JP2013213276A - メッキ膜を有する成形体の製造方法、樹脂ペレットの製造方法、メッキ膜を有する発泡成形体及びメッキ膜を有する成形体 - Google Patents

メッキ膜を有する成形体の製造方法、樹脂ペレットの製造方法、メッキ膜を有する発泡成形体及びメッキ膜を有する成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】汎用の射出成形機、押出成形機等の成形機を使用して、環境負荷が高い薬品を用いることなくメッキ膜の形成が可能な成形体を成形することを含む、メッキ膜を有する成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】
メッキ膜を有する成形体の製造方法であって、熱可塑性樹脂に金属微粒子を分散した樹脂ペレットを用意することと、前記樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形することと、前記成形体に無電解メッキ液を接触させて、前記成形体の表面にメッキ膜を形成することを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、メッキ膜を有する成形体の製造方法、樹脂ペレットの製造方法、メッキ膜を有する発泡成形体及びメッキ膜を有する成形体に関する。
成形体に安価に金属膜を形成する方法として、無電解メッキ法が知られている。無電解メッキ法では、金属膜の成形体への密着性確保のため、六価クロム酸や過マンガン酸等の酸化剤を含むエッチング液を用いて成形体表面を粗化する前処理を行う。そのため、無電解メッキ法には、エッチング液により侵食されるABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)が主に用いられてきた。ABS樹脂は、ブタジエンゴム成分がエッチング液に選択的に侵食され、表面に凹凸が形成される。一方、ABS樹脂以外の樹脂、例えば、ポリカーボネート等では、無電解メッキを可能にするため、ABS樹脂やエラストマー等、エッチング液に選択的に酸化される成分を混合したメッキグレードが市販されている。しかし、このような無電解メッキ法の前処理は、六価クロム酸や過マンガン酸等を使用することから、環境負荷が高いという問題があった。
一方、前処理であるエッチング工程を経ずに、成形体に金属膜を形成する方法として、超臨界二酸化炭素等の加圧二酸化炭素を用いた成形体の表面改質法の利用が提案されている。本発明者らは、加圧二酸化炭素を用いた表面改質処理を射出成形と同時に行い、成形体の表面に無電解メッキの触媒核となるパラジウムを分散させる方法を提案している(特許文献1)。この方法では、表面にパラジウムが偏在化した成形体に無電解メッキを施すことにより、エッチング工程を経ずに成形体表面にメッキ膜を形成できる。
特許第4160623号公報
しかし、特許文献1の方法は、専用の成形機を必要とする。そのため、特許文献1で提案される方法では、環境負荷が高いエッチング工程を経ずに無電解メッキを施せる成形体を、汎用の成形機を用いて成形することができない。汎用の成形機を使用できないことが、特許文献1の方法の普及の妨げになっていると考えられる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、環境負荷が高いエッチング工程を経ずに無電解メッキを施せる成形体を、汎用の成形機を用いて製造する方法を提供する。
本発明の第1の態様に従えば、メッキ膜を有する成形体の製造方法であって、熱可塑性樹脂に金属微粒子を分散した樹脂ペレットを用意することと、前記樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形することと、前記成形体に無電解メッキ液を接触させて、前記成形体の表面にメッキ膜を形成することを含むメッキ膜を有する成形体の製造方法が提供される。
第1の態様において、成形体を成形することは、可塑化溶融した樹脂ペレットに加圧二酸化炭素又は加圧窒素の少なくとも一方の物理発泡剤を混合することと、物理発泡剤を含む樹脂ペレットを発泡させて発泡成形体を成形することを含んでもよい。また、樹脂ペレットが、親水性セグメントを含むブロック共重合体を含有してもよい。
第1の態様において、熱可塑性樹脂はアミド基を含んでもよく、6ナイロン又は6,6ナイロンであってもよい。メッキ膜はニッケルを含んでもよく、金属微粒子はパラジウムを含んでもよい。更に、熱可塑性樹脂に熱伝導性材料が分散されていてもよい。
本発明の第2の態様に従えば、メッキ膜を有する成形体の製造に用いる樹脂ペレットの製造方法であって、前記熱可塑性樹脂を可塑化溶融することと、前記可塑化溶融した熱可塑性樹脂に、金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合することと、前記金属微粒子を混合した熱可塑性樹脂を押出成形した後、粉砕して前記樹脂ペレットを得ることを含む樹脂ペレットの製造方法が提供される。
更に、第2の態様において、可塑化溶融した熱可塑性樹脂に親水性セグメントを含むブロック共重合体を混合してもよい。
本発明の第3の態様に従えば、第1の態様の製造方法によって製造されるメッキ膜を有する発泡成形体であって、内部に独立した発泡セルを有する発泡成形体と、該発泡成形体の表面に形成されたメッキ膜を有し、前記発泡成形体のメッキ膜が形成された表面から10μm以内の深さには、前記メッキ膜と同じ種類の金属からなる金属領域が形成されており、前記発泡成形体のメッキ膜が形成された表面から前記金属領域が存在する範囲には、前記発泡セルが存在しないメッキ膜を有する発泡成形体が提供される。
第3の態様において、発泡成形体の比重は1.2g/cm以下であってもよい。また、発泡成形体は、23℃の水中に24時間浸漬した後の吸水による重量変化が、0.5%以下であってもよい。
本発明の第4の態様に従えば、メッキ膜を有する成形体であって、熱可塑性樹脂からなる成形体と、該成形体の表面に形成されたメッキ膜とを有し、前記成形体は親水性セグメントを含むブロック共重合体を含有し、前記メッキ膜が形成された表面の表面近傍領域における前記ブロック共重合体の濃度が、表面近傍領域以外の領域におけるブロック共重合体の濃度より高いことを特徴とするメッキ膜を有する成形体が提供される。
第4の態様において、親水性セグメントはポリエーテル構造を有してもよい。また、成形体は内部に発泡セルを有してもよく、更に、表面近傍領域には、メッキ膜を構成する金属が存在し、成形体のメッキ膜が形成された表面から前記金属が存在する範囲には、発泡セルが実質的に存在しなくてもよい。また、表面近傍領域には、ブロック共重合体とメッキ膜を構成する金属とが共存し、表面近傍領域以外の領域は前記金属が存在しなくてもよい。更に、メッキ膜が形成された成形体の表面から深さ10μm以内の領域におけるブロック共重合体の濃度が、表面から深さ500μm以上の領域(表面から500μm以上深い領域)におけるブロック共重合体の濃度より高くてもよい。
第4の態様において、メッキ膜を有する成形体は、金属微粒子及びブロック共重合体を含む熱可塑性樹脂の樹脂ペレットを用意することと、樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形することと、成形体に無電解メッキ液を接触させて、成形体の表面にメッキ膜を形成することを含む製造方法によって製造されてもよい。樹脂ペレットを用意することは、熱可塑性樹脂を可塑化溶融することと、熱可塑性樹脂にブロック共重合体を混合することと、可塑化溶融した熱可塑性樹脂に、金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合することと、ブロック共重合体及び金属微粒子が混合された熱可塑性樹脂を押出成形し、粉砕して樹脂ペレットを得ることを含んでもよい。
本発明の第5の態様に従えば、メッキ膜を有する成形体であって、表面から所定深さまでの第1領域に、前記メッキ膜を構成する金属と、親水性セグメントを含むブロック共重合体とが共存する成形体と、前記成形体の表面に形成されたメッキ膜を備え、前記成形体の表面から前記所定深さよりも深い領域に存在する第2領域には前記ブロック共重合体が存在し、前記第1領域におけるブロック共重合体の濃度が、前記第2領域におけるブロック共重合体の濃度より高いことを特徴とするメッキ膜を有する成形体が提供される。
第5の態様において、第1領域が成形体の表面から深さ10μm以内の領域であり、第2領域が表面から深さ500μm以上の領域であってもよい。また、第2領域には、メッキ膜を構成する金属が存在しなくてもよい。
本発明の製造方法は、金属微粒子を含む樹脂ペレットを用いることで、汎用の射出成形機、押出成形機等の成形機を使用して、金属微粒子を含む成形体を製造できる。したがって、金属微粒子を含む成形体を製造するために、新たな成形機を導入する等の設備投資をする必要がない。金属微粒子を含む成形体は、成形体表面に触媒を付与する必要がなく、触媒付与のために環境負荷が高い薬品を用いた表面処理を行う必要がない。
図1は、第1の実施形態の製造方法を説明するフローチャートである。 図2は、実施例1で使用した樹脂ペレット製造装置の概略図である。 図3は、第2の実施形態の製造方法を説明するフローチャートである。 図4は、第3の実施形態の発泡成形体の表面近傍の断面SEM写真である。 図5は、第3の実施形態の発泡成形体の発泡成形体の樹脂内部の断面SEM写真である。 図6は、第2の実施形態の製造方法により製造された成形体の断面模式図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態として、図1に示すメッキ膜を有する成形体の製造方法を説明する。まず、熱可塑性樹脂に金属微粒子を分散した樹脂ペレットを用意する(ステップS1)。
熱可塑性樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテーテルエーテルケトン、ABS系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等を用いることできる。また、熱可塑性樹脂には、ガラス繊維、タルク、カーボン繊維等、各種無機フィラー等を混練させることもできる。熱可塑性樹脂は、吸水性及びメッキ反応性が高いアミド基を含む樹脂が好ましく、特に、6ナイロン、6,6ナイロン等のナイロンが好ましい。また、熱可塑性樹脂は、―種類の材料を用いても、又は、二種類以上の材料を混合して用いても良いが、二種類以上の材料を混合して用いる場合、ナイロンが主成分であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂には、カーボン繊維、ナノカーボン等の炭素材料、アルミや銅、鉄等の金属微粒子、銅―錫、アルミ―錫等の低融点合金の微粒子、窒化ホウ素や窒化アルミ、アルミナ等のセラミック材料等の熱伝導性材料を混合させることが好ましい。原材料である熱可塑性樹脂に熱伝導性材料を混合することで、メッキ膜を有する成形体が熱伝導材料を含むこととなり、成形体の放熱性能を向上させることができる。
金属微粒子は、後述する無電解メッキ工程(ステップS3)においてメッキ触媒として機能し、Pd、Ni、Pt、Cu等の金属微粒子、金属錯体、金属アルコキシド等の金属酸化物の前駆体を用いることができる。金属錯体の種類は任意であるが、より具体的には、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体、白金ジメチル(シクロオクタジエン)、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(アセチルアセトネート)パラジウム等が望ましい。後述するように、金属微粒子を加圧二酸化炭素に溶解する場合には、加圧二酸化炭素への溶解性が高い金属錯体を用いることが好ましい。
樹脂ペレットは、熱可塑性樹脂を可塑化溶融することと、可塑化溶融した熱可塑性樹脂に、金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合することと、金属微粒子を含む熱可塑性樹脂を押出成形した後、粉砕して前記樹脂ペレットを得ることを含む樹脂ペレットの製造方法により、製造してもよい。例えば、押出成形機の可塑化シリンダ内で熱可塑性樹脂を可塑化溶融し、その可塑化シリンダへ金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を導入し、可塑化シリンダ内で溶融樹脂と加圧二酸化炭素を接触させる。加圧二酸化炭素は、金属微粒子の溶媒であると共に、熱可塑性樹脂の可塑剤としても作用し、金属微粒子が熱可塑性樹脂に均一に分散することを促進する。したがって、加圧二酸化炭素を用いて製造された樹脂ペレットを用いて、メッキ膜を有する成形体を製造すると、均一で高品質なメッキ膜を得ることができる。加圧二酸化炭素を用いずに、熱可塑性樹脂と金属微粒子のみを混合することで樹脂ペレットを製造することも可能であるが、以上の理由から加圧二酸化炭素を用いることが好ましい。
上述の樹脂ペレットの製造方法において、加圧二酸化炭素としては、液体状態、ガス状態、又は超臨界状態の加圧二酸化炭素を用いることができる。これらの加圧二酸化炭素は、人体に無害であり、また溶融樹脂への拡散性に優れ、しかも溶融樹脂から容易に除去可能であり、更に、溶融樹脂の可塑剤としても機能するからである。可塑化シリンダへ導入する加圧二酸化炭素の圧力、温度は任意であるが、密度が高く安定であることから液体二酸化炭素もしくは超臨界二酸化炭素を用いることが好ましい。加圧二酸化炭素の温度は5℃〜50℃の範囲が好ましい。加圧二酸化炭素の温度は、低いほど高密度となり溶媒効果が高くなるので好ましいが、冷却制御が容易であるという観点から5℃以上が好ましい。また、加圧二酸化炭素の温度が高くなると密度が低くなり液送が不安定になる虞があるので、安定に液送するという観点から、50℃以下が好ましい。加圧二酸化炭素の圧力は、4〜25MPaの範囲が望ましい。圧力が低いと溶媒効果が発現しにくくなるので、適度な溶媒効果を得るという観点から、4MPa以上が好ましく、また、圧力が高いと高圧設備の維持にコストが係るので、コストを抑えるという観点から、25MPa以下が好ましい。尚、金属微粒子を溶解又は分散させた加圧二酸化炭素は、可塑化シリンダ内で瞬時に高温になり圧力も変動する。よって、上述の加圧二酸化炭素の状態、温度及び圧力は、可塑化シリンダに導入する前の安定な状態の加圧二酸化炭素の状態、圧力及び温度の値である。
更に、加圧二酸化炭素は金属微粒子を溶解する溶媒を含有してもよい。例えば、金属微粒子として金属錯体を使用する場合、加圧二酸化炭素中の金属錯体の濃度を高めるため、パーフルオロペンチルアミンなどのフッ素系有機溶媒を用いてもよい。
加圧二酸化炭素中の金属微粒子の濃度は、金属微粒子の種類を考慮して適宜選択することができ、特に制限されない。溶融樹脂への浸透性や加圧二酸化炭素中の金属微粒子の凝集を考慮すれば、好ましくは飽和溶解度以下である。特に高温になる成形機の可塑化シリンダ内では急激に二酸化炭素の密度が低下するので、加圧二酸化炭素中の金属微粒子の濃度は、飽和溶解度の1〜50%程度が好ましい。
加圧二酸化炭素を調製する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。例えば、図2に示す注射器のように加圧二酸化炭素を吸引、送液するシリンジポンプを備えた加圧流体供給装置100を用いてもよい。本実施形態では、加圧流体供給装置100において、所定の割合で金属微粒子を混合した加圧二酸化炭素(以下、必要により、「混合加圧流体」と記載する)を製造し、この混合加圧流体を可塑化シリンダへ供給する。
混合加圧流体を可塑化シリンダに供給する方法は任意である。例えば、混合加圧流体を可塑化シリンダに間欠的に導入してもよいし、連続的に導入してもよい。また、混合加圧流体の導入は、例えば、図2に示す安定な送液が行えるシリンジポンプを利用し、導入量を制御してもよい。
混合加圧流体を熱可塑性樹脂に混合した後、金属微粒子を含む熱可塑性樹脂を押出成形し、粉砕して樹脂ペレットを得ることができる。
次に、得られた金属微粒子を含む樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形する(ステップS2)。本実施形態の成形体は、金属微粒子が分散された樹脂ペレットを用いて、汎用の射出成形機、押出成形機等の成形機を使用し、汎用の成形方法により、成形することができる。したがって、本実施形態の製造方法は、新たな成形機を購入する等の設備投資をすることなく、メッキ触媒である金属微粒子を含む成形体を製造することができる。金属微粒子が含まれる成形体は、成形体表面に触媒を付与する必要がなく、触媒付与のために環境負荷が高い薬品を用いた表面処理を行う必要がない。
本実施形態の製造方法では、成形体に含まれる金属微粒子を成形体表面近傍(表面近傍領域)に偏在させることが好ましい。メッキ触媒である金属微粒子が成形体の表面近傍に偏在すると、メッキ膜を成形体表面に形成し易くなり、成形体表面でのメッキ反応が均一化する。これにより、メッキ膜の密着力が向上し、ピンホール等のメッキ外観不良が低減され、質の高いメッキ膜を形成できる。また、メッキ反応に寄与する金属微粒子は成形体表面近傍のみである。したがって、金属微粒子を成形体表面近傍に偏在させることで、メッキ反応に寄与しない成形体中心部の金属微粒子を減らし、コストを削減することができる。
尚、本明細書において、「成形体の表面近傍(表面近傍領域)」とは、成形体の内部であって、且つ、表面に近い領域を意味し、成形体をメッキ液に接触させたときに表面からメッキ液が浸透してメッキ反応が起きる領域を意味する。「成形体の表面近傍」が、成形体の表面から、どの程度の深さまでの領域を意味するかは、成形体に用いられる熱可塑性樹脂によっても異なるが、成形体の表面から、0.1〜10μmまでの深さの領域であることが好ましい。
成形体に含まれる金属微粒子を成形体表面近傍に偏在させる方法としては、例えば、金属微粒子を含む樹脂ペレットを可塑化溶融させ、可塑化溶融した樹脂ペレットに加圧二酸化炭素もしくは加圧窒素の少なくともどちらか一方の物理発泡剤を混合し、物理発泡剤を含む溶融樹脂を用いて発泡成形体を成形することが好ましい。
本発明者らの検討によれば、加圧窒素や加圧二酸化炭素を物理発泡剤として用いることで、金属微粒子は表面近傍に偏在化しやすくなる。これは成形体の内部に含まれる物理発泡剤が成形体表層部へ抜けでる際に、物理発泡剤がドライビングフォースとなり成形体内部に存在する金属微粒子を表面近傍に偏在化させると推定される。本実施形態の方法では、無電解メッキ膜は、成形体表面から10μm以内の範囲で成長する。金属微粒子がこの範囲内に存在することで、メッキ膜を成形体表面に形成し易くなり、メッキ膜の密着力低下が抑制され、メッキ反応ムラやピンホール等の外観不良が低減される。
また、物理発泡剤として用いられる加圧窒素や加圧二酸化炭素は、物理発泡剤として機能すると共に、熱可塑性樹脂の可塑剤としても作用し、金属微粒子が熱可塑性樹脂に均一に分散することを促進する。これにより触媒核となる金属微粒子の粒子径を著しく小さくでき、メッキ反応性の高い成形体を製造できる。
本実施形態の製造方法では、まず、加熱下において熱可塑性樹脂に金属微粒子を分散して樹脂ペレットを製造し、更に、樹脂ペレットを加熱して樹脂溶融として成形体を成形する。このような長い熱履歴は、本来、金属微粒を凝集させ、メッキ膜の形成に悪影響を与える恐れがある。しかしながら、上述のように、加圧窒素や加圧二酸化炭素を物理発泡剤として用いて発泡成形を行うことで、金属微粒子を成形体の表面近傍に偏在化させ、かつ、金属微粒子の分散を促進できる。これにより、金属微粒子を含む樹脂ペレットを用いた製造方法であっても、密着力が高く、ピンホール等の外観不良が少ない、質の高いメッキ膜を形成できる。
次に、得られた金属微粒子を含む成形体に無電解メッキ液を接触させ、メッキ膜を形成する(図1のステップS3)。無電解メッキ液としては、公知のものを使用できるが、触媒活性が高く液が安定であるという点から、無電解ニッケルリンメッキ液が好ましい。
本実施形態の成形体は、メッキ触媒として働く金属微粒子が内部に分散されているので、メッキ触媒付与処理を行う必要がない。また、本実施形態では、無電解メッキ液が成形体の表面から浸透して成形体に含まれる金属微粒子に接触し、金属微粒子を触媒としてメッキ膜が成長する。したがって、メッキ膜は成形体に食い込んだ状態(メッキ膜の一部が成形体に浸透した状態)で成形体上に形成される。それゆえ、従来の無電解メッキ法のように成形体の表面をエッチングで粗化する必要がなく、多様な種類の成形体に対しても容易に密着性の優れたメッキ膜を形成することができる。また、本実施形態では、従来の無電解メッキ法のように成形体の表面を粗化しないので、表面粗度の非常に小さい(ナノオーダー)メッキ膜を形成することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態として、図3に示すメッキ膜を有する成形体の製造方法を説明する。本実施例の製造方法は、金属微粒子と共に親水性セグメントを含むブロック共重合体を含有する樹脂ペレットを用意すること(ステップS11)以外は、第1の実施形態と同様である。
まず、熱可塑性樹脂に金属微粒子と共に、親水性セグメントを含むブロック共重合体を分散した樹脂ペレットを用意する(ステップS11)。親水性セグメントを含むブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体」と記載することがある)を含有する樹脂ペレットを用意する方法は任意であり、第1の実施形態において説明した、樹脂ペレットの製造過程において、熱可塑性樹脂とブロック共重合体を混合して、樹脂ペレットを製造してもよい。例えば、押出成形機の可塑化シリンダ内で熱可塑性樹脂と共にブロック共重合体を可塑化溶融し、その可塑化シリンダへ金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を導入し、可塑化シリンダ内で溶融樹脂及びブロック共重合体と、加圧二酸化炭素とを接触させる。
本発明者らは、金属微粒子と共にブロック共重合体を含有する樹脂ペレットを用いて成形体を製造すると、ブロック共重合体がメッキ膜の成長を促し、更にメッキ膜の質を向上させることを見出した。この理由は定かではないが、以下のように推察される。
樹脂ペレットを用いた成形体の成形過程、又は成形後において、成形体に含まれるブロック共重合体は、親水性セグメントが成形体表面にブリードアウトしようと移動する。よって、ブロック共重合体は、成形体の表面近傍(表面近傍領域)に偏在し、ブロック共重合体の親水性セグメントにより、成形体は表面近傍のみが親水化される。
本実施形態では、成形体に無電解メッキ液を接触させると、メッキ液は成形体の表面から内部に浸透して金属微粒子と接触し、成形体の内部から成形体を押し広げながらメッキ膜が成長する。このとき、本実施形態の成形体はブロック共重合体により表面近傍が親水化されているため、メッキ液の浸透とメッキ膜の成長が促されると考えられる。本実施形態の成形体は、メッキ膜の付きまわり性が良好で、短時間でメッキ膜が形成される。メッキ膜形成時間が短くなることで、ピンホール等のメッキ膜の欠陥も生じにくくなる。
一方、ブロック共重合体は、成形体の表面近傍に偏析するため、ブロック共重合体により親水化されるのは成形体の表面近傍のみである。ブロック共重合体は成形体の親水性を部分的に向上させるが、成形体全体の吸水性(マクロ的吸水性)へ与える影響は小さい。よって、メッキ液中での成形体の脆性破壊を抑制でき、成形体の機械的特性を低下させない。この結果、メッキ膜形成後も成形体は十分な耐熱衝撃性能を有する。
更に、本実施形態において、ブロック共重合体が成形体の表面近傍(表面近傍領域)へ移動するのに伴って、金属微粒子も表面近傍へ移動し表面近傍に偏在化し易くなると推察される。この現象の理由は定かではないが、金属微粒子が表面近傍に偏在化することで、メッキ膜を樹脂表面に形成し易くなり、メッキ膜の密着力低下が抑制され、メッキ反応ムラやピンホール等の外観不良が低減される。
本実施形態のブロック共重合体は、親水性セグメントを有し、当然に、親水性セグメントとは異なる他のセグメント(以下、「他のセグメント」と記載する場合がある)も有している。親水性セグメントは、ブロック共重合体と混合する熱可塑性樹脂及び、ブロック共重合体の他のセグメントと比較して親水性が高ければ任意のセグメントでよく、特に、ポリエーテル構造を有することが好ましい。ポリエーテル構造としては、例えばアルキレンの炭素数が2〜4のオキシアルキレン基であるエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等のオキシアルキレン基、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、及びこれらの変性物、並びにポリエーテル含有親水性ポリマーが含まれる。このような親水性セグメントを有することにより、ブロック共重合体は成形体の表面に偏析することができる。
本実施形態において、ブロック共重合体の他のセグメントは任意であるが、被メッキ体を形成する熱可塑性樹脂と相溶する材料が好ましい。熱可塑性樹脂と相溶するという点から、他のセグメントは、熱可塑性樹脂と同じ構造又は、類似の構造を有する樹脂が好ましい。例えば、熱可塑性樹脂にナイロン等のポリアミド樹脂を用いる場合には、他のセグメントはポリアミド成分を含むナイロン等が好ましい。たま、熱可塑性樹脂にポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を用いる場合には、他のセグメントはポリオレフィン成分を含むことが好ましい。このように、他のセグメントが被メッキ体を形成する熱可塑性樹脂と相溶する樹脂であると、熱可塑性樹脂との混合時及び、成形後の成形体内部での相分離を抑制できる。
本実施形態のブロック共重合体は市販品を用いてもよく、例えば、三洋化成工業製ペレスタット(登録商標)、ペレクトロン(登録商標)等を用いることができる。例えば、三洋化成工業製ペレスタットNC6321は、親水性セグメントのポリエーテルと、他のセグメントのナイロンをエステル結合でコポリマー化したブロック共重合体である。
本実施形態では、ブロック共重合体の樹脂ペレットに対する混合比が1〜30wt%となるように、ブロック共重合体と熱可塑性樹脂とを混合することが好ましい。ブロック共重合体の混合比は、成形体へのメッキ液の浸透性を十分に高めるために1wt%以上が好ましく、成形体の機械強度及びメッキ膜形成後の耐熱衝撃性能を維持するために、30wt%以下が好ましい。また、ブロック共重合体の混合比は、5〜15wt%とすることが更に好ましい。
次に、得られた金属微粒子及びブロック共重合体を含む樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形し(図3のステップS2)、成形体に無電解メッキ液を接触させ、メッキ膜を形成する(ステップS3)。成形体を成形する方法及び、メッキ膜を形成する方法は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
尚、本実施形態では、ブロック共重合体を用いることによって、被メッキ体である成形体の表面近傍のみを親水化し、上述の効果を奏することができる。例えば、同じ構成成分からなるランダム共重合体や、親水性セグメントのみから構成される重合体等では、成形体の表面近傍のみを親水化することは難しく、本発明と同等の効果は得られない。
上述のように、本実施形態の製造方法では、まず、加熱下において熱可塑性樹脂に金属微粒子を分散して樹脂ペレットを製造し、更に、樹脂ペレットを加熱して樹脂溶融として成形体を成形する。このような長い熱履歴は、本来、金属微粒を凝集させ、メッキ膜の形成に悪影響を与える恐れがある。しかしながら、上述のように、樹脂ペレット中に親水性セグメントを含むブロック共重合体を含有させることで、メッキ膜の成長を促し、メッキ膜の質を向上させることができる。これにより、金属微粒子を含む樹脂ペレットを用いた製造方法であっても、密着力が高く、ピンホール等の外観不良が少ない、質の高いメッキ膜を形成できる。
尚、本実施形態は、金属微粒子と共にブロック共重合体を含有する樹脂ペレットを用い、更に、第2の実施形態と同様に、加圧窒素等の物理発泡剤を用いて、発泡成形体を成形してもよい。物理発泡剤を用いることで、更に、成形体上のメッキ膜の成長を促すことができる。
図6に示すように、本実施形態の製造方法によって製造されるメッキ膜を有する成形体600は、内部にブロック共重合体603を有する成形体601と、成形体601の表面に形成されたメッキ膜602を有する。そして、メッキ膜602が形成された表面近傍(表面近傍領域)601bにおけるブロック共重合体の濃度は、成形体の表面近傍以外の領域601aのブロック共重合体の濃度より高い。「表面近傍(表面近傍領域)」が成形体601のメッキ膜602が形成された表面からどの程度の深さまでの領域を意味するかは、上述したように成形体に用いられる熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、例えば、表面から深さ10μm以内の領域においては、成形体中に占めるブロック共重合体の割合(ブロック共重合体の濃度)は、好ましくは10vol%以上、更に好ましくは20〜90vol%である。一方、表面近傍以外の領域601aにおいては、例えば、表面から深さ500μm以上の領域(表面から500μm以上深い領域)である成形体中心部のブロック共重合体の濃度は、好ましくは10vol%以下、更に好ましくは1〜10vol%である。また、表面から深さ10μm以内の領域のブロック共重合体の濃度は、表面から深さ500μm以上の領域の濃度、例えば、成形体中心部のブロック共重合体の濃度に対して、好ましくは1.5〜20倍、更に好ましくは、10〜20倍である。成形体601の内部に含まれるブロック共重合体603がこのように分布することで、上述したように、メッキ膜の質が向上し、メッキ膜形成後も成形体は十分な耐熱衝撃性能を有することができる。
表面近傍601bには、ブロック共重合体603と共にメッキ膜602と同じ種類の金属からなる金属領域602aが形成されている。一方、表面近傍以外の領域601aには、金属領域602aは存在しない。つまり、表面近傍601bには、ブロック共重合体603とメッキ膜602を構成する金属が共存し、表面近傍以外の領域601aには前記金属は存在しない。金属領域602aは、メッキ膜602を無電解メッキにより形成するとき、表面近傍601bに含まれる金属微粒子を触媒としてメッキ反応により形成される。図6に示すように、金属領域602aの一部はメッキ膜602と連結していてもよい。つまり、メッキ膜602の一部は、成形体601の表面近傍601bに浸透している。
また、メッキ膜を有する成形体600は、表面から所定深さまでの第1領域にメッキ膜602を構成する金属とブロック共重合体603とが共存する成形体601と、成形体601の表面に形成されたメッキ膜602を備え、成形体601の表面から前記所定深さよりも深い領域に存在する第2領域には前記ブロック共重合体が存在し、第1領域におけるブロック共重合体の濃度が、第2領域におけるブロック共重合体の濃度より高い。本実施形態においては、「第1領域」は図6に示す表面近傍(表面近傍領域)601bであり、「成形体601の表面から前記所定深さよりも深い領域」は、表面近傍以外の領域(表面近傍領域以外の領域)601aである。また、第1領域は、成形体601の表面から深さ10μm以内の領域であってもよく、第2領域は、前記表面から深さ500μm以上の領域(表面から500μm以上深い領域)であってもよい。また、第2領域には、メッキ膜602を構成する金属が存在しなくてもよい。
[第3の実施形態]
次に、第1の実施形態のメッキ膜を有する成形体の製造方法によって製造される、メッキ膜を有する成形体について説明する。本実施形態の成形体は発泡成形体あり、上述の第1の実施形態の製造方法において、物理発泡剤を用いる方法によって製造できる。
本実施形態のメッキ膜を有する成形体は、例えば、内部に独立した発泡セルを有する発泡成形体と、該発泡成形体の表面に形成されたメッキ膜を有し、前記発泡成形体のメッキ膜が形成された表面から10μm以内の深さに、前記メッキ膜と同じ種類の金属からなる金属領域が形成されており(メッキ膜を構成する金属が存在し)、前記発泡成形体のメッキ膜が形成された表面から前記金属領域が存在する範囲には、前記発泡セルが存在しない。
無電解メッキの触媒となる金属微粒子を内部に含んだ成形体に無電解メッキ液を接触させると、メッキ液は成形体の表面から内部に浸透して金属微粒子と接触し、成形体の内部から成形体を押し広げながらメッキ膜が成長していく。したがって、成形体内部には、メッキ膜と同じ種類の金属、例えばニッケルリンからなる金属領域が形成される。上述のように、金属微粒子は成形体の表面近傍に偏在し、例えば、その範囲は、成形体のメッキ膜が形成された表面から10μm以内の深さである。したがって、この範囲に金属領域が形成される。
成形体表面からこの金属領域が形成される範囲(メッキ膜を構成する金属が存在する範囲)は、メッキ反応が生じる範囲である。この範囲に発泡セルが存在するとメッキ時に酸性のニッケルリンメッキ液が発泡セル内部に混入し、残存する虞がある。残存したメッキ液は、メッキ膜の腐食の要因となるので、発泡セルは金属領域が存在する範囲には存在しないことが好ましい。本実施形態のメッキ膜を有する成形体は、表面から金属領域が存在する範囲には発泡セルが存在しないため、メッキ膜の腐食を抑制することができる。
表面から金属領域が存在する範囲に発泡セルを形成しないために、本実施形態の成形体は、例えば、以下の方法によって成形される。射出成形によって成形される成形体は、コア層と呼ばれる樹脂内部を形成する層と、スキン層とよばれる成形体の最表層部を形成する層に分けられ、コア層がスキン層で覆われている。射出成形において、溶融樹脂が金型キャビティに充填される際には、まずフローフロントと呼ばれる樹脂流動の先端部を流れる樹脂が金型壁面で冷却されスキン層を形成し、次いで流動樹脂の中央部を流れる樹脂がコア層を形成する。そして、物理発泡剤を用いた発泡射出成形では、高圧の物理発泡剤を含んだ溶融樹脂はキャビティに充填される際に減圧され、樹脂内部に発泡セルを形成する。
本実施形態では、スキン層を形成する樹脂を、後から流れるコア層を形成する樹脂の充填圧力によって金型壁面に押し付け、減圧され難くすることでスキン層の発泡を抑制する。これにより、コア層には発泡セルが存在するがスキン層の発泡は存在しない成形体を成形することができる。本実施形態では、発泡成形体におけるスキン層の厚みが10〜100μm程度となるように金型温度や射出速度、樹脂温度等を調整する。これにより、本実施形態における成形体では、無電解メッキで形成される金属領域が存在する範囲、即ち、成形体の樹脂表面から10μm以内の領域には発泡セルが存在しない。
尚、本実施形態における「金属領域が存在する範囲(メッキ膜を構成する金属が存在する範囲)」とは、メッキ膜と同じ種類の金属からなる金属領域が20vol%以上の体積を占める領域を意味する。また、本実施形態における「発泡セル」とは、成形体の微小な欠陥までも含むことを意味しない。したがって、「金属領域が存在する範囲には、前記発泡セルが実質的に存在しない」とは、例えば、金属領域が20vol%以上の体積を占める領域において、発泡セルサイズが5μm以上の独立気泡が存在しないことを意味する。
図4に示すように、本実施形態の成形体500は、内部に独立した発泡セルを有する発泡成形体501と、該発泡成形体501の表面に形成されたメッキ膜502を有する。発泡成形体501のメッキ膜502が形成された表面から10μm以内の深さの領域501bには、メッキ膜502と同じ種類の金属からなる金属領域が形成されており、メッキ膜502が形成された表面から金属領域が存在する範囲には発泡セルは存在しない。尚、図4に示す本実施形態の成形体のスキン層厚みは、約100μmである。また、図5に示すように、領域501bより内部の領域501aには、直径50μm程度の発泡セル501cが多数存在し、メッキ反応により形成される金属領域は存在しない。
また、本実施形態のメッキ膜を有する成形体は、比重が1.2g/cm以下であることが好ましい。比重を1.2g/cm以下とすることで、本実施形態の成形体は、軽量な放熱部材として利用できる。例えば、従来の放熱樹脂材料は、熱伝導率が5W/m・K以上の場合、比重が1.4g/cm以上となり、比重が大きいことが問題であった。一方、発泡成形体では、放熱樹脂材料を減らし発泡させることにより軽量化が可能であるが、放熱効率が低下するという問題があった。実施形態の成形体は、密着性の高い高品質のメッキ膜を表面に有するので、発泡成形体の放熱効率の低下をメッキ膜により補完することができる。これにより、本実施形態の成形体は、放熱効率を下げることなく、比重を1.2g/cm以下とすることができる。
また、本実施形態のメッキ膜を有する成形体は、23℃の水中に24時間浸漬した後の吸水による重量変化が、0.5%以下であることが好ましい。本発明者らの検討によれば、メッキ膜を形成しない発泡成形体は、通常の非発泡成形体に比べて吸水が大きく、これにより線膨張係数も大きくなるため、高温多湿環境下での使用において信頼性が低いという問題があった。
しかし、本実施形態のメッキ膜を有する成形体は、密着性の高い高品質のメッキ膜を表面に有するので、成形体への吸水を抑制できる。本実施形態のメッキ膜を有する成形体は、23℃の水中に24時間浸漬した後の吸水による重量変化を0.5%以下とすることで、線膨張係数も小さくなり、高温多湿環境下での使用にも耐えられる。
以上説明したように、本実施形態のメッキ膜を有する成形体は、密着性の高い高品質のメッキ膜を表面に有するので、放熱性能といった金属部品の性能を維持しつつ、軽量で且つ高温多湿環境下での信頼性が高い成形体であり、例えば、軽量な放熱部材として利用できる。また、本実施形態のメッキ膜を有する成形体は、内部発泡により成形体の収縮が抑制されるので、寸法精度も向上する。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例及び比較例により制限されない。
[実施例1]
実施例1では、図2に示す樹脂ペレット製造装置を用いて樹脂ペレットを製造した。熱可塑性樹脂として、熱伝導性材料である炭素材料を含み、6ナイロンと非強化の6ナイロンを1:2の重量比でドライブレンドした材料(ユニチカ製、TNEG−5C)を用い、金属微粒子としてヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体を用いた。本実施例で用いた炭素材料を含むナイロンの熱伝導率は、レーザーフラッシュ法による測定で5W/m・Kとなる。また、本実施例では、該ペレットを可塑化溶融した後に、物理発泡剤を混合して発泡成形体を成形し、該発泡成形体上にメッキ膜を形成した。
[樹脂ペレット製造装置]
まず、本実施例で樹脂ペレットの製造に用いた装置について説明する。図2に示すように、樹脂ペレット製造装置1000は、金属微粒子を混合した熱可塑性樹脂を押出成形する押出成形装置200と、金属微粒子を含む加圧二酸化炭素(混合加圧流体)を押出成形装置200に供給する加圧流体供給装置100と、押出成形装置200により押出成形された熱可塑性樹脂を冷却する樹脂冷却装置300と、制御装置(不図示)を備える。制御装置は、加圧流体供給装置100、押出成形装置200、及び樹脂冷却装置300を動作制御する。
加圧流体供給装置100は、加圧二酸化炭素と、金属微粒子を溶媒に溶解させた溶液Cとを混合して混合加圧流体を調製し、調製した混合加圧流体を押出成形装置200に供給する。加圧流体供給装置100は、サイフォン式の二酸化炭素ボンベ101と、二酸化炭素ボンベ101より液体二酸化炭素を吸引した後、加圧して液体二酸化炭素を供給する二酸化炭素用シリンジポンプ102と、溶液槽111内の金属微粒子含有液体Cを加圧して供給する溶液用シリンジポンプ112より構成される。各シリンジポンプ102、112は圧力制御と流量制御が可能である。調製された混合加圧流体は、背圧弁120を介して押出成形装置200に供給される。
押出成形装置200は、内部に回転及び進退自在に配設されたスクリュ20を有する第1シリンダ(可塑化シリンダ)210と、内部に回転及び進退自在に配設されたスクリュ25を有する第2シリンダ220と、スクリュ20、25それぞれに連結し、スクリュ20、25を回転動作させるサーボモータ28、29と、第1シリンダ210と第2シリンダ220とを連結する連結部230から構成される。本実施例では、第1及び第2シリンダ210、220内において、可塑化溶融された溶融樹脂は、図2における右手から左手に向かって流動する。したがって、第1及び第2シリンダ210、220の内部においては、図2における右手を「上流」又は「後方」、左手を「下流」又は「前方」と定義する。第1シリンダ(可塑化シリンダ)210は、スクリュ20が貫通するリング形状のシール部材26と、シール部材26よりも下流に設けられ、スクリュウ20が貫通するリング形状部材24が設けられる。また、第2シリンダ220は、その先端部にノズル27有する。
第1シリンダ210の上部側面には、上流側から順に、熱可塑性樹脂を可塑化シリンダ210に供給するための樹脂供給口201、混合加圧流体を第1シリンダ210内に導入するための導入口202が形成される。また、第2シリンダ220の上部側面には、第2シリンダ220内からガス化した二酸化炭素を排気するためのベント203が形成されている。これらの樹脂供給口201、及び導入口202にはそれぞれ、樹脂供給用ホッパ211、及び導入バルブ212が配設されている。第1シリンダ210の外壁面には、バンドヒータ(図示せず)が配設されており、これにより可塑化シリンダ210が加熱され、熱可塑性樹脂が可塑化溶融される。
押出成形装置200では、樹脂供給口201から第1シリンダ210内に熱可塑性樹脂が供給され、熱可塑性樹脂がバンドヒータによって可塑化されて溶融樹脂となり、スクリュ20が正回転することにより下流に送られる。そして、導入口202近傍まで送られた溶融樹脂は、導入された金属微粒子を含む加圧二酸化炭素(混合加圧流体)と高圧下、接触混練される。混合加圧流体を含む溶融樹脂は、第1シリンダ210から、下流の連結部230へ送られる。そして、連結部230の樹脂は、第1シリンダ210から順次供給される樹脂に押出されて、更に下流の第2シリンダ220へ送られる。第2シリンダ220では、混合加圧流体と接触混練された溶融樹脂の樹脂内圧を低下させることにより、ガス化した二酸化炭素が溶融樹脂から分離し、ベント203から排気される。二酸化炭素が排気された後、溶融樹脂は、スクリュ25が回転することにより下流に送られ、ノズル27から第2シリンダ220の外部へ押し出される。
以上説明したように、第1シリンダ210内では、上流側から順に、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とする可塑化ゾーン21、溶融樹脂と導入口202から導入される混合加圧流体とを高圧下、接触混練する混練ゾーン22が形成される。そして、第2シリンダ220内では、混合加圧流体と接触混練した溶融樹脂の樹脂内圧を低下させることにより、溶融樹脂から分離された二酸化炭素をベント203から排気する減圧ゾーン23が形成される。第1シリンダ210においては、上述のリング形状のシール部材26は、可塑化ゾーン21と混練ゾーン22の境界に位置しており、リング形状部材24は混練ゾーン22に位置している。そして、スクリュ20の混練ゾーン22に位置する部分は、その直径が下流に向かうに従い大きくなる形状を有する。
樹脂冷却装置300は、第2シリンダ220のノズル27から押出された樹脂を冷却し固化する装置であり、冷却水等により樹脂が十分に固化される機構であれば任意であるが、本実施形態では、冷却水を用いないアルミ製のベルトコンベア装置301を用いた。冷却水を用いないことで、成形体原料にポリアミド等の吸水性が高い熱可塑性樹脂を用いた場合にも、樹脂の過剰な吸水を防ぐことができ、後工程での困難な脱水作業が不要となる。図2に示すように、アルミベルトコンベア装置301は、輪状にしたアルミ製のベルトを回転させるベルトコンベアであり、アルミ製のベルトの上に、押出成形装置200から押し出される樹脂を裁置し、図2の上流から下流へ(右手から左手へ)運搬する。放熱性能の高いアルミ製のベルトの上に裁置されることで、押出された樹脂は運搬されながら冷却され、固化する。
[樹脂ペレットの製造]
上で説明した図2に示す樹脂ペレット製造装置1000を用いて、以下に説明する方法により、樹脂ペレットを製造した。まず、液体二酸化炭素ボンベ101から液体二酸化炭素を吸引し、二酸化炭素用シリンジポンプ102の圧力制御により所定圧力まで液体二酸化炭素を加圧した。また、溶液用シリンジポンプ112により、溶液槽111から溶媒に金属微粒子を溶解させた溶液Cを吸引し、溶液用シリンジポンプ112の圧力制御により所定圧力まで溶液Cを加圧する。本実施例では、溶液Cの溶媒としてパーフルオロペンチルアミンのフッ素系有機溶媒を用いた。
次に、二酸化炭素用シリンジポンプ102及び溶液用シリンジポンプ112を圧力制御から流量制御に切替え、二酸化炭素用シリンジポンプ102と溶液用シリンジポンプ112の流量比が10:1となるように流動させた。これにより、配管内で加圧二酸化炭素と溶液Cとが混合され、かつ、第1シリンダ210内に混合加圧流体を導入する導入バルブ212までの系内を加圧した。本実施例において、シリンジポンプ102、112から導入バルブ212までの系内は10℃に冷却し、圧力は10MPaとした。背圧弁120の設定圧力も10MPaとした。また、本実施例において、混合加圧流体中の金属微粒子の濃度は、飽和溶解度の10〜20%程度に制御した。
一方、押出成形装置200において、樹脂供給用ホッパ211から熱可塑性樹脂を供給し、可塑化ゾーン21の外壁面に設けられたバンドヒータ(図示せず)により可塑化ゾーン21を加熱し、スクリュ20を回転させた。これにより、熱可塑性樹脂を可塑化溶融し、下流の混練ゾーン22へ流動させた。
混練ゾーン22において、導入バルブ212により、導入口202を介して可塑化シリンダ210内へ、混合加圧流体を一定流量で連続的に供給した。そして、スクリュ20を回転されることにより、混合加圧流体を溶融樹脂中に分散混練した。このとき、リング形状のシール部材26によって、混練ゾーン22に導入した二酸化炭素や金属微粒子が上流側の可塑化ゾーン21に漏れることが防止される。
次に、スクリュ20の回転により、混練ゾーン22の樹脂を下流の連結部230へ流動させた。混練ゾーン22において、樹脂の下流への流動の際、直径が下流に向かうに従い大きくなるというスクリュ20の形状及びリング形状部材24の存在が溶融樹脂の流動抵抗となり、混練ゾーン22内の樹脂内圧が上がり、第1シリンダ210の圧力が上昇する。
混練ゾーン22には、図示しない圧力センサーが設けられており、混練ゾーン22のシリンダ圧力を監視できる。樹脂粘性などの変化により混練ゾーン22のシリンダ内の圧力が低下した際には、サーボモータ28の回転数を上げて混練ゾーン22への溶融樹脂の供給量を増やし、混練ゾーン22のシリンダ内の圧力を上昇させる。反対に、シリンダ内の圧力が上昇した際には、サーボモータ28の回転数を下げて樹脂供給量を減らし、シリンダ内の圧力を低下させる。このように、本実施例の第1シリンダは、スクリュ回転数を調整することで、シリンダ内圧を一定に保つことができる機構を有する。混練ゾーン22のシリンダ内の圧力の変動が大きいと、シリンジポンプ102、112から供給される混合加圧流体の導入量が安定せず、ばらつきが発生するが、本実施例では、混練ゾーン22のシリンダ内の圧力を一定に保つことで導入量が安定する。本実施例においては、混練ゾーン22のシリンダ内圧が8MPaを保つように、スクリュ20の回転数を設定した。
スクリュ20を継続して回転させ、第1シリンダ210の樹脂を下流の連結部230へ供給し続けた。連結部230の溶融樹脂は、第1シリンダから供給される樹脂に押し出される形で、下流の第2シリンダ220の減圧ゾーン23に流動した。減圧ゾーン22において、溶融樹脂の減圧を行い、溶融樹脂中に溶解した二酸化炭素のみを分離し、第2シリンダ220に設けられたベント203から排出した。
次に、二酸化炭素を排出した溶融樹脂を、第2シリンダの先端部に設けられたノズル27から、スクリュ25の回転により押し出した。ノズル27からの溶融樹脂の押出し量は、サーボモータ29により調節した。尚、サーボモータ29は、サーボモータ28と独立制御が可能である。
ノズル27から押し出された樹脂を冷却装置300のアルミベルトコンベア301の上に裁置し、図2における上流から下流へ運搬した。押し出された溶融樹脂は、運搬される間に冷却され、固化した。固化した樹脂を汎用の裁断機によって任意のサイズに裁断し、パラジウム金属微粒子を含む樹脂ペレットを得た。
[成形体の成形]
本実施例で得られたパラジウム金属微粒子を含む樹脂ペレットを用いて、汎用の発泡射出成形機(日本製鋼所製、J40EL3−DK MUCELL)を用いて、汎用の発泡成形方法により、平板形状の発泡成形体を20個成形した。本実施例では、物理発泡剤として加圧窒素ガスを使用し、溶融樹脂の金型への樹脂充填率を金型キャビティの容積に対して65%に設定した。発泡成形体は、樹脂の内部発泡により所望の形状が得られた。
[メッキ膜の形成及び評価]
(1)試料(I)
本実施例で得られた20個の発泡成形体のうち、10個に以下の方法によりメッキ膜を形成し、試料(I)を作製した。まず、発泡成形体を40℃の2.5N塩酸水溶液に1分浸漬した後、85℃の1,3−ブタンジオール水溶液(75vol%)に10分間浸漬させ、その後、85℃の無電解ニッケルメッキ液に15分浸漬し、ニッケルリンメッキ膜を形成した。次に、ニッケルリンメッキ膜上に、汎用の方法により、電解Cuメッキ膜20μm、光沢電解Niメッキ膜20μmを順に形成し、本実施例の試料(I)を得た。
無電解ニッケルリンメッキ膜の形成過程を目視で観察した。発泡成形体を無電解ニッケルメッキ液に浸漬した後、10分以内に成形体全面に膜抜けなくメッキ膜が形成したことが確認された。また、ニッケルリンメッキ膜のみを形成した状態の試料(I)、即ち、電解メッキを行う前の試料(I)から、無作為に3個を抽出し、ニッケルリンメッキ膜を目視で観察した。その結果、単位面積(1cm)あたりのピンホール数は0〜3個と非常に少なかった。
次に、電解メッキ膜を形成した試料(I)の密着性評価(ピール試験)を行った。この結果、メッキ膜の密着力は、10N/cmであり、密着性の高いメッキ膜が形成されていることがわかった。更に、試料(I)に、−35℃の環境と90℃の環境に交互に曝すサイクル試験を3サイクル実施するヒートショック試験を行った。この結果、試料にメッキ膜の膨れ、剥が等は生じなかった。
(2)試料(II)
次に、本実施例で得られた20個の発泡成形体のうち、3個に試料(I)と同様の方法により、ニッケルリンメッキ膜を形成し、ニッケルリンメッキ膜上に、汎用の方法により、電解Cuメッキ膜20μm形成して、試料(II)を得た。試料(II)の中央部にLEDの光源を設置し、点灯後のLED光源の最高到達温度を赤外線サーモグラフィ(アピステ製、FSV−1200−L8)で観察する放熱性能試験を行った。その結果、LED光源の最高到達温度は84℃であった。一方、本実施例で得られた発泡成形体にメッキ膜を形成せずに同様の放熱性能試験を行った場合、LED光源の最高到達温度は120℃と高温であった。この原因は、樹脂中に含まれる放熱材料が少ないこと、及び成形体内部に存在する発泡セルの断熱効果である。本実施例の試料(II)は、発泡成形体の低い放熱性能を質の高いメッキ膜により補完できることがわかった。
また、試料を80℃に加熱したアルミ製の金属プレート上に試料(II)を設置して、試料(II)が一様にアルミプレート同じ温度になるまで加熱し、試料の加熱前後での温度変化による寸法変化を工具顕微鏡にて測定した。寸法変化量から基材の線膨張係数を求めたところ、試料(II)の線膨張係数は 2.3×10−5と小さいことがわかった。
更に、試料(II)を23℃の水中に24時間浸漬する吸水試験を行い、浸漬前後での重量変化を測定した。その結果、23℃の水中に24時間浸漬した後の吸水による重量変化は、0.1%であった。一方、本実施例で得られた発泡成形体にメッキ膜を形成せずに同様の吸水試験を行ったところ、浸漬前後での重量変化は2.5%であった。この結果から、メッキ膜を形成することにより、発泡成形体の吸水を大きく抑制できることがわかった。このように吸水を抑制することで、本実施例の試料(II)は、上述の低い線膨張係数を有するものと推察される。本実施例では、緻密なメッキ膜を形成することで、発泡成形体の吸水膨張による寸法変化を抑制することができた。
尚、試料(II)の比重は1.1g/cmと軽量であった。
次に、本実施例における試料(II)の断面のSEM観察を行った。ニッケルリンメッキ膜が形成された表面から深さ5μm以内には、メッキ膜と同じ種類の金属からなる金属領域、即ちニッケルリンからなる金属領域が形成されていた。表面から深さ5μm以内において、金属領域は成形体の20vol%以上を占有していた。そして、成形体のメッキ膜が形成された表面から金属領域が存在する範囲、即ち、成形体の表面から深さ5μmの範囲には、セル径が0.5μm以上の発泡セルは観察されず、発泡セルは実質的に存在しなかった。更に、成形体の表面から深さ100μmの範囲には、セル径5μm以上の発泡セルは観察できなかった。発泡セルは成形体表面から深さ100μm以上の内部に、10〜50μmのセル径で存在していた。
以上説明したように、本実施例では、熱可塑性樹脂に金属微粒子を分散した樹脂ペレットを用いることにより、汎用の成形機を使用して金属微粒子を含む成形体が製造でき、環境負荷が高い表面処理を行うことなく、成形体上にメッキ膜を形成することができた。更に、物理発泡剤を用いることにより、密着力が高く、ピンホール等の外観不良が少ない、質の高いメッキ膜を形成することができた。また、得られたメッキ膜を有する成形体は、密着性の高い高品質のメッキ膜を表面に有するので、放熱性能といった金属部品の性能を維持しつつ、軽量で且つ高温多湿環境下での信頼性が高い成形体であった。
[実施例2]
本実施例では、金属微粒子と共に、更に、親水性セグメントを含むブロック共重合体を含有した樹脂ペレットを製造した以外は、実施例1と同様の樹脂ペレット製造装置を用い、実施例1と同様の方法により、金属微粒子及びブロック共重合体を含む樹脂ペレットを作製した。また、本実施例では、該ペレット用いて、非発泡成形体を成形した。尚、ブロック共重合体としては、ポリエチレンオキシドとポリアミド成分をエステル結合させたポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三洋化成工業製、ペレスタットNC6321)を用いた。ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体における親水性セグメントは、ポリエーテルであるポリエチレンオキシドである。
[樹脂ペレットの製造]
押出成形装置200において、樹脂供給用ホッパ211から熱可塑性樹脂と共にブロック共重合体のペレットを供給し、第1シリンダ210内において、熱可塑性樹脂とブロック共重合体を混合したこと以外は、実施例1と同様の方法により、樹脂ペレットを製造した。尚、ブロック共重合体は、樹脂ペレット中の濃度が、5wt%となるように、熱可塑性樹脂に混合した。
[成形体の成形]
本実施例で得られた金属微粒子及びブロック共重合体を含む樹脂ペレットを用い、物理発泡剤を用いず、溶融樹脂の金型への樹脂充填率を金型キャビティの容積に対して100%に設定したこと以外は、実施例1と同じ条件にて成形を行い、板形状の非発泡成形体を20個成形した。
[メッキ膜の形成及び評価]
(1)試料(III)
本実施例で得られた20個の非発泡成形体のうち、10個に実施例1の試料(I)と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ膜、電解Cuメッキ膜20μm、光沢電解Niメッキ膜20μmを順に形成し、本実施例の試料(III)を得た。
ニッケルリンメッキ膜の形成過程を目視で観察した。発泡成形体を無電解ニッケルメッキ液に浸漬した後、10分以内に全面に膜抜けなくメッキ膜が形成したことが確認された。また、ニッケルリンメッキ膜のみを形成した状態の試料(III)、即ち、電解メッキを行う前の試料(III)から、無作為に3個を抽出し、ニッケルリンメッキ膜を目視で観察した。その結果、単位面積(1cm)あたりのピンホール数は0〜3個と少なかった。
次に、電解メッキ膜を形成した試料(III)の密着性評価(ピール試験)を行った。この結果、メッキ膜の密着力は、10N/cmであり、密着性の高いメッキ膜が形成されていることがわかった。更に、試料(III)に、実施例1と同様にヒートショック試験を行った。この結果、試料(III)にメッキ膜の膨れ、剥が等は生じなかった。
(2)試料(IV)
次に、本実施例で得られた20個の非発泡成形体のうち、3個に試料(II)と同様の方法により、ニッケルリンメッキ膜を形成し、ニッケルリンメッキ膜上に、汎用の方法により、電解Cuメッキ膜20μm形成して、試料(IV)を得た。実施例1と同様の方法により、試料(IV)の放熱性能試験を行った。その結果、LED光源の最高到達温度は84℃であり、実施例1と同等の性能を有していた。
更に、実施例1と同様の方法により、試料(IV)の線膨張係数の測定と、吸水性試験を行った。その結果、試料の線膨張係数は2.3×10−5であり、吸水試験後の重量変化は、0.1%であり、実施例1と同等の性能を有していた。
尚、本実施例の非発泡体である試料(IV)の比重は1.4g/cmであり、発泡体である実施例1の試料(II)より大きかった。
以上説明したように、本実施例では、熱可塑性樹脂に金属微粒子を分散した樹脂ペレットを用いることにより、汎用の成形機を使用して金属微粒子を含む成形体が製造でき、環境負荷が高い表面処理を行うことなく、成形体上にメッキ膜を形成することができた。更に、熱可塑性樹脂に、金属微粒子と共にブロック共重合体を含む樹脂ペレットを用いることにより、密着力が高く、ピンホール等の外観不良が少ない、質の高いメッキ膜を形成することができた。また、得られたメッキ膜を有する成形体は、非発泡成形体であるため、実施例1の試料と比較して比重は大きいが、密着性の高い高品質のメッキ膜を表面に有し、放熱性能が高く、高温多湿環境下での信頼性が高い成形体であった。
[実施例3]
本実施例では、実施例1で作製した樹脂ペレットを用いた以外は、実施例2と同じ条件にて板形状の非発泡成形体を20個成形した。
[メッキ膜の形成及び評価]
(1)試料(V)
本実施例で得られた20個の発泡成形体のうち、10個に、実施例1と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ膜、電解Cuメッキ膜20μm、光沢電解Niメッキ膜20μmを順に形成し、本実施例の試料(V)を得た。但し、実施例1と同様に、成形体を無電解ニッケルメッキ液に15分浸漬した時点では、成形体表面に形成されたメッキ膜は不均一でムラが生じていた。そこで、本実施例では、更に、成形体の無電解メッキ液への浸漬時間を延ばした。成形体を無電解メッキ液へ30分浸漬することにより、成形体の表面全体に無電解ニッケルリンメッキ膜を形成できた。
本実施例のニッケルリンメッキ膜を形成した状態の試料(V)、即ち、電解メッキを行う前の試料(V)から、無作為に3個を抽出し、ニッケルリンメッキ膜を目視で観察した。その結果、単位面積(1cm)あたりのピンホール数は10〜15個と、実施例1の試料(I)と比較して多かった。
次に、電解メッキ膜を形成した試料(V)の密着性評価(ピール試験)を行った。この結果、メッキ膜の密着力は、6N/cmであり、実施例1の試料(I)と比較して低かった。更に、本実施例の試料(V)に、実施例1と同様の方法によりヒートショック試験を行った。この結果、本実施例の試料(V)には、一部膜膨れ等の問題が生じた。
(2)試料(VI)
次に、本実施例で得られた20個の非発泡成形体のうち、10個に試料(V)と同様の方法により、ニッケルリンメッキ膜を形成し、ニッケルリンメッキ膜上に、汎用の方法により、電解Cuメッキ膜20μm形成して、試料(VI)を得た。試料(VI)に対して、実施例1の試料(II)と同様の方法により、放熱性能試験を行った。その結果、LED光源の最高到達温度は83℃であった。また、実施例1と同様の方法により、線膨張係数を測定し、吸水試験を行った。その結果、熱膨張係数は2.5×10−5、吸水試験後の重量変化は、0.1%であり、実施例1の試料(II)と同等の性能が確認された。しかし、非発泡体である本実施例の試料は比重が1.4であり、発泡体である実施例1の試料(II)と比較して大きかった。
以上説明したように、本実施例では、熱可塑性樹脂に金属微粒子を分散した樹脂ペレットを用いることにより、汎用の成形機を使用して金属微粒子を含む成形体が製造でき、環境負荷が高い表面処理を行うことなく、成形体上にメッキ膜を形成することができた。また、得られたメッキ膜を有する成形体は、放熱性能、熱膨張係数及び吸水試験後の重量変化は実施例1及び2、更に後述する実施例4と同等であった
但し、実施例1、2及び4と比較すると、本実施例ではメッキ膜の形成に時間を要し、ピンホールの数が多く、密着力及びヒートショック試験結果が劣っていた。このように、本実施例のメッキ膜の質は、実施例1、2及び4と比較してやや低下した。これは、本実施例では物理発泡剤を用いた発泡成形を行っておらず、また、成形に用いた樹脂ペレットにブロック共重合体が含まれていないためだと考えられる。
[比較例1]
本比較例は、金属微粒子を含む樹脂ペレットを用いず、代わりに、熱可塑性樹脂として熱伝導性材料である炭素材料を含む6ナイロンを用いた以外は、実施例2と同じ条件にて板形状の非発泡成形体を成形した。
本実施例の成形体上に、実施例1と同様の方法により、ニッケルリンメッキ膜を形成しようとしたが、メッキ反応は生じず、ニッケルリンメッキ膜は形成できなかった。本比較例は、金属微粒子を含む樹脂ペレットを用いて成形体を製造していないため、成形体内部に無電解メッキの触媒が存在せず、メッキ反応が生じなかった。
メッキ膜を有さない本比較例の試料に対して、実施例1と同様に、放熱性能試験を行った。その結果、LED光源の最高到達温度は82℃であり、実施例1の試料と同等の性能が確認された。しかし、本比較例の試料は比重が1.5と、実施例1の試料(II)と比較して大きかった。また、本比較例では、成形体の射出成形時の充填圧力も高く、成形性も悪化した。
[実施例4]
本実施例では、実施例2で作製した樹脂ペレットを用いて、実施例1と同じ条件にて成形を行い、厚み3mmの板形状の発泡成形体を20個成形した。即ち、本実施例では、金属微粒子と共に親水性セグメントを含むブロック共重合体を含有した樹脂ペレットを用い、物理発泡剤として加圧窒素ガスを使用し、溶融樹脂の金型への樹脂充填率を金型キャビティの容積に対して65%に設定した。発泡成形体は、樹脂の内部発泡により所望の形状が得られた。
[メッキ膜の形成及び評価]
(1)試料(VII)
本実施例で得られた20個の発泡成形体のうち、10個に実施例1の試料(I)と同様の方法により、無電解ニッケルリンメッキ膜、電解Cuメッキ膜20μm、光沢電解Niメッキ膜20μmを順に形成し、本実施例の試料(VII)を得た。
ニッケルリンメッキ膜の形成過程を目視で観察した。発泡成形体を無電解ニッケルメッキ液に浸漬した後、5分以内に全面に膜抜けなくメッキ膜が形成したことが確認された。本実施例では、実施例1〜3と比較して、より短時間でメッキ膜を形成することができた。
また、ニッケルリンメッキ膜のみを形成した状態の試料(VII)、即ち、電解メッキを行う前の試料(VII)から、無作為に3個を抽出し、ニッケルリンメッキ膜を目視で観察した。その結果、単位面積(1cm)あたりのピンホール数は0〜1個と非常に少なかった。本実施例では、実施例1〜3と比較して、ピンホールの数がより少なかった。
次に、電解メッキ膜を形成した試料(VII)の密着性評価(ピール試験)を行った。この結果、メッキ膜の密着力は、15N/cmであり、密着性の高いメッキ膜が形成されていることがわかった。本実施例では、実施例1〜3と比較して、メッキ膜の密着力がより高かった。更に、試料(VII)に、実施例1と同様にヒートショック試験を行った。この結果、試料(VII)にメッキ膜の膨れ、剥が等は生じなかった
次に、試料(VII)において、ブロック共重合体の親水性セグメントであるポリエチレンオキシドを四酸化ルテニウムを用いて選択的に染色し、試料(VII)の断面をTEMにより観察した。
図6に示すように、試料(VII)(メッキ膜を有する成形体600)は、成形体601と、成形体601の表面に形成されたメッキ膜602とを有し、成形体601の内部にはブロック共重合体603が分布していた。そして、ブロック共重合体603が成形体601の表面近傍601bに偏在していることが確認できた。
次に、表面近傍601b及び表面近傍以外の領域601aにおける成形体中に占めるブロック共重合体の割合(ブロック共重合体の濃度)を求めた。成形体のメッキ膜602が形成された表面から深さ10μm以内の領域601b(表面近傍)において、成形体中に占めるブロック共重合体の割合(ブロック共重合体の濃度)は、30vol%であり、一方、表面近傍以外の領域601aにおいて、表面から深さ500μm以上の領域である成形体中心部における成形体中に占めるブロック共重合体の割合(ブロック共重合体の濃度)は、3vol%であった。本実施例では、成形体中心部におけるブロック共重合体の濃度として、表面から深さ1.5mm近傍の領域の濃度を測定した。このように、成形体601の表面近傍601bにおけるブロック共重合体の濃度は、成形体の表面近傍以外の領域601aのブロック共重合体の濃度より高いことが確認できた。尚、ブロック共重合体の濃度は、TEMで観察される試料(VII)の断面において、ブロック共重合体の染色部と非染色部との面積の比率を計算することによって求めた。
このように、表面から深さ500μm以上の領域である成形体中心部に比べ、成形体表面近傍領域におけるブロック共重合体の濃度が高いので、メッキ反応に寄与しない成形体中心部の金属微粒子とブロック共重合体の量を減らすことができ、これらの材料コストを削減することができる。また、ブロック共重合体により成形体の表面のみが親水化され、更に、ブロック共重合体が成形体の表面近傍(表面近傍領域)へ移動するのに伴って、金属微粒子も表面近傍へ移動し表面近傍に偏在する。これにより、成形体の表面にメッキ膜が形成され易くなり、ピンホールなどのメッキ欠陥が抑制される。この際、親水化されるのは成形体の表面近傍領域のみであり、成形体全体の吸水性(マクロ的吸水性)へ与える影響は少なく、成形体の機械的強度の低下が抑制される。したがって、成形体は、メッキ膜形成後も十分な耐熱衝撃性を有する。
(2)試料(VIII)
次に、本実施例で得られた20個の発泡成形体のうち、3個に試料(VII)と同様の方法により、ニッケルリンメッキ膜を形成し、ニッケルリンメッキ膜上に、汎用の方法により、電解Cuメッキ膜20μm形成して、試料(VIII)を得た。実施例1と同様の方法により、試料(VIII)の放熱性能試験を行った。その結果、LED光源の最高到達温度は84℃であり、実施例1と同等の性能を有していた。一方、本実施例で得られた発泡成形体にメッキ膜を形成せずに同様の放熱性能試験を行った場合、LED光源の最高到達温度は120℃と高温であった。この原因は、樹脂中に含まれる放熱材料が少ないこと、及び成形体内部に存在する発泡セルの断熱効果である。本実施例の試料(VIII)は、発泡成形体の低い放熱性能を質の高いメッキ膜により補完できることがわかった。
更に、実施例1と同様の方法により、試料(VIII)の線膨張係数の測定と、吸水性試験を行った。その結果、試料の線膨張係数は2.3×10−5であり、吸水試験後の重量変化は、0.1%であり、実施例1と同等の性能を有していた。一方、本実施例で得られた発泡成形体にメッキ膜を形成せずに同様の吸水試験を行ったところ、浸漬前後での重量変化は2.5%であった。この結果から、メッキ膜を形成することにより、発泡成形体の吸水を大きく抑制できることがわかった。このように吸水を抑制することで、本実施例の試料(VIII)は、上述の低い線膨張係数を有するものと推察される。本実施例では、緻密なメッキ膜を形成することで、成形体の吸水膨張による寸法変化を抑制することができた。
尚、試料(VIII)の比重は1.1g/cmと実施例2の試料(IV)及び実施例3の試料(VI)に比べ軽量であった。
次に、本実施例における試料(VIII)の断面のSEM観察を行った。ニッケルリンメッキ膜が形成された表面から深さ5μm以内には、メッキ膜と同じ種類の金属からなる金属領域、即ちニッケルリンからなる金属領域が形成されていた。表面から深さ5μm以内において、金属領域は成形体の20vol%以上を占有していた。そして、成形体のメッキ膜が形成された表面から金属領域が存在する範囲、即ち、成形体の表面から深さ5μmの範囲には、セル径が0.5μm以上の発泡セルは観察されず、発泡セルは実質的に存在しなかった。更に、成形体の表面から深さ100μmの範囲には、セル径5μm以上の発泡セルは観察できなかった。発泡セルは成形体表面から深さ100μm以上の内部に、10〜50μmのセル径で存在していた。
以上説明したように、本実施例では、ブロック共重合体含を含む金属微粒子が分散した樹脂ペレットを用い、更に物理発泡剤を用いることで、よりメッキ反応性がより上がり、密着力が高く、ピンホール等の外観不良が少ない、質の高いメッキ膜を有する成形体を得ることができた。また、得られたメッキ膜を有する成形体は、密着性の高い高品質のメッキ膜を表面に有するので、放熱性能といった金属部品の性能を維持しつつ、軽量で且つ高温多湿環境下での信頼性が高い成形体であった。
本発明の製造方法は、汎用の射出成形機、押出成形機等の成形機を使用して、環境負荷が高い薬品を用いることなくメッキ膜の形成が可能な成形体を製造できる。したがって、新たな成形機を導入する等の設備投資をせずに、環境に配慮した製造方法を提供できる。
500 成形体
501 発泡成形体
502 メッキ膜
501a 成形体の内部の領域
501b 成形体の表面近傍の領域
501c 発泡セル
1000 樹脂ペレット製造装置
100 加圧流体供給装置
200 押出成形装置
300 樹脂冷却装置

Claims (37)

  1. メッキ膜を有する成形体の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂に金属微粒子を分散した樹脂ペレットを用意することと、
    前記樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形することと、
    前記成形体に無電解メッキ液を接触させて、前記成形体の表面にメッキ膜を形成することを含むメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  2. 前記成形体を成形することが、
    前記可塑化溶融した樹脂ペレットに、加圧二酸化炭素又は加圧窒素の少なくとも一方の物理発泡剤を混合することと、
    前記物理発泡剤を含む前記樹脂ペレットを発泡させて発泡成形体を成形することを含む請求項1に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  3. 前記樹脂ペレットが、更に、親水性セグメントを含むブロック共重合体を含有する請求項1又は2に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  4. 前記樹脂ペレットを用意することが、
    前記熱可塑性樹脂を可塑化溶融することと、
    前記可塑化溶融した熱可塑性樹脂に、前記金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合することと、
    前記金属微粒子を混合した熱可塑性樹脂を押出成形した後、粉砕して前記樹脂ペレットを得ることを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  5. 前記樹脂ペレットを用意することが、更に、
    前記可塑化溶融した熱可塑性樹脂に、親水性セグメントを含むブロック共重合体を混合することを含む請求項4に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂がアミド基を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  7. 前記アミド基を含む熱可塑性樹脂は、6ナイロン又は6,6ナイロンである請求項6に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  8. 前記メッキ膜が、ニッケルを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  9. 前記金属微粒子が、パラジウムを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  10. 前記熱可塑性樹脂に、熱伝導性材料が分散されている請求項1〜9のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  11. メッキ膜を有する成形体の製造に用いる樹脂ペレットの製造方法であって、
    熱可塑性樹脂を可塑化溶融することと、
    前記可塑化溶融した熱可塑性樹脂に、金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合することと、
    前記金属微粒子を混合した熱可塑性樹脂を押出成形した後、粉砕して前記樹脂ペレットを得ることを含む樹脂ペレットの製造方法。
  12. 更に、前記可塑化溶融した熱可塑性樹脂に、親水性セグメントを含むブロック共重合体を混合することを含む請求項11に記載の樹脂ペレットの製造方法。
  13. 請求項2に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法によって製造されたメッキ膜を有する発泡成形体。
  14. 請求項13に記載のメッキ膜を有する発泡成形体であって、
    内部に独立した発泡セルを有する発泡成形体と、該発泡成形体の表面に形成されたメッキ膜を有し、
    前記発泡成形体のメッキ膜が形成された表面から10μm以内の深さには、前記メッキ膜と同じ種類の金属からなる金属領域が形成されており、前記発泡成形体のメッキ膜が形成された表面から前記金属領域が存在する範囲には、前記発泡セルが実質的に存在しないメッキ膜を有する発泡成形体。
  15. 比重が1.2g/cm以下である請求項13又は14に記載のメッキ膜を有する発泡成形体。
  16. 23℃の水中に24時間浸漬した後の吸水による重量変化が、0.5%以下である請求項13〜15のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する発泡成形体。
  17. 前記発泡成形体が、アミド基を含む熱可塑性樹脂からなる請求項13〜16のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する発泡成形体。
  18. 前記アミド基を含む熱可塑性樹脂が、6ナイロン又は6,6ナイロンである請求項17に記載のメッキ膜を有する発泡成形体。
  19. 前記メッキ膜が、ニッケルを含む請求項13〜18のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する発泡成形体。
  20. 前記金属微粒子が、パラジウムを含む請求項13〜19のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する発泡成形体。
  21. 前記発泡成形体の内部に熱伝導性材料が分散されている請求項13〜20のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する発泡成形体。
  22. メッキ膜を有する成形体であって、
    熱可塑性樹脂からなる成形体と、該成形体の表面に形成されたメッキ膜とを有し、
    前記成形体は、親水性セグメントを含むブロック共重合体を含有し、前記メッキ膜が形成された表面の表面近傍領域における前記ブロック共重合体の濃度が、表面近傍領域以外の領域におけるブロック共重合体の濃度より高いことを特徴とするメッキ膜を有する成形体。
  23. 前記親水性セグメントが、ポリエーテル構造を有する請求項22に記載のメッキ膜を有する成形体。
  24. 前記成形体が内部に発泡セルを有する請求項22又は23に記載のメッキ膜を有する成形体。
  25. 前記表面近傍領域には、前記メッキ膜を構成する金属が存在し、前記成形体のメッキ膜が形成された表面から前記金属が存在する範囲には、前記発泡セルが実質的に存在しない請求項24に記載のメッキ膜を有する成形体。
  26. 前記表面近傍領域には、前記ブロック共重合体と前記メッキ膜を構成する金属が共存し、前記表面近傍領域以外の領域には前記金属が存在しない請求項22〜25のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体。
  27. 前記メッキ膜が形成された成形体の表面から深さ10μm以内の領域におけるブロック共重合体の濃度が、前記表面から深さ500μm以上の領域におけるブロック共重合体の濃度より高い請求項22〜26のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体。
  28. 前記熱可塑性樹脂が、アミド基を含む熱可塑性樹脂である請求項22〜27のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体。
  29. 前記アミド基を含む熱可塑性樹脂が、6ナイロン又は6,6ナイロンである請求項28に記載のメッキ膜を有する成形体。
  30. 前記メッキ膜が、ニッケルを含む請求項22〜29のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体。
  31. 前記成形体が金属微粒子を含み、前記金属微粒子がパラジウムを含む請求項22〜30のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体。
  32. 前記成形体の内部に熱伝導性材料が分散されている請求項22〜31のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体。
  33. 請求項22〜32のいずれか一項に記載の前記メッキ膜を有する成形体であって、
    金属微粒子及び前記ブロック共重合体を含む前記熱可塑性樹脂の樹脂ペレットを用意することと、
    前記樹脂ペレットを可塑化溶融して前記成形体を成形することと、
    前記成形体に無電解メッキ液を接触させて、前記成形体の表面に前記メッキ膜を形成することを含む製造方法によって製造されるメッキ膜を有する成形体。
  34. 前記樹脂ペレットを用意することが、
    前記熱可塑性樹脂を可塑化溶融することと、
    前記熱可塑性樹脂に前記ブロック共重合体を混合することと、
    前記可塑化溶融した熱可塑性樹脂に、前記金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合することと、
    前記ブロック共重合体及び前記金属微粒子が混合された熱可塑性樹脂を押出成形し、粉砕して前記樹脂ペレットを得ることを含む請求項33に記載のメッキ膜を有する成形体。
  35. メッキ膜を有する成形体であって、
    表面から所定深さまでの第1領域に、前記メッキ膜を構成する金属と、親水性セグメントを含むブロック共重合体とが共存する成形体と、
    前記成形体の表面に形成されたメッキ膜を備え、
    前記成形体の表面から前記所定深さよりも深い領域に存在する第2領域には前記ブロック共重合体が存在し、前記第1領域におけるブロック共重合体の濃度が、前記第2領域におけるブロック共重合体の濃度より高いことを特徴とするメッキ膜を有する成形体。
  36. 前記第1領域が、前記成形体の表面から深さ10μm以内の領域であり、前記第2領域が、前記表面から深さ500μm以上の領域である請求項35に記載のメッキ膜を有する成形体。
  37. 前記第2領域には、前記メッキ膜を構成する金属が存在しない請求項35又は36に記載のメッキ膜を有する成形体。
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JP2012216701A Pending JP2013213276A (ja) 2012-03-08 2012-09-28 メッキ膜を有する成形体の製造方法、樹脂ペレットの製造方法、メッキ膜を有する発泡成形体及びメッキ膜を有する成形体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014117859A (ja) * 2012-12-14 2014-06-30 Hitachi Maxell Ltd 金属微粒子含有樹脂ペレットの製造方法、成形体の製造方法及びメッキ膜を有する成形体の製造方法
JP2015143381A (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 日立マクセル株式会社 自動車用樹脂部品及びその製造方法
JP2015221917A (ja) * 2014-05-22 2015-12-10 日立マクセル株式会社 メッキ膜を有する成形体の製造方法
JP2016128594A (ja) * 2015-01-09 2016-07-14 日立マクセル株式会社 メッキ部品の製造方法及びメッキ部品
JP2017031456A (ja) * 2015-07-31 2017-02-09 日立マクセル株式会社 メッキ部品の製造方法及びメッキ部品
JP2018099894A (ja) * 2018-02-02 2018-06-28 マクセルホールディングス株式会社 自動車用樹脂部品及びその製造方法

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