JP2013212921A - フィルムロールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】厚みが50〜150μmである熱可塑性樹脂フィルムを巻取り、フィルムロールを製造する方法であって、巻き始めから500層目まで、フィルムの巻取り速度(V)と1m幅あたりの巻取りロールへの接触力(P)とが、式(1)および式(2)の関係を満たすことを特徴とするフィルムロールの製造方法。
0.03≦P[N/m]/V[m/分]≦0.3 (1)
V≦120[m/分] (2)
【選択図】なし
Description
熱可塑性樹脂フィルムの製造においては、生産性も重要であるため、製膜したフィルムは、連続的に巻取機でコア(巻き取り用巻芯)に巻き取られる。そして、所定量のフィルムがコアに巻き取られた際には、新しいコアに巻き替えるために、走行フィルムは幅方向に切断される。
走行フィルムを切断する代表的な方法として、フィルムの幅方向にカッターを走行させてフィルムを切断するトラバースカット方式と、フィルム幅と同じ長さを持つカッターを用いてフィルム全幅を一斉に切断する方式とがある。幅広のフィルムを高速で生産する場合には、前者のトラバースカット方式で走行フィルムを切断する方法が適している。
また、特許文献2には、フィルム段差をなくすために、フィルムの巻き付け開始面をそぎ落とすことが提案されている。しかしながら、高速で走行するフィルムに対して、一定の角度をつけて切断することは技術的に困難である。
また、特許文献3には、フィルムの幅方向の両端部に突起付与して、フィルム中央部における転写を軽減する方法が提案されている。しかしながら、幅が3mを超えるような幅広フィルムの生産工程では、フィルム中央部を保護する効果が低くなる。また突起を高くすると、中央部だけ空気層が厚くなり、時間の経過とともに抜ける空気によって外観が損なわれる危険性も高い。
厚みが50〜150μmである熱可塑性樹脂フィルムを巻取り、フィルムロールを製造する方法であって、巻き始めから500層目まで、フィルムの巻取り速度(V)と1m幅あたりの巻取りロールへの接触力(P)とが、式(1)および式(2)の関係を満たすことを特徴とするフィルムロールの製造方法。
0.03≦P[N/m]/V[m/分]≦0.3 (1)
V≦120[m/分] (2)
また、得られたフィルムロールは、巻ずれの発生がなく、またシワの発生がない外観に優れたものとなる。
本発明において、熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されない。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン等が挙げられ、中でもポリエステル樹脂が好ましく用いられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)あるいはポリ−p−エチレンオキシベンゾエート(PEOB)、ポリ乳酸(PLA)等が挙げられる。
0.03≦P[N/m]/V[m/分]≦0.3 (1)
V≦120[m/分] (2)
ゴム素材としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン、アクリロニトリル・クロロプレンゴム・ブタジエン共重合体ゴム、シリコン等の各種ゴムが挙げられる。接触ロールとフィルム間の空気抜けを良好とするために、溝加工されたロール表面を使用することもできる。
接触ロールによる接触力の制御方法として、例えば、接触力を得るためにベロフラムシリンダを設け、電空変換器を介して制御する方法が挙げられる。
巻取り機に備え付けられた速度計から巻取り速度を読み取った。
接触ロールを制御する電空変換器の圧力信号値を読み取り、これをフィルムの幅で除して、1m幅当たりの接触力を巻取りロールへの接触力とした。
ハイデンハイン社製 接触式厚み計を使用して、10枚重ね厚みを測定し、その1枚あたりの平均値を熱可塑性樹脂フィルム厚みとした。
テーラーホブソン社製タリサーフCCI6000(非接触式表面粗さ測定装置)を使用して、スライドガラス上に固定した試料を対物レンズ20倍で実態計測し、ロバストガウシアンフィルター0.25mmを使用して、試料の表面粗さを解析して、平均値からの偏差の算術平均値を中心線平均粗さSRa(nm)とした。
巻取機で1000層分の長さを巻き取ったフィルムロールをスリッターで巻出し、蛍光灯下(600ルクス)で、巻き出したフィルムに段差パターンが確認された時点で巻出しを停止した。下記式(3)により、段差パターンが確認された時点のフィルムロールの層数を算出し、フィルム段差によるパターン転写を評価した。
なお、トラバースカッター方式でカットしたフィルムロールの段差パターンは、特徴的な斜めの跡が蛍光灯下で容易に判別可能である。また、巻き込み空気層の厚みは、層数に影響する厚みでないため無視した。
m={(D−d)/2}/t (3)
m:段差パターンが確認された時点のフィルムロールの層数[層]
D:段差パターンが確認された時点のフィルムロールの外径[m]
d:コアの外径[m]
t:フィルム厚み[m]
巻取機で1000層分の長さを巻き取ったフィルムロールについて、フィルムロールの幅を測定し、フィルムロールの幅からフィルム1枚の幅を引いたものを、端面ズレとした。端面ズレが60mm以内であれば、○と評価し、60mmを超えれば、×と評価した。
巻取機で1000層分の長さを巻き取ったフィルムロールについて、巻き上がり直後から24時間経過して新たに目視で確認されるシワが発生した場合、×と評価し、経過変化が見られない場合、○と評価とした。
平均粒子径2.0μmのシリカを0.05質量%を含み、極限粘度が0.69dl/gであるポリエチレンテレフタレートペレットを、押出機にて溶融したのち、Tダイ押出製膜し、厚み1400μmの未延伸フィルムを得た。続いて延伸ロール間で周速を変化させて3.5倍に縦延伸し、厚み400μmの縦延伸フィルムを得た。続いて縦延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、4.0倍に横延伸し、厚み100μm、フィルム幅2mの二軸延伸フィルムに延伸した。
テンター式延伸機から出た二軸延伸フィルムは、巻取り速度30m/分で、巻取機にて巻き取り、トラバースカット法により切断後、新しいコアに巻き替えた。この時、接触ロールとして、直径が300mmであり、表面がクロロプレンゴムでゴムライニングが施され、溝を持たない接触ロールを用い、幅2mのフィルムを巻取りロールに接触力12Nで接触させ、1000層分巻き取った。巻き取られたフィルムのSRaは、55nmであった。
表1に示すように、二軸延伸フィルムの厚み、接触力、巻取り速度を変更した以外は、実施例1と同様に行って、フィルムロールを製造した。
一方、比較例1、2、5では、フィルムロールに巻ずれや外観の問題がなかったが、接触力が強いかまたはフィルムの厚みが厚いため、フィルム段差パターンの転写によるロスが多くなった。
比較例3と4では、フィルム段差パターンの転写によるロスは少なかったが、端面ズレが60mm以上あり、また、24時間後のフィルムロールの中央部にシワが数本見られた。これらは、接触力が弱いかまたは巻取り速度が速く、フィルムロールへの空気の巻き込み量が多かったためとみられる。
Claims (1)
- 厚みが50〜150μmである熱可塑性樹脂フィルムを巻取り、フィルムロールを製造する方法であって、巻き始めから500層目まで、フィルムの巻取り速度(V)と1m幅あたりの巻取りロールへの接触力(P)とが、式(1)および式(2)の関係を満たすことを特徴とするフィルムロールの製造方法。
0.03≦P[N/m]/V[m/分]≦0.3 (1)
V≦120[m/分] (2)
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2012
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