JP2013205264A - センサ付車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車輪用軸受100に、これに加わる荷重を検出するセンサ20を設け、その出力信号から信号ベクトルを生成する信号処理手段31と、前記信号ベクトルから車輪に加わる荷重を演算する荷重演算処理手段32を設ける。荷重演算処理手段32では、ブレーキON・OFFに対応した2種類の荷重値を荷重値演算部33で演算し、評価値出力部34から出力されるブレーキ状態判定の指標となる評価値Eをしきい値Cと比較した結果に基づき、荷重値出力部35により前記2種類の荷重値からブレーキ状態に対応した荷重値を選択出力する。評価値Eがしきい値Cを含む定められた領域内にあれば、出力荷重値補正部36により前記2種類の荷重値を所定の比率で合成する。
【選択図】 図1
Description
前記荷重演算処理手段32は、ブレーキのON・OFFに対応した2つの演算式から2種類の荷重値を演算する荷重値演算部33と、ブレーキのON・OFF状態を判定する指標となる評価値を出力する評価値出力部34と、前記評価値を定められたしきい値と比較し、その比較結果に基づき前記荷重値演算部33で演算された荷重値からブレーキのON・OFF状態に対応した荷重値を選択して出力する荷重値出力部35とでなる。前記荷重値出力部35は、前記評価値が前記しきい値を含む定められた領域内にあるとき、前記荷重値演算部33で演算された2種類の荷重値を所定の比率で合成した値を出力荷重値とする出力荷重値補正部36を有する。
特に、荷重値出力部35では、前記評価値が前記しきい値を含む定められた領域内にあるとき、出力荷重値補正部36が、前記荷重値演算部33で演算された2種類の荷重値を所定の比率で合成した値を出力荷重値とするようにしているので、検出誤差を低減させながら様々な入力状態に応じて連続的で正確な荷重を検出できる。
このように4つのセンサユニット20を配置することで、車輪用軸受に作用する垂直方向荷重Fz 、前後方向の荷重Fx 、軸方向荷重Fy を推定することができる。
この構成の場合、2つの歪検出素子の信号は略180度の位相差を有することになり、それら信号の和である平均値は転動体通過による変動成分をキャンセルした値となる。また、前記2つの歪検出素子の信号の差分である振幅値は温度の影響やナックル・フランジ面などの滑りの影響をより確実に排除した正確なものとなる。
内方部材2は回転側部材となるものであって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に、前記各列の転走面4が形成されている。ハブ輪9のインボード側端の外周には段差を持って小径となる内輪嵌合面12が設けられ、この内輪嵌合面12に内輪10が嵌合している。ハブ輪9の中心には貫通孔11が設けられている。ハブフランジ9aには、周方向複数箇所にハブボルト(図示せず)の圧入孔15が設けられている。ハブ輪9のハブフランジ9aの根元部付近には、車輪および制動部品(図示せず)を案内する円筒状のパイロット部13がアウトボード側に突出している。
Fxb=Fx −FB ・sin θ ……(1−1)
Fzb=Fz +FB ・cos θ ……(1−2)
ただし、
Fx ,Fz :路面反力(路面からタイヤに作用する荷重)
Fxb,Fzb:軸受作用力(軸受回転輪に作用する荷重でブレーキの干渉分を含む)
ここで、駆動軸から入力される駆動トルクをTdrive 、ブレーキ動作によるブレーキトルクをFB ・RB とすると、車輪に作用するトルク関係式は次式(2)のように表現される。
Fx ・Rw =Tdrive −FB ・RB ……(2)
この関係式から、ブレーキ力FB は、次式(3)のように表現される。
FB =(Tdrive −Fx ・Rw )/RB ……(3)
以下に説明するこの発明の実施形態では、できる限り簡単な構成でブレーキの影響を最小限にして、ブレーキ動作中であっても路面荷重を正確に検出することができる。
前述の式(3)と式(1−1),(1−2)から、検出したい路面荷重は次のようになる。
Fx =Fxb/(1+α・sin θ)+(Tdrive /RB )・sin θ/(1+α・sin θ ) ……(4−1)
Fz =Fzb+Fxb・α・cos θ/(1+α・sin θ)−(Tdrive /RB )・α・cos θ/(1+α・sin θ) ……(4−2)
ただし、α=Rw /RB :半径比
ここで、Fdrive =Tdrive /RB
A=1/(1+α・sin θ)
B=A・sin θ
C=A・α・cos θ
と置くと、式(4−1),(4−2)は次のようになる。
Fx =A・Fxb+B・Fdrive ……(5−1)
Fz =Fzb+C・Fxb−C・Fdrive ……(5−2)
ブレーキOFFの状態で、センサ信号ベクトルSを入力とし、演算係数行列MとオフセットMo を用いて、軸受荷重Fxb,Fzbが次のように算出できるとする。
Fxb=Mx ・S+Mox ……(6−1)
Fzb=Mz ・S+Moz ……(6−2)
すると、ブレーキONの演算式(5−1),(5−2)は、
Fx =A・Mx ・S+A・Mox+B・Fdrive =Mx ’・S+Mox’+B・Fdrive ……(7−1)
Fz =(Mz +C・Mx )・S+(Moz+C・Mox)−C・Fdrive
=Mz ’・S+Moz’−C・Fdrive ……(7−2)
となる。
Fx =A・Mx ・S+A・Mox=Mx ’・S+Mox’ ……(8−1)
Fz =(Mz +C・Mx )・S+(Moz+C・Mox)=Mz ’・S+Moz’
……(8−2)
となり、式(6−1),(6−2)の演算係数行列MをM’で置き換えた形で表現される。
ブレーキON状態の演算係数行列M’は、ブレーキOFF状態での演算係数行列Mを用いて下記の変換式で算出できる。
Mx ’=A・Mx ……(9−1)
Mox’=A・Mox ……(9−2)
Mz ’=Mz +C・Mx ……(9−3)
Moz’=Moz+C・Mox ……(9−4)
Fout =αFn +βFb ……(10)
α=1/2h・(x+h) ……(11−1)
β=1−α ……(11−2)
ここで、α,βは、(11−1),(11−2)の関係を満たし、荷重値Fb の割合と荷重値Fn の割合を示すパラメータである。xは、評価値Eのしきい値Cからの増分を示す。αとβは、例えば図12のように、境界領域内で直線状に変化するものとしても良い。
α=cos2((h+x)・π/4h) ……(12−1)
β=sin2((h+x)・π/4h) ……(12−2)
・ 新しい部品やECUへ入力する情報量を増やすことなく、ブレーキ時の荷重検出誤差を減少させることができる。
・ ブレーキON・OFFモードの荷重推定結果を合成することで、出力荷重値を切り替える切り替え領域における出力荷重値の不連続な部分に連続性を持たせることが可能となる。
・ 上位ECUなどから入力するブレーキON・OFF情報も加えて判断すると、さらに誤判定が減少する。
・ 上記合成を2次以上の関数で表すことによって、よりスムーズな出力荷重値の切り替えが可能となる。
・ 出力荷重値に不連続部分がなくなるため、推定した荷重値に基づいた各種操作を実行する制御システムに適合しやすい。また、より安定した制御を実現できる。
この場合に、2つの歪検出素子22A,22Bの前記円周方向の間隔を、転動体5の配列ピッチPの{1/2+n(n:整数)}倍、またはこれらの値に近似した値としても良い。この場合にも、両歪検出素子22A,22Bの信号a,bの加算値として求められる平均値は転動体5の通過による変動成分をキャンセルした値となり、差分値を用いて求められる振幅値は温度の影響やナックル・フランジ面間などの滑りの影響を相殺した値となる。
また、この実施形態では第3世代型の車輪用軸受100に適用した場合につき説明したが、この発明は、軸受部分とハブとが互いに独立した部品となる第1または第2世代型の車輪用軸受や、内方部材の一部が等速ジョイントの外輪で構成される第4世代型の車輪用軸受にも適用することができる。また、このセンサ付車輪用軸受装置は、従動輪用の車輪用軸受にも適用でき、さらに各世代形式のテーパころタイプの車輪用軸受にも適用することができる。
2…内方部材
3,4…転走面
5…転動体
20…センサユニット
21…歪み発生部材
21a…接触固定部
22,22A,22B…歪検出素子
31…信号処理手段
32…荷重演算処理手段
33…荷重値演算部
34…評価値出力部
35…荷重値出力部
36…出力荷重値補正部
37…温度センサ
100…車輪用軸受
Claims (15)
- 複列の転走面が内周に形成された外方部材、前記転走面と対向する転走面が外周に形成された内方部材、および両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体を有し、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受と、
軸受に加わる荷重を検出する1つ以上のセンサと、前記各センサの出力信号を処理して信号ベクトルを生成する信号処理手段と、前記信号ベクトルから前記車輪に加わる荷重を演算する荷重演算処理手段とを備え、
前記荷重演算処理手段は、ブレーキのON・OFFに対応した2つの演算式から2種類の荷重値を演算する荷重値演算部と、ブレーキのON・OFF状態を判定する指標となる評価値を出力する評価値出力部と、前記評価値を定められたしきい値と比較し、その比較結果に基づき前記荷重値演算部で演算された荷重値からブレーキのON・OFF状態に対応した荷重値を選択して出力する荷重値出力部とでなり、前記荷重値出力部は、前記評価値が前記しきい値を含む定められた領域内にあるとき、前記荷重値演算部で演算された2種類の荷重値を所定の比率で合成した値を出力荷重値とする出力荷重値補正部を有することを特徴とするセンサ付車輪用軸受装置。 - 請求項1において、前記評価値出力部は、前記荷重値演算部で演算される前後方向に作用する荷重値Fx を評価値として出力するセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項1において、前記評価値出力部は、前記荷重値演算部で演算される前後方向に作用する荷重値Fx の現在までの履歴から評価値を算出するセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項1において、前記評価値出力部は、前記荷重値演算部で演算される前後方向に作用する荷重値Fx と、外部から取得されるブレーキのON・OFF情報との組合せに基づき評価値を出力するセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記荷重値出力部の出力荷重値補正部が出力荷重値を補正する前記評価値の前記しきい値を含む定められた領域は、しきい値を超える所定幅の領域と、しきい値に至る所定幅の領域を合わせた領域であるセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項5において、前記荷重値出力部の出力荷重値補正部が前記しきい値を含む定められた領域で前記荷重演算部で演算された2種類の荷重値を所定の比率で合成して行う出力荷重値の補正は、前記2種類の荷重値の線形和を求める処理であるセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項5において、前記荷重値出力部の出力荷重値補正部が前記しきい値を含む定められた領域で前記荷重値演算部で演算された2種類の荷重値を所定の比率で合成して行う出力荷重値の補正は、前記2種類の荷重値の合成を2次以上の関数を用いて行う処理であるセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、軸受に加わる荷重を検出する前記センサを3つ以上設け、前記荷重演算処理手段は、前記3つ以上のセンサの出力信号から、車輪用軸受に作用する垂直方向荷重Fz 、前後方向の荷重Fx 、および軸方向荷重Fy を演算するものとしたセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記センサは、前記外方部材および内方部材のうちの固定側部材の外径面に設けたセンサユニットであり、このセンサユニットは、前記固定側部材の外径面に接触して固定される歪み発生部材と、この歪み発生部材に取付けられてこの歪み発生部材の歪みを検出する1つ以上の歪検出素子とを有するものとしたセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項9において、前記センサユニットを、タイヤ接地面に対して上下位置および左右位置となる前記固定側部材の外径面の上面部、下面部、右面部および左面部に円周方向90度の位相差で4つ等配したセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項9において、前記信号処理手段は、前記センサユニットの出力信号の一定時間内の平均値および振幅値を算出し、これらの値から信号ベクトルを生成するものとしたセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項9において、前記センサユニットは、前記固定側部材の外径面に接触して固定される3つ以上の接触固定部を有する歪み発生部材と、この歪み発生部材に取付けられてこの歪み発生部材の歪みを検出する2つ以上の歪検出素子を有するセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項12において、前記歪検出素子を、前記歪み発生部材の隣り合う第1および第2の接触固定部の間、および隣り合う第2および第3の接触固定部の間にそれぞれ設け、隣り合う前記接触固定部の間隔、もしくは隣り合う前記歪検出素子の間隔を、転動体の配列ピッチの{n+1/2(n:整数)}倍に設定したセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項13において、前記信号処理手段は、前記センサユニットにおける2つの歪検出素子の出力信号の和を、センサユニットの出力信号の平均値として求め、この平均値から信号ベクトルを生成するものとしたセンサ付車輪用軸受装置。
- 請求項9ないし請求項14のいずれか1項において、前記各センサユニットに温度センサを設け、この温度センサの出力信号に基づき、センサユニットの出力信号を補正するものとしたセンサ付車輪用軸受装置。
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JP2011149517A (ja) * | 2010-01-22 | 2011-08-04 | Jtekt Corp | センサ付き転がり軸受装置 |
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