JP5774896B2 - アラミド繊維を含む染色布帛および染色方法 - Google Patents

アラミド繊維を含む染色布帛および染色方法 Download PDF

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本発明は、消防士、飛行士、レースドライバー、電力会社もしくは化学会社の作業者など、火炎に曝される可能性のある作業に従事する人々が着用するのに適した耐炎性衣服などに用いるアラミド繊維を含む染色布帛および染色方法に関するものである。
火炎に曝されても燃焼し難く、かつ熱溶融することのない繊維として、難燃加工された木綿、羊毛、難燃ビニロン、難燃レーヨンなどが知られており、耐炎性衣服素材として提供されている。しかしながら、これらの繊維は、200℃以上の高温に長時間耐え得るほどの耐炎性を有するものではなかった。また、これらの繊維からなる布帛は、本質的に熱セット性に乏しいため、洗濯したり着用したりしているうちにプリーツが消えたり、しわが発生したりして、着用しにくいものであった。
充分な耐熱性、耐炎性を有する素材として、炭素化レーヨン、ポリベンズイミダゾール繊維などが開発され、耐熱・耐炎の衣服素材として提供されている。しかし、これらの繊維は、耐炎性や耐熱性には優れているが、染色性が悪く審美性に欠ける上、風合い、強度などに劣るという欠点があり、衣服素材として満足できるものではなかった。
一方、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維は、耐熱性、耐炎性、強度ともに優れるが、熱セット性に乏しく、該繊維よりなる布帛は形態保持性に乏しいう欠点がある。これに対し、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維と、熱セット性のよいポリエステル繊維を併用し、耐熱性、難燃性、耐炎性を阻害することなく形態保持性を良好にした布帛が提案されており(特許文献1:特開平4−50340号公報)、このように、形態保持性の問題はポリエステル繊維と併用することで解決される。しかし、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維は、染色性が悪く、通常のポリエステル繊維を染色する温度で染色することができないために、ポリエステル繊維と併用した布帛を、色ムラなく染色する方法の開発が望まれている。これを受けて、顔料により原液着色する方法(特許文献2:英国特許第1,438,067号公報)、官能基を導入して染色性を向上させる方法(特許文献3:特公昭44−11168号公報)、キャリヤーを用いてポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維とポリエステル繊維とを同時に染色する方法(特許文献4:米国特許第3,674,420号公報)など多くの方法が提案されている。しかしながら、顔料による原液着色では、色相の範囲が限定されたり、小ロット化やクイックレスポンス化に対応できないという問題があり、一方、官能基を導入して染色性を向上させたり、キャリヤーを用いて共に混用するポリエステル繊維とを同時に染色しようとすると、ポリエステル繊維の染色に用いる分散染料がポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維にも染着するため、この分散染料が染色堅牢性を低下させるという問題がある。またレーヨン繊維の染色に用いる反応染料の助剤であるソーダ灰がカチオン染料を変色させるため、色相の変色させる問題がある。さらに、レーヨン繊維を反応染料や直接染料で染色した場合、染色堅牢性、つまり、耐光堅牢性、耐摩擦堅牢性、洗濯堅牢性などが悪くなるといった問題がある。
特開平4−50340号公報 英国特許第1,438,067号公報 特公昭44−11168号公報 米国特許第3,674,420号公報
本発明の目的は、耐熱性、難燃性、耐炎性、強度に優れるアラミド繊維、形態保持性に優れるポリエステル繊維、涼感および形態保持性に優れるレーヨン繊維のそれぞれの特性が阻害されることなく、必要な色相に自在に染色された、審美性、染色堅牢性に優れたアラミド繊維を含む染色布帛および染色方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、次の方法によりかかる課題を解決できることを見出した。
かくして本発明によれば、少なくともアラミド繊維、ポリエステル繊維、及び、レーヨン繊維からなる布帛を、先ずカチオン染料により染色し、次いで分散染料により染色し、さらにスレン染料により染色することを特徴とするアラミド繊維を含む布帛の染色方法が提供される。
本発明の染色布帛は、耐熱性、難燃性、耐炎性、強度に優れるアラミド繊維、形態保持性に優れるポリエステル繊維、涼感および形態保持性に優れるレーヨン繊維が、それぞれ特定の染料により染色されていることによって、各繊維の特性と、優れた審美性、染色堅牢性とを兼ね備えている。また、本発明の染色方法によれば、芳香族ポリアミド繊維とポリエステル繊維とレーヨン繊維とを併用した布帛であっても、必要な色彩に自在に、しかも色ムラなく、染色堅牢性よく染色することができる。
本発明のアラミド繊維を含む染色布帛は、少なくともアラミド繊維、ポリエステル繊維、及び、レーヨン繊維からなる布帛であり、布帛に成形された後に染色された布帛である。
本発明で用いるアラミド繊維は、アラミドポリマーからなる繊維であり、該ポリマーは、1種又は2種の以上の2価の芳香族基が直接アミド結合により連結されているポリマーであって、該芳香族基は2価の芳香環が、酸素、硫黄又はアルキレン基で結合されたものであってもよい。また、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてよい。
具体的には、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等からなるパラ系アラミド繊維、コパラフェニレン−3,4’オキシジフェニレン−テレフタルアミド等の共重合パラ系アラミド繊維、ポリメタフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド等からなるメタ系アラミド繊維が挙げられる。
本発明においては、アラミド繊維は、中でもメタ系アラミド繊維が好ましく、特に、ポリメタフェニレンイソフタルアミドからなる繊維であることが好ましい。メタ系アラミド繊維には、パラ系アラミド繊維または共重合パラ系アラミド繊維、もしくは両方を、染色布帛に含まれるアラミド繊維の全重量を基準として20重量%以下、好ましくは10重量%以下で混用してもよい。
上記ポリメタフェニレンイソフタルアミドは、下記(イ)〜(ハ)の芳香族ポリアミドを混合したポリマーからなる繊維であってもよい。
(イ)アミン成分が、キシレンジアミン35〜100モル%、芳香族ジアミン65〜0モル%、酸成分が芳香族ジカルボン酸からなる芳香族ポリアミド(特開昭55−21406号公報)。
(ロ)アミン成分が、炭素数1〜4のアルキル置換基を少なくとも1つ有するフェニレンジアミンまたは置換基を有さない芳香族ジアミンであり、酸成分が芳香族ジカルボン酸よりなる芳香族ポリアミド(特開昭55−21407号公報)。
(ハ)アミン成分が、1〜4のハロゲン置換基を有するフェニレンジアミン40〜100モル%と、置換基を有さない芳香族ジアミン60〜0モル%とからなり、酸成分が芳香族ジカルボン酸からなる芳香族ポリアミド(特開昭55−29516号公報)。
本発明では、アラミド繊維が、ポリメタフェニレンイソフタルアミドにアルキルベンゼンスルフォン酸オニウム塩を含有させた易染型ポリメタフェニレンイソフタルアミドであることがより好ましい。アルキルベンゼンスルフォン酸オニウム塩としては、ヘキシルベンゼンスルフォン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ヘキシルベンゼンスルフォン酸トリブチルベンゼンフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸テトラフェニルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸トリブチルテトラデシルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩などの化合物を挙げることができる。中でも、ドデシルベンゼンスルフォン酸テトラブチルフォスフォニウム塩またはドデシルベンゼンスルフォン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩は、入手し易く、熱的安定性も良好な上、N−メチル−2−ピロリドンに対する溶解性も高いため、特に好ましい。
上記のように、アルキルベンゼンスルフォン酸オニウム塩を含有させる場合、ポリメタフェニレンイソフタルアミドに対するアルキルベンゼンスルフォン酸オニウム塩の割合は、好ましくは2.8〜7.0モル%、より好ましくは3.5〜7.0モル%である。アルキルベンゼンスルフォン酸オニウム塩の割合が、2.8モル%未満であると、充分な染色性の改善効果が得られ難く、一方、7.0モル%を超えると、製糸の際に単糸切れが多くなる傾向にある。
さらに、上記ポリメタフェニレンイソフタルアミドには、アルキルベンゼンスルフォン酸オニウム塩とともに、含ハロゲンアルキル(フェニル)フォスフェートが含まれることがより好ましい。含ハロゲンアルキル(フェニル)フォスフェートとしては、トリス(β−クロロプロピル)フォスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)フォスフェート、トリクロロエチルフォスフェート、フェニールジクロロプロピルフォスフェート、トリス(ジクロロフェニル)フォスフェートなどの化合物を挙げることができるが、中でも、トリス(ジクロロフェニル)フォスフェートが好適である。
ポリメタフェニレンイソフタルアミドに対する、含ハロゲンアルキル(フェニル)フォスフェートの割合は、好ましくは0.5〜5.0重量%、より好ましくは1.8〜5.0重量%であり、さらに好ましくは3.0〜5.0重量%である。含ハロゲンアルキル(フェニル)フォスフェートの割合が、0.5重量%未満であると、特異な染色性向上が得られず、一方、5.0重量%を超えると、さほど染色性が向上しなくなるのに加え、染ムラが発生する恐れがある。
メタ系アラミド繊維の固有粘度は、0.5g/100mlの濃硫酸溶液(30℃)で測定した値が0.8〜4.0、特に1.0〜3.0のものが好ましい。また、難燃剤、着色剤、耐光向上剤、艶消剤、導電剤などの添加剤は、発明の目的を損なわない範囲で含有されていてもよい。
パラ系アラミド繊維や共重合パラアラミド繊維も、同様に、難燃剤、着色剤、耐光向上剤、艶消剤などの添加剤を発明の目的を損なわない程度に含有してもよい。
メタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維、共重合パラアラミド繊維の繊維長は、それぞれ25〜200mmであることが好ましい。
また、本発明で用いるポリエステル繊維は、衣料用あるいは産業資材用に一般に用いられているポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリナフタレンテレフタレート繊維などをいい、ポリエステル繊維の特性を損なわない程度に他のジカルボン酸あるいは他のジオール成分を共重合した共重合ポリエステル繊維あるいは改質のために難燃剤、制電剤などの各種添加剤を添加したポリエステル繊維などのいわゆる改質ポリエステル繊維を含むが、リン化合物を共重合した改質ポリエステル繊維が特に好ましい。本発明のリン化合物としては、下記一般式で表される化合物などが挙げられる。
Figure 0005774896
ここで、Rは飽和、開鎖状または環状のアルキレン、アリーレンまたはアルキレン残基を示す。Rは、1〜6のC原子を有するアルキル基、アリール基またはアルキル基を示す。また、残基Rおよび/またはRは、1または2以上のヘテロ原子、特にF、Cl、Br、OまたはSを含有していてもよい。R、Rは、炭素数が1〜18のアルキル基、アリール基または水素原子を示す。
上記リン化合物の具体例としては、例えば下記に示す2−カルボキシ−エチル−メチル−ホスフィン酸、またはその環状無水物などが挙げられる。
Figure 0005774896
上記のリン化合物を共重合した改質ポリエステル繊維では、リン元素量がポリエステル繊維を構成するポリエステルポリマー比で0.3〜1.5重量%であることが好ましい。
ポリエステル繊維の繊維長は、好ましくは25〜200mmであり、より好ましくは30〜150mmである。
本発明においては、ポリエステル繊維の含有量が、染色布帛全重量を基準として好ましくは1〜15重量%であり、より好ましくは5〜15重量%である。ポリエステル繊維の含有量が1重量%未満では染色布帛の形態保持性が低下する傾向にあり好ましくない。一方、ポリエステル繊維の含有量が15重量%を超えると、特にアラミド繊維の含有量が少なくなることにより、染料布帛の耐熱性、耐熱性、難燃性、耐炎性、強度が低下する傾向にあり好ましくない。
さらに、本発明で用いるレーヨン繊維は、難燃剤が添加された難燃レーヨン繊維であることが好ましい。
また、本発明においては、レーヨン繊維の含有量が、染色布帛全重量を基準として好ましくは1〜30重量%であり、より好ましくは5〜25重量%である。レーヨン繊維の含有量が1重量%未満では染色布帛の涼感および形態保持性が低下する傾向にあり好ましくない。一方、レーヨン繊維の含有量が30重量%を超えると、特にアラミド繊維の含有量が少なくなることにより、染料布帛の耐熱性、耐熱性、難燃性、耐炎性、強度が低下する傾向にあり好ましくない。
本発明においては、上記布帛が、布帛に成形された後に染色されており、アラミド繊維がカチオン染料で染色され、ポリエステル繊維が分散染料で染色され、レーヨン繊維がスレン染料で染色されていることが肝要である。
すなわち、アラミド繊維は、実質的にカチオン染料で、ポリエステル繊維は分散染料で、レーヨン繊維はスレン染料で染色させるには、アラミド繊維とポリエステル繊維とレーヨン繊維からなる布帛を先ず、カチオン染料によりアラミド繊維を染色し、次いでカチオン染料によりアラミド繊維のみを染色し、次いでスレン染料によりポリエステル繊維のみを染色することが必要である。
カチオン染料とは、水に可溶性で、塩基性を示す基を有する水溶性染料をいい、アクリル繊維、天然繊維あるいはカチオン可染型ポリエステル繊維などの染色に多く用いられているものである。カチオン染料としては適宜選択することができるが、例えばジアクリルメタン系およびトリアクリルメタン系、キノンイミン(アジン、オキサジン、チアジン)系、キサンテン系、メチン系(ポリメチン、アザメチン)、複素環アゾ系(チアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ)、アントラキノン系が挙げられる。また、最近は、塩基性基を封鎖することにより分散型にしたカチオン染料もあるが、両者とも用いることができる。いずれにしろ、カチオン染料は、ポリエステル繊維への汚染の少ない染料であることが好ましい。
分散染料とは、水に難溶性で、水中に分散した系から疎水性繊維の染色に用いられる染料をいい、ポリエステル繊維やアセテート繊維などの染色に多く用いられるものである。分散染料としては適宜選択することができるが、例えばベンゼンアゾ系(モノアゾ、ジスアゾなど)、複素環アゾ系(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、キノリンアゾ、ピリゾンアゾ、イミダゾールアゾ、チオフェンアゾなど)、アントラキノン系、縮合系(キノフタリン、スチリル、クマリンなど)などが挙げられる。
スレン染料とは、水不溶性の染料で、還元作用によってアルカリ性溶液に溶解し、空気によって酸化し、もとの不溶性となって染着する染料である。
以上に説明した染色布帛は、次の染色方法を用いて、異なる繊維をそれぞれ異なる染料により染色することによって製造することができる。すなわち、少なくともアラミド繊維、ポリエステル繊維、及び、レーヨン繊維からなる布帛を、先ずカチオン染料により染色し、次いで分散染料により染色し、次いでスレン染料により染色する染色方法である。
通常、異種素材を混用した布帛を染色する際には、それぞれの繊維を充分染色し、かつ染色堅牢性を維持させるために、例えば、ポリエステル繊維とナイロンからなる布帛では先ず分散染料でポリエステル繊維を染色し、次いでナイロンに染着した分散染料を脱色後ナイロンを酸性染料で染色するなど、2浴染色が一般に行われる。
アラミド繊維、ポリエステル繊維、およびレーヨン繊維からなる布帛でも、分散染料、反応染料がいずれかの繊維にも染着し、特にアラミド繊維に染着した分散染料が染色堅牢性を阻害するが、上記のポリエステル繊維とナイロンからなる布帛と同様に、染色堅牢性を阻害する繊維側に染着した分散染料を脱色しようとしても、アラミド繊維に染着した分散染料は、脱色することが難しく、条件を厳しくして脱色を行うと、アラミド繊維よりもポリエステル繊維が脱色されるために、ポリエステル繊維とナイロン混の布帛のような処理は採用できない。
本発明では、染色前の布帛を、先ずカチオン染料によりアラミド繊維を染色する充分な温度に昇温して染色を行い、次いで分散染料によりポリエステル繊維を染色するに充分な温度に昇温して染色を行い、次いでスレン染料によりレーヨン繊維を染色するのに充分な温度に昇温して染色を行うことが、それぞれの繊維を充分に染色し、かつ染色堅牢性の維持に効果があることを見いだしたものである。
このように、それぞれの繊維をそれぞれに適した染料で染色するには、アラミド繊維(特にポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維)、ポリエステル繊維、およびレーヨン繊維からなる布帛を、カチオン染料により、好ましくは125℃以下、より好ましくは120〜125℃で染色し、次いで、分散染料により、好ましくは130℃以上、より好ましくは130〜135℃で染色し、次いで、スレン染料により、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃〜60℃で染色すればよい。
上記染色においては、カチオン染料による染色が終了したのち、分散染料による染色を行うが、この際にカチオン染料を含む浴を80℃以下に冷却したのち、分散染料を加えて昇温してもよく、あるいはカチオン染料を含む浴を一旦廃液して新たに分散染料を含む染浴を調整し直してから染色を初めても良い。分散染料による染色が終了したのち、スレン染料による染色を行うが、この際に分散染料を含む浴を80℃以下に冷却したのち、スレン染料を加えて昇温してもよく、あるいは分散染料を含む浴を一旦廃液して新たにスレン染料を含む染浴を調整し直してから染色を初めてもよい。
また易染化されたポリメタフェニレンイソフタルアミドを用いることにより、カチオン染料による染色温度を下げる場合には、ポリエステル繊維は130℃よりも低い温度で染色が可能なリン化合物を共重合した難燃ポリエステルなどを用いることにより、分散染料による染色温度を低くしてポリメタフェニレンイソフタルアミドへの分散染料の染着を防止するなどの方法がある。
本発明においては、アラミド繊維をカチオン染料で染色する際、キャリヤー剤を用いるのが好ましく、該キャリヤー剤は、例えば、DL−β−エチルフェネチルアルコール、2−エトキシベンジルアルコール、3−クロロベンジルアルコール、2,5−ジメチルベンジルアルコール、2−ニトロベンジルアルコール、p−イソプロピルベンジルアルコール、2−メチルフェネチルアルコール、3−メチルフェネチルアルコール、4−メチルフェネチルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、3−ヨードベンジルアルコール、ケイ皮アルコール、p−アニシルアルコールおよびベンズヒドロールの中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また、具体的な商品としては、ベンジルアルコール、ダウケミカル製ダワノールPPH、BOZZETTO製CINDYEDNKが望ましい。また、白度をより向上させる点で、ベンジルアルコール、中でも、2,5−ジメチルベンジルアルコールまたは2−ニトロベンジルアルコールを用いることが好ましい。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)染色性
マクベス分光光度計(Color-Eye3100)にて測色を行い、見掛けの色の濃さ(色相濃度)K/Sで表した。K/Sは染色された試料の最大吸収波長における反射率Rから下記式に示すクベルカ−ムンク(Kubelka-Munk)の式により求められるものである。測定波長には、Red(540nm)を用いた。
K/S=(1−R)/2R
(2)染色堅牢度
(a)耐光堅牢度
スガ試験機株式会社製紫外線フェードメーターを用い、JIS L0842第3露光法に準じて20時間照射で測定した。3級以上を合格とした。
(b)洗濯堅牢度
JIS L0844に準じて測定し、3級以上を合格とした。
(c)摩擦堅牢度
JIS L0849II型に準じて測定した。乾燥時、湿潤時いずれも3級以上を合格とした。
[実施例1]
単糸繊度1.7dtex、繊維長51mm、捲縮数11ケ/2.5cmのメタ型アラミド繊維(帝人テクノプロダクツ製、商標名「コーネックス」)、単糸繊度2.2dtex、繊維長51mm、捲縮数12ケ/2.5cmの、2−カルボキシ−エチル−メチル−ホスフィン酸をリン元素量がポリマー比0.6重量%共重合したポリエチレンテレフタレート短繊維(セミダル)(帝人ファイバー(株)製)、また、単糸繊度2.2dtex、繊維長51mm、捲縮数10ケ/2.5cmの難燃レーヨン繊維(レンチング社製)を60/15/25の重量比率で混合して、毛番手で2/68の紡績糸を作り、次いで経密度88本/インチ、緯密度74本/インチの綾織物を製織した。この織物を毛焼き、精練、乾燥、熱処理を行い、未染色織物を得た。
得られた未染色織物を、カチオン染料(日本化薬株式会社製 Kayacryl Red GL-ED)を含む表1の染浴で、常温から昇温して120℃で60分染色した。次いで、新たに分散染料(日本化薬株式会社製 Kayalon Polyester Red BR-S)を含む表2の染浴で、常温から昇温して130℃で60分染色した。次いで、新たにスレン染料(Huntsman社製 Novasol RED 2B MD)含む表3の染浴で、常温から昇温して60℃で60分間染色した。なお、以上の染色は、織物を、それぞれ上記染浴に投入し、液流染色機(日阪製作所株式会社製高温サーキュラー)にセットし、攪拌しながら上記温度条件にて行った。
また、水に、ハイドロサルファイト1g/L、ソーダ灰1g/L、界面活性剤(明成化学株式会社製アミラジンD1g/L)を溶解し、還元洗浄用の後処理浴を調整した。この後処理浴に染色を行った織物を投入し、上記液流染色機にセットし、撹拌しながら温度を常温から80℃まで昇温速度2℃/分で昇温し、さらに80℃で20分保持し、還元洗浄を行った。冷却した後、染色物を取り出し、水洗し、風乾、加熱処理して仕上げた。加熱処理は、温度190℃、時間2分で行い、染色布帛を得た。結果を表5に示す。
Figure 0005774896
Figure 0005774896
Figure 0005774896
Figure 0005774896
[実施例2]
固有粘度(IV)が1.35dl/gのポリメタフェニレンイソフタルアミド30gをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)110gに溶解し、さらに3.6gのドデシルベンゼンスルフォン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩を混合溶解し、減圧脱法して紡糸ドープとした。
このドープを85℃に加温し、口径0.07ミリ、孔数200の紡糸口金から凝固浴に湿式紡糸した。凝固浴の組成は、塩化カルシウムが40重量%、NMPが5重量%、残りの水は55重量%であり、該凝固浴の温度は85℃であった。
この糸条を凝固浴中に約10cm走行させ6.2m/分の速度で引き出した後、該糸条を水洗し、95℃の温水で3.3倍に延伸して120℃のロールで乾燥した後、300℃の熱板上で1.0倍延伸して444dtex/200フィラメントの延伸糸を得た。この延伸糸を100本集束してトウとし、捲縮を付与した後カットした。得られたメタ系アラミド繊維は、単糸繊度が1.7dtex、繊維長が51mm、捲縮数が10ケ/2.5cmであった。
実施例1のメタ系アラミド繊維(帝人テクノプロダクツ製、商標名「コーネックス」)に代えて上記のメタ系アラミド繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表5に示す。
[実施例3]
カチオン染料、分散染料、スレン染料の染色温度を表5のように変更した以外は、実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表5に示す。
[比較例1]
実施例1と同様にして得られた未染色織物を用い、表2に示した染浴で常温から130℃に昇温して60分間染色し、次いで、新たに表1の染浴で同様に常温から昇温し、120℃で60分間染色し、次いで、新たに表3の染浴で同様に常温から昇温し、60℃で60分染色した。それ以外は、実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表5に示す。
[比較例2]
実施例1と同様にして得られた未染色織物を用い、表2に示した染浴で、常温から昇温して130℃で60分間染色し、次いで実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表5に示す。
[比較例3]
実施例1と同様にして得られた未染色織物を用い、表3に示した染浴で、常温から60℃に昇温して60分間染色し、次いで実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表5に示す。
[比較例4]
実施例1と同様にして得られた未染色織物を用い、表1に示した染浴で、常温から120℃に昇温して60分間染色し、次いで実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表5に示す。
[比較例5]
スレン染料に代えて反応染料を用い、表4の染浴で同様に常温から昇温し、60℃で60分染色した以外は、実施例1と同様にして染色布帛を得た。結果を表5に示す。
Figure 0005774896
本発明の染色布帛は、耐熱性、難燃性、耐炎性、強度に優れるアラミド繊維、形態保持性に優れるポリエステル繊維、涼感および形態保持性に優れるレーヨン繊維が、必要な色相に、染色堅牢性よく染色されており、各繊維の特性と審美性とを兼ね備えており、衣服素材などに適している。このため、該染色布帛は、消防士、飛行士、レースドライバー、電力会社もしくは化学会社の作業者など、火炎に曝される可能性のある作業に従事する人々が着用するのに適した耐炎性衣服などに幅広く適用することができる。また、本発明の染色方法によれば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維を併用した布帛であっても、鮮明かつ必要な色彩に自在にしかも色ムラなく、かつ染色堅牢性よく染色することができ、産業上の利用価値が極めて高いものである。

Claims (8)

  1. 少なくともアラミド繊維、ポリエステル繊維、及び、レーヨン繊維からなる布帛を、先ずカチオン染料により染色し、次いで分散染料により染色し、さらにスレン染料により染色することを特徴とするアラミド繊維を含む布帛の染色方法。
  2. アラミド繊維が、ポリメタフェニレンイソフタルアミドからなる繊維である請求項1記載のアラミド繊維を含む布帛の染色方法。
  3. ポリエステル繊維が、難燃ポリエステル繊維である請求項1または2に記載のアラミド繊維を含む布帛の染色方法。
  4. 難燃ポリエステル繊維が、リン化合物との共重合ポリエステル繊維である請求項3に記載のアラミド繊維を含む布帛の染色方法。
  5. レーヨン繊維が、難燃レーヨン繊維である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアラミド繊維を含む布帛の染色方法。
  6. ポリエステル繊維の含有量が、染色布帛全重量を基準として1〜20重量%である請求項1〜5のいずれかに記載のアラミド繊維を含む布帛の染色方法。
  7. レーヨン繊維の含有量が、染色布帛全重量を基準として1〜30重量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載のアラミド繊維を含む布帛の染色方法。
  8. スレン染料の染色を60℃以下で行う請求項1〜7のいずれか1項に記載のアラミド繊維を含む布帛の染色方法。
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