以下、図面を参照しながら、本発明に係るカップ式自動販売機の原料供給装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態による原料供給装置を適用したカップ式自動販売機の内部構造を示している。このカップ式自動販売機は、カップを搬送経路に沿って搬送するとともに、その搬送経路上の所定の粉末原料供給位置にカップを停止させながら、粉末原料をカップに順次供給し、調製済み飲料の入ったカップを販売口に搬送して購入者に提供する形式のものである。同図に示すように、このカップ式自動販売機は、カップ供給装置1と、このカップ供給装置1から受け取ったカップCを搬送するカップ搬送装置2を有する原料供給装置3と、カップ供給装置1および原料供給装置3を含め、カップ式自動販売機の各種の制御を行う制御手段(図示せず)などを備えている。
カップ供給装置1は、多数のカップCを、上下方向に積み重ねた状態で収容しておくもので、下部には、最下位のカップCをそれよりも上位のカップCと切り離し、カップ搬送装置2に受け渡すカップ切り離し機構(図示せず)を有している。このカップ供給装置1は、カップ搬送装置2の左端部の上方に設けられており、カップ供給装置1の直下の位置が、カップ搬送装置2の後述するカップ把持装置17の待機位置となっている。
原料供給装置3は、カップ搬送装置2と、複数種類の粉末原料を収容する複数の原料キャニスタ21と、この原料キャニスタ21の下部に設けられ、原料キャニスタ21に収容されている粉末原料を所定量ずつ外部に送り出す供給機構22と、これらの供給機構22の図示しない円筒状の前端部にそれぞれ装着された原料シュート24と、これらの原料シュート24にそれぞれ設けられた後述するシャッター27を開閉するシャッター開閉機構30とを有している。
カップ搬送装置2は、左右方向(図中、矢印A方向)に水平に延びる支持フレーム10と、この支持フレーム10の左右両端部にそれぞれ回転自在に設けられた駆動プーリ11および従動プーリ12と、これらのプーリ11、12間に巻き掛けられた無端の搬送ベルト13と、駆動プーリ11を回転させるエンコーダ付きの搬送モータ14と、搬送ベルト13に固定され、カップ把持装置17を前後方向(図中、矢印B方向)に搬送するカップ把持搬送部15と、カップ把持搬送部15に設けられ、カップ把持装置17を搬送するためのエンコーダ付きの搬送モータ16を有している。
カップ把持装置17は、カップ供給装置1から受け取ったカップCを左右両側から把持した状態で、支持フレーム10に沿って左右方向に搬送されるとともに、カップ把持搬送部15によって前後方向に搬送され、所定の複数の位置で停止されるようになっている。カップ把持装置17は、カップ把持搬送部15によって前後方向に搬送されるボックス状のケース18と、このケース18の正面から前方に突出した左右1対のカップ把持アーム19、19と、カップ受け台20と、ケース18に内蔵され、カップ把持アーム19、19を開閉駆動するアーム駆動機構(図示せず)などにより構成されている。
このカップ把持装置17が、飲料販売時に、左から右に向かって移動することにより、カップ把持アーム19、19で把持されたカップ受け台20上のカップCが、支持フレーム10と平行な搬送経路に沿って搬送される。そして、このカップCの搬送中に、カップ把持装置17が支持フレーム10の所定の位置に到達すると停止し、カップ把持搬送部15によって後方に搬送され、所定の位置で一時停止され、これに伴い、カップCも所定の粉末原料供給位置に一時停止し、この停止時に、原料キャニスタ21に収容され、供給機構22で送り出された所定量の粉末原料が原料シュート24からカップCに供給される。
原料キャニスタ21は、例えば、クリーム粉末を収容するクリーム粉末用原料キャニスタ、コーヒー粉末を収容するコーヒー粉末用原料キャニスタ、砂糖を収容する砂糖用原料キャニスタや、ココア粉末を収容するココア粉末用原料キャニスタなどの複数の原料キャニスタ21で構成されており、左右方向に複数並設されている。
供給機構22は、複数の原料キャニスタ21の下部にそれぞれ設けられ、所定量の粉末原料を前方に送り出す。これらの供給機構22の図示しない円筒状の前端部にはそれぞれ原料シュート24が装着されている。また、これらの原料シュート24にはそれぞれシャッター27(図2参照)が設けられ、シャッター27はシャッター開閉機構30(図3、4、5参照)で開閉される。
複数の原料シュート24は、互いに適宜間隔をあけて、カップ搬送経路上の上方に、これに沿って配置されている。原料シュート24は、図2に示しているように、原料シュート24自体を供給機構22の前端部に装着するための装着部24aと、この装着部24aから下方に延びる原料落下部24bと、下端に開口24dを設けた原料落下部24cとを有し、原料落下部24bと原料落下部24cとで原料通路26を形成している。また、原料落下部24bと原料落下部24cとの間には原料通路26を開閉するためのシャッター27が設けられており、飲料販売時に、原料キャニスタ21に収容され、供給機構22で前方に送り出された所定量の粉末原料が、原料シュート24の原料通路26を落下し、原料通路26のシャッター27上に一時的に保留されるようになっている。
このシャッター27は、平面形状を有するシャッター本体27aと、このシャッター本体27aに、短径方向(図2の表裏方向)に延びるように原料落下部24bと原料落下部24cとの間に固定されるとともに、原料シュート24の外壁に回動可能に支持された回動軸27bと、この回動軸27bの原料シュート24の外壁から左右方向に延びるシャッター開放レバー27cと、シャッター開放レバー27cの前端部27dに取り付けられ、シャッター本体27aを閉塞させる方向(時計回り方向)に付勢する引っ張りばね28とを有している。
これにより、シャッター27(シャッター本体27a)は、常時は、原料通路26を閉塞する位置に保持される。したがって、飲料販売時に、所定量の粉末原料が供給機構22から原料シュート24に送り出されると、その粉末原料は、閉塞位置のシャッター本体27a上に積み上がって圧縮された状態で、原料通路26に保留される。また、シャッター開放レバー27cを反時計方向に所定角度回転させるとシャッター本体27aが原料通路26を開放する。
このように、シャッター本体27aは、前下がり(図2では左下がり)に傾斜した姿勢で原料通路26を閉塞する閉塞位置(図2で示す位置)と、ほぼ鉛直な姿勢で原料通路26を開放する開放位置との間で、回動軸27bを中心に回動自在に構成されている。また、このシャッター本体27aが閉塞位置に位置するときには、シャッター開放レバー27cが後ろ下がり(図2では右下がり)に傾斜した姿勢となる一方、シャッター本体27aが開放位置に位置するときには、シャッター開放レバー27cが後ろ上がり(図2では右上がり)に若干傾斜した姿勢となる。つまり、シャッター27は、シャッター開放レバー27cの後端部27eの上げ下げに連動して、シャッター本体27aが原料通路26を開閉するようになっている。
シャッター開閉機構30は、図3、4、5に示しているように、飲料販売時に粉末原料を供給するとき、原料シュート24のシャッター本体27aを閉塞する方向に付勢する引っ張りばね28に抗して、シャッター27(シャッター本体27a)を閉塞位置から開放位置に回転させるものであり、シャッター本体27aを回転させて原料通路26を開放し、シャッター本体27a上に保留している粉末原料を落下させ、粉末原料供給位置に搬送されて停止しているカップCに供給する。
このシャッター開閉機構30は、原料シュート24の後方で、かつ、カップ把持装置17の通過経路の上側に配置されており、左右方向に延びるケース31(図1参照)と、原料シュート24にそれぞれ対応し、それらのシャッター27をそれぞれ開閉するためのシャッター開閉レバー32(図6参照)と、これらシャッター開閉レバー32にそれぞれ対応し、作動すべきシャッター開閉レバー32を選択するための選択レバー33(図7参照)と、シャッター開閉レバー32に係合可能なカム部34aを有するカムギア34(図8参照)と、カムギア34のギア部34bと噛み合う駆動ギア35(図4、5参照)と、駆動ギア35がピン36aで回動軸36に連結され、回動軸36がピン36bで連結された駆動モータ37(図3参照)と、一端がシャッター開閉レバー32、他端が選択レバー33に支承され、シャッター開閉レバー32を反時計方向に、選択レバー33をシャッター開閉レバー32方向(図5(a)では左方向)に付勢する引っ張りばね38(図4、5参照)と、カムギア34のカム部34aに係合し、カムギア34を時計方向(図5(a)参照)に回転を開始させるための平ばね39(図5参照)を備え、平ばね39はシャッター開閉レバー32に支持されている。
そして、これらシャッター開閉機構30は、上述したようにユニット化されているので、カップ式自動販売機に備えられる複数の原料キャニスタ21の数に合わせて配設することが容易である。
シャッター開閉レバー32は、複数の原料シュート24の間隔に合わせて、互いに左右方向に間隔をあけて複数配置され、左右方向に延びる回動軸40に軸着された回転穴32eを中心に、それぞれ回動自在に構成されている。各シャッター開閉レバー32は、図5、6に示すように、回動軸40を中心に、後端部(図5の右端)に配設されたレバーピン32aがカムギア34のカム部34aに係合し、常時は引っ張りばね38の張力で前端部32b(図5の左端)が最下位の待機位置に停止している。
そして、カムギア34が回転(図5(a)で時計方向に回転)すると、カム部34aと係合するレバーピン32aが押し下げられることで、前端部32bがシャッター27のシャッター開放レバー27cの後端部27eを押し上げる押圧位置(図12に示す位置)に回転するように構成されている。また、シャッター開閉レバー32の左中央部(図6(a)に示す位置)の下側には押圧突起部32cが設けられている。
選択レバー33は、図5、7に示すように、搬送モータ16が作動され、カップ把持搬送部15によってカップ把持装置17が後方(図5(a)の右方向)に搬送されるとケース18で押圧されるレバー部33aと、常時は、カムギア34のカムストッパ部34dに当接し、レバー部33aが後方(図5(a)の右方向)に移動されると(図9参照)、カムストッパ部34dから外れ、カムギア34を時計方向(図5(a)参照)に回転可能とするカム当接部33bと、ケース31の摺動板31aに沿って選択レバー33を前後方向にスライドさせるための溝部33cにより構成されている。
レバー部33aは、カップ把持装置17(ケース18)の上面の高さよりも低い位置まで延びており(図9参照)、カップ把持装置17が選択レバー33の下側を通過する際に、ケース18がレバー部33aを後方(図9の右方向)に押圧する。この押圧により、選択レバー33のカム当接部33bが後方に移動し(図11(a)参照)、カムストッパ部34dから外れる。カム当接部33bがカムストッパ部34dから外れることにより、平ばね39の開放される反力で、平ばね39がカム部34aの係合している部分を持ち上げることで、カムギア34が時計方向(図5(a)参照)に回転を始め、カムギア34のギア部34bが駆動ギア35と噛み合い、駆動モータ37で反時計方向に回転される駆動ギア35により時計方向に回転を継続する。
そして、カップ把持装置17がレバー部33aを所定の位置まで押圧すると、即、カップ把持装置17はカップ把持搬送部15によって前方に若干搬送され、所定の位置で一時停止され、これに伴い、カップCも所定の粉末原料供給位置である、原料シュート24の下端開口24d鉛直下の粉末原料供給位置に一時停止され、このカップCが所定の位置に停止時に、所定量の粉末原料が原料シュート24からカップCに供給される。
カムギア34は、図5、8に示すように、シャッター開閉レバー32のレバーピン32aと係合するカム部34a(図8(a)参照)と、駆動ギア35と噛み合うことで駆動ギア35の回転をカムギア34に伝達するギア部34bと、常時は駆動ギア35と対向し、駆動ギア35の回転を遮断しているギア切り欠き部34cと、カム部34aとは対する面(図8(b)に示している面)に設けられ、常時は選択レバー33のカム当接部33bに当接し、レバー部33aが後方に移動して当接状態が外れることで、カムギア34を回転可能とするカムストッパ部34dとを有し、左右方向に延びる回動軸41に軸着された回転穴34fを中心に、回動自在に構成されている。また、カム部34aには複数(本件実施例では3ヶ所)の凹部34eが設けられている。
以上のように構成された原料供給装置3の右方には、図1に示すように、湯タンク61および攪拌装置62が配設されている。カップCへの粉末原料の供給後、湯タンク61から供給ノズル63を介して、所定量の湯がカップCに供給されるとともに、湯の供給と同時、あるいは供給後に、攪拌装置62の昇降可能な羽根車64がカップC内に挿入され、これが回転することによって、カップC内の粉末原料と湯が攪拌されて飲料が調製される。
次に、上記のように構成された原料供給装置3の飲料販売時における動作について説明する。購入者により、例えば、クリーム・砂糖入りのコーヒーが選択されると、まず、カップ供給装置1が作動し、最下位のカップCが切り離されて落下し、待機位置に停止するカップ把持装置17に受け渡される。このカップCの受け渡しとほぼ同時に、カップCに供給すべき所定量の粉末原料が、それぞれの粉末原料が収容されている原料キャニスタ21から供給機構22により原料シュート24に送り出される。そして、原料シュート24に送り出されたそれぞれの粉末原料は、原料シュート24内の原料通路26を閉塞するシャッター27によって、原料通路26に一時的に保留される。
次いで、カップ搬送装置2の搬送モータ14が作動し、カップCを把持したカップ把持装置17が右方に移動する(図1参照)。これにより、カップCは、搬送経路に沿って右方に搬送される。そして、カップCが所定の粉末原料供給位置の手前、すなわち購入者により選択された飲料を調製するのに必要とする粉末原料が供給される原料シュート24の手前の位置で停止するように搬送モータ14が停止制御される。
次に、カップ把持搬送部15の搬送モータ16が作動し、カップ把持装置17が後方に搬送され、カムストッパ部34dからカム当接部33bが外れる位置までレバー部33aをケース18が押圧する。レバー部33aを所定の位置(カムストッパ部34dからカム当接部33bが外れた位置)まで押圧したカップ把持装置17は、即、カップ把持搬送部15によって前方に若干搬送され、所定の位置で一時停止され、これに伴い、カップ把持装置17のカップ把持アーム19、19で把持されているカップCも所定の粉末原料供給位置(原料シュート24の下端開口24d鉛直下の粉末原料供給位置)に一時停止される。このカップCが所定の位置に停止時に、シャッター27(シャッター本体27a)がシャッター開閉機構30で開放されて、所定量の粉末原料が原料シュート24からカップCに供給される。
このシャッター開閉機構30がシャッター27(シャッター本体27a)を開閉するときの動作を図9から図13の動作図、および図14のフローチャート図に基づいて詳述する。先ず、駆動モータ37を作動させる(図14ステップS11)。次に、カップ把持装置17が後方に搬送されてケース18が移動し、選択レバー33のレバー部33aを後方に押圧する(図9、図14ステップS12)。そして、レバー部33aを後方に押圧したカップ把持装置17はカップ把持搬送部15によって前方に若干搬送され、所定の位置で一時停止され(図10、図14ステップS13)、これに伴い、カップ把持装置17のカップ把持アーム19、19で把持されているカップCも所定の粉末原料供給位置(原料シュート24の下端開口24d鉛直下の粉末原料供給位置)に一時停止される。
カップ把持装置17のケース18で選択レバー33のレバー部33aが後方に押圧されると、選択レバー33が後方に移動することに伴い、カム当接部33bも後方に移動し、カムギア34のカムストッパ部34dから外れる(図11(a)、図14ステップS14)。カムストッパ部34dからカム当接部33bが外れると、カムギア34は平ばね39の反力により時計方向に回転を始め(図14ステップS15)、ギア部34bが駆動ギア35と噛み合い、予め、回転させている駆動モータ37で反時計方向に回転している駆動ギア35により時計方向に回転を継続する(図11(b)、図14ステップS16)。
カムギア34が時計方向に回転すると、引っ張りばね38の張力によって反時計方向に回転するように付勢されているシャッター開閉レバー32のレバーピン32aが係合しているカム部34aの外周に沿って押し下げられる方向に移動し(図14ステップS17)、シャッター開閉レバー32が時計方向に回転する(図11(c)、図14ステップS18)。シャッター開閉レバー32が時計方向に回転することで、その前端部32bがシャッター開放レバー27cの後端部27eを押し上げる。シャッター開放レバー27cの後端部27eが押し上げられると、シャッター本体27aが反時計方向に回転し(図14ステップS19)、鉛直状態になることでシャッター27(シャッター本体27a)によって原料通路26が開放され(図12、図14ステップS20)、原料通路26に保留されている所定量の粉末原料が落下し(図14ステップS21)、原料シュート24からカップCに粉末原料が供給される(図14ステップS22)。
さらに、カムギア34が時計方向に回転すると、カム部34aに設けられている複数(本件実施例では3ヶ所)の凹部34eに沿ってシャッター開閉レバー32のレバーピン32aが上下方向に移動し(図13、図14ステップS23)、レバーピン32aの上下方向の移動に伴ってシャッター開閉レバー32が反時計方向と時計方向とに回動を複数回繰り返す(本件実施例では3回)(図14ステップS24)。
シャッター開閉レバー32が反時計方向と時計方向とに複数回、回動を繰り返すことにより、シャッター開閉レバー32の前端部32bで押し上げられるシャッター開放レバー27cの後端部27eが上下動を繰り返し、シャッター27のシャッター開放レバー27cが回動を繰り返す。この、シャッター開放レバー27cが回動を繰り返すことで、シャッター27(シャッター本体27a)も回動(開閉)を繰り返し、引っ張りばね28により発生する衝撃力により振動する(本件実施例では3回)(図14ステップS25)。引っ張りばね28により発生する衝撃力による振動によってシャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料が原料シュート24からカップCに落下し(図14ステップS26)、原料シュート24内に粉末原料が残ることを防ぐことができる。
そして、さらに、カムギア34が時計方向に回転すると、駆動ギア35と対向する位置にギア切り欠き部34cが到達し、また、カムストッパ部34dが選択レバー33のカム当接部33bに当接することで、カムギア34の回転が停止する。カムギア34が停止位置に到達すると、シャッター開閉レバー32が引っ張りばね38の張力によって反時計方向に回転し、シャッター開放レバー27cが時計方向に回転することで、シャッター27(シャッター本体27a)によって原料通路26が閉塞する。
シャッター27(シャッター本体27a)によって原料通路26が閉塞すると、カップ把持搬送部15の搬送モータ16が再度作動されてカップ把持装置17が前方に搬送され、さらに、カップ搬送装置2の搬送モータ14が再度作動され、次の粉末原料供給位置に向けて移動および停止が制御される。
以上のように、カップ把持装置17の移動および停止が繰り返されることにより、カップCは、例えば、クリーム粉末、コーヒー粉末および砂糖の供給位置に順次停止されるとともに、粉末原料が順次供給される。そして、供給すべき粉末原料がすべて供給されたカップCは、所定の攪拌位置に停止され、湯タンク61からの湯が供給ノズル63を介して注ぎ入れられるとともに、各粉末原料と湯が攪拌装置62の羽根車64によって攪拌される。これにより、販売飲料としてのクリーム・砂糖入りのコーヒーの調製が完了し、この調製済みのコーヒー飲料は、販売口に搬送され、購入者に提供される。
このように、駆動モータ37の駆動力を利用して粉末原料を一時的に保留している原料シュート24のシャッター27(シャッター本体27a)を開放するようにしているので、カップ把持装置17を搬送する搬送モータ16には、シャッター本体27aを閉塞させる方向に付勢する力に反して引っ張りばね28を伸長させるための大きな力や、粉末原料で固着したシャッター本体27aを開放させるための大きな力などを必要としないので、小型で安価な搬送モータ16を採用することが可能となる。
また、カップ把持装置17は後方に搬送され、カムストッパ部34dからカム当接部33bが外れる位置までレバー部33aをケース18で押圧すると、即、カップ把持搬送部15によって前方に若干搬送され、所定の位置で一時停止され、これに伴い、カップ把持アーム19、19で把持されているカップCも所定の粉末原料供給位置(原料シュート24の下端開口24d鉛直下の粉末原料供給位置)に一時停止された後、シャッター27(シャッター本体27a)がシャッター開閉機構30で開放されて、所定量の粉末原料が原料シュート24からカップCに供給されるようにしているので、原料シュート24から供給される粉末原料がカップCの外に飛散することがなくなり、飲料品質を向上させることが可能となる。
さらに、原料シュート24の原料通路26やシャッター27(シャッター本体27a)に固着している粉末原料を落として清掃するときには、シャッター開閉レバー32の押圧突起部32cを連続して複数回押し上げることで、シャッター開閉レバー32の前端部32bがシャッター開放レバー27cの後端部27eを連続して複数回押し上げ、シャッター27(シャッター本体27a)を引っ張りばね28により発生する衝撃力により振動させながら開閉させ、固着している粉末原料をその振動で効率よく落として清掃することができる。
また、選択レバー33のレバー部33aを押圧しておき、駆動モータ37を作動させることで、原料シュート24から粉末原料を廃棄することができる。さらに、複数のレバー部33aを押圧しておき、駆動モータ37を作動させることで、同時に複数の原料シュート24から粉末原料を廃棄することができ、オペレーターの清掃作業性を向上させることができる。さらに、シャッター本体27aが閉塞するときの衝撃でシャッター本体27a上に固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料を効率よく落とし、原料シュート24内に粉末原料が残ることを防ぐことができる。
さらに、選択レバー33のレバー部33aを押圧しながら、駆動モータ37を作動させることで、シャッター27(シャッター本体27a)を連続して開閉し、原料シュート24から粉末原料を連続して排出することができる。
また、駆動モータ37を時計方向と反時計方向に連続して繰り返し回転させ、シャッター27(シャッター本体27a)を時計方向、反時計方向に複数回繰り返して回転させ、開閉させることで、シャッター本体27aを引っ張りばね28により発生する衝撃力により振動させ、その振動によりシャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料を効率よく落とし、原料シュート24内に粉末原料が残ることを防ぐことができる。さらに、カムギア34を2回転させ、シャッター27(シャッター本体27a)を2回、開閉させることで、1回目のシャッター27(シャッター本体27a)開放では落ち切れなかった粉末原料を2回目のシャッター27(シャッター本体27a)開放で完全に落とすことができる。
(実施の形態2)
図15は、本発明に係るカップ式自動販売機の原料供給装置の実施の形態2を示す図であり、シャッター開閉機構がシャッターを回動させて振動し、固着した粉末原料を落としている図である。
駆動ギア42それぞれに駆動モータ43を直結して取り付け、カップ把持装置17のカップ把持アーム19、19で把持されているカップCが所定の粉末原料供給位置(原料シュート24の下端開口24d鉛直下の粉末原料供給位置)に搬送され、搬送センサ44(例えば、光センサ)が検知(例えば、搬送センサ44がケース18を検知)するとカップ把持装置17が一時停止される。
カップCが所定の位置に停止すると駆動モータ43を作動させ、駆動ギア42を反時計方向に回転させ、カムギア45が所定の位置に回転したことを一時保留センサ46(例えば、光センサ)が検知すると、駆動モータ43で駆動ギア42を時計方向、反時計方向とに連続して回転させるようにしている。すると、シャッター27(シャッター本体27a)が連続して開閉されて引っ張りばね28により発生する衝撃力により振動し、シャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料を効率よくカップC内に落として清掃することを自動で行わせることができる。
また、駆動ギア42それぞれに駆動モータ43を直結して取り付けているので、制御手段が、カップ式自動販売機に備えられている複数の原料シュート24に連続してカップ把持装置17のカップ把持アーム19、19で把持されているカップCを搬送し、シャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料を効率よくカップC内に落として清掃することを自動で行わせることができる。
さらに、制御用リモコンに原料シュート自動リンスボタン(図示せず)を設け、該原料シュート自動リンスボタンを押圧することにより、上述した動作を自動で行わせる。または、飲料の販売が少ない夜間などの所定の時間に自動で原料シュート自動リンスを行わせるようにしてもよい。例えば、原料シュート自動リンスボタンが押圧されたとき、または、所定の時間に到達したとき、図16のフローチャート図に示しているように、制御手段は、カップ把持装置17が原料シュート24の下端開口24d鉛直下の粉末原料供給位置にカップCを搬送し、カップCが搬送されたことを搬送センサ44が検知すると(ステップS41:Yes)、駆動ギア42を反時計方向に回転させ(ステップS42)、カムギア45が所定の位置に回転したことを一時保留センサ46が検知すると(ステップS43:Yes)、駆動ギア42を停止させる、または、カムギア45を時計方向、反時計方向に回転させ(ステップS44)、シャッター27(シャッター本体27a)が開閉されて引っ張りばね28により発生する衝撃力により振動し(ステップS45)、シャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料を効率よくカップC内に落として(ステップS46)、清掃することを自動で行わせることができる。
そして、上述した原料シュート自動リンスで、シャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料が落とされたカップCは、自動で廃棄バケツに廃棄される。このように、粉末原料が落とされたカップCは自動で廃棄バケツに廃棄されるので、原料シュート自動リンスが終了すると、カップ式自動販売機は飲料の販売が可能となる。
(実施の形態3)
図17は、本発明に係るカップ式自動販売機の原料供給装置の実施の形態3を示す図であり、シャッター開閉機構がシャッターを回動させて振動し、固着した粉末原料を落としている図である。
シャッター開閉レバー51を時計方向、反時計方向に回転させるレバー回動手段52(例えば、ソレノイド)をシャッター開閉レバー51に連結して設け、カップ把持装置17のカップ把持アーム19、19で把持されているカップCが所定の粉末原料供給位置(原料シュート24の下端開口24d鉛直下の粉末原料供給位置)に搬送され、搬送センサ44が検知(例えば、搬送センサ44がケース18を検知)するとカップ把持装置17が一時停止される。
カップCが所定の位置に停止すると、レバー駆動手段52がシャッター開閉レバー51を時計方向、反時計方向に回転させることで、シャッター27(シャッター本体27a)が開閉されて引っ張りばね28により発生する衝撃力により振動し、最後にシャッター27(シャッター本体27a)を全開させるようにすると、シャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料を効率よくカップC内に落として清掃することを自動で行わせることができる。
さらに、原料シュート自動リンスボタンが押圧されたとき、または、所定の時間に到達したとき、図18のフローチャート図に示しているように、制御手段は、カップ把持装置17が原料シュート24の下端開口24d鉛直下の粉末原料供給位置にカップCを搬送し、カップCが搬送されたことを搬送センサ44が検知すると(ステップS51:Yes)、レバー駆動手段52がシャッター開閉レバー51を時計方向、反時計方向に回転させることで(ステップS52)、シャッター27(シャッター本体27a)が開閉されて引っ張りばね28により発生する衝撃力により振動し(ステップS53)、最後にシャッター27(シャッター本体27a)を全開させるようにすると、シャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料を効率よくカップC内に落として(ステップS54)、清掃することを自動で行わせることができる。
そして、上述した原料シュート自動リンスで、シャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料が落とされたカップCは、自動で廃棄バケツに廃棄される。このように、粉末原料が落とされたカップCは自動で廃棄バケツに廃棄されるので、シュート自動リンスが終了すると、カップ式自動販売機は飲料の販売が可能となる。
以上のように、本実施形態によれば、粉末原料を下方に送り出すための原料通路26に回動軸27bを中心に回動自在に設けられ、原料通路26を開閉するシャッター27を有する原料シュート24と、シャッター27を開閉させるシャッター開閉機構30と、カップ式自動販売機の各種の制御を行う制御手段と、を備え、制御手段は、シャッター開閉機構30でシャッター27を開閉させて原料シュート24の自動リンスを行うことにより、オペレーターの清掃作業性を向上させ、飲料品質を向上させることが可能なカップ式自動販売機の原料供給装置3を提供することが可能となる。
また、シャッター27は、回動軸27bを中心に回動自在に設けられ、原料通路26を開閉するとともに、常時は、引っ張りばね28の引っ張り力で原料通路26を閉塞させているシャッター本体27aと、回動軸27bの端部から外方に延びるシャッター開放レバー27cとを有し、シャッター開閉機構30は、シャッター開放レバー27cを介してシャッター27を開閉させ、引っ張りばね28により発生する衝撃力によりシャッター27に振動を生じさせることにより、シャッター開放レバー27cがシャッター27(シャッター本体27a)を開閉(回動)させ、その開閉(回動)による振動によってシャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料が原料シュート24から落下し、原料シュート24内に粉末原料が残ることを防ぐことが可能となる。
また、シャッター開閉機構30は、駆動モータ37によって回転駆動される駆動ギア35と噛み合うギア部34aを有するカムギア34と、カムギア34とシャッター27との間に配設され、カムギア34のカム部34aに係合することにより、シャッター27のシャッター開放レバー27cを押圧し、シャッター27を開閉するシャッター開閉レバー32を有していることにより、カムギア34のギア部34bが駆動モータ37によって回転駆動される駆動ギア35と噛み合うことで回転し、カム部34aに係合するシャッター開閉レバー32を回動させ、シャッター開放レバー27cを押圧し、シャッター27を開閉することが可能となる。この、シャッター開閉レバー32を回動し、シャッター開放レバー27cが回動を繰り返すと、シャッター27(シャッター本体27a)も回動(開閉)し、その回動(開閉)による振動によってシャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料が原料シュート24から落下し、原料シュート24内に粉末原料が残ることを防ぐことが可能となる。
また、駆動モータ43は、駆動ギア42に直接接続され、カムギア45を回動させることにより、駆動モータ43で駆動ギア42を時計方向、反時計方向に連続して回転させると、カム部45aに係合するシャッター開閉レバー32が連続してシャッター開放レバー27cを押圧し、シャッター27(シャッター本体27a)が連続して回動(開閉)されて振動し、シャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料を効率よく落として清掃することを自動で行う原料シュート自動リンスが可能となる。
また、シャッター開閉レバー51を直接回動させるレバー回動手段52を設けたことにより、シャッター開閉レバー51が連続してシャッター開放レバー27cを押圧し、シャッター27(シャッター本体27a)が連続して回動(開閉)されて振動し、シャッター本体27a上に圧縮されて固着している粉末原料や原料通路26に固着している粉末原料を効率よく落として清掃することを自動で行う原料シュート自動リンスが可能となる。
なお、本発明のカップ式自動販売機の原料供給装置3は、本実施の形態に示す装置にのみ限定されず、その趣旨の包含する範囲で応用適用が可能である。