用であるにもかかわらずディンプル
パターン設計自由度に優れ、しかも製作が容易である。

【００１３】好ましくは、上型及び下型のそれぞれにお
いて、相手方との合わせ面は、凸部にあって赤道面に略
平行な凸面、凹部にあって赤道面に略平行な凹面及び凸
面と凹面との間に位置する境界面からなる。そして、全
ての凸面は互いに同一面積であり、全ての凹面は互いに
同一面積であり、凸面と凹面とも同一面積である。この
成形型ではゴルフボール成形時の加圧力が成形型に均一
に分散するので、得られるゴルフボールが均質である。

【００１４】好ましくは、上型及び下型のそれぞれにお
いて、最も高い凸部と最も低い凹部との高さの差は２．
０ｍｍ以下である。この成形型の製作は容易であり、成
形後のゴルフボールの成形型からの取り出しも容易であ
る。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、適宜図面が参照されつつ、
実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。

【００１６】図１は、本発明の一実施形態にかかるゴル
フボール成形型（以下、単に「成形型」とも称される）
が示された断面図である。この成形型は、上型１と下型
３とからなる。上型１と下型３とが合わせられることに
より、球状のキャビティが形成される。このキャビティ
によって、ゴルフボールが成形される。上型１及び下型
３のキャビティ面５には、多数の突起７が設けられてい
る。突起７の輪郭は、円である。この突起７により、ゴ
ルフボールの表面にディンプルが形成される。図１から
明らかなように、上型１と下型３との合わせ面（型締め
された際に、上型１と下型３とが接する面）は凹凸状で
ある。図１において符号Ｅで示されている二点鎖線は、
上型１のキャビティ面５の最上部が地球儀の北極点Ｐｎ
と仮定され下型３の最下部が地球儀の南極点Ｐｓと仮定
されたときの赤道である。この赤道Ｅを含む平面は、赤
道面である。

【００１７】図２は、図１の成形型の下型３が示された
斜視図である。この下型３は、５個の凸部９と５個の凹
部１１とを備えている。凸部９は、赤道Ｅよりも突出し
た部分である。凹部１１は、赤道Ｅよりも窪んだ部分で
ある。凸部９と凹部１１とは、交互に配置されている。
図示されていないが、上型１も同様に５個の凸部９と５
個の凹部１１とを備えている。下型３の凸部９は上型１
の凹部１１にはめ込まれ、下型３の凹部１１には上型１
の凸部９がはめ込まれる。このはめ込みにより、前述の
ように球状のキャビティが形成され、かつ上型１と下型
３との合わせ面が凹凸状となる。

【００１８】前述のように凸部９と凹部１１とは交互に
配置されているので、下型３における凸部９の数と凹部
１１の数とは、同一である（この例では５個）。下型３
の凸部９は上型１の凹部１１にはめ込まれるので、上型
１の凹部１１の数は下型３の凸部９の数と同一である。
下型３の凹部１１には上型１の凸部９がはめ込まれるの
で、上型１の凸部９の数は下型３の凹部１１の数と同一
である。すなわち、この成形型では、上型１の凸部９、
上型１の凹部１１、下型３の凸部９及び下型３の凹部１
１の数は同一である。

【００１９】この下型３において、上型１との合わせ面
は、凸面１３、凹面１５及び境界面１７からなる。凸面
１３とは、凸部９にあって赤道面に略平行な面である。
凹面１５とは、凹部１１にあって赤道面に略平行な面で
ある。境界面１７とは、凸面１３と凹面１５との間に位
置する面である。この下型３では、境界面１７の上半分
は凸部９に存在し、下半分は凹部１１に存在する。境界
面１７は赤道面に対して斜めに傾斜した平面であるが、
鉛直方向に延びる平面であってもよい。この下型３で
は、凸面１３、凹面１５及び境界面１７は平面である
が、曲面であってもよい。上型１の合わせ面も、同様に
凸面１３、凹面１５及び境界面１７からなる。

【００２０】この下型３において、凸面１３の面積と凹
面１５の面積とが同一とされるのが好ましい。上型１の
凹面１５は下型３の凸面１３と当接するので、両者は同
面積である。また、上型１の凸面１３は下型３の凹面１
５と当接するので、両者は同面積である。下型３におい
て凸面１３の面積と凹面１５の面積とが同一とされるこ
とにより、成形型に含まれる全ての凸面１３の面積が互
いに同一となり、全ての凹面１５の面積が互いに同一と
なる。すなわち、成形型に含まれる全ての凸面１３の面
積と全ての凹面１５の面積とが同一となる。ゴルフボー
ルの成形時にはプレス等によって成形型が加圧される
が、全ての凸面１３及び凹面１５が同一面積とされるこ
とにより加圧力が均一に分散する。これにより、１個の
ゴルフボール内の領域ごとの寸法及び物性値のばらつき
が抑制される。成形時の加圧力の均一分散の観点から
は、全ての凸面１３の高さが同一とされること、すなわ
ち全ての凹面１５の深さが同一とされることが好まし
い。

【００２１】図３は、図２の下型３の一部が示された拡
大図である。この図には、下型３のキャビティ面５が示
されている。以下、下型３について詳説されるが、上型
１の構成もこの下型３と同様である。図３に示された多
数の突起７のうち符号７ａ、７ｂ、７ｃで示された３個
は、凸部９（すなわち赤道Ｅよりも上方の部分）に存在
し、かつ合わせ面（凸面１３）から１列目にある突起７
である。凸部９に存在しかつ合わせ面から１列目にある
突起７とは、その全部又は一部が凸部９に含まれ、且つ
その中心からこの凸部９の合わせ面まで鉛直方向に伸ば
された線分が他の突起７と交差しないものを意味する。

【００２２】ゴルフボールの成形時には、合わせ面にバ
リが生じる。バリの除去のため、合わせ面上には突起７
が形成されない。この結果、合わせ面の近傍には帯状平
滑領域が生じる。図３において網点で塗りつぶされてい
るのが、帯状平滑領域である。帯状平滑領域は赤道Ｅの
近傍に集中し、しかも赤道とほぼ平行に延びる。従っ
て、この帯状平滑部の面積が大きい場合は、得られるゴ
ルフボールにも広面積の帯状平滑部が生じ、赤道がバッ
クスピンの最速部分と一致したときのディンプル効果が
不十分となる。下型３における凸部９の数（凹部１１の
数でもある）が３個以上であれば、個々の帯状平滑部の
面積はさほど大きくならず、従って赤道がバックスピン
の最速部分と一致したときのディンプル効果の低減が抑
制される。ディンプル効果の低減抑制の観点からは凸部
９の数は多いほど好ましいが、あまりに多すぎると成形
型の製作が困難となるので、凸部９の数は５個以下とさ
れる。

【００２３】１個の凸部９に存在する１列目の突起７の
数は、２個以上８個以下とされる。この数が２個未満で
あると、帯状平滑部の面積が大きくなり、赤道がバック
スピンの最速部分と一致したときのディンプル効果が不
十分となることがある。この観点から、突起７の数は３
個以上が好ましい。逆に、この数が８個を超えると、個
々のディンプルが小さくなり、ゴルフボールの飛距離が
低下することがある。この観点から、突起７の数は６個
以下が好ましい。

【００２４】図３において両矢印Ｒで示されているの
は、凸部９に存在する１列目の突起（この図の例では突
起７ｃ）の半径である。また、両矢印Ｌで示されている
のは、この突起７ｃの中心と合わせ面（凸面１３）との
鉛直方向直線距離である。この距離Ｌは、図３のような
投影面において測定される。なお、突起７ｃの中心の鉛
直方向に境界面１７が存在する場合は、突起７の中心か
ら鉛直方向に伸ばされた直線と境界面１７との交点まで
の突起７の中心からの距離がＬとされる。それぞれの凸
部９に存在する１列目の突起７のうちの少なくとも１個
は、上記数式（Ｉ）を満たす必要がある。すなわち、距
離Ｌが半径Ｒの０．８倍以上１．２倍以下となるよう
に、突起７が配置される。距離Ｌが半径Ｒの０．８倍以
上１．０倍未満である場合は、突起７が凸面１３と交差
する。この場合において突起７のうち凸部９からはみ出
た部分は、欠落する。従って、この突起７によって形成
されたディンプルも、その一部が欠落する。距離Ｌが半
径Ｒの１．０倍である場合は、突起７が凸面１３と接す
る。距離Ｌが半径Ｒの１．０倍を超えて１．２倍以下で
ある場合は、突起７と凸面１３との間に多少の平滑部が
存在する。距離Ｌが半径Ｒの０．８倍以上１．２倍以下
とされることにより、大幅なディンプルの欠落による外
観低下が抑制され、且つ広面積な平滑部による空力特性
の低下も抑制される。この観点から、距離Ｌは半径Ｒの
０．８倍以上１．０倍以下が好ましい。なお、外観低下
抑制の観点からは、突起７のうち欠落する部分の幅（鉛
直方向直線距離）は、半径Ｒの１／５以下が好ましい。

【００２５】図３から明らかなように、突起７ａ、７
ｂ、７ｃは赤道Ｅと交差している。従って、この成形型
から得られたゴルフボールは、赤道Ｅに沿った大円通路
を備えていない。赤道Ｅの近傍以外の領域における突起
７の配置に工夫が施されることにより、大円通路が全く
存在しないゴルフボールが得られうる。大円通路が全く
存在しないゴルフボールは、空力特性に優れたものであ
る。もちろん、赤道Ｅや、他の部分が大円通路とされて
もよい。この場合でも、本発明の成形型が用いられるこ
とにより、バリの除去によってディンプルが変形する部
分と大円通路との一致は避けられる。

【００２６】複数本の区画線（地球儀の経度線に沿った
円弧であり、大円の１／４の長さを有し、その一端が極
点に位置するもの）によって半球を複数のユニット（こ
のユニットは球面二等辺三角形である）に分割し、全て
のユニットのディンプルパターンを同一とする手法が採
用されるゴルフボールも存在する。この手法は、「半球
繰り返し配列法」と称される。半球繰り返し配列法で
は、ゴルフボールの空力的対称性が損なわれる傾向が見
られる。図１に示された成形型が用いられ、赤道Ｅに大
円通路が存在しないゴルフボールとされることにより、
半球繰り返し配列法によってディンプルが配置された場
合でも、空力的対称性が高められる。なお、半球繰り返
し配列法によってディンプルが配置されたゴルフボール
の成形では、上型１及び下型３のそれぞれにおける凸部
９の数は、半球におけるユニット数と同一か、又は半球
におけるユニット数の２倍とされるのが好ましい。これ
によりゴルフボールの空力的対称性がより高められ、且
つ成形型の製造コストが抑制される。

【００２７】上型１及び下型３のそれぞれにおいて、最
も高い凸部９と最も低い凹部１１との高さの差（最大段
差）は、２．０ｍｍ以下が好ましい。最大段差が２．０
ｍｍ以下である成形型は、製作にさほどの困難を伴わな
い。また、成形後のゴルフボールの取り出し（脱型）も
容易である。この観点から、最大段差は１．５ｍｍ以下
が特に好ましい。最大段差が小さすぎると、帯状平滑部
と赤道Ｅとが近づき、ゴルフボールの空力特性が低下す
る。従って、最大段差は０．２ｍｍ以上、さらには０．
５ｍｍ以上、特には１．０ｍｍ以上が好ましい。なお、
凸面１３が曲面である場合は、この凸面１３の最も高い
箇所の高さが当該凸部９の高さとされる。また、凹面１
５が曲面である場合は、この凹面１５の最も低い箇所の
高さが、当該凹部１１の高さとされる。

【００２８】図３に示されるように、境界面１７にはゲ
ート１９が設けられている。ゲート１９は、境界面１７
が削られることによって形成されている。このゲート１
９は、成形材料がキャビティに注入される際の通路であ
る。通常、ゲート１９の断面形状は円形である。図３に
示されるゲート１９は断面形状が半円であるが、残余の
半円部分は上型１の境界面１７に設けられる。上型１と
下型３とが合わせられることにより、断面が円形である
１本のゲート１９が形成される。上型１のキャビティへ
の成形材料の供給と下型３のキャビティへの成形材料の
供給とが均等となるように、ゲート１９は赤道Ｅ上に位
置している。すなわち、ゲート１９は、境界面１７（合
わせ面）と赤道面とが交差する位置に設けられている。

【００２９】凸部９の下端を貫通するようにゲートが設
けられてもよいが、この場合は凸部９に存在する突起７
の配置の自由度に制約が生じる。また、特開平１０−１
２７８２６号公報に開示されているように境界面１７を
２つの傾斜面と１つの水平面から構成し、この水平面に
ゲートを形成してもよいが、この場合は合わせ面の加工
に手間がかかる。従って、図３に示されるように、単一
の面である境界面１７に全てのゲート１９が設けられる
のが、最も好ましい。なお、射出成形金型では成形材料
注入用のゲート１９が必要であるが、圧縮成形用の金型
ではゲート１９は不要である。

【００３０】図４は、本発明の一実施形態にかかるゴル
フボールが示された平面図である。また、図５は、その
正面図である。このゴルフボールは、直径が４．１ｍｍ
のＡディンプルを７０個、直径が３．８０ｍｍのＢディ
ンプルを２１０個、及び直径が３．３５ｍｍのＣディン
プルを１３０個有している。ディンプル総数は、４１０
個である。このゴルフボールのディンプルパターンは、
半球繰り返し配列法によって配列されている。半球ごと
のユニット数は、５個である。図４において線分Ｌ１と
線分Ｌ２との間の領域が、１個のユニットである。各ユ
ニット内のディンプルパターンは鏡面対称である。図４
では、１個のユニットのさらに半分の領域におけるディ
ンプルの種別が示されている。

【００３１】このゴルフボールは、上型と下型との合わ
せ面が凹凸状である成形型から成形されている。図５に
示されている二点鎖線は、成形型の合わせ面に相当する
線である。この成形型の合わせ面は、凸面、凹面及び境
界面からなる。全ての凸面及び全ての凹面は、同一面積
である。全ての凸面は、赤道面から０．４ｍｍの高さで
ある。従って、この成形型の最大段差は、０．８ｍｍで
ある。上型及び下型のそれぞれにおける凸部の数は、半
球当たりのユニット数と同数（すなわち５個）である。

【００３２】このゴルフボールは、射出成形法によって
成形されている。成形型には、成形材料注入用のゲート
が１０本設けられている。全てのゲートは、境界面と赤
道面とが交差する位置に設けられている。

【００３３】各凸部に相当する部分には、Ｘ、Ｙ及びＺ
の３個のディンプルが存在する。ディンプルＸとディン
プルＺとは幾何学的に等価な位置にあるディンプルであ
り、直径が３．８０ｍｍであるＢディンプルである。こ
のディンプルＸとディンプルＺとは、凸面に接する突起
によって形成されたディンプルである。ディンプルＹ
は、直径が３．３５ｍｍであるＣディンプルである。こ
のディンプルＹは、凸面と交差する突起によって形成さ
れたものである。ディンプルＹを形成する突起の中心と
凸面との距離は１．５２ｍｍであり、Ｃディンプルの半
径の０．９１倍である。このゴルフボールには、大円通
路は存在しない。

【００３４】ゴルフボールに形成されるディンプルの直
径は特には制限されず、通常は２．０ｍｍ以上５ｍｍ以
下、特には２．５ｍｍ以上４．５ｍｍ以下とされる。ま
た、円形ディンプルに代えて、又は円形ディンプルとと
もに、非円形のディンプルが設けられてもよい。非円形
ディンプルの場合は、この非円形ディンプルを内部に含
む円のうち最小直径である円の直径が、便宜的にディン
プル直径とされる。

【００３５】

【実施例】以下、実施例に基づいて本発明の効果が明ら
かにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限
定的に解釈されるべきではないことはもちろんである。

【００３６】［実施例］共に凸部を５個備えた上型及び
下型からなる成形型を用意した。この成形型にソリッド
ゴムからなるコアを投入し、１０本のゲートからコアの
周りにアイオノマー樹脂組成物を射出成形して、カバー
層を形成した。このカバー層の表面に塗装を施して、平
面図が図４であり正面図が図５であるディンプルパター
ンを備えた実施例のゴルフボールを得た。このゴルフボ
ールの直径は約４２．７ｍｍであり、コンプレッション
（９８Ｎの初期荷重がかかった段階から１２７５Ｎの終
荷重がかかった段階までの変形量）は約３．００ｍｍで
あった。また、このゴルフボールのディンプル総容積
（ディンプルの輪郭を含む平面とディンプル表面とによ
って囲まれた部分の容積の総和）は、約３２０ｍｍ^３で
あった。

【００３７】［比較例］金型を変更した他は実施例と同
様にして、平面図が図６であり正面図が図７であるディ
ンプルパターンを備えた比較例のゴルフボールを得た。
この成形型は、ともに半球状キャビティを備えた上型及
び下型からなり、上型と下型との合わせ面は平坦面であ
る。図７に示されている二点鎖線は、合わせ面に相当す
る線である。また、ゲート数は１０本である。このゴル
フボールのディンプルパターンは半球繰り返し配列法に
よって配置されており、半球当たりのユニット数は５個
である。このゴルフボールは、実施例のゴルフボールと
同様に、直径が４．１ｍｍのＡディンプルを７０個、直
径が３．８０ｍｍのＢディンプルを２１０個、及び直径
が３．３５ｍｍのＣディンプルを１３０個有している。
このゴルフボールは大円通路を１本備えている。この大
円通路は、赤道Ｅに相当する部分に存在する。すなわ
ち、図７に二点鎖線で示された部分が、大円通路であ
る。

【００３８】［飛距離テスト］ツルテンパー社のスイン
グロボットにメタルヘッドが装着されたドライバー（Ｗ
＃１）を取り付け、ヘッド速度が約４９ｍ／ｓとなるよ
うに条件を設定した。次に、実施例及び比較例のゴルフ
ボールを４０個ずつ用意し、これを打撃して飛距離（キ
ャリー）を測定した。実施例及び比較例とも、２０個の
ゴルフボールを赤道Ｅがバックスピンの最速部となるよ
うに打撃し、残りの２０個のゴルフボールを経度線がバ
ックスピンの最速部となるように打撃した。この評価中
のゴルフボールの平均打ち出し角度は約１１°であり、
バックスピンの回転速度は約３０００ｒｐｍであった。
また、評価中の風向きはほぼ追い風であり、平均風速は
約１ｍ／ｓであった。飛距離の平均値が、下記の表１に
示されている。

【００３９】

【表１】

【００４０】表１より、実施例のゴルフボールは、比較
例のゴルフボールに比べて打撃位置による飛距離差が少
ないことが解る。また、実施例のゴルフボールの方が比
較例のゴルフボールよりも飛距離が大きいことも解る。
この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。

【００４１】

【発明の効果】以上説明されたように、本発明の成形型
は容易に製作される。また、この成形型から得られたゴ
ルフボールは、空力特性に優れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の一実施形態にかかるゴルフボ
ール成形型が示された断面図である。

【図２】図２は、図１の成形型の下型が示された斜視図
である。

【図３】図３は、図２の下型の一部が示された拡大図で
ある。

【図４】図４は、本発明の一実施形態にかかるゴルフボ
ールが示された平面図である。

【図５】図５は、図４のゴルフボールが示された正面図
である

【図６】図６は、本発明の比較例のゴルフボールが示さ
れた平面図である。

【図７】図７は、図６のゴルフボールが示された平面図
である

【符号の説明】

１・・・上型３・・・下型５・・・キャビティ面７・・・突起９・・・凸部１１・・・凹部１３・・・凸面１５・・・凹面１７・・・境界面１９・・・ゲートＡ・・・ＡディンプルＢ・・・ＢディンプルＣ・・・ＣディンプルＥ・・・赤道Ｐｎ・・・北極点Ｐｓ・・・南極点

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】そのキャビティ面にディンプル形成用の
突起を多数備えた上型及び下型からなり、この上型及び下型のそれぞれは、相手方との合わせ面が
凹凸状となるように交互に配置された凸部及び凹部を備
えており、上型の凸部、上型の凹部、下型の凸部及び下型の凹部の
数はいずれも３個以上５個以下であり、それぞれの凸部には、合わせ面から１列目の突起が２個
以上８個以下存在しており、それぞれの凸部において、合わせ面から１列目の突起の
うちの少なくとも１個については、下記数式（Ｉ）が成
立するように構成されたゴルフボール成形型。Ｒ×０．８≦Ｌ≦Ｒ×１．２ −−−（Ｉ）（数式（Ｉ）においてＲは当該突起の半径を表し、Ｌは
当該突起の中心と合わせ面との鉛直方向直線距離を表
す。）
【請求項２】成形されるゴルフボールの表面にディン
プルと交差しない大円である大円通路が全く存在しない
ように突起が配置されている請求項１に記載のゴルフボ
ール成形型。
【請求項３】上記合わせ面と赤道面とが交差する位置
に成形材料注入用のゲートが設けられている請求項１又
は請求項２に記載のゴルフボール成形型。
【請求項４】上記上型及び下型のそれぞれにおいて、
相手方との合わせ面は、凸部にあって赤道面に略平行な
凸面、凹部にあって赤道面に略平行な凹面及び凸面と凹
面との間に位置する境界面からなり、全ての凸面は互い
に同一面積であり、全ての凹面は互いに同一面積であ
り、凸面と凹面とも同一面積である請求項１から請求項
３のいずれか１項に記載のゴルフボール成形型。
【請求項５】上記上型及び下型のそれぞれにおいて、
最も高い凸部と最も低い凹部との高さの差が２．０ｍｍ
以下である請求項１から請求項４のいずれか１項に記載
のゴルフボール成形型。
【請求項６】請求項１から請求項５のいずれか１項に
記載された成形型から成形されたゴルフボール。