JP2017095299A - 単結晶育成用の黒鉛ルツボ - Google Patents

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Abstract

【課題】チョクラルスキー法によってシリコン単結晶が引上げられる石英ルツボを保持する単結晶育成用の黒鉛ルツボにおいて、生成された反応ガスが黒鉛ルツボと石英ルツボとの間に滞留することがなく、容易に外部に排出し、特に黒鉛ルツボの分割線における侵食を格段に抑制することが可能な単結晶育成用の黒鉛ルツボの提供。【解決手段】黒鉛ルツボ3内面には、石英ルツボ4の外面に当接する複数の突起3aが形成され、黒鉛ルツボ3内面と石英ルツボ4外面との間には、複数の突起3aの間をガスが流れるガス流路10が形成されており、黒鉛ルツボ3内面に形成された複数の突起3aの底面の総面積は、黒鉛ルツボ3内面積の40〜75%であり、且つ、黒鉛ルツボ3内面に形成された複数の突起3aの平均底面積は、20〜300mm2である単結晶育成用黒鉛ルツボ3。【選択図】図3

Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によって単結晶を育成しながら引き上げる際に用いる単結晶育成用の黒鉛ルツボに関する。
シリコン単結晶の育成に関し、CZ法が広く用いられている。この方法は、図9に示すように石英ルツボ51内にシリコンの溶融液Mを形成し、その表面に種結晶Pを接触させ、石英ルツボ51(黒鉛ルツボ52)を回転させるとともに、この種結晶Pを反対方向に回転させながら上方へ引上げることによって、種結晶Pの下端に単結晶Cを形成していくものである。より具体的には、種結晶Pの先端部を溶解する種付けが行われてネック部P1が形成され、ネック部P1から結晶径が拡径されて肩部C1が形成され、製品部分となる直胴部C2が形成される。また、直胴部C2が形成されると、結晶は縮径されて、底部(図示せず)が形成される。
ところで、前記石英ルツボ51は、黒鉛ルツボ52に内挿され保持される。単結晶育成中においてシリコン溶融液Mから一酸化珪素(SiO)が蒸発するが、この蒸発したSiOガスは、チャンバから排気される間に一部が黒鉛ルツボ52内面と石英ルツボ51外面との間の隙間に入り込む。
この隙間にSiOガスが入り込み滞留すると、SiOと黒鉛ルツボ52の炭素(C)成分とが反応し、黒鉛ルツボ52内面の炭化珪素(SiC)化が進行するという問題がある。即ち、このSiC化した層と石英ルツボ51の成分であるSiOが反応してSiOと一酸化炭素(CO)ガスとが発生し、SiC層が次第に侵食されて減少するという課題があった。
また、黒鉛ルツボ52は、複数(例えば2つ)の分割片が互いに接合されることによりルツボ状に形成され、図10に示すように径方向(縦方向)には分割片間の合わせ目(分割線Lと呼ぶ)が存在する。前記分割線L付近では、反応ガス(SiOガスなど)の流れが集中し、局所的に深く侵食されることが知られている。
この黒鉛ルツボ52に保持された石英ルツボ51は、シリコン溶融液Mの圧力により黒鉛ルツボ52側に押されるため、黒鉛ルツボ52の局所的に浸食された形状に沿って変形するという課題があった。
また、反応ガスの侵食により黒鉛ルツボ52の分割線Lが開く(侵食される)と、その隙間の奥まで軟化した石英が押し出されるため、石英ルツボ51はより局所的に変形する。この石英ルツボ51の局所的に変形した箇所は、溶融前の石英ルツボ51の厚みに比べ、かなり薄くなる。そのため、特に複数本の結晶を育成する長時間操業(リチャージマルチ引き操業)においては、石英ルツボ51が強度的に耐えられず、前記分割線L付近からシリコン溶融液Mが漏れ出す虞があった。
そのため、黒鉛ルツボ52は早期に交換することが必要となるが、シリコン単結晶Cの大口径化が進む中で石英ルツボ4とともに黒鉛ルツボ52も大型化しており、高価であるため黒鉛ルツボの長寿命化が望まれてきた。
前記した課題に対し、例えば特許文献1においては、黒鉛ルツボの分割線Lに沿って黒鉛シートを配置することにより浸食を防止する方法が提案されている。より具体的には、単結晶引き上げのバッチ処理毎に黒鉛シートを替えて配置し、その際、黒鉛シートの位置をずらして配置するというものである。
この方法によれば、黒鉛シートで保護された分割線L付近のSiC化の進行を抑え、分割線L付近での侵食を防止することができる。また、バッチ毎に黒鉛ルツボの消耗箇所を変えることが可能となるため、黒鉛ルツボ内面の消耗を抑止して黒鉛ルツボの寿命を向上することができる。
また、特許文献2には、ルツボ内面に複数のガス誘導溝が放射線状に形成され、反応ガスの抜け道を確保した黒鉛ルツボの構成が開示されている。
特許文献2に開示された構成によれば、SiOガス等の反応ガスが、前記ガス誘導溝を通って外部に排出されるため、黒鉛ルツボ52と石英ルツボ51との間に反応ガスが滞留し難くなることが期待できる。
特許第5776586号公報 特許第4848974号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法にあっては、黒鉛ルツボ52自体の寿命は向上するが、黒鉛シートがSiC化して短命となるため、バッチ処理毎に新たな黒鉛シートが必要となり、本質的な解決には至らなかった。また、帯状の黒鉛シートの位置を毎回ずらして配置する作業が容易ではなかった。
また、特許文献2に開示された黒鉛ルツボの構成にあっては、溝が形成された部位が肉薄となり強度が低下するために、例えば結晶落下等の異常時に強度不足により湯漏れ事故が発生する虞があった。
さらに、黒鉛ルツボに形成されたガス誘導溝と分割線Lとは、ともにルツボの縦方向に形成され、交差するものではないため、黒鉛ルツボの分割線Lで生じる局所的な侵食を充分に抑止することができないという課題があった。
本発明は、前記したような事情の下になされたものであり、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶が引上げられる石英ルツボを保持する単結晶育成用の黒鉛ルツボにおいて、生成された反応ガスが黒鉛ルツボと石英ルツボとの間に滞留することがなく、容易に外部に排出され、特に黒鉛ルツボの分割線における侵食を格段に抑制することのできる単結晶育成用の黒鉛ルツボを提供することを目的とする。
前記課題を解決するためになされた、本発明に係る単結晶育成用黒鉛ルツボは、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶が引上げられる石英ルツボを保持する単結晶育成用の黒鉛ルツボであって、ルツボ内面には、前記石英ルツボの外面に当接する複数の突起が形成され、前記ルツボ内面と前記石英ルツボ外面との間には、前記複数の突起の間をガスが流れるガス流路が形成されていることに特徴を有する。
尚、前記ルツボ内面に形成された複数の突起の底面の総面積は、ルツボ内面積の40〜75%であり、且つ前記ルツボ内面に形成された複数の突起の平均底面積は、20〜300mmであることが望ましい。
また、前記ルツボ内面に形成された複数の突起は、断面半球状に形成されていることが望ましい。
また、前記ルツボ内面に形成された複数の突起の頂点の高さ寸法は、3〜6mmであることが望ましい。
このような構成によれば、黒鉛ルツボの内面に複数の突起が配置されるため、黒鉛ルツボの内面と石英ルツボの外面との間には、複数の突起間に反応ガスの通り道となる網目状のガス流路が形成される。これにより、SiOガス等の反応ガスが黒鉛ルツボと石英ルツボとの間に滞留することがなく外部に排出され、黒鉛ルツボの分割線付近における侵食を従来よりも格段に低減することができる。
また、複数の突起が断面半球状、即ち丸みを帯びた形状となされることにより、保持した石英ルツボの外面と接触した際の欠けの発生、石英ルツボへの鋭利な食い込み等を防止することができる。
本発明によれば、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶が引上げられる石英ルツボを保持する単結晶育成用の黒鉛ルツボにおいて、生成された反応ガスが黒鉛ルツボと石英ルツボとの間に滞留することがなく、容易に外部に排出し、特に黒鉛ルツボの分割線における侵食を格段に抑制することができる。
図1は、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボを用いる単結晶引上装置の一部構成を示す断面図である。 図2は、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボの断面図である。 図3は、図2の黒鉛ルツボと、これに保持された石英ルツボとの接触部を説明するために一部拡大して示す断面図である。 図4は、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボに形成された突起の変形例を示す断面図である。 図5(a)は、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボに形成された突起の底面を説明するための突起の断面図であり、図5(b)は突起の平面図である。 図6は、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボを用いた単結晶引上装置による単結晶の引上工程を示すフローである。 図7は、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボの変形例を示す断面図である。 図8は、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボの実施例の結果を示すグラフである。 図9は、従来からの単結晶引き上げ工程を説明するための断面図である。 図10は、従来の黒鉛ルツボの斜視図である。
以下、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボの実施形態について図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボを使用する単結晶引上装置の一部構成を示す断面図である。
図1に示す単結晶引上装置1は、炉体2内に鉛直軸回りに回転可能に設けられた所定径の黒鉛ルツボ3と、前記黒鉛ルツボ3によって保持された所定径の石英ルツボ4とを備えている。前記石英ルツボ4は、黒鉛ルツボ3の回転と共に鉛直軸回りに回転可能となされている。
また単結晶引上装置1は、石英ルツボ4に装填された半導体原料(原料ポリシリコン)を溶融してシリコン溶融液Mとする抵抗加熱によるサイドヒータ5と、ワイヤ6を巻き上げ、育成される単結晶Cを引上げる引上機構(図示せず)とを備えている。前記引上機構が有するワイヤ6の先端には、種結晶Pが取り付けられている。
また、石英ルツボ4内に形成される溶融液Mの上方には、育成中の単結晶Cに対するサイドヒータ5や溶融液M等からの余計な輻射熱を遮蔽するために、上下に開口を有する円筒状の輻射シールド7が設けられている。この輻射シールド7は、外側面が例えば高純度な黒鉛、或いは表面にSiCがコーティングされた黒鉛により形成され、内側面は、例えばカーボン繊維からなるフェルト材によって形成されている。
尚、輻射シールド7の下端と溶融液面との間のギャップは、育成する単結晶の温度勾配が大きくなるように所定の距離に制御される。
図2は、黒鉛ルツボ3の断面図である。この黒鉛ルツボ3は、複数(例えば2つ又は3つ)の分割片が互いに接合されることによりルツボ状に構成されており、径方向(縦方向)に沿って複数(例えば2本)の分割線Lが存在する。
黒鉛ルツボ3の内面全体には、それぞれ丸みを帯びて形成された断面半球状の複数の突起3aが設けられている。これらの突起3aは、好ましくは図2に示すように分割線L上には配置されない。これは、分割線L上に突起3aがある場合には、黒鉛ルツボ3と石英ルツボ4との間に入り込んだ反応ガスがその突起3aにぶつかり、ルツボ分割片の合わせ目(分割線L)に反応ガスが溜まる虞があるためである。また、ルツボ分割片の合わせ目に突起3aを形成することは、加工性が悪い上、合わせ目の突起3aに欠けが生じる虞が高くなる。
このように黒鉛ルツボ3の内面に複数の突起3aを形成することにより、図3の一部拡大した断面図に示すように、石英ルツボ4の外面に、黒鉛ルツボ3内面側に形成された複数の突起3aが当接し、黒鉛ルツボ3内面と石英ルツボ4外面との間には、複数の突起3aの間をガスが流れるガス流路10が形成される。前記複数の突起3aは、例えば径や高さが同じ形状で等間隔に配置されており、石英ルツボ4に対する複数の突起3a側からの押圧力が均等に分散されるように構成されている。
また、突起3aが断面半球状、即ち丸みを帯びた形状となされることにより、保持した石英ルツボ4の外面と接触した際の欠けの発生、石英ルツボ4への鋭利な食い込み等を防止するようになっている。即ち、突起3aの断面形状が矩形形状の場合は、前記したように欠け等が発生するため好ましくない。但し、突起3aの断面形状が矩形形状や台形形状である場合、図4の断面図に示すように石英ルツボ4に当接する突起3aの角部3a1が曲面形状になっていることが好ましい。
尚、黒鉛ルツボ3を、図2に示すように側壁部3A(円筒状部分)と、底部3Bと、それらを繋ぐラウンド部3C(曲率の大きい部分)とに分けると、側壁部3Aよりも底部3Bのほうがシリコン溶融液Mの自重を受けやすい。そのため、底部3B及びラウンド部3Cにおける突起3a底面の総面積が、好ましくは側壁部3Aにおける突起3a底面の総面積の1〜3倍(より好ましくは1.5〜2.5倍)とされる。ここで、突起3a底面の面積とは、図5(a)の断面図に示す底面3a2の面積、即ち図5(b)の平面図にハッチングで示す部分(底面3a2)の面積である。
これは、3倍より大きいと、底部3B及びラウンド部3Cに対して、側壁部3Aにおける突起3a底部の総面積が小さくなり、石英ルツボ4側壁における変形が大きくなりやすいためである。また、側壁部3Aの突起底部の総面積に対して底面部3B及びラウンド部3Cの突起底部の総面積が大きくなり、底面部3B及びラウンド部3Cにおけるガスの流れが悪くなるためである。
一方、1倍未満の場合には、側壁部3Aに対して、底部3B及びラウンド部3Cにおける突起3a底部の総面積が小さくなり、石英ルツボ4の荷重に耐えられなくなるためである。また、底面部3B及びラウンド部3Cの突起底部の総面積に対して、側壁部3Aの突起底部の総面積が大きくなり、側壁部3Aから外部へ向かうガスの流れが悪くなるためである。
また、各突起3aの高さ(円弧状の突起3aの頂点の高さ)寸法は、好ましくは3〜6mmの範囲内で規定されている。これは、高さ寸法が3mmより小さいと、前記ガス流路10における反応ガスの流れが悪くなるためである。また、高さ寸法が6mmより大きいと石英ルツボ4の変形が生じ易くなり、その結果、シリコン溶融液Mの湯面振動が発生しやすくなるためである。
前記黒鉛ルツボ3の内面に形成された複数の突起3aの底面の総面積は、黒鉛ルツボ3の内面積の40〜75%(より好ましくは60〜70%)とされ、突起3aの底面積の平均は20〜300mm(より好ましくは50〜150mm)とされる。
黒鉛ルツボ3の部位ごとでは、側壁部3Aにおいては、その内面に形成された複数の突起3aの底面の総面積は、側壁部3Aの内面積の40〜75%が望ましい。
また、底部3B及びラウンド部3Cにおいては、その内面に形成された複数の突起3aの底面の総面積は、底部3B及びラウンド部3Cの内面積の60〜70%が望ましい。
尚、突起3aが大きすぎて数が少なくなると、石英ルツボ4に黒鉛ルツボ3の突起3aが大きく食い込み、石英ルツボ4の表面に大きく凹凸が形成されることになる。その結果、シリコン溶融液Mの湯面に振動が発生し、シリコン単結晶の育成に支障が生じるため好ましくない。
一方、突起3aが小さすぎると、SiO反応ガスの流れが悪く移動が少なくなるため、黒鉛ルツボ3内面のSiC化が進行しやすくなり、また黒鉛ルツボ3の加工が困難になるため好ましくない。
このように構成された単結晶引上装置1において、単結晶Cを育成する場合、図6に示すフローに沿って引き上げが行われる。
即ち、最初に所定の内径を有する石英ルツボ4を黒鉛ルツボ3にセットし、石英ルツボ4に所定量の原料ポリシリコンを装填し、コンピュータ(図示せず)が有する記憶手段に記憶されたプログラムに基づき結晶育成工程が開始される。
先ず、炉体内に所定の不活性ガス(主にアルゴンガス雰囲気)が供給され、石英ルツボ4内に装填された原料ポリシリコンが、サイドヒータ5による加熱によって溶融され、溶融液Mとされる(図6のステップS1)。
また、必要に応じて育成する結晶の不純物濃度が所定値以上となるように、溶融液M内にドーパントとして例えばボロン、砒素、燐、アンチモンなどが所定量投入される(図6のステップS2)。
次いで、黒鉛ルツボ3及びそれに保持された石英ルツボ4が所定の高さ位置において所定の回転速度(rpm)で回転動作される。そして、ワイヤ6が降ろされて種結晶Pが溶融液Mに接触され、種結晶Pの先端部を溶解する種付けが行われ、ネック部P1が形成開始される(図6のステップS3)。
ネック部P1が形成されると、サイドヒータ5への供給電力や、引上げ速度(通常、毎分数ミリの速度)、ルツボ回転数、炉内圧力、不活性ガス流量などをパラメータとして引上げ条件が調整され、ルツボ3、4の回転方向とは逆方向に所定の回転速度で種結晶Pが回転開始される(図6のステップS4)。
前記のように各条件が設定されると、肩部C1を形成する拡径工程に移行する(図6のステップS5)。ここで、肩部C1の形成が進むにつれ、溶融液Mは減少するため、石英ルツボ4を保持する黒鉛ルツボ3は上昇移動され、結晶の温度勾配が大きくなるように輻射シールド7下端と溶融液面M1とのギャップが所定の距離に維持される。
肩部C1が形成されると、続く直胴部C2の引き上げに適したルツボ回転数、炉内圧力、炉内不活性ガス流量などをパラメータとして引上げ条件が再度調整される。
そして、製品部分となる直胴部C2を形成する直胴工程に移行する(図6のステップS6)。ここで、石英ルツボ4と黒鉛ルツボ3との間には、黒鉛ルツボ3の内面に形成された複数の突起3aが配置されるため、複数の突起3a間にガスの通り道となるガス流路10が網目状に形成されている。したがって、石英ルツボ4と黒鉛ルツボ3との間に入り込んだSiOガス等の反応ガスは、滞留することなく複数の突起3a間のガス流路10を分散するように流れ、外部へ排出される。よって、黒鉛ルツボ3全体の侵食が格段に低減されるだけでなく、黒鉛ルツボ3の分割線付近においては局所的な侵食が抑制される。
直胴部C2の形成が進むにつれ、石英ルツボ4を保持する黒鉛ルツボ3は上昇移動され、位置固定された輻射シールド7及びサイドヒータ5に対する溶融液面M1の位置が維持される。
直胴工程が終了すると、結晶径を縮小して結晶底部(図示せず)を形成する縮径工程が行われ、単結晶Cの引き上げが完了する(図6のステップS7)。
以上のように、本実施の形態によれば、黒鉛ルツボ3の内面に複数の突起3aが配置されるため、黒鉛ルツボ3内面と石英ルツボ4外面との間には、複数の突起3a間に反応ガスの通り道となる網目状のガス流路10が形成される。これにより、SiOガス等の反応ガスが黒鉛ルツボ3と石英ルツボ4との間に滞留することなく外部に排出され、特に黒鉛ルツボ3の分割線付近における侵食を従来よりも格段に抑制することができる。
尚、前記実施の形態においては、一例として黒鉛ルツボ3の内面に形成される複数の突起3aを全て同じ形状としたが、突起高さが同じであれば、それに限定されるものではない。例えば、図7の黒鉛ルツボ3の断面図に示すように、高さが同じであって、径(底面積)が異なる断面半球状の突起3aを含む構成としてもよい。尚、図7の例にあっては、径(底面積)が異なる2種の突起3aが縦方向及び横方向に交互に設けられた例を示している。また、側壁部3Aよりも底部3Bのほうがシリコン溶融液Mの自重を受けやすいため、例えば側壁部3Aと底部3Bとラウンド部3Cとで、互いに径の異なる突起3aを配置し、より安定した強度を有する構成としてもよい。
本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボについて、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に示した黒鉛ルツボを用いて以下の実験を行った。
(実験1)
実験1では、直径が24インチの石英ルツボに150kgのシリコン原料を投入し、ヒータで溶融した後、炉内圧60Torrとし、チョクラルスキー法により単結晶引き上げを行った。そして、5バッチ操業後の黒鉛ルツボの状態を評価した。
また、前記石英ルツボを保持する黒鉛ルツボにおいて、ルツボ内面積に対する突起の底面総面積の割合(%)、及び突起底面積の平均値(mm)をパラメータとして条件設定(実施例1〜14)を行った。各突起の高さは5mmとした。また、比較例として、ルツボ内面に突起を持たない従来の黒鉛ルツボを用いて単結晶引き上げを行った。
実施例1〜14、及び比較例1の実施条件を表1に示す。
また、表1及び図8のグラフに実験1の結果を示す。図8のグラフにおいて、縦軸は突起底面の平均面積(mm)、横軸は黒鉛ルツボ内面積に対する突起の底面総面積の割合(%)である。
また、表1及び図8のグラフにおいて、○は良好を示し、△はやや効果ありの結果を示す。また、◆は湯面振動が発生した結果を示し、×は効果なしの結果を示している。
尚、良好(○)とは、黒鉛ルツボの合わせ目の減肉量やSiOの付着状態、さらに黒鉛ルツボ表面のSiC化状態から、黒鉛ルツボの寿命(交換時期)が従来よりも3倍以上期待できることを示す。また、やや効果あり(△)は、従来よりも黒鉛ルツボの寿命の延びが期待できるが、3倍以上は期待できないことを示す。また、湯面振動が発生した場合(◆)は、突起による石英ルツボの変形により振動が生じた場合を示す(その場合には結晶が有転位しやすくなるため、2バッチ目以降の作業を中止した)。また、効果なし(×)の場合とは、従来の黒鉛ルツボの場合に対し変化が見られないことを示す。
Figure 2017095299
図8のグラフに示されるように、黒鉛ルツボに形成された複数の突起の底面総面積の割合は、黒鉛ルツボ内面積の40〜75%の範囲、且つ、突起の底面積の平均値が20〜300mmの範囲(破線で囲む範囲:実施例6〜8、10〜13)が良好であった。
尚、湯面振動の発生(◆)は、突起部が大きく数が少ない場合に限定され、シリコン溶融液を保持する石英ルツボが黒鉛ルツボの突起に食い込むことで石英ルツボの表面がやや凹凸になったものと推察された。また、突起が小さい場合には、ガスの流れが弱くなり、充分な効果が得られなかった。
(実験2)
実験2では、黒鉛ルツボ内面に形成した複数の突起の高さをパラメータとして条件設定を行った。実施例15〜22では、前記複数の突起の底面総面積は、黒鉛ルツボ内面積の55%とし、突起の底面積の平均値は150mmとした。実施例23〜30では、前記複数の突起の底面総面積は、黒鉛ルツボ内面積の40%とし、突起の底面積の平均値は20mmとした。実施例31〜38では、前記複数の突起の底面総面積は、黒鉛ルツボ内面積の75%とし、突起の底面積の平均値は300mmとした。実施例39〜46では、前記複数の突起の底面総面積は、黒鉛ルツボ内面積の35%とし、突起の底面積の平均値は150mmとした。実施例47〜54では、前記複数の突起の底面総面積は、黒鉛ルツボ内面積の80%とし、突起の底面積の平均値は150mmとした。実施例55〜62では、前記複数の突起の底面総面積は、黒鉛ルツボ内面積の45%とし、突起の底面積の平均値は15mmとした。実施例63〜70では、前記複数の突起の底面総面積は、黒鉛ルツボ内面積の70%とし、突起の底面積の平均値は305mmとした。
また、突起高さは、1〜8mmの範囲内で条件設定を行った。その他の条件は、実験1と同様である。そして、5バッチ操業後の黒鉛ルツボの状態を評価した。実験2における実施例15〜22の実施条件および結果を表2に示し、実施例23〜30の実施条件および結果を表3に示し、実施例31〜38の実施条件および結果を表4に示す。また、実施例39〜46の実施条件および結果を表5に示し、実施例47〜54の実施条件および結果を表6に示し、実施例55〜62の実施条件および結果を表7に示し、実施例63〜70の実施条件および結果を表8に示す。
Figure 2017095299
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実験2の結果、突起の高さ寸法が3mmより小さいと(実施例15、16、23、24、31、32、39、40、47、48、55、56、63、64)、黒鉛ルツボと石英ルツボとの間のガス流路における反応ガスの流れが悪くなり、充分な効果が得られなかった。
また、突起の高さ寸法が6mmより大きいと(実施例21、22、29、30、37、38、45、46、53、54、61、62、69、70)、石英ルツボの変形が生じ易くなり、実施例22、30、38の場合には、シリコン溶融液の湯面振動が発生した。
この実験2の結果、突起高さは、3〜6mmの範囲が好ましいことを確認した。
以上の実施例の結果より、本発明に係る単結晶育成用の黒鉛ルツボを用いることにより、黒鉛ルツボの分割線に発生する侵食等の劣化要因が改善され、黒鉛ルツボの寿命を大幅に向上できることを確認した。
1 単結晶引上装置
2 炉体
3 黒鉛ルツボ
4 石英ルツボ
5 サイドヒータ
6 ワイヤ
7 輻射シールド
10 ガス流路
C 単結晶
C1 肩部
C2 直胴部
M シリコン溶融液
M1 溶融液面
P 種結晶
P1 ネック部

Claims (4)

  1. チョクラルスキー法によりシリコン単結晶が引上げられる石英ルツボを保持する単結晶育成用の黒鉛ルツボであって、
    ルツボ内面には、前記石英ルツボの外面に当接する複数の突起が形成され、
    前記ルツボ内面と前記石英ルツボ外面との間には、前記複数の突起の間をガスが流れるガス流路が形成されていることを特徴とする単結晶育成用の黒鉛ルツボ。
  2. 前記ルツボ内面に形成された複数の突起の底面の総面積は、ルツボ内面積の40〜75%であり、且つ前記ルツボ内面に形成された複数の突起の平均底面積は、20〜300mmであることを特徴とする請求項1に記載された単結晶育成用の黒鉛ルツボ。
  3. 前記ルツボ内面に形成された複数の突起は、断面半球状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載された単結晶育成用の黒鉛ルツボ。
  4. 前記ルツボ内面に形成された複数の突起の頂点の高さ寸法は、3〜6mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された単結晶育成用の黒鉛ルツボ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113862779A (zh) * 2021-09-29 2021-12-31 西安奕斯伟材料科技有限公司 一种坩埚组件及拉晶炉
WO2022024667A1 (ja) * 2020-07-30 2022-02-03 信越石英株式会社 Cz用るつぼ

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