JP6421448B2 - 複合粒子、その製造方法及び樹脂組成物 - Google Patents
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Description
また、該複合粒子を含有する樹脂組成物及び成形体が、熱伝導性に優れることを見出した。
また、複合粒子が機械的強度に優れることから、成形時の衝撃でも粒子形態が保持されるため、得られる成形体の熱伝導率は異方性が大きく低減する。
本発明で使用する無機粒子としては、公知慣用の金属系ファイラー、無機化合物フィラー等が使用される。具体的には、例えば、銀、銅、アルミニウム、鉄等の金属系フィラー、アルミナ、マグネシア、ベリリア、シリカ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン等の無機系フィラー、ステアタイト、エンステタイト、ウレイマイト、ディオブサイド、コーディエライト、フォルステライト、ジルコン、ムライト、ペタライト、スポジュメン、ワラストナイト、アノーサイト、アルバイト等の複合酸化物などが挙げられ、好ましくは熱伝導性フィラーである。用いる無機粒子は結晶形、粒子サイズ等が異なる1種あるいは複数種の無機粒子を組み合わせて使用する事も可能である。
これらの無機粒子として、表面処理を行ったものを使用する事もできる。例えば、無機酸化物粒子などは、シラン系およびまたはチタネート系カップリング剤などで表面改質されたものを使用する事ができる。
本発明の板状粒子とは、熱伝導性フィラーであって、粒子の形状が長さ又は幅方向に比べて厚みが少ない形状の粒子であり、板状・薄片状・鱗片状・フレーク状とも言われる。板状粒子の平均アスペクト比は8以上であることが好ましく、より好ましくは10以上である。
本発明の棒状粒子とは、粒子の形状が長さ方向に比べて幅及び厚みが少ない形状の熱伝導フィラーであり、棒状、針状、糸状、ロッド状とも言われる。棒状粒子としては、例えば、繊維径が平均0.1〜10μmで短繊維長が平均1〜100μm、好ましくは平均10〜50μmの微細な繊維形状のものが挙げられる。棒状粒子の平均アスペクト比は10以上であることが好ましく、より好ましくは50以上である。
本発明のメカノケミカル処理とは、前記板状粒子または棒状粒子と、無機粒子とに高せん断力を与えつつ混合する処理のことである。
メカノケミカル処理を行うための機器としては、板状粒子または棒状粒子にせん断力を加え、無機粒子に固着させる事ができる装置が好ましく、エッジランナーミル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等のホイール型混練機、遊星ボールミル、転動ボールミル、遠心ボールミル、振動ボールミル等のボール型混練機、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等のブレード型混練機、エクストルーダー等のロール型混練機が挙げられる。
旋回流型ジェットミル、流動層型ジェットミル等のジェット型粉砕機、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル等の衝撃式粉砕機、リングローラミル、遠心ローラミル等のローラミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、アニュラミル等の攪拌ミルも使用が可能であり、さらに、ホソカワミクロンのノビルタ、メカノフュージョン、奈良製作所のハイブリダイゼーションシステム、ミラーロ等の粉体の表面処理に特化した機器を使用する事も可能である。
例えば、遊星ボールミルを用いて、窒化ホウ素をアルミナ粒子の様な高硬度の無機粒子に固着させる場合には、ジルコニアビーズの様に高硬度のメディアを用いて、高シェアーを加えても、アルミナ粒子の粉砕は殆ど起こらず、複合粒子が得られるが、板状粒子または棒状粒子を破砕され易い無機粒子に固着させる場合には、ナイロンビーズの様なソフトなメディアを使用するか、あるいは低シェアーの条件でメカノケミカル処理を行うことで、窒化ホウ素の層状構造の破砕を抑制し、空隙を含まない複合粒子が形成され、熱伝導率が向上する。
メカノケミカル処理の時間に特に制限は無く、選択される無機粒子の種類、メカノケミカル処理を行う機器により決定される。
本発明の熱伝導性複合粒子は、無機粒子に、高せん断の機械的衝撃を与えるメカノケミカル処理によって、熱伝導性フィラーである板状粒子または棒状粒子を結合させることで、得られることができる。本発明の熱伝導性複合粒子は、無機粒子表面に熱伝導性フィラーである板状粒子または棒状粒子が化学結合していることが特徴であり、複合粒子の平均粒径は好ましくは10〜100μmであり、さらに好ましくは20〜50μmである。
複合粒子において、無機粒子と結合している板状粒子と棒状粒子は、それぞれ単独で結合されていても複数種結合されていてもよく、複数の板状粒子あるいは複数の棒状粒子が同時に結合していてもかまわない。
本発明の樹脂組成物は、本発明の熱伝導性複合粒子を含有する。熱伝導性複合粒子が必須である以外に特に制限はなく、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、反応性のモノマーやオリゴマー、各種添加剤等を含有してかまわない。
定剤、紫外線吸収剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の補強材、各色着色剤等を添加する事ができる。
その際、必要に応じて、熱可塑性樹脂組成物と同様にその他の成分を配合する事ができる。
本発明の樹脂組成物は、各種の成形法で成形して成形物として用いることができる。その成形法は、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を成形する公知慣用の方法が利用でき、例えば、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、活性エネルギー線成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
に限定されるものではない。なお、以下ことわりのない場合、「%」は「体積%」を、「
部」は「体積部」を表す。
熱伝導性複合粒子の製造
球状アルミナ(電気化学工業社製、デンカ球状アルミナDAW45)270部と窒化ホウ素(電気化学工業社製、デンカボロンナイトライドSGP)30部を、流動式混合器型複合化機(日本コークス工業株式会社製、MP5型)に投入し、回転数6000rpm、10分間のメカノケミカル処理を行い、複合粒子(C−1)を得た。
ビスフェノールAのグリシジルエーテル(DIC株式会社製、EPICLON850−S、エポキシ当量188g/eq.)45.5重量部、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル30(阪本薬品株式会社製、エポキシ当量412g/eq.)50重量部、ジシアンジアミド(味の素ファインテクノ株式会社製、アミキュアAH−154)4.5重量部を混合し、樹脂混合液を調整した。得られた樹脂混合液40部に対し、複合粒子(C−1)を60部配合し、三本ロールで混練・脱泡することで、樹脂組成物1を得た。得られた樹脂組成物1にたいし、加熱プレス成形(仮硬化条件170℃20分、本硬化条件170℃2時間)を行い、60×110×0.8mmの樹脂成形体1−1、及び110×70×1.0mmの樹脂成形体1−2を得た。
得られた樹脂成形体1−1(60×110×0.8mm)から、10×10×0.8mmの試験片を切り出し、熱伝導率の測定を行った。熱伝導率の測定は、熱伝導率測定装置(LFA447nanoflash、NETZSCH社製)を用い、室温25℃において、25℃における熱伝導率をキセノンフラッシュ法によって測定した。
得られた樹脂成形体1−2(110×70×1.0mm)を、熱線方式熱伝導率測定装置(QTM−500、京都電子工業製)を用いて、室温25℃において、25℃における熱伝導率を熱線方式によって測定した。
樹脂組成物を用いて、引っ張り剪断接着強さの測定を行った。被着体は幅25mm×長さ100mm×厚み1.5mmのアルミ板(A1050)を用いて、引張試験機(ストログラフAPII、東洋精機(株)製)を用いて、引張速度10mm/min、つかみ具間隔120mmで引っ張り剪断接着強さの測定を行った。20℃における接着強度が5MPa以上であった場合を○、3MPa以上5MPa未満であった場合を△、3MPa未満であった場合を×とした。
実施例1において、配合量を下記表1の通りに変更した以外は同様にして、熱伝導性複合粒子(C−2)〜(C−7)、樹脂組成物2−7、及び樹脂成形体2−7を作製した。
実施例1において、メカノケミカル処理を行わない粒子を表2の配合量に従い樹脂混合液に配合し、三本ロールで混練・脱泡する以外は同様にして、比較樹脂組成物及び比較樹脂成形体を作製した。
DAW45 アルミナ(電気化学工業社製、デンカ球状アルミナDAW45、粒径50μm、アスペクト比1.1)
DAW20 アルミナ(電気化学工業社製、デンカ球状アルミナDAW20、粒径20μm、アスペクト比1.1)
MSPS 炭酸マグネシウム(神島化学製、粒径30μm、アスペクト比2.5)
SGP 窒化ホウ素(電気化学工業社製、デンカボロンナイトライドSGP、粒径18μm、アスペクト比20)
PCTP30 窒化ホウ素(サンゴバン製、粒径30μm、アスペクト比30)
SP3 窒化ホウ素(電気化学工業社製、デンカボロンナイトライドSP3、粒径3μm、アスペクト比10)
CTSM2 凝集窒化ホウ素(サンゴバン製、粒径35μm、アスペクト比1.2)
SIN 窒化珪素 (タテホ化学製 窒化珪素ウィスカ 粒径50μm、アスペクト比100)
複合粒子のSEM観察を行い、複合粒子を10個任意に選定し、各複合粒子形状を計測し最も長い辺の長さと最も短い辺の長さを除した値を算出し、その平均値をフィラーのアスペクト比とした。
混練した樹脂組成物を空気中600℃で2時間脱脂処理を行うことで樹脂成分を除去して得た灰分をSEM観察した。実施例1などの樹脂組成物の灰分は無機粒子表面に板状・棒状粒子が固着された複合粒子C−1が形態変化せずそのままの状態で観察された。比較例7などの樹脂組成物の灰分は、無機粒子と板状・棒状粒子が混在している状態で観察された。
複合粒子10wt%水溶液を超音波処理し減圧乾燥した。上記処理品でSEM−EDS観察を行い、複合粒子を5個任意に選定し、各複合粒子の元素マッピングを計測し、棒状・板状粒子由来の元素の面積が複合粒子面積に占める比率を算出し、その平均値を棒状・板状粒子被覆率とした。例えば無機粒子がアルミナ、棒状・板状粒子が窒化ホウ素の場合、NまたはBを計測対象元素として計測を行った。
Claims (8)
- 板状粒子または棒状粒子である熱伝導性フィラーと、無機粒子とを混合し、メカノケミカル処理を行って複合粒子を得る工程を有することを特徴とする、熱伝導性複合粒子の製造方法であって、板状粒子または棒状粒子の平均アスペクト比が10以上であり、無機粒子の平均アスペクト比が2以下である、熱伝導性複合粒子の製造方法。
- 無機粒子の平均粒径が10〜100μmである、請求項1に記載の熱伝導性複合粒子の製造方法。
- 板状粒子が窒化ホウ素である、請求項1または2に記載の熱伝導性複合粒子の製造方法。
- 棒状粒子が窒化ケイ素である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性複合粒子の製造方法。
- 無機粒子が熱伝導性フィラーである、請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性複合粒子の製造方法。
- 無機粒子が、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ベリリア、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、コーディエライト、フォルステライト、ジルコン、ムライト、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタンから選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の熱伝導性複合粒子の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で得られた熱伝導性複合粒子と、樹脂とを配合する工程を特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
- 請求項7に記載の製造方法で得られた樹脂組成物を成形する工程を有する、樹脂成形体の製造方法。
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