JP2014105361A - メッキ膜を有する成形体の製造方法 - Google Patents

メッキ膜を有する成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い密着強度を有すると共に、外観特性も優れるメッキ膜を有する成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】
メッキ膜を有する成形体の製造方法であって、熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体を用意することと、前記成形体にアルコール処理液を接触させることと、前記アルコール処理液を接触させた前記成形体に、無電解メッキ液を接触させてメッキ膜を形成することを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、メッキ膜を有する成形体の製造方法に関する。
成形体に安価に金属膜を形成する方法として、無電解メッキ法が知られている。無電解メッキ法では、金属膜の成形体への密着性確保のため、六価クロム酸や過マンガン酸等の酸化剤を含むエッチング液を用いて成形体表面を粗化する前処理を行う。そのため、無電解メッキ法には、エッチング液により侵食されるABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)が主に用いられてきた。ABS樹脂は、ブタジエンゴム成分がエッチング液に選択的に侵食され、表面に凹凸が形成される。一方、ABS樹脂以外の樹脂、例えば、ポリカーボネート等では、無電解メッキを可能にするため、ABS樹脂やエラストマー等、エッチング液に選択的に酸化される成分を混合したメッキグレードが市販されている。しかし、このような無電解メッキ法の前処理は、六価クロム酸や過マンガン酸等を使用することから、環境負荷が高いという問題があった。
一方、前処理であるエッチング工程を経ずに、成形体に金属膜を形成する方法として、超臨界二酸化炭素等の加圧二酸化炭素を用いた成形体の表面改質法の利用が提案されている。本発明者らは、加圧二酸化炭素を用いた表面改質処理を射出成形と同時に行い、成形体の表面近傍に無電解メッキの触媒核となるパラジウムを分散させる方法を提案している(特許文献1〜3)。この方法では、表面にパラジウムが偏在化した成形体に無電解メッキを施すことにより、エッチング工程を経ずに成形体表面にメッキ膜を形成できる。
特許第4160623号公報 特許第3696878号公報 特開2010−30106号公報
特許文献1〜3に記載される触媒を内部に含んだ成形体に無電解メッキ液を接触させると、メッキ液は成形体の表面から内部に浸透して金属微粒子と接触し、成形体の内部から成形体を押し広げながらメッキ膜が成長していく。このため、メッキ膜は高い密着強度を有する。
一方、メッキ膜を有する成形体の使用用途は多様であり、例えば、装飾用途においては、より高いメッキ膜の密着強度が求められる。更に、密着強度のみならず、メッキ膜には高品質の外観も要求される。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、より高い密着強度を有すると共に、外観特性も優れるメッキ膜を有する成形体の製造方法を提供する。
本発明に従えば、メッキ膜を有する成形体の製造方法であって、熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体を用意することと、前記成形体にアルコール処理液を接触させることと、前記アルコール処理液を接触させた前記成形体に、無電解メッキ液を接触させてメッキ膜を形成することを含むメッキ膜を有する成形体の製造方法が提供される。
本発明に用いる前記アルコール処理液は、前記ブロック共重合体を軟化させる。また、前記アルコール処理液は、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも一種を含んでもよく、1,3−ブタンジオールを含んでもよい。
本発明に用いる前記成形体は、前記ブロック共重合体と前記金属微粒子とを含有する第1の樹脂ペレットを用意することと、第1の樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形することを含む製造方法によって製造してもよい。更に、第1の樹脂ペレットと共に、前記金属微粒子を含有しない第2の樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形してもよい。第1の樹脂ペレットは、前記ブロック共重合体を可塑化溶融することと、前記可塑化溶融したブロック共重合体に、前記金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合して、前記金属微粒子が含有されたブロック共重合体を得ることと、前記金属微粒子を含有したブロック共重合体を押出成形した後、粉砕して前記第1の樹脂ペレットを得ることを含む製造方法によって製造してもよい。
前記成形体は、更にミネラルを含んでもよい。前記ミネラルは、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム及びこれらを含む化合物からなる群から選択される少なくとも一種であってもよく、また、前記ミネラルは、酸化カルシウム及び二酸化ケイ素の少なくとも一方であってもよい。また、前記成形体は、ミネラルの代わりにガラス繊維や炭素繊維を含んでいても良い。
本発明に用いる前記ブロック共重合体の親水性セグメントは、ポリエーテルであってもよい。前記ブロック共重合体は、更に前記成形体が含有する熱可塑性樹脂と相溶性を有するセグメントを含有してもよく、又は、前記成形体が含有する熱可塑性樹脂と非相溶のセグメントを含有してもよい。
本発明に用いる熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂であってもよい。また、本発明に用いる金属微粒子は、パラジウムを含んでもよい。
本発明は、より高い密着強度を有すると共に、外観特性にも優れるメッキ膜を有する成形体を製造することができる。
実施形態で製造するメッキ膜を有する成形体の製造方法を示すフローチャートである。 実施例1で使用した樹脂ペレット製造装置の概略図である。 実施例1及び2、比較例1及び比較例2で作製した試料の金属膜の密着強度測定の結果であって、測定長と密着強度との関係を示すグラフである。
図1に従い、メッキ膜を有する成形体の製造方法について説明する。まず、熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体を用意する(ステップS1)。
<成形体>
成形体が含有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテーテルエーテルケトン、ABS系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等を用いることができる。特に、吸水性及びメッキ反応性が高いポリアミド樹脂が好ましく、中でも、6ナイロン、6,6ナイロン等のナイロンがより好ましい。また、熱可塑性樹脂は、ミネラル、ガラス繊維、タルク、カーボン繊維等、各種無機フィラー等を含有してもよい。熱可塑性樹脂に、ミネラル等を配合することで、成形体の反りを抑制し、剛性や寸法安定性を向上させることが可能である。
成形体中の熱可塑性樹脂の含有量は、成形体の機械的物性を維持するという観点からは高い方が好ましく、一方、無電解メッキの反応性を高める観点からは、熱可塑性樹脂の含有量を少なくし、代わりに金属微粒子やブロック共重合体の含有量を高めることが好ましい。この二つの観点から、成形体中の熱可塑性樹脂の含有量は、70〜99.9wt%が好ましく、85〜99.5wt%が更に好ましい。
成形体が含有する親水性セグメントを含むブロック共重合体(以下、適宜「ブロック共重合体」と記載する)は、親水性セグメントを有し、更に、親水性セグメントとは異なる他のセグメント(以下、適宜「他のセグメント」と記載する)を有する。親水性セグメントには、アニオン性セグメント、カチオン性セグメント、ノニオン性セグメントを用いることができる。アニオン性セグメントとしては、ポリスチレンスルホン酸系、カチオン性セグメントとしては、四級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体系、ノニオン性セグメントとしては、ポリエーテルエステルアミド系、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン系、ポリエーテルエステル系が挙げられる。成形体の耐熱性を確保しやすいことから、親水性セグメントは、ポリエーテル構造を有するノニオン性セグメントであることが好ましい。ポリエーテル構造としては、例えばアルキレンの炭素数が2〜4のオキシアルキレン基であるエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等のオキシアルキレン基、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、及びこれらの変性物、並びにポリエーテル含有親水性ポリマーが含まれ、特にポリエチレンオキシドが好ましい。
ブロック共重合体の他のセグメントは、親水性セグメントよりも疎水性であれば任意であるが、例えば、ナイロン、ポリオレフィン等を用いることができる。また、他のセグメントに、成形体に用いる熱可塑性樹脂と相溶する材料を用いると、成形体の成形時及び成形後の成形体内部で、熱可塑性樹脂とブロック共重合体との相分離を抑制できる。一方、他のセグメントに成形体に用いる熱可塑性樹脂と非相溶の材料を用いると、ブロック共重合体は成形体表面にブリードアウトしようと移動する働きが強くなり、成形体の表面近傍に偏析しやすくなる。これにより、メッキ液の成形体への浸透性を高めることができる。成形体に用いる熱可塑性樹脂と相溶する材料としては、該熱可塑性樹脂と同じ構造又は、類似の構造を有する樹脂が好ましい。例えば、成形体に用いる熱可塑性樹脂にナイロン等のポリアミド樹脂を用いる場合には、他のセグメントはポリアミド成分を含むナイロン等が好ましい。たま、成形体に用いる熱可塑性樹脂にポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を用いる場合には、他のセグメントはポリオレフィン成分を含むことが好ましい。反対に、成形体に用いる熱可塑性樹脂と非相溶の材料としては、該熱可塑性樹脂と異なる構造や、異なる性質を有する樹脂が好ましい。例えば、成形体に用いる熱可塑性樹脂が疎水性のポリプロピレン等のポリオレフィンであれは、他のセグメントには比較的親水性の高いナイロン等を用いることができる。
ブロック共重合体は市販品を用いてもよく、例えば、三洋化成工業製ペレスタット(登録商標)、ペレクトロン(登録商標)等を用いることができる。例えば、三洋化成工業製ペレスタットNC6321、1251は、親水性セグメントのポリエーテルと、他のセグメントのナイロンをエステル結合でコポリマー化したブロック共重合体である。
成形体中のブロック共重合体の含有量は、0.1〜30wt%が好ましく、0.5〜15wt%とすることが更に好ましい。0.1wt%以上とすると、成形体をメッキ処理した場合に、メッキ液の成形体への浸透性を高めることができ、30wt%以下とすると、該成形体が十分な機械強度を有することができ、更に、メッキ膜形成後も耐熱衝撃性能を維持することができる。
成形体が含有する金属微粒子としては、Pd、Ni、Pt、Cu等の金属微粒子、金属錯体、金属アルコキシド等の金属酸化物の前駆体を用いることができる。金属錯体の種類は任意であるが、より具体的には、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体、白金ジメチル(シクロオクタジエン)、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(アセチルアセトネート)パラジウム等が、加圧二酸化炭素への溶解性が高く好ましい。これらの金属微粒子は、メッキ触媒と機能し、該成形体に無電解メッキを施すことができる。
成形体中の金属微粒子の含有量は、無電解めっきの反応性の観点から、0.1ppm以上が好ましく、1ppm以上とすることが更に好ましい。また、上限は加圧二酸化炭素への金属微粒子の飽和溶解度で決まってくる。
本実施形態に用いる成形体は、更にミネラルを含んでもよい。本実施形態で用いるミネラルとしては、例えば、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素等のケイ酸塩、ケイ酸、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、及びそれを含む化合物(鉱物)からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。特に、成形物の表面性(外観)や機械強度、寸法安定性およびコストの観点から、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、水酸化マグネシウムが好ましい。同様に、酸化カルシウム、二酸化ケイ素も本実施形態に用いるミネラルとして好ましい。ミネラルは、本実施形態で用いる熱可塑性樹脂に含有させてもよい。ミネラルを含有する熱可塑性樹脂の市販品としては、例えば、東洋紡製、ミネラル強化樹脂T777‐02、宇部興産製、ミネラル強化樹脂1013R、1013R1等がある。また、本実施形態に用いる成形体は、ミネラルの代わりにガラス繊維や炭素繊維を含んでもよい。成形体中のミネラルあるいはガラス繊維、炭素繊維の含有量は、成形物の表面性(外観)や機械強度、寸法安定性、成形性(成形のし易さ)等の観点から、10〜65vol%が好ましく、30〜50vol%が更に好ましい。
<成形体の製造方法>
本実施形態で用意する成形体は、例えば、ブロック共重合体と金属微粒子とを含有する第1の樹脂ペレットを用意し、第1の樹脂ペレットと共に、前記金属微粒子を含有しない第2の樹脂ペレットを可塑化溶融して成形してもよい。第2の樹脂ペレットは、上述した熱可塑性樹脂を含有する。
このように、第1及び第2の樹脂ペレットを用いて成形体を製造する方法において、第1の樹脂ペレットは、マスターバッチであり、第2の樹脂ペレットは、マスターバッチが配合されるベース樹脂に相当する。マスターバッチとは、染料、顔料、その他の添加剤等の機能性材料を高濃度に含有した樹脂ペレットであり、機能性材料を含有しないベース樹脂に混合され、ベース樹脂と共に成形される。マスターバッチを用いると、機能性材料を直接ベース樹脂に添加して成形することと比較して、材料の取り扱い性が容易で秤量精度も向上する。本実施形態では、ブロック共重合体及び金属微粒子を含有する樹脂ペレット(第1の樹脂ペレット)をブロック共重合体及び金属微粒子を含有するマスターバッチとして用いる。
第1の樹脂ペレットは、ブロック共重合体を可塑化溶融することと、可塑化溶融したブロック共重合体に、金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合することと、金属微粒子を混合したブロック共重合体を押出成形した後、粉砕して前記第1の樹脂ペレットを得ることを含む製造方法によって製造してもよい。例えば、押出成形機の可塑化シリンダ内でブロック共重合体を可塑化溶融し、その可塑化シリンダへ金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を供給し、可塑化シリンダ内でブロック共重合体と加圧二酸化炭素を接触させる。加圧二酸化炭素は、金属微粒子の溶媒であると共に、ブロック共重合体の可塑剤としても作用し、金属微粒子がブロック共重合体に均一に分散することを促進する。したがって、加圧二酸化炭素を用いて製造された第1の樹脂ペレットを用いて、メッキ膜を有する成形体を製造すると、均一で高品質なメッキ膜を得ることができる。加圧二酸化炭素を用いずに、ブロック共重合体と金属微粒子のみを混合することで第1の樹脂ペレットを製造することも可能であるが、以上の理由から加圧二酸化炭素を用いることが好ましい。
上述の第1の樹脂ペレットの製造方法において、加圧二酸化炭素としては、液体状態、ガス状態、又は超臨界状態の加圧二酸化炭素を用いることができる。これらの加圧二酸化炭素は、人体に無害であり、また溶融樹脂への拡散性に優れ、しかも溶融樹脂から容易に除去可能であり、更に、溶融樹脂の可塑剤としても機能する。可塑化シリンダへ導入する加圧二酸化炭素の圧力、温度は任意であるが、密度が高く安定であることから液体二酸化炭素もしくは超臨界二酸化炭素を用いることが好ましい。加圧二酸化炭素の温度は5℃〜50℃の範囲が好ましい。加圧二酸化炭素の温度は、低いほど高密度となり溶媒効果が高くなるので好ましいが、冷却制御が容易であるという観点から5℃以上が好ましい。また、加圧二酸化炭素の温度が高くなると密度が低くなり液送が不安定になる虞があるので、安定に液送するという観点から、50℃以下が好ましい。加圧二酸化炭素の圧力は、4〜25MPaの範囲が望ましい。圧力が低いと溶媒効果が発現しにくくなるので、適度な溶媒効果を得るという観点から、4MPa以上が好ましく、また、圧力が高いと高圧設備の維持にコストが係るので、コストを抑えるという観点から、25MPa以下が好ましい。尚、金属微粒子を溶解又は分散させた加圧二酸化炭素は、可塑化シリンダ内で瞬時に高温になり圧力も変動する。よって、上述の加圧二酸化炭素の状態、温度及び圧力は、可塑化シリンダに導入する前の安定な状態の加圧二酸化炭素の状態、圧力及び温度の値である。
更に、加圧二酸化炭素は金属微粒子を溶解する溶媒を含有してもよい。例えば、金属微粒子として金属錯体を使用する場合、加圧二酸化炭素中の金属錯体の濃度を高めるため、パーフルオロペンチルアミンなどのフッ素系有機溶媒を用いてもよい。
加圧二酸化炭素中の金属微粒子の濃度は、金属微粒子の種類を考慮して適宜選択することができ、特に制限されない。溶融樹脂への浸透性や加圧二酸化炭素中の金属微粒子の凝集を考慮すれば、好ましくは飽和溶解度以下である。特に高温になる成形機の可塑化シリンダ内では急激に二酸化炭素の密度が低下するので、加圧二酸化炭素中の金属微粒子の濃度は、飽和溶解度の1〜50%程度が好ましい。
加圧二酸化炭素を調製する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を使用することができる。例えば、図2に示す注射器のように加圧二酸化炭素を吸引、送液するシリンジポンプを備えた加圧流体供給装置100を用いてもよい。本実施形態では、加圧流体供給装置100において、所定の割合で金属微粒子を混合した加圧二酸化炭素(以下、必要により、「混合加圧流体」と記載する)を製造し、この混合加圧流体を可塑化シリンダへ供給する。
混合加圧流体を可塑化シリンダに供給する方法は任意である。例えば、混合加圧流体を可塑化シリンダに間欠的に導入してもよいし、連続的に導入してもよい。また、混合加圧流体の導入は、例えば、安定な送液が行えるシリンジポンプを利用し、導入量を制御してもよい。
混合加圧流体をブロック共重合体に混合した後、金属微粒子を含むブロック共重合体を押出成形し、粉砕して第1の樹脂ペレットを得ることができる。
次に、得られた第1の樹脂ペレットと共に、前記金属微粒子を含有しない第2の樹脂ペレットを可塑化溶融して、汎用の射出成形機、押出成形機等の成形機を使用し、汎用の成形方法により、成形体を成形することができる。したがって、本実施形態の製造方法は、新たな成形機を購入する等の設備投資をすることなく、メッキ触媒である金属微粒子と、親水性セグメントを含むブロック共重合体とを含む成形体を製造することができる。
以上説明した成形体の製造方法において、第1の樹脂ペレット(マスターバッチ)は、ブロック共重合体と金属微粒子のみから形成されてもよい。また、第1の樹脂ペレットは、更に、上述した熱可塑性樹脂等の他の材料を含有してもよいが、マスターバッチ中のブロック共重合体及び金属微粒子の濃度は高い方が好ましい。例えば、第1の樹脂ペレット中のブロック重合体の含有量は、20〜100wt%が好ましく、50〜100wt%が更に好ましい。また、第1の樹脂ペレット中の金属微粒子の含有量は、5ppm以上が好ましく、50ppm以上が更に好ましい。第1の樹脂ペレットと、第2の樹脂ペレットとの混合比は、目的とする成形体中のブロック共重合体濃度、金属微粒子濃度に基づき、適宜決定することができるが、例えば、重量比(第1の樹脂ペレット):(第2の樹脂ペレット)=0.1:99.9〜30:70とすることができる。
以上、本実施形態で用意する成形体の製造方法について説明したが、成形体の製造方法はこれに限定されない。例えば、第1の樹脂ペレットに、ブロック共重合体と金属微粒子に加え、更に上述した熱可塑性樹脂を含有させ、第2の樹脂ペレットを用いずに、第1の樹脂ペレットのみから成形体を製造してもよい。また、高圧容器内で、金属微粒子を含有しない原料ペレットに、金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を接触させる方法によって、第1の樹脂ペレットを製造してもよい。
〈メッキ前処理〉
次に、用意した成形体にアルコール処理液を接触させ、メッキ前処理を行う(図1、ステップS2)。アルコール処理液は、上述した成形体に含有されるブロック共重合体を軟化させる。「ブロック共重合体が軟化する」とは、アルコール処理液がブロック共重合体と接触した時に、ブロック共重合体はアルコール処理液に溶解はしないが膨潤し、ブロック共重合体の硬度がアルコール処理液との接触前より低くなることを意味する。更に、アルコール処理液は、ブロック共重合体を軟化させると共に、成形体に含有される熱可塑性樹脂を膨潤させる性質を有することが好ましい。
本実施形態におけるメッキ前処理は、従来のメッキ前処理とは目的が異なる。従来のメッキ前処理としては、ABS樹脂、エラストマー、ミネラル等を樹脂に含有させ、これらを六価クロム酸や過マンガン酸等の環境負荷の高いエッチング液により成形体表面から除去する方法が知られている。このように、従来のメッキ前処理では、成形体表面を粗化して凹凸を形成する。これに対して、本実施形態のアルコール処理液を用いたメッキの前処理は、成形体表面を粗化せず、成形体に含有されるブロック共重合体を軟化させ、熱可塑性樹脂を膨潤させる。これにより、無電解メッキ処理において、無電解メッキ液が成形体の表面から内部に向って浸透しやすくなる。
アルコール処理液は、成形体に含有されるブロック共重合体を軟化させる性質を有するアルコールを含有する。アルコール処理液が含有するアルコールとしては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールが挙げられる。
更に、アルコール処理液が含有するアルコールは、成形体への浸透性が高い方が好ましい。したがって、本実施形態で用いるアルコールの20℃における表面張力は、20℃における水の表面張力である73dyn/cmよりも低いことが好ましく、50dyn/cm以下であることが更に好ましい。また、メッキ処理作業上の安全性を考慮すると、アルコール処理液が含有するアルコールは、40℃以上の引火点を有することが好ましい。このような低表面張力、高引火点という両条件を満たすアルコールとしては、例えば、1,3−ブタンジオール(表面張力:37.8dyn/cm、引火点:121℃)、2−メトキシエタノール(表面張力:31.8dyn/cm、引火点:43℃)、2−(2−メトキシプロポキシ)プロパノール(表面張力:28.8dyn/cm、引火点:74℃)等が挙げられる。これらの中でも、浸透性に優れる1,3−ブタンジオールがより好ましい。アルコール処理液が含有するアルコールは、一種類のアルコールであってもよいし、2種類以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
本実施形態で用いるアルコール処理液は、アルコールの他に、使用するアルコールと相溶する他の溶媒、例えば水を含有してもよい。ただし、他の溶媒の含有量が多くなりすぎると、メッキ前処理において、上述したブロック共重合体の軟化が不十分になる。このため、アルコール処理液中のアルコールの含有量は、30vol%以上が好ましく、50vol%以上がより好ましい。特に、工業製品の場合に混入してくる不可避不純物を除き、実質的にアルコールのみからなるアルコール処理液が好ましい。尚、アルコール処理液は、成形体への浸透性を向上するために添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。
成形体にアルコール処理液を接触させる方法は任意であり、目的に応じて種々の方法を用いることができる。例えば、アルコール処理液中に成形体全体を浸漬させてもよい。また、成形体の一部分のみメッキ処理する場合には、メッキ処理が予定される部分のみをアルコール処理液と接触させてもよい。
成形体にアルコール処理液を接触させている時間(メッキ前処理時間)は、成形体に含有される熱可塑性樹脂の種類やアルコールの種類に基づき任意に設定することができる。メッキ前処理時間が短すぎると、アルコールが成形体に十分に浸透しないため、アルコール処理液によりブロック共重合体が十分に軟化しない。一方、メッキ前処理時間が長すぎると、製造効率が低下し、更に、アルコールにより成形体の樹脂構造が脆弱化する虞がある。このような観点から、前処理時間は、例えば、1分〜30分が好ましい。
また、アルコール処理液によるメッキ前処理は、室温で行ってもよいし、ブロック共重合体の軟化及びアルコール処理液の成形体への含浸を促進するために、室温以上の温度で行ってもよい。特に、成形体に含有される熱可塑性樹脂のガラス転位温度以上の温度でメッキ前処理を行うことが好ましい。ガラス転位温度以上であれば、成形体が塑性変形して、アルコール処理液が成形体に浸透しやすくなるからである。
〈無電解メッキ〉
次に、アルコール処理液を接触させた前記成形体に、無電解メッキ液を接触させてメッキ膜を形成し(図1、ステップS3)、メッキ膜を有する成形体が得られる。無電解メッキ液としては、目的に応じて任意の汎用の無電解メッキ液を使用できるが、触媒活性が高く液が安定であるという点から、無電解ニッケルリンメッキ液が好ましい。本実施形態で用意した成形体は、メッキ触媒として働く金属微粒子を含有しているので、無電解メッキを行うに際してメッキ触媒付与処理を行う必要がない。
メッキ前処理を施した成形体上には、異なる種類の無電解メッキ膜を複数層形成してもよいし、更に、無電解メッキ膜の上に、電解メッキにより電解メッキ膜を形成してもよい。また、無電解メッキ膜が形成された成形体は、無電解メッキ後にアニール処理を施してもよいし、室温で放置して自然乾燥してもよい。また、アニール処理や自然乾燥を行わず、連続して電解メッキ膜を形成する等の次の工程を行ってもよい。
以上説明した製造方法によって製造されたメッキ膜を有する成形体は、メッキ膜が高い密着強度を有する。その理由は、定かではないが、以下のように推察される。上述したメッキ前処理(図1、ステップS2)により、成形体表面近傍に存在するブロック共重合体は軟化し、熱可塑性樹脂は膨潤する。このような表面状態の成形体は、メッキ液が表面から内部に向って浸透しやすい。メッキ前処理を施した成形体に無電解メッキ液を接触させると(同、ステップS3)、無電解メッキ液は、成形体の表面から内部に向って浸透し、成形体に含まれる金属微粒子に接触する。そして、成形体が含有する金属微粒子を触媒としてメッキ膜が成長する。これにより、メッキ膜は成形体に食い込んだ状態(メッキ膜の一部が成形体に浸透した状態)で成形体上に形成される。それ故、従来の無電解メッキ法のように成形体の表面を粗化する必要がなく、表面粗度の非常に小さい(ナノオーダー)、且つ密着性の優れたメッキ膜を形成することができる。
更に、本実施形態では、メッキ膜の一部は、軟化したブロック共重合体の存在する領域に食い込んだ状態で形成される。成形体と無電解メッキ液との接触(同、ステップS3)後、メッキ膜を有する成形体をアニール処理等することにより、軟化したブロック共重合体は固化する。固化したブロック共重合体は、金属への密着性が高い。そのため、ブロック共重合体は、メッキ膜と成形体との接着剤のような働きをし、メッキ膜の密着強度を更に高めると推察される。メッキ膜を有する成形体をアニール処理しない場合は、ブロック共重合体の固化に時間がかかるため、時間の経過と共に徐々にブロック共重合体が固化し、それに伴いメッキ膜のメッキ強度も徐々に上昇する。
また、本発明者らは、成形体に含有されるブロック共重合体がメッキ膜の成長を促し、更にメッキ膜の外観特性を向上させることを見出した。この理由は定かではないが、以下のように推察される。
成形体の製造過程又は製造後において、ブロック共重合体の親水性セグメントは成形体表面にブリードアウトしようと移動する傾向がある。よって、ブロック共重合体は、成形体の表面近傍に偏在し、ブロック共重合体の親水性セグメントにより、成形体は表面近傍が親水化される。
本実施形態では、成形体に無電解メッキ液を接触させると、メッキ液は成形体の表面から内部に浸透して金属微粒子と接触し、樹脂成形体の内部から樹脂成形体を押し広げながらメッキ膜が成長する。このとき、本実施形態の成形体はブロック共重合体により表面近傍が親水化されているため、メッキ液の浸透とメッキ膜の成長が促されると考えられる。本実施形態の成形体は、メッキ膜の付きまわり性が良好で、短時間でメッキ膜が形成される。メッキ膜形成時間が短くなることで、ピンホール等のメッキ膜の欠陥も生じにくくなる。
一方、ブロック共重合体は、成形体の表面近傍に偏析するため、ブロック共重合体により親水化されるのは成形体の表面近傍である。ブロック共重合体は成形体の親水性を部分的に向上させるが、成形体全体の吸水性(マクロ的吸水性)へ与える影響は小さい。よって、メッキ液中での成形体の脆性破壊を抑制でき、成形体の機械的特性を低下させない。この結果、メッキ膜形成後も成形体は十分な耐熱衝撃性能を有する。
更に、本実施形態において、ブロック共重合体が成形体の表面近傍へ移動するのに伴って、金属微粒子も表面近傍へ移動し表面近傍に偏在化し易くなると推察される。この現象の理由は定かではないが、金属微粒子が表面近傍に偏在化することで、メッキ膜を樹脂表面に形成し易くなり、メッキ膜の密着力低下が抑制され、メッキ反応ムラやピンホール等の外観不良が低減される。
尚、本明細書において、「成形体の表面近傍」とは、成形体の内部であって、且つ、表面に近い領域を意味し、成形体をメッキ液に接触させたときに表面からメッキ液が浸透してメッキ反応が起きる領域を意味する。「成形体の表面近傍」が、成形体の表面から、どの程度の深さまでの領域を意味するかは、成形体に用いられる樹脂の種類によっても異なるが、例えば、成形体の表面から、0.1〜10μmまでの深さの領域である。
尚、本実施形態では、ブロック共重合体を用いることによって、成形体の表面近傍を親水化し、上述の効果を奏することができる。例えば、同じ構成成分からなるランダム共重合体や、親水性セグメントのみから構成される重合体等では、成形体の表面近傍を親水化することは難しく、本発明と同等の効果は得られない。また、低分子の界面活性剤も成形体表面に偏析する性質を有しているが、本実施形態のブロック共重合体と同等の効果を奏することはできない。ブロック共重合体は、通常の低分子の界面活性剤とは異なり、ポリマーである。ブロック共重合体は、大きな分子量有するため、混合される金属微粒子を伴って成形体の表面近傍に移動できると考えられる。また、ポリマーであるので、成形体の表面に高濃度に偏在しても、成形体の耐熱性や機械的強度を低下させない。更に、上述したように、可塑化溶融した状態で十分な粘度を有するので、ブロック共重合体単独であっても押出成形が可能であり、ペレット化することができる。
更に、本実施形態のメッキ膜を有する成形体の製造方法は、以下の効果を奏する。本発明者らは、成形体の反り抑制、剛性及び寸法安定性の向上を目的に成形体にミネラルを含有させた場合、酸を用いてメッキ前処理を行うと、成形体表面にメッキ膜が形成されないメッキ膜未着部が多数発生することを発見した。そして、成形体のメッキ前処理にアルコール処理液を用いることで、このメッキ膜未着部の発生を抑制できることを見出した。この理由は、定かではないが以下のように推察される。メッキ前処理に酸を用いると、酸と成形体内に含まれるミネラルが反応し、例えば、ミネラルが溶解してガスを発生する等、何らかのメッキ反応に悪影響を与える現象が生じる。一方、本実施形態で用いるアルコール処理液は、ミネラルとこのような反応をしないため、メッキ膜未着部が発生せず、外観特性に優れたメッキ膜を形成できると考えられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されない。
[実施例1]
本実施例では、図2に示す樹脂ペレット製造装置1000を用いて、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する第1の樹脂ペレットを製造し、次に、汎用の射出成形機を用いて、第1の樹脂ペレットと、熱可塑性樹脂を含む第2の樹脂ペレットから成形体を成形した。そして、製造した成形体上にメッキ膜を形成した。
第1の樹脂ペレットに含有されるブロック共重合体としては、ポリエチレンオキシドとポリアミド成分をエステル結合させたポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三洋化成工業製、ペレスタットNC6321)を、金属微粒子としては、有機金属錯体であるヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体を用いた。ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体における親水性セグメントは、ポリエーテルであるポリエチレンオキシドである。また、第2の樹脂ペレットとしては、酸化カルシウム、二酸化ケイ素を含むミネラルを40vol%混合したナイロン6(東洋紡製、ミネラル強化樹脂T777‐02)を用いた。また、メッキ前処理に用いるアルコール処理液には、1,3−ブタンジオール水溶液(1,3−ブタンジオール:75vol%、水:25vol%)を使用した。
〈樹脂ペレット製造装置〉
まず、本実施例で第1の樹脂ペレットの製造に用いた装置について説明する。図2に示すように、樹脂ペレット製造装置1000は、金属微粒子を混合したブロック共重合体を押出成形する押出成形装置200と、金属微粒子を含む加圧二酸化炭素(混合加圧流体)を押出成形装置200に供給する加圧流体供給装置100と、押出成形装置200により押出成形されたブロック共重合体を冷却する樹脂冷却装置300と、制御装置(不図示)を備える。制御装置は、加圧流体供給装置100、押出成形装置200、及び樹脂冷却装置300を動作制御する。
加圧流体供給装置100は、加圧二酸化炭素と、金属微粒子を溶媒に溶解させた溶液Cとを混合して混合加圧流体を調製し、調製した混合加圧流体を押出成形装置200に供給する。加圧流体供給装置100は、サイフォン式の二酸化炭素ボンベ101と、二酸化炭素ボンベ101より液体二酸化炭素を吸引した後、加圧して液体二酸化炭素を供給する二酸化炭素用シリンジポンプ102と、金属微粒子含有液体Cを収容する溶液槽111と、溶液槽111内の金属微粒子含有液体Cを加圧して供給する溶液用シリンジポンプ112より構成される。各シリンジポンプ102、112は圧力制御と流量制御が可能である。調製された混合加圧流体は、背圧弁120を介して押出成形装置200に供給される。
押出成形装置200は、内部に回転及び進退自在に配設されたスクリュ20を有する第1シリンダ(可塑化シリンダ)210と、内部に回転及び進退自在に配設されたスクリュ25を有する第2シリンダ220と、スクリュ20、25それぞれに連結し、スクリュ20、25を回転動作させるサーボモータ28、29と、第1シリンダ210と第2シリンダ220とを連結する連結部230から主に構成される。本実施例では、第1及び第2シリンダ210、220内において、可塑化溶融された溶融樹脂は、図2における右手から左手に向かって流動する。したがって、第1及び第2シリンダ210、220の内部においては、図2における右手を「上流」又は「後方」、左手を「下流」又は「前方」と定義する。第1シリンダ(可塑化シリンダ)210は、スクリュ20が貫通するリング形状のシール部材26と、シール部材26よりも下流に設けられ、スクリュ20が貫通するリング形状部材24が設けられる。また、第2シリンダ220は、その先端部にノズル27有する。
第1シリンダ210の上部側面には、上流側から順に、ブロック共重合体を可塑化シリンダ210に供給するための樹脂供給口201、混合加圧流体を第1シリンダ210内に導入するための導入口202が形成される。これらの樹脂供給口201、及び導入口202にはそれぞれ、樹脂供給用ホッパ211、及び導入バルブ212が配設されている。第1シリンダ210の外壁面には、バンドヒータ(図示せず)が配設されており、これにより可塑化シリンダ210が加熱され、ブロック共重合体が可塑化溶融される。また、第2シリンダ220の上部側面には、第2シリンダ220内からガス化した二酸化炭素を排気するためのベント203が形成されている。
押出成形装置200では、樹脂供給口201から第1シリンダ210内にブロック共重合体が供給され、ブロック共重合体がバンドヒータによって可塑化されて溶融樹脂となり、スクリュ20が正回転することにより下流に送られる。そして、導入口202近傍まで送られた溶融樹脂は、導入された金属微粒子を含む加圧二酸化炭素(混合加圧流体)と高圧下、接触混練される。混合加圧流体を含む溶融樹脂は、第1シリンダ210から、下流の連結部230へ送られる。そして、連結部230の樹脂は、第1シリンダ210から順次供給される樹脂に押出されて、更に下流の第2シリンダ220へ送られる。第2シリンダ220では、混合加圧流体と接触混練された溶融樹脂の樹脂内圧を低下させることにより、ガス化した二酸化炭素が溶融樹脂から分離し、ベント203から排気される。二酸化炭素が排気された後、溶融樹脂は、スクリュ25が回転することにより下流に送られ、ノズル27から第2シリンダ220の外部へ押し出される。
以上説明したように、第1シリンダ210内では、上流側から順に、ブロック共重合体を可塑化溶融して溶融樹脂とする可塑化ゾーン21、溶融樹脂と導入口202から導入される混合加圧流体とを高圧下、接触混練する混練ゾーン22が形成される。そして、第2シリンダ220内では、混合加圧流体と接触混練した溶融樹脂の樹脂内圧を低下させることにより、溶融樹脂から分離された二酸化炭素をベント203から排気する減圧ゾーン23が形成される。第1シリンダ210においては、上述のリング形状のシール部材26は、可塑化ゾーン21と混練ゾーン22の境界に位置しており、リング形状部材24は混練ゾーン22に位置している。そして、スクリュ20の混練ゾーン22に位置する部分は、その直径が下流に向かうに従い大きくなる形状を有する。
樹脂冷却装置300は、第2シリンダ220のノズル27から押出されたブロック共重合体を冷却し固化する装置であり、冷却水等によりブロック共重合体が十分に固化される機構であれば任意であるが、本実施形態では、冷却水を用いないアルミ製のベルトコンベア装置301を用いた。冷却水を用いないことで、ブロック共重合体の過剰な吸水を防ぐことができ、後工程での困難な脱水作業が不要となる。図2に示すように、アルミベルトコンベア装置301は、輪状にしたアルミ製のベルトを回転させるベルトコンベアであり、アルミ製のベルトの上に、押出成形装置200から押し出されるブロック共重合体を裁置し、図2の上流から下流へ(右手から左手へ)運搬する。放熱性能の高いアルミ製のベルトの上に裁置されることで、押出されたブロック共重合体は運搬されながら冷却され、固化する。
〈第1の樹脂ペレットの製造〉
上で説明した図2に示す樹脂ペレット製造装置1000を用いて、以下に説明する方法により、樹脂ペレットを製造した。まず、液体二酸化炭素ボンベ101から液体二酸化炭素を吸引し、二酸化炭素用シリンジポンプ102の圧力制御により所定圧力まで液体二酸化炭素を加圧した。また、溶液用シリンジポンプ112により、溶液槽111から溶媒に金属微粒子を溶解させた溶液Cを吸引し、溶液用シリンジポンプ112の圧力制御により所定圧力まで溶液Cを加圧する。本実施例では、溶液Cの溶媒としてパーフルオロペンチルアミンのフッ素系有機溶媒を用いた。
次に、二酸化炭素用シリンジポンプ102及び溶液用シリンジポンプ112を圧力制御から流量制御に切替え、二酸化炭素用シリンジポンプ102と溶液用シリンジポンプ112の流量比が10:1となるように流動させた。これにより、配管内で加圧二酸化炭素と溶液Cとが混合され、かつ、第1シリンダ210内に混合加圧流体を導入する導入バルブ212までの系内を加圧した。本実施例において、シリンジポンプ102、112から導入バルブ212までの系内は10℃に冷却し、圧力は10MPaとした。背圧弁120の設定圧力も10MPaとした。また、本実施例において、混合加圧流体中の金属微粒子の濃度は、飽和溶解度の10〜20%程度に制御した。
一方、押出成形装置200において、樹脂供給用ホッパ211からブロック共重合体を供給し、可塑化ゾーン21の外壁面に設けられたバンドヒータ(図示せず)により可塑化ゾーン21を加熱し、スクリュ20を回転させた。これにより、ブロック共重合体を可塑化溶融し、下流の混練ゾーン22へ流動させた。
混練ゾーン22において、導入バルブ212により、導入口202を介して可塑化シリンダ210内へ、混合加圧流体を一定流量で連続的に供給した。そして、スクリュ20を回転されることにより、混合加圧流体を溶融樹脂(溶融したブロック共重合体)中に分散混練した。このとき、リング形状のシール部材26によって、混練ゾーン22に導入した二酸化炭素や金属微粒子が上流側の可塑化ゾーン21に漏れることが防止される。
次に、スクリュ20の回転により、混練ゾーン22の樹脂を下流の連結部230へ流動させた。混練ゾーン22において、樹脂の下流への流動の際、直径が下流に向かうに従い大きくなるというスクリュ20の形状及びリング形状部材24の存在が溶融樹脂の流動抵抗となり、混練ゾーン22内の樹脂内圧が上がり、第1シリンダ210の圧力が上昇する。
混練ゾーン22には、図示しない圧力センサーが設けられており、混練ゾーン22のシリンダ圧力を監視できる。樹脂粘性などの変化により混練ゾーン22のシリンダ内の圧力が低下した際には、サーボモータ28の回転数を上げて混練ゾーン22への溶融樹脂の供給量を増やし、混練ゾーン22のシリンダ内の圧力を上昇させる。反対に、シリンダ内の圧力が上昇した際には、サーボモータ28の回転数を下げて樹脂供給量を減らし、シリンダ内の圧力を低下させる。このように、本実施例の第1シリンダは、スクリュ回転数を調整することで、シリンダ内圧を一定に保つことができる機構を有する。混練ゾーン22のシリンダ内の圧力の変動が大きいと、シリンジポンプ102、112から供給される混合加圧流体の導入量が安定せず、ばらつきが発生するが、本実施例では、混練ゾーン22のシリンダ内の圧力を一定に保つことで導入量が安定する。本実施例においては、混練ゾーン22のシリンダ内圧が8MPaを保つように、スクリュ20の回転数を設定した。
スクリュ20を継続して回転させ、第1シリンダ210の溶融樹脂(溶融したブロック共重合体)を下流の連結部230へ供給し続けた。連結部230の溶融樹脂は、第1シリンダから供給される溶融樹脂に押し出される形で、下流の第2シリンダ220の減圧ゾーン23に流動した。減圧ゾーン22において、溶融樹脂の減圧を行い、溶融樹脂中に溶解した二酸化炭素のみを分離し、第2シリンダ220に設けられたベント203から排出した。
次に、二酸化炭素を排出した溶融樹脂(溶融したブロック共重合体)を、第2シリンダの先端部に設けられたノズル27から、スクリュ25の回転により押し出した。ノズル27からの溶融樹脂の押出し量は、サーボモータ29により調節した。尚、サーボモータ29は、サーボモータ28と独立制御が可能である。
ノズル27から押し出されたブロック共重合体を冷却装置300のアルミベルトコンベア301の上に裁置し、図2における上流から下流へ運搬した。押し出された溶融樹脂(溶融したブロック共重合体)は、運搬される間に冷却され、固化した。固化したブロック共重合体を汎用の裁断機によって任意のサイズに裁断し、パラジウム金属微粒子とブロック共重合体を含む第1の樹脂ペレットを得た。第1の樹脂ペレット中の金属微粒子の濃度は、100ppmであった。
〈成形体の成形〉
得られた第1の樹脂ペレットと、第2の樹脂ぺレットとを重量比、10:90で混合し、汎用の発泡射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−2M)を用いて、汎用の成形方法により、平板形状の非発泡成形体を成形した。
〈メッキ前処理〉
次に、得られた成形体を80℃の1,3−ブタンジオール水溶液に15分間浸漬させた。
〈メッキ処理〉
メッキ前処理を行った成形体を70〜90℃の無電解ニッケルリンメッキ液(日本カニゼン社製、SE−666)に15分間浸漬し、無電解ニッケルリンメッキ膜を形成した。次に、ニッケルリンメッキ膜を形成した成形体を室温の置換銅メッキ液(奥野製薬社製、ANCアクチ)に1分間浸漬し、置換銅メッキ膜を形成した。その後、メッキ前処理により軟化したブロック共重合体の固化を促進するために、銅メッキ膜を形成した成形体を電気炉に入れ、80℃で12時間、アニール処理を行った。
次に、活性化剤(奥野製薬社製、トップサン)を用い、濃度100g/Lの活性化剤溶液を調製した。調製した活性剤溶液に、アニール処理を行った成形体を室温で5分間浸漬し、成形体上の金属膜の活性化処理を行った。この処理によって、アニールによって成形体の最表面に形成された酸化膜が除去された。
活性化処理を行った成形体上に、汎用の電解メッキ法により20μmの電界銅メッキ膜を形成した。電解銅メッキ液には、硫酸銅、硫酸、塩酸及び光沢剤を含有する硫酸銅浴を使用し、浴温度は30℃、電流密度は3A/dmとした。更に、電解銅メッキ膜上に、汎用の方法により、20μmの電解ニッケルメッキ膜を形成した。電解ニッケルメッキ液には、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸及び光沢剤を含有するワット浴を使用し、浴温度は55℃、電流密度は3A/dmとした。
上述のようにして電解メッキ膜を形成した成形体を電気炉に入れ、80℃で12時間アニール処理を行い、本実施例の試料を得た。尚、本実施例では、置換銅メッキ膜を形成した後、軟化したブロック共重合体の固化を促進するためにアニール処理を行ったが、アニール処理は行なわなくてもよい。アニール処理を行わずとも、時間の経過と共に軟化したブロック共重合体は固化するからである。アニール処理の代わりに、銅メッキ膜を形成した成形体を室温で放置しても構わないし、成形体を室温放置せずに、続けて次の処理工程を行っても構わない。置換銅メッキ膜を形成した後に、次の工程を続けて行う場合には、活性化処理を省略し、電解銅メッキを行ってもよい。
[実施例2]
実施例2では、1,3−ブタンジオール水溶液の代わりに、エタノール(100vol%)を用い、70℃のエタノール処理液に成形体を15分間浸漬させてメッキ前処理を行った以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[比較例1]
比較例1では、メッキ前処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[比較例2]
比較例2では、ブロック共重合体を含有せず、熱可塑性樹脂及び金属微粒子を含有する成形体を用いた以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。本比較例で用いた成形体は、以下の製造方法により製造した。
まず、実施例1に用いた図2に示す樹脂ペレット製造装置1000を用いて、熱可塑性樹脂と金属微粒子とを含有する樹脂ペレットを製造した。樹脂ペレットの製造方法は、ブロック共重合体の代わりに熱可塑性樹脂を用いた以外は、実施例1に記載の第1の樹脂ペレットの製造方法と同様の方法を用いた。
次に得られた熱可塑性樹脂と金属微粒子とを含有する樹脂ペレットを実施例1と同様の汎用の射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−2M)を用いて、実施例1と同様の成形方法により、平板形状の非発泡成形体を成形した。
<金属膜の密着強度測定>
実施例1及び2、比較例1及び2で作製した試料について、引っ張り試験機(島津製作所社製,AGS−100N)を用いて、JIS H8630に準拠し、角度90°、速度25mm/分の条件で、試料表面において長さ40mm(測定長)に亘り、メッキ膜を試料からから引き剥がすときの力(密着強度)を測定した。図3に、測定長と密着強度との関係を示す。また、表1に、各試料表面の長さ40mmに亘って測定した密着強度の平均値を示す。
Figure 2014105361
実施例1及び2の試料において、メッキ膜密着強度の平均値は、それぞれ34.5N/cm、27.2N/cmと非常に高い値であった。これは、実施例1及び2の試料では、メッキ膜が成形体に食い込んだ状態(メッキ膜の一部が成形体に浸透した状態)で形成されており、更に、成形体中に含有されるブロック共重合体がメッキ膜と成形体との接着剤として働き、メッキ膜の密着強度をより高めていると推察される。
一方、メッキ前処理を行わなかった比較例1の試料においては、メッキ膜密着強度の平均値は0.2N/cmと非常に低かった。比較例1の試料では、メッキ前処理を行わなかったため、無電解メッキ液が成形体内部に十分に浸透できず、メッキ膜が成形体に食い込んだ状態で形成されていないと推察される。
また、ブロック共重合体を含有していない成形体上にメッキ膜を形成した比較例2の試料においては、メッキ膜密着強度の平均値は17.1N/cmであった。この結果は、樹脂メッキの耐熱衝撃性能や長期信頼性等の信頼性を確保するために必要とされている密着強度の一般的な基準値である10N/cmを大きく超えるが、実施例1及び2のメッキ膜密着強度よりは低かった。比較例2の試料では、メッキ膜が成形体に食い込んだ状態で形成されているが、成形体中にブロック共重合体が含有されていないため、実施例1及び2の試料のような非常に高い密着強度が得られなかったと推察される。
[実施例3]
実施例3では、成形体上に無電解ニッケルリンメッキ膜のみを形成し、他のメッキ膜を形成しなかった以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[実施例4]
実施例4では、成形体上に無電解ニッケルリンメッキ膜のみを形成し、他のメッキ膜を形成しなかった以外は、実施例2と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[比較例3]
比較例3では、1,3−ブタンジオール水溶液の代わりに、3.0mol/Lの塩酸を使用し、室温の塩酸に成形体を5分間浸漬させてメッキ前処理を行った以外は、実施例3と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[比較例4]
比較例4では、1,3−ブタンジオール水溶液の代わりに、6.0mol/Lの酢酸を使用し、40℃の酢酸に成形体を10分間浸漬させてメッキ前処理を行った以外は、実施例3と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
〈メッキ膜未着部の評価〉
実施例3及び4、比較例3及び4で作製した試料について、試料のニッケルリンメッキ膜の表面を目視で観察し、試料の表面全体に存在するメッキ膜未着部の数をカウントして平均し、単位面積(cm)当たりのメッキ膜未着部の数を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2014105361
表1に示すように、メッキ前処理にアルコール処理液を用いた実施例3および4の試料では、目視で確認できるメッキ膜未着部は殆ど存在せず、外観特性に優れたメッキ膜を形成できた。一方、メッキ前処理に塩酸を用いた比較例3の試料では、メッキ膜未着部が単位面積あたり10〜50個と多数観察された。また、メッキ前処理に弱酸である酢酸を用いた比較例4の試料では、メッキ前処理に塩酸を用いた比較例3よりは少ないものの、メッキ膜未着部が単位面積あたり1〜5個観察された。
比較例3及び4の試料において、このようなメッキ膜未着部が発生する原因は定かではないが、メッキ前処理に塩酸等の酸を用いることで、酸と成形体内に含まれるミネラルが反応しガスを発生する等、何らかのメッキ反応に悪影響を与える現象が生じていると推察される。一方、実施例1および実施例2の試料においては、メッキ前処理に用いるアルコール処理液が成形体に含有させるミネラルと何ら反応しないため、メッキ膜未着部が発生しないと推測される。
尚、弱酸である酢酸を用いた比較例4の方が、強酸である塩酸を用いた比較例3と比較してメッキ膜未着部の数が減少していることから、比較例4では、メッキ前処理に弱酸を用いることで、ミネラルとの反応が抑制されたと推定される。
以上、本発明のメッキ膜を有する成形体の製造方法を実施例により具体的に説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限定されない。例えば、実施例1〜4では、メッキ前処理に1,3−ブタンジオール水溶液又はエタノールを用いたが、それ以外のアルコール、例えば、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも一種のアルコールを用いても、同様の効果を奏すると推測される。また、実施例1〜4では、ミネラルとして、酸化カルシウム、二酸化ケイ素を含有したポリアミド樹脂を用いたが、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、及びこれらを含む化合物(鉱石)からなる群から選択される少なくとも一種のミネラルを含有する熱可塑性樹脂を用いても、同様の効果を奏すると推測される。
本発明のメッキ膜を有する成形体の製造方法は、高い密着強度を有し、更に外観特性にも優れるメッキ膜を有する成形体を製造することができる。したがって、本発明により製造されるメッキ膜を有する成形体は、高い耐久性が要求される装飾用途にも対応可能である。
21 可塑化ゾーン
22 混練ゾーン
23 減圧ゾーン
20、25 スクリュ
28、29 サーボモータ
24 リング形状部材
26 シール部材
27 ノズル
1000 樹脂ペレット製造装置
100 加圧流体供給装置
200 押出成形装置
300 樹脂冷却装置
101 二酸化炭素ボンベ
102 二酸化炭素用シリンジポンプ
111 溶液槽
112 溶液用シリンジポンプ
120 背圧弁
201 樹脂供給口
202 導入口
203 ベント
210 第1シリンダ(可塑化シリンダ)
211 樹脂供給用ホッパ
212 導入バルブ
220 第2シリンダ
230 連結部
301 ベルトコンベア装置

Claims (15)

  1. メッキ膜を有する成形体の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体を用意することと、
    前記成形体にアルコール処理液を接触させることと、
    前記アルコール処理液を接触させた前記成形体に、無電解メッキ液を接触させてメッキ膜を形成することを含むメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  2. 前記アルコール処理液が、前記ブロック共重合体を軟化させることを特徴とする請求項1に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  3. 前記アルコール処理液が、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項1又は2に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  4. 前記アルコール処理液が、1,3−ブタンジオールを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  5. 前記成形体を用意することが、前記成形体を製造することを含み、
    前記成形体を製造することが、前記ブロック共重合体と前記金属微粒子とを含有する第1の樹脂ペレットを用意することと、第1の樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形することを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  6. 第1の樹脂ペレットと共に、前記金属微粒子を含有しない第2の樹脂ペレットを可塑化溶融して成形体を成形することを含む請求項5に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  7. 第1の樹脂ペレットを用意することが、
    前記ブロック共重合体を可塑化溶融することと、
    前記可塑化溶融したブロック共重合体に、前記金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合して、前記金属微粒子が含有されたブロック共重合体を得ることと、
    前記金属微粒子を含有したブロック共重合体を押出成形した後、粉砕して前記第1の樹脂ペレットを得ることを含む請求項5又は6に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  8. 前記成形体が、更にミネラルを含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  9. 前記ミネラルが、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム及びこれらを含む化合物からなる群から選択される少なくとも一種である請求項8に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  10. 前記ミネラルが、酸化カルシウム及び二酸化ケイ素の少なくとも一方である請求項8又は9に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  11. 前記ブロック共重合体の親水性セグメントが、ポリエーテルである請求項1〜10のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  12. 前記ブロック共重合体が、更に、前記成形体が含有する前記熱可塑性樹脂と相溶性を有するセグメントを含有する1〜11のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  13. 前記ブロック共重合体が、更に、前記成形体が含有する前記熱可塑性樹脂と非相溶のセグメントを含有する1〜11のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  14. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂である請求項1〜13のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  15. 前記金属微粒子が、パラジウムを含む請求項1〜14のいずれか一項に記載のメッキ膜を有する成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016128594A (ja) * 2015-01-09 2016-07-14 日立マクセル株式会社 メッキ部品の製造方法及びメッキ部品

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