JP2013213556A - スプリング式一方向クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】二重スプリング式一方向クラッチのトルク伝達動作の安定性を向上させる。
【解決手段】外輪1の内向きフランジ4の内側面に係合凸部7を設け、回転軸2の円筒状外周面と外輪1の内周面の間に、小径巻部3aと大径巻部3bとを偏心した状態で軸方向に交互に形成した二重のクラッチスプリング3を、その小径巻部3aが回転軸2の外周面と弾性接触し、大径巻部3bが外輪1の係合凸部7の凸円弧面7aと弾性接触するとともに係合凸部7の回転軌跡と交差し、一端のフック3dが外輪1に係止されるように組み込むことにより、回転軸2が所定の一方向に回転して、クラッチスプリング3の小径巻部3aと大径巻部3bがいずれも縮径するときに、大径巻部3bが係合凸部7を十分に締め付けることができない場合でも係合凸部7と回転方向で係合し、回転軸2から外輪1へのトルク伝達が安定して行われるようにしたのである。
【選択図】図2

Description

本発明は、入力部材の一方向の回転をクラッチスプリングの作用によって出力部材に伝達するスプリング式一方向クラッチに関する。
プリンタや複写機、ファクシミリの紙送り機構等に組込まれる一方向クラッチとして、クラッチスプリングの締め付けおよびその解除によって所定の一方向の回転トルクの伝達と遮断とを行うようにしたスプリング式のものが従来から知られている。
一般的なスプリング式一方向クラッチは、非特許文献1に記載されているように、同一軸上に配置された入力軸(駆動アーバ)と出力軸(従動アーバ)の軸端部に跨るようにクラッチスプリングを組み付けて、入力軸が所定の一方向に回転したときに、クラッチスプリングが縮径して入力軸と出力軸を締め付ける作用により、入力軸の回転が出力軸に伝達されるようにしている。しかし、伝達トルク容量が小さく、大きなトルクを伝達する場合には、巻き数の多いクラッチスプリングを用いる必要があるため、軸方向に長くなるという問題がある。
一方、特許文献1では、クラッチスプリングを二重とし、その大径コイル部を入力部材(プーリ)の内周のクラッチ面に弾性接触させ、小径コイル部を入力部材の内側に組み込まれた出力部材(プーリハブ)の外周クラッチ面に弾性接触させて、入力部材が所定の一方向に回転したときに、クラッチスプリングの大径コイル部が拡径して入力部材を締め付けると同時に小径コイル部が縮径して出力部材を締め付ける作用により、入力部材の回転が出力部材に伝達されるようにした二重スプリング式のものが提案されている。この構成によれば、上述した一般的な一重のクラッチスプリングを用いたものよりも伝達トルク容量が大きくなり、軸方向寸法のコンパクト化を図ることができる。
「機械要素活用マニュアル・ばね」、編者;ニッパツ・日本発条株式会社、発行;1995年2月15日、P.136
特開2008−101740号公報
ところで、上記特許文献1に記載された二重スプリング式の一方向クラッチでは、上述したように軸方向寸法のコンパクト化は図れるが、二重のクラッチスプリングの大径コイル部の直径が一般的な一重のクラッチスプリングの直径に比べて大きくなる。このため、入力部材を所定の一方向に回転させたときの大径コイル部の拡径量が小さくなり、特に大径コイル部と入力部材との間の摩擦係数が小さくなった場合等に、大径コイル部が入力部材を十分に締め付けることができず、両者の間で滑りを生じてスムーズなトルク伝達が行えなくなるおそれがある。
そこで、本発明の課題は、二重スプリング式一方向クラッチのトルク伝達動作の安定性を向上させることである。
上記の課題を解決するため、本発明のスプリング式一方向クラッチは、一端に内向きフランジを有する筒状の出力部材と、その出力部材の内側に挿入されて出力部材と同軸上に配置された入力部材と、その入力部材の円筒状外周面と出力部材の内周面の間に組み込まれ、出力部材に一端を係止されたクラッチスプリングとからなり、前記出力部材の内向きフランジの内側面に出力部材内周面と対向する凸円弧面を有する係合凸部が設けられ、前記クラッチスプリングは、前記入力部材の外周面と全周にわたって弾性接触する小径巻部と、前記係合凸部の凸円弧面と弾性接触する大径巻部と、小径巻部と大径巻部とをつなぐ連設部とを有し、前記入力部材が所定の一方向に回転したときに、その小径巻部と大径巻部がいずれも縮径して、小径巻部が前記入力部材を締め付け、大径巻部が前記出力部材の係合凸部を締め付けるものであり、このクラッチスプリングの大径巻部または連設部を、前記出力部材の軸心まわりの係合凸部の回転軌跡と交差するように配した構成を採用したのである。
上記の構成によれば、入力部材が所定の一方向に回転して、クラッチスプリングの小径巻部と大径巻部がいずれも縮径するときに、大径巻部が出力部材の係合凸部を十分に締め付けることができない場合でも、その係合凸部の回転軌跡と交差するように配された大径巻部または連設部が係合凸部と回転方向で係合することにより、入力部材から出力部材へのトルク伝達を安定して行うことができる。
上記の構成において、前記クラッチスプリングとしては、前記小径巻部と前記大径巻部とをそれぞれの周方向の一点が前記連設部となるように偏心させて軸方向に交互に形成するか、あるいは前記小径巻部と前記大径巻部とを一つずつコイル状に形成して、その小径巻部が大径巻部の内周に接するように偏心させて配し、前記大径巻部が前記係合凸部の回転軌跡と交差するようにしたものを採用することができる。また、前記小径巻部と前記大径巻部とを同軸上で軸方向に交互に形成し、前記連設部が前記係合凸部の回転軌跡と交差するようにしたものを採用することもできる。
前記クラッチスプリングの他端にフックを設け、このフックと係合する制御部材を前記出力部材および入力部材と同軸上で回転可能に設け、この制御部材の回転を停止させることにより、前記入力部材が前記クラッチスプリングに対して空転するようにすれば、制御部材の回転制御によって入力部材から出力部材へのトルク伝達と遮断を制御することができる。
ここで、前記出力部材の他端に前記制御部材に通される蓋取付部を設け、この蓋取付部に前記制御部材を抜け止めする蓋を取り付けて、前記出力部材と制御部材を一体化することにより、クラッチ全体のユニット化が容易に行えるようになる。
本発明のスプリング式一方向クラッチは、上述したように、出力部材の内向きフランジの内側面に係合凸部を設け、入力部材の円筒状外周面と出力部材の内周面の間に組み込まれる二重のクラッチスプリングの小径巻部を入力部材の外周面に全周にわたって弾性接触させ、大径巻部を係合凸部の凸円弧面に弾性接触させるとともに、その大径巻部または小径巻部と大径巻部とをつなぐ連設部を、出力部材の軸心まわりの係合凸部の回転軌跡と交差するように配することにより、入力部材が所定の一方向に回転して、クラッチスプリングの小径巻部と大径巻部がいずれも縮径するときに、大径巻部が出力部材の係合凸部を十分に締め付けることができない場合でも、大径巻部または連設部が係合凸部と回転方向で係合するようにしたものであるから、入力部材から出力部材へのトルク伝達を安定して行うことができる。
第1実施形態のスプリング式一方向クラッチの縦断正面図 図1のII−II線に沿った断面図 aは図1のクラッチスプリングの右側面図、bはaのIII−III線に沿った断面図 第2実施形態のスプリング式一方向クラッチの縦断正面図 aは図4のクラッチスプリングの右側面図、bはaのV−V線の沿った断面図 第3実施形態のスプリング式一方向クラッチの縦断正面図 図6のVII−VII線に沿った断面図 aは図6のクラッチスプリングの右側面図、bはaのVIII−VIII線に沿った断面図 第4実施形態のスプリング式一方向クラッチの縦断正面図 図9の右側面図 図9の要部の分解斜視図 第5実施形態のスプリング式一方向クラッチの縦断正面図 aは図12の左側面図、bはaのXIII−XIII線に沿った断面図 第6実施形態のスプリング式一方向クラッチの縦断正面図 aは図14の左側面図、bはaのXV-XV線に沿った断面図
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図3は第1の実施形態を示す。この実施形態のスプリング式一方向クラッチは、図1に示すように、出力部材としての外輪1と、外輪1の中心部に挿通される入力部材としての回転軸2と、回転軸2の円筒状外周面と外輪1の内周面の間に組み込まれたクラッチスプリング3とを備えており、その外輪1と回転軸2とが相対的に回転自在とされている。
前記外輪1は、外周面に歯1aが形成されたギヤであり、その一端に内向きフランジ4を有し、他端部の内周側に環状の蓋5が嵌め込まれている。その蓋5は、外輪1の他端の開口を閉塞して、クラッチスプリング3を抜け止めしている。また、その内向きフランジ4の内周面と蓋5の内周面が、回転軸2を外輪1と相対回転自在に支持するラジアル軸受面となっている。なお、外輪としては、この実施形態のようなギヤのほかに、外周のベルト案内面に軸方向に延びる歯が多数形成された歯付きプーリ等を用いることもできる。
図1および図2に示すように、外輪1の内周側には、内向きフランジ4の内側面から他端側へ向かって、径方向断面がC字状の段部6と、径方向断面が三日月状で外輪1内周面と対向する凸円弧面7aを有する係合凸部7が設けられている。C字状段部6は、その内周面に、後述するようにクラッチスプリング3を係止するための軸方向溝6aが形成されている。また、係合凸部7は、その先端が蓋5の内側面に設けられた環状溝5aに挿入されるようになっている。
前記クラッチスプリング3は、図3(a)、(b)に示すように、小径巻部3aと大径巻部3bとが、それぞれの周方向の一点を互いをつなぐ連設部3cとして偏心した状態で、軸方向に交互に一巻ずつ形成されており、スプリング全体の一端には径方向外側へ延びるフック3dが形成されている。なお、各小径巻部3aおよび各大径巻部3bの巻き数は任意に変更できる。そして、図1および図2に示すように、小径巻部3aが回転軸2の外周面と全周にわたって弾性接触し、大径巻部3bが外輪1の係合凸部7の凸円弧面7aおよび回転軸2の外周面の一部と弾性接触し、フック3dが外輪1の内周側に形成された軸方向溝6aに差し込まれる状態で組み込まれる。これにより、一端をフック3dで外輪1に係止されるとともに、大径巻部3bが外輪1の軸心まわりの係合凸部7の回転軌跡と交差するようになっている。
このスプリング式一方向クラッチは、上記の構成であり、回転軸2をクラッチスプリング3の他端(自由端)側から見た巻き方向と反対の方向(図2の矢印方向)に回転させると、クラッチスプリング3の小径巻部3aと大径巻部3bがいずれも縮径して、小径巻部3aが回転軸2を締め付けると同時に大径巻部3bが外輪1の係合凸部7と回転軸2を締め付ける作用により、回転軸2から外輪1へ回転トルクが伝達され、外輪1が回転軸2と同方向に回転する。
このとき、クラッチスプリング3の大径巻部3bと外輪1の係合凸部7との間の摩擦係数の減少等により、大径巻部3bが係合凸部7を十分に締め付けることができない場合もあるが、この大径巻部3bは係合凸部7の回転軌跡と交差するように配されており、係合凸部7と回転方向で係合するので、回転軸2から外輪1へのトルク伝達を安定して行うことができる。
一方、回転軸2を上記と逆に(図2の矢印方向と反対の方向に)回転させると、クラッチスプリング3の小径巻部3aと大径巻部3bがいずれも拡径し、回転軸2から外輪1へのトルク伝達は行われず、回転軸2が空転する。
図4および図5は第2の実施形態を示す。この実施形態は、第1実施形態のクラッチスプリング3に代えて図5に示すクラッチスプリング8を用いたものである。その他の構成は第1実施形態と同一であるため、第1実施形態と同一の部品については、基本的に同一の符号を付して説明を省略する。これは後述する第3乃至第6の実施形態においても同じである。
この第2実施形態のクラッチスプリング8は、図5(a)、(b)に示すように、小径巻部8aと大径巻部8bとを一つずつコイル状に形成して、その小径巻部8aが大径巻部8bの内周に接するように偏心させて配し、両者の端部どうしを渦巻き状に延びる連設部8cでつないだものである。その小径巻部8aの自由端(スプリング全体の一端)には、径方向外側へ延びるフック8dが形成されている。
そして、このクラッチスプリング8を、図4に示すように、小径巻部8aが回転軸2の外周面と全周にわたって弾性接触し、大径巻部8bが外輪1の係合凸部7の凸円弧面7aと弾性接触し、フック8dが外輪1の軸方向溝6aに差し込まれる状態で組み込むことにより、クラッチスプリング8のフック8dが外輪1に係止され、大径巻部8bが係合凸部7の回転軌跡と交差するようになっている。
したがって、この第2実施形態も、第1実施形態と同様に、クラッチスプリング8の大径巻部8bが係合凸部7を十分に締め付けることができない場合でも、大径巻部8bが係合凸部7と回転方向で係合するので、外輪1へのトルク伝達を安定して行える。
図6乃至図8は第3の実施形態を示す。この実施形態は、第1実施形態のクラッチスプリング3に代えて図8に示すクラッチスプリング9を用い、このクラッチスプリング9が組み込めるように外輪1の内周側の構造を変更したものである。
この第3実施形態の外輪1は、円筒状の内周面にクラッチスプリング9係止用の軸方向溝1bが形成されている。また、内向きフランジ4の内側面から他端側へ向かって、径方向断面が三日月状の大小2つの係合凸部10、11が設けられている。各係合凸部10、11は、外輪1内周面と対向する凸円弧面10a、11aを有し、先端が蓋5の内側面に設けられた環状溝5aに挿入されるようになっている。
一方、クラッチスプリング9は、図8(a)、(b)に示すように、小径巻部9aと大径巻部9bとを同軸上で軸方向に交互に形成し、両者の端部どうしを渦巻き状に延びる連設部9cでつないだもので、スプリング全体の一端には径方向外側へ延びるフック9dが形成されている。なお、各小径巻部9aおよび各大径巻部9bの巻き数は任意に変更できる。
そして、このクラッチスプリング9を、図6および図7に示すように、小径巻部9aが回転軸2の外周面と全周にわたって弾性接触し、大径巻部9bが外輪1の各係合凸部10、11の凸円弧面10a、11aと弾性接触し、フック9dが外輪1の軸方向溝1bに差し込まれる状態で組み込むことにより、クラッチスプリング9のフック9dが外輪1に係止され、連設部9cが各係合凸部10、11の回転軌跡と交差するようになっている。
したがって、この第3実施形態では、クラッチスプリング9の大径巻部9bが係合凸部10、11を十分に締め付けることができない場合、連設部9cが各係合凸部10、11と回転方向で係合するので、第1、第2実施形態と同様に、外輪1へのトルク伝達を安定して行うことができる。
図9乃至図11は第4の実施形態を示す。この実施形態では、第3実施形態をベースとして、クラッチスプリング9の他端に軸方向外側へ延びるフック9eを設け、このフック9eと係合する制御部材としてのラチェットホイール12を、回転軸2の外周に回転自在に嵌め込んでいる。ラチェットホイール12は、その外周に形成された歯12aと外部のラチェット爪13との係合、離脱によって回転が制御されるようになっている。また、その径方向中央部には軸方向に貫通する一対の扇形の窓12bが形成され、内周面にはクラッチスプリング9の他端のフック9eが差し込まれる軸方向溝12cが形成されている。
一方、外輪1の他端には、ラチェットホイール12の窓12bに通される一対の扇形の蓋取付部14が設けられており、この蓋取付部14の先端側の内周にラチェットホイール12を抜け止めする環状の蓋15が嵌め込まれて、外輪1とラチェットホイール12が一体化されている。
この第4実施形態では、ラチェット爪13がラチェットホイール12の歯12aから離脱した状態で、回転軸2を図10の矢印方向に回転させると、クラッチスプリング9の小径巻部9aと大径巻部9bがいずれも縮径して、小径巻部9aが回転軸2を締め付けると同時に、大径巻部9bが外輪1の各係合凸部10、11を締め付け、外輪1とクラッチスプリング9とラチェットホイール12と蓋15とが一体となって回転軸2と同方向に回転する。このとき、クラッチスプリング9の大径巻部9bが係合凸部10、11を十分に締め付けることができない場合でも、連設部9cが各係合凸部10、11と回転方向で係合し、外輪1へのトルク伝達を安定して行える点は、第3実施形態と同じである。
上記の回転軸2から外輪1へのトルク伝達状態において、ラチェット爪13をラチェットホイール12の半径方向内方に移動させ、ラチェットホイール12の歯12aに係合させてラチェットホイール12を停止させると、クラッチスプリング9の小径巻部9aと大径巻部9bがいずれも拡径し、回転軸2がクラッチスプリング9に対して空転するようになって、回転軸2から外輪1へのトルク伝達が遮断される。
このように、第4実施形態では、ラチェットホイール12の回転制御によって回転軸2から外輪1へのトルク伝達と遮断を制御することができる。
図12および図13は第5の実施形態を示し、図14および図15は第6の実施形態を示す。これらの各実施形態は、第1実施形態をベースとして、クラッチスプリング3の一端のフック3dの形状を変更し、これに対応するように外輪1のフック係止構造を変更したものである。
このうち、図12および図13(a)、(b)に示す第5の実施形態では、クラッチスプリング3のフック3dが、軸方向外側へ延びた部分の先端側をクラッチスプリング3の巻方向と逆方向(輪郭円の略接線方向)へ折り返したL字状に形成されている。そして、外輪1の内向きフランジ4の内周近傍に、このフック3dを収容するフック収容部16が設けられている。
前記外輪1のフック収容部16は、クラッチスプリング3のフック3dを通す長孔状の窓16aと、内向きフランジ4の外側で窓16aの長手方向一端(トルク伝達時の回転方向側端)から延びる凹部16bとからなる。そして、フック3d全体をフック収容部16の窓16aに挿入した後、クラッチスプリング3と外輪1を相対回転させることにより、フック3dの先端部をフック収容部16の凹部16bに差し込んで、クラッチスプリング3を外輪1に係止するようになっている(図13(b)参照)。
この第5実施形態では、上記のようにクラッチスプリング3のフック3dがL字状に形成されており、トルク伝達時にスプリング3の内側へ引き込まれにくくなっているので、入力トルクが大きくなっても安定してトルク伝達を行うことができる。また、クラッチスプリング3は外輪1によって軸方向にも拘束されることになるので、クラッチスプリング3を抜け止めする蓋5を省略することもできる。
図14および図15(a)、(b)に示す第6の実施形態は、第5実施形態と基本的な構成は同じであるので、第5実施形態との相違点のみを説明する。まず、この第6実施形態では、クラッチスプリング3の組み込みが容易になるように、外輪1のフック収容部16の幅(径方向寸法)を広くし、クラッチスプリング3のフック3dを軸方向に対して若干傾斜した方向に延ばしている。
また、第5実施形態と同様にクラッチスプリング3を組み込んだ後、外輪1のフック収容部16の窓16aとこれに連続する段部6の軸方向溝6bへ断面扇形の柱状部材17を嵌め込むことにより、クラッチスプリング3を周方向にも拘束して、より安定したトルク伝達が行えるようにしている。
1 外輪(出力部材)
2 回転軸(入力部材)
3、8、9 クラッチスプリング
3a、8a、9a 小径巻部
3b、8b、9b 大径巻部
3c、8c、9c 連設部
3d、8d、9d フック(一端側)
4 内向きフランジ
5 蓋
6 段部
6a、6b 軸方向溝
7、10、11 係合凸部
7a、10a、11a 凸円弧面
9e フック(他端側)
12 ラチェットホイール(制御部材)
13 ラチェット爪
14 蓋取付部
15 蓋
16 フック収容部
16a 窓
16b 凹部
17 柱状部材

Claims (6)

  1. 一端に内向きフランジを有する筒状の出力部材と、その出力部材の内側に挿入されて出力部材と同軸上に配置された入力部材と、その入力部材の円筒状外周面と出力部材の内周面の間に組み込まれ、出力部材に一端を係止されたクラッチスプリングとからなり、
    前記出力部材の内向きフランジの内側面に出力部材内周面と対向する凸円弧面を有する係合凸部が設けられ、
    前記クラッチスプリングは、前記入力部材の外周面と全周にわたって弾性接触する小径巻部と、前記係合凸部の凸円弧面と弾性接触する大径巻部と、小径巻部と大径巻部とをつなぐ連設部とを有し、前記入力部材が所定の一方向に回転したときに、その小径巻部と大径巻部がいずれも縮径して、小径巻部が前記入力部材を締め付け、大径巻部が前記出力部材の係合凸部を締め付けるものであり、
    このクラッチスプリングの大径巻部または連設部を、前記出力部材の軸心まわりの係合凸部の回転軌跡と交差するように配したスプリング式一方向クラッチ。
  2. 前記クラッチスプリングが、前記小径巻部と前記大径巻部とをそれぞれの周方向の一点が前記連設部となるように偏心させて軸方向に交互に形成し、前記大径巻部が前記係合凸部の回転軌跡と交差するようにしたものであることを特徴とする請求項1に記載のスプリング式一方向クラッチ。
  3. 前記クラッチスプリングが、前記小径巻部と前記大径巻部とを一つずつコイル状に形成して、その小径巻部が大径巻部の内周に接するように偏心させて配し、前記大径巻部が前記係合凸部の回転軌跡と交差するようにしたものであることを特徴とする請求項1に記載のスプリング式一方向クラッチ。
  4. 前記クラッチスプリングが、前記小径巻部と前記大径巻部とを同軸上で軸方向に交互に形成し、前記連設部が前記係合凸部の回転軌跡と交差するようにしたものであることを特徴とする請求項1に記載のスプリング式一方向クラッチ。
  5. 前記クラッチスプリングの他端にフックを設け、このフックと係合する制御部材を前記出力部材および入力部材と同軸上で回転可能に設け、この制御部材の回転を停止させることにより、前記入力部材が前記クラッチスプリングに対して空転するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスプリング式一方向クラッチ。
  6. 前記出力部材の他端に前記制御部材に通される蓋取付部を設け、この蓋取付部に前記制御部材を抜け止めする蓋を取り付けて、前記出力部材と制御部材を一体化したことを特徴とする請求項5に記載のスプリング式一方向クラッチ。
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