JP2013209776A - 高品位、高堅牢性芳香族ポリアミド繊維染色布帛および染色方法 - Google Patents

高品位、高堅牢性芳香族ポリアミド繊維染色布帛および染色方法 Download PDF

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Abstract

【課題】染色が難しい芳香族ポリアミド繊維において、メタ型芳香族ポリアミド繊維とパラ型芳香族ポリアミド繊維の同色性を達成し外観品位を改善した、高品位、高堅牢性アラミド繊維染色布帛および染色方法を提供する。
【解決手段】布帛に成形された後に染色された染色布帛であって、該布帛は、メタ型芳香族ポリアミド繊維およびパラ型芳香族ポリアミド繊維を含み、かつ、カチオン染料およびスレン染料で染色されていることを特徴とする高品位、高堅牢性ポリアミド繊維染色布帛とする。また、メタ型芳香族ポリアミド繊維およびパラ型芳香族ポリアミド繊維を含む布帛を、カチオン染料により染色し、次いでスレン染料により染色する。
【選択図】なし

Description

本発明は、消防士、飛行士、レースドライバー、電力会社もしくは化学会社の作業者など、火炎に曝される可能性のある作業に従事する人々が着用するのに適した耐炎性衣服などに用いる高品位、高堅牢性アラミド繊維染色布帛および染色方法アラミド繊維に関するものである。
アラミド繊維は、高い機械強度と耐熱性、並びに難燃性を有し、それらは特に、消防士、宇宙飛行士、及びパイロットのための服のデザインにおいて、火災又は高温と接触する事を意図した織物繊維として広く使用される。
また前記メタ型アラミド・パラ型アラミド繊維は、結晶性が高く分子間結合力が強固な分子構造を有しており、そのため難染性を示し、たとえば染色できても洗濯などですぐに染料が脱落してしまうなど、従来の染色技術では着色することが難しいという問題があった。
このような問題を解決する方法として、特許文献1には、カチオン系染料によってパラ型アラミド繊維を染色する場合において繊維膨潤剤(キャリア)を用いる方法が開示されている。しかしながら、上記従来の染色方法において、カチオン系染料は、メタ型アラミド繊維とパラ型アラミド繊維の混紡品の場合、メタ型アラミド繊維へ選択的に吸着され、パラ型アラミド繊維の染色が困難である。
米国特許第3,674,420号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、染色が難しい芳香族ポリアミド繊維において、メタ型芳香族ポリアミド繊維とパラ型芳香族ポリアミド繊維の同色性を達成し外観品位を改善した、高品位、高堅牢性アラミド繊維染色布帛および染色方法を提供することを目的とする。
本発明者はスレン染料に着目し、カチオン系染料による染色と組み合わせることにより、メタ型芳香族ポリアミド繊維、パラ型芳香族ポリアミド繊維、さらには脂肪族ポリアミド繊維が含まれる場合は該繊維も、均一に染色され、外観品位のみならず堅牢性にも優れた芳香族ポリアミド繊維が得られることを見出した。
かくして本発明によれば、布帛に成形された後に染色された染色布帛であって、該布帛は、メタ型芳香族ポリアミド繊維およびパラ型芳香族ポリアミド繊維を含み、かつ、カチオン染料およびスレン染料で染色されていることを特徴とする高品位、高堅牢性ポリアミド繊維染色布帛が提供される。
また、メタ型芳香族ポリアミド繊維およびパラ型芳香族ポリアミド繊維を含む布帛を、カチオン染料により染色し、次いでスレン染料により染色することを特徴とする芳香族ポリアミド繊維布帛の染色方法が提供される。
本発明の高品位、高堅牢性芳香族ポリアミド繊維染色布帛は、カチオン系染料で染色された後、スレン染料で染色されていることによって、濃色性や高堅牢性に優れ、極めて高い品位を実現している。また、本発明によれば、カチオン染色後の洗浄が不十分であった場合でも、スレン染色での染色時に還元処理されることにより、より高堅牢性に優れた染色布帛とすることができる。
本発明の高品位、高堅牢性芳香族ポリアミド繊維染色布帛(以下、染色布帛と称することがある)は、布帛に成形された後に染色された染色布帛であって、該布帛は、メタ型芳香族ポリアミド繊維(以下、メタ型アラミド繊維と称することがある)およびパラ型芳香族ポリアミド繊維を(以下、パラ型アラミド繊維と称することがある)含む染色布帛である。
本発明で用いるメタ型アラミド繊維およびパラ型アラミド繊維は、アラミドポリマーからなる繊維であり、該ポリマーは、1種又は2種の以上の2価の芳香族基が直接アミド結合により連結されているポリマーであって、該芳香族基は2価の芳香環が、酸素、硫黄又はアルキレン基で結合されたものであってもよい。また、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてよい。
上記パラ型アラミド繊維は、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等からなるパラ型アラミド繊維、コパラフェニレン−3,4’オキシジフェニレン−テレフタルアミド等の共重合パラ型アラミド繊維が挙げられる。一方、メタ型アラミド繊維は、ポリメタフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド等からなるメタ型アラミド繊維が挙げられ、特に、ポリメタフェニレンイソフタルアミドからなるメタ型アラミド繊維であることが好ましい。
本発明の染色布帛における、メタ型アラミド繊維:パラ型アラミド繊維の重量比率は、好ましくは50:50〜95:5、より好ましくは70:30〜95:5、さらに好ましくは80:20〜95:5である。
本発明の染色布帛の形態は、織物、編物、不織布等いずれの形状であっても良く、メタ型アラミド繊維およびパラ型アラミド繊維、さらに他の繊維を、混紡、交織、交編等で用いることができる。上記の他の繊維としては、脂肪族ポリエステル繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、ポリアクリロニトリル繊維、羊毛、絹等などを挙げることができる。
本発明においては、特に上記の他の繊維として、脂肪族ポリアミド繊維を用いたとき、本発明の効果を発揮する。つまり、アラミド繊維布帛に、脂肪族ポリアミド繊維が混合されている場合でも、カチオン系染料した後、スレン染料で染色することにより、脂肪族ポリアミド繊維も濃色に、かつ布帛全体として均一に染色される。上記脂肪族ポリアミド繊維としては、ナイロン6、ナイロン66などからなる繊維を挙げることができ、脂肪族ポリアミドのみからなる繊維、脂肪族ポリアミドを含むブレンドポリマー、脂肪族ポリアミドを一成分とする複合繊維なども含まれる。
脂肪族ポリアミド繊維は、導電性脂肪族ポリアミド繊維であることが好ましく、脂肪族ポリアミドに導電性カーボンを練り込んだ繊維、鞘部が脂肪族ポリアミド、鞘部が導電性カーボン含有ポリマー、白色導電性ポリマーからなる芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維などを挙げることができる。かかる導電性脂肪族ポリアミド繊維をアラミド繊維布帛に含有させることで、アラミド繊維布帛の摩擦により静電気が発生して、塵埃が付着したり、放電による弊害が生じたり、防爆環境で着火するといったことが起きない染色布帛とすることができる。
本発明においては、以上の繊維の短繊維からなる紡績糸とし、これを用いて布帛としてもよく、その際は、公知の方法により、これらの短繊維を混紡して紡績糸とし、織物、編物といった布帛にすることができる。この際、各繊維の繊維長は、好ましくは25〜200mmであり、より好ましくは30〜150mmであり、繊維長はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
本発明においては、上記染色布帛が、布帛に成形された後に、カチオン染料およびスレン染料で、また、脂肪族ポリアミド繊維を含有する場合、好ましくは該脂肪族ポリアミド繊維が少なくともスレン染料で、染色されていることが肝要である。
カチオン染料とは、水に可溶性で、塩基性を示す基を有する水溶性染料をいい、アクリル繊維、天然繊維あるいはカチオン可染型ポリエステル繊維などの染色に多く用いられているものである。カチオン染料としては適宜選択することができるが、例えばジアクリルメタン系およびトリアクリルメタン系、キノンイミン(アジン、オキサジン、チアジン)系、キサンテン系、メチン系(ポリメチン、アザメチン)、複素環アゾ系(チアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ)、アントラキノン系が挙げられる。また、最近は、塩基性基を封鎖することにより分散型にしたカチオン染料もあるが、両者とも用いることができる。中でもアゾ系が望ましく、例えば、アゾ系としてC.I.Basic Blue54、C.I.Basic Blue3、C.I.Basic Red29、C.I.Basic Yellow67などを例示することができる。
スレン染料とは、水不溶性の染料で、還元作用によってアルカリ性溶液に溶解し、空気によって酸化し、もとの不溶性となって染着する染料である。スレン染料としては適宜選択することができるが、例えばインジゴ系とアントラキノン系などが挙げられる。
以上に説明した染色布帛は、次の染色方法を用いて、異なる繊維をそれぞれ異なる染料により染色することによって製造することができる。すなわち、メタ型アラミド繊維およびパラ型アラミド繊維を含む布帛を、カチオン染料により染色し、次いでスレン染料により染色することを特徴とする染色方法である。かかる方法により、アラミド繊維布帛を均一に染色でき、かつ染色堅牢性の維持に効果があることを見いだしたものである。
したがって、本発明では、先ずカチオン染料を含む染色浴で、メタ型アラミド繊維とパラ型アラミド繊維、特に前者を染色するのに充分な温度に昇温して染色を行い、次いで連続染色でスレン染料を含む染色浴により、メタ型アラミド繊維、パラ型アラミド繊維、脂肪族ポリアミド繊維、特に、パラ型アラミド繊維と脂肪族ポリアミド繊維を染色するのに充分な温度に昇温して染色を行えばよい。例えば、カチオン染料で好ましくは115〜125℃で染色後、スレン染料を用いて好ましくは50〜80℃で連続染色を実施する。スレン染料による染色条件は、スレン染料に浸漬し、圧搾し、温度100〜120℃、時間2〜5分で乾燥を行う方法等を採用することができるが、これに限定されない。本発明においては、染色条件を均一にするため、上記乾燥後に、還元処理を行い、さらに上記と同様の条件で再度乾燥してもよい。
前記カチオン染色においては、キャリア剤を用いることが好ましく、カチオン染料とキャリア剤の同浴の染色処理が採用できる。また、カチオン染色前にアラミド繊維布帛を特殊界面活性剤で処理することで、拡布染色で濃染化が可能となる。
本発明に用いる、キャリア剤としては、例えば、DL−β−エチルフェネチルアルコール、2−エトキシベンジルアルコール、3−クロロベンジルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、2−ニトロベンジルアルコール、p−イソプロピルベンジルアルコール、2−メチルフェネチルアルコール、3−メチルフェネチルアルコール、4−メチルフェネチルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、3−ヨードベンジルアルコール、ケイ皮アルコール、p−アニシルアルコールおよびベンズヒドロールの中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また具体的な商品としては、ベンジルアルコール、ダウケミカル製ダワノールPPH、BOZZETTO製CINDYE DNKが望ましい。また、染色性をより向上させる点で、ベンジルアルコール、中でも、2,5−ジメチルベンジルアルコールまたは2−ニトロベンジルアルコールを用いることが好ましい。
キャリア剤の量は、メタ型アラミド繊維100重量部に対して1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)染色性
マクベス分光光度計(Color−Eye3100)にて測色を行い、見掛けの色の濃さ(色相濃度)K/Sで表した。K/Sは染色された試料の最大吸収波長における反射率Rから下記式に示すクベルカ−ムンク(Kubelka−Munk)の式により求められるものである。測定波長には、Red(540nm)を用いた。
K/S=(1−R)/2R
(2)染色堅牢度
(a)耐光堅牢度
スガ試験機株式会社製キセノンアークを用い、JIS L0843に準じて3級、4級照射で測定した。3級以上を合格とした。
(b)汗堅牢度
JIS L0844に準じて測定し、4級以上を合格とした。
(c)摩擦堅牢度
JIS L0849II型に準じて測定した。乾燥時、湿潤時いずれも3級以上を合格とした。
[実施例1]
単糸繊度1.7dtex、繊維長51mm、捲縮数11ケ/2.5cmのメタ型アラミド繊維(帝人テクノプロダクツ製、商標名「コーネックス」)、単糸繊度1.7dtex、繊維長50mm、捲縮数11ケ/2.5cmのパラ型アラミド繊維(帝人アラミド製、商標名「トワロン」)、単糸繊度4.5dtex、繊維長51mm、捲縮数11ケ/2.5cmの鞘部がナイロン6、鞘部が白色金属化合物である偏心芯鞘型ナイロン導電繊維の1/68の紡績糸を作り、次いで経密度88本/インチ、緯密度74本/インチの綾織物を製織した。
得られた未染色織物を、カチオン染料(日本化薬株式会社製 Kayacryl Red GL−ED)を含む表1の染浴で、常温から昇温して120℃で60分染色した。次いで、水に、ハイドロサルファイト1g/L、ソーダ灰1g/L、界面活性剤(明成化学株式会社製アミラジンD1g/L)を溶解し、還元洗浄用の後処理浴を調整した。この後処理浴に染色を行った織物を投入し、染色機にセットし、撹拌しながら温度を常温から80℃まで昇温速度2℃/分で昇温し、さらに80℃で20分保持し、還元洗浄を行った。なお、以上の染色と洗浄は、織物をそれぞれ上記染浴に投入し、液流染色機(日坂製作所株式会社製高温サーキュラー)にセットし、撹拌しながら上記温度条件で行った。
次いで、新たにスレン染料(Huntsman社製 Novasol RED 2B MD)100g/Lの染色浴に浸漬、圧搾し、乾燥し連続染色し、染色布帛を得た。染色条件は、常温から2℃/分で昇温して、温度70℃、時間60分で染色、浴比1:150で行った。乾燥条件は温度105℃、時間3分で行った。次いでケミカル処理(ハイドロサルファイト20g/L、水酸化ナトリウム20g/Lに浸漬・圧搾・スチーム酸化・湯洗い・水洗い・乾燥)を連続で行った。
[比較例1]
スレン染料で染色しなかったこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表3に示す。
[比較例2]
カチオン染料で染色しなかったこと以外は、実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表3に示す。
[比較例3]
スレン染色に代えて、高浴比ジッガー染色を行った以外は、実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表3に示す。
Figure 2013209776
Figure 2013209776
Figure 2013209776
本発明によれば、耐熱性、難燃性、耐炎性、強度に優れるアラミド繊維のメタ型アラミド繊維とパラ型アラミド繊維の同色性をより容易に得られることにより、外観品位良好でなおかつ染色堅牢度良好なアラミド繊維染色布帛を得られ、必要な色相に対応可能であり衣服素材などに適している。このため、該染色布帛は、消防士、飛行士、レースドライバー、電力会社もしくは化学会社の作業者など、火炎に曝される可能性のある作業に従事する人々が着用するのに適した耐炎性衣服などに幅広く適用することができる。また、本発明の染色方法によれば、アラミド繊維を併用した布帛であっても、鮮明かつ必要な色彩に自在にしかも色ムラなく、かつ染色堅牢性よく染色することができ、産業上の利用価値が極めて高いものである。

Claims (6)

  1. 布帛に成形された後に染色された染色布帛であって、該布帛は、メタ型芳香族ポリアミド繊維およびパラ型芳香族ポリアミド繊維を含み、かつ、カチオン染料およびスレン染料で染色されていることを特徴とする高品位、高堅牢性芳香族ポリアミド繊維染色布帛。
  2. 染色布帛が、脂肪族ポリアミド繊維を含み、少なくとも該脂肪族ポリアミド繊維がスレン染料で染色されている請求項1に記載の高品位、高堅牢性芳香族ポリアミド繊維染色布帛。
  3. 脂肪族ポリアミド繊維が、導電性脂肪族ポリアミド繊維である請求項2に記載の高品位、高堅牢性芳香族ポリアミド繊維染色布帛。
  4. メタ型芳香族ポリアミド繊維およびパラ型芳香族ポリアミド繊維を含む布帛を、カチオン染料により染色し、次いでスレン染料により染色することを特徴とする芳香族ポリアミド繊維布帛の染色方法。
  5. 芳香族ポリアミド布帛が、脂肪族ポリアミド繊維を含む請求項4に記載の芳香族ポリアミド繊維布帛の染色方法。
  6. 脂肪族ポリアミド繊維が、導電性脂肪族ポリアミド繊維である請求項5に記載の芳香族ポリアミド繊維布帛の染色方法。
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