JP5776586B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン単結晶の製造方法に関する。
CZ法によるシリコン単結晶の製造方法では、黒鉛ルツボに内挿した石英ルツボ内に多結晶シリコンを充填し、黒鉛ルツボの外周より黒鉛ヒーターで加熱溶融して、シリコン融液とし、該融液に引上げワイヤーで吊下げられた種結晶を浸漬し、該種結晶を上方に引上げてシリコン単結晶を成長させる。
黒鉛ルツボは、ルツボ受け皿上に載置され、このルツボ受け皿を支持するペディスタルがルツボ軸と連結していることで、昇降及び回転することができる。
シリコン単結晶の成長時には、石英ルツボ(SiO)がシリコン融液中に溶出して、酸素(O)が単結晶中に取り込まれ、融液表面よりガス状の酸化ケイ素(SiO)が蒸発している。このSiOが高温の黒鉛ルツボの内面に触れると、SiOと炭素が反応し、炭化ケイ素(SiC)と一酸化炭素(CO)が生成され、この反応が進行することで、黒鉛ルツボ内面の炭素が徐々に減耗し、SiC層ができる。特に黒鉛ルツボの分割面付近はSiOガスの出入りが激しいため、減耗が激しくなり、他の部分よりも分割面付近の減耗が大きい。
そして、減耗が大きくなると、この減耗した窪みに高温で軟化した石英ルツボが沈み込む。図2に分割片1a,1bからなる分割式の黒鉛ルツボ1を示し、図3に石英ルツボ3を設置したときの黒鉛ルツボ1の断面の矢視図を示す。黒鉛ルツボ1の分割面2が減耗し、石英ルツボ3の窪みが深く大きい場合、図3に示すように石英ルツボ3が局部的に大きく変形し、石英ルツボ3に割れ目が生じ、シリコン融液が石英ルツボ3の外に漏れ出すこともある。
この為、この減耗の激しい分割面に膨張黒鉛製の保護シートを配置して、分割面でのSiOガスの出入りを抑止することで、分割面付近での減耗を防止することが重要であり、数々の方法が提案されている。ここで、図5は保護シートを使用しない場合の黒鉛ルツボ1の分割面2での減耗の状態を示す。斜線部はSiC化したSiC層5を示す。ここでは、黒鉛ルツボ1の厚さは25mmで、分割面2での減耗は7mmで、SiC層5は2.5〜3mmとして示されている。
このような減耗を防止する観点から、例えば、図10のように黒鉛ルツボ1の内面全面に全面型の保護シート7を敷くことで、内面全体のSiC化を防止する方法が提案されている(特許文献1)。
特許第2,528,285号 特開2004−75521号公報
しかし、薄い保護シートは、シリコン単結晶の成長中に減耗し、SiC化して脆くなり、シリコン単結晶の成長を終える頃には、細かく砕けて再使用が困難となる。そこで、石英ルツボに原料を充填して、多結晶原料を溶融してシリコン単結晶を成長し、シリコン単結晶の製造を終え、石英ルツボを廃棄するまでの1バッチごとに保護シートを交換する必要がある。一方で、黒鉛ルツボの内面全体を覆う大型の保護シートは単価が高い。
従って、保護シートを使用しないで、黒鉛ルツボが減耗によりライフエンドとなるまでのコストと、保護シートを交換しながら使用して、黒鉛ルツボが減耗によりライフエンドとなるまでのコストを考えると、保護シートを使用しないで、黒鉛ルツボを短いライフで交換した方が保護シートを用いて黒鉛ルツボのライフを延ばすよりもコストパフォーマンスが良い。
以上のことから、単価の安い帯状の保護シートを使用し、黒鉛ルツボの分割面付近だけを覆い、減耗の激しい分割面付近の減耗を防止することが考えられる(特許文献2)。そして、この場合は、保護シートでカバーしない黒鉛ルツボ内面のSiC化が進行すると、黒鉛ルツボ内面のSiC化層と黒鉛ルツボ基材との間の熱膨張率の違いで熱応力が生じ、SiC化層の厚みが増すほど熱応力が増加するため、その熱応力が黒鉛ルツボ基材の引張強度を超えない範囲に黒鉛ルツボのライフを設定して使用することになる。
しかしながら、帯状の保護シートを使用し、黒鉛ルツボの分割面付近だけを覆い、減耗の激しい分割面付近の減耗を防止すると、保護シートを用いない場合に比べて分割面付近の減耗が著しく減少できるが、保護シートの端部(側端部)での減耗が増えてくる。特に原料仕込みから石英ルツボ廃棄までの1バッチごとに同じ位置に保護シートを配置していると、保護シートの端部での減耗が徐々に累積され、2分割の黒鉛ルツボの場合、2つの分割片の端面から内側に入った領域に深さ3mm程の窪みが生じ、シリコン単結晶の成長中に軟化した石英ルツボがそれぞれの窪みに沈み込む。
図8に、保護シートを使用しない黒鉛ルツボ1を上から見た図で内側の石英ルツボ3が分割面2に沈み込み黒鉛ルツボ1の分割面2が冷却時に広がる状態(矢印B:分割面2の広がり方向)の上面図を示す。一方で、図9に、保護シート4を使用し、保護シート4の端部4’周辺に窪みが生じ、石英ルツボ3がこの窪みに食い込んで分割面2が拡がるのを拘束する状態(矢印C:分割面の広がりの拘束方向)の上面図を示す。
そして、シリコン単結晶成長終了後のシリコン融液が残存した状態で冷却すると、残存融液(残湯)が固化して膨張した際、通常なら分割面2が開き、図8のように残湯の膨張で生じる応力を解放できるが、図9のように2つの分割片1a,1bの保護シート4の端部4’に石英ルツボ3が食い込んだ場合、分割面2が十分に開くことができなくなり(矢印B)、黒鉛ルツボ1に引張応力が働き、冷却時に黒鉛ルツボ1が分割面2近傍より破損することが頻発することが分かった。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、黒鉛ルツボ内面の減耗を抑止して黒鉛ルツボのライフを向上することができ、かつ、黒鉛ルツボが冷却時に破損することを抑止できるシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、分割式の黒鉛ルツボに石英ルツボを内挿し、該石英ルツボ内に多結晶シリコンを充填し、ヒーターで前記多結晶シリコンを加熱溶融して、シリコン融液とし、該シリコン融液に種結晶を浸漬し、該種結晶を上方に引上げてシリコン単結晶を成長させ、該シリコン単結晶の成長終了後、前記黒鉛ルツボから前記石英ルツボを取り除くことをバッチ式に繰返し行うシリコン単結晶の製造方法であって、
前記黒鉛ルツボに前記石英ルツボを内挿する前に、前記黒鉛ルツボの分割面の隙間を覆うように前記分割面に沿って、帯状の保護シートを配置する工程と、前記シリコン単結晶の成長終了後、前記黒鉛ルツボから前記石英ルツボと共に前記保護シートを取り除く工程とを有し、
2バッチ目以降の前記保護シートを配置する工程において、前バッチのシリコン単結晶成長の際の前記保護シートの端部の位置とは異なる位置に、端部の位置がなるようにずらして前記保護シートを配置することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法を提供する。
このようなシリコン単結晶の製造方法であれば、毎バッチごとに黒鉛ルツボの減耗箇所を変えることが可能となるため、黒鉛ルツボ内面の減耗を抑止して黒鉛ルツボのライフを2倍以上に向上することができ、かつ、黒鉛ルツボが冷却時に破損することを抑止できる。
また、前記2バッチ目以降の保護シートを配置する工程において、前バッチのシリコン単結晶成長の際の保護シートの端部の位置より幅方向に20mm以上40mm以下の範囲で端部の位置をずらして保護シートを配置することが好ましい。
これにより、保護シートの端部付近での黒鉛ルツボの減耗箇所の重なりをより確実に回避できる方法となり、一層黒鉛ルツボのライフを向上することができるシリコン単結晶の製造方法となる。
さらに、前記保護シートを配置する工程において、前記分割面から20mm以上100mm以下の範囲が前記保護シートによってカバーされるように前記保護シートを配置することが好ましい。
これにより、分割面での黒鉛ルツボの減耗をより確実に回避でき、一層黒鉛ルツボのライフを向上することができるシリコン単結晶の製造方法となる。
また、前記保護シートを配置する工程において、シリコン単結晶成長の際に黒鉛ルツボ内表面の保護シートの端部近傍に生じる窪みの深さが、2mmを超えないように、端部の位置をずらして保護シートを配置することが好ましい。さらに、前記シリコン単結晶成長の際に黒鉛ルツボ内表面の保護シートの端部近傍に生じる窪みの深さが2mmを超えたときに、黒鉛ルツボを廃棄することが好ましい。
これにより、単結晶の成長中に軟化した石英ルツボがそれぞれの窪みに食い込んだとしても、窪みの深さが浅いため、冷却中に残湯が固化した際、分割面の開きが妨げられることがなく、冷却中に分割面近傍で黒鉛ルツボが破損することを一層防止できる。さらに、黒鉛ルツボが破損する前に黒鉛ルツボを破棄して新しいものと交換することが可能となる。
また、前記分割式の黒鉛ルツボとして、分割片A及び分割片Bからなる2分割の黒鉛ルツボを用いた場合に、
保護シートを配置する工程において、保護シートの中心線が分割面に沿うように配置した中央位置、該中央位置に対し保護シートの中心線が分割片A側に20mm以上、40mm以下の範囲でずれたA側位置、及び中央位置に対し保護シートの中心線が分割片B側に20mm以上、40mm以下の範囲でずれたB側位置の3つの位置に順に、バッチ毎に保護シートを配置することが好ましい。
これにより、同じ位置に保護シートの配置を続けた場合に比べ、保護シートの端部での減耗を大幅に低減でき、黒鉛ルツボのライフを確実に2倍以上にすることができるシリコン単結晶の製造方法となる。
さらに、前記保護シートとして、黒鉛ルツボの内径の10%以上、25%以下の幅を有する保護シートを用い、
保護シートを配置する工程において、幅の違う2種類の保護シートを交互に、または3種類以上の保護シートを順番に使用することも好ましい。
これにより、保護シートの端部位置をずらした際に分割片A、分割片Bの両分割片の分割面付近を十分にカバーでき、かつ、必要以上に幅が広いことがないため無駄なコストを抑止できるシリコン単結晶の製造方法となる。
以上説明したように、本発明のシリコン単結晶の製造方法であれば、保護シートの端部位置をバッチ毎に変えることにより、保護シートの端部付近での黒鉛ルツボの減耗箇所が前バッチと重ならず、毎バッチごとに減耗箇所を変えることが可能となる。これにより、黒鉛ルツボ内面の減耗を抑止して黒鉛ルツボのライフを2倍以上に向上することができる。また、減耗箇所を変えることにより、シリコン単結晶成長の際に黒鉛ルツボ内表面の保護シートの端部近傍に生じる窪みの深さが深くなりすぎず、黒鉛ルツボが冷却時に破損してしまうことを抑止できる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法のフロー図である。 分割式の黒鉛ルツボを示す斜視図である。 図2で示した黒鉛ルツボの減耗前後の断面の矢視図である。 黒鉛ルツボに帯状の保護シートを配置した状態を示す斜視図である。 保護シートを使用しない場合における、黒鉛ルツボの分割面での減耗の状態を示す断面図である。 保護シートを使用した場合における、保護シートの端部で減耗による窪みが生じた状態を示す断面図である。 図4において、帯状の保護シートの端部をずらして配置した状態と、それにより保護シートの端部の窪みが分散される状態を示す断面図である。 保護シートを使用しない場合に、石英ルツボが分割面に沈み込み黒鉛ルツボの分割面が冷却時に広がる状態を示す上面図である。 保護シートを使用した場合に、保護シートの端部に窪みが生じ、石英ルツボが窪みに食い込んで分割面が拡がることを拘束する状態を示す上面図である。 黒鉛ルツボの内面全面に全面型の保護シートを配置した状態を示す斜視図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。上述のように、黒鉛ルツボ内面の減耗を抑止して黒鉛ルツボのライフを例えば2倍以上に向上することができ、かつ、黒鉛ルツボが冷却時に破損することを抑止できるシリコン単結晶の製造方法が望まれていた。
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討を重ねた結果、バッチ毎の保護シートの配置方法によって、黒鉛ルツボ内面の減耗を分散して黒鉛ルツボのライフを2倍以上に向上することができ、かつ、黒鉛ルツボが冷却時に破損することを抑止できることを見出して、本発明を完成させた。以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のシリコン単結晶の製造方法のフロー図を図1に示す。図1に示すように、本発明は、分割式の黒鉛ルツボに石英ルツボを内挿し、該石英ルツボ内に多結晶シリコンを充填し、ヒーターで多結晶シリコンを加熱溶融して、シリコン融液とし、該シリコン融液に種結晶を浸漬し、該種結晶を上方に引上げてシリコン単結晶を成長させ、該シリコン単結晶の成長終了後、黒鉛ルツボから石英ルツボを取り除くことをバッチ式に繰返し行うシリコン単結晶の製造方法であって、黒鉛ルツボに石英ルツボを内挿する前に、黒鉛ルツボの分割面の隙間を覆うように分割面に沿って、帯状の保護シートを配置する工程と、シリコン単結晶の成長終了後、黒鉛ルツボから石英ルツボと共に保護シートを取り除く工程とを有し、2バッチ目以降の保護シートを配置する工程において、前バッチのシリコン単結晶成長の際の保護シートの端部の位置とは異なる位置に、端部の位置がなるようにずらして保護シートを配置する。
前記保護シートを配置する工程では、図4のように、黒鉛ルツボに石英ルツボを内挿する前に、黒鉛ルツボ1の分割面2の隙間を覆うように分割面2に沿って、帯状の保護シート4を配置する。なお、図4の矢印Aは、保護シート4の端部4’をずらす方向(矢印A)を示している。
シリコン単結晶の成長時には、黒鉛ルツボの分割面付近はSiOガスの出入りが激しいため炭素が徐々に減耗していくが、このように保護シートを配置することで分割面でのSiOガスの出入りを抑止して、黒鉛ルツボの分割面の減耗を抑止することができる。これにより、図3に示すように石英ルツボ3が局部的に大きく変形し、石英ルツボ3に割れ目が生じ、シリコン融液が石英ルツボ3の外に漏れ出すことも抑止することができる。
更に、本発明で用いる保護シートは、帯状の保護シートであるので、従来の様に黒鉛ルツボ内全面に大型の保護シートを敷く場合と比べ低コストとすることができる。また、保護シートとしては、膨張黒鉛製の保護シートを用いることが好ましい。膨張黒鉛製シートは膨張黒鉛を例えば圧縮又はロール成形によってシート状としたものを用いることができる。保護シートの厚みは、0.3〜0.8mmの範囲が黒鉛ルツボの内面にフィットするのにちょうど良い可撓性があるため好ましく、使用中の耐久性は厚いほど良く、これらの観点から特に0.4〜0.6mmが好適である。
さらに、保護シートは、黒鉛ルツボの内径の10%以上、25%以下の幅を有するものを用いることが好ましく、この場合には、保護シートを配置する工程において、幅の違う2種類の保護シートを交互に、または3種類以上の保護シートを順番に使用することが好ましい。帯状の保護シートの幅を黒鉛ルツボ内径の10%以上、25%以下とすることで、保護シートをずらした際にも黒鉛ルツボの分割片の分割面付近を十分にカバーでき、かつ、必要以上に幅が広いことがなく、無駄なコストを抑止できる。
図4において保護シート4の端部をずらして配置した状態の断面図を図7に示す。本発明では、2バッチ目以降の保護シートを配置する工程において、図7のように前バッチのシリコン単結晶成長の際の保護シートの端部の位置とは異なる位置に、端部4’の位置がなるようにずらして保護シートを配置する。特に、前バッチのシリコン単結晶成長の際の保護シート4の端部4’の位置より幅方向(矢印A方向)に20mm以上40mm以下の範囲で端部4’の位置をずらして保護シート4を配置することが好ましい。なお、本発明で1バッチとは、分割式の黒鉛ルツボに石英ルツボを内挿してから、シリコン単結晶の成長終了後、黒鉛ルツボから石英ルツボを取り除くまでの1サイクルを言う(図1参照)。
図7に示すように、図4の帯状の保護シート4の端部4’をずらした状態では保護シート4の端部4’の窪み6が分散される。このように毎バッチごとに減耗箇所を変えることで、保護シートの端部での黒鉛ルツボの減耗箇所が分散される。従って、減耗した黒鉛ルツボの窪みはそれぞれ浅いものとなる。減耗した黒鉛ルツボの窪みが浅いものとなれば、この窪みに高温で軟化した石英ルツボが沈み込み、石英ルツボ内にシリコン融液が残存した状態で冷却されたとしても、黒鉛ルツボの分割面は開くことができ、残存融液(残湯)が固化して膨張した際の応力を解放することができる。そのため、冷却時に黒鉛ルツボが分割面近傍より破損することを抑止することが可能となる。
また、保護シートを配置する工程において、分割面から20mm以下100mm以下の範囲が保護シートによってカバーされるように保護シートを配置することが好ましい。分割面から20mm以上の範囲が保護シートによってカバーされれば、十分に分割面を保護することが可能となり、黒鉛ルツボのライフを伸ばすことができる。また、分割面から100mm以下の範囲が保護シートによってカバーされれば、分割面の保護には十分であり、保護シートにかかるコスト面から見ても有利である。
さらに、保護シートを配置する工程において、シリコン単結晶成長の際に黒鉛ルツボ内表面の保護シートの端部近傍に生じる窪みの深さが、2mmを超えないように、端部の位置をずらして保護シートを配置することが好ましい。また、シリコン単結晶成長の際に黒鉛ルツボ内表面の保護シートの端部近傍に生じる窪みの深さが2mmを超えたときに、黒鉛ルツボを廃棄することが好ましい。
このように保護シートの端部での減耗箇所を毎バッチごとに変え、減耗を分散し、減耗による窪みの深さが2mm以下となるようにすることで、シリコン単結晶の成長中に軟化した石英ルツボがそれぞれの窪みに食い込んだとしても、窪みの深さが浅い為、冷却中に残湯が固化した際、黒鉛ルツボの分割面の開きが妨げられることがなく、冷却中に分割面近傍で黒鉛ルツボが破損することを一層抑止できる。更に、窪みの深さが2mmを超えたときに、黒鉛ルツボを廃棄することで、破損前に新たな黒鉛ルツボに交換することが可能となる。
さらに、分割式の黒鉛ルツボとして、分割片A及び分割片Bからなる2分割の黒鉛ルツボを用いた場合に、保護シートを配置する工程において、保護シートの中心線が分割面に沿うように配置した中央位置、該中央位置に対し保護シートの中心線が分割片A側に20mm以上、40mm以下の範囲でずれたA側位置、及び中央位置に対し保護シートの中心線が分割片B側に20mm以上、40mm以下の範囲でずれたB側位置の3つの位置に順に、バッチ毎に保護シートを配置することが好ましい。このように保護シートを配置することで、同じ位置に保護シートの配置を続けた場合に比べ、保護シートの端部での減耗を大幅に低減でき、黒鉛ルツボのライフを2倍以上にすることができる。
また、保護シートを取り除く工程では、シリコン単結晶の成長終了後、黒鉛ルツボから石英ルツボと共に保護シートを取り除く。このように、バッチ毎に保護シートを取り除いたとしても、本発明では保護シートのコストが低く抑えられており、かつ黒鉛ルツボのライフタイムを2倍以上に向上することが可能であるため、総合してコストパフォーマンスに優れるシリコン単結晶の製造方法となる。
以下、本発明の実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
内径26インチ(約66cm)の2分割の黒鉛ルツボにおいて、分割面全体を覆う長さを有し、かつ幅100mm、厚さ0.4mmの帯状の膨張黒鉛製保護シートを、各バッチで使用してシリコン単結晶を製造した。その際、2分割の黒鉛ルツボの分割片を分割片A、及び分割片Bとして、保護シートの配置位置が、保護シート中央が分割面に沿う中央位置、中央位置に対し、分割片A側に25mm±5mmずらしたA側位置、及び分割片B側に25mm±5mmずらしたB側位置の3通りの位置をバッチ毎に順に繰り返して使用した。
40バッチ使用したところ、黒鉛ルツボ内面のSiC化層の厚みが規定量を超えたため、黒鉛ルツボをライフエンドとした。使用後の黒鉛ルツボ内面を観察したところ、保護シートの端部での窪みの深さはいずれも2mm以下であった。
〔実施例2〕
内径26インチ(約66cm)の2分割の黒鉛ルツボにおいて、分割面全体を覆う長さを有し、かつ幅80mmと幅120mmの2種類、厚さ0.4mmの帯状の膨張黒鉛製保護シートを各バッチで使用してシリコン単結晶を製造した。その際、バッチ毎に、保護シートの中央が同じ位置で保護シートを配置し、保護シートの端部が前バッチの端部位置とは異なるようにした。
35バッチ使用して、使用後の黒鉛ルツボ内面を観察したところ、保護シートの端部に深さ2mm以上の窪みが発生していたため、それまで使用した黒鉛ルツボをライフエンドとした。
〔実施例3〕
内径26インチ(約66cm)の2分割の黒鉛ルツボにおいて、分割面全体を覆う長さを有し、かつ幅100mm、厚さ0.4mmの帯状の膨張黒鉛製保護シートを、バッチ毎に使用してシリコン単結晶を製造した。この際、2分割の黒鉛ルツボの分割片を分割片A、及び分割片Bとして、保護シートの配置位置が、保護シート中央が分割面に沿う中央位置、中央位置に対し、分割片A側に10mm±5mmずらしたA側位置、及び分割片B側に10mm±5mmずらしたB側位置の3通りの位置を順に繰り返して使用した。
30バッチ使用後の黒鉛ルツボ内面を観察したところ、保護シートの端部での窪みは最大2.2mmとなっていたため、それまで使用した黒鉛ルツボをライフエンドとした。
実施例3の場合は保護シートの端部での窪みは、深さ1.5mm以上の窪みの深い部分の幅が10mm以下であり、深さ0.5mm以下の窪みが浅い部分を含めると、幅が20mm程あった。実施例1と実施例3の比較により、保護シートの端部をずらす量が20mm以上であれば、より窪みを分散する効果が高くなることが分かった。
〔比較例1〕
内径26インチ(約66cm)の2分割の黒鉛ルツボにおいて、分割面全体を覆う長さを有し、かつ幅100mmの帯状の膨張黒鉛製の保護シートを、保護シートの中央が分割面に沿う中央位置とし、毎バッチ、保護シートの端部が前バッチの端部位置と同じ位置となるように使用した。保護シートの厚みは、0.4mmとした(特許文献2)。図6に帯状の保護シートを同じ位置に使用し、保護シートの端部で減耗による窪みが黒鉛ルツボ1に生じた状態を示す。斜線部はSiC化したSiC層5である。
20バッチ使用したところ、シリコン単結晶の成長終了後の冷却中に分割面付近より石英ルツボに割れが発生した。使用後の黒鉛ルツボ内面を観察したところ、保護シートの端部に最大3mm程度の深さの窪みが発生していた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…黒鉛ルツボ、 1a,1b…分割片、 2…分割面、 3…石英ルツボ、 4…保護シート、 4’…保護シートの端部、 5…SiC層、 6…窪み、 7…全面型の保護シート、 A…保護シートの端部をずらす方向、 B…分割面の広がり方向、 C…分割面の広がりの拘束方向。

Claims (5)

  1. 分割式の黒鉛ルツボに石英ルツボを内挿し、該石英ルツボ内に多結晶シリコンを充填し、ヒーターで前記多結晶シリコンを加熱溶融して、シリコン融液とし、該シリコン融液に種結晶を浸漬し、該種結晶を上方に引上げてシリコン単結晶を成長させ、該シリコン単結晶の成長終了後、前記黒鉛ルツボから前記石英ルツボを取り除くことをバッチ式に繰返し行うシリコン単結晶の製造方法であって、
    前記黒鉛ルツボに前記石英ルツボを内挿する前に、前記黒鉛ルツボの分割面の隙間を覆うように前記分割面に沿って、帯状の保護シートを配置する工程と、前記シリコン単結晶の成長終了後、前記黒鉛ルツボから前記石英ルツボと共に前記保護シートを取り除く工程とを有し、
    2バッチ目以降の前記保護シートを配置する工程において、前バッチのシリコン単結晶成長の際の前記保護シートの端部の位置とは異なる位置に、端部の位置がなるようにずらして前記保護シートを配置し、
    前記保護シートとして、前記黒鉛ルツボの内径の10%以上、25%以下の幅を有する保護シートを用い、
    前記保護シートを配置する工程において、幅の違う2種類の前記保護シートを交互に、または3種類以上の前記保護シートを順番に使用することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記2バッチ目以降の前記保護シートを配置する工程において、前バッチのシリコン単結晶成長の際の前記保護シートの端部の位置より幅方向に20mm以上40mm以下の範囲で端部の位置をずらして前記保護シートを配置することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記保護シートを配置する工程において、前記分割面から20mm以上100mm以下の範囲が前記保護シートによってカバーされるように前記保護シートを配置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記保護シートを配置する工程において、前記シリコン単結晶成長の際に前記黒鉛ルツボ内表面の前記保護シートの端部近傍に生じる窪みの深さが、2mmを超えないように、前記端部の位置をずらして前記保護シートを配置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. 前記シリコン単結晶成長の際に前記黒鉛ルツボ内表面の前記保護シートの端部近傍に生じる窪みの深さが2mmを超えたときに、前記黒鉛ルツボを廃棄することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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