JP2013213941A - 空間光変調器 - Google Patents

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Abstract

【課題】画素において光変調素子が設けられていない有効領域外からの出射光による明暗の中間状態を排除して、コントラストを向上させた空間光変調器を提供する。
【解決手段】スピン注入磁化反転素子5を+θk,−θkのいずれかの角度に旋光させる光変調素子として備える画素を基板7上に2次元配列された空間光変調器10の画素アレイ50は、隣り合う画素におけるスピン注入磁化反転素子5,5間に、磁化方向を固定された+θkの角度に旋光させる素子間磁性層4を備える。素子間磁性層4は、スピン注入磁化反転素子5との間隔が入射光の回折限界よりも短くなるように設けられ、空間光変調器10によれば、画素アレイ50から出射する光のすべてが入射光に対して+θk,−θkのいずれかで旋光した光であるため、明暗の中間状態に表示されることがなく、良好なコントラストで表示される。
【選択図】図2

Description

本発明は、入射した光を磁気光学効果により光の位相や振幅等を空間的に変調して出射する空間光変調器に関する。
空間光変調器は、画素として光学素子(光変調素子)を用い、これをマトリクス状に2次元配列して光の位相や振幅等を空間的に変調するものであって、ディスプレイ技術や記録技術等の分野で広く利用されている。空間光変調器として、従来より液晶が用いられているが、近年では、高速処理かつ画素の1μm以下の微細化の可能性が期待される磁気光学材料を用いた磁気光学式空間光変調器の開発が進められている。
磁気光学式空間光変調器においては、磁性体に入射した光が透過または反射する際にその偏光の向きを変化(旋光)させて出射するファラデー効果(反射の場合はカー効果)を利用している。すなわち磁気光学式空間光変調器(以下、空間光変調器)は、選択された画素(選択画素)における光変調素子の磁化方向とそれ以外の画素(非選択画素)における光変調素子の磁化方向を異なるものとして、選択画素から出射した光と非選択画素から出射した光で、その偏光の回転角(旋光角)に差を生じさせた2値の光に変調する。このような光変調素子の磁化方向を変化させる方法として、光変調素子に磁界を印加する磁界印加方式(例えば、特許文献1)や、光変調素子に電流を供給することでスピンを注入するスピン注入方式(例えば、特許文献2,3)がある。
例えば、特許文献1に記載された磁界印加方式の空間光変調器は、磁性ガーネット膜のような磁性材料からなる光変調素子を2次元配列して構成され、光変調素子に磁界を画素毎に印加するために、各画素の光変調素子の周縁に沿って一周する向きに電流が流れる配線を設けている。そして、この空間光変調器は、印加磁界により隣の画素の光変調素子が追随して磁化反転しないように、磁性膜(光変調素子)が画素毎に間隔を空けて分離されている。磁界印加方式の空間光変調器は、このような配線が設けられた構造とするために、数μm以下の微細な画素を形成することは困難であり、また、電流による合成磁界を利用するために、さらなる画素の微細化を行うと隣の画素へのクロストークが大きくなるという問題がある。
一方、スピン注入方式の空間光変調器は、CPP−GMR(Current Perpendicular to the Plane Giant MagnetoResistance:垂直通電型巨大磁気抵抗効果)素子や、TMR(Tunnel MagnetoResistance:トンネル磁気抵抗効果)素子等の、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)にも適用されるスピン注入磁化反転素子が光変調素子に適用される。一般的に、図3に断面模式図で示すように、スピン注入磁化反転素子5は、非磁性層または絶縁層(中間層2)を挟んだ2つの磁性層からなる少なくとも3層の積層構造で、膜面に垂直に電流を供給することにより電子のスピンが注入されて、磁性層の1つ(磁化自由層1)の磁化方向が変化する。すなわち、この磁化自由層1が前記磁界印加方式の光変調素子に相当する。スピン注入磁化反転素子5は、上下に上部電極82および下部電極81を一対の電極として接続するので、磁界印加方式の光変調素子のように、これらの電極81,82を画素サイズに対して極度に細い配線として形成しなくてよい。また、スピン注入磁化反転素子5は、素子サイズ(面積)および厚さが小さいほど小さい電流で容易に磁化反転し、また光変調素子として2次元配列して空間光変調器を構成する場合に、下に接続する下部電極81と上に接続する上部電極82とを平面視で互いに直交するストライプ状に形成すればよいので、磁界印加方式よりも画素のいっそうの微細化を可能とする。
スピン注入磁化反転素子5を2次元配列して空間光変調器100を構成する場合は、磁界印加方式の光変調素子と同様に、各々が独立して磁化反転するように、かつ電気的に短絡しないように、図7に断面図で示すように離間して配列される。したがって、空間光変調器100の受光部である2次元配列された画素(画素アレイ150)は、その全面をスピン注入磁化反転素子5(磁化自由層1)が占めることはない。ここで、画素アレイ150のスピン注入磁化反転素子5,5間等を埋める絶縁層106は、スピン注入磁化反転素子5の磁性膜と同様に、スパッタリング法等で薄膜を精度のよい厚さに成膜することができる、SiO2,Si34,MgOのような酸化物や窒化物等が適用され、これらは透光性の材料である。
図7に示すように、偏光の向きを変化させる空間光変調器100から、選択画素からの出射光のみを取り出してスクリーン等の検出器PDに投影する表示装置とするためには、空間光変調器100の画素アレイ150の出射側に特定の1つの偏光成分の光を遮光する偏光子(偏光フィルタ)PFoを配置する。また、偏光子PFoで非選択画素からの出射光を完全に遮光するために、各画素からの出射光はそれぞれが1つの偏光成分の光(偏光の向き)でなくてはならないので、空間光変調器100へ照射する光も、別の偏光子PFiを透過させた1つの偏光成分の光(図7中の入射光L0)である。なお、図7は模式図であり、空間光変調器100(画素アレイ150)について、破断線の左側にX方向に沿った断面図を、右側にY方向に沿った断面図をそれぞれ表し、また、偏光子PFoおよび検出器PDと画素アレイ150との位置関係は、破断線を挟んで必ずしも整合するものではない。
空間光変調器100からの出射光が、スピン注入磁化反転素子5(磁化自由層1)によって変調した2値の光(図7の出射光L1,L2,L3)のみであれば、偏光子PFoを透過して検出器PDに投影される光は、選択画素からの出射光L2,L3に限定される。しかしながら、前記した通り、画素アレイ150におけるスピン注入磁化反転素子5の配置された領域(画素の有効領域と称する)は一部にすぎず、この領域外に入射した光は、上部電極82または上部電極82,82間の絶縁層106を透過し、スピン注入磁化反転素子5,5間の絶縁層106を透過して下部電極81の表面で反射して(図7の出射光Lne1,Lne3)、あるいはさらに下部電極81,81間の絶縁層106を透過して基板7の反射面(基板7の酸化膜71と母材72との界面)で反射して(図7の出射光Lne2)、再びこれらの絶縁層106や上部電極82を透過して画素アレイ150から出射する。このような出射光Lne1,Lne2,Lne3は、入射光L0に対して旋光していないので、2値の光以外の光すなわちノイズとなる。
偏光子は、特定の1つの偏光成分の光のみを遮光し、それ以外の光については、遮光される偏光成分に対して差(偏光の向きの角度差)が大きくなるにしたがい透過させる光の光量が多くなり、差が90°の光について最も多く(100%とする)透過させる。スピン注入磁化反転素子5による旋光角が±θkである場合、空間光変調器は入射光L0を+θk,−θkいずれかの角度に旋光させた2値の光に変調して出射するので、偏光子PFoで正規に取り出される出射光L2,L3は、偏光子PFoに入射した光の(sin2θk)×100%の光量である。一方、旋光していない出射光Lne1,Lne2,Lne3も、(sinθk)×100%の光量、すなわち出射光L2,L3の約半分の光量で偏光子PFoを透過して、スピン注入磁化反転素子5からの出射光と共に検出器PDに到達する。
このように、空間光変調器(画素アレイ)においてスピン注入磁化反転素子5や磁界印加方式の光変調素子が配置された領域(画素の有効領域)以外の領域からも光が出射すると、選択画素と非選択画素とのコントラストが低下する。画素に占める有効領域は多いほど、理想的には全領域が有効領域であることが好ましいが、前記した通り、絶縁や画素毎の磁界印加のために、また配線の抵抗や加工精度等の確保の観点から、光変調素子同士はある程度間隔を設けて配列する必要がある。さらにスピン注入磁化反転素子を構成する磁性材料(磁化自由層)は、旋光角θkが比較的小さく光変調度が低いため、偏光子を介して所望の選択画素または非選択画素からの出射光を的確に取り出すことが困難になる。
そこで、近年、空間光変調器は、スピン注入磁化反転素子で光変調した光について、偏光子PFoを透過する絶対量を多くするため、極カー効果でより大きな旋光角θkが得られる垂直磁気異方性を有するスピン注入磁化反転素子を適用している(例えば特許文献3)。そして、空間光変調器は、2次元配列された光変調素子を備える画素アレイ上において、画素有効領域以外の領域には塗膜等で光を吸収する光吸収膜を設けて、入出射光を遮光することが一般的である。
特許第4596468号公報 特許第4829850号公報 特開2009−139607号公報
空間光変調器は、光変調素子の光変調度を高くしても、光変調素子のない領域から出射する非旋光(非変調)の光は存在するため、明暗の中間状態が表示されることに変わりがなく、コントラストの向上には限界がある。また、空間光変調器は、画素アレイ上に塗膜等を設けると、画素アレイ上に光変調素子の各々の配置および形状に合わせて孔を形成するために、光変調素子と同様に微細な加工を行う工程がさらに必要となる。
本発明は前記問題点に鑑み創案されたもので、画素に微細な光変調素子を備え、画素有効領域外からの出射光を抑制してコントラストを向上させた空間光変調器を提供することが課題である。
前記課題を解決するために、本発明者らは、光変調素子の配置されていない領域から出射した光も変調させることに想到した。すなわち、本発明に係る空間光変調器は、磁化方向を変化させることができる磁性材料を有する複数の光変調素子を2次元配列して備え、前記光変調素子に入射した光の偏光方向を異なる2方向のいずれかに変化させて出射するものである。そして、空間光変調器は、入射した光の偏光方向を特定の一方向に変化させて出射する素子間磁性膜を、隣り合う前記光変調素子同士の間に備える構成とした。さらに本発明に係る空間光変調器において、前記素子間磁性膜は、前記特定の一方向に偏光方向を変化させる角度が、前記光変調素子が変化させる前記2方向の偏光方向の一方の角度に対して、差が20%以内であることが好ましい。
かかる構成により、空間光変調器の光変調素子の配置されていない領域に入射した光は、素子間磁性膜により旋光して出射するので、光変調素子により変調した2種類の光の中間の偏光の向きでなく、明暗の中間状態とならず、出射光のコントラストが向上する。さらに、素子間磁性膜による旋光角を、光変調素子による旋光角の一方に近付けることで、素子間磁性膜により旋光して出射した光は、光変調素子により変調した2種類の光の一方の偏光の向きに近いものとなるので、出射光のコントラストがいっそう良好となる。
さらに本発明に係る空間光変調器において、前記素子間磁性膜は、前記光変調素子の磁化方向が変化する前記磁性材料よりも保磁力が大きいことが好ましい。かかる構成により、空間光変調器は、光変調素子の磁化反転動作等にかかわらず、素子間磁性膜の磁化が一方向に固定されているため、素子間磁性膜から出射した光の偏光の向きが一定であり、コントラストが安定する。
本発明に係る空間光変調器は、前記光変調素子がスピン注入磁化反転素子であるとき、前記光変調素子に接続した一対の電極と、隣り合う前記光変調素子同士を絶縁する絶縁層と、をさらに備える構成とした。さらに、このような空間光変調器は、前記光変調素子および前記素子間磁性膜が、前記絶縁層により隔てられた距離が前記入射した光の回折限界よりも短いことが好ましい。
かかる構成により、光変調素子に、直接に電極を接続するスピン注入磁化反転素子を適用しても、当該スピン注入磁化反転素子間に磁性膜を設けることができる。そして、絶縁層により隔てられた距離を入射光の回折限界よりも短くすることで、出射光に旋光していない光が現れないのでコントラストが向上する。
本発明に係る空間光変調器によれば、公知の光変調素子を適用して、容易にコントラストに優れた空間光変調器とすることができる。
本発明の第1実施形態に係る空間光変調器の構成を説明する平面図である。 本発明の第1実施形態に係る空間光変調器を用いた表示装置の模式図であり、図1のA−A断面およびB−B断面における部分断面図に相当する。 本発明の第1実施形態に係る空間光変調器の光変調素子に適用されるスピン注入磁化反転素子の断面図で、磁化反転動作および光変調動作を説明する模式図である。 本発明の第2実施形態に係る空間光変調器を用いた表示装置の模式図であり、図1のA−A断面およびB−B断面における部分断面図に相当する。 本発明の第3実施形態に係る空間光変調器の構成を説明する底面図である。 本発明の第3実施形態に係る空間光変調器を用いた表示装置の模式図であり、図5のC−C断面における部分断面図に相当する。 スピン注入磁化反転素子を光変調素子に適用した従来の空間光変調器を用いた表示装置の模式図であり、平面視X方向とY方向とにおける部分断面図である。
本発明に係る空間光変調器は、画素(空間光変調器による表示の最小単位での情報(明/暗)を表示する手段を指す。)として、入射した光を異なる2値の光(偏光成分)に変調して出射する光変調素子を備える。以下、本発明に係る空間光変調器を実現するための形態について図を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る空間光変調器10は、基板7と、スピン注入磁化反転素子5を光変調素子として備える画素を基板7上に2次元配列した画素アレイ50を備え、また、画素アレイ50から1つ以上の画素を選択してそのスピン注入磁化反転素子5を駆動する電流制御部90を備える。本実施形態における平面(上面)は空間光変調器10の光の入射面であり、空間光変調器10は画素アレイ50に上方から入射した光を反射してその光を変調して上方へ出射する反射型の空間光変調器である。
本実施形態では、画素アレイ50は、説明を簡潔にするために、4行×4列の16個の画素からなる構成で例示される。これは、後記の第2、第3実施形態も同様とする。画素アレイ50は、平面視において、Y方向(図1における縦方向)に延設された4本の下部電極81と、下部電極81と直交するX方向(図1における横方向)に延設された4本の上部電極82と、を備え、下部電極81と上部電極82との交点毎に1つの画素が形成される。なお、下部電極81および上部電極82は、適宜、両者をまとめて電極81,82と称する。そして、画素アレイ50は、画素毎に、一対の電極としての下部電極81および上部電極82と、これらの電極81,82に上下から挟まれたスピン注入磁化反転素子5を備える。さらに、画素アレイ50は、隣接する画素同士のスピン注入磁化反転素子5,5間の隙間に、前記スピン注入磁化反転素子5,5と間隔を空けて素子間磁性層(素子間磁性膜)4を備える。そして、画素アレイ50は、スピン注入磁化反転素子5と素子間磁性層4との間、下部電極81,81間および上部電極82,82間が、それぞれ絶縁層6でそれぞれ埋められている。なお、図1において、電極81,82は画素アレイ50の右上部分で切り欠いて示し、この右上部分に素子間磁性層4を示す。
次に、本発明の第1実施形態に係る空間光変調器の画素を構成する各要素の詳細を、図1〜3を参照して説明する。なお、図2は、図1に示す空間光変調器(画素アレイ)について、破断線の左側にA−A断面図を、右側にB−B断面図をそれぞれ表す。
(スピン注入磁化反転素子)
スピン注入磁化反転素子5は、空間光変調器10の光変調素子であり、入射した光の偏光の向きを+θk,−θkの2値のいずれかに回転させて出射する。スピン注入磁化反転素子5は、図2および図3に示すように、上部電極82と下部電極81とに上下で接続させて設けられ、磁化固定層3、中間層2、磁化自由層1、保護膜54(図3では図示省略)の順に積層された構成である。スピン注入磁化反転素子5は、磁化が一方向に固定された磁化固定層3および磁化の方向が回転可能な磁化自由層1を、非磁性または絶縁体である中間層2を挟んで備えたCPP−GMR(Current Perpendicular to the Plane Giant Magneto-Resistance:垂直通電型巨大磁気抵抗効果)素子やTMR(Tunnel MagnetoResistance:トンネル磁気抵抗効果)素子等の公知のスピン注入磁化反転素子である。スピン注入磁化反転素子5はさらに、下部電極81との密着性を得るために下地膜(図示省略)や、酸化防止等のために保護膜54を、必要に応じて備える。これらの各層3,2,1,54は、例えばスパッタリング法や分子線エピタキシー(MBE)法等の公知の方法で連続的に成膜されて積層され、電子線リソグラフィおよびイオンビームミリング法等で所望の平面視形状に加工される。
スピン注入磁化反転素子5は、上下に接続された上部電極82、下部電極81を一対の電極として膜面垂直方向に電流を供給されることにより、磁化自由層1の磁化方向が変化(スピン注入磁化反転)する。詳しくは図3(a)に示すように、磁化固定層3の側から電子を注入されたときは磁化自由層1が磁化固定層3と同じ磁化方向に、すなわち磁化が平行(P:Parallel)になる。反対に図3(b)に示すように、磁化自由層1の側から電子を注入されたときは磁化自由層1が磁化固定層3と反対の磁化方向に、すなわち磁化が反平行(AP:Anti-Parallel)になる。このように、スピン注入磁化反転素子5は、好適にスピン注入磁化反転(磁化反転)するように、平面視で各辺が100〜500nm程度の矩形またはそれに相当する面積となる形状が好ましく、かつ、一辺の長さを少なくとも空間光変調器に入射する光の回折限界(波長の1/2程度)以上とする。本実施形態においては、図1に示すように、スピン注入磁化反転素子5は平面視正方形である。
磁化自由層1は磁性体であり、電流供給によるスピン注入で磁化を容易に反転(180°回転)させることができ、磁化を固定された磁化固定層3と同じ磁化方向(磁化が平行)または反対の磁化方向(磁化が反平行)を示す。この磁化自由層1の磁化方向に応じて、スピン注入磁化反転素子5は、入射した光を+θkまたは−θkに旋光させて出射する。磁化自由層1はCPP−GMR素子やTMR素子に用いられる公知の磁性材料にて構成することができ、極カー効果で旋光角θkが大きくなる垂直磁気異方性材料を適用することが好ましい。具体的には、Fe,Co,Ni等の遷移金属とPd,Ptのような貴金属とを繰り返し積層したCo/Pd多層膜のような多層膜、Tb−Fe−Co,Gd−Fe等の希土類金属と遷移金属との合金(RE−TM合金)、L10系の規則合金としたFePt, FePd等が挙げられ、特に空間光変調器10(画素アレイ50)への入射光の波長において磁気光学効果の大きい材料を選択することがより好ましい。また、磁化自由層1は、容易に磁化反転するように、かつ、スピン注入磁化反転素子5が平行、反平行いずれかの磁化を示しているとき、その磁化を反転させる電流を供給されるまでは磁化方向が保持される、ある程度の保磁力を有するようにする。磁化自由層1は、このような適度な保磁力を有し、かつ十分な旋光角とするように、厚さが1〜20nmの範囲において設計されることが好ましい。
磁化固定層3は磁性体であり、画素アレイ50のすべてのスピン注入磁化反転素子5において、磁化を同一方向に、ここでは図2に示すように上向きに固定されている。磁化固定層3は、磁化自由層1と同様に、CPP−GMR素子やTMR素子に用いられる前記公知の磁性材料にて構成することができ、磁化自由層1と同じ垂直磁気異方性材料を適用することが好ましい。一方、磁化固定層3は磁化が固定されるように、磁化自由層1よりも保磁力が大きくなるように、磁性材料や厚さが選択され、具体的には厚さが1〜50nmの範囲において設計されることが好ましい。
中間層2は、磁化自由層1と磁化固定層3との間に設けられ、スピン注入磁化反転素子5がTMR素子であれば絶縁体、CPP−GMR素子であれば非磁性の導体で形成される。スピン注入磁化反転素子5をTMR素子構造とする場合、中間層2は、MgO,Al23,HfO2のような絶縁体や、Mg/MgO/Mgのような絶縁体を含む積層膜からなり、その厚さは0.1〜2nmとすることが好ましい。また、スピン注入磁化反転素子5をCPP−GMR素子構造とする場合、中間層2は、Cu,Ag,Alのような非磁性金属からなり、その厚さは1〜10nmとすることが好ましい。特に中間層2は、Agを適用して厚さ6nm以上とした場合、スピン注入磁化反転素子5に入射した光を高反射率で反射するため、出射する光の量が多くなってコントラストが向上するので好ましい。
保護膜54は、スピン注入磁化反転素子5の加工時のダメージから磁化自由層1等を保護するために、また特に磁化自由層1が酸化し易いRE−TM合金を含む場合、表面(上面)の酸化を防止するために必要に応じて設けられる。保護膜54は、Ta,Ru,Cuの単層、またはCu/Ta,Cu/Ruの2層等の金属膜で形成され、前記の2層の金属膜とする場合は、いずれもCuを磁化自由層1の側(下層)とする。保護膜54は、厚さが1nm未満であると連続した膜を形成し難く、一方、10nmを超えて厚くしても効果がそれ以上には向上しない上、光の透過が妨げられるので好ましくない。したがって、保護膜54の厚さは1〜10nmが好ましく、3〜5nmがより好ましい。
スピン注入磁化反転素子5(磁化固定層3)の下部電極81への密着性を得るために、必要に応じて下地膜が設けられてもよい(図示省略)。このような下地膜は、Ta,Ru,Cu等の非磁性金属材料で形成される。下地膜の厚さは、1nm未満であると連続した膜を形成し難く、一方、10nmを超えて厚くしても密着性が飽和するため、1〜10nmが好ましく、3〜5nmがより好ましい。また、下地膜に、さらにAg,Au等からなる反射膜が積層されてもよい(図示省略)。スピン注入磁化反転素子5に入射した光を高反射率で反射するため、出射する光の量が多くなってコントラストが向上するので好ましい。このような反射膜は、十分な効果を得るために、厚さは6nm以上が好ましい。
(電極)
図1および図2に示すように、下部電極81は、Y方向に帯状に延設され、縦1列に配置された複数(4個)の画素のそれぞれのスピン注入磁化反転素子5の下面に接続するように基板7上に形成される。一方、上部電極82は、X方向に帯状に延設され、横1行に配置された複数(4個)の画素のそれぞれのスピン注入磁化反転素子5の上面に接続するように形成される。したがって、スピン注入磁化反転素子5は、平面視で下部電極81と上部電極82の重なる部分に配され、画素毎に異なる組合せの電極81,82により電流を供給される。上部電極82は、スピン注入磁化反転素子5への入射光および出射光を遮らないように、透明電極材料を備える。一方、下部電極81は、導電性に優れた一般的な金属電極材料で形成され、上方(上部電極82側)から入射した光を反射して上方へ出射させる。
下部電極81は、例えば、Cu,Al,Au,Ag,Ta,Cr等の金属やその合金のような一般的な電極用金属材料からなる。そして、スパッタリング法等の公知の方法により成膜、フォトリソグラフィ、およびエッチングまたはリフトオフ法等によりストライプ状に加工される。
上部電極82は、透明電極材料で主に形成され、この透明電極材料部分とスピン注入磁化反転素子5との間に光を遮らない程度の膜厚の金属膜(図示省略)を積層してさらに備える。このように、透明電極材料で形成された電極(配線)においては、当該電極に接続するスピン注入磁化反転素子5との間に金属膜を介在させることで、金属電極材料より抵抗が大きい透明電極材料を主とする上部電極82においても、スピン注入磁化反転素子5との接触抵抗を低減させて応答速度を上げることができる。
上部電極82に適用される透明電極材料は、例えば、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)、インジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化アンチモン−酸化スズ系(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム(In23)等の公知の透明電極材料が挙げられる。特に、比抵抗と成膜の容易さとの点からIZOが最も好ましい。これらの透明電極材料は、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布法等の公知の方法により成膜される。
上部電極82に適用される金属膜は、例えば、Au,Ru,Ta、またはこれらの金属の2種以上からなる合金等を用いることができ、これらの金属はスパッタリング法等の公知の方法により成膜される。そして、金属膜とその上の透明電極とは、互いの密着性をよくして接触抵抗をさらに低減するため、それぞれの材料は、連続的に真空処理室にて成膜されることが好ましい。金属膜の厚さは、1nm未満であると連続した(ピンホールのない)膜を形成し難く、一方、10nmを超えると光の透過量を低下させるため、1〜10nmとすることが好ましい。
(素子間磁性層)
素子間磁性層4は磁性体であり、スピン注入磁化反転素子5の磁化固定層3と同様に、画素アレイ50の全体において、磁化を同一方向に、ここでは磁化固定層3と同じ上向きに固定されている。素子間磁性層4は、スピン注入磁化反転素子5(磁化自由層1)と同様に、入射した光を旋光させて出射し、その旋光角は、スピン注入磁化反転素子5の旋光角の1つ(+θkまたは−θk)に対して20%以内の差であることが好ましく、前記スピン注入磁化反転素子5の旋光角の1つと一致することが最も好ましい。ここでは、素子間磁性層4は、光を+θkに旋光させるものとする。また、素子間磁性層4は、前記した通り、磁化方向が固定されるためにある程度の保磁力を有するものとする。本実施形態において、素子間磁性層4は、電極81,82が接続されず、スピン注入磁化反転素子5の駆動(磁化反転動作)において、電流の供給や磁界の印加がないので、このような状態で磁化方向が維持されればよい。具体的には、素子間磁性層4は、保磁力が磁化自由層1の保磁力以上であることが好ましく、大きいほどより好ましく、磁化固定層3や磁化自由層1の材料として前記に挙げた磁性材料から選択することができ、磁化自由層1の旋光角や保磁力に応じて選択することが好ましい。例えば、磁化自由層1を旋光角0.14°(波長780nm)のGdFeで形成して保磁力60Oeとした場合、同じ形状に形成されたTeFeCoは保磁力8kOeであり、かつ旋光角0.13°と差が小さく、素子間磁性層4として好適である。また、素子間磁性層4は、磁化固定層3、磁化自由層1の一方と同じ材料を適用してもよい。
素子間磁性層4は、材料や形状(厚さ、面積)を調整して、保磁力を十分に大きくしたり、旋光角をスピン注入磁化反転素子5の旋光角の1つ(+θk)に近付けることができる。また、本実施形態においては、素子間磁性層4は、一辺の長さを少なくとも空間光変調器に入射する光の回折限界(波長の1/2程度)以上に長くする。また、図2に示すように、素子間磁性層4は、スピン注入磁化反転素子5の保護膜54と同様に、保護膜44を上に設けてもよい。なお、図2においては、素子間磁性層4はスピン注入磁化反転素子5と同じ厚さかつ同じ高さ位置で示しているが、このような厚さおよび高さ位置とすることを規定するものではなく、スピン注入磁化反転素子5よりも厚くても薄くてもよい。素子間磁性層4は、スピン注入磁化反転素子5よりも薄い場合は、保護膜44を厚くしたり、下地膜として金属膜を厚く設けたり、絶縁膜(絶縁層6)を積層すればよい(図示省略)。
さらに、素子間磁性層4は単層でなくてもよく、例えばスピン注入磁化反転素子5と同じ積層構造(磁化固定層3、中間層2、磁化自由層1)でもよい。素子間磁性層4は、スピン注入磁化反転素子5と同じ積層構造であれば、旋光角がスピン注入磁化反転素子5と当然に一致するため、旋光角の調整のための設計が不要であり、また電極81,82が接続されていないので磁化反転せず、旋光角がスピン注入磁化反転素子5の旋光角の1つのみに固定される。さらに、素子間磁性層4とスピン注入磁化反転素子5が同じ積層構造であれば、これらを同時に成膜、加工して形成することができるので、画素アレイ50の製造が複雑なものとならない。
図1に示すように、画素アレイ50の平面視において、素子間磁性層4はスピン注入磁化反転素子5,5間に設けられ、下部電極81,81間や上部電極82,82間、あるいは下部電極81と上部電極82との間で短絡しないような位置および形状に形成される。さらに、画素アレイ50の平面視において、スピン注入磁化反転素子5、素子間磁性層4のいずれもない領域、すなわちスピン注入磁化反転素子5、素子間磁性層4間の距離、および素子間磁性層4,4間の距離が、空間光変調器10に入射する光の回折限界よりも短くなるように、素子間磁性層4が設けられることが好ましい。これにより、後記するように、画素アレイ50からの出射光のすべてが、スピン注入磁化反転素子5、素子間磁性層4のいずれかで旋光した光となる。
(絶縁層)
絶縁層6は、画素アレイ50において、スピン注入磁化反転素子5,5間、下部電極81,81間、および上部電極82,82間を、それぞれ絶縁するために、スピン注入磁化反転素子5と素子間磁性層4との間や素子間磁性層4,4間、下部電極81,81間、および上部電極82,82間に設けられる。絶縁層6は、例えばSiO2やAl23等の酸化膜やSi34やMgF2等の公知の絶縁材料を適用することができる。
(基板)
基板7は、画素を2次元配列して画素アレイ50を構成するための土台であり、スピン注入磁化反転素子5や電極81,82を形成するための広義の基板であり、公知の基板材料が適用できる。具体的には表面を熱酸化してSiO2膜を形成されたSi基板が好適である。あるいは、透明な基板材料として公知の、GGG(ガドリニウムガリウムガーネット)基板、SiC(シリコンカーバイド)基板、MgO(酸化マグネシウム)基板、Ge(ゲルマニウム)単結晶基板等の絶縁性の基板7A(図4参照)を適用することができる。このように、基板7は、少なくとも表面は絶縁体(絶縁部71)として、上に形成される下部電極81,81間が短絡しないようにする。
(電流制御部)
図1に示すように、電流制御部90は、X方向に並設された下部電極81を選択するX電極選択部91と、Y方向に並設された上部電極82を選択するY電極選択部92と、選択された電極81,82に電流を供給する電源(電流供給手段)93と、この電源93および前記の電極選択部91,92を制御する画素選択部(画素選択手段)94と、を備える。これらはそれぞれ以下に説明する動作が可能な公知の装置を適用することができる。
画素選択部94は、例えば図示しない外部からの信号に基づいて、画素アレイ50の特定の1つ以上の画素を選択し、選択した画素における電極81,82を電極選択部91,92に選択させ、さらに電源93が供給する電流の向きを選択する。そして、画素選択部94からの指示により、X電極選択部91は下部電極81の1つ以上を選択し、Y電極選択部92は上部電極82の1つ以上を選択し、選択した電極81,82に電源93を接続する。電源93は、選択した画素のスピン注入磁化反転素子5を磁化反転させるために適正な電圧・電流を供給する公知の電源で、直流パルス電流を正負反転可能に供給することができる。そして、電源93は、画素選択部94が選択した正または負の電流(+IW/−IW)を、接続された電極81,82を介してスピン注入磁化反転素子5に供給する。
空間光変調器10は、このような構成により、画素アレイ50から所望の画素が選択され、この選択された画素のスピン注入磁化反転素子5に、所定の大きさのパルス電流が選択された向きに供給されて、磁化自由層1を所望の磁化方向にする。スピン注入磁化反転素子5の磁化反転動作は、図3を参照して説明した通りである。この画素のスピン注入磁化反転素子5の磁化反転動作によりその磁化自由層1が所望の磁化方向となることで、このスピン注入磁化反転素子5に入射した光を選択的に所望の偏光の向きに変調して出射することができる(図3参照)。なお、前記したように、スピン注入磁化反転素子5の磁化が平行、反平行いずれかの磁化を示していれば、その磁化を反転させる電流が供給されるまでは、磁化自由層1の保磁力により磁化が保持されるので、スピン注入磁化反転素子5に供給する電流としては、パルス電流のように、磁化方向を反転させる電流値に一時的に到達する電流を用いることができる。
(空間光変調器の光変調動作)
本実施形態に係る空間光変調器の光変調動作を、図2を参照して、この空間光変調器を用いた表示装置にて説明する。表示装置は、前記した従来のスピン注入磁化反転素子を光変調素子としたもの(図7、特許文献3参照)と同様の構成とすればよい。本実施形態に係る空間光変調器10は反射型であり、また、その光変調部となるスピン注入磁化反転素子5の磁化自由層1は垂直磁気異方性材料からなり磁化方向が上向きまたは下向きを示すため、表示装置は以下の構成とすることが好ましい。空間光変調器10の画素アレイ50の上方には、画素アレイ50に向けて光(レーザー光)を照射する光源等を備える光学系OPSと、光学系OPSから照射された光を画素アレイ50に入射する前に1つの偏光成分の光(以下、入射光)にする偏光子PFiと、この上方から画素アレイ50に入射した入射光が画素アレイ50で反射して出射した出射光から特定の偏光成分の光を遮光する偏光子PFoと、偏光子PFoを透過した光を検出する検出器PDとが配置される。なお、図2は模式図であり、偏光子PFoおよび検出器PDと画素アレイ50との位置関係は、破断線を挟んで必ずしも整合するものではなく、図4についでも同様である。
光学系OPSは、例えばレーザー光源、およびこれに光学的に接続されてレーザー光を画素アレイ50の全面に照射する大きさに拡大するビーム拡大器、さらに拡大されたレーザー光を平行光にするレンズで構成される(図示省略)。光学系OPSから照射された光(レーザー光)は様々な偏光成分を含んでいるため、この光を画素アレイ50の手前の偏光子PFiを透過させて、1つの偏光成分の光(入射光L0)にする。偏光子PFi,PFoはそれぞれ偏光板等であり、検出器PDはスクリーン等の画像表示手段である。
光学系OPSは、平行光としたレーザー光を、画素アレイ50へ照射する。ここで、スピン注入磁化反転素子5の磁化自由層1の磁気光学効果は、光の入射角が磁化自由層1の磁化方向に平行に近いほど大きい。したがって、入射角は膜面に垂直すなわち0°とすることが光変調度を最大とする上で望ましいが、このようにすると、出射光の光路が入射光の光路と一致する。そこで、入射角を少し傾斜させて、偏光子PFoおよび検出器PD、光学系OPSおよび偏光子PFiが、それぞれ入射光および出射光の光路を遮らない配置となるようにする。具体的には、入射光の入射角は30°以下とすることが好ましい。レーザー光は偏光子PFiを透過して1つの偏光成分の入射光となり、画素アレイ50の上方からすべての画素に向けて入射する。入射光L0は、上部電極82や上部電極82,82間の絶縁層6を透過して、スピン注入磁化反転素子5や素子間磁性層4で反射して、出射光として画素アレイ50から出射する。
出射光は偏光子PFoによって特定の1つの偏光成分の光、ここでは入射光L0に対して+θk旋光した光が遮光され、偏光子PFoを透過した光が検出器PDに入射する。したがって、スピン注入磁化反転素子5で反射した出射光L1,L2,L3は、当該スピン注入磁化反転素子5の磁化自由層1の磁化方向が上向き(平行)であれば偏光子PFoで遮光され(出射光L1)、磁化方向が下向き(反平行)であれば偏光子PFoを透過して検出器PDに到達する(出射光L2,L3)。一方、素子間磁性層4で反射した出射光Lneは、すべて入射光L0に対して+θk旋光した光であるので、偏光子PFoで遮光される。したがって、スピン注入磁化反転素子5の磁化が平行な非選択画素は、その全体が一様に暗く(黒く)、検出器PDに表示される。一方、スピン注入磁化反転素子5の磁化が反平行な選択画素は、当該画素におけるスピン注入磁化反転素子5が設けられた領域(有効領域)が明るく(白く)、その周囲は非選択画素と同じに暗く(黒く)検出器PDに表示される。したがって、図2に示すように、空間光変調器10を用いた表示装置は、検出器PDに、画素毎に明/暗(白/黒)を切り分けられるだけでなく、選択画素と非選択画素との間に、明暗(白黒)の中間状態に表示されることがなく、良好なコントラストで表示される。なお、図2に、画素アレイ50における1画素と、検出器PDにおいてこの画素が表示される領域とを「画素長」として示す(図4、図6も同様)。
なお、スピン注入磁化反転素子5と素子間磁性層4との間や素子間磁性層4,4間は、距離(隙間)を入射光の回折限界よりも短くすることで、この領域からは入射光が反射しないので、スピン注入磁化反転素子5、素子間磁性層4のいずれにも反射していない光は出射しない。なお、スピン注入磁化反転素子5からの出射光(L1,L2,L3)とこのスピン注入磁化反転素子5に隣り合う素子間磁性層4からの出射光Lneとは、前記隙間の中心辺りで切り替わる。したがって、画素アレイ50からの出射光のすべては、+θk,−θkいずれかで旋光した光となり、明/暗(白/黒)のいずれかのみに表示される。
このように、第1実施形態に係る空間光変調器10は、画素毎に明/暗(白/黒)を切り分けられ、さらにその中間状態が表示されないため、コントラストが良好である。なお、空間光変調器10の初期化作業として、画素アレイ50の全体に磁石等で上向きの磁界を印加して、すべてのスピン注入磁化反転素子5の磁化固定層3および素子間磁性層4を上向きの磁化方向とすればよい。すなわち空間光変調器10は、初期状態として画素アレイ50の全体(全面)が黒く表示される。
図2では、画素の有効領域外が黒く表示される表示装置としたが、白く表示することもできる。例えば偏光子PFoを入射光L0に対して−θk旋光した光を遮光する仕様とすればよい。このような表示装置にすれば、スピン注入磁化反転素子5の磁化が反平行な画素は全体が一様に白く検出器PDに表示され、スピン注入磁化反転素子5の磁化が平行な画素は当該画素における有効領域が黒く、その周囲は白く検出器PDに表示される。すなわち図2に示す検出器PDが白黒反転する。ただし、このように表示する場合は、画素アレイ50において、素子間磁性層4に反射膜を積層する等して、素子間磁性層4で反射した出射光Lneの光量をスピン注入磁化反転素子5で反射した出射光L1,L2,L3に近付ける必要があり、最も好ましくは光量を一致させることである。これに対して、図2に示すように画素の有効領域外を黒く表示する場合は、出射光Lneは偏光子PFoで遮光されるので、光量は特に規定されない。
図2では、画素アレイ50は、素子間磁性層4とスピン注入磁化反転素子5の磁化固定層3とが磁化方向を同じ上向きに固定されているが、互いに反対方向に固定されてもよい(図示省略)。この場合は、素子間磁性層4と磁化固定層3とで保磁力に差があるように形成することが好ましく、初期化作業において、磁界を向きを変え、さらに大、小の2段階で画素アレイ50に印加して、それぞれの磁化方向を固定すればよい。
第1実施形態に係る空間光変調器10では、スピン注入磁化反転素子5は、画素毎に1個設けられているが、これに限定されるものではなく、1画素に2個以上を設けて一対の電極81,82に並列に接続されてもよい(図示省略)。この場合、同一画素に設けられるスピン注入磁化反転素子5,5間の距離(隙間)は、空間光変調器に入射する光の回折限界よりも短くする。これにより、例えば平面視長方形のスピン注入磁化反転素子5を短辺方向に2個並べて1画素を構成した場合に、前記スピン注入磁化反転素子5,5が光学的に一体として変調した光を出射する。さらに、この場合のスピン注入磁化反転素子5の短辺長は光の回折限界以上でなくてもよく、2個分の短辺長とスピン注入磁化反転素子5,5間の隙間との合計が光の回折限界以上であればよい。したがって、2個のスピン注入磁化反転素子5,5により1画素の有効領域を大きくしても、スピン注入磁化反転素子5の1個あたりを十分に小さく形成して、好適に磁化反転させることができる。
また、スピン注入磁化反転素子5の磁化固定層3および磁化自由層1、ならびに素子間磁性層4は、面内磁気異方性材料で形成されてもよい。具体的には、Ni,Fe,Coのような遷移金属や、Ni−Fe,Ni−Fe−Mo,Co−Cr,Co−Fe,Co−Fe−B,Co−Fe−Si,Co−Fe−Ge等の遷移金属合金、あるいはCo−Pt等の遷移金属と貴金属との合金が挙げられる。あるいはMn−Bi合金、Mn/Bi多層膜、Pt−Mn−Sb合金、Pt/Mn−Sb多層膜等の磁気光学効果の大きなMn含有磁性合金を用いることができる。
面内磁気異方性とした磁化固定層3および素子間磁性層4は、画素アレイ50において、面内方向における一方向に、または一方向とその反対方向に磁化を固定される。このようなスピン注入磁化反転素子5は、垂直磁気異方性の場合と同様に、磁化反転により、磁化自由層1が磁化固定層3の磁化方向に平行または反平行の磁化を示すため、空間光変調器10は、入射光を前記一方向に平行な方向に近付けて画素アレイ50に入射することが好ましい(図示省略)。
以上のように、第1実施形態に係る空間光変調器によれば、画素の有効領域外に明暗の中間状態が表示されないため、光変調素子に旋光角の比較的小さいスピン注入磁化反転素子を適用されても、明暗のコントラストが良好である。
[第2実施形態]
第1実施形態に係る空間光変調器10は、画素アレイ50において、スピン注入磁化反転素子5と素子間磁性層4との間に絶縁層6を設けたが、スピン注入磁化反転素子5,5間が絶縁されれば、これに限られない。以下、図4を参照して、第2実施形態に係る空間光変調器について説明する。本実施形態に係る空間光変調器10Aは、電流制御部90は、前記第1実施形態に係る空間光変調器10と同様の構成であるので、説明を省略する。また、画素アレイ50Aにおいても第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態に係る空間光変調器10Aの画素アレイ50Aは、透明な基板7A上に下部電極82Aを透明電極で形成し、先に磁化自由層1Aを下部電極82A上に形成し、その上に、中間層2、磁化固定層3、および保護膜54を積層し、金属材料で上部電極81Aを形成した、第1実施形態とは逆順の積層構造である。したがって、本実施形態に係る空間光変調器10Aは、画素アレイ50Aの基板7A側(図4における下)から光を入射する反射型の空間光変調器であり、表示装置に用いる場合には、図2に示す第1実施形態とは上下反転させた構成とする(図4参照)。また、空間光変調器10Aは、画素アレイ50Aの底面図が図1で示され(素子間磁性層4を除く)、下部電極81が上部電極81Aに、上部電極82が下部電極82Aに、それぞれ相当する。さらに図4は、空間光変調器10A(画素アレイ50A)について、破断線の左側が図1のA−A断面図に、右側が図1のB−B断面図に、それぞれ相当する。
第2実施形態に係る空間光変調器10Aは、スピン注入磁化反転素子5Aに接続して素子間磁性層4Aを設けて、隣り合うスピン注入磁化反転素子5A,5Aのそれぞれに接続した素子間磁性層4A,4A間を離間し、絶縁層6で前記スピン注入磁化反転素子5A,5A間を絶縁する。ここで、素子間磁性層4Aはスピン注入磁化反転素子5Aの磁化自由層1Aにのみ接続するように、当該磁化自由層1Aの厚さ以下で形成される。このような空間光変調器10Aの画素アレイ50Aにおいては、平面視でスピン注入磁化反転素子5Aを囲む枠状に素子間磁性層4Aが形成される(図示省略)。
素子間磁性層4Aは、第1実施形態と同様に、磁化自由層1A以上の保磁力を有していればよく、第1実施形態で挙げた材料を適用でき、さらに当該磁化自由層1Aと同じ材料すなわち磁化自由層1Aと一体の磁性体に形成されていてもよい。このような磁性体において、電流供給により磁化反転する、すなわち磁化自由層1Aとして動作するのは、磁化固定層3および中間層2が積層された領域に限定され、それ以外の領域は外部磁界が印加されること等がなければ磁化が一定に固定され、素子間磁性層4Aとして作用する。
素子間磁性層4A,4A間の距離(隙間)は、第1実施形態と同様に、入射する光の回折限界よりも短くする。これにより、絶縁層6を隔てた2つの素子間磁性層4A,4Aは、光学的に一体として変調した光を出射する。したがって、空間光変調器10Aは、図4に示すように、第1実施形態に係る空間光変調器10と同様に、画素アレイ50Aから出射する光のすべてが+θk,−θkいずれかで旋光した光となる。さらに、1個の素子間磁性層4Aの辺(短辺)の長さは、第1実施形態と異なり光の回折限界以上でなくてもよく、隙間を含めた2つの素子間磁性層4A,4Aの長さすなわちスピン注入磁化反転素子5A,5A間の距離が、光の回折限界以上であればよい。したがって、隣り合う画素におけるスピン注入磁化反転素子5A,5A間の距離が短くてもよく、画素の微細化が容易である。
なお、スピン注入磁化反転素子5Aは、第1実施形態と同様に、上側に磁化自由層1Aを素子間磁性層4Aと共に設けて、上方から光を入射する空間光変調器としてもよい。また、素子間磁性層4Aは、磁化固定層3にのみ接続してもよい(図示省略)。
(変形例)
第2実施形態の変形例として、素子間磁性層4Aを磁化自由層1または磁化固定層3の一方にのみ接続する際、スピン注入磁化反転素子5Aの4辺すべてに接続せず、直交する2辺に接続して、すなわち素子間磁性層4Aは平面視でL字型に形成されてもよい(図示省略)。このような構成とすることで、画素アレイ50Aにおいて、隣り合う画素におけるスピン注入磁化反転素子5A,5A間には素子間磁性層4Aと絶縁層6とが1ずつ設けられればよいので、画素を微細化しても加工が容易である。
以上のように、第2実施形態およびその変形例に係る空間光変調器によれば、第1実施形態と同様に明暗のコントラストが良好であり、さらに画素の微細化がいっそう容易になる。
[第3実施形態]
本発明に係る空間光変調器は、磁界印加方式にも適用することができる。以下、図5および図6を参照して、第3実施形態に係る空間光変調器について説明する。第1、第2実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。図5は基板7A側からの底面図であり、空間光変調器10Bは、第2実施形態(図4参照)と同様に、光の入射面は底面(下面)であり、空間光変調器10Bは、基板7Aを透過して画素アレイ50Bに下方から入射した光を反射してその光を変調して下方へ出射する反射型の空間光変調器である。
画素アレイ50Bにおいて、光変調素子1Bは平面視略正方形で、隣り合う画素間で離間して基板7A上に設けられ、また、光変調素子1B,1B間を埋めるように、素子間磁性層4Bが基板7A上に設けられている。光変調素子1Bは磁界印加方式の光変調素子であり、画素アレイ50Bは、それぞれの画素の光変調素子1Bの面内方向における周囲を周回する電流を供給する配線として、X電極81BおよびY電極82Bを4ずつ備える。詳しくは、図5における右側の1列目と下側の1行目の画素にのみ示すように、平面(底面)視でY方向(図5における縦方向)に延設されたX電極81Bと、平面視でX電極81Bと直交するX方向(図5における横方向)に延設されたY電極82Bとのそれぞれが、光変調素子1Bの対向する2辺に沿うようにヘアピン状に形成されて、この光変調素子1Bの4辺に沿った井桁状に配線が形成される。また、図6に示すように、Y電極82BよりもX電極81Bが基板7A側、すなわち下に配され、さらにその下の基板7A上に光変調素子1Bが配され、光変調素子1B、X電極81B、Y電極82Bの各層間には、絶縁層6が形成されている。なお、電極81B,82Bは、各画素の光変調素子1Bの周囲を反転可能に周回する電流を供給することのできる構成であればよい。
(光変調素子)
光変調素子1Bは、電極81B,82Bを流れる電流で発生する磁界を印加されて磁化反転し、かつ磁界を印加されていない状態で磁化が保持される程度の保磁力を有していればよく、入射した光の偏光の向きを大きく変化させて出射する(旋光角θkが大きい)、すなわち磁気光学効果(ファラデー効果)が大きいことが好ましい。このような光変調素子1Bは、第1実施形態におけるスピン注入磁化反転素子5の磁化固定層3、磁化自由層1と同様に磁性材料で形成されてもよいが、スピン注入磁化反転しなくてよいため、光アイソレータ等に適用される公知の磁気光学材料で、例えばビスマス置換型希土類鉄ガーネットで形成することができる。ビスマス置換型希土類鉄ガーネットは光透過性が高いので、本実施形態に係る空間光変調器10Bは、反射型とするために、光変調素子1Bの上面にAl,Ag等で反射膜55を設けることが好ましい。ビスマス置換型希土類鉄ガーネットは、ガドリニウムガリウムガーネット(GGG)基板にエピタキシャル成長させる等、公知の方法で基板7A上に成膜し、さらにAl膜等を積層して、イオンミリング等で格子状の溝を加工して、光変調素子1Bおよび反射膜55を2次元配列して形成することができる。なお、本実施形態において、光変調素子1Bは垂直磁気異方性とし、したがって上向きまたは下向きの磁化を示す。そして、光変調素子1Bは入射した光が反射する際に、磁化が上向きのときは+θk(図6の出射光L1)、磁化が下向きのときは−θk(図6の出射光L2,L3)、それぞれ偏光の向きを変化させて出射する。
隣り合う画素における光変調素子1B,1Bは、公知の磁界印加方式の空間光変調器と同様に、印加磁界により隣の画素の光変調素子1Bが追随して磁化反転しないように、間隔を空けて基板7A上に形成される。ただし、第1、第2実施形態のスピン注入磁化反転素子5(5A)と異なり、光変調素子1B,1B間は絶縁する必要はないため、絶縁層6を設けなくてよく、以下の素子間磁性層4Bを光変調素子1B,1Bに接触させて設ける。
(素子間磁性層)
素子間磁性層4Bは、光変調素子1Bを磁化反転させるための磁界を印加されても磁化反転しない、すなわち光変調素子1Bよりも保磁力が十分に大きくなるように、磁性材料や厚さを設計される。また、素子間磁性層4Bは、第1実施形態と同様に、入射した光を旋光させて出射し、その旋光角は、光変調素子1Bの旋光角の1つ(+θkまたは−θk)に対して20%以内の差であることが好ましく、前記光変調素子1Bの旋光角の1つと一致することが最も好ましい。ここでは、素子間磁性層4Bは、光を+θkに旋光させるものとする(図6の出射光Lne)。さらに、素子間磁性層4Bは、画素アレイ50Bにおいて全体の磁化が一方向に固定され、本実施形態においては光変調素子1Bの磁化方向の1つと同じ上向きに固定される。このような素子間磁性層4Bは、第1実施形態と同様に、光変調素子1Bの旋光角および保磁力に応じて選択することができ、すなわち、例えば光変調素子1BがGdFeで形成される場合、TbFeCoで形成することができる。また、素子間磁性層4Bは厚さを調整して、保磁力を大きくしたり、旋光角を光変調素子1Bに近付けることができる。なお、図6においては、素子間磁性層4Bは光変調素子1Bよりも厚く示しているが、このような厚さとすることを規定するものではなく、光変調素子1Bよりも薄くても同じ厚さでもよい。
(基板)
基板7Aは、第1実施形態にて挙げた公知の透明基板材料が適用でき、特に光変調素子1Bをビスマス置換型希土類鉄ガーネットで形成する場合は、GGG基板を適用して、ビスマス置換型希土類鉄ガーネットをエピタキシャル成長させることができる。
(電極)
X電極81BおよびY電極82Bは、例えばCu,Al,Au,Ag,Ta,Cr等の金属やその合金のような一般的な金属電極材料で形成される。そして、スパッタリング法等の公知の方法により成膜、フォトリソグラフィ、およびエッチングまたはリフトオフ法等により、図5に示すようにヘアピン状等の所望の形状に加工される。
(絶縁層)
絶縁層6は、光変調素子1Bおよび素子間磁性層4Bと、X電極81Bとの層間、X電極81BとY電極82Bとの層間、ならびに隣り合うX電極81B,81B間、Y電極82B,82B間を、それぞれ絶縁するために設けられる。絶縁層6は、第1実施形態にて挙げた公知の絶縁材料を適用することができる。
(電流制御部)
電流制御部90は、前記第1実施形態に係る空間光変調器10と同様の構成であり、ここでは、選択した電極81B,82Bが囲む光変調素子1Bを磁化反転させる磁界を印加するための電流を供給する。詳しくは、図5に示す平面(底面)視において、選択された画素の光変調素子1BのY方向の2辺に沿ったX電極81BとX方向の2辺に沿ったY電極82Bとに電流が供給されて、図6に示すように、前記光変調素子1Bの周囲に沿って右回りまたは左回りのいずれかに周回する電流により、前記光変調素子1B上に下向きまたは上向きの磁界が発生する。光変調素子1Bは、前記磁界が印加されて、この磁界の向きの磁化方向となる。
(空間光変調器の光変調動作)
本実施形態に係る空間光変調器を用いた表示装置は、第2実施形態に係る空間光変調器を用いた表示装置(図4参照)と同様の構成であるため、説明を省略する。空間光変調器10Bの画素アレイ50Bにおいては、全面が光変調素子1Bおよび素子間磁性層4Bで埋められているため、画素アレイ50Bから出射する光のすべて(図6の出射光L1,L2,L3,Lne)が入射光L0に対して+θk,−θkいずれかで旋光した光となり、明/暗(白/黒)のいずれかのみに表示される。
なお、本実施形態では、素子間磁性層4Bは、画素アレイ50Bにおける光変調素子1B,1B間の隙間をすべて埋めるように一体の格子状に形成されているが、これに限られず、入射光の回折限界よりも短い間隔を設けて分離して形成されてもよい(図示省略)。
また、光変調素子1Bおよび素子間磁性層4Bは、磁化方向が面内方向における一方向およびその反対方向になるように形成されてもよい。この場合、電極81B,82Bは、光変調素子1Bに前記一方向およびその反対方向の磁界を印加するように構成される。
以上のように、第3実施形態に係る空間光変調器によれば、素子間の間隔をある程度設けて2次元配列される磁界印加方式の光変調素子に適用されても、スピン注入方式の第1、第2実施形態に係る空間光変調器と同様に、画素の有効領域外に明暗の中間状態が表示されないため、明暗のコントラストが良好である。
以上、本発明の空間光変調器を実施するための各実施形態について述べてきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
10,10A,10B 空間光変調器
1,1A 磁化自由層
1B 光変調素子
2 中間層
3 磁化固定層
4,4A,4B 素子間磁性層(素子間磁性膜)
5,5A スピン注入磁化反転素子(光変調素子)
50,50A,50B 画素アレイ
6 絶縁層
7,7A 基板
81,82A 下部電極(電極)
82,81A 上部電極(電極)
81B X電極
82B Y電極

Claims (5)

  1. 磁化方向を変化させることができる磁性材料を有する複数の光変調素子を2次元配列して備え、前記光変調素子に入射した光をその偏光方向を異なる2方向のいずれかに変化させて出射する空間光変調器であって、
    入射した光をその偏光方向を特定の一方向に変化させて出射する素子間磁性膜を、隣り合う前記光変調素子同士の間に備えることを特徴とする空間光変調器。
  2. 前記素子間磁性膜は、前記特定の一方向に偏光方向を変化させる角度が、前記光変調素子が変化させる前記2方向の偏光方向の一方の角度に対して、差が20%以内であることを特徴とする請求項1に記載の空間光変調器。
  3. 前記素子間磁性膜は、前記光変調素子の磁化方向が変化する前記磁性材料よりも保磁力が大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空間光変調器。
  4. 前記光変調素子は、前記磁性材料を磁化自由層とするスピン注入磁化反転素子であって、
    前記光変調素子に接続した一対の電極と、隣り合う前記光変調素子同士を絶縁する絶縁層と、をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の空間光変調器。
  5. 前記光変調素子および前記素子間磁性膜は、前記絶縁層により隔てられた距離が、前記入射した光の回折限界よりも短いことを特徴とする請求項4に記載の空間光変調器。
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