JP2013212966A - ルツボ保護シート及びそのルツボ保護シートを用いた炭素質ルツボの保護方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ルツボ保護シート10は、原料融液を収納する石英ルツボ4と該石英ルツボ4が載置される黒鉛ルツボ5との間に介在される。ルツボ保護シート10は略円形の膨張黒鉛材から成り、少なくとも1以上の直径線によって複数に分割化された保護シート片11で構成される。保護シート片11の分割面12には、保護シート片同士を連結固定するための差込用スリット13が形成されている。保護シート片11は少なくとも2箇所以上で差込用スリット13が噛み合うことにより、保護シート片11同士が連結固定される。
【選択図】図3
Description
そこで、分割した保護シート片を用いて、且つ保護シート片のずれを防止することができる単結晶引き上げ装置用のルツボ保護シート及びその保護シートを用いた黒鉛ルツボの保護方法が所望されていた。
また、「少なくとも2箇所以上で差込用スリットが噛み合う」とは、実施の形態の図3、図5及び図6に示す態様、図4、図7及び図8に示す態様、及び、図9に示す態様のいずれの態様も含まれる。図3に示す態様は2分割化されたルツボ保護シートの場合での態様であり、図4、図7〜図9に示す態様は3以上に分割化されたルツボ保護シート場合の態様である。(1)実施の形態の図3、図5及び図6に示す態様にあっては、保護シート片の分割面(2分割であるので、1の分割面)において、2箇所以上で差込用スリットが噛み合う態様である。(2)図4、図7及び図8に示す態様にあっては、保護シート片の両側各分割面において1箇所以上で差込用スリットが噛み合う態様、即ち、両側分割面を合わせた全体としては少なくとも2箇所以上で差込用スリットが噛み合う態様である。(3)図9に示す態様にあっては、保護シート片の両側各分割面のうち一方の分割面において、少なくとも2箇所以上で差込用スリットが噛み合う態様である。
このような構成であれば、ルツボ保護シートが炭素質ルツボの内面に敷設されると、略円形の中央部が炭素質ルツボの底部に重ねられる。また、敷設用スリットによって、帯体部が炭素質ルツボの湾曲部に沿い易くなり、そのため、帯体部が炭素質ルツボの湾曲部及び直胴部に重ねられる。これにより、ルツボ保護シートによって炭素質ルツボの内面が完全に覆われることになり、炭素質ルツボの表面全体にわたってCとSiOガスとの反応が有効に抑制され、SiC化の進行を抑制することができ、炭素質ルツボの使用寿命の長期化を図ることができる。
このような構成であれば、柔軟性が良好で、炭素質ルツボの内面への密着性が向上する。
このような構成であれば、黒鉛ルツボのSiC化を十分に抑制し、黒鉛ルツボの十分な長寿命化を図ることができる。
本発明において、前記保護シート片は膨張黒鉛材料から成るのが好ましい。
本発明において、前記炭素質ルツボは黒鉛ルツボであるのが好ましい。
(金属単結晶引上げ装置の構成)
図1は本実施の形態に係るシリコン単結晶引き上げ装置の要部断面図、図2はルツボの拡大断面図である。図1において、1は単結晶引き上げ装置、2はシャフト、4はシリコン融液3を収容する石英ルツボ、5は石英ルツボ4を保持する黒鉛ルツボである。黒鉛ルツボ5の外周にはヒータ6が配置されており、このヒータ6により黒鉛ルツボ5及び石英ルツボ4を介してシリコン融液3を加熱し、インゴット7を引き上げながらシリコン単結晶を作製する。
石英ルツボ4は、図2に示すように、略コップ状であって、底部4aと、直胴部4cと、底部4aから直胴部4cに連なる湾曲部(R部分)4bとからなる。黒鉛ルツボ5も石英ルツボ4と同様な形状であり、図2に示すように、底部5aと、直胴部5cと、底部5aから直胴部5cに連なる湾曲部(R部分)5bとからなる。この石英ルツボ4と黒鉛ルツボ5との間には、本発明に係るルツボ保護シート10が介在されている。
図3はルツボ保護シートの平面図である。ルツボ保護シート10は黒鉛ルツボ5を保護するためのものである。ルツボ保護シート10は、膨張黒鉛材料から成る略円形であって、2分割化して得られた半円形の保護シート片11,11で構成されている。一方の保護シート片11の分割面12には、保護シート片同士を連結固定するための2本の差込用スリット13,13が所定位置に、所定長さで形成されている。他方の保護シート片11の分割面12においても、一方の保護シート片11に形成された差込用スリット13,13に対応して2本の差込用スリット13,13が形成されている。このような構成により、保護シート片11に関して、差込用スリット13により噛み合う箇所が2個存在することになる。
黒鉛ルツボ5の内面に沿って保護シート片11を敷設する。この敷設作業において、向かい合う差込用スリット13同士を差込むことにより保護シート片11同士が連結されると共に、ルツボ保護シートのずれを防止できる。なぜなら、差込用スリット13による噛み合い箇所が1個の場合は、保護シート片11同士が連結されるけれども、1点の差込状態であるので、保護シート片11の回転は許容された状態である。そのため、敷設作業中に保護シート片11が回転してずれてしまう恐れがある。しかし、本実施の形態のように差込用スリット13により噛み合う箇所が2個存在する場合は、保護シート片11の回転が禁止状態で連結されることになり、そのため、敷設された保護シート片11がずれてしまうことはない。
図4はルツボ保護シートの変形例を示す平面図である。
上記の例ではルツボ保護シートを2分割した場合を示したが、4分割したルツボ保護シートであってもよい。以下、図4を参照して4分割保護シートについて説明する。
基本的には2分割保護シートと同様の構成であるが、4分割の場合は各保護シート片11の両側部がそれぞれ分割面12,12となっており、この各分割面12,12に1本の差込用スリット13が形成されている。従って、1つの保護シート片11に関して、両側部毎に差込用スリット13による噛み合う箇所が1箇所存在しており、1つの保護シート片11について全体として差込用スリット13の噛み合う箇所が2個存在していることになる。このような構成により、1つの保護シート片11は、両隣りの保護シート片との間でそれぞれ差込用スリット13の噛み合いにより連結固定されることになる。即ち、上記2分割したルツボ保護シートの場合と同様に、保護シート片11に関して、差込用スリット13により噛み合う箇所が2個存在することになり、ルツボ保護シートの敷設作業の際に保護シート片にずれが生じることはない。その結果、保護シート片を敷設する際の作業性が良好となる。また、黒鉛ルツボの内面が保護シート片で完全に覆われた状態が維持され、黒鉛ルツボの表面全体にわたってCとSiOガスとの反応が有効に抑制され、SiC化の進行を抑制することができ、黒鉛ルツボの使用寿命の長期化を図ることができる。
(1)上記実施の形態では、炭素質ルツボの一例として黒鉛ルツボを挙げて説明したが、炭素繊維強化炭素複合材(所謂C/C材)からなるルツボ(C/Cルツボ)であってもよい。また、黒鉛ルツボは複数に分割化されたものであってもよい。
また、ルツボ保護シートは膨張黒鉛シートに限らず、その他の黒鉛質シートであってもよい。
尚、差込用スリット13の位置、本数、及び長さは、保護シートの分割数や大きさにより、適宜変更するのが好ましい。また、敷設用スリット17の本数は、保護シートの分割数や大きさにより、適宜変更するのが好ましい。
差込用スリット13の位置及び本数の具体例として、2分割化したルツボ保護シートの場合であって、3組の対応する差込用スリット13を用いた例を図5に示し、4組の対応する差込用スリット13を用いた例を図6に示す。また、4分割化したルツボ保護シートの場合であって、8組の対応する差込用スリット13を用いた例を図7に示し、12組の対応する差込用スリット13を用いた例を図8に示す。いずれの場合であっても、保護シート片11に関して、差込用スリット13により噛み合う箇所が少なくとも2個存在しており、ルツボ保護シートの敷設作業の際に保護シート片にずれが生じることはない。
・使用した黒鉛ルツボ
外径が380mm、内径が356mm、高さが262mmの黒鉛ルツボを使用した。
・使用した石英ルツボ
外径が346mm、内径が334mm、高さが250mmの石英ルツボを使用した。
・本発明ルツボ保護シートX
厚みが0.38mm、かさ密度が1.0Mg/m3であって、上記実施の形態の図3に示すルツボ保護シートと同様の形状のルツボ保護シートを使用した。即ち、2分割形状で、分割面に沿って2本のスリットが形成され、敷設用スリットの本数は1つの保護シート片について5本で、ルツボ保護シート全体として10本である。尚、ルツボ保護シートの直径は500mmで、中央部の直径は150mmである。各込用スリットの形成位置は、それぞれ中心点Mから125mmで、差込用スリットの長さは10mmである。
・比較ルツボ保護シートY
差込用スリットが無いことを除いては、上記のルツボ保護シートXと同様の形状のルツボ保護シートを使用した。
・試験内容
黒鉛ルツボにルツボ保護シートを設置し、石英ルツボをセットする1連の作業を10回
行い、ルツボ保護シートの破れや破損の発生回数、黒鉛ルツボへの設置時間、石英ルツボ設置後のルツボ保護シートのズレ発生回数について状態を確認した。
本発明ルツボ保護シートX、比較ルツボ保護シートYは、共にハンドリングの際の破れや破損の発生回数は0であり、差込用スリットの有無によるハンドリングの際の破れや破損に差はなかった。
一方、黒鉛ルツボへの設置時間は、比較ルツボ保護シートYの場合が30秒で本発明ルツボ保護シートXの場合が10秒であり、比較ルツボ保護シートYの場合の方が設置時間が長くなったことが認められる。この理由としては、差込用スリットの無い比較ルツボ保護シートYでは、黒鉛ルツボへ設置する際に保護シートが薄く表面が滑りやすいためずれやすくそのため設置時間が長くなったものと思われる。これに対して、差込用スリットの有る本発明ルツボ保護シートXの場合では、2分割された保護シート片同士が連結されているので、ルツボ保護シートのズレが抑制されることにより、比較ルツボ保護シートYよりも設置時間が短くなったものと思われる。
また、石英ルツボ設置後の保護シートのズレ発生回数は、比較ルツボ保護シートYの場合が7回で本発明ルツボ保護シートXの場合が0回であり、比較ルツボ保護シートYの場合では保護シートのズレが多く発生したことが認められる。この理由としては、差込用スリットの有る本発明ルツボ保護シートXの場合では、2分割された保護シート片同士が連結されているので、ルツボ保護シートのズレを抑制する機能が発揮され、一方、差込用スリットの無い比較ルツボ保護シートYでは、2分割された保護シート片同士が連結されていないので、ルツボ保護シートのズレを抑制する機能が発揮されないことによるものと思われる。
5:黒鉛ルツボ
5a:底部
5b:湾曲部
5c:直胴部
10:ルツボ保護シート
11,11a,11b,11c,11d:保護シート片
11A:第1領域
11B:第2領域
12:分割面
13:差込用スリット
17:敷設用スリット
20:中央部
21:帯体部
Claims (8)
- 原料融液を収納する石英ルツボと該石英ルツボが載置される炭素質ルツボとの間に介在され、炭素質ルツボを保護する略円形のルツボ保護シートであって、
少なくとも1以上の直径線によって複数に分割化された保護シート片で構成され、
前記保護シート片の分割面には、保護シート片同士を連結固定するための差込用スリットが形成されており、
前記保護シート片は少なくとも2箇所以上で差込用スリットが噛み合うことにより、保護シート片同士が連結固定されることを特徴とするルツボ保護シート。 - 前記保護シート片は、その中心側において2本の半径と円弧とで囲まれた扇形の第1領域と、第1領域の外側の第2領域とで構成され、前記第2領域には第1領域の円弧から放射状に第2領域の外縁まで延出した敷設用スリットが形成されており、
前記保護シート片同士が連結固定された状態においては、保護シート片の第1領域が集合して、前記炭素質ルツボの底部を覆う略円形の中央部を形成すると共に、保護シート片の第2領域が集合して、前記炭素質ルツボの底部に連なる湾曲部及び直胴部を覆う帯体部を形成する請求項1記載のルツボ保護シート。 - 前記保護シート片は膨張黒鉛材料から成る請求項1又は2記載のルツボ保護シート。
- 前記炭素質ルツボは黒鉛ルツボである請求項1〜3のいずれかに記載のルツボ保護シート。
- 原料融液を収納する石英ルツボと該石英ルツボが載置される炭素質ルツボとの間に、略円形のルツボ保護シートを介在させて炭素質ルツボを保護する保護方法であって、
前記ルツボ保護シートは、少なくとも1以上の直径線によって複数に分割化された保護シート片で構成されると共に、前記保護シート片の分割面には、保護シート片同士を連結固定するための差込用スリットが形成されており、
前記保護シート片の敷設時には、保護シート片が少なくとも2箇所以上で差込用スリットが噛み合うことによって保護シート片同士が連結固定された状態となっていることを特徴とする炭素質ルツボの保護方法。 - 前記保護シート片は、その中心側において2本の半径と円弧とで囲まれた扇形の第1領域と、第1領域の外側の第2領域とで構成され、前記第2領域には第1領域の円弧から放射状に第2領域の外縁まで延出した敷設用スリットが形成されており、
前記保護シート片同士が連結固定された状態においては、保護シート片の第1領域が集合して略円形の中央部を形成すると共に、保護シート片の第2領域が集合して帯体部を形成し、前記略円形の中央部が前記炭素質ルツボの底部に重ね合わせ、前記帯体部を前記炭素質ルツボの底部に連なる湾曲部及び直胴部に重ね合わせる請求項5記載の炭素質ルツボの保護方法。 - 前記保護シート片は膨張黒鉛材料から成る請求項5又は6記載の炭素質ルツボの保護方法。
- 前記炭素質ルツボは黒鉛ルツボである請求項5〜7のいずれかに記載の炭素質ルツボの保護方法。
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