JP2013203861A - ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶融ポリカーボネート樹脂と添加剤等とを、混練押出装置に供給して混練する際の比エネルギーを0.03kWh/kg以上、0.08kWh/kg以下とし、前記混練押出装置のL/Dを30以下とする。
【選択図】なし
Description
この発明は、溶融したポリカーボネート樹脂と添加剤とを、混練押出装置に供給して混練するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法についての発明である。
前記のポリカーボネート樹脂とは、炭酸ジエステル及びジヒドロキシ化合物を重縮合反応(エステル交換反応)することにより製造されるポリマー化合物であることが好ましい。
前記の炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート(DPC)、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記のジヒドロキシ化合物は、分子内に二つの水酸基を有する化合物であり、この発明においては、ジヒドロキシ化合物の中でも、分子内に一つ以上の芳香環を有し、二つの水酸基がそれぞれ芳香環に結合された芳香族ジヒドロキシ化合物を用いるのが好ましい。
前記のエステル交換反応においては、エステル交換触媒が用いられる。このエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。一般的には、例えば、第1族元素(水素を除く)の化合物、第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。
これらのエステル交換触媒の中でも、実用的には第1族元素(水素を除く)の化合物及び第2族元素の化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。
ポリカーボネート樹脂は、原料である前記のジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化合物の混合物を原料調製装置で調製し(原料調製工程)、これらの原料混合物を、前記エステル交換反応触媒の存在下、重縮合反応装置で重縮合反応をさせる(重縮合工程)、及び重縮合工程で得られたポリカーボネート樹脂に添加物等を加えてポリカーボネート樹脂組成物とする(混練工程)ことによって行われる。
原料調製工程で得られる原料混合物を、バッチ式、連続式、これらの組合せ等の方式で重縮合を行うことにより、ポリカーボネート樹脂が得られる。この重縮合工程の例としては、多段方式の重縮合反応装置を用い、多段階に重縮合反応を行う方法があげられる。この段数としては、2段階以上、好ましくは3段〜7段が好ましい。具体的な重縮合反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜300分の範囲である。
触媒の溶解に使用する水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
前記の重縮合工程で得られたポリカーボネート樹脂Aは、溶融状態のまま、図1に示すような混練押出装置11に送られ、添加物等と混練され、ポリカーボネート樹脂組成物が得られる。この混練押出装置11としては、2軸押出機、単軸押出機等があげられるが、混練性が良好であるため2軸押出機が好ましい。
ポリカーボネート樹脂組成物中の硫黄系熱安定剤の含有量としては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001重量部〜0.2重量部が好ましい。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよび3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられ、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが特に好ましく用いられる。
ブルーイング剤は、ポリカーボネート樹脂の黄色味を消すために有効である。特に耐候性を付与したポリカーボネート樹脂組成物の場合は、一定量の紫外線吸収剤が配合されているため、紫外線吸収剤の作用や色によってポリカーボネート樹脂組成物が黄色味を帯びやすい現実があり、特にシートやレンズに自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合は非常に有効である。
さらに、上記移送配管の設置角度、すなわち、前記サイドフィーダー17のホッパーまでの移送角度は、鉛直方向を基準にして±20°以内であることが好ましく、より好ましくは±10°以内、さらに好ましくは±0°(鉛直)である。上記設置角度(鉛直度)が±20°より大きくなると、移送時の固形状添加物等Bの配管内閉塞という問題点を生じる場合がある。
前記混練押出装置における、ポリカーボネート樹脂組成物単位質量あたり混練に要した比エネルギー(Esp)は、0.03kWh/kg以上であり、0.04kWh/kg以上が好ましい。0.03kWh/kgより小さいと、混練が不十分になる恐れがある。一方、混練に要した比エネルギーの上限は、0.08kWh/kgであり、0.07kWh/kgが好ましい。0.08kWh/kgより大きいと、混練押出装置のスクリューの剪断が強くなりすぎ、樹脂温度が上昇し、色調が悪化する恐れがある。
なお、前記のポリカーボネート樹脂組成物単位質量あたり混練に要した比エネルギーとは、原料に対して混練押出装置で行った仕事を単位押出質量当たりで表した値をいい、電動機効率及び機械効率を加味した押出機電動機消費電力量を押出質量、すなわち、単位時間に押し出される樹脂の質量で除して求めることができる。
まず、各評価の測定方法について、説明する。
(Espの測定)
混練押出装置のモーター出力P(kW)を測定し、モーター効率0.9を乗じて、押出機電動機消費電力量を算出し、その消費電力量をポリカーボネート樹脂の押出量Q(kg/h)で除して求めた。
Esp=(P×0.9)/Q
ポリカーボネート樹脂の濃度(C) が0.6g/dlの塩化メチレン溶液を用いて、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて、粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4(Mv)0.83
[見本板の成形]
実施例により得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを、射出成形機(株式会社日本製鋼所、製品名JSW J75EII)を用い、360℃で可塑化後、シリンダー内で180秒滞留させ、厚さ3.2mm、60mm角の見本板を成形した。該成形で1ショット目と10ショット目の見本板のYI値を測定し、その差(△YI)を熱安定性の尺度とした。
上記見本板について、色差計(コニカミノルタセンシング株式会社製、製品名CM−3700D)を用いて、色調(YI値)を測定した。測定値のうち、1ショット目のYI値が小さいのは、定常成型時の色調が良好であることを示し、1ショット目と10ショット目のYI値の差(ΔYI)が小さいのは、高温における熱安定性が良好であることを示す。
溶融した市販フェノールとピリジン触媒を反応器へ連続供給しながら、150℃の混合下、ホスゲンガスを連続供給した。ホスゲン化反応に伴って副生される塩化水素ガスは10℃まで冷却し、凝縮液は反応器に戻され、未凝縮ガスはアルカリ水溶液で中和後排出した。一方、反応器からはDPCが約91重量%含有する反応液を連続的に抜き出した。反応工程でのホスゲンの反応率はほぼ100%であった。
上記の精製DPCと市販BPA(ビスフェノール−A)とをモル比で1.07:1.00となるように混合し、温度150℃、圧力常圧〜900Torrで原料混合物の溶融液を得、これに炭酸セシウム水溶液をBPA1モルに対して0.6マイクロモル相当となるように添加し、重縮合反応装置に供した。重縮合反応装置としては、竪型反応器3器、横型反応器1器を直列に繋いだ装置を用いた。条件は、第1反応器−第2反応器−第3反応器−第4反応器の順で、220℃・100Torr−260℃・30Torr−270℃・1Torr−285℃・0.7Torrの条件下で順番に原料混合物の重縮合を行い、溶融状態のポリカーボネート樹脂(Mv=21,400)を得た。
混練押出装置として、株式会社日本製鋼所製:二軸同方向回転式サイドフィーダーを具備した二軸押出機TEX65(L/D=17.5)を用いた。そして、サイドフィーダーへの固形状添加物の移送配管の設置鉛直角度を5°以内とした。また、混練押出装置は、溶融ポリカーボネート樹脂の供給部、添加剤の供給部、混練部、ベント部、及び安定部を有し、混練部は、順送りニーディングスクリューと逆送りニーディングスクリューとをそれぞれ有し、かつ、逆送りニーディングスクリューは1.0Dとした。
このときの、混練押出装置の入口樹脂温度は、285℃とした。また、混練押出装置のスクリューの回転速度は、表1に示す値とした。
その結果、表1に示すように、実施例においては、適切な比エネルギー(Esp)を得ることができた。
得られた溶融ポリカーボネート樹脂組成物はカッターで切断してペレットとし、同一条件下で得られたペレットを経時(運転開始後10分、13分、16分、19分、22分、25分、28分、31分)で計8点採取し、前記方法により見本板を成形し、色調を測定した。経時のペレットの色調が安定しているかを標準偏差で整理し、それを添加剤等との混練分散状態が良好であるかを評価する尺度とした。
12 ポリカーボネート樹脂供給部
13 添加剤供給部
14 混練部
15 ベント部
16 安定部
17 サイドフィーダー
A 溶融ポリカーボネート樹脂
B 固形状添加物等
C 液状添加物等
D ガス化成分
Claims (11)
- 溶融ポリカーボネート樹脂と添加剤とを、混練押出装置に供給して混練するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、
前記混練押出装置の、ポリカーボネート樹脂組成物単位質量あたり混練に要した比エネルギーが0.03kWh/kg以上0.08kWh/kg以下であり、かつ、前記混練押出装置のL/Dが30以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。 - 前記溶融ポリカーボネート樹脂が、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との重縮合反応により得られたものであり、溶融状態のまま混練押出装置に供給することを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記混練押出装置が、溶融ポリカーボネート樹脂の供給部、添加剤の供給部、混練部、ベント部、及び安定部を少なくとも有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記混練部が、順送りニーディングスクリューと逆送りニーディングスクリューとを少なくとも有し、かつ、逆送りニーディングスクリューが1.0D以上であることを特徴とする請求項3に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記添加剤がサイドフィーダーを介して混練押出装置に供給されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記添加剤は、前記サイドフィーダーにて前記ポリカーボネート樹脂又は前記ポリカーボネート樹脂組成物と混合され、この混合物を混練押出装置に供給することを特徴とする請求項5に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記混合物に、更に液状添加剤を混合することを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記添加剤の前記サイドフィーダーへの移送配管の内面がバフ鏡面加工仕上げされていることを特徴とする、請求項3乃至7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記添加剤の前記サイドフィーダーへの移送配管の鉛直方向に対する設置角度が鉛直角20°以内であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記溶融ポリカーボネート樹脂の温度が270℃以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物の温度が350℃以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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