JP2013211101A - 電気化学素子用セパレータ、その製造方法及びそれを用いた電気化学素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】220℃以下に融点を有さない不織布と、融点が80〜150℃であるSD材料を含む熱溶融性の層と、を積層してなる材料であり、下記式(I)の関係が成り立つことを特徴とする電気化学素子用セパレータである。
A>−2.8×10−4×F+150 (I)
(ただし、Aは、単位面積あたりの前記不織布の空隙体積に対する前記熱溶融性の層中のSD材料の体積比率(体積充填率)を示し、Fは、SD材料のメルトフローレート(MFR)を示す。)
【選択図】 図1
Description
しかしながら、このセパレータにおいても、特許文献1の図5に記載されているように、200℃におけるインピーダンスは、セパレータがシャットダウン直後のインピーダンスの1/3〜1/4程度まで低下しており、セパレータの温度環境が200℃の高温を維持された場合にはさらなるインピーダンスの低下が容易に推測される。特許文献1には、この低下を改善できる技術については何ら記載も示唆もない。
しかしながら、特許文献2の図2に記載のセパレータは、170℃を超えるとインピーダンスは急激に低下し、シャットダウン直後の抵抗の1/50〜1/20程度まで低下している。したがって、このセパレータでは高温状態が維持された際、十分な高抵抗維持効果の発現は期待できない。
また、前記特許文献1及び2は、微粒子の含有量及びMFRとの関係等については何ら記載されていない。
下記式(I)の関係が成り立つことを特徴とする。
A>−2.8×10−4×F+150 (I)
(ただし、Aは、単位面積あたりの前記不織布の空隙体積に対する前記熱溶融性の層中のSD材料の体積比率(体積充填率)を示し、Fは、SD材料のメルトフローレート(MFR)を示す。)
不織布としては、目付質量が5g/m2以上が好ましい。目付質量がこの範囲より外れると後加工や電池組立工程におけるハンドリングが難しくなるため、上記範囲が好適である。また、目付質量は、通常、30g/m2以下が好適である。
本発明における不織布は、ウェブを構成する繊維として短繊維あるいは長繊維のいずれを用いてもよく、汎用的な製造方法にて形成される。
前記不織布の製造方法としては、例えば、カード機等を用いて合成樹脂等を解繊してシート状にするカーディングや、解繊した繊維を空気流によりシート状にするエアレイ等、あるいは、繊維を水中に均一に分散しこれをワイヤー上に流してシート状にしてから脱水・乾燥する抄紙法等、更に、紡糸した連続糸を拡げて集積してウェブ状にするスパンボンド法や、紡糸機から出た連続糸を熱風により吹き飛ばした後コンベア上に集めてウェブ状にするメルトブロー法等が挙げられる。また上記方法を組み合わせた方法等のいずれの方法でもよく、複数の製法により製造された不織布が複合されたものであってもよい。さらに、ウェブを接着あるいは絡み合わせる方法としても、接着剤又は熱融着繊維を混合してウェブ中の繊維を接着させる化学的接着法、カレンダー法、エアースルーヒーティング法等の熱的接着法、ニードルパンチ法、水流交絡法、ステッチボンド法等の機械的接着法等のいずれの方法を用いても良い。
また、本発明の不織布の繊維には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の各種添加成分、例えば、結晶核剤、着色防止剤、酸化防止剤、離型剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、あるいは無機粉末等の添加剤を添加することができる。さらに、不織布の繊維の断面は、円形や楕円形、三角や四角等の多角形、扁平や中空等の異型断面形状でもよい。
SD材料としては融点が80〜150℃であればよく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類から適宜選択して用いることができる。特に当該範囲に融点を有し、電気化学的に安定であるポリエチレンが好適である。
(ただし、Aは、単位面積あたりの前記不織布の空隙体積に対する前記熱溶融性の層中のSD材料の体積比率(体積充填率)を示し、Fは、SD材料のメルトフローレート(MFR)を示す。)
上記式(I)のようにA及びFを設定することで、例えばSD材料としてポリエチレンを用いた場合は125℃以上で該積層材料が閉塞し高抵抗化することが出来る。また200℃20分後の抵抗低下率を30%以下に抑えることができる。
具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンーエチルアクリレート共重合体等エチレン−アクリル酸共重合体(EVA)、フッ素樹脂、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリN−ビニルアセトアミド、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、及びポリイミド等が好適に挙げられる。これらバインダは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記SD材料のMFRの上限は、100g/10分以下であるとSD機能を安定して発現できるため好ましく、90g/10分以下がより好ましく、80g/10分以下がさらに好ましい。
MFRが上記範囲内であると不織布の多孔構造を閉塞でき、目的の効果を得られる。
このように形成される繊維を導電性コレクタに堆積させることにより、不織布を得ることができる。
されるものではない。
本発明において、MFR、平均膜厚、体積充填率、SD特性、抵抗維持率、及びガーレー値は以下の方法によって評価を行った。
JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した。前記SD材料7g用いて、メルトインデクサー〔東洋精機製作所製〕を用いて190℃で5分保持した後に3回測定し、その平均値を当該材料のMFRとした。
膜厚測定器として、接触式厚み計〔ピーコック製〕により測定した。試験片膜厚を9点測定して、9点の平均値を平均膜厚とした。
前記不織布材料を巾120mm、長さ150mmで切り取り、質量を測定し、塗工前質量とした。次いで平均膜厚を測定し、塗工前膜厚とした。切り出した材料の塗工前質量、密度(ポリエステル:1.38g/cm3)から算出される物質体積V1と巾、長さ、塗工前膜厚から算出される実体積V2とを用いて、V2−V1を被塗工材料の空隙体積V3とした。
作製したセパレータの質量を測定し、塗工後質量とした。算出した塗工後質量から塗工前質量を減じ、塗工層質量を算出した。塗工層質量とスラリー組成比から算出される塗工層中のSD材料の質量を算出し、SD材料の密度(ポリエチレン:0.94g/cm3)からSD材料の体積を算出し、充填体積V4とした。算出した空隙体積V3と充填体積V4を用いて、下記式(II)より体積充填率とした。
体積充填率 = V4/V3 ×100 (%) (II)
プロピレンカーボネート/ジエチルカーボネートを質量比で8:2で混合した溶媒に1mol/LのEt4NBF4を溶解させた非水電解液と、SD材料積層不織布を2枚のアルミニウム〔ニラコ社製〕集電体の間に接触、介在させたユニット(図2)を準備し、フラットセル〔タクミ技研製、フラットセル〕に装填して評価セルを作製した。
160℃内部抵抗が100Ω以上であればSD特性が発現したと評価し、抵抗維持率は70%以上であれば合格とした。
JIS P8117に準じて測定した。測定装置として、B型ガーレーデンソメーター〔東洋精機社製〕を使用した。試料片を直径28.6mm、面積645mm2の円孔に締め付ける。内筒質量567gにより、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが通過する時間を測定しガーレー値とした。
本発明の不織布は、エレクトロスピニング法で作製した。ポリエステル樹脂をエレクトロスピニング装置〔カトーテック社製、溶融型エレクトロスピニングユニット(商品名)〕内の280℃に加熱したノズルに供給し、1時間過熱した。次いでノズルと導電性コレクタの間に30kVの直流電圧を印加し、紡糸を行った。導電性コレクタ上に堆積したウェブを加熱プレス機でプレスしてシート化することにより、不織布を得た。
不織布の厚みは34μm、ガーレー値は0.1秒/100ml、目付質量は20g/m2であった。
SD材料としてPE粒子〔住友精化社製、HE−3040(商品名)、MFR40g/10分〕とPVB(ポリビニルブチラール)水溶液〔積水化学社製、KW−3(商品名)〕、イオン交換水をPE:PVB:水が95:5:95の質量比率で混合し、スラリーを調製した。
参考例1で作製した不織布を巾120mm、長さ150mmのサイズに切り取り、ガラス板に上端を張り付け、固定した。次いで不織布の両側にスペーサーとして膜厚50μmのポリイミドフィルム〔宇部興産製:ユーピレックス50S〕を貼り付けた後に、前記スラリーをドクターブレードを用いて塗工した。
塗工物をガラス板より取り外し、80℃にて真空乾燥し、SD材料積層不織布1を得た。得られた不織布の特性を表1に示す。
スペーサーの厚みを変える以外は実施例1と同様の方法でSD材料積層不織布2〜3を得た。得られた不織布の特性を表1に示す。
SD材料としてPE粒子〔住友精化社製、CL−2080(商品名)、MFR75g/10分〕を、スペーサーとして膜厚25μmのポリイミドフィルム〔宇部興産製:ユーピレックス25S〕を使用したこと以外は実施例1と同様にしてSD材料積層不織布4を得た。得られた不織布の特性を表1に示す。
スペーサーの厚みを変える以外は実施例4と同様の方法でSD材料積層不織布5〜7を得た。得られた不織布の特性を表1に示す。
SD材料としてPE短繊維〔フルオロシール社製、インヘンス(商品名)、MFR4.6g/10分〕を、スペーサーとして膜厚50μmのポリイミドフィルム〔宇部興産製:ユーピレックス50S〕を使用したこと以外は実施例1と同様にしてSD材料積層不織布8を得た。得られた不織布の特性を表1に示す。
スペーサーの厚みを変える以外は実施例8と同様の方法でSD材料積層不織布9を得た。得られた不織布の特性を表1に示す。
スペーサーを25μmのポリイミドフィルム〔宇部興産製:ユーピレックス25S〕と7.5μmのポリイミドフィルムを積層したもの〔宇部興産製:ユーピレックス75S〕にした以外は実施例1と同様の操作を行い、SD材料積層不織布10を得た。得られた不織布の特性を表1に示す。
スペーサーの厚みを12.5μmにした以外は実施例4と同様の操作を行い、SD材料積層不織布11を得た。得られた不織布の特性を表1に示す。
スペーサーを25μmのポリイミドフィルム〔宇部興産製:ユーピレックス25S〕と7.5μmのポリイミドフィルムを積層したもの〔宇部興産製:ユーピレックス75S〕にした以外は実施例8と同様の操作を行い、SD材料積層不織布12を得た。得られた不織布の特性を表1に示す。
また、SD特性と抵抗維持率の合否と、MFR、体積充填率との関係を図3に示す。
2 不織布
3 アルミニウム板
Claims (10)
- 220℃以下に融点を有さない不織布と、
融点が80〜150℃であるSD材料を含む熱溶融性の層と、
を積層してなる材料であり、
下記式(I)の関係が成り立つことを特徴とする電気化学素子用セパレータ。
A>−2.8×10−4×F+150 (I)
(ただし、Aは、単位面積あたりの前記不織布の空隙体積に対する前記熱溶融性の層中のSD材料の体積比率(体積充填率)を示し、Fは、SD材料のメルトフローレート(MFR)を示す。) - 前記熱溶融性の層にバインダを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子用セパレータ。
- 前記SD材料のMFRが5〜100g/10分であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気化学素子用セパレータ。
- 前記積層材料の膜厚が10μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載の電気化学素子用セパレータ。
- 前記積層材料のガーレー値が0.01秒/100ml以上1000秒/100ml以下であることを特徴とする請求項1〜4に記載の電気化学素子用セパレータ。
- 前記熱溶融性の層の細孔における平均孔径が0.1μm以上であることを特徴とする請求項1〜5に記載の電気化学素子用セパレータ。
- 前記SD材料がポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜6に記載の電気化学素子用セパレータ。
- 前記不織布の50質量%以上がセルロースであることを特徴とする請求項1〜7に記載の電気化学素子用セパレータ。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気化学素子用セパレータを含む電気化学素子。
- 220℃以下に融点を有さない不織布に、
融点が80〜150℃であるSD材料を含む熱溶融性の層をスラリーとして塗工する工程と、
乾燥する工程と、
を含む請求項1〜8に記載の電気化学素子用セパレータの製造方法。
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