JP6565260B2 - 大豆蛋白質含有液状飲食品およびその製造方法 - Google Patents

大豆蛋白質含有液状飲食品およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、大豆蛋白質含有液状飲食品およびその製造方法に関する。
近年、消費者の健康志向とあいまって、豆乳などの大豆由来原料を含む飲食品に対する要望は大きい。しかし、豆腐やがんもどきなどの伝統的な大豆加工食品は略中性であり、風味のバリエーションはややもすると単調である。豆乳も中性pHが主流であり、酸性風味の豆乳も若干みられるものの特別な技術を必要とする。簡便に製造できる酸性の大豆の飲食品があれば、風味のバラエティも広がり、消費者のニーズも高いと考えられる。
一般に大豆蛋白質の等電点はpH4.5〜5.5であり、このpH領域および、より酸性域のpHでは沈澱が著しく、安定な液状を保つことは困難であった。この問題に対処する方法としては、乳酸菌発酵によりpHを徐々に酸性にする方法(特許文献1)や、高HLBの乳化剤を添加する方法(特許文献2)や、ペクチンやカラギーナンのような高分子の安定剤を加えたのちに酸性にする方法(特許文献3)や、さらに高圧ホモゲナイザーなどを用いて機械的に均質化処理を行う方法(特許文献4)などが一般的であった。
また、大豆蛋白質自体の酸性下での溶解性を上げる方法も検討されている。大豆蛋白質をpH2.0〜4.2の酸性域において、121〜160℃で加熱する方法(特許文献5)や、大豆蛋白質溶液のポリアニオン物質の除去もしくは不活性化、および/またはポリカチオン物質の添加をした後、酸性域で100℃を超える温度で加熱を行う方法(特許文献6)などである。これらの酸性での溶解性が高められた大豆蛋白質を用いることにより、安定剤を加えなくても、カルシウムなどのミネラルを含有し、安定性に優れた飲料を製造する方法が開示されている(特許文献7)。
特公昭61-022928号公報 特開平7-016084号公報 特公昭63-051662号公報 特開平5-308900号公報 特公昭53-19669号公報 国際公開WO02/067690号 国際公開WO2005/084461号
上記の通り、酸性域での豆乳中の大豆蛋白質の溶解性については、風味や製造の簡便さなどの課題が残っていた。そこで、出願人は、簡便な製造方法で、酸性域での蛋白質の溶解性が高く、かつ風味の良い大豆蛋白質含有液体飲食品を得ることを目的とした。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、大豆蛋白質として従来の豆乳や分離大豆蛋白質などではなく特定の大豆蛋白質素材を選択し、これに糖とアルカリ金属塩を配合するだけで、特殊な加熱処理や均質化処理をせずとも酸性域で高い蛋白質の溶解性が得られることを発見した。また、この配合にカルシウム塩を加えた場合でも、pH4.5以下の酸性領域において高い蛋白質の溶解性を示すことを発見した。
このようにして得られた大豆蛋白質含有液状飲食品は、飲料や調味料として安定性に優れ、かつまろやかな酸味を呈する風味良好なものであることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)蛋白質を乾物中20重量%以上含み、かつ蛋白質に対する脂質量が100重量%以上である大豆乳化組成物を蛋白質として0.1〜6重量%含むこと、蛋白質含量の3重量倍以上の糖及び0.3重量倍以上のアルカリ金属塩を含むこと、pHが6.5以下であること、並びに、該pH値における蛋白質の溶解度が50重量%以上であること、を特徴とする大豆蛋白質含有液状飲食品、
(2)大豆乳化組成物のLCI値が55%以上である、(1)に記載の大豆蛋白質含有液状飲食品、
(3)二価金属塩を含み、pHが4.5以下のいずれかである、(1)または(2)に記載の大豆蛋白質含有液状飲食品、
(4)蛋白質を乾物中20重量%以上含み、かつ蛋白質に対する脂質量が100重量%以上である大豆乳化組成物を用い、該大豆乳化組成物と糖とアルカリ金属塩を含む溶液に酸を混合してpHを6.5以下に調整することを特徴とする大豆蛋白質含有液状飲食品の製造方法、
(5)蛋白質を乾物中20重量%以上含み、かつ蛋白質に対する脂質量が100重量%以上である大豆乳化組成物を用い、該大豆乳化組成物と糖とアルカリ金属塩および二価金属塩を含む溶液に、酸を混合してpH4.5以下に調整することを特徴とする大豆蛋白質含有液状飲食品の製造方法、
(6)蛋白質を乾物中20重量%以上含み、かつ蛋白質に対する脂質量が100重量%以上である大豆乳化組成物を用い、該大豆乳化組成物と糖とアルカリ金属塩とを水系化で混合した後、酸によりpH6.5することを特徴とする、pH6.5以下における大豆蛋白質の安定化方法、
(7)飲食品が酸性飲料である、(1)〜(3)のいずれかに記載の大豆蛋白質含有液状飲食品、
(8)飲食品が調味料である、(1)〜(3)のいずれかに記載の大豆蛋白質含有液状飲食品、
である。
本発明によれば、特定の大豆蛋白質素材と糖とアルカリ金属塩を混合するという簡単な工程だけで、安定剤や均質機を用いた煩雑な処理をすることなく、pH6.5以下のpH領域で高い蛋白質溶解性を示す大豆蛋白質含有液状飲食品を得ることができるものである。これによって、当該pHにおいても沈殿物やざらつきがなく、良好な風味を呈する大豆蛋白入り飲料や調味料を提供することができる。また、蛋白質の凝集沈殿をひき起こしやすいカルシウム、マグネシウムなどの二価金属塩を含有しても、酸性下で安定な大豆蛋白質含有液状飲食品が得られることから、たとえば骨粗鬆症対策のために、大豆成分とカルシウムを含む酸性飲料などを安定な状態で提供できる。
(大豆蛋白質含有液状飲食品)
本発明の大豆蛋白質含有液状飲食品とは、特定の大豆乳化組成物、糖およびアルカリ金属塩を含むものである。大豆蛋白質の等電点付近である弱酸性、具体的にはpH6.5以下のいずれかのpHを有しており、該pH値において蛋白質が安定に溶解し均一な状態であることが特徴である。溶解安定性の目安は、該pH値における蛋白質の溶解度が50%以上、好ましくは75%以上、最も好ましくは85%以上である。
また、大豆蛋白質含有液状飲食品の蛋白質含量は、0.1〜6重量%が好ましく、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜4重量%である。蛋白質含量が低すぎると風味づけや栄養生理効果の面で添加する意義に乏しく、高すぎると粘度が増し利用しにくくなる。大豆蛋白質含有液状飲食品のpHは、pH6.5以下であり、なかでも溶解度の改善幅が大きいのはpH5.5以下である。また、カルシウムなどの二価金属塩を配合する場合は、pH4.5以下において溶解度向上効果があり、好適である。
上記の大豆蛋白質含有液状飲食品は、種々の酸性飲食品として使用できる。たとえば酢や酸度の高い果汁を配合した酸性飲料、栄養剤、酸性豆乳飲料、ゼリー飲料やゲル状食品である。また、寿司酢、ポン酢やドレッシングなどの酸性の調味料に使用できる。これらの酸性の飲食品に蛋白やカルシウムを含有することにより、骨粗鬆症を予防するなどの栄養生理効果や、酸味のカドを取りまろやかにする効果が期待できる。
(大豆乳化組成物)
本発明で用いる大豆乳化組成物とは、豆乳のように大豆蛋白質が脂質と乳化されている素材のうち、乾物あたりの蛋白質含量が20重量%以上、脂質含量が蛋白質含量に対して100重量%以上であることを特徴とするものである。
なお、NSIが特定の範囲になるまであらかじめ変性処理を施した大豆から得られるものが特に好ましい。このような原料から得られる大豆乳化組成物は、含まれる大豆蛋白質のうち、グリシニンやβ-コングリシニン以外の脂質親和性蛋白質(あるいは別の指標としてリポキシゲナーゼ蛋白質)の割合が特に高く、このため、中性脂質および極性脂質を多く含む乳化組成物である。すなわち、乾物あたりの蛋白質含量が20重量%以上、脂質含量が蛋白質含量に対して100重量%以上であって、LCI値(Lipophilic Proteins Content Index)が55%以上、より好ましくは60%以上であることを主要な特徴とするものである。ここで、LCI値は、蛋白質中の脂質親和性蛋白質の割合を推定する指標である。大豆乳化組成物の蛋白質および脂質の組成の詳細については、特開2013-143931号公報の記載を援用する。
本発明の、蛋白質の溶解度を向上する効果は、一般的な豆乳素材や大豆蛋白質を大豆蛋白源として使用した場合には得られず、上記の大豆乳化組成物を用いた場合にのみ効果が得られるものである。
(大豆乳化組成物の蛋白質)
本発明に用いられる大豆乳化組成物の蛋白質含量は乾物あたり20重量%以上、好ましくは30重量%以上である。また蛋白質含量の上限は限定されないが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
本発明における蛋白質含量はケルダール法により窒素量として測定し、該窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
(溶解度)
本発明でいう溶解度とは、調製した大豆蛋白質含有液状飲食品の中で、当該pH値において不溶化した蛋白質を除いた、溶解している蛋白質量の、全蛋白質含量に対する割合である。測定方法としては、液状飲食品を水で希釈し、これを遠心分離器1100G×5分処理した上澄み液と、遠心処理前の液の蛋白含量の蛋白質含量を測定し、以下の計算式で算出する。

溶解度(%)=上澄み液のタンパク質含量/遠心処理前の蛋白質含量 ×100
(大豆乳化組成物の脂質)
本発明に用いられる大豆乳化組成物の脂質含量は蛋白質含量に対して100重量%以上、好ましくは120〜300重量%、さらに好ましくは120〜200重量%であり、蛋白質よりも脂質が多いことが特徴である。
一般に脂質含量はエーテル抽出法で測定されるが、大豆乳化組成物中には中性脂質のほかにエーテルで抽出されにくい極性脂質も多く含まれるため、本発明における脂質含量は、クロロホルム:メタノールが2:1(体積比)の混合溶媒を用い、常圧沸点において30分間抽出された抽出物量を総脂質量として、脂質含量を算出した値とする。溶媒抽出装置としてはFOSS社製の「ソックステック」を用いることができる。
(大豆乳化組成物の乾物含量)
本発明に用いられる大豆乳化組成物は通常生クリーム様の性状であり、通常の乾物(dry matter)は20〜30重量%程度であるが、特に限定されるものではない。すなわち加水により低粘度の液状としたものや、濃縮加工されてより高粘度のクリーム状としたものであってもよく、また粉末加工されて粉末状としたものであってもよい。
(大豆乳化組成物の製造態様)
本発明に用いられる、上記特定の豆乳化組成物は、例えば全脂大豆に加水して懸濁液や豆乳を調製した後、遠心分離機によって分画し、比重が軽い上層部分を取り分けることにより得ることができる。
また、LCI値が55%以上の大豆乳化組成物を効率的に得るには、特定の性質をもつ大豆を原料として使用する。例えば水溶性窒素指数(Nitrogen Solubility Index)が20〜77など、特定の水溶性蛋白を含みかつ乾物あたりの脂質含量が15重量%以上の全脂大豆などの含脂大豆に対して、加水して懸濁液を調製する工程の後、該懸濁液を固液分離し、中性脂質及び極性脂質を不溶性画分に移行させて、蛋白質及び糖質を含む水溶性画分を除去し、不溶性画分を回収することにより得ることができる。この製造態様の詳細については特開2013-143931号報の記載を援用する。
(糖)
本発明に使用できる糖は、少糖類であれば使用できるが、なかでも単糖類、二糖類、オリゴ糖が好ましい。使用できる糖としては例えばスクロース、マルトース、トレハロース、グルコース、フルクトース、転化糖、混合液糖、水飴類、デキストリン類、糖アルコール、オリゴ糖があげられるが、特に好ましくはマルトース、トレハロース、スクロースである。溶解度向上に必要な糖の添加量は、蛋白質含量によって変化する。蛋白質含量が多い程、より多くの糖の添加が必要である。目安としては大豆蛋白質含有液状飲食品中の蛋白質含量の3重量倍以上が好ましく、5重量倍以上がより好ましい。
(アルカリ金属塩)
本発明におけるアルカリ金属塩は、ナトリウム塩又はカリウム塩であり、ナトリウム塩がより好ましい。ナトリウム塩としては、無機塩、有機酸塩、リン酸塩があげられ、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが利用でき、最も好ましくは塩化ナトリウムである。また、上記から選ばれる2以上の組み合わせでも構わない。溶解度向上に必要なアルカリ金属塩の添加量は、蛋白質含量によって変化する。蛋白質含量が多いほど、より多くの塩の添加が好ましい。目安としては、大豆蛋白質含有液状飲食品の蛋白質含量の0.3重量倍以上が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量倍、最も好ましくは0.5〜1重量倍である。
(二価金属塩)
本発明に使用できる二価の金属塩は、ミネラルの供給源となり得るものであり、食品への添加が許可される化合物であれば特に限定されない。代表的にはカルシウムやマグネシウムの塩、水酸化物、酸化物等であり、たとえば、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、等の有機または無機塩類がある。
中でも一般に水溶性であるミネラル類は体内での吸収性に優れ、また飲食品に溶解状態であるためざらつき等がなく好ましい。本発明におけるミネラル類の水溶性の指標として、25℃の水100gに対する溶解重量で表される溶解度あげられる。この溶解度が、10mg以上のもの、好ましくは100mg以上、より好ましくは500mg以上のものが適当である。具体的な例を挙げれば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、発酵乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、パントテン酸カルシウムなどである。
二価金属塩の含有量は、いずれも栄養所要量として適切な摂取量の範囲内で、種類、目的、風味等によって適宜調整すればよい。たとえばカルシウムやマグネシウムの場合、飲食品100gあたり、金属イオンとして5mg以上、好ましくは10〜600mg、より好ましくは50〜400mg、さらに好ましくは10〜250mgとすることができる。5mg未満ではミネラル量として乏しく、多すぎると沈澱や凝集物が発生しやすい。
本発明に使用できる酸は、飲料や食品のpH調整に使用できるものであればよく、無機酸、有機酸いずれでも構わない。たとえば酢酸、リン酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸などがあげられる。中でもグルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸は風味がよく、特に酢酸、乳酸が、溶解度を高くする効果が高く好ましい。また、上記の酸は、果汁や酢調味料などに含まれるものを用いることもできる。
(大豆蛋白質含有液状飲食品の調製方法)
本発明の大豆蛋白質含有液状飲食品は、上記の大豆乳化組成物、糖およびアルカリ金属塩を混合して均一に溶解し、この液に酸を添加してpH6.5以下(二価金属塩を含む場合はpH4.5以下)に調整することによって製造する。加熱しても溶解度は安定に保たれるので、必要に応じて加熱殺菌をすることができる。本発明の特徴は、このように原材料液を混合するだけの簡易な製法によって、酸性下で大豆蛋白質が安定に溶解した液状飲食品を製造できる点である。この趣旨を逸脱しない範囲で他の原料を配合してかまわない。たとえば、増粘剤、ゲル化剤、香料、着色料、香辛料、調味素材である。
以下、実施例により本発明の実施態様を具体的に説明する。なお、特に断りのない限り、「%」は重量%、「部」は重量部を示す。
(実施例1)蛋白質:糖:アルカリ金属塩=1:5:0.5
下記の表1に記載の配合量で、大豆乳化組成物(不二製油(株)製「濃久里夢」:乾物含量18.2%、乾物あたりの蛋白含量32.2%、乾物あたりの脂質43%、LCI値67%)を水に混合して、液中の蛋白質含量を1.0%に調整した。これに塩化ナトリウム0.5%およびマルトース5%を添加し溶解させたのち、乳酸を加えてpH3.5〜6.5の各pHに調整した。これを容器に充填し、80℃の温水中で10分間加熱を行い、流水中で冷却して本発明の大豆蛋白質含有液状飲食品を得た。
(実施例2)蛋白質:糖:アルカリ金属塩=1:10:0.5
実施例1と同様の配合および製法で、マルトースの添加量を10%としたものを調製した。
(実施例3)蛋白質:糖:アルカリ金属塩=1:3:0.5
実施例1と同様の配合および製法で、マルトースの添加量を3%としたものを調製した。
(実施例4)蛋白質:糖:アルカリ金属塩=1:3:0.3
実施例1と同様の配合および製法で、塩化ナトリウムの添加量を0.3%としたものを調製した。
(実施例5,6) 酸の種類の変更
実施例1と同様の配合および製法で、pH調整を酢酸(実施例5)、またはクエン酸(実施例6)で行ったものを調製した。
(実施例7)蛋白質:糖:アルカリ金属塩=3:15:1.5
実施例1と同様の配合および製法で、蛋白質、マルトース、塩化ナトリウムの量をそれぞれ3倍にしたものを調製した。
(比較例1)糖比率が少ない配合例
実施例1と同様の配合および製法で、ただしマルトースの添加量を1重量%としたものを調製した。
(比較例2)アルカリ金属塩を含まない配合例
実施例1と同様の配合および製法で、ただし塩化ナトリウムを添加しないものを調製した。
(比較例3)一般的な大豆蛋白素材の使用例
実施例1と同様の配合および製法で、ただし大豆乳化組成物を市販の無調整豆乳(乾物含量12.1%、乾物あたりの蛋白含量36.4%、乾物あたりの脂質含量31.4%、LCI値50%)に変更したものを調製した。
実施例1〜6、および比較例1〜3で調製した液状飲食品を、遠心分離器で遠心処理(1100G×5分間)し、この上清のタンパク質濃度から溶解度を算出した。溶解度の結果を表1及び2に記載した。
マルトース5%以上、および塩化ナトリウム0.5%以上添加した配合では、いずれのpH領域でも高い溶解度が得られた(実施例1,2,5,6)。マルトース又は塩化ナトリウムの添加量を減らすと、酸性域の溶解度は低いものの、弱酸性域でおおむね良好な溶解度が得られた(実施例3,4)。蛋白質含量を3倍にした配合で、いずれのpH領域でも高い溶解度が得られた(実施例7)。
マルトース1%、又は塩化ナトリウム0%まで減らした場合は、pH5.5以下で溶解度が低く、液状飲食品として利用できない状態であった(比較例1,2)。また、大豆乳化組成物の代わりに市販豆乳を用いた場合も同様であった(比較例3)。
Figure 0006565260
評価:溶解度0〜24重量%が×、25〜49重量%が△、50〜74重量%が○、75〜100重量%が◎
Figure 0006565260
評価:溶解度0〜24重量%が×、25〜49重量%が△、50〜74重量%が○、75〜100重量%が◎
◎評価の液体組成物は、均一に白濁しており、加熱、遠心処理後も沈殿物や凝集物のない状態である。
○評価の液体組成物は、均一に白濁しており、加熱後の沈殿物や凝集物がきわめて僅かな状態である。
△評価の液体組成物は、静置すると沈澱が生じる状態である。
×評価の液体組成物は、沈殿物や凝集物が多く、分離している状態である。
これらの大豆蛋白質含有液状飲食品を応用する飲料や調味料の粘度や流動性によるが、おおむね○〜◎評価であれば使用に好適である。
(実施例7)カルシウム配合
下記の表3に記載の配合量で、大豆乳化組成物(不二製油(株)製「濃久里夢」:乾物含量18.2%、乾物あたりの蛋白含量32.2%、乾物あたりの脂質43%、LCI値67%)を水に混合して、液中の蛋白質含量を1.0%に調整した。これに塩化ナトリウム0.5重量%、塩化カルシウム0.3重量%およびマルトース5重量%を添加し溶解させたのち、乳酸を加えてpH3.5〜6.5の各pHに調製した。これを容器に充填し、80℃の温水中で10分間加熱を行い、流水中で冷却して本発明の大豆蛋白質含有液状飲食品を得た。
(比較例4)カルシウム配合、蛋白質:糖=1:1
実施例7と同様の配合および製法で、ただしマルトースの添加量を1重量%としたものを調製した。
(比較例5)カルシウム配合、一般の大豆蛋白素材を使用
実施例6と同様の配合および製法で、ただし大豆乳化組成物を市販の無調整豆乳(乾物含量12.1%、乾物あたりの蛋白含量36.4%、乾物あたりの脂質含量31.4%、LCI値50%)に変更したものを調製した。
実施例7、比較例4および5で調製した液状飲食品について、実施例1と同様の操作によって蛋白質の溶解度を算出した。溶解度の結果を表3に記載した。カルシウム塩を添加した場合、大豆乳化組成物を使用し、マルトース5%、塩化ナトリウム0.5%を配合した実施例7は、pH4.5以下の酸性域で高い溶解度が得られた。均一で、沈澱や喫食時のざらつきがなく、良好であった。
一方、マルトースを1%に減らした比較例4では、いずれのpHでも十分な可溶化効果は得られなかった。大豆乳化組成物の代わりに、市販の豆乳を用いた比較例5でも、十分な可溶化効果は得られなかった。
Figure 0006565260
評価:溶解度0〜24重量%が×、25〜49重量%が△、50〜74重量%が○、75〜100重量%が◎
(実施例8)カルシウム入り酸性豆乳飲料
大豆乳化組成物(不二製油(株)製「濃久里夢」:乾物含量18.2%、乾物あたりの蛋白含量32.2%、乾物あたりの脂質43%、LCI値67%)52部、マルトース10部、塩化ナトリウム0.5部、塩化カルシウム0.3部、水36.7部を混合し均一に溶解した。これに乳酸0.3部を加え、さらにヨーグルト香料0.2部を加えて容器に充填し、80℃10分間の加熱殺菌を行い、蛋白含量3.0%、pH4.0のカルシウム入り酸性豆乳飲料を得た。この飲料は、均一で沈殿や飲んだ時のざらつきがなく、風味良好であった。
(実施例9)寿司酢調味料
大豆乳化組成物(不二製油(株)製「濃久里夢」:乾物含量18.2%、乾物あたりの蛋白含量32.2%、乾物あたりの脂質43%、LCI値67%)17部、マルトース10部、塩化ナトリウム0.5部、水52.5部を混合し、これに穀物酢20部を添加してpH 3.1に調整した。これを容器に充填し、80℃10分の加熱殺菌を行い、蛋白含量1.0%の寿司酢調味料を得た。
さらにこの寿司酢風調味料1部を米飯10部にかけて全体によく混ぜ、刺身などの具材を載せてちらし寿司として食したところ、酸味がおだやかで食べやすく、刺身の旨味を引き立てて相性が良好であった。

Claims (7)

  1. 蛋白質を乾物中20重量%以上含み、かつ蛋白質に対する脂質量が100重量%以上であり、さらにLCI値が55%以上である大豆乳化組成物を蛋白質として0.1〜6重量%含むこと、蛋白質含量の3重量倍以上の糖及び0.3重量倍以上のアルカリ金属塩を含むこと、pHが6.5以下であること、並びに、該pH値における蛋白質の溶解度が50重量%以上であること、を特徴とする大豆蛋白質含有液状飲食品。
  2. 二価金属塩を含み、pHが4.5以下である、請求項1に記載の大豆蛋白質含有液状飲食品。
  3. 蛋白質を乾物中20重量%以上含み、かつ蛋白質に対する脂質量が100重量%以上であり、さらにLCI値が55%以上である大豆乳化組成物を用い、該大豆乳化組成物と糖とアルカリ金属塩を含む溶液に酸を混合してpHを6.5以下に調整することを特徴とする大豆蛋白質含有液状飲食品の製造方法。
  4. 蛋白質を乾物中20重量%以上含み、かつ蛋白質に対する脂質量が100重量%以上であり、さらにLCI値が55%以上である大豆乳化組成物を用い、該大豆乳化組成物と糖とアルカリ金属塩および二価金属塩を含む溶液に、酸を混合してpH4.5以下に調整することを特徴とする大豆蛋白質含有液状飲食品の製造方法。
  5. 蛋白質を乾物中20重量%以上含み、かつ蛋白質に対する脂質量が100重量%以上であり、さらにLCI値が55%以上である大豆乳化組成物を用い、該大豆乳化組成物と糖とアルカリ金属塩とを水系下で混合した後、酸によりpH6.5以下に調整することを特徴とする、pH6.5以下における大豆蛋白質の安定化方法。
  6. 飲食品が酸性飲料である、請求項1又は2のいずれかに記載の大豆蛋白質含有液状飲食品
  7. 飲食品が調味料である、請求項1又は2のいずれかに記載の大豆蛋白質含有液状飲食品。
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