JP2013209508A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 放熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびその成形物を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)に熱伝導フィラー(B)と複合酸化物(C)を配合した熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を提供することで、上記課題を解決する。また、上記複合酸化物(C)が、ケイ素元素を含有するもの、特にステアタイト、エンスタタイト、ウレイマイト、コーディエライト、フォルステライト、ジルコン、ムライトから選択される少なくとも1種である、熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を提供することで、上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、放熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関するものである。
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などに代表される電子機器の発展は目まぐるしく、より高密度、高出力、軽量化を目指した開発が進められている。高性能化に伴い、単位面積あたりの発熱量は増大しており、電子部品は長時間高温環境にあると、動作が不安定となり、誤動作、性能低下、故障へと繋がるため、発生した熱を効率良く放熱する要求が高まっている。また、白熱電灯や蛍光灯に対し長寿命で低消費電力かつ低環境負荷であることから、急激に需要が拡大している発光ダイオード(LED)を光源とする照明装置においても放熱対策は必須となっている。
これまで、高い熱伝導性を必要とする部材には、主に金属材料が用いられてきたが、電気・電子部品の小型化に適合する上で金属材料は、軽量性や成形加工性の面で難があり、樹脂材料への代替が進みつつある。熱可塑性樹脂は、成形加工の容易さ、外観、経済性、機械的強度、その他、物理的、化学的特性に優れているが、樹脂系材料は一般に熱伝導性が低いため、熱可塑性樹脂に、熱伝導性フィラーを配合し、熱伝導性を高める事が検討されている。熱伝導率を高めるため、熱伝導フィラーを高充填する事が検討されているが、アルミナの様な高硬度のフィラーを高充填すると、混練機の軸の劣化や機器の故障等が発生する問題がある。
一方で、熱放射性を有する複合酸化物フィラーを配合する検討も行われており、放熱性が高い樹脂組成物として、遠赤外線を放射するセラミックス粒子、硬化性樹脂組成物を含有してなり、硬化物の全容量に対して、遠赤外線を放射するセラミックス粒子が60容量%以上であることを特徴とするソルダーレジスト用組成物が記載されており、30ミクロン程度の薄膜で効果が確認されている(特許文献1参照)。
無機充填材の含有量が封止用エポキシ樹脂組成物全量に対して、50〜90重量%である封止用エポキシ樹脂組成物において、前記無機充填材が、タルク、エンステタイト、ペタライト、β−スポジュメン、ワラストナイト、アノーサイト、カオリン、ムライト及びコーディエライトの群から選択される少なくとも1種を含み、かつ、前記無機充填材に含まれる不純イオンの含有量が無機充填材の全量に対して50ppm以下である封止用エポキシ樹脂組成物が記載されているが、これらの無機充填材だけでは、高充填でなければ、充分な熱伝導性は得られない(特許文献2参照)。
熱放射性の高い皮膜として、耐熱性樹脂と赤外線輻射材となる2種以上の金属酸化物粒子と1種以上の熱伝導性粒子とを有する赤外線輻射被膜で、被膜膜厚が概略10ミクロンを上限とする事で、熱放射特性が高められる事が記載されている(特許文献3)
特開2007−191519 特開平8−319341 特開2009−106823
本発明の課題は、放熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびその成形物を提供する事にある。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂(A)、熱伝導フィラー(B)、複合酸化物(C)からなる熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を提供するものである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂(A)に熱伝導フィラー(B)と複合酸化物(C)を配合した熱可塑性樹脂組成物およびその成形体が優れた放熱性を示す事を見出した。
具体的には、複合酸化物(C)は、高い放射率を持つ化合物であり、遠赤外線放射特性を有するものであり、この遠赤外線放射特性を利用した放熱塗料等が知られており、数ミクロンから数十ミクロンの薄膜でのみ、効果的な熱放射性を示し、厚膜ではその効果が得られない。本発明者らは、高い放射率を示す物質が高い熱吸収性を示す事に着目し、成形材料において、高い熱吸収性を有する複合酸化物(C)と高い熱伝導性を有する熱伝導フィラー(B)とを組み合わせ、熱可塑性樹脂に配合する事で、優れた放熱性を示す熱可塑性樹脂組成物が得られる事を見出した。
さらに、熱伝導性フィラー(B)と複合酸化物(C)を組み合わせる事で、熱可塑性樹脂への混練性を向上し、高充填化が可能になり、フィラーに比べ熱伝導性が大幅に低い熱可塑性樹脂の成形物中の容量の低減化が可能になり、その結果として、熱伝導性の高い成形物を容易に得る事ができる。例えば、アルミナ等の高硬度フィラーを熱可塑性樹脂に高充填する場合に機械に対する負荷が高く、溶融混練が困難になるが、熱伝導フィラーの一部を複合酸化物に置き換える事により、熱伝導率の大幅な低下を起こさずに、溶融混練性が向上するなど、熱伝導性フィラーの欠点を補う効果も確認できた。
(熱可塑性樹脂(A))
本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)は成形材料等に使用される公知慣用の樹脂である。具体的には、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、フッ化樹脂、液晶ポリマー、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられる。少なくとも1種の熱可塑性樹脂が選択されて使用されるが、目的に応じて、2種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせての使用も可能である。
(熱伝導性フィラー(B))
本発明で使用する熱伝導性フィラー(B)として、公知慣用の金属系ファイラー、無機化合物フィラー、炭素系フィラー等が使用される。具体的には、例えば、銀、銅、アルミニウム、鉄等の金属系フィラー、アルミナ、マグネシア、ベリリア、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン等の無機系フィラー、ダイヤモンド、黒鉛、グラファイト、炭素繊維等の炭素系フィラーなどが挙げられる。少なくとも1種の熱伝導性フィラーが選択されて使用されるが、結晶形、粒子サイズ等が異なる1種あるいは複数種の熱伝導性フィラーを組み合わせて使用する事も可能である。
電子機器等で用途で放熱性が必要とされる場合には、電気絶縁性が求められる事が多く、これらのフィラーの内、体積固有抵抗の高いアルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ベリリア、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンドから選択される少なくとも1種の熱伝導性フィラーの使用が好ましい。
これらの熱伝導性フィラー(B)として、表面処理を行ったものを使用する事もできる。例えば、無機系フィラーなどは、シラン系およびまたはチタネート系カップリング剤などで表面改質されたものを使用する事ができる。
(複合酸化物(C))
本発明で使用する複合酸化物(C)とは、2種以上の金属成分を含む酸化物であり、単純な単独の金属酸化物の混合物とは異なり、酸素を介した異種金属成分の結合を有する酸化物である。成形物の物性面から、水酸化物や結晶水を含まない金属酸化物が好ましく、例えば、ステアタイト、エンステタイト、ウレイマイト、ディオブサイド、コーディエライト、フォルステライト、ジルコン、ムライト、ペタライト、スポジュメン、ワラストナイト、アノーサイト、アルバイト等が挙げられる。
少なくとも1種の複合酸化物(C)が選択されて使用されるが、結晶形、粒子サイズ等が異なる1種あるいは複数種の複合酸化物を組み合わせて使用する事も可能である。ケイ素元素を含む複合酸化物が好ましく、さらに、成形物の物性面からアルカリ金属元素、第2族アルカリ土類金属を含まない複合酸化物が好ましい。特に、好ましくは、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛から選択される少なくとも1種の金属とケイ素元素からなる複合酸化物であるステアタイト、エンステタイト、ウレイマイト、コーディエライト、フォルステライト、ジルコン、ムライトの使用であり、最も好ましいのは、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素の3元系複合酸化物であるコーディエライト、マグネシウム、ケイ素の2元系複合酸化物であるフォルステライトあるいはアルミニウム、ケイ素の2元系複合酸化物であるムライトの使用である。これらの複合酸化物(C)として、表面処理を行ったものを使用する事もできる。
(熱可塑性樹脂組成物)
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知慣用の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く使用でき、熱可塑性樹脂(A)、熱伝導性フィラー(B)、複合酸化物(C)および必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー、混合ロールなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて外部滑剤、内部滑剤、酸化防止剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の補強材、各色着色剤等を添加することができる。
熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂(A)、熱伝導フィラー(B)、複合酸化物(C)の構成比に特に制限は無く、用途で必要とされる熱伝導度に応じた構成比で配合される。通常、熱可塑性樹脂(A)に対する熱伝導フィラー(B)と複合酸化物(C)の合計の構成比は容量比で75/25〜35/65が好ましく、熱可塑性樹脂の量が75容量%より少なければと、充分な熱伝導性が得られ、35容量%より多ければ樹脂組成物の製造が容易であるため、好ましい。熱伝導性フィラー(B)と複合酸化物(C)の構成比にも特に制限は無く、用途で必要とされる熱伝導度、生産性等に応じた構成比で配合される。通常、熱伝導フィラー(B)に対する複合酸化物フィラーの構成比は容量比で、95/5〜5/95であり、熱伝導フィラー(B)の量が95容量%以上では、複合酸化物(C)の添加効果は低く、5容量%以下では充分な熱伝導性を得る事が困難である。好ましくは、95/5〜25/75であり、より好ましくは、95/5〜50/50である。
(成形物)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種の成形法で成形して成形物として用いることができる。その成形法は、熱可塑性樹脂を成形する公知慣用の方法が利用でき、例えば、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下ことわりのない場合、「%」は「容量%」を、「部」は「容量部」を表す。
(実施例1 ポリカーボネート樹脂成形体および成形体の製造方法)
熱可塑性樹脂としてユーピロンS3000F(三菱エンジニアリングプラスチックス製ポリカーボネート樹脂)、熱伝導フィラーとしてのPCTP30(サンゴバン株式会社製窒化ホウ素)、複合酸化物としてのSS1000(丸ス釉薬合資会社製合成コーディエライト)を60/35/5の容量比で均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度250℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理し、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。次に、得られたポリカーボネート樹脂組成物を金型に入れ加工温度250℃で熱プレス成形を行うことで、1mm厚のプレス成形体を作製した。作製したプレス成形品を、迅速熱伝導率計(京都電子工業社製、QTM−500)を用いて、熱伝導率を測定した結果、熱伝導率は3.4W/m・Kであり、標準品(比較例1)より高い熱伝導率を示した。コーディエライトの熱伝導率は4W/m・Kであり、窒化ホウ素の60W/m・Kに比較して大幅に低いが、熱伝導性フィラーと複合酸化物の併用による熱伝導性向上効果が確認できた。
(実施例2〜8)
熱可塑性樹脂、熱伝導フィラー、複合酸化物の種類および量を、表1および表2に示す様に変更、熱可塑性樹脂がポリフェニレンの場合のラボプラストミルの混練温度およびプレス成形の加工温度を300℃にする以外は、実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物を作製し、プレス成形物を得、熱伝導率を測定した。
Figure 2013209508
S3000:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂
LR100G:DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド
PCTP30:サンゴバン株式会社製窒化ホウ素
DAW10:電気化学工業株式会社製球状アルミナ
RF50C:宇部マテリアルズ株式会社製酸化マグネシウム
SS200:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径7.5ミクロン)
SS1000:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径1.7ミクロン)
FF−200・M40:丸ス釉薬有限会社製フォルステライト
KM101:共立マテリアル株式会社製ムライト
Figure 2013209508
S3000:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂
LR100G:DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド
PCTP30:サンゴバン株式会社製窒化ホウ素
DAW10:電気化学工業株式会社製球状アルミナ
RF50C:宇部マテリアルズ株式会社製酸化マグネシウム
SS200:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径7.5ミクロン)
SS1000:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径1.7ミクロン)
FF−200・M40:丸ス釉薬有限会社製フォルステライト
KM101:共立マテリアル株式会社製ムライト
(比較例1)
熱可塑性樹脂としてユーピロンS3000F(三菱エンジニアリングプラスチックス製ポリカーボネート樹脂)、熱伝導フィラーとしてのPCTP30(サンゴバン株式会社製窒化ホウ素)を60/40容量比で均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度250℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理し、ポリカーボネート樹脂組成物を得た。次に、実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物を作製し、プレス成形物を得、熱伝導性を測定した結果、熱伝導率は2.8W/m・Kであった。
(比較例2〜7)
熱可塑性樹脂、熱伝導フィラー、複合酸化物の種類および量を、表3および表4に示す様に変更、熱可塑性樹脂がポリフェニレンの場合のラボプラストミルの混練温度およびプレス成形の加工温度を300℃にする以外は、実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物を作製し、プレス成形物を得、熱伝導率を測定した。
Figure 2013209508
S3000:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂
LR100G:DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド
PCTP30:サンゴバン株式会社製窒化ホウ素
DAW10:電気化学工業株式会社製球状アルミナ
RF50C:宇部マテリアルズ株式会社製酸化マグネシウム
SS200:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径7.5ミクロン)
SS1000:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径1.7ミクロン)
FF−200・M40:丸ス釉薬有限会社製フォルステライト
KM101:共立マテリアル株式会社製ムライト
Figure 2013209508
S3000:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂
LR100G:DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド
PCTP30:サンゴバン株式会社製窒化ホウ素
DAW10:電気化学工業株式会社製球状アルミナ
RF50C:宇部マテリアルズ株式会社製酸化マグネシウム
SS200:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径7.5ミクロン)
SS1000:丸ス釉薬有限会社製コーディエライト(平均粒子径1.7ミクロン)
FF−200・M40:丸ス釉薬有限会社製フォルステライト
KM101:共立マテリアル株式会社製ムライト
(実施例9)
熱可塑性樹脂としてDIC・PPS LR100G(DIC株式会社製ポリフェニレンスルフィド樹脂)、熱伝導フィラーとしてのDAW5(電気化学工業株式会社製酸化アルミニウム)、複合酸化物としてのSS200(丸ス釉薬合資会社製合成コーディエライト)を40/40/20の容量比で均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度300℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理し、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物を得た。ラボプラストミルによる混練中も特に問題なく、容易に樹脂組成物が得られた。
(比較例8)
熱可塑性樹脂としてDIC・PPS LR100G(DIC株式会社製ポリフェニレンサルファイド樹脂)、熱伝導フィラーとしてのDAW5(電気化学工業株式会社製酸化アルミニウム)を40/60の容量比で均一にドライブレンドした後、樹脂溶融混練装置ラボプラストミルにより混練温度300℃、回転数80rpmの条件で溶融混練処理を行ったが、充分に混練が行えない段階で、ラボプラストミルに異音が発生し、良好なポリフェニレンサルファイド樹脂組成物を得る事が出来なかった。
実施例1および実施例2において、60W/m・Kの熱伝導率の窒化ホウ素を減量し、熱伝導率が4W/m・Kと低いコーディエライトに置換を行っても、比較例1に示す標準品よりも高い熱伝導率を示しており、熱伝導性フィラーと複合酸化物の併用による熱伝導性向上効果が確認できた。また、実施例3、実施例4、実施例6、および実施例7において、酸化マグネシウムの40W/m・Kを減量し、熱伝導率が低いコーディエライト、フォルステライト、ムライト等に置換を行っても、比較例2に示す標準品と同等の熱伝導率を示した。実施例5において、比較例1と同等の熱伝導率を示し、熱伝導性フィラーと複合酸化物の併用効果が確認できた。実施例8において、36W/m・Kの熱伝導率のアルミナを減量し、コーディエライトに置換を行っても、比較例3に示す標準品と同等の熱伝導率を示した。なお、コーディエライト、フォルステライト、ムライトを単独の熱伝導率は、比較例4〜8に示す様に、0.6〜0.7と低く、これらとの比較からも、熱伝導性フィラーと複合酸化物の併用した樹脂組成物の有効性が確認できる。
本発明の樹脂組成物は、熱伝導性及び放熱性に優れた高熱伝導性の樹脂組成物であり、これを成形した成形品としては、電子、電気、OA機器等の電子部品やLED照明用の放熱部材に使用できる。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂(A)、熱伝導フィラー(B)、複合酸化物(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物。
  2. 上記複合酸化物(C)が、ケイ素元素を含有するものである、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 上記複合酸化物(C)が、ステアタイト、エンスタタイト、ウレイマイト、コーディエライト、フォルステライト、ジルコン、ムライトから選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 熱伝導フィラー(B)が10W/m・K以上の熱伝導率を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 熱伝導フィラー(B)が、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ベリリア、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ダイヤモンドから選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5に記載の熱可塑性樹脂組成物より得られる成形体。
  7. 請求項6に記載の成形体を用いてなる放熱材料。
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