JP2013215148A - 弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品 - Google Patents

弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品 Download PDF

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Abstract

【課題】
pH5〜6の弱酸性域で生じる、寒天及び/又はゼラチンを含有するタンパク質含有ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制し、均一な組織及び食感を有する弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品を提供する。
【解決手段】
ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを安定剤として用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品に関する。具体的には、寒天及び/又はゼラチンを含有する、pH5〜6のタンパク質含有ゲル状飲食品に関する。
本発明はまた、寒天及び/又はゼラチンを含有する弱酸性のタンパク質ゲル状飲食品における、凝集物の形成を抑制する方法に関する。
pH5〜6の弱酸性を示すタンパク質含有ゲル状飲食品に関する技術として、例えば、特定の大豆蛋白素材並びにゲル化剤を原料とし、pHが5.3〜6.3であるゲル状食品(特許文献1)が知られている。
特許文献2には酸性デザートの製造法であって、予めゲル化剤、乳製品、糖類、水の混合液を65〜85℃の範囲で加熱溶解して、これをpH調整剤でpH5.0〜7.0になるように調整した後、ヨーグルト又はチーズの単体、或いはその混合物を添加し分散溶解させることを特徴とする酸性デザートの製造方法が開示されている。
一方、カラギナンを用いる技術として特許文献3には、特定のι−タイプ若しくはκ−タイプのいずれか、またはこれら2種の組合せからなる水可溶性カラギナンと、カルシウムまたは乳由来のタンパク質の少なくとも1種を含有する組成物とを水混合下で混合することによって調製されるゲル状食品組成物が開示されており、酸性〜中性pH領域でゲル状に調製可能であることが開示されている。
特許第4807348号公報 特許第2936275号公報 特許第3505598号公報
一般的に市販されているタンパク質含有ゲル状飲食品のpHは5未満(大半はpH4.5以下)若しくは中性域である。しかし、pH5未満のタンパク質含有ゲル状飲食品は酸味が強く、一方で中性域のタンパク質含有ゲル状飲食品の風味は、果汁や発酵乳、酸味料等を少量に抑えなければならないため酸味が弱く、香料に頼った風味付けとなるため、果実や発酵乳等の素材本来のフレッシュ感に欠ける、また果汁や酸味料を増やすとpH調整剤が多く必要になり、塩味やえぐ味が強くなるといった問題を有している。
タンパク質含有ゲル状飲食品のpHを5〜6の弱酸性域に調整することで、マイルドな酸味でより本物に近い風味を呈する飲食品を提供することが可能となる。
しかし、寒天及び/又はゼラチンを含有したタンパク質含有ゲル状飲食品のpHを5〜6の弱酸性域に調整すると凝集物の形成が生じ、商品価値が著しく損なわれてしまう。
特許文献1に開示された技術は、弱酸性域での溶解性を向上させた特定の大豆蛋白を用いることで、弱酸性域においても高タンパク質を含有し嚥下性に優れたゲル状食品を提供することを目的とするが、寒天及び/又はゼラチン、並びにタンパク質をpH5〜6の弱酸性域で併用した場合に生じる凝集物を抑制する方法について何ら開示がない。また、特許文献1に開示された技術は、弱酸性域での溶解性を向上させた特定の大豆蛋白を用いることを特徴としており、処方設計に制限を受ける。
特許文献2に開示された技術は、タンパク質の凝集の発生を抑制するために、予めpH調整を行った後に酸性のタンパク質含有食品を添加する、また均質化をして温度調整を行った後、果肉や果汁を加えるといった制限された煩雑な製造工程を取る必要があり、適応性が低いという問題がある。また、デザート自体の最終pHについては記述がなく、pH5〜6に調整されることを前提とした技術ではない。
特許文献3に開示された技術では、酸性〜中性pH領域でゲル状に調製可能であることが示されているが、同時に、pH6.5未満では酸凝集が起こり、均一なゲルにならない可能性が示唆されている。また、ゲル状食品調整用ベースと乳タンパク質含有水性組成物を混合してゲルを形成させた後に加熱殺菌は行っておらず、通常のゲル状飲食品に用いられる殺菌を行うと凝集物形成が発生し、均一なゲル状飲食品を提供することができないという問題を抱えている。
本課題に鑑み、本発明では凝集物の形成が抑制された、寒天及び/又はゼラチンを含有する、pH5〜6のタンパク質含有ゲル状飲食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のごとき課題を解決すべく鋭意研究した結果、ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを用いることで、弱酸性域での凝集物の形成が抑制された、寒天及び/又はゼラチンを含有するタンパク質含有ゲル状飲食品を提供できることを見出し、本発明に至った。
本発明は以下の態様を有する、弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品及び寒天及び/又はゼラチンを含有する、pH5〜6のタンパク質含有ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法に関する;
項1.以下の(1)及び(2)を含有し、pHが5〜6であることを特徴とする、タンパク質含有ゲル状飲食品;
(1)寒天及び/又はゼラチン、
(2)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナン。
項2.ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを添加することを特徴とする、寒天及び/又はゼラチンを含有する、pH5〜6のタンパク質含有ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法。
pH5〜6の弱酸性域であっても凝集物の形成が抑制され、均一な組織及び滑らかな食感を有する、寒天及び/又はゼラチンを含有するタンパク質含有ゲル状飲食品を提供できる。
実施例3−1のイチゴプリンの外観を示す写真である。 実施例3−2のイチゴプリンの外観を示す写真である。 比較例3−1のイチゴプリンの外観を示す写真である。
1.タンパク質含有ゲル状飲食品
本発明のタンパク質含有ゲル状飲食品は、以下の(1)及び(2)を含有し、pHが5〜6であることを特徴とする;
(1)寒天及び/又はゼラチン、
(2)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナン。
タンパク質含有ゲル状飲食品に用いるタンパク質の種類は、従来から食品に使用されているものであれば特に限定されず、各種タンパク質を用いることができる。例えば、乳タンパク質(牛乳、脱脂粉乳、全粉乳、乳清タンパク質、カゼイン等)、大豆タンパク質(豆乳等)、小麦タンパク質等が挙げられる。目安として、牛乳に含まれるタンパク質は約3質量%、脱脂粉乳は約35質量%、全粉乳は約25質量%、豆乳は約3.5質量%である。好ましくは乳タンパク質である。なお、本発明においてタンパク質にはペプチドも含む。
ゲル状飲食品中のタンパク質含量は、目的とするゲル状飲食品によって適宜調整することができ、特に制限されないが、通常0.1〜15質量%である。特に、タンパク質含量が1質量%以上であると、ゲル状飲食品の製造中に凝集物形成といった問題が顕著に発生してしまう。本発明では、かかるタンパク質含量であっても、凝集物の形成が抑制され、均一な組織を有するゲル状飲食品を提供できるという利点を有する。
本発明のタンパク質含有ゲル状飲食品は、(1)寒天及び/又はゼラチンを含有する。
寒天は、紅藻類より得られる多糖類で、主成分はアガロースとアガロペクチンである。アガロースはD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互に連なった直鎖状多糖類で、アガロペクチンは0〜3%の硫酸基を含んでいる。
本発明で用いる寒天は、天草、オゴノリ、オバクサ、イタニクサなどの紅藻類を原料として熱水抽出して凝固させたものを乾燥させた各種のものをいずれも使用することができ、糸寒天、棒寒天、フレーク寒天、粉末寒天など各種形状の寒天を用いることができる。
ゼラチンは、動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出した多糖類であり、ゼリー用のゲル化剤として多用されている。
本発明では、由来原料などに特に制限されず、各種市販されているゼラチンを用いることができる。
タンパク質含有ゲル状飲食品における(1)寒天及び/又はゼラチンの含量は、求められるゲル状飲食品の物性や食感に応じて適宜調整可能である。通常、0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜3質量%である。
本発明のタンパク質含有ゲル状飲食品は、(1)寒天及び/又はゼラチンに加えて、(2)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを含有することを特徴とする。
かかる特定のカラギナンを用いることで、pH5〜6の弱酸性域であっても凝集物の形成が抑制され、均一な組織及び滑らかな食感を有する、寒天及び/又はゼラチンを含有するタンパク質含有ゲル状飲食品を提供することができる。すなわちかかる特定のカラギナンは、本ゲル状飲食品中で主として安定剤の機能を果たす。
カラギナンは紅藻類海藻から抽出、精製される天然高分子であり、カラギナンの分子量は通常、100,000〜500,000、硫酸基含量は通常、20〜40%である。D−ガラクトースと、3,6アンヒドロ−D−ガラクトースから構成される多糖類であるカラギナンの基本構造単位モノマーを下記(化1)に示した。カラギナンの種類は、この結合様式を変えることなく、硫酸基の位置、アンヒドロ糖の有無によって区別される(参照:特表2005−518463号公報)。各成分の基本構造について、(化2)に示した。
本発明では、上記基本構造を有すι(イオタ)カラギナン、λ(ラムダ)カラギナン、κ2(カッパツー)カラギナン、並びにμ(ミュー)成分及びν(ニュー)成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを添加することを特徴とする。
ιカラギナンは、(化2)に示すι成分を基本構造とするカラギナンである。商業上入手可能なιカラギナン製剤として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「カラギニンCSI−1(F)」を例示できる。
λカラギナンは、(化2)に示すλ成分を基本構造とするカラギナンである。商業上入手可能なλカラギナン製剤として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンサポート[登録商標]P−30」を例示できる。
κ2カラギナンは、分子の一部がι成分で置換されたκカラギナン((化2)に示すκ成分を基本構造とするカラギナン)をいう。具体的には、κカラギナンの分子構造中にιカラギナンの構造を一部有する、すなわちκカラギナンとιカラギナンがハイブリッド化していることを特徴とするカラギナンである。ιカラギナンによるκカラギナンの置換率は特に制限されないが、置換率として1〜49%程度、好ましくは10〜40%を例示できる。商業上入手可能なκ2カラギナン製剤として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンサポート[登録商標]P−40」を例示できる。
μ成分及びν成分(化2)はそれぞれκ成分及びι成分の前駆体である。一般的に市場に流通しているκカラギナン及びιカラギナンは、各々μカラギナン及びνカラギナンをアルカリ処理して得られるカラギナンであり、通常、μ及びν成分をほとんど含まない。本発明では好ましくはμ成分及びν成分を総量で8質量%以上含有するカラギナンを用いる。μ成分及びν成分の上限は特に制限されないが、好ましくは50質量%である。
μ成分及びν成分を含有するカラギナン製剤として、「カラギニンHi−pHive(「Hi−pHive」はCPケルコ社の登録商標)」を商業上入手することが可能である。
タンパク質含有ゲル状飲食品中における、(2)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンの添加量は、ゲル状飲食品の種類によって適宜調整することが可能である。通常、0.01〜1質量%、好ましくは0.02〜0.7質量%、更に好ましくは0.025〜0.5質量%の範囲である。
上記添加量の範囲外では、十分に凝集物の形成を抑制できない場合や、処方によっては逆に凝集物の形成を引き起こす場合がある。
タンパク質含有ゲル状飲食品中における(1)寒天及び/又はゼラチンと、(2)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンの配合比は、ゲル状飲食品の種類によって適宜調整することが可能である。通常は、両者の配合割合が(1):(2)=200:1〜1:20、好ましくは150:1〜1:15の範囲である。
本発明のタンパク質含有ゲル状飲食品のpHは5〜6、好ましくはpH5〜5.5であることを特徴とする。
タンパク質含有ゲル状飲食品のpHを上記範囲(弱酸性域)に調整することで、得られるゲル状飲食品が適度な酸味を呈する、良好な風味を持つ等の効果を期待できる。
一方、通常市販されているタンパク質含有ゲル状飲食品のpHは4.5以下のものが大半である。これは、寒天及び/又はゼラチンを含有するタンパク質含有ゲル状飲食品のpHを5〜6の弱酸性域に調製すると、凝集物の形成が生じることに由来する。
かかる中、本発明では上記範囲にpHを調整した場合であっても凝集物の形成が抑制された、寒天及び/又はゼラチンを含有するタンパク質含有ゲル状飲食品を提供できるという利点を有する。
本発明の弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品の具体例としては、ゼリー、プリン、ババロア、ムース、ドリンクゼリー、ジャム、グミ等のゲル状デザート、ゲル状調味料(ゲル状ドレッシングなど)、ゲル状濃厚流動食等を例示できる。
なお、酸性条件下におけるタンパク質の安定剤として、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、HM(高メトキシル)ペクチン等の多糖類が知られているが、これら安定剤を用いても、寒天及び/又はゼラチンを含有するpH5〜6の弱酸性タンパク質含有ゲル状飲食品における凝集物形成を抑制することができない。
しかし、本発明では、本発明の効果を損なわない範囲において、これら多糖類を併用しても良い。なお、本発明では、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、及びHMペクチンからなる群から選択される1種以上の含量が0.05質量%以下、更にはこれら多糖類を使用しない場合であっても、均一なタンパク質含有ゲル状飲食品を提供できるという利点を有する。
本発明のタンパク質含有ゲル状飲食品は、タンパク質、(1)寒天及び/又はゼラチン、並びに(2)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを含有し、pHを5〜6に調整する以外は、常法のゲル状飲食品の製法に従って調製可能である。
例えば、タンパク質、(1)寒天及び/又はゼラチン、並びに(2)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナン、必要に応じて糖類、油脂等を加熱撹拌後、酸を用いてpH調整を行う。次いで、均質化処理及び殺菌処理を行い、容器に充填後、冷却することで均一な弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品を調製できる。pH調整には、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、リン酸、アスコルビン酸等の酸又は塩類を用いることができる。
タンパク質含有ゲル状飲食品に用いられる殺菌条件としては、例えば80〜95℃で30〜60分間、120〜135℃で2〜15秒間の加熱殺菌等を例示できる。殺菌温度が高く、殺菌時間が長くなるほど、凝集物の形成が発生しやすいが、本発明では上記殺菌処理を行った場合であっても、凝集物の形成が抑制され均一な組織と食感を有する弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品を提供できる。
従来のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の製法では、タンパク質を水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、HMペクチン等の多糖類を用いて安定化した後に、ゲル化剤を混合する必要があるなど、製造工程が煩雑となる場合が多かった。かかる点、本発明の構成要件をとることで、タンパク質、(1)寒天及び/又はゼラチン、並びに(2)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナン、をオールミックス後、pH調整工程をとるといった極めて簡便な製造工程で、弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品を調製することも可能である。
2.寒天及び/又はゼラチンを含有する、pH5〜6のタンパク質含有ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法
本発明はまた、寒天及び/又はゼラチンを含有するpH5〜6のタンパク質含有ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法に関する。
具体的には、凝集物形成の抑制を目的として、ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを用いることを特徴とする。
用いるカラギナンの添加量及び添加時期は、上記「1.タンパク質含有ゲル状飲食品」を参照することができる。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを意味する。
実験例1 寒天を用いたpH変化に対する安定化試験(モデル系)
ゲル化剤として寒天を使用した場合の、pH変化に伴うタンパク質含有ゲル状飲食品の安定化試験を実施した。
(タンパク質含有ゲル状飲食品の調製)
表1及び表2の処方に基づき、タンパク質含有ゲル状飲食品(モデル系)を調製した。具体的には、水に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤を添加し、80℃で10分間加熱溶解した。色素及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行なった後、容器に充填した。85℃で30分間殺菌後、冷却することでタンパク質含有ゲル状飲食品を調製した。
(評価)
得られたタンパク質含有ゲル状飲食品について、凝集物形成の様子を評価した。結果を表2に示す。また、ゼリー強度を測定した結果を表4に示す。
注1)「カラギニンHi−pHive*」(μ成分及びν成分を総量で8質量%以上、50質量%以下含有するカラギナン製剤)を使用。
注2)「カラギニンCSI−1(F)*」を使用。
(凝集物形成の評価)
下記表3に従って凝集物形成の有無を評価した。
(ゼリー強度の測定)
得られたタンパク質含有ゲル状飲食品について、各々のゲル強度を測定した。ゲル強度は、テクスチャーアナライザー TA-XT2i(Stable Micro Systems社製)を用いて測定した。単位はN/cmで示す。
(測定条件:プランジャー直径11.3mm、侵入速度1mm/s、品温5℃)
安定剤無添加区の比較例1−1は、pH3.5〜6のいずれの範囲においても凝集物を形成し、更にその程度はひどく、分離も発生していた。pH3ではゲル自体を形成しなかった。また、安定剤にμ成分及びν成分を含有するカラギナンを用い、ゲル化剤を用いない比較例1−2は、いずれのpHにおいてもゲルを形成しなかった。
一方、μ成分及びν成分を含有するカラギナン(実施例1−1)及びιカラギナン(実施例1−2)を用いたタンパク質含有ゲル状飲食品は、pH4.5以下では凝集物を形成するものの、pH5〜6の弱酸性域では凝集物形成を顕著に抑制し、均一な組織と滑らかな食感を有するタンパク質含有ゲル状飲食品を提供できた。
実験例2 ゼラチンを用いたpH変化に対する安定化試験(モデル系)
ゲル化剤としてゼラチンを使用した場合の、pH変化に伴うタンパク質含有ゲル状飲食品の安定化試験を実施した。
(タンパク質含有ゲル状飲食品の調製)
表5及び表6の処方に基づき、タンパク質含有ゲル状飲食品(モデル系)を調製した。具体的には、水に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤を添加し、80℃で10分間加熱溶解した。色素及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行なった後、容器に充填した。85℃で30分間殺菌後、冷却することでタンパク質含有ゲル状飲食品を調製した。
(評価)
得られたタンパク質含有ゲル状飲食品について、表3の基準に従って凝集物形成の様子を評価した。結果を表6に示す。また、ゼリー強度を測定した結果を表7に示す。
注3)「サンサポート※P−30*」を使用。
注4)「サンサポート※P−40*」を使用。
実験例1の寒天と同様に、ゲル化剤にゼラチンを用いて安定化評価を行なったところ、安定剤無添加区の比較例2−1は、pH6以下では多数の凝集物を形成していた。また、ゲル化剤を用いず、安定剤にμ成分及びν成分を含有するカラギナン(比較例2−2)、ιカラギナン(比較例2−3)、λカラギナン(比較例2−4)、及びκ2カラギナン(比較例2−5)を用いたタンパク質含有ゲル状飲食品は、いずれのpHにおいてもゲルを形成しなかった。
一方、μ成分及びν成分を含有するカラギナン(実施例2−1)、ιカラギナン(実施例2−2)、λカラギナン(実施例2−3)、及びκ2カラギナン(実施例2−4)を用いたタンパク質含有ゲル状飲食品は、pH4.5以下では凝集物を形成するものの、pH5〜6の弱酸性域では凝集物形成を顕著に抑制し、均一な組織と滑らかな食感を有するタンパク質含有ゲル状飲食品を提供できた。
実験例3 タンパク質含有 弱酸性ゲル状飲食品(イチゴプリン)
表8に示す処方に従って、弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品(イチゴプリン)を調製した。
具体的には、水、牛乳、生クリーム、ヤシ油にグラニュー糖、脱脂粉乳、ゲル化剤、メタリン酸Na、安定剤及び乳化剤の粉体混合物を添加し、80℃で10分間加熱撹拌した。イチゴ果汁、色素、香料及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行った後、容器に充填した。85℃で30分間の殺菌を行い、冷却することで、弱酸性のタンパク質含有ゲル状飲食品(イチゴプリン)を調製した。
ゲル化剤に寒天及びゼラチンを用い、安定剤を使用しない比較例3−1は多数の凝集物を形成し、分離を引き起こしていた。
一方で、安定剤にμ成分及びν成分を含有するカラギナンを用いた実施例3−1及び実施例3−2は、殺菌後も粗い粒子が形成されることなく、ざらつきのない均一な組織を有するタンパク質含有ゲル状飲食品(イチゴプリン)であった。

Claims (2)

  1. 以下の(1)及び(2)を含有し、pHが5〜6であることを特徴とする、タンパク質含有ゲル状飲食品;
    (1)寒天及び/又はゼラチン、
    (2)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナン。
  2. ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを添加することを特徴とする、寒天及び/又はゼラチンを含有する、pH5〜6のタンパク質含有ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法。
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