JP2016125123A - メッキ膜を有する成形体の製造方法 - Google Patents

メッキ膜を有する成形体の製造方法 Download PDF

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哲也 阿野
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孝一 水戸
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寛紀 太田
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【課題】高い密着強度を有すると共に、外観特性も優れるメッキ膜を有する成形体の製造方法を提供する。【解決手段】メッキ膜を有する成形体の製造方法であって、熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体を用意することと、前記成形体に金属イオンを含有する酸を接触させることと、前記金属イオンを含有する酸を接触させた前記成形体に無電解メッキ液を接触させて、メッキ膜を形成することを含む。【選択図】 図1

Description

本発明は、メッキ膜を有する成形体の製造方法に関する。
成形体に安価に金属膜を形成する方法として、無電解メッキ法が知られている。無電解メッキ法では、金属膜の成形体への密着性確保のため、六価クロム酸や過マンガン酸等の酸化剤を含むエッチング液を用いて成形体表面を粗化する前処理を行う。そのため、無電解メッキ法には、エッチング液により侵食されるABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)が主に用いられてきた。ABS樹脂は、ブタジエンゴム成分がエッチング液に選択的に侵食され、表面に凹凸が形成される。一方、ABS樹脂以外の樹脂、例えば、ポリカーボネート等では、無電解メッキを可能にするため、ABS樹脂やエラストマー等、エッチング液に選択的に酸化される成分を混合したメッキグレードが市販されている。しかし、このような無電解メッキ法の前処理は、六価クロム酸等を使用することから、環境負荷が高いという問題があった。
一方、前処理であるエッチング工程を経ずに、成形体に金属膜を形成する方法として、超臨界二酸化炭素等の加圧二酸化炭素を用いた成形体の表面改質法の利用が提案されている。本発明者らは、加圧二酸化炭素を用いた表面改質処理を射出成形と同時に行い、成形体の表面近傍に無電解メッキの触媒核となるパラジウムを分散させる方法を提案している(特許文献1〜3)。この方法では、表面にパラジウムが偏在化した成形体に無電解メッキを施すことにより、エッチング工程を経ずに成形体表面にメッキ膜を形成できる。
特許第4160623号公報 特許第3696878号公報 特開2010−30106号公報
特許文献1〜3に記載される触媒を内部に含んだ成形体に無電解メッキ液を接触させると、メッキ液は成形体の表面から内部に浸透して金属微粒子と接触し、成形体の内部から成形体を押し広げながらメッキ膜が成長していく。このため、メッキ膜は高い密着強度を有する。
一方、メッキ膜を有する成形体の使用用途は多様であり、例えば、装飾用途においてはメッキ膜の密着強度のみならず、高品質の外観が要求される。特に、複雑な形状の成形体やミネラルやガラスフィラー等を含有する成形体では、外観特性に優れた均一なメッキ膜を形成することが困難であった。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、高い密着強度を有すると共に、外観特性も優れるメッキ膜を有する成形体の製造方法を提供する。
本発明に従えば、メッキ膜を有する成形体の製造方法であって、熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体を用意することと、前記成形体に金属イオンを含有する酸を接触させることと、前記金属イオンを含有する酸を接触させた前記成形体に無電解メッキ液を接触させて、メッキ膜を形成することを含むメッキ膜を有する成形体の製造方法が提供される。
本発明において、前記熱可塑性樹脂がポリアミドを含んでもよい。また、前記酸が、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、クロム酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過臭素酸、メタ過ヨウ素酸、過マンガン酸、チオシアン酸、テトラフルオロホウ酸及びヘキサフルオロリン酸からなる群から選択される少なくとも1つであってもよく、また、酢酸、リン酸、ギ酸、酪酸、ラウリン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、リノール酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、ホウ酸、次亜塩素酸、フッ化水素及び硫化水素からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。前記金属イオンが、パラジウム、ニッケル、銅、銀及び白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属のイオンであってもよい。更に、前記酸が塩酸であり、前記金属イオンがパラジウムイオンであってもよい。
前記成形体に前記金属イオンを含有する酸を接触させることが、前記成形体に金属イオンを含有する酸の水溶液を接触させることであり、前記水溶液の前記酸の濃度が0.1N〜12Nであってもよい。前記金属イオンが、前記水溶液中に0.05mg/L〜500 mg/L含まれていてもよい。前記成形体に前記金属イオンを含有する酸を5秒〜15分間接触させてもよい。また、前記金属イオンを含有する酸に界面活性剤が含有されていてもよい。
前記成形体が、前記酸により溶出されるフィラーを含有してもよく、更に、前記フィラーが炭酸カルシウムを含有する天然鉱物又は合成フィラーであってもよい。前記フィラーの粒子径が100nm〜3μmであってもよい。
本発明は、前記成形体に前記金属イオンを含有する酸を接触させる前に前記成形体に金属イオンを含有しない酸を接触させることを更に含んでもよい。前記金属イオンを含有しない酸に界面活性剤が含有されていてもよい。
前記無電解メッキ液が、無電解ニッケルリンメッキ液であってもよく、前記無電解ニッケルリンメッキ液の温度が15℃〜90℃であってもよい。また、前記無電解メッキ液が、無電解銅メッキ液であってもよい。
本発明のメッキ膜を有する成形体の製造方法は、前記成形体に第1の無電解メッキ液を接触させる第1メッキ処理と、第2の無電解メッキ液を接触させる第2メッキ処理とを含み、第1メッキ処理と、前記成形体に前記金属イオンを含有する酸を接触させることと、第2メッキ処理とをこの順に行ってもよい。第1メッキ処理の前に、前記成形体に金属イオンを含有しない酸を接触させることを更に含んでもよい。
前記成形体に含まれる前記金属微粒子が、パラジウム、ニッケル、銅、金、銀、白金、鉄及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
本発明は、熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体に対して、金属イオンを含有する酸を用いたメッキ前処理を行うことにより、無電解メッキ液の浸透を向上させ、更に、無電解メッキにおけるメッキ反応の均一性を向上させる。これにより、高い密着強度を有すると共に、外観特性にも優れるメッキ膜を有する成形体を製造することができる。
図1は、実施形態で製造するメッキ膜を有する成形体の製造方法を示すフローチャートである。
[第1の実施形態]
図1に従い、本実施形態におけるメッキ膜を有する成形体の製造方法について説明する。
[成形体]
まず、熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体を用意する(図1のステップS1)。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリテーテルエーテルケトン、ABS系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、及びこれらを共重合化又はアロイ化した複合材料を用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。
しかし、以下の観点からは、熱可塑性樹脂はポリアミドを含むことが好ましい。ポリアミドは吸水性が高いため、メッキ液の浸透が促されてメッキ膜が安定して成長する。また、ポリアミドは剛性、耐熱性及び耐薬品性に優れるため、樹脂部品の剛性、耐熱性及び耐薬品性が確保できる。熱可塑性樹脂に含まれるポリアミドとしては、特に限定されず、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ナイロン12(PA12)、ナイロン11(PA11)、ナイロン6T(PA6T)、ナイロンMXD6(PAMXD6)、ナイロン9T(PA9T)、ナイロン6・66共重合体、及びこれらを共重合化又はアロイ化した複合材料、非晶質ナイロン等を用いることができる。中でも、メッキ膜の形成し易さから吸水性が高く膨潤しやすいナイロン6が好ましい。また、ポリアミドと、上述したポリアミド以外の熱可塑性樹脂を共重合化又はアロイ化した複合材料を用いてもよい。このような複合材料としては、ナイロンとポリプロピレンのポリマーアロイ(PA/PP)が挙げられる。また、ABS樹脂とナイロンをアロイ、複合化した樹脂もあげられる。これらのポリアミドは、単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。
成形体の熱可塑性樹脂は、主成分がポリアミドであることがより好ましく、例えば、熱可塑性樹脂中にポリアミドは30重量%〜100重量%含まれることが好ましく、60重量%〜98重量%含まれることがより好ましい。
成形体中の熱可塑性樹脂の含有量は、成形体の機械的強度の観点からは多い方がよい。逆に、無電解メッキの反応性の観点からは、熱可塑性樹脂の含有量は少なく、金属微粒子や親水性セグメントを含むブロック共重合体の含有量が多い方がよい。この二つの観点から、成形体中の熱可塑性樹脂の含有量は、70〜99.9重量%が好ましく、85〜99.5重量%がより好ましい。
成形体が含有する親水性セグメントを含むブロック共重合体(以下、適宜「ブロック共重合体」と記載する)は、親水性セグメントを有し、更に、親水性セグメントとは異なる他のセグメント(以下、適宜「他のセグメント」と記載する)を有する。親水性セグメントには、アニオン性セグメント、カチオン性セグメント、ノニオン性セグメントを用いることができる。アニオン性セグメントとしては、ポリスチレンスルホン酸系、カチオン性セグメントとしては、四級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体系、ノニオン性セグメントとしては、ポリエーテルエステルアミド系、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン系、ポリエーテルエステル系が挙げられる。成形体の耐熱性を確保し易いことから、親水性セグメントは、ポリエーテル構造を有するノニオン性セグメントであることが好ましい。ポリエーテル構造としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシトリメチレン基、ポリオキシテトラメチレン基等のオキシアルキレン基、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、及びこれらの変性物、並びにポリエーテル含有親水性ポリマーが含まれ、特にポリエチレンオキシドが好ましい。
ブロック共重合体の他のセグメントは、親水性セグメントよりも疎水性であれば任意であるが、例えば、ナイロン、ポリオレフィン等を用いることができる。また、他のセグメントに、成形体に用いる熱可塑性樹脂と相溶する材料を用いると、成形体の成形時及び成形後の成形体内部で、熱可塑性樹脂とブロック共重合体との相分離を抑制できる。一方、他のセグメントに成形体に用いる熱可塑性樹脂と非相溶の材料を用いると、ブロック共重合体は成形体表面にブリードアウトしようと移動する働きが強くなり、成形体の表面近傍に偏析し易くなる。これにより、メッキ液の成形体への浸透性を高めることができる。成形体に用いる熱可塑性樹脂と相溶する材料としては、該熱可塑性樹脂と同じ構造又は、類似の構造を有する樹脂が好ましい。例えば、成形体に用いる熱可塑性樹脂にナイロン等のポリアミド樹脂を用いる場合には、他のセグメントはポリアミド成分を含むナイロン等が好ましい。反対に、成形体に用いる熱可塑性樹脂と非相溶の材料としては、該熱可塑性樹脂と異なる構造や、異なる性質を有する樹脂が好ましい。
ブロック共重合体は市販品を用いてもよく、例えば、三洋化成工業製ペレスタット(登録商標)、ペレクトロン(登録商標)等を用いることができる。例えば、三洋化成工業製ペレスタットNC6321、1251は、親水性セグメントのポリエーテルと、他のセグメントのナイロンをエステル結合でコポリマー化したブロック共重合体である。
成形体中のブロック共重合体の含有量は、0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜15重量%とすることがより好ましい。0.1重量%以上とすると、成形体をメッキ処理した場合に、メッキ液の成形体への浸透性を高めることができ、30重量%以下とすると、該成形体が十分な機械強度を有することができ、更にメッキ膜形成後も耐熱衝撃性能を維持することができる。
成形体が含有する金属微粒子は、無電解メッキ触媒として機能するものであれば特に限定されないが、例えば、パラジウム、ニッケル、銅、金、銀、白金、鉄、コバルト等の金属微粒子、金属錯体、金属アルコキシド等の金属酸化物の前駆体を用いることができる。金属錯体の種類は任意であるが、より具体的には、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体、白金ジメチル(シクロオクタジエン)、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル、ビス(アセチルアセトネート)パラジウム等が、加圧二酸化炭素への溶解性が高く好ましい。これらの金属微粒子は、メッキ触媒と機能し、該成形体に無電解メッキを施すことができる。
成形体中の金属微粒子の含有量は、無電解メッキの反応性の観点から、0.1重量ppm以上が好ましく、1重量ppm以上とすることがより好ましい。また、上限は、例えば、後述する成形体の製造方法における、加圧二酸化炭素への金属微粒子の飽和溶解度等で決まるため、金属微粒子の種類に依存する。
更に、本実施形態では、成形体中にガラス、ミネラル等のフィラーを含有してもよい。フィラーを含有することにより、成形体の反りを抑制し、剛性及び寸法安定性を向上させることができる。成形体が含有するミネラルとしては、例えば、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素等のケイ酸塩、ケイ酸、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化チタン、チタン酸カリウム及びそれを含む化合物(鉱物)が挙げられる。特に、成形物の表面性(外観)や機械強度、寸法安定性およびコストの観点から、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、水酸化マグネシウムが好ましい。同様に、酸化カルシウム、二酸化ケイ素も本実施形態に用いるミネラルとして好ましい。また、成形体が含有するミネラルとしては、後述するメッキ前処理で用いる酸に溶解するミネラルも好ましい。メッキ前処理でミネラルが溶解することで成形体表面に凹凸が形成され、その上に形成されるメッキ膜の密着強度を向上させることができる。このような効果を奏する酸に溶解するミネラルとしては、例えば、炭酸カルシウムが挙げられる。したがって、本実施形態では、炭酸カルシウムを含有する天然鉱物又は合成フィラーを成形体中に含有することが好ましい。
成形体に含有されるミネラルの形状は、特に限定されないが、粒状又は略球状であることが好ましい。粒状又は略球状のミネラルは、例えば、針状のファイバーと比較して、成形体中において目立たず、成形体の意匠性を高めることができる。また、フィラーの粒子径は、100nm〜3μmであることが好ましい。
成形体中のフィラーの含有量は、成形物の表面性(外観)や機械強度、寸法安定性、成形性(成形のし易さ)等の観点から、10〜65重量%が好ましく、30〜50重量%がより好ましい。
本実施形態では、上述した熱可塑性樹脂及びミネラルとして、市販のミネラルを含有する熱可塑性樹脂を用いてもよい。一般に、ミネラルを含有する熱可塑性樹脂は、「ミネラル強化樹脂」と呼ばれる。ミネラル強化樹脂の市販品としては、例えば、東洋紡製のミネラル強化樹脂T777‐02、宇部興産製のミネラル強化樹脂1013R、1013R1等がある。
更に、本実施形態の成形体は、必要により汎用の添加剤等を含有することができる。
[成形体の製造方法]
本実施形態で用意する成形体は、例えば、国際公開第2013/129659号に開示される方法によって成形することができる。例えば、親水性セグメントを有するブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する第1の樹脂ペレットを製造し、第1の樹脂ペレットと共に熱可塑性樹脂(第2の樹脂ペレット)を用いて成形体を成形してもよい。ブロック共重合体は、成形体の成形過程、又は成形後において成形体表面に向って金属微粒子を伴って移動し、金属微粒子と共に成形体の表面近傍に偏析する傾向がある。これにより、成形体の表面近傍は、ブロック共重合体により親水化され、更に金属微粒子の濃度が高まり、成形体のメッキ反応性が向上する。尚、本明細書において、「成形体の表面近傍」とは、成形体の内部であって、且つ、表面に近い領域を意味し、成形体をメッキ液に接触させたときに表面からメッキ液が浸透してメッキ反応が起きる領域を意味する。「成形体の表面近傍」が、成形体の表面から、どの程度の深さまでの領域を意味するかは、成形体に用いられる樹脂の種類によっても異なるが、例えば、成形体の表面から、0.1〜10μmまでの深さの領域である。
このような第1及び第2の樹脂ペレットを用いて成形体を製造する方法において、第1の樹脂ペレットは、マスターバッチであり、第2の樹脂ペレットは、マスターバッチが配合されるベース樹脂に相当する。マスターバッチとは、染料、顔料、その他の添加剤等の機能性材料を高濃度に含有した樹脂ペレットであり、機能性材料を含有しないベース樹脂に混合され、ベース樹脂と共に成形される。マスターバッチを用いると、機能性材料を直接ベース樹脂に添加して成形することと比較して、材料の取り扱い性が容易で秤量精度も向上する。
第1の樹脂ペレットの製造方法は任意であるが、国際公開第2013/129659号に開示される方法によって製造することができる。例えば、押出成形機を用いて、可塑化溶融したブロック共重合体に金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合して押出成形し、押出成形体を粉砕して第1の樹脂ペレットを得てもよい。加圧二酸化炭素は、金属微粒子の溶媒であると共に、ブロック共重合体の可塑剤としても作用し、金属微粒子がブロック共重合体に均一に分散することを促進する。したがって、金属微粒子を用いて製造された第1の樹脂ペレットを用いて、メッキ膜を有する成形体を製造すると、均一で高品質なメッキ膜を得ることができる。加圧二酸化炭素を用いずに、第1の樹脂ペレットを製造することも可能であるが、以上の理由から加圧二酸化炭素を用いることが好ましい。
また、高圧容器内で、ペレット状のブロック共重合体(原料ペレット)に、金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を接触させる方法によって、第1の樹脂ペレットを製造してもよい。この場合、加圧二酸化炭素と共に金属微粒子が原料ペレットに浸透し、金属微粒子を含有する第1の樹脂ペレットを製造することができる。
第1の樹脂ペレット中の金属微粒子の含有量は、無電解メッキの反応性の観点から、0.1重量ppm以上が好ましく、1重量ppm以上とすることがより好ましい。また、上限は、例えば、後述する成形体の製造方法における、加圧二酸化炭素への金属微粒子の飽和溶解度等で決まるため、金属微粒子の種類に依存する。
第2の樹脂ペレットは、上述した成形体を構成する熱可塑性樹脂の樹脂ペレットであれば特に限定されず、一種類の樹脂ペレットを用いてもよいし、2種類以上の樹脂ペレットを用いてもよい。第2の樹脂ペレットは、ガラスファイバーやミネラル等のフィラーを含有してもよい。
[メッキ前処理]
(1)金属イオンを含有する酸を用いたメッキ前処理
次に、用意した成形体に金属イオンを含有する酸を接触させる(図1のステップS2)。本実施形態において、成形体に金属イオンを含有する酸を接触させる工程は、成形体にメッキ膜を形成するためのメッキ前処理に相当し、金属イオンを含有する酸はメッキ前処理液に相当する。以下、金属イオンを含有する酸を「金属イオン含有メッキ前処理液」又は、単に「メッキ前処理液」と記載する場合がある。
本実施形態で用いる「酸」は、水溶液中においてプロトン(H)を放出する化合物である。メッキ前処理液中の酸は、強酸であってもよい。強酸とは、酸解離定数Kaが1.0×10−3以上の酸である。成形体表面のメッキ反応性を向上させる観点から、本実施形態に用いることができる強酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、クロム酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過臭素酸、メタ過ヨウ素酸、過マンガン酸、チオシアン酸、テトラフルオロホウ酸及びヘキサフルオロリン酸が好ましく、中でも、塩酸及び硫酸がより好ましく、塩酸が更により好ましい。
また、メッキ前処理液中の酸は、弱酸であってもよい。弱酸とは、酸解離定数Kaが1.0×10−3未満の酸である。成形体表面のメッキ反応性を向上させる観点から、本実施形態に用いることができる弱酸としては、酢酸、ギ酸、酪酸、ラウリン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、リノール酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸等のカルボン酸基を有する化合物、リン酸、ホウ酸、次亜塩素酸、フッ化水素、硫化水素が好ましく、中でも、酢酸又はリン酸がより好ましい。
本実施形態では、1種類の酸を単独で用いてもよいし、2種類以上の酸を任意の割合で混合して用いてもよい。また、本実施形態において、メッキ前処理液中の酸は、六価クロム酸を含まないことが好ましい。六価クロム酸は、毒性及び環境負荷が高いからである。
メッキ前処理液中の金属イオンは、無電解メッキ触媒として機能する金属のイオンあれば特に限定されないが、例えば、パラジウム、ニッケル、銅、金、銀、白金等のイオンであることが好ましく、パラジウムのイオンであることがより好ましい。本実施形態では、1種類の金属イオンを単独で用いてもよいし、2種類以上の金属イオンを混合して用いてもよい。
本実施形態のメッキ前処理は、以下の2つの効果を奏する。1つ目の効果は、成形体表面を脆弱化し、後工程の無電解メッキにおけるメッキ液の浸透を向上させることである。これにより、メッキ液は成形体の表面から内部に浸透して金属微粒子(触媒)と接触し、樹脂成形体の内部から樹脂成形体を押し広げながらメッキ膜が成長する。この結果、アンカー効果により、強い密着強度を有するメッキ膜を形成することができる。2つ目の効果は、成形体表面近傍において、無電解メッキ触媒として機能する金属の濃度を高め、後工程の無電解メッキにおけるメッキ反応を均一に開始させることである。これにより、外観特性に優れた均一なメッキ膜を形成することができる。
上述の1つ目の効果は、主に、メッキ前処理液中の酸による効果である。本実施形態で用いる酸は、成形体表面を溶解(エッチング)し、更に、成形体中に含有されるブロック共重合体を軟化、又は溶解する。「ブロック共重合体が軟化する」とは、酸がブロック共重合体と接触した時に、ブロック共重合体は酸に溶解はしないが膨潤し、ブロック共重合体の硬度が酸との接触前より低くなることを意味する。また、ブロック共重合体が酸に溶解する場合、主にブロック共重合体の親水性セグメントが酸に溶解すると推察される。ブロック共重合体を溶解するか、単に膨潤させるに留まるかは、酸の強さ、濃度、温度、成形体と酸の接触時間等による。また、ブロック共重合体の溶解と膨潤は、どちらか一方のみ生じる場合もあり、また、両方同時に生じる場合もあると推察される。
上述の2つ目の効果は、主に、メッキ前処理液中の金属イオンによる効果である。本実施形態で用いる成形体は無電解メッキ触媒として機能する金属微粒子を含んでいる。しかし、成形体中の金属微粒子の濃度に不均一が生じ、メッキ反応を開始するのに十分な量の金属微粒子が存在しない箇所が成形体の表面近傍に発生する場合がある。成形体中の金属微粒子の濃度が不均一であると、メッキ反応初期においてメッキ反応の不均一(ムラ)が生じる。メッキ反応の速い部分と遅い部分とでは、形成されるメッキ膜の表面外観が異なり、特に、メッキ反応の遅い部分では、メッキ膜の良好な光沢が得られない。このように、メッキ膜の外観特性は、メッキ反応初期におけるメッキ反応の均一性と密接に関連する。本実施形態では、金属イオンを含有する酸を成形体に接触させることで成形体表面に金属イオンが吸着及び浸透し、金属微粒子濃度が低い箇所の触媒を補充することができる。この結果、成形体表面近傍において無電解メッキ反応が均一に開始され、メッキ膜のムラを解消することができる。
尚、本実施形態のメッキ前処理によって成形体表面近傍に吸着及び浸透する触媒の量(金属イオンの量)は微量であり、その目的は、あくまでメッキを均一に開始させるための無電解メッキ触媒の補充である。したがって、後工程の無電解メッキ工程において、無電解メッキ触媒として主に機能するのは、成形体中に含有されている金属微粒子である。もし、本実施形態のメッキ前処理によって成形体表面に吸着する触媒の量(金属イオンの量)が多過ぎると、メッキ液が成形体内部に浸透する前に成形体の最表面でのみメッキ反応が生じてしまう。この結果、密着強度の低いメッキ膜が形成されてしまう。
このような不都合を回避するために、本実施形態のメッキ前処理においては、成形体表面に吸着する触媒の量(金属イオンの量)を制御することが好ましい。例えば、本実施形態のメッキ前処理は、金属微粒子(無電解メッキ触媒)を含有しない成形体に対して本実施形態のメッキ前処理を行い、続いて無電解メッキ液に接触させても、該成形体に吸着する触媒量が少ないために無電解メッキ反応が生じない、という状況が生じる処理であることが好ましい。具体的には、メッキ前処理液中の金属イオン濃度、メッキ前処理液の温度、メッキ前処理時間等を調整することによって、成形体表面に吸着する触媒の量(金属イオンの量)を制御することができる。
本実施形態のメッキ前処理液中の酸の濃度は、0.1〜12Nであるが好ましく、0.1〜5Nであることがより好ましく、1.5N〜2.7Nが更により好ましい。金属イオンは、酸の濃度が低下すると金属として析出する虞がある。そのため、酸濃度を0.1N以上とすることで、酸に溶解する金属イオンの状態を安定に維持することができる。一方、酸の濃度が12Nを超えると、成形体の溶解等により、メッキの外観特性や成形体の機械的強度に影響を与える虞がある。本実施形態において、メッキ前処理液として酸の水溶液を用いることができる。つまり、金属イオン含有メッキ前処理液は、金属イオンを含有する酸の水溶液である。酸の濃度は、水溶液の濃度を調整することにより調整することができる。
メッキ前処理液中に金属イオンは、0.05〜500mg/L含まれることが好ましく、1〜250mg/L含まれることがより好ましく、5〜150mg/L含まれることが更により好ましい。金属イオン濃度が0.05mg/L未満であると、成形体表面への金属イオンの吸着量にムラができ、無電解メッキ反応を均一に開始させることができなくなる虞がある。また、金属イオン濃度が500mg/Lを超えると、成形体表面への金属イオンの吸着量が多くなり、成形体の最表面でのみメッキ反応が生じ、密着強度が低下する虞がある。
成形体にメッキ前処理液を接触させている時間(メッキ前処理時間)は、5秒〜15分であることが好ましい。5秒未満であると、成形体表面への金属イオンの吸着量にムラができ、無電解メッキ反応を均一に開始させることができない虞がある。また、15分を超えると、成形体へ浸透した酸による成形体の劣化、メッキ膜の腐食の虞がある。
また、成形体に接触させるメッキ前処理液の温度は10℃〜50℃が好ましい。10℃未満であると、成形体表面への金属イオンの吸着量にムラができ、無電解メッキ反応を均一に開始させることができない虞がある。また、10℃未満でメッキ前処理を行うと成形体の温度も低温となる。このため、メッキ前処理後の成形体を無電解メッキ液に接触させた際、メッキ液温度が急激に低下してメッキの初期反応が不安定になり、メッキ膜の被覆性の低下、外観不良が生じる虞がある。また、メッキ前処理液の温度が50℃を超えると、成形体表面への金属イオンの吸着量が多くなり、成形体の最表面でのみメッキ反応が生じる虞がある。また、酸からのガスの発生や水の蒸発により、酸濃度を安定化することが難しくなる虞もある。
更に、本実施形態のメッキ前処理液は、界面活性剤を含んでも良い。界面活性剤を含有することでメッキ前処理液の表面張力が低下し、成形体表面への濡れ性が向上して、金属イオンが成形体の内部へ浸透し易くなる。界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及び双性界面活性剤等、汎用の界面活性剤を使用することができる。
成形体にメッキ前処理液を接触させる方法は任意であり、目的に応じて種々の方法を用いることができる。例えば、メッキ前処理液に成形体全体を浸漬させてもよい。また、成形体の一部分のみメッキ処理する場合には、メッキ処理が予定される部分のみをメッキ前処理液と接触させてもよい。
尚、本実施形態におけるメッキの前処理は、従来の成形体表面を大きく粗化するメッキ前処理とは異なる。従来のメッキ前処理としては、ABS樹脂、エラストマー、ミネラル等を樹脂に含有させ、これらを六価クロム酸等の環境負荷の高いエッチング液により成形体表面から除去する方法が知られている。したがって、従来のメッキ前処理では、成形体表面に比較的大きな凹凸が形成される。これに対して、本実施形態の金属イオンを含有する酸によるメッキの前処理は、成形体表面をわずかにエッチングし、更に、成形体表面近傍のブロック共重合体を軟化させるか、又は、ブロック共重合体の親水性セグメントを溶解する。ブロック共重合体を溶解する場合であっても、金属微粒子を成形体表面に露出させるにとどまり、成形体表面を大きく粗化させることはない。
(2)アルコール処理液を用いたメッキ前処理
本実施形態のメッキ前処理は、成形体に金属イオン含有メッキ前処理液を接触させるのみでもよいが、更に、成形体にアルコール処理液を接触させてもよい。アルコール処理液も、成形体に含有されるブロック共重合体を膨潤させることができ、無電解メッキのメッキ反応性を更に向上させることができる。アルコール処理液を用いたメッキ前処理は、金属イオン含有メッキ前処理液を用いたメッキ前処理の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
アルコール処理液は、成形体に含有されるブロック共重合体を軟化させる性質を有するアルコールを含有する。アルコール処理液が含有するアルコールとしては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールが挙げられる。アルコール処理液が含有するアルコールは、1種類のアルコールであってもよいし、2種類以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
本実施形態で用いるアルコール処理液は、アルコールの他に、使用するアルコールと相溶する他の溶媒、例えば水を含有してもよい。ただし、他の溶媒の含有量が多くなりすぎると、メッキ前処理において、上述したブロック共重合体の軟化が不十分になる。このため、アルコール処理液中のアルコールの含有量(濃度)は、30体積%以上が好ましく、50体積%以上がより好ましい。特に、工業製品の場合に混入してくる不可避不純物を除き、実質的にアルコールのみからなるアルコール処理液が好ましい。尚、アルコール処理液は、成形体への浸透性を向上するために添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。
成形体にアルコール処理液を接触させる方法は任意であり、目的に応じて種々の方法を用いることができる。例えば、アルコール処理液中に成形体全体を浸漬させてもよい。また、成形体の一部分のみメッキ処理する場合には、メッキ処理が予定される部分のみをアルコール処理液と接触させてもよい。
成形体にアルコール処理液を接触させている時間は、成形体に含有される熱可塑性樹脂の種類やアルコールの種類に基づき任意に設定することができる。成形体にアルコール処理液を接触させている時間が短すぎると、アルコールが成形体に十分に浸透しないため、アルコール処理液によりブロック共重合体が十分に軟化しない。一方、成形体にアルコール処理液を接触させている時間が長すぎると、製造効率が低下し、更に、アルコールにより成形体の樹脂構造が脆弱化する虞がある。このような観点から、成形体にアルコール処理液を接触させている時間は、例えば、30秒〜30分が好ましい。
また、アルコール処理液によるメッキ前処理は、室温で行ってもよいし、ブロック共重合体の軟化及びアルコール処理液の成形体への含浸を促進するために、室温以上の温度で行ってもよい。特に、成形体に含有される熱可塑性樹脂のガラス転位温度以上の温度でメッキ前処理を行うことが好ましい。ガラス転位温度以上であれば、成形体が塑性変形して、アルコール処理液が成形体に浸透し易くなるからである。
[無電解メッキ]
次に、メッキ前処理を施した成形体に、無電解メッキ液を接触させてメッキ膜を形成し(図1のステップS3)、メッキ膜を有する成形体を得る。
実施形態で用意した成形体は、メッキ触媒として働く金属微粒子を含有しているので、無電解メッキを行うに際してメッキ触媒付与処理を行う必要がない。また、上述したように、メッキ液は成形体の表面から内部に浸透して金属微粒子と接触し、樹脂成形体の内部から樹脂成形体を押し広げながらメッキ膜が成長し、強い密着強度を有するメッキ膜を形成することができる。このとき、本実施形態の成形体はブロック共重合体により表面近傍が親水化されており、更にメッキ前処理により、メッキ液の浸透とメッキ膜の成長が促されると考えられる。また、メッキ前処理により、成形体表面近傍における無電解メッキ触媒として機能する金属の濃度が高められているため、外観特性に優れた均一なメッキ膜を形成することができる。このように、無電解メッキが施される本実施形態の成形体は、メッキ反応性は非常に高いため、メッキ膜の被覆性が良好で、短時間でメッキ膜が形成される。また、メッキ膜形成時間が短くなることで、ピンホール等のメッキ膜の欠陥も生じにくくなる。
無電解メッキ液としては、目的に応じて任意の汎用の無電解メッキ液を使用しできるが、触媒活性が高く液が安定であるという点から、無電解ニッケルリンメッキ液が好ましく、膜応力が低く、樹脂とメッキ膜との密着性の観点から、無電解銅メッキが好ましい。
無電解ニッケルリンメッキを行う場合、無電解メッキの処理温度(無電解メッキ浴の温度)が15℃〜90℃であることが好ましく、30℃〜90℃であることがより好ましく、45℃〜80℃が更により好ましい。市販のニッケルリンメッキ液は、通常、還元剤である次亜リン酸塩を含んでいる。次亜リン酸塩の還元能力は80℃以下において極端に落ちるため、市販のニッケルリンメッキ液の使用温度は85℃〜90℃と非常に高い。しかし、85℃〜90℃の処理温度で樹脂成形体のメッキを行うと、成形体自身が変形する虞がある。また、成形体が膨張した状態でメッキが行われて、メッキ後に冷却されて成形体が収縮するため、成形体の収縮に対応できずにメッキ膜に割れが生じる虞もある。本実施形態では、成形体のメッキ反応性が非常に高いため、メッキ処理温度を80℃以下としても、密着強度が高く、外観特性に優れたメッキ膜を形成することができる。
また、無電解ニッケルリンメッキを行う場合、無電解メッキ液中のリン濃度は、5重量%以上とすることが好ましい。リン濃度を高くすることにより、メッキ膜の耐食性が向上する。
メッキ前処理を施した成形体上には、異なる種類の無電解メッキ膜を複数層形成してもよいし、更に、無電解メッキ膜の上に、電解メッキにより電解メッキ膜を形成してもよい。また、無電解メッキ膜が形成された成形体は、無電解メッキ後にアニール処理を施してもよいし、室温で放置して自然乾燥してもよい。また、アニール処理や自然乾燥を行わず、連続して電解メッキ膜を形成する等の次の工程を行ってもよい。
[第2の実施形態]
本実施形態では、メッキ前処理(図1のステップS2)として、更に、成形体に金属イオンを含有しない酸を接触させることを含む、メッキ膜を有する成形体の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、メッキ前処理以外は、第1の実施形態と同様である。したがって、以下にメッキ前処理について説明し、その他の工程、即ち、成形体の用意(同、ステップS1)及び無電解メッキ(ステップS3)については説明を省略する。
本実施形態では、まず、第1の実施形態と同様の方法により、熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体を用意する(図1のステップS1)。そして、メッキ前処理として、成形体に金属イオンを含有しない酸を接触させる(以下、適宜、金属イオンを含有しない酸を「酸処理液」と記載する)。酸処理液は、金属イオンを含まないこと以外は、第1の実施形態で用いた、金属イオン含有メッキ前処理液と同様とすることができる。酸処理液に含まれる酸は、第1の実施形態で用いた、金属イオン含有メッキ前処理液に含まれる酸と同様のものを用いることができ、中でも、塩酸が好ましい。酸の濃度、pH、メッキ前処理時間、温度等も第1の実施形態で用いた金属イオン含有メッキ前処理液と同様の範囲で調整することが可能である。更に、酸処理液は、成形体への浸透性を向上させるために、界面活性剤を含有してもよい。
次に、酸処理液を接触させた成形体に、第1の実施形態と同様に、金属イオン含有メッキ前処理液を接触させる。本実施形態において、酸処理液中に含まれる酸と、金属イオン含有メッキ前処理液中に含まれる酸とは、同じ種類の酸であっても、異なる種類の酸であってもよいが、成形体表面の溶解やブロック共重合体の軟化の程度を安定制御する観点から、同じ種類の酸であることが好ましい。また、本実施形態のメッキ前処理においても、第1の実施形態と同様に、更に、成形体にアルコール処理液を接触させてもよい。
次に、メッキ前処理を施した成形体に、第1の実施形態と同様に無電解メッキ液を接触させてメッキ膜を形成し(図1のステップS3)、メッキ膜を有する成形体を得る。
先に説明した第1の実施形態では、メッキ前処理として、成形体に金属イオン含有メッキ前処理液を接触させる。そして、第1の実施形態のメッキ前処理は、成形体表面を脆弱化し、後工程の無電解メッキにおけるメッキ液の浸透を向上させる第1の効果と、成形体表面近傍において、無電解メッキ触媒として機能する金属の濃度を高める第2の効果の二つの効果を奏する。これに対して、本実施形態(第2の実施形態)では、メッキ前処理として、成形体に酸処理液を接触させる第1工程と、成形体に金属イオン含有メッキ前処理液を接触させる第2工程の2つの工程を行う。そして、第1工程が、主に、成形体表面を脆弱化し、後工程の無電解メッキにおけるメッキ液の浸透を向上させる第1の効果を奏し、第2工程が、成形体表面近傍において、無電解メッキ触媒として機能する金属の濃度を高める第2の効果を奏する。
このように、本実施形態のメッキ前処理は、2つのメッキ前処理工程により、第1の実施形態のメッキ前処理と同様の2つの効果を奏する。第1の実施形態のように、1つのメッキ前処理工程により2つの効果を同時に奏することは可能であるが、第1の効果と、第2の効果を奏するための最適なメッキ前処理条件を同時に満たすことが難しい場合もある。このような場合、本実施形態のように、メッキ前処理条件を2つの工程に分けると、第1工程を第1の効果を奏する最適な条件で実施し、第2の工程を第2の効果を奏する最適な条件で実施することが可能である。
尚、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、メッキ前処理及びメッキ処理を、それぞれ、1回ずつ行うが、必要により、メッキ前処理及びメッキ処理を複数回、繰り返してもよい。例えば、第1メッキ前処理及び第1メッキ処理を行った後、更に、第2メッキ前処理及び第2メッキ処理、第3メッキ前処理及び第3メッキ処理を行ってもよい。そして、複数回行われるメッキ前処理のうち、いずれか1つのメッキ前処理において、成形体に金属イオン含有メッキ前処理液を接触させるメッキ前処理が行われればよい。例えば、まず、金属イオンを含有しない酸(酸処理液)を用いた第1メッキ前処理を行い、その後、第1メッキ処理を行う。その後、更に、金属イオン含有メッキ前処理液を用いた第2メッキ前処理を行い、その後、第2メッキ処理を行ってもよい。
複数回のメッキ前処理及びメッキ処理を繰り返すことには、以下の利点がある。例えば、第1メッキ処理において、無電解メッキ反応の不均一(ムラ)が生じたり、無電解メッキ膜の未着部分が発生したりする場合がある。このような場合であっても、更に、第2メッキ前処理及び第2メッキ処理を施すことによって、成形体上の無電解メッキ膜を均一なものに修復することができる。したがって、第1メッキ処理において、無電解メッキ反応の不均一(ムラ)や無電解メッキ膜の未着部分が生じた場合には、これらを効率的に修復するために、第2メッキ前処理には金属イオン含有メッキ前処理液を用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例及び比較例により制限されない。尚、実施例1〜16及び比較例1で成形した成形体の組成について表1に、メッキ前処理方法については、表2〜表4に示す。
[実施例1]
本実施例では、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する第1の樹脂ペレットを製造し、次に、汎用の射出成形機を用いて、第1の樹脂ペレットと、熱可塑性樹脂を含む第2の樹脂ペレットから成形体を成形した。そして、成形した成形体上にメッキ膜を形成した。
第1の樹脂ペレットに含有されるブロック共重合体としては、ポリエチレンオキシドとポリアミド成分をエステル結合させたポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(三洋化成工業製、ペレスタットNC6321)を、金属微粒子としては、有機金属錯体であるヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体を用いた。ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体における親水性セグメントは、ポリエーテルであるポリエチレンオキシドである。また、第2の樹脂ペレットとしては、酸化カルシウム、二酸化ケイ素を含むミネラルであるワラストナイトを40重量%混合したミネラル強化ナイロン6(東洋紡製、T777‐02)を用いた。また、メッキ前処理に用いる酸としては、パラジウムイオンが5mg/L含有された2,7Nの塩酸の塩酸を使用した。
(1)第1の樹脂ペレットの製造
国際公開第2013/129659号に開示される方法によって、第1の樹脂ペレットを製造した。まず、押出成形機を用いて、可塑化溶融したブロック共重合体に、金属微粒子が溶解した加圧二酸化炭素を混合し、混合物を押出成形した。成形した押出成形体を粉砕して第1の樹脂ペレットを製造した。第1の樹脂ペレット中の金属微粒子の含有量は、500重量ppmであった。
(2)成形体の成形
得られた第1の樹脂ペレットと、第2の樹脂ペレットとを重量比、5:95で混合し、汎用の発泡射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−2M)を用いて、汎用の成形方法により、6cm×4cm×0.2cmの平板形状の成形体を成形した。本実施例では、物理発泡剤を用いず、溶融樹脂の金型への樹脂充填率を金型キャビティの容積に対して100%に設定し、非発泡成形体を成形した。
(3)メッキ前処理
次に、得られた成形体を30℃のパラジウムイオンが5mg/L含有された塩酸(2.7N)に30秒間浸漬した。塩酸に浸漬後、成形体を純水で洗浄した。
(4)メッキ処理
メッキ前処理を行った成形体を75℃の無電解ニッケルリンメッキ液(奥野製薬工業社製、トップニコロンHMA−LF)に5分間浸漬し、膜厚1μmの無電解ニッケルリンメッキ膜を形成した。
ニッケルリンメッキ膜を形成した直後に、スルファミン酸ニッケルを主体とした55℃のスルファミン酸ニッケル浴(奥野製薬工業製)に成形体を浸漬し電解メッキをすることにより、ニッケルリンメッキ膜上に膜厚1μmの電解ストライクメッキ膜を形成した。酸化し易いニッケルリンメッキ膜を形成直後に電解ストライクメッキ膜で被覆することにより、ニッケルリンメッキ膜とその直上の電解ストライクメッキ膜との密着性を保つことができた。また、スルファミン酸ニッケル浴を用いて形成するメッキ膜は内部応力が極めて低いため、応力による成形体とメッキ膜との密着強度の低下を抑制することができた。
次に、ストライクメッキを行った成形体上に、汎用の電解メッキ法により20μmの電解銅メッキ膜を形成した。電解銅メッキ液には、硫酸銅、硫酸、塩酸及び光沢剤(奥野製薬工業製、トップルチナ2000)を含有する硫酸銅浴を使用し、浴温度は30℃、電流密度は3A/dmとした。更に、電解銅メッキ膜上に、汎用の方法により、20μmの電解ニッケルメッキ膜を形成した。電解ニッケルメッキ液には、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸及び光沢剤を含有するワット浴を使用し、浴温度は55℃、電流密度は3A/dmとした。
次に、電解ニッケルメッキを行った成形体上に、膜厚0.2μmの電解3価クロムメッキ膜を形成した。電解3価クロムメッキには、硫酸クロム(3価クロム塩)を主成分としたクロムメッキ添加剤(奥野製薬工業製、トップファインクロム)を用いた。以上説明したメッキ前処理及びメッキ処理により、6価クロムを一切使用しない装飾樹脂メッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[実施例2]
メッキ前処理として、成形体を酸処理液に浸漬して金属イオンを含有しない酸を接触する第1工程と、成形体を金属イオン含有メッキ前処理液に浸漬する第2工程の2つの工程を行った以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
メッキ前処理の第1工程として、成形体を30℃の塩酸(2.7N)に30秒間浸漬した。第1工程後の成形体を純水で洗浄した後、第2工程として、成形体を30℃のパラジウムイオンが5mg/L含有された塩酸(1.5N)に30秒間浸漬した。尚、本実施例では、第1工程と第2工程の間において、成形体を純水で洗浄したが、洗浄は必須の工程ではなく省略することができる。特に、第1工程と第2工程で使用する酸が同じである場合、洗浄は省略してもよい。
[実施例3]
メッキ前処理として、成形体を金属イオン含有メッキ前処理液に浸漬した後に、更に、成形体をアルコール処理液に浸漬させた以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
成形体の金属イオン含有メッキ前処理液への浸漬は、実施例1と同様に行った。具体的には、成形体を30℃のパラジウムイオンが5mg/L含有された塩酸(2.7N)に30秒間浸漬した。成形体のアルコール処理液への浸漬は、成形体を80℃の1,3−ブタンジオール水溶液(75体積%)に5分間浸漬した。アルコール処理液への浸漬後、成形体を純水で洗浄した。
[実施例4]
メッキ前処理として、成形体を酸処理液に浸漬して金属イオンを含有しない酸を接触する第1工程と、成形体を金属イオン含有メッキ前処理液に浸漬する第2工程の2つの工程を行い、更に、成形体をアルコール処理液に浸漬させた以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
メッキ前処理の第1工程として、成形体を30℃の塩酸(2.7N)に30秒間浸漬した。第1工程後の成形体を純水で洗浄した後、第2工程として、成形体を30℃のパラジウムイオンが5mg/L含有された塩酸(1.5N)に30秒間浸漬した。成形体を純水で洗浄した後、成形体を80℃の1,3−ブタンジオール水溶液(75体積%)に5分間浸漬した。アルコール処理液への浸漬後、成形体を純水で洗浄した。
[実施例5]
成形体の成形において、第2の樹脂ペレットとして、ワラストナイトを40重量%混合したミネラル強化ナイロン6(東洋紡製、T777‐02)に加えて、炭酸カルシウムを30重量%混合したミネラル強化ナイロン6を用いた以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。第1の樹脂ペレットと、ワラストナイト混合ナイロン6と、炭酸カルシウム混合ナイロン6との重量比が、5:90:5となるように混合して成形体を成形した。
[実施例6]
成形体の成形において、第2の樹脂ペレットとして、ワラストナイトを40重量%及び炭酸カルシウムを2重量%混合したナイロン6を用いた以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
第2の樹脂ペレットは、ワラストナイトを40重量%及び炭酸カルシウムを2重量%混合したナイロン6を汎用の押出成形機を用いて押出成形し、押出成形体を粉砕することにより製造した。
[実施例7]
成形体の成形において、第2の樹脂ペレットとして、繊維状ガラスフィラー(ガラス繊維)を45重量%混合したガラス強化ナイロン6(宇部興産製、1015GC9)を用い、メッキ前処理として、成形体を酸処理液に浸漬して金属イオンを含有しない酸を接触する第1工程と、成形体を金属イオン含有メッキ前処理液に浸漬する第2工程の2つの工程を行った以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
メッキ前処理の第1工程として、成形体を30℃の塩酸(3.0N)に5分間浸漬した。第1工程後の成形体を純水で洗浄した後、第2工程として、成形体を30℃のパラジウムイオンが5mg/L含有された塩酸(1.5N)に30秒間浸漬した。
[実施例8]
成形体の成形において、第2の樹脂ペレットとして、フィラーを混合していない非強化ナイロン6(宇部興産製、1013B)を用いた以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[実施例9]
成形体の成形において、第2の樹脂ペレットとして、炭酸カルシウムを30重量%混合したミネラル強化ナイロン6と、フィラーを混合していないナイロンとポリプロピレンのポリマーアロイ(PA/PP)(東レ製、S133)とを用い、メッキ処理において、無電解ニッケルリンメッキ液の温度を70℃とした以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。第1の樹脂ペレットと、炭酸カルシウム混合ミネラル強化ナイロン6と、ナイロンとポリプロピレンのポリマーアロイ(PA/PP)との重量比が、5:5:90となるように混合して成形体を成形した。
[実施例10]
メッキ前処理として、界面活性剤を含む金属イオン含有メッキ前処理液に成形体を浸漬した以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。メッキ前処理工程では、界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムを0.5g/L含み、パラジウムイオンを5mg/L含む、30℃の塩酸(2.7N)に、成形体を30秒浸漬した。
[実施例11]
メッキ前処理として、界面活性剤を含む酸処理液に成形体を浸漬して金属イオンを含有しない酸を接触する第1工程と、金属イオン含有メッキ前処理液に成形体を浸漬する第2工程の2つの工程を行った以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
メッキ前処理の第1工程として、界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム0.5g/Lを含有する、30℃の塩酸(2.7N)に成形体を30秒間浸漬した。第1工程後の成形体を純水で洗浄した後、第2工程として、成形体を30℃のパラジウムイオンが5mg/L含有された塩酸(1.5N)に30秒間浸漬した。
[実施例12]
本実施例では、メッキ前処理及びメッキ処理を、それぞれ、2回ずつ行った。即ち、第1メッキ前処理及び第1メッキ処理を行った後、更に、第2メッキ前処理及び第2メッキ処理を行った。それ以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
第1メッキ前処理として、成形体を30℃の塩酸(2.7N)に30秒間浸漬し、第1メッキ処理として、75℃の無電解ニッケルリンメッキ液(奥野製薬工業社製、トップニコロンHMA−LF)に1分間浸漬した。第2メッキ前処理として、第1メッキ処理を施した成形体を30℃のパラジウムイオンが150mg/L含有された塩酸(1.5N)に30秒間浸漬した。第2メッキ処理として、実施例1のメッキ処理と同様の方法で、無電解ニッケルリンメッキ膜、電解ストライクメッキ膜、電解銅メッキ膜、電解ニッケルメッキ膜、電解3価クロムメッキ膜を形成した。
[実施例13]
メッキ前処理として、成形体を30℃のパラジウムイオンが100mg/L含有された塩酸(2.7N)に30秒間浸漬し、メッキ処理として、無電解ニッケルリンメッキに代えて、無電解銅メッキを行った以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
メッキ処理は、成形体を60℃の無電解銅メッキ液(奥野製薬工業社製、OPCカッパーNCA−2)に15分間浸漬し、無電解銅メッキ膜を形成した。その後、実施例1と同様に、無電解銅メッキ膜上に、電解ストライクメッキ膜、電解銅メッキ膜、電解ニッケルメッキ膜、電解3価クロムメッキ膜を形成した。
[実施例14]
メッキ前処理として、成形体を30℃のパラジウムイオンが0.1mg/L含有された塩酸(2.7N)に30秒間浸漬した以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[実施例15]
メッキ前処理として、成形体を30℃のパラジウムイオンが500mg/L含有された塩酸(2.7N)に30秒間浸漬した以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[実施例16]
メッキ前処理として、成形体を30℃のパラジウムイオンが5mg/L含有された硫酸(2.5N)に30秒間浸漬した以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[比較例1]
メッキ前処理として、成形体を30℃のパラジウムイオンを含有しない塩酸(2.7N)に30秒間浸漬した以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様の方法によりメッキ膜を有する成形体(試料)を製造した。
[評価項目]
実施例1〜16及び比較例1における試料の作製過程において、又は作製後の試料について、以下(1)〜(5)の評価項目について評価を行った。結果を表2〜表4に示す。
(1)メッキ膜形成時間
実施例1〜12、14〜16及び比較例1において、無電解ニッケルリンメッキ液に成形体を浸漬させてから、無電解ニッケルリンメッキ膜が成形体全面を被覆した時間を目視で確認し測定した。実施例13においては、無電解銅メッキ膜が成形体全面を被覆した時間を同様に測定した。尚、実施例12においては、第2メッキ処理において形成した無電解ニッケルリンメッキ膜においてメッキ膜形成時間を測定した。各実施例及び比較例において、5個の試料について同様の測定を行い、以下の評価基準に従って評価した。

<メッキ膜形成時間の評価基準>
○:全試料のメッキ膜形成時間が10分以内であった。
△:全試料のメッキ膜形成時間が15分以内であった。
×:いずれかの試料のメッキ膜形成時間が15分を越えた。
(2)メッキ反応の均一性
メッキ反応の初期において、成形体の内部においてメッキ膜が成長している様子が、白色の成形体が黒色化する色の変化で確認できる。各実施例及び比較例において、この成形体の色の変化に基づいて、メッキ反応の初期におけるメッキ反応の均一性(メッキ反応ムラの有無)を評価した。
実施例1〜12、14〜16及び比較例1においては、無電解ニッケルリンメッキ液に成形体を浸漬してから30秒後に成形体を目視で観察し、実施例13においては、無電解銅メッキ液に成形体を浸漬してから30秒後に成形体を目視で観察した。尚、実施例12においては、第2メッキ処理において成形体を観察した。各実施例及び比較例において、5個の試料について同様の観察を行い、成形体の色の変化について以下の評価基準に従って評価した。

<メッキ反応の均一性の評価基準>
○:全試料において、成形体全面が黒色化した。
△:何れかの試料において100μm未満の大きさの白色部分が存在していた。
×:何れかの試料において100μm以上の大きさの白色部分が存在していた。
(3)メッキ膜の外観の評価
実施例1〜16及び比較例1において製造した試料のメッキ膜の外観を目視にて観察した。各実施例及び比較例において、5個の試料について観察を行い、以下の評価基準に従って評価した。

<メッキ膜の外観の評価基準>
○:全試料において全面に均一な光沢性が得られ、メッキ膜の未着部分が無い。
△:全試料において全面に均一な光沢性が得られているが、何れかの試料において、3個以下の100μm未満の大きさの凹状欠陥が発生している。
×:上記○又は×の条件に該当しない。
(4)メッキ膜の密着強度
実施例1〜12、14〜16及び比較例1において成形体上に作成した無電解ニッケルリンメッキ膜の密着強度を測定するため、また、実施例13においては、成形体上に作成した無電解銅メッキ膜の密着強度を測定するため、各実施例及び比較例で作製した試料とは別に、以下に説明する密着強度測定用の試料を作製した。
実施例1〜12、14〜16及び比較例1において成形体上に作成した無電解ニッケルリンメッキメッキ膜上に、実施例1と同様の方法により、50μmの電解銅メッキ膜を形成して、密着強度測定用の試料を作製した。実施例12においては、第2メッキ処理において形成した無電解ニッケルリンメッキ膜上に電解銅メッキ膜を形成した。実施例13においては、成形体上に作成した無電解銅メッキ膜上に、実施例1と同様の方法により、50μmの電解銅メッキ膜を形成して、密着強度測定用の試料を作製した。
各実施例及び比較例の密着強度測定用の試料において、メッキ膜の密着強度を以下に説明する方法により測定した。まず、引っ張り試験機(島津製作所社製,AGS−100N)を用いて、JIS H8630に準拠し、角度90°、速度25mm/分の条件で、試料表面において長さ40mmに亘り、メッキ膜を試料からから引き剥がすときの力を測定した。各実施例等において、5個の試料について同様の試験を行い、以下の評価基準に従って評価した。

<メッキ膜の密着強度の評価基準>
○:全試料において、メッキ膜の長さ40mmの引き剥がしにおいて、常に、密着強度が10N/cm以上であった。
△:全試料において、メッキ膜の長さ40mmの引き剥がしにおける平均密着強度は10N/cm以上であったが、何れかの試料において、メッキ膜の長さ40mmの引き剥がしにおいて、密着強度が10N/cm未満の箇所が存在した。
×:上記○又は×の条件に該当しない。
尚、上記測定でもとめた各実施例及び比較例のメッキ膜の平均密着強度についても、併せて、表2〜表4に示す。
(5)ヒートショック試験
実施例1〜16及び比較例1で製造した試料、それぞれ5個のヒートショック試験を行った。試験は、冷熱衝撃装置(エスペック製、TSA‐102EL)を用いて、試料を90℃に1時間曝し、次に−40℃に1時間曝して1サイクルとし、これを20サイクル行った。ヒートショック試験後の試料を目視(肉眼及び光学顕微鏡)にて観察し、以下の評価基準に従って評価した。

<ヒートショック試験の評価基準>
○:全試料において、メッキ膜の欠陥(メッキ膜膨れ、割れ、皺)が肉眼及び光学顕微鏡(500倍)による観察において確認できなかった。
△:何れかの試料において、メッキ膜の欠陥が肉眼では確認できないが、光学顕微鏡により確認できた。
×:何れかの試料において、メッキ膜の欠陥が肉眼で確認できた。
Figure 2016125123
Figure 2016125123
Figure 2016125123
Figure 2016125123
[評価結果]
表2〜表4に示すように、メッキ前処理として、成形体に金属イオン含有メッキ前処理液(金属イオンを含有する酸)を接触させた全ての実施例1〜16では、メッキ膜形成時間、メッキ反応の均一性、メッキ膜の外観、メッキ膜の密着強度及びヒートショック試験の5つの全ての評価結果が○又は△であった。特に、金属イオン含有メッキ前処理液の金属イオン濃度が、5〜150mg/Lであった実施例1〜13及び16では、上記5つの全ての評価結果が○であった。
更に、アルコール処理液を用いたメッキ前処理を行った実施例3及び4におけるメッキ膜の平均密着強度は15N/cmであり、アルコール処理液を用いたメッキ前処理を行わなかった実施例1の13N/cmより高かった。これは、アルコール処理液により成形体が膨潤し、メッキ反応性が向上したためと推測される。
成形体が炭酸カルシウムを含む実施例5及び6におけるメッキ膜の平均密着強度は15N/cmであり、成形体が炭酸カルシウムを含まない実施例1の13N/cmより高かった。これは、メッキ前処理で用いる酸に炭酸カルシウムが溶解することで成形体表面に凹凸が形成され、その上に形成されるメッキ膜の密着強度が向上したと推測される。
金属イオン含有メッキ前処理液又は酸処理液が界面活性剤を含む実施例10及び実施例11では、メッキ膜の平均密着強度は15N/cmであり、金属イオン含有メッキ前処理液が界面活性剤を含まない実施例1の13N/cmより高かった。これは、界面活性剤により、金属イオン含有メッキ前処理液又は酸処理液の成形体への濡れ性が向上し、パラジウムイオンが成形体内に浸透し易くなり、成形体のメッキ反応性が向上したためと推測される。
メッキ前処理及びメッキ処理を、それぞれ、2回ずつ行った実施例12では、第1メッキ処理では、無電解ニッケルリンメッキの反応性は乏しい部分も認められたが、第2メッキ処理では、無電解ニッケルリンメッキの反応性は向上し、メッキ膜形成時間及びメッキ反応の均一性の評価結果は良好であった。
成形体上に無電解銅メッキ膜を形成した実施例13におけるメッキ膜の平均密着強度は17N/cmであり、成形体上に無電解ニッケルリンメッキ膜を形成した実施例1の13N/cmより高かった。これは、無電解銅メッキ膜が無電解ニッケルリンメッキ膜と比較して膜応力が低いためと推測される。
パラジウムイオン濃度が0.1mg/Lである金属イオン含有メッキ前処理液を用いた実施例14では、メッキ膜形成時間、メッキ膜の密着強度及びヒートショック試験の3つの評価が○であったが、メッキ反応の均一性及びメッキ膜の外観の2つの評価が△であった。メッキ反応の均一性の評価において、1個の試料に100μm未満の極めて小さな白色部分(メッキ未反応部分)が認められた。これは、実施例14の金属イオン含有メッキ前処理液中のパラジウムイオン濃度が他の実施例(実施例1〜13、15及び16)と比較して低いため、金属微粒子濃度が低い箇所への触媒の補充が十分ではなく、メッキ反応の初期において、無電解メッキ反応が均一に開始されなかったためと推測される。また、メッキ膜の外観の評価においては、1個の試料に100μm未満の極めて小さな、肉眼では殆ど目立たない程度の点状欠陥が1個認められた。これは、上述のメッキ反応の初期のメッキ反応の不均一部分に起因する欠陥だと推測される。
パラジウムイオン濃度が500mg/Lである金属イオン含有メッキ前処理液を用いた実施例15では、メッキ膜形成時間、メッキ反応の均一性、メッキ膜の外観、及びヒートショック試験の4つの評価が○であったが、メッキ膜の密着強度の評価が△であった。
実施例15では、メッキ反応の均一性の評価において、非常にメッキ反応性が高いことが確認された。これは、実施例15の金属イオン含有メッキ前処理液中のパラジウムイオン濃度が他の実施例(実施例1〜14及び16)と比較して高いためと推測される。実施例1では、成形体を無電解ニッケルリンメッキ液に浸漬してから30秒後に成形体内でのメッキ成長が十分になされ、白色の成形体の全面が黒色に変化した。これに対し、実施例15では、成形体を無電解ニッケルリンメッキ液に浸漬してから15秒後に白色の成形体の全面が黒色に変化し、30秒後には一部において、成形体の表面でもメッキ膜が成長していた。但し、このメッキ反応の初期のメッキ反応の不均一(メッキ反応ムラ)は、最表面の3価クロムメッキ膜の光沢に影響を与える程のものではなかった。
実施例15におけるメッキ膜の密着強度の評価が△であったのは、メッキ膜の成長が極めて速い箇所において、成形体内部でのメッキ膜成長が不十分となったことが原因と推測される。実施例15では、メッキ膜の長さ40mmの引き剥がしにおいて、密着強度が9.5N/cmの箇所が存在したが、平均密着強度は10N/cmを確保した。また、ヒートショック試験においてもメッキ膜の欠陥は発生しなかった。
一方、メッキ前処理液として、成形体に金属イオンを含有しない塩酸を接触させた比較例1では、メッキ膜形成時間、メッキ反応の均一性及びメッキ膜の外観の3つの評価が×であった。
メッキ反応の均一性の評価において、実施例1では、成形体を無電解ニッケルリンメッキ液に浸漬してから30秒後に成形体内でのメッキ成長が十分になされ、白色の成形体の全面が黒色に変化した。これに対し、比較例1では、成形体を無電解ニッケルリンメッキ液に浸漬してから30秒後において、成形体の色の変化は確認できず、更に、60秒後において、白色の成形体が薄いグレー色に変色したが、一部ではまだ白色の色のままの箇所が確認でき、成形体内でメッキ反応にムラがあることが確認された。これは、比較例1のメッキ前処理液(塩酸)が金属イオンを含まないため、成形体の金属微粒子濃度が低い箇所への触媒の補充がなされず、メッキ反応の初期において、無電解メッキ反応が均一に開始されなかったためと推測される。また、メッキ膜の外観の評価においては、メッキ反応の不均一部分(メッキ反応ムラ)に起因すると推測される欠陥が確認された。
本発明のメッキ膜を有する成形体の製造方法は、高い密着強度を有すると共に、外観特性にも優れるメッキ膜を有する成形体を製造することができる。したがって、本発明により製造されるメッキ膜を有する成形体は、高い耐久性が要求される装飾用途にも対応可能である。

Claims (21)

  1. メッキ膜を有する成形体の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂と、親水性セグメントを含むブロック共重合体と、金属微粒子とを含有する成形体を用意することと、
    前記成形体に金属イオンを含有する酸を接触させることと、
    前記金属イオンを含有する酸を接触させた前記成形体に無電解メッキ液を接触させて、メッキ膜を形成することを含むメッキ膜を有する成形体の製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂がポリアミドを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記酸が、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、クロム酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過臭素酸、メタ過ヨウ素酸、過マンガン酸、チオシアン酸、テトラフルオロホウ酸及びヘキサフルオロリン酸からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記酸が、酢酸、リン酸、ギ酸、酪酸、ラウリン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、リノール酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、ホウ酸、次亜塩素酸、フッ化水素及び硫化水素からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 前記金属イオンが、パラジウム、ニッケル、銅、銀及び白金からなる群から選択される少なくとも1つの金属のイオンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記酸が塩酸であり、前記金属イオンがパラジウムイオンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  7. 前記成形体に前記金属イオンを含有する酸を接触させることが、前記成形体に金属イオンを含有する酸の水溶液を接触させることであり、
    前記水溶液の前記酸の濃度が0.1N〜12Nであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記金属イオンが、前記水溶液中に0.05mg/L〜500 mg/L含まれることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記成形体に前記金属イオンを含有する酸を5秒〜15分間接触させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記金属イオンを含有する酸に界面活性剤が含有されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記成形体が、前記酸により溶出されるフィラーを含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 前記フィラーが炭酸カルシウムを含有する天然鉱物又は合成フィラーであることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記フィラーの粒子径が100nm〜3μmであることを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 前記成形体に前記金属イオンを含有する酸を接触させる前に、
    前記成形体に金属イオンを含有しない酸を接触させることを更に含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 前記金属イオンを含有しない酸に界面活性剤が含有されていることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記無電解メッキ液が、無電解ニッケルリンメッキ液であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
  17. 前記無電解ニッケルリンメッキ液の温度が15℃〜90℃であることを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
  18. 前記無電解メッキ液が、無電解銅メッキ液であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
  19. 前記メッキ膜を有する成形体の製造方法は、
    前記成形体に第1の無電解メッキ液を接触させる第1メッキ処理と、第2の無電解メッキ液を接触させる第2メッキ処理とを含み、
    第1メッキ処理と、前記成形体に前記金属イオンを含有する酸を接触させることと、第2メッキ処理とをこの順に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  20. 第1メッキ処理の前に、前記成形体に金属イオンを含有しない酸を接触させることを更に含むことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
  21. 前記成形体に含まれる前記金属微粒子が、パラジウム、ニッケル、銅、金、銀、白金、鉄及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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