JP2010230406A - センサ付車輪用軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 環境の変化や長期間の使用によっても検出精度が悪化することなく、車輪にかかる荷重を正確に推定できるセンサ付車輪用軸受を提供する。
【解決手段】 車輪用軸受の外方部材と内方部材のうちの固定側部材にセンサユニットを設ける。センサユニットは、歪み発生部材とその歪みを検出するセンサ22とでなる。センサ22の出力信号の平均値を用いて車輪に加わる荷重を推定する主荷重推定手段31と、センサ22の出力信号の転動体5の通過による信号波形の振幅値を用いて荷重を推定する振幅処理荷重推定手段36を設ける。その振幅処理荷重推定値s2により、主荷重推定手段31の平均値を用いた推定荷重出力s1のドリフト量を推定するドリフト量推定手段37を設ける。そのドリフト量で補正する補正手段33を設ける。
【選択図】 図7
【解決手段】 車輪用軸受の外方部材と内方部材のうちの固定側部材にセンサユニットを設ける。センサユニットは、歪み発生部材とその歪みを検出するセンサ22とでなる。センサ22の出力信号の平均値を用いて車輪に加わる荷重を推定する主荷重推定手段31と、センサ22の出力信号の転動体5の通過による信号波形の振幅値を用いて荷重を推定する振幅処理荷重推定手段36を設ける。その振幅処理荷重推定値s2により、主荷重推定手段31の平均値を用いた推定荷重出力s1のドリフト量を推定するドリフト量推定手段37を設ける。そのドリフト量で補正する補正手段33を設ける。
【選択図】 図7
Description
この発明は、車輪の軸受部にかかる荷重を検出する荷重センサを内蔵したセンサ付車輪用軸受に関する。
自動車の各車輪にかかる荷重を検出する技術として、車輪用軸受の外輪フランジに歪みゲージを貼り付け、歪みを検出するようにした車輪用軸受が提案されている(例えば特許文献1)。また、車輪に設けた複数の歪みセンサの出力信号から、車輪にかかる荷重を推定する演算方法も提案されている(例えば特許文献2)。
特許文献1,2に開示の技術のように、歪みセンサを用いて車輪にかかる荷重を計測する場合、歪みセンサ自体の温度特性のほか、計測対象物の温度歪みなどが歪みセンサの出力信号に加わるため、その出力信号にドリフトが発生する。
この場合、出力信号を温度補正することにより、出力信号の誤差をある程度まで低減することが可能である。図15には、車輪用軸受の外輪に設けた歪みセンサの出力信号を温度センサの検出信号で補正して荷重を推定する場合の荷重推定手段の提案例の概略構成をブロック図で示す。
この場合、出力信号を温度補正することにより、出力信号の誤差をある程度まで低減することが可能である。図15には、車輪用軸受の外輪に設けた歪みセンサの出力信号を温度センサの検出信号で補正して荷重を推定する場合の荷重推定手段の提案例の概略構成をブロック図で示す。
この提案例では、振幅値演算部55で歪みセンサ42の出力信号の振幅値を演算し、平均値演算部52で歪みセンサ42の出力信号の平均値を演算する。歪みセンサ42の出力信号は、軸受外輪における歪みセンサ設置部の近傍を通過する転動体の影響を受けて正弦波に近い波形となるので、振幅値演算部55はその正弦波の振幅値(交流成分)を求めることになり、平均値演算部52はその正弦波の平均値(直流成分)を求めることになる。求めた平均値に含まれる温度ドリフトは、例えば歪みセンサ42の近傍の温度を検出する温度センサ48の出力信号を用いて補正手段53で補正する。この補正された平均値と、振幅値演算部55で求めた振幅値とを用いて、荷重推定部54により車輪にかかる荷重を推定する。荷重推定部54では、前記振幅値および補正された平均値を変数とし、これら各変数に所定の補正係数を乗算してなる一次式により荷重を推定する。
しかし、上記提案例の場合でも、複数の歪みセンサが設置される場合には、それぞれの歪みセンサの近傍に温度センサが必要となり、設置スペース、配線スペースおよびコストが増加してしまう。
また、車輪用軸受は長期間にわたって使用され、大きな振動や衝撃荷重にさらされるため、歪みセンサの設置状況、例えば密着状態が変化することにより、出力信号にドリフトが発生する可能性もある。
このように、歪みセンサの出力信号にドリフトが発生すると、荷重演算結果の誤差が大きくなり、正確な荷重を検出できなくなってしまう。
また、車輪用軸受は長期間にわたって使用され、大きな振動や衝撃荷重にさらされるため、歪みセンサの設置状況、例えば密着状態が変化することにより、出力信号にドリフトが発生する可能性もある。
このように、歪みセンサの出力信号にドリフトが発生すると、荷重演算結果の誤差が大きくなり、正確な荷重を検出できなくなってしまう。
この発明の目的は、温度補正だけでは補正できないドリフト成分の補正が可能で、環境の変化や長期間の使用によっても検出精度が悪化することなく、車輪にかかる荷重を正確に推定できるセンサ付車輪用軸受を提供することである。
この発明のセンサ付車輪用軸受は、複列の転走面3が内周に形成された外方部材1と、前記転走面3と対向する転走面4が外周に形成された内方部材2と、両部材1,2の対向する転走面3,4間に介在した複列の転動体5とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、前記外方部材1および内方部材2のうちの固定側部材に荷重検出用のセンサユニット20を設け、前記センサユニット20は、前記固定側部材に接触して固定される2つ以上の接触固定部21aを有する歪み発生部材21およびこの歪み発生部材21に取付けられて歪み発生部材21の歪みを検出する1つ以上のセンサ22を有し、このセンサユニット20のセンサ22の出力信号から車輪に加わる荷重を推定する荷重推定処理手段30を設けてなるセンサ付車輪用軸受であって、荷重推定処理手段30を次の構成としたことを特徴とする。
この荷重推定処理手段30は、前記センサユニット20のセンサ22の出力信号の平均値を演算する平均値演算手段32を有しその演算した平均値を補正手段33で補正して車輪に加わる荷重を推定する主荷重推定手段31と、前記センサ22の出力信号の転動体通過による信号波形の振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値s2を演算する振幅処理荷重推定手段36と、前記主荷重推定手段31の推定値である推定荷重出力s1と前記振幅処理荷重推定値s2とを比較することにより、前記推定荷重出力s1に現れるセンサ22の出力信号のドリフト量を推定するドリフト量推定手段37とを備える。前記主荷重推定手段31の前記補正手段33は、ドリフト量推定手段37で推定したドリフト量により荷重推定出力を補正するものとする。
この荷重推定処理手段30は、前記センサユニット20のセンサ22の出力信号の平均値を演算する平均値演算手段32を有しその演算した平均値を補正手段33で補正して車輪に加わる荷重を推定する主荷重推定手段31と、前記センサ22の出力信号の転動体通過による信号波形の振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値s2を演算する振幅処理荷重推定手段36と、前記主荷重推定手段31の推定値である推定荷重出力s1と前記振幅処理荷重推定値s2とを比較することにより、前記推定荷重出力s1に現れるセンサ22の出力信号のドリフト量を推定するドリフト量推定手段37とを備える。前記主荷重推定手段31の前記補正手段33は、ドリフト量推定手段37で推定したドリフト量により荷重推定出力を補正するものとする。
車輪のタイヤと路面間に荷重が作用すると、車輪用軸受の固定側部材(例えば外方部材1)にも荷重が印加されて変形が生じる。ここではセンサユニット20における歪み発生部材21の2つ以上の接触固定部21aが、外方部材1に接触固定されているので、外方部材1の歪みが歪み発生部材21に拡大して伝達され易く、その歪みがセンサ22で感度良く検出される。
主荷重推定手段31は、このようにセンサ22で検出される歪み発生部材21の歪みの平均値を求め、この平均値を補正手段33で補正して、車輪に加わる荷重を推定する。センサ22で検出される歪みと車輪に加わる荷重とは一定の関係があるため、その関係を予め求めておくことで、車輪に加わる荷重が推定できる。センサ22で検出される歪みは、転動体5がセンサ22の付近を通過する毎に大きくなる振動波形となるが、その直流成分となる平均値を求めることで、転動体5の通過に影響されない歪みの値が得られる。このように平均値から推定される車両の荷重は、前記のようにセンサ22自体の温度特性に加えて、歪み発生部材21等の温度歪みや、長期使用の間のセンサ22の密着状態等の設置状況の変化などによってドリフトする現象が発生する。
しかし、この発明は、センサ22の出力信号の転動体通過による信号波形の振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値s2を振幅処理荷重推定手段36で演算し、ドリフト量推定手段37により、主荷重推定手段31の推定荷重出力s1と振幅処理荷重推定値s2とを比較することによって、前記推定荷重出力s1に現れるセンサ22の出力信号のドリフト量を推定する。この推定したドリフト量は、主荷重推定手段31にフィードバックされ、前記補正手段33により前記平均値の補正が行われる。
前記振幅値は軸受に作用する荷重に応じて変わるため、振幅値からも車輪に加わる荷重が推定できる。また局部的な歪みを検知した振幅信号は、温度等の影響を受け難いため、振幅処理荷重推定値s2を用いることで、平均値を用いた推定荷重出力s1のドリフト成分であるドリフト量を推定することができる。このようにドリフト量を推定して補正するため、推定荷重出力s1の誤差が低減され、精度の良い荷重を検出することができる。
主荷重推定手段31は、このようにセンサ22で検出される歪み発生部材21の歪みの平均値を求め、この平均値を補正手段33で補正して、車輪に加わる荷重を推定する。センサ22で検出される歪みと車輪に加わる荷重とは一定の関係があるため、その関係を予め求めておくことで、車輪に加わる荷重が推定できる。センサ22で検出される歪みは、転動体5がセンサ22の付近を通過する毎に大きくなる振動波形となるが、その直流成分となる平均値を求めることで、転動体5の通過に影響されない歪みの値が得られる。このように平均値から推定される車両の荷重は、前記のようにセンサ22自体の温度特性に加えて、歪み発生部材21等の温度歪みや、長期使用の間のセンサ22の密着状態等の設置状況の変化などによってドリフトする現象が発生する。
しかし、この発明は、センサ22の出力信号の転動体通過による信号波形の振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値s2を振幅処理荷重推定手段36で演算し、ドリフト量推定手段37により、主荷重推定手段31の推定荷重出力s1と振幅処理荷重推定値s2とを比較することによって、前記推定荷重出力s1に現れるセンサ22の出力信号のドリフト量を推定する。この推定したドリフト量は、主荷重推定手段31にフィードバックされ、前記補正手段33により前記平均値の補正が行われる。
前記振幅値は軸受に作用する荷重に応じて変わるため、振幅値からも車輪に加わる荷重が推定できる。また局部的な歪みを検知した振幅信号は、温度等の影響を受け難いため、振幅処理荷重推定値s2を用いることで、平均値を用いた推定荷重出力s1のドリフト成分であるドリフト量を推定することができる。このようにドリフト量を推定して補正するため、推定荷重出力s1の誤差が低減され、精度の良い荷重を検出することができる。
この発明において、前記主荷重推定手段31は、前記センサ22の出力信号の前記補正手段33で補正された補正後の平均値と前記センサ22の出力信号の振幅値との両方を用いて前記推定荷重出力s1を演算する併用推定手段34を有するものとしても良い。例えば、前記補正後の平均値と前記振幅値とに、それぞれ重みとなる適宜の係数を乗じて、両方の値の和を推定荷重出力s1とする。
このように平均値と振幅値との両方を用いることで、より精度良く、車輪に加わる荷重を演算することができる。前記ドリフト量推定手段37は、このように平均値と振幅値との両方を用いて演算された推定荷重出力s1に対して前記ドリフト量を推定し、このドリフト量をフィードバックして前記補正手段33による補正が行われる。
このように平均値と振幅値との両方を用いることで、より精度良く、車輪に加わる荷重を演算することができる。前記ドリフト量推定手段37は、このように平均値と振幅値との両方を用いて演算された推定荷重出力s1に対して前記ドリフト量を推定し、このドリフト量をフィードバックして前記補正手段33による補正が行われる。
この発明において、前記センサユニット20を3つ以上設け、前記荷重推定処理手段30は、前記3つ以上のセンサユニット20のセンサ22の出力信号から、車輪に加わる荷重のうちの前後方向荷重Fx、垂直方向荷重Fz、および軸方向荷重Fyを推定するものとしても良い。各センサユニット20の各センサ22は、センサユニット20の設置位置等に応じて、車輪用軸受の径方向となる前後方向,垂直方向、および軸方向に作用する荷重の成分を持つ。このため、各センサ22毎に、各方向の荷重の推定に用いるか否か、および用いる場合に各方向の荷重の推定に用いる係数を適宜定めておくことで、前後方向荷重,垂直方向荷重、および軸方向荷重の推定が行える。前記係数は、例えば試験等によって適切な値が求められる。
この発明において、前記センサユニット20を、タイヤ接地面に対して上下位置および左右位置となる前記固定側部材の外径面の上面部、下面部、右面部、および左面部に、円周方向90度の位相差で4つ等配しても良い。
このように4つのセンサユニット20を配置することにより、車輪用軸受に作用する垂直方向荷重Fz 、駆動力や制動力となる荷重Fx 、軸方向荷重Fy を推定することができる。
このように4つのセンサユニット20を配置することにより、車輪用軸受に作用する垂直方向荷重Fz 、駆動力や制動力となる荷重Fx 、軸方向荷重Fy を推定することができる。
この発明において、前記センサユニット20の少なくとも1つに温度センサ28を設け、前記主荷重推定手段31は、前記平均値演算手段32で演算されて前記補正手段33に入力される平均値を前記温度センサ28の検出温度により補正する温度補正手段33を有するものとしても良い。温度補正手段33による補正は、温度に応じた係数や演算式を定めておくことで行える。
この構成の場合、平均値を温度補正した上で、補正手段33により、前記ドリフト量推定手段37によるドリフト量推定値を用いて補正するため、より精度の良い推定荷重出力s1が得られる。また、この温度補正を行って得た推定荷重出力s1と振幅処理荷重推定値s2とを比較してドリフト量を推定することになるため、ドリフト量推定手段37により、最も確実なドリフト量の推定が行える。さらに、全ての歪み検出用のセンサ22に温度センサ28を設けることなく、歪みセンサ22の出力信号の温度ドリフトを補正することができる。
この構成の場合、平均値を温度補正した上で、補正手段33により、前記ドリフト量推定手段37によるドリフト量推定値を用いて補正するため、より精度の良い推定荷重出力s1が得られる。また、この温度補正を行って得た推定荷重出力s1と振幅処理荷重推定値s2とを比較してドリフト量を推定することになるため、ドリフト量推定手段37により、最も確実なドリフト量の推定が行える。さらに、全ての歪み検出用のセンサ22に温度センサ28を設けることなく、歪みセンサ22の出力信号の温度ドリフトを補正することができる。
この発明において、前記センサユニット20は3つ以上の接触固定部21aと歪み発生部材21の歪みを検出する2つのセンサ22を有し、隣り合う第1および第2の接触固定部21aの間、および隣り合う第2および第3の接触固定部21aの間に各センサ22をそれぞれ取付け、隣り合う接触固定部21aもしくは隣り合うセンサ22の前記固定側部材の円周方向についての間隔を、転動体5の配列ピッチの{1/2+n(n:整数)}倍とし、前記主荷重推定手段31前記平均値演算手段32は、前記2つのセンサ22の出力信号の和を平均値として用いるものとしても良い。
この構成の場合、2つのセンサ22の出力信号は略180度の位相差を有することになり、その平均値は転動体5の通過による変動成分をキャンセルした値となる。また、振幅値は温度の影響やナックル・フランジ面間などの滑りの影響をより確実に排除した正確なものとなる。
この構成の場合、2つのセンサ22の出力信号は略180度の位相差を有することになり、その平均値は転動体5の通過による変動成分をキャンセルした値となる。また、振幅値は温度の影響やナックル・フランジ面間などの滑りの影響をより確実に排除した正確なものとなる。
この発明において、前記ドリフト量推定手段37は、前記振幅処理荷重推定手段36の出力する振幅処理荷重推定値s2と前記主荷重推定手段31の出力する推定荷重出力s1との関係を、最小自乗推定を適用して求め、この関係から推定荷重出力s1のドリフト量を推定するものとしても良い。
振幅のみによる荷重推定値の精度には限界があるが、荷重条件を限定すれば、振幅処理荷重推定値s2と平均値を主とする推定荷重出力s1との対応関係が良い精度で線形となる。そのため、振幅処理荷重推定値s2と平均値を用いた推定荷重出力s1とについて、その関係を最小自乗推定を適用して求めることにより、平均値による推定荷重出力s1のドリフト量を精度良く求めることができる。
振幅のみによる荷重推定値の精度には限界があるが、荷重条件を限定すれば、振幅処理荷重推定値s2と平均値を主とする推定荷重出力s1との対応関係が良い精度で線形となる。そのため、振幅処理荷重推定値s2と平均値を用いた推定荷重出力s1とについて、その関係を最小自乗推定を適用して求めることにより、平均値による推定荷重出力s1のドリフト量を精度良く求めることができる。
このように最小自乗推定を適用するドリフト量推定手段37を設けた場合に、車体に設けられた1つ以上のセンサ、すなわち車載センサ29の出力信号から、車両走行中に軸受に作用する荷重の状態が設定荷重条件を充足するか否かを判断し、設定荷重条件を充足しない場合は、振幅処理荷重推定手段36の出力する振幅処理荷重推定値s2の中から、前記ドリフト量推定手段に37よりドリフト量の推定処理に用いる振幅処理荷重推定値s2を設定抽出条件に従って抽出する荷重条件限定手段37aを設けることが良い。前記車載センサ29としては、例えばGセンサ(加速度センサ)、ヨーレートセンサ、スロットルセンサ、ABSセンサ(アンチロックブレーキシステム用の回転速度検出センサ)等がある。荷重条件限定手段37aによる走行中の荷重状態の判断は、上記のような様々なセンサの信号を併用して総合的に判断するようにすることが好ましい。この総合的な判断は、例えば、個々の車載のセンサ29の出力毎に設定許容範囲を設定しておいて、全てが範囲内にあるか否かを判断するようにしても良く、また複数の車載のセンサ29の信号を所定の処理で組み合わせて得られる値を求め、その値を設定許容範囲と比較するようにしても良い。また、荷重条件限定手段37aの前記設定抽出条件は、例えば、前記設定荷重条件を充足する間に出力された振幅処理荷重推定値s2のみを抽出するなど、適宜定める。
急激な荷重変化、例えば縁石への衝突などが発生した場合や急激な温度変化によって、センサ出力の信号がドリフトしてしまう可能性がある。ドリフト量は、主荷重推定手段の出力s1と振幅処理荷重推定値s2とを比較することによって推定するが、この推定をよい精度で行うには、s1とs2との対応関係がほぼ線形となるように、入力荷重条件を限定して推定する必要がある。限定機能が機能することにより、ドリフト量の推定精度が高くなり、信号ドリフトを正確に補正して検出誤差を抑えることが可能になる。検知したドリフト量は、荷重演算推定処理にフィードバックされるため、検出荷重の誤差を抑えることが可能となる。
急激な荷重変化、例えば縁石への衝突などが発生した場合や急激な温度変化によって、センサ出力の信号がドリフトしてしまう可能性がある。ドリフト量は、主荷重推定手段の出力s1と振幅処理荷重推定値s2とを比較することによって推定するが、この推定をよい精度で行うには、s1とs2との対応関係がほぼ線形となるように、入力荷重条件を限定して推定する必要がある。限定機能が機能することにより、ドリフト量の推定精度が高くなり、信号ドリフトを正確に補正して検出誤差を抑えることが可能になる。検知したドリフト量は、荷重演算推定処理にフィードバックされるため、検出荷重の誤差を抑えることが可能となる。
この発明において、前記荷重推定処理手段30を車内通信バスに接続し、前記ドリフト成分推定手段37の推定するドリフト量、および主荷重推定手段31による推定荷重出力s1を、前記車内通信バスを介して外部モニタに出力可能とすることが良い。このように車内通信バスを介して外部モニタ38に出力可能とすることで、ドリフト量等をモニタすることができる。
この場合に、前記荷重推定処理手段30を車内通信バスを通じて車体搭載の入力装置39に接続し、前記荷重推定処理手段30は、前記入力装置39からの入力により、前記ドリフト量推定手段37によるドリフト量の推定を含む、前記車輪に加わる荷重の推定の演算に用いるパラメータを設定可能にすることが良い。これにより、修理・部品交換などでセンサ信号に変化があった場合などに、車内通信バスを通じて適正なドリフト量に設定し直すことができる。
この発明のセンサ付車輪用軸受は、複列の転走面が内周に形成された外方部材と、前記転走面と対向する転走面が外周に形成された内方部材と、両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、前記外方部材および内方部材のうちの固定側部材に荷重検出用のセンサユニットを設け、前記センサユニットは、前記固定側部材に接触して固定される2つ以上の接触固定部を有する歪み発生部材およびこの歪み発生部材に取付けられて歪み発生部材の歪みを検出する1つ以上のセンサを有し、このセンサユニットのセンサの出力信号から車輪に加わる荷重を推定する荷重推定処理手段を設けてなるセンサ付車輪用軸受であって、前記荷重推定処理手段は、前記センサユニットのセンサの出力信号の平均値を演算する平均値演算手段を有しその演算した平均値を補正手段で補正して車輪に加わる荷重を推定する主荷重推定手段と、前記センサの出力信号の転動体通過による信号波形の振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値を演算する振幅処理荷重推定手段と、前記主荷重推定手段の推定値である推定荷重出力と前記振幅処理荷重推定値とを比較することにより、前記推定荷重出力に現れるセンサの出力信号のドリフト量を推定するドリフト量推定手段とを備え、前記主荷重推定手段の前記補正手段は、ドリフト量推定手段で推定したドリフト量により荷重推定出力を補正するものとしたため、温度センサの出力信号だけでは補正できないセンサ出力信号のドリフト成分を補正でき、環境の変化や長期間の使用によっても検出精度が悪化することなく、車輪にかかる荷重を正確に推定することができる。
この発明の一実施形態を図1ないし図8と共に説明する。この実施形態は、第3世代型の内輪回転タイプで、駆動輪支持用の車輪用軸受に適用したものである。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
このセンサ付車輪用軸受における軸受は、図1に断面図で示すように、内周に複列の転走面3を形成した外方部材1と、これら各転走面3に対向する転走面4を外周に形成した内方部材2と、これら外方部材1および内方部材2の転走面3,4間に介在した複列の転動体5とで構成される。この車輪用軸受は、複列のアンギュラ玉軸受型とされていて、転動体5はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。上記転走面3,4は断面円弧状であり、ボール接触角が背面合わせとなるように形成されている。外方部材1と内方部材2との間の軸受空間の両端は、一対のシール7,8によってそれぞれ密封されている。
外方部材1は固定側部材となるものであって、車体の懸架装置(図示せず)におけるナックル16に取付ける車体取付用フランジ1aを外周に有し、全体が一体の部品とされている。フランジ1aには周方向複数箇所にナックル取付用のねじ孔14が設けられ、インボード側よりナックル16のボルト挿通孔17に挿通したナックルボルト(図示せず)を前記ねじ孔14に螺合することにより、車体取付用フランジ1aがナックル16に取付けられる。
内方部材2は回転側部材となるものであって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に、前記各列の転走面4が形成されている。ハブ輪9のインボード側端の外周には段差を持って小径となる内輪嵌合面12が設けられ、この内輪嵌合面12に内輪10が嵌合している。ハブ輪9の中心には貫通孔11が設けられている。ハブフランジ9aには、周方向複数箇所にハブボルト(図示せず)の圧入孔15が設けられている。ハブ輪9のハブフランジ9aの根元部付近には、車輪および制動部品(図示せず)を案内する円筒状のパイロット部13がアウトボード側に突出している。
内方部材2は回転側部材となるものであって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に、前記各列の転走面4が形成されている。ハブ輪9のインボード側端の外周には段差を持って小径となる内輪嵌合面12が設けられ、この内輪嵌合面12に内輪10が嵌合している。ハブ輪9の中心には貫通孔11が設けられている。ハブフランジ9aには、周方向複数箇所にハブボルト(図示せず)の圧入孔15が設けられている。ハブ輪9のハブフランジ9aの根元部付近には、車輪および制動部品(図示せず)を案内する円筒状のパイロット部13がアウトボード側に突出している。
図2は、この車輪用軸受の外方部材1をアウトボード側から見た正面図を示す。なお、図1は、図2におけるI−I矢視断面図を示す。前記車体取付用フランジ1aは、図2のように、各ねじ孔14が設けられた円周方向部分が他の部分よりも外径側へ突出した突片1aaとされている。
固定側部材である外方部材1の外径面には、4つのセンサユニット20が設けられている。ここでは、これらのセンサユニット20が、タイヤ接地面に対して上下位置および前後位置となる外方部材1の外径面における上面部、下面部、右面部、および左面部に設けられている。
これらのセンサユニット20は、図3および図4に拡大平面図および拡大断面図で示すように、歪み発生部材21と、この歪み発生部材21に取付けられて歪み発生部材21の歪みを検出する1つの歪みセンサ22とでなる。歪み発生部材21は、鋼材等の弾性変形可能な金属製で2mm以下の薄板材からなり、平面概形が全長にわたり均一幅の帯状で中央の両側辺部に切欠き部21bを有する。切欠き部21bの隅部は断面円弧状とされている。また、歪み発生部材21は、外方部材1の外径面にスペーサ23を介して接触固定される2つの接触固定部21aを両端部に有する。なお、歪み発生部材21の形状によっては、接触固定部21aを2つ以上有するものとしても良い。また、歪み発生部材21の切欠き部21bは省略しても良い。歪みセンサ22は、歪み発生部材21における各方向の荷重に対して歪みが大きくなる箇所に貼り付けられる。ここでは、その箇所として、歪み発生部材21の外面側で両側辺部の切欠き部21bで挟まれる中央部位が選ばれており、歪みセンサ22は切欠き部21bの周辺の周方向の歪みを検出する。なお、歪み発生部材21は、固定側部材である外方部材1に作用する外力、またはタイヤと路面間に作用する作用力として、想定される最大の力が印加された状態においても、塑性変形しないものとするのが望ましい。塑性変形が生じると、外方部材1の変形がセンサユニット20に伝わらず、歪みの測定に影響を及ぼすからである。想定される最大の力は、例えば、その力が作用しても車輪用軸受は損傷をせず、その力が除去されると車輪用軸受の正常な機能が復元される範囲で最大の力である。
前記センサユニット20は、その歪み発生部材21の2つの接触固定部21aが、外方部材1の軸方向の同寸法の位置で、かつ両接触固定部21aが互いに円周方向に離れた位置に来るように配置され、これら接触固定部21aがそれぞれスペーサ23を介してボルト24により外方部材1の外径面に固定される。前記各ボルト24は、それぞれ接触固定部21aに設けられた径方向に貫通するボルト挿通孔25からスペーサ23のボルト挿通孔26に挿通し、外方部材1の外周部に設けられたねじ孔27に螺合させる。このように、スペーサ23を介して外方部材1の外径面に接触固定部21aを固定することにより、薄板状である歪み発生部材21における切欠き部21bを有する中央部位が外方部材1の外径面から離れた状態となり、切欠き部21bの周辺の歪み変形が容易となる。
接触固定部21aが配置される軸方向位置として、ここでは外方部材1のアウトボード側列の転走面3の周辺となる軸方向位置が選ばれる。ここでいうアウトボード側列の転走面3の周辺とは、インボード側列およびアウトボード側列の転走面3の中間位置からアウトボード側列の転走面3の形成部までの範囲である。外方部材1の外径面へセンサユニット20を安定良く固定する上で、外方部材1の外径面における前記スペーサ23が接触固定される箇所には平坦部1bが形成される。
このほか、図5に断面図で示すように、外方部材1の外径面における前記歪み発生部材21の2つの接触固定部21aが固定される2箇所の中間部に溝1cを設けることで、前記スペーサ23を省略し、歪み発生部材21における切欠き部21bが位置する2つの接触固定部21bの中間部位を外方部材1の外径面から離すようにしても良い。
歪みセンサ22としては、種々のものを使用することができる。例えば、歪みセンサ22を金属箔ストレインゲージで構成することができる.その場合、通常、歪み発生部材21に対しては接着による固定が行なわれる。また、歪みセンサ22を歪み発生部材21上に厚膜抵抗体にて形成することもできる。
センサユニット20の歪みセンサ22は、その出力信号から車輪に加わる荷重を推定する荷重推定処理手段30に接続される。荷重推定処理手段30は、車輪に加わる各方向の荷重のうち、前後方向荷重Fxとなるラジアル荷重を推定する前後方向荷重推定部30xと、垂直方向(上下方向)荷重Fzとなるラジアル荷重を推定する垂直方向荷重推定部30zと、軸方向荷重Fyを推定する軸方向荷重推定部30zとを有する。これら前後方向荷重推定部30x、垂直方向荷重推定部30z、および軸方向荷重推定部30zは、互いに独立して設けられたものであっても良く、また一つの推定部が、時分割等で各方向の荷重Fx,Fz,Fyを推定する推定部として機能するものとしても良い。
各センサユニット20の各センサ22は、センサユニット20の設置位置等に応じて、車輪用軸受の径方向となる前後方向,垂直方向、および軸方向に作用する荷重の成分を持つ。このため、前後方向荷重推定部30x、垂直方向荷重推定部30z、および軸方向荷重推定部30zは、どのセンサ22の入力を用いるか、また用いるセンサ22毎に入力信号に掛ける係数がそれぞれ適宜に定めてあり、これにより前後方向荷重Fx、垂直方向荷重Fz、および軸方向荷重Fyを推定する。前記係数は、例えば試験等によって適切な値が求められる。
各センサユニット20の各センサ22は、センサユニット20の設置位置等に応じて、車輪用軸受の径方向となる前後方向,垂直方向、および軸方向に作用する荷重の成分を持つ。このため、前後方向荷重推定部30x、垂直方向荷重推定部30z、および軸方向荷重推定部30zは、どのセンサ22の入力を用いるか、また用いるセンサ22毎に入力信号に掛ける係数がそれぞれ適宜に定めてあり、これにより前後方向荷重Fx、垂直方向荷重Fz、および軸方向荷重Fyを推定する。前記係数は、例えば試験等によって適切な値が求められる。
センサユニット20は、外方部材1のアウトボード側列の転走面3の周辺となる軸方向位置に設けられるので、歪みセンサ22の出力信号は、センサユニット20の設置部の近傍を通過する転動体5の影響を受ける。すなわち、転動体5がセンサユニット20における歪みセンサ22に最も近い位置を通過するとき出力信号の振幅は最大値となり、その位置から転動体5が遠ざかるにつれて低下する。これにより、軸受回転時には歪みセンサ22の出力信号は、その振幅が転動体5の配列ピッチを周期として変化する正弦波に近い波形となる。
この歪みセンサ22の出力信号に含まれる直流成分となる平均値および、交流成分の振幅値のいずれも、車輪に作用する荷重の推定が可能な信号であるが、それぞれに利点,欠点となる特性がある。平均値は、広範囲に渡って荷重の推定が可能であるが、前述のようなドリフトが生じる。そのため、荷重推定処理手段30は、次のように、平均値および振幅値を分析することにより、平均値を主とする出力のドリフト量を推定して補正する機能を搭載したものとしてある。
この歪みセンサ22の出力信号に含まれる直流成分となる平均値および、交流成分の振幅値のいずれも、車輪に作用する荷重の推定が可能な信号であるが、それぞれに利点,欠点となる特性がある。平均値は、広範囲に渡って荷重の推定が可能であるが、前述のようなドリフトが生じる。そのため、荷重推定処理手段30は、次のように、平均値および振幅値を分析することにより、平均値を主とする出力のドリフト量を推定して補正する機能を搭載したものとしてある。
図7は、荷重推定処理手段30の一構成例を示すブロック図である。同図は、図1の示す前後方向荷重推定部30x、垂直方向荷重推定部30z、および軸方向荷重推定部30zのうちの一つを代表して示す。また、同図に示す歪みセンサ22は、複数の歪みセンサ22を代表して示す。
この構成例では、荷重推定処理手段30は、車輪に加わる荷重を演算する主荷重推定手段31と、振幅値演算手段35と、振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値s2を演算する振幅処理荷重推定手段36と、ドリフト量推定手段と37からなる。主荷重推定手段31は、平均値演算手段32、温度補正手段33A、補正手段33、および併用推定手段34からなり、車輪に加わる荷重の推定値である推定荷重出力s1を出力する。
この構成例では、荷重推定処理手段30は、車輪に加わる荷重を演算する主荷重推定手段31と、振幅値演算手段35と、振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値s2を演算する振幅処理荷重推定手段36と、ドリフト量推定手段と37からなる。主荷重推定手段31は、平均値演算手段32、温度補正手段33A、補正手段33、および併用推定手段34からなり、車輪に加わる荷重の推定値である推定荷重出力s1を出力する。
平均値演算手段32は、歪みセンサ22の出力信号の平均値を演算する手段である。この平均値を演算は、ローパスフィルタを通すことで直流成分を抽出するものであっても、また逆位相関係が現れる2つの歪みセンサ22の和を演算するものであっても良く、さらに歪みセンサ22の出力信号の移動平均等を演算するものであっても良い。
温度補正手段33Aは、温度センサ28の検出温度によって、平均値演算手段32の演算した平均値を補正する手段である。温度センサ28は、図3のように少なくとも1つのセンサユニット20の歪み発生部材21に設けられる。歪みと温度とには、略比例する関係があるため、温度補正手段33Aは、このような歪みと温度の関係によって前記平均値を補正する。
補正手段33は、ドリフト量推定手段37で推定したドリフト量に対応した補正を行う手段である。例えば、推定したドリフト量、またはこのドリフト量に適宜の係数を乗じた値を平均値に対して加算する。
併用推定手段34は、補正手段33で補正された補正後の平均値とセンサ22の出力信号の振幅値との両方を用いて前記推定荷重出力s1を演算する手段である。併用推定手段34は、例えば、前記補正後の平均値と前記振幅値とに、それぞれ重みとなる適宜の係数を乗じて、両方の値の和を推定荷重出力s1とする。
温度補正手段33Aは、温度センサ28の検出温度によって、平均値演算手段32の演算した平均値を補正する手段である。温度センサ28は、図3のように少なくとも1つのセンサユニット20の歪み発生部材21に設けられる。歪みと温度とには、略比例する関係があるため、温度補正手段33Aは、このような歪みと温度の関係によって前記平均値を補正する。
補正手段33は、ドリフト量推定手段37で推定したドリフト量に対応した補正を行う手段である。例えば、推定したドリフト量、またはこのドリフト量に適宜の係数を乗じた値を平均値に対して加算する。
併用推定手段34は、補正手段33で補正された補正後の平均値とセンサ22の出力信号の振幅値との両方を用いて前記推定荷重出力s1を演算する手段である。併用推定手段34は、例えば、前記補正後の平均値と前記振幅値とに、それぞれ重みとなる適宜の係数を乗じて、両方の値の和を推定荷重出力s1とする。
振幅値演算手段35は、歪みセンサ22の出力信号の転動体通過による信号波形の交流成分の振幅値を演算する手段である。この演算は、例えば前記信号波形の交流成分の抽出処理とされる。この振幅値演算手段35で演算した振幅値が、前記併用推定手段34に入力される。
振幅処理荷重推定手段36は、振幅値演算手段35で得た振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値s2を演算する手段である。前記振幅値は軸受に作用する荷重に応じて変わるため、振幅値からも車輪に加わる荷重が推定できる。
振幅処理荷重推定手段36は、振幅値演算手段35で得た振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値s2を演算する手段である。前記振幅値は軸受に作用する荷重に応じて変わるため、振幅値からも車輪に加わる荷重が推定できる。
ドリフト量推定手段37は、主荷重推定手段31の推定値である推定荷重出力s1と、振幅処理荷重推定手段36で推定した振幅処理荷重推定値s2とを比較することにより、前記推定荷重出力s1に現れるセンサ22の出力信号のドリフト量を推定する。ドリフト量推定手段37は、推定荷重出力s1と振幅処理荷重推定値s2の差を統計処理によって求めることで、ドリフト量を推定する。例えば、振幅処理荷重推定値s2と推定荷重出力s1との関係を、最小自乗推定を適用して求め、この関係から推定荷重出力s1のドリフト量を推定する。
s1とs2との出力に差が生じた場合(平均値がオフセットした場合)、図6に示した振幅と平均値との関係が崩れる。センサ毎にこのずれ(平均値のオフセット分)を補正する。具体的には、以下のような手順となる。
平均値をベクトルA、振幅値をベクトルBと表現すると、計算に用いる重み係数をM1、M2として、主荷重推定手段31の出力はs1=M1A+M2B と表現できる。振幅処理荷重推定値s2とs1は、条件を限定すればs1=s2となるので、図6のグラフと同様に直線の関係になる。
信号にドリフトΔが発生すると、平均値ベクトルはA+Δとなり、推定値はs1’ = s1+M1Δのように変化する。すなわち、s1’ =s2+M1Δ の関係に変化する。そのため、s1’ とs2の関係は、図6に示したグラフを平行移動させた状態となる。一定期間のs1’ とs2との関係を統計処理して、最小自乗推定により切片の移動分を計算すれば、M1Δを求めることができる。したがって、計算結果から引き算してs1’ ― M1Δ とすればドリフトの影響を除去できる。また、M1Δの値が求まれば、Δ=M1 -1・M1Δ (M1 -1 は一般化逆行列)として、センサ信号のドリフトΔを推定することもできる。したがって、平均値信号AからΔを引くことで、併用推定手段34に入力する前に補正してもよい。
s1とs2との出力に差が生じた場合(平均値がオフセットした場合)、図6に示した振幅と平均値との関係が崩れる。センサ毎にこのずれ(平均値のオフセット分)を補正する。具体的には、以下のような手順となる。
平均値をベクトルA、振幅値をベクトルBと表現すると、計算に用いる重み係数をM1、M2として、主荷重推定手段31の出力はs1=M1A+M2B と表現できる。振幅処理荷重推定値s2とs1は、条件を限定すればs1=s2となるので、図6のグラフと同様に直線の関係になる。
信号にドリフトΔが発生すると、平均値ベクトルはA+Δとなり、推定値はs1’ = s1+M1Δのように変化する。すなわち、s1’ =s2+M1Δ の関係に変化する。そのため、s1’ とs2の関係は、図6に示したグラフを平行移動させた状態となる。一定期間のs1’ とs2との関係を統計処理して、最小自乗推定により切片の移動分を計算すれば、M1Δを求めることができる。したがって、計算結果から引き算してs1’ ― M1Δ とすればドリフトの影響を除去できる。また、M1Δの値が求まれば、Δ=M1 -1・M1Δ (M1 -1 は一般化逆行列)として、センサ信号のドリフトΔを推定することもできる。したがって、平均値信号AからΔを引くことで、併用推定手段34に入力する前に補正してもよい。
ドリフト量推定手段37には、荷重条件限定手段37aが設けられている。荷重条件限定手段37aは、車体に設けられた1つ以上のセンサ、すなわち車載センサ29の出力信号から、車両走行中に軸受に作用する荷重の状態が設定荷重条件を充足するか否かを判断し、設定荷重条件を充足しない場合は、振幅処理荷重推定手段36の出力する振幅処理荷重推定値s2の中から、前記ドリフト量推定手段に37よりドリフト量の推定処理に用いる振幅処理荷重推定値s2を設定抽出条件に従って抽出する手段である。前記車載センサ29としては、例えばGセンサ(加速度センサ)、ヨーレートセンサ、スロットルセンサ、ABSセンサ(アンチロックブレーキシステム用の回転速度検出センサ)等がある。
上記構成の作用を説明する。車輪のタイヤと路面間に荷重が作用すると,車輪用軸受の固定側部材である外方部材1にも荷重が印加されて変形が生じる。ここではセンサユニット20における歪み発生部材21の2つ以上の接触固定部21aが、外方部材1に接触固定されているので、外方部材1の歪みが歪み発生部材21に拡大して伝達され易く、その歪みが歪みセンサ22で感度良く検出され、その出力信号に生じるヒステリシスも小さくなる。このように検出される歪みセンサ22の出力から荷重推定処理手段30により、車輪に加わる荷重が推定される。
荷重推定処理手段30の作用を説明する。図1の前後方向荷重推定部30x、垂直方向荷重推定部30z、および軸方向荷重推定部30zにより、複数のセンサユニット20の各歪みセンサ22の出力を用いて、前後方向荷重Fx、垂直方向荷重Fz、および軸方向荷重Fyを推定する。これら各方向の荷重Fx,Fz,Fyの推定につき、図7に示す各手段で、センサ信号平均値および振幅を分析することにより、信号ドリフト量を推定して補正する。
すなわち、歪みセンサ22の振幅値演算手段35が得られる振幅値から、車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値s2を振幅処理荷重推定手段36によって演算する。主荷重推定手段31は、平均値演算手段32によって、歪みセンサ22の出力信号の平均値を演算し、各補正等を行って推定荷重出力s1を出力する。ドリフト量推定手段37は、主荷重推定手段31の推定値である推定荷重出力s1と、振幅処理荷重推定手段36で推定した振幅処理荷重推定値s2とを比較し、その差を統計処理によって精度良く求めることにより、推定荷重出力s1に現れるセンサ22の出力信号のドリフト量を推定する。このとき、走行中の荷重状態が上記比較を行える荷重状態であるか否かを、荷重条件限定手段37aによって判断し、上記振幅処理荷重推定値s2のうち、比較できると判断される値を抽出してドリフト量推定手段37によるドリフト量の推定を行う。このように推定したドリフト量を主荷重推定手段31にフィードバックし、主荷重推定手段31は、平均値演算手段32で演算した平均値(より具体的には温度補正手段33Aで補正した平均値)を、前記ドリフト量でさらに補正する。このさらに補正された平均値に、併用推定手段34によって、平均値と振幅値とを所定の割合で合わせた値となる推定荷重出力s1を演算し、出力する。この推定荷重出力s1が荷重推定処理手段30の出力となる。
また、図8に示すように、荷重推定処理手段30を車内通信バス45に接続し、前記ドリフト成分推定手段37の推定するドリフト量、および主荷重推定手段31による推定荷重出力s1を、車内通信バス45を介して外部モニタ38に出力可能とすることが良い。さらに、荷重推定処理手段30を車内通信バスを通じて車体搭載の入力装置39に接続し、荷重推定処理手段30は、前記入力装置39からの入力により、ドリフト量推定手段37によるドリフト量の推定を含む、前記車輪に加わる荷重の推定の演算に用いる各種のパラメータを設定可能にすることが良い。
この構成によると、平均値を主とする推定荷重出力s1のドリフト分を、振幅値で推定して補正するが、局部的な歪みを検知した振幅信号は温度等の影響を受け難いため、振幅を演算処理して得られた荷重情報を用いてセンサ信号の平均値のドリフト分を推定することができる。
推定したドリフト成分を補正することにより、平均値情報の誤差が低減され、補正された平均値情報と振幅情報を使って、推定荷重出力s1の荷重演算精度を向上させることができる。
また、走行中の温度センサ28やその他の車載センサ29の信号を分析し、温度の影響など既知のパラメータについての補正を実施する。その上で、信号振幅の状態から推定される入力荷重である振幅処理荷重推定値s2と、その推定荷重条件に対する信号平均値を主とする推定荷重出力s1の値を比較して、ずれ量を算出する。このため、最も確実なドリフト量を推定することができる。
推定したドリフト成分を補正することにより、平均値情報の誤差が低減され、補正された平均値情報と振幅情報を使って、推定荷重出力s1の荷重演算精度を向上させることができる。
また、走行中の温度センサ28やその他の車載センサ29の信号を分析し、温度の影響など既知のパラメータについての補正を実施する。その上で、信号振幅の状態から推定される入力荷重である振幅処理荷重推定値s2と、その推定荷重条件に対する信号平均値を主とする推定荷重出力s1の値を比較して、ずれ量を算出する。このため、最も確実なドリフト量を推定することができる。
振幅のみによる荷重推定値である振幅処理荷重推定値s2の精度には限界があるが、荷重条件を限定すれば振幅値と信号平均値(具体的には推定荷重出力s1)との対応関係が、図6に示すように良い精度で線形となる。同図は平均値と振幅値との関係を示す(ただし,Fy>0 の条件)。このように線形の関係が得られるため、振幅処理荷重推定値s2と信号平均値を主とする推定荷重出力s1のデータについて、その関係を最小自乗推定を適用して求めることにより、平均値データ(推定荷重出力s1)のドリフト量を精度よく求めることが可能になる。
ただし、上記線形となるのは、限られた荷重条件の場合であるため、走行中の荷重状態を推定する荷重条件限定手段37aを設け、ドリフト量推定処理の実施条件を限定する。 走行中の荷重状態の予測には、車体に設置された様々なセンサ、例えばGセンサ、ヨーレートセンサ、スロットルセンサ、ステアリングセンサ、ABSセンサ、などの信号を併用して総合的に判断するのが望ましい。その場合、荷重推定処理手段30は、CANバス(コントロールエリアネットワークバス)などの車内通信バスに接続されて、必要な情報を用いるように構成されていればよい。
急激な荷重変化、例えば縁石への衝突など、が発生した場合、歪みセンサ22の信号が急激に変化する可能性がある。上記の荷重条件限定手段37aによる補正機能がないと、その後ずっと検出誤差が発生したままになってしまうが、補正が機能することにより、短時間で信号ドリフトを補正して検出誤差を抑えることが可能になる。
急激な荷重変化、例えば縁石への衝突など、が発生した場合、歪みセンサ22の信号が急激に変化する可能性がある。上記の荷重条件限定手段37aによる補正機能がないと、その後ずっと検出誤差が発生したままになってしまうが、補正が機能することにより、短時間で信号ドリフトを補正して検出誤差を抑えることが可能になる。
検知したドリフト量は、主荷重推定手段31にフィードバックされるため、検出荷重の誤差が低減される。
フィードバックされたドリフト量は、荷重推定処理手段30の内部の記憶手段(図示せず)に記憶されて、上記の車内通信バスを通じて外部モニタ38によってからモニタすることもできる。また、修理・部品交換などでセンサ信号に変化があった場合には、同様に通信バスを通じて適正なドリフト量を、入力装置39によって設定し直すことも可能である。
フィードバックされたドリフト量は、荷重推定処理手段30の内部の記憶手段(図示せず)に記憶されて、上記の車内通信バスを通じて外部モニタ38によってからモニタすることもできる。また、修理・部品交換などでセンサ信号に変化があった場合には、同様に通信バスを通じて適正なドリフト量を、入力装置39によって設定し直すことも可能である。
また、この実施形態では前記センサユニット20を4つ設け、各センサユニット20を、タイヤ接地面に対して上下位置および左右位置となる外方部材1の外径面の上面部、下面部、右面部、および左面部に円周方向90度の位相差で等配しているので、車輪用軸受に作用する垂直方向荷重Fz 、駆動力や制動力となる荷重Fx 、軸方向荷重Fy を推定することができる。
このセンサ付車輪用軸受によると、このように、温度センサ28だけでは補正できないドリフト成分も補正が可能になる。衝撃荷重や軸受の経年変化によるセンサ信号のドリフトもキャンセル可能となり、長期間にわたって検出精度を保つことが可能になる。また、温度センサ28を全ての歪みセンサ22の近傍に配置しなくても良くなる。
なお、この実施形態において、図1のように外方部材1の内周に転動体5の位置を検出する転動体検出センサ40を設け、この転動体検出センサ40の検出信号を図7や図8の補正手段33に入力するようにしても良い。このように、補正手段33での補正に用いるデータとして、転動体検出センサ40の検出する転動体5の位置データを加えた場合には、平均値演算手段32で演算される平均値から転動体通過の影響を解消できるので、荷重の検出誤差をさらに抑えることができる。
図9ないし図14は、この発明の他の実施形態を示す。このセンサ付車輪用軸受では、図1〜図8に示す実施形態において、各センサユニット20を以下のように構成している。この場合、センサユニット20は、図11および図12に拡大平面図および拡大断面図に示すように、歪み発生部材21と、この歪み発生部材21に取付けられて歪み発生部材21の歪みを検出する2つの歪みセンサ22とでなる。歪み発生部材21は、外方部材1の外径面にスペーサ23を介して接触固定される3つの接触固定部21aを有する。3つの接触固定部21aは、歪み発生部材21の長手方向に向けて1列に並べて配置される。2つの歪みセンサ22のうち1つの歪みセンサ22Aは、図12において、左端の接触固定部21aと中央の接触固定部21aとの間に配置され、中央の接触固定部21aと右端の接触固定部21aとの間に他の1つの歪みセンサ22Bが配置される。図11のように、歪み発生部材21の両側辺部における前記各歪みセンサ22A,22Bの配置部に対応する2箇所の位置にそれぞれ切欠き部21bが形成されている。
センサユニット20は、その歪み発生部材21の3つの接触固定部21aが、外方部材1の軸方向に同寸法の位置で、かつ各接触固定部21aが互いに円周方向に離れた位置に来るように配置され、これら接触固定部21aがそれぞれスペース23を介してボルト24により外方部材1の外径面に固定される。
このほか、図13に断面図で示すように、外方部材1の外径面における前記歪み発生材21の3つの接触固定部21aが固定される3箇所の各中間部に溝1cを設けることで、前記スペーサ23を省略し、歪み発生部材21における切欠き部21bが位置する各部位を外方部材1の外径面から離すようにしても良い。センサユニット20におけるその他の構成や、センサユニット20の配置などは、図1〜図8に示す実施形態の場合と同様である。
この実施形態の場合、図1〜図8に示す実施形態における荷重推定処理手段30の平均値演算手段32において、各センサユニット20の2つの歪みセンサ22A,22Bの出力信号の和を演算して、その和を平均値として取り出す。また、荷重推定処理手段30の振幅値演算手段35では、2つの歪みセンサ22A,22Bの出力信号の差分を演算し、その差分値を振幅値として取り出す。
センサユニット20は、外方部材1のアウトボード側列の転走面3の周辺となる軸方向位置に設けられるので、歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bは、図14のようにセンサユニット20の設置部の近傍を通過する転動体5の影響を受ける。また、軸受の停止時においても、歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bは、転動体5の位置の影響を受ける。すなわち、転動体5がセンサユニット20における歪みセンサ22A,22Bに最も近い位置を通過するとき(または、その位置に転動体5があるとき)、歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bの振幅は最大値となり、図14(A),(B)のように転動体5がその位置から遠ざかるにつれて(または、その位置から離れた位置に転動体5があるとき)低下する。軸受回転時には、転動体5は所定の配列ピッチPで前記センサユニット20の設置部の近傍を順次通過するので、歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bは、その振幅が転動体5の配列ピッチPを周期として図14(C)に実線で示すように周期的に変化する正弦波に近い波形となる。また、歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bの振幅は、温度の影響やナックル16と車体取付用フランジ1a(図9)の面間などの滑りによるヒステリシスの影響を受ける。この実施形態では、前記2つの歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bの振幅の和を上記した平均値とし、振幅の差分を上記した振幅値とする。これにより、平均値は転動体5の通過による変動成分をキャンセルした値となる。また、振幅値は、2つの歪みセンサ22A,22Bの各出力信号a,bに現れる温度の影響やナックル・フランジ面間などの滑りの影響を相殺した値となる。したがって、この平均値と振幅値を用いることにより、車輪用軸受やタイヤ接地面に作用する荷重をより正確に推定することができる。
図14では、固定側部材である外方部材1の外径面の円周方向に並ぶ3つの接触固定部21aのうち、その配列の両端に位置する2つの接触固定部21aの間隔を、転動体5の配列ピッチPと同一に設定している。この場合、隣り合う接触固定部21aの中間位置にそれぞれ配置される2つの歪みセンサ22A,22Bの間での前記円周方向の間隔は、転動体5の配列ピッチPの略1/2となる。その結果、2つの歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bは略180度の位相差を有することになり、その和として求められる平均値は転動体5の通過による変動成分をキャンセルしたものとなる。また、その差分とし求められる振幅値は温度の影響やナックル・フランジ面間などの滑りの影響を相殺した値となる。
なお、図14では、接触固定部21aの間隔を、転動体5の配列ピッチPと同一に設定し、隣り合う接触固定部21aの中間位置に各1つの歪みセンサ22A,22Bをそれぞれ配置することで、2つの歪みセンサ22A,22Bの間での前記円周方向の間隔を、転動体5の配列ピッチPの略1/2となるようにした。これとは別に、直接、2つの歪みセンサ22A,22Bの間での前記円周方向の間隔を、転動体5の配列ピッチPの1/2に設定しても良い。
この場合に、2つの歪みセンサ22A,22Bの前記円周方向の間隔を、転動体5の配列ピッチPの{1/2+n(n:整数)}倍、またはこれらの値に近似した値としても良い。この場合にも、両歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bの和として求められる平均値は転動体5の通過による変動成分をキャンセルした値となり、差分として求められる振幅値は温度の影響やナックル・フランジ面間などの滑りの影響を相殺した値となる。
この場合に、2つの歪みセンサ22A,22Bの前記円周方向の間隔を、転動体5の配列ピッチPの{1/2+n(n:整数)}倍、またはこれらの値に近似した値としても良い。この場合にも、両歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bの和として求められる平均値は転動体5の通過による変動成分をキャンセルした値となり、差分として求められる振幅値は温度の影響やナックル・フランジ面間などの滑りの影響を相殺した値となる。
なお、上記した各実施形態では、外方部材1が固定側部材である場合につき説明したが、この発明は、内方部材が固定側部材である車輪用軸受にも適用することができ、その場合、センサユニット20は内方部材の内周となる周面に設ける。
また、これらの実施形態では第3世代型の車輪用軸受に適用した場合につき説明したが、この発明は、軸受部分とハブとが互いに独立した部品となる第1または第2世代型の車輪用軸受や、内方部材の一部が等速ジョイントの外輪で構成される第4世代型の車輪用軸受にも適用することができる。また、このセンサ付車輪用軸受は、従動輪用の車輪用軸受にも適用でき、さらに各世代形式のテーパころタイプの車輪用軸受にも適用することができる。
また、これらの実施形態では第3世代型の車輪用軸受に適用した場合につき説明したが、この発明は、軸受部分とハブとが互いに独立した部品となる第1または第2世代型の車輪用軸受や、内方部材の一部が等速ジョイントの外輪で構成される第4世代型の車輪用軸受にも適用することができる。また、このセンサ付車輪用軸受は、従動輪用の車輪用軸受にも適用でき、さらに各世代形式のテーパころタイプの車輪用軸受にも適用することができる。
1…外方部材
2…内方部材
3,4…転走面
5…転動体
20…センサユニット
21…歪み発生部材
21a…接触固定部
22…歪みセンサ
28…温度センサ
29…車載センサ
30…荷重推定処理手段
31…主荷重推定手段
32…平均値演算手段
33…補正手段
34…併用推定手段
35…振幅値演算手段
36…振幅処理荷重推定手段
37…ドリフト量推定手段
37a…荷重条件限定手段
38…外部モニタ
39…入力装置
2…内方部材
3,4…転走面
5…転動体
20…センサユニット
21…歪み発生部材
21a…接触固定部
22…歪みセンサ
28…温度センサ
29…車載センサ
30…荷重推定処理手段
31…主荷重推定手段
32…平均値演算手段
33…補正手段
34…併用推定手段
35…振幅値演算手段
36…振幅処理荷重推定手段
37…ドリフト量推定手段
37a…荷重条件限定手段
38…外部モニタ
39…入力装置
Claims (10)
- 複列の転走面が内周に形成された外方部材と、前記転走面と対向する転走面が外周に形成された内方部材と、両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、
前記外方部材および内方部材のうちの固定側部材に荷重検出用のセンサユニットを設け、前記センサユニットは、前記固定側部材に接触して固定される2つ以上の接触固定部を有する歪み発生部材およびこの歪み発生部材に取付けられて歪み発生部材の歪みを検出する1つ以上のセンサを有し、このセンサユニットのセンサの出力信号から車輪に加わる荷重を推定する荷重推定処理手段を設けてなるセンサ付車輪用軸受であって、
前記荷重推定処理手段は、
前記センサユニットのセンサの出力信号の平均値を演算する平均値演算手段を有しその演算した平均値を補正手段で補正して車輪に加わる荷重を推定する主荷重推定手段と、
前記センサの出力信号の転動体通過による信号波形の振幅値から車輪に加わる荷重に相当する振幅処理荷重推定値を演算する振幅処理荷重推定手段と、
前記主荷重推定手段の推定値である推定荷重出力と前記振幅処理荷重推定値とを比較することにより、前記推定荷重出力に現れるセンサの出力信号のドリフト量を推定するドリフト量推定手段とを備え、
前記主荷重推定手段の前記補正手段は、ドリフト量推定手段で推定したドリフト量により荷重推定出力を補正するものとした
ことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。 - 請求項1において、前記主荷重推定手段は、前記センサの出力信号の前記補正手段で補正された補正後の平均値と前記センサの出力信号の振幅値との両方を用いて前記推定荷重出力を演算する併用推定手段を有するセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1または請求項2において、前記センサユニットを3つ以上設け、前記荷重推定処理手段は、前記3つ以上のセンサユニットのセンサの出力信号から、車輪に加わる荷重のうちの前後方向荷重、垂直方向荷重、および軸方向荷重を推定するものとしたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記センサユニットを、タイヤ接地面に対して上下位置および左右位置となる前記固定側部材の外径面の上面部、下面部、右面部、および左面部に、円周方向90度の位相差で4つ等配したセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記センサユニットの少なくとも1つに温度センサを設け、前記主荷重推定手段は、前記平均値演算手段で演算されて前記補正手段に入力される平均値を前記温度センサの検出温度により補正する温度補正手段を有するセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記センサユニットは3つ以上の接触固定部と歪み発生部材の歪みを検出する2つのセンサを有し、隣り合う第1および第2の接触固定部の間、および隣り合う第2および第3の接触固定部の間に各センサをそれぞれ取付け、隣り合う接触固定部もしくは隣り合うセンサの前記固定側部材の円周方向についての間隔を、転動体の配列ピッチの{1/2+n(n:整数)}倍とし、前記主荷重推定手段の前記平均値演算手段は、前記2つのセンサの出力信号の和を平均値として用いるものとしたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記ドリフト量推定手段は、前記振幅処理荷重推定手段の出力する振幅処理荷重推定値と前記主荷重推定手段の出力する推定荷重出力との関係を、最小自乗推定を適用して求め、この関係から推定荷重出力のドリフト量を推定するものとしたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項7において、車体に設けられた1つ以上のセンサの出力信号から、車両走行中に軸受に作用する荷重の状態が設定荷重条件を充足するか否かを判断し、設定荷重条件を充足しない場合は、振幅処理荷重推定手段の出力する振幅処理荷重推定値の中から、前記ドリフト量推定手段によりドリフト量の推定処理に用いる振幅処理荷重推定値を設定抽出条件に従って抽出する荷重条件限定手段を設けたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記荷重推定処理手段を車内通信バスに接続し、前記ドリフト量推定手段の推定するドリフト量、および主荷重推定手段による推定荷重出力を、前記車内通信バスを介して外部モニタに出力可能としたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項9において、前記荷重推定処理手段を車内通信バスを通じて車体搭載の入力装置に接続し、前記荷重推定処理手段は、前記入力装置からの入力により、前記ドリフト量推定手段によるドリフト量の推定、およびその他の前記車輪に加わる荷重の推定の演算に用いるパラメータを設定可能したセンサ付車輪用軸受。
Priority Applications (5)
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---|---|---|---|
JP2009076762A JP2010230406A (ja) | 2009-03-26 | 2009-03-26 | センサ付車輪用軸受 |
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JP2009076762A JP2010230406A (ja) | 2009-03-26 | 2009-03-26 | センサ付車輪用軸受 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012066995A1 (ja) * | 2010-11-15 | 2012-05-24 | Ntn株式会社 | センサ付車輪用軸受 |
JP2013024791A (ja) * | 2011-07-25 | 2013-02-04 | Ntn Corp | センサ付車輪用軸受 |
JP2014009952A (ja) * | 2012-06-27 | 2014-01-20 | Ntn Corp | センサ付車輪用軸受装置 |
-
2009
- 2009-03-26 JP JP2009076762A patent/JP2010230406A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012066995A1 (ja) * | 2010-11-15 | 2012-05-24 | Ntn株式会社 | センサ付車輪用軸受 |
US10066665B2 (en) | 2010-11-15 | 2018-09-04 | Ntn Corporation | Wheel bearing with sensor |
JP2013024791A (ja) * | 2011-07-25 | 2013-02-04 | Ntn Corp | センサ付車輪用軸受 |
JP2014009952A (ja) * | 2012-06-27 | 2014-01-20 | Ntn Corp | センサ付車輪用軸受装置 |
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