JP2007171450A - 磁気光学式空間光変調器 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気光学式空間光変調器において、磁気的相互作用を低減して書き込みエラーを激減でき、ターゲット画素を正確に書き込むことができるようにする。
【解決手段】磁気光学効果によって偏光方向の回転を与える画素40が、多数、互いに離間した状態でX方向及びY方向に2次元的に配列され、画素に沿って配線したX側の駆動ライン及びY側の駆動ラインを流れる電流によって発生する合成磁界により各画素の磁化方向を個別に制御する方式の磁気光学式空間光変調器である。画素近傍に、画素から磁気分離された状態で、画素よりも保磁力の大きな小磁石片領域42が多数形成されている。これらの小磁石片領域は、画素同士の磁気的相互作用のバリアになると共に、駆動ラインに供給した電流により発生する磁界によって画素に対する磁化制御をアシストする機能を果たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気光学効果(ファラデー効果)を利用して、画素に書き込んだ各種データで入射光を空間的に変調する方式の磁気光学デバイスに関し、更に詳しく述べると、画素近傍に、画素から磁気分離された状態で、画素よりも保磁力の大きな小磁石片領域を多数形成することにより、データの書き込み動作の信頼性を高めた磁気光学式空間光変調器に関するものである。
磁気光学式空間光変調器は、入射光の振幅、位相、偏光状態を、磁性膜の磁気光学効果(ファラデー効果)を利用して変化させ、空間的に変調する磁気光学デバイスであり、磁性膜の磁化方向を独立に制御可能な多数の画素(ピクセル)をX方向及びY方向に2次元的に配列した構成となっている。このような2次元アレイ状の画素配列をもつ空間光変調器は、情報を高速で並列処理可能なことから、光学情報処理システム、光コンピューティング、プロジェクターTV、動画ホログラム記録、光体積記録などを実現するキーデバイスとして、近年、鋭意研究開発が進められている。
磁気光学式空間光変調器の一例を図8に示す。空間光変調器10は、主として磁性膜(磁気光学材料)12からなり、磁気光学効果により偏光方向を回転させる画素14が、多数、互いに離間した状態でX方向(横方向)とY方向(縦方向)に2次元的に配列され、画素12に沿ってX側とY側の駆動ラインが配線されている構造である。X側の所定の駆動ラインにはX側駆動部16からX側駆動パルス電流が供給され、Y側の所定の駆動ラインにはY側駆動部18からY側駆動パルス電流が供給される。これらX側駆動部16とY側駆動部18の動作は、制御部20によって制御される。そして、選択されたX側駆動ラインとY側駆動ラインを流れる駆動パルス電流によって発生する磁界が合成され、その合成磁界によって画素の磁化方向が個別に制御される。
図9は基本動作の説明図である。図面を簡略化するため2個の画素のみ描いている。第1の偏光子22を透過して直線偏光となった入射光は、空間光変調器の各画素14に入射する。入射光は、透明基板24及び磁性膜12を透過し、金属膜28で反射され、再び磁性膜12及び透明基板24を透過して出射する。このとき、磁性膜12の磁気光学効果によって、各画素14で反射する光の偏光方向は所定の角度だけ回転する。ここで、上段の画素が正方向の磁界(+H)の印加により正方向に磁化されたとき+θF (例えば+45度)のファラデー回転が生じるとすると、下段の画素が負方向の磁界(−H)の印加により負方向に磁化されたときには−θF (例えば−45度)のファラデー回転が生じる。これらの反射光は第2の偏光子30に達するが、その偏光透過面が+45度に設定されていると、+45度ファラデー回転した上段の光は透過(ON)するが、−45度ファラデー回転した下段の光は遮断(OFF)される。このように、各画素に印加する磁界の向きを制御することで、各画素による反射光のオン・オフを制御できる。このようにすると、磁気光学効果によって、各画素を通過する光の偏光方向を所定角度だけ回転させることができ、従って、各画素における磁化の方向を任意に選択することにより、空間的に変調された光を生成することができる。これが、磁気光学式空間光変調器の基本的な動作である。
ところで、空間光変調器における各画素は、1個1個完全に独立した個別の素子ではなく、実際には、LPE法等によって基板上の全面に磁性膜を育成し、その磁性膜を多数の画素に磁気的に区画した状態としたものである。これは、各画素を非常に小さく且つ正確に配列する必要があるためである。例えば、特許文献1には、磁性ガーネット材料上の画素に相当する領域にSi等の酸化可能な膜パターンを形成し、全体を熱処理することにより、Si膜直下の磁性ガーネット材料を還元して変質させ、画素単位で磁化反転が可能となる多数の画素を形成する技術が開示されている。あるいは、画素間に溝(即ち空隙)を設けたり、溝に穴埋め材を充填するなどの構造にすることもある。
各画素の磁化方向を独立に制御するには、各画素に沿って配線した駆動ラインを選択して駆動電流を流し、それによって発生する合成磁界を利用している。具体的には、X側あるいはY側のいずれか一方の駆動ラインを流れる駆動パルス電流により発生する磁界では画素の磁化方向は変化しないが、選択されたX側及びY側の駆動ラインを流れる駆動パルス電流のタイミングが一致したとき、両方の駆動パルス電流により発生する磁界が合成され、その合成磁界がターゲット画素に印加されることで磁化方向が制御されるように構成する。
画素を形成している磁性膜(磁性ガーネット材料)は、磁気的には硬質特性を有しているため、駆動電流を供給した後も磁化方向が静的に安定している反面、ターゲット画素を磁気反転させるとき、多数の磁石が整列していることになるので、隣接する画素の磁化方向によって磁気的な相互作用を及ぼし合い、磁気反転に要する磁界の大きさが異なることになる。更に、画素内に印加される前記磁気的相互作用と駆動ラインに供給した駆動パルス電流による合成磁界に大きな分布差が生じ、1つの画素内が、直交あるいは180度磁区に細分化される(多磁区化する)可能性が大きくなる。これは書き込み不足(エラー)となり、信頼性が大きく損なわれる。
米国特許第5,473,466号公報
本発明が解決しようとする課題は、磁気光学式空間光変調器において、磁気的相互作用を低減して書き込みエラーを激減でき、ターゲット画素を正確に書き込むことができるようにすることである。また本発明が解決しようとする他の課題は、駆動電力を低減できるようにすることである。
本発明は、磁気光学効果によって偏光方向の回転を与える画素が、多数、互いに離間した状態でX方向及びY方向に2次元的に配列され、画素に沿って配線したX側の駆動ライン及びY側の駆動ラインを流れる電流によって発生する合成磁界により各画素の磁化方向を個別に制御する方式の磁気光学式空間光変調器において、画素近傍に、画素から磁気分離された状態で、画素よりも保磁力の大きな小磁石片領域が多数形成されていることを特徴とする磁気光学式空間光変調器である。これらの小磁石片領域は、画素同士の磁気的相互作用のバリアになると共に、駆動ラインに供給した電流により発生する磁界によって画素に対する磁化制御をアシストする機能を果たす。
ここで、各画素の間に小磁石片領域が配置され、画素と小磁石片領域との間には磁気的なギャップが設けられている。なお、小磁石片領域は、画素と同じ磁気光学材料膜からなり、画素よりも光学面積が小さいことによる形状異方性を利用して画素よりも保磁力の高い状態となっているのが好ましい。あるいは小磁石片領域は、画素と異なる保磁力の高い材料で形成してもよい。
典型的には、X側及びY側の駆動ラインは、各画素の四辺を囲むように配置され、且つX側及びY側の駆動ラインを流れる電流により発生する合成磁界の方向が、画素中心に一致するように構成するのが好ましい。
本発明は、このような磁気光学式空間光変調器を用い、最初に小磁石片領域のスイッチング磁界よりも大きな外部磁界を磁気光学式空間光変調器全体に印加して全画素及び全小磁石片領域を一方向に磁気飽和させる初期化を行い、次にX側及びY側の駆動ラインにより全小磁石片領域の保磁力よりも小さく画素の保磁力よりも大きな磁界を印加して全画素のみを逆方向に磁化させるリフレッシュ(消去)操作を行い、その後、X側及びY側の駆動ラインに流す電流により、ターゲット画素の磁化反転を行うことを特徴とする磁気光学式空間光変調器のデータ書き込み方法である。
本発明に係る磁気光学式空間光変調器は、画素近傍に、画素よりも保磁力の大きな小磁石片領域が、画素から磁気分離された状態で多数形成されている構成であり、小磁石片領域が画素同士の磁気的相互作用のバリアになるため磁気的相互作用を低減して書き込みエラーを激減でき、動作の信頼性が著しく向上する。また本発明に係る磁気光学式空間光変調器では、小磁石片領域が画素に対する磁化制御をアシストする機能を果たすため、駆動電力も低減できる。
更に本発明に係る磁気光学式空間光変調器のデータ書き込み方法は、最初に大磁界の印加で初期化し、次いで画素のみを逆向きの小磁界でリフレッシュし、その後、必要なターゲット画素を個別に反転させる書き込みを行う方法なので、正確なデータの書き込みを行うことができ、動作の信頼性が向上する。
本発明に係る磁気光学式空間光変調器の一実施例を図1に示す。図1は、画素と小磁石片領域のパターンの一例を示している。磁気光学式空間光変調器は、磁性膜(例えば磁性ガーネット単結晶膜)中に、それぞれ独立に磁化方向を設定でき磁気光学効果によって入射光に対して磁化方向に応じた偏光方向の回転を与える正方形状の画素40が、多数、互いに離間した状態でX方向(横方向)とY方向(縦方向)に2次元的に配列されており、画素40に沿って配線したX側の駆動ライン及びY側の駆動ライン(図1には図示せず)を流れる駆動電流によって発生する合成磁界により各画素の磁化方向を個別に制御する構造である。本発明では、画素よりも保磁力の大きな細長状の小磁石片領域42が、40画素近傍に、画素40から磁気分離された状態で形成されている。これらの小磁石片領域42は、画素同士の磁気的相互作用のバリアになると共に、駆動ラインに供給した電流により発生する磁界によって画素に対する磁化制御をアシストする機能を果たす。なお図1では、3×3の画素配列を示しているが、図面で右方向(X方向)及び下方向(Y方向)に点々で示すように同じような画素・小磁石片領域パターンが繰り返すようにすることで、任意のn×mの画素配列を実現できる。
ここでは、各画素40の間に細長状の小磁石片領域42を配置し、画素40と小磁石片領域42との間には磁気的なギャップを設けている。磁気的なギャップは、空隙でもよいが、空隙に非磁性の埋め戻し材を充填した構造、磁気光学材料膜の磁気特性を局部的に変えた構造なども可能である。いずれにしても、小磁石片領域の位置、形状、寸法などは、適宜変更できる。小磁石片領域42は、画素40と同じ磁気光学材料膜からなり、画素よりも光学面積が小さいことによる形状異方性を利用して画素よりも保磁力の高い状態とするのが好ましい。
ここで、形状による保磁力の変化について簡単に説明する。薄い磁性膜の磁化曲線は、容易軸方向(膜面内方向)に磁界を印加すると矩形の磁化ヒステリシス曲線となる。困難軸方向(膜面に垂直方向)に磁界を印加するにしたがい磁化が増加し、ある磁界の強さ以上で飽和する磁化曲線になる。LPE法で育成された磁性ガーネット膜は、画素サイズに比べて十分薄いので、膜面内方向に異方性をもつ。画素サイズを小さくしていくと、保磁力は増大する。その様子を図2に示す。Aは厚み2μmで縦横5mmの試料の磁化曲線、Bは厚み2μmで縦横16μmの試料の磁化曲線の実測値(縦軸は相対値)である。同じ材質、同じ膜厚の磁性ガーネットLPE膜でありながら、面積が小さくなると保磁力が大きくなっていることが分かる。本発明は、この現象を利用しようとするものである。画素に比べて小面積の領域は、同じ材質、同じ膜厚であっても、形状異方性によって画素よりも小磁石片領域の方が保磁力の高い状態となる。
駆動ラインの一例を図3に示す。Aは平面を表し、Bは断面を表している。ている。この例では、X側の駆動ライン50とY側の駆動ライン52は、それぞれX方向に配列されている画素と小磁石片領域の間の上、及びY方向に配列されている画素と小磁石片領域の間の上を真っ直ぐに延び、X側の駆動ライン50とY側の駆動ライン52によって各画素40を「井」の字状に囲むように配線されている。X側及びY側の駆動ラインを流れる電流により発生する磁界の方向が画素中心で一致するように構成するのが好ましい。
より詳細には、X側の駆動ライン50びY側の駆動ライン52は、各画素40の周辺に沿ってそれぞれ往復で1/2周ずつするように、従って各画素はX側とY側とで合計1周回するように配線する。そして、画素の両側に配置された2本のX側の駆動ライン50及び2本のY側の駆動ライン52は、対をなし、それぞれ一方の端部で短絡されてループが形成されており、X側及びY側で各駆動ラインの短絡部が画素配列領域の両側に交互に現れるようにしている。従って、1つのX側の駆動ラインを選択すると、そのX側の駆動ラインの下方に位置する画素に対して往復で1/2周する。Y側の駆動ラインに付いても同様である。このように短絡部を振り分けて配置すると、画素間が狭くなっても、容易に駆動部を配置することが可能となる。
このような磁気光学式空間光変調器について、以下、その製造工程の一例を簡単に説明する。磁性膜は、例えばBi置換希土類鉄ガーネット膜であり、GGG基板上にLPE法(液相エピタキシャル成長法)によって約3μm成膜したものを用いる。
(a)磁性膜の全面に、スパッタ法や蒸着法などによりAl膜を形成する。その後、画素形成領域のみにレジスト層を形成する。画素寸法は、例えば、縦横16μmの正方形であり、画素間にギャップを介して2μm幅の細長状の小磁石片領域を設定する。
(b)次に、レジスト層をマスクとして、イオンミリングによりギャップのAl膜を除去し、更にイオンミリングを進めて溝を形成する。溝の深さは3μmとする。その後、900℃でアニーリング処理を施す。画素に対応する領域には、Al膜が残り、それが光反射膜となる。
(c)SiO2 絶縁膜を形成後、画素の外縁に沿って横方向に、スパッタ法、蒸着法、あるいはメッキ法などによりCu膜を形成し、X側の駆動ラインを配線する。この駆動ラインは、Cuの他、AuやAlなどで作製してもよい。
(d)更に、同様の方法で、SiO2 絶縁膜を形成後、画素の外縁に沿って縦方向に、スパッタ法、蒸着法、あるいはメッキ法などによりCu膜を形成し、Y側の駆動ラインを配線する。この駆動ラインも、Cuの他、AuやAlなどで作製してもよい。
このようにすることで、X側の駆動ライン50及びY側の駆動ライン52が、各画素40を「井」の字に囲むように形成された構造の磁気光学式空間光変調器が得られる。X側及びY側の駆動ラインを流れる電流の向きは、各駆動ラインを流れる電流によって発生する磁界の向きがターゲット画素に同じ向きに印加される。X側の2本の駆動ライン(1つのループ)の通電のみでは、発生する磁界は磁性膜の保磁力を超えることはできず、X側の2本の駆動ライン(1つのループ)とY側の2本の駆動ライン(1つのループ)への同時通電によってはじめて磁気飽和するように各電流値を設定する。
このような磁気光学式空間光変調器では、図9で示したように、入射光は、GGG基板及び磁性膜を透過し、ミラー機能を果たすAl膜で全反射し、再び磁性膜及びGGG基板を透過して出射する。入射光が、画素に相当する磁性膜の部分を往復する際、その磁気光学効果によって偏光方向の回転が与えられる。
本発明では、このような磁気光学式空間光変調器を用い、図4に示すような手順でデータの書き込みを行う。Aに示すような製造直後の状態から、まず最初に小磁石片領域のスイッチング磁界よりも大きな外部磁界を磁気光学式空間光変調器全体に印加して全画素40及び全小磁石片領域42を一方向に磁気飽和させる初期化を行う(B参照)。この初期化は、任意の方法で(永久磁石や電磁石で)磁界を印加することで行ってよい。次に、Cに示すように、X側及びY側の駆動ラインにより全小磁石片領域42の保磁力よりも小さく画素40の保磁力よりも大きな磁界を印加して全画素40のみを逆方向に磁化させるリフレッシュ(消去)操作を行う。謂わば、これはフォーマットに相当する。このリフレッシュ操作は、駆動ラインに電流を供給することで行う。その後、Dに示すように、X側及びY側の駆動ラインへの通電により選択したターゲット画素の磁化反転を行う。ここでは例として、対角の位置関係にある2個の画素の磁化を反転する例を示している。
図5は、画素40と小磁石片領域42の磁化の状態をイメージ的に描いたものである。Aは、初期化で全画素40及び全小磁石片領域42を上方向に磁気飽和させる処理をした後に、全画素を逆向き(下向き)に磁化させるリフレッシュ操作を行った状態を示している。画素40をリフレッシュするとき、小磁石片領域42による漏洩磁界(矢印aで示す)が画素のエッジに対してバイアストリガとして働き、消去をアシストする。そのため、リフレッシュのシーケンスでの駆動電力を低減できる。Bは、選択したターゲット画素の磁化反転を行う書き込み状態を示している。ここでは、中央の画素をターゲット画素として、その磁化方向を反転させる例である。ターゲット画素に対応するX方向及びY方向の駆動ラインに駆動電流を供給する。駆動電流による磁界(矢印bで示す)が合成されて、ターゲット画素の磁化方向は反転する(上向きになる)。このとき、駆動電流による磁界bは、小磁石片領域42では、該小磁石片領域による漏洩磁界aと向きが逆になるので、駆動電流による磁界の影響はターゲット画素以外の部分には及び難くなる。また、小磁石片領域は、画素同士の磁気的相互作用を低減する機能も果たす。このように、小磁石片領域は、バリアとして働く。
画素の大きさを16μm×16μmとしたBi置換YIG膜(厚み:2μm、飽和磁化:15mT、保磁力:5600A/m)について、画素に作用する磁界のシミュレーション結果を図6に示す。これは画素の中心から画素の一隅に向かって距離に対する磁界の分布を求めたものである。従来技術は小磁石片領域が無い場合、本発明は小磁石片領域(幅2μm)を設けた場合である。磁気的ギャップは2μmとした。本発明では、磁界が逆向きに印加される部分があり、これがターゲット画素の磁化反転時のアシストとして働く。また、磁界勾配が少ないため、画素の多磁区化を防止することができる。
図7は、本発明の他の実施例を示している。Aは、正方形状の画素40が、多数、互いに離間した状態でX方向(横方向)及びY方向(縦方向)に2次元的に配列されており、それらの隅部近傍に正方形状の小磁石片領域44を配列した構造である。Bは、Aと図1の構成を組み合わせたものであり、細長状の小磁石片領域42を画素40と画素40の間に、また正方形状の小磁石片領域44を画素40の隅部近傍に配列した構造である。その他、前述のように、小磁石片領域の寸法や形状、配列状態などは、必要に応じて適宜変更してよい。小磁石片領域の短い方の寸法(細長状パターンにおける幅や矩形パターンにおける寸法など)は、画素の大きさにもよるが、相対値で言えば画素の一辺の15%程度以下、絶対値で言えば2μm程度以下とすることが好ましい。大きくなりすぎると、画素密度が低下するし、画素との形状異方性の違いが小さくなるためである。
上記の実施例では、画素と小磁石片領域とは同じ材料で薄膜の形状異方性を利用して保磁力に差を設けている。しかし、小磁石片領域を異質化(例えば、アモルファス化や多結晶化など)することで保磁力に差が生じるようにしてもよい。画素と画素、画素と小磁石片領域との磁気的なギャップは、溝を形成した構造、あるいはその溝に非磁性材を埋めた構造でもよいし、画素や小磁石片領域、又はギャップ部分のいずれかを局部的に異質化する構成でもよい。
本発明に係る磁気光学式空間光変調器の一実施例を示す説明図。 形状による保磁力の変化についての説明図。 駆動ラインの一例を示す説明図。 データの書き込みを行うシーケンスの説明図。 磁化の状態をイメージ的に描いた説明図。 画素に作用する磁界のシミュレーション結果を示すグラフ。 本発明に係る画素・小磁石片領域パターンの他の例を示す説明図。 磁気光学式空間光変調器の一例を示す説明図。 基本動作の説明図。
符号の説明
40 画素
42 小磁石片領域

Claims (6)

  1. 磁気光学効果によって偏光方向の回転を与える画素が、多数、互いに離間した状態でX方向及びY方向に2次元的に配列され、画素に沿って配線したX側の駆動ライン及びY側の駆動ラインを流れる電流によって発生する合成磁界により各画素の磁化方向を個別に制御する方式の磁気光学式空間光変調器において、
    画素近傍に、画素から磁気分離された状態で、画素よりも保磁力の大きな小磁石片領域が多数形成されていることを特徴とする磁気光学式空間光変調器。
  2. 各画素の間に小磁石片領域が配置され、画素と小磁石片領域との間に磁気的なギャップが設けられている請求項1記載の磁気光学式空間光変調器。
  3. 小磁石片領域は、画素と同じ磁気光学材料膜からなり、画素よりも光学面積が小さいことによる形状異方性を利用して画素よりも保磁力の高い状態となっている請求項1又は2記載の磁気光学式空間光変調器。
  4. 小磁石片領域は、画素と異なる保磁力の高い材料で形成されている請求項1又は2記載の磁気光学式空間光変調器。
  5. X側及びY側の駆動ラインは、各画素の四辺を囲むように配置され、且つX側及びY側の駆動ラインを流れる電流により発生する合成磁界の方向が、画素中心に一致するようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気光学式空間光変調器。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気光学式空間光変調器を用い、最初に小磁石片領域のスイッチング磁界よりも大きな外部磁界を磁気光学式空間光変調器全体に印加して全画素及び全小磁石片領域を一方向に磁気飽和させる初期化を行い、次にX側及びY側の駆動ラインにより全小磁石片領域の保磁力よりも小さく画素の保磁力よりも大きな磁界を印加して全画素のみを逆方向に磁化させるリフレッシュ操作を行い、その後、X側及びY側の駆動ラインに流す電流により、ターゲット画素の磁化反転を行うことを特徴とする磁気光学式空間光変調器のデータ書き込み方法。
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