JP2015183063A - 樹脂粒子分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
中でも、有機溶剤を使用しないトナー及び樹脂粒子の製造方法としては、樹脂を溶融させて、水を添加し、転相乳化する方法が提示されている。
例えば、特許文献1には、反応容器内に少なくとも1つの酸基を有する少なくとも1つのポリエステル樹脂を準備し、前記樹脂を、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、ピリジン誘導体、ジフェニルアミン、ジフェニルアミン誘導体、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレンアミン)誘導体、及びそれらの組合せからなる群から選択された塩基に接触させることによって、前記少なくとも1つの酸基を中和し、トナー溶媒が存在しない状態で、前記中和した樹脂を少なくとも1つの界面活性剤に接触させることによって、前記中和した樹脂を乳化してラテックス粒子を含有するラテックス・エマルジョンをもたらし、前記ラテックス粒子を連続的に回収する、ステップを含むことを特徴とする製造方法が記載されている。
<1>少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を、剪断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程と、溶融させた前記油性混合物に剪断力を付与しながら水性媒体を添加し乳化する乳化工程と、を含み、前記溶融工程及び乳化工程において、1つの乳化装置を使用し、油性混合物及び水性媒体に剪断力を付与する前記乳化装置のモーター動力が、下記式(1)を満たすことを特徴とする樹脂粒子分散液の製造方法、
0.02≦(Pe−P0)/F≦0.14 (1)
(式(1)中、Peは前記溶融工程及び乳化工程時におけるモーター平均動力(kW)を表し、P0はモーターの空動力(kW)を表し、Fは前記乳化装置への樹脂の平均供給量(kg/h)を表す。)
<2>前記乳化装置が、二軸混練機である、<1>に記載の樹脂粒子分散液の製造方法、
<3>前記樹脂が、酸基を有するポリエステル樹脂を含む、<1>又は<2>に記載の樹脂粒子分散液の製造方法、
<4>前記樹脂の105℃溶融粘度(シェアレート2.6s−1)が、20,000Pa・s以下である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法、
<5>前記樹脂が、結晶性樹脂と、非結晶性樹脂とを含む、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法、
<6>前記溶融工程及び乳化工程において、前記樹脂、塩基、界面活性剤及び水性媒体を連続的に前記乳化装置へ供給する、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
上記<2>に記載の発明によれば、二軸混練機を乳化装置として用いない場合に比べて、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる樹脂粒子分散液の製造方法が提供される。
上記<3>に記載の発明によれば、酸基を有するポリエステル樹脂を樹脂として含まない場合に比べて、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる樹脂粒子分散液の製造方法が提供される。
上記<4>に記載の発明によれば、樹脂の105℃溶融粘度(シェアレート2.6s−1)が20,000Pa・sを超える場合に比べて、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる樹脂粒子分散液の製造方法が提供される。
上記<5>に記載の発明によれば、結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを樹脂として含まない場合に比べて、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる樹脂粒子分散液の製造方法が提供される。
上記<6>に記載の発明によれば、前記溶融工程及び乳化工程において、前記樹脂、塩基、界面活性剤及び水性媒体を連続的に前記乳化装置へ供給しない場合に比べて、粒度分布の幅が狭い樹脂粒子分散液の生産性に優れる樹脂粒子分散液の製造方法が提供される。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、数値の大小に応じて「A以上B以下」又は「B以上A以下」を表す。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を、剪断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程と、溶融させた前記油性混合物に剪断力を付与しながら水性媒体を添加し乳化する乳化工程と、を含み、前記溶融工程及び乳化工程において、1つの乳化装置を使用し、油性混合物及び水性媒体に剪断力を付与する前記乳化装置のモーター動力が、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
0.02≦(Pe−P0)/F≦0.14 (1)
(式(1)中、Peは前記溶融工程及び乳化工程時におけるモーター平均動力(kW)を表し、P0はモーターの空動力(kW)を表し、Fは前記乳化装置への樹脂の平均供給量(kg/h)を表す。)
本実施形態の樹脂粒子分散液は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液である。
また、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液は、静電荷像現像トナー製造用樹脂粒子分散液として好適に用いられる。
また、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法であると、塩基、及び、界面活性剤の量を少なくしても、粒度分布の幅が狭い樹脂粒子分散液を容易に得られ、また、樹脂粒子中に残留する塩基及び界面活性剤の量も少ないため、静電荷像現像トナー用結着樹脂としてこれを使用した場合、トナー性能にも優れる。
0.02≦(Pe−P0)/F≦0.14 (1)
(式(1)中、Peは前記溶融工程及び乳化工程時におけるモーター平均動力(kW)を表し、P0はモーターの空動力(kW)を表し、Fは前記乳化装置への樹脂の平均供給量(kg/h)を表す。)
(Pe−P0)/Fの値が0.14を超えると、得られる樹脂粒子分散液の粒度分布が悪化する。また、(Pe−P0)/Fの値が0.02未満であると、乳化が十分でなく、また、得られる樹脂粒子分散液の粒度分布も悪化する。
P0における乳化装置のモーターの空動力とは、乳化装置の混練乳化を行うシリンダー内に樹脂等が何もない状態でモーターを動かした際に必要な単位時間当たりの仕事量(仕事率)である。Pe−P0/Fを算出することにより、溶融工程及び乳化工程時における、一定の樹脂供給量に対する溶融乳化に使用された単位時間当たりの仕事量を比較対象としている。
また、式(1)における(Pe−P0)/Fは、0.04≦(Pe−P0)/F≦0.14であることが好ましく、0.07≦(Pe−P0)/F≦0.14であることがより好ましい。上記範囲であると、塩基及び界面活性剤の使用量をより低減した場合であっても、粒度分布の幅が狭い樹脂粒子分散液を容易に得られ、また、トナー用結着樹脂に使用した場合にトナーの転写性能に優れる。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を、剪断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程を含む。
樹脂、塩基、及び、界面活性剤は、同時に混合しても、逐次混合してもよい。中でも、まず、樹脂と塩基とを混合し、その後、界面活性剤を混合し、油性混合物とすることが好ましい。
また、前記1つの乳化装置への供給については、特に制限はなく、少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を供給してもよいし、樹脂、塩基、及び、界面活性剤をそれぞれ供給してもよいし、また、樹脂及び塩基の混合物と、界面活性剤とを供給してもよい。本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法においては、前記溶融工程として、樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物の調製自体を、前記1つの乳化装置内で行うことが好ましい。
前記乳化装置への供給は、まず、樹脂と塩基とを供給し、その後、界面活性剤を供給することが好ましい。
塩基水溶液の塩基濃度としては、塩基の溶解度や液温、過飽和状態等にもよるが、4〜70質量%であることが好ましく、10〜65質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、機構は不明であるが、分散性及び乳化性により優れ、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる。
界面活性剤水溶液の界面活性剤濃度としては、界面活性剤の溶解度や液温、過飽和状態等にもよるが、5〜60質量%であることが好ましく、10〜55質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、機構は不明であるが、分散性及び乳化性により優れ、粒度分布の幅がより狭い樹脂粒子分散液が得られる。
前記油性混合物における塩基及び界面活性剤の総含有量は、樹脂100質量部に対し、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.2〜25質量部であることがより好ましく、0.5〜20質量部であることが更に好ましい。上記範囲であると、乳化分散性により優れ、また、トナーの帯電特性により優れる。
また、前記油性混合物における塩基の含有量は、樹脂100質量部に対し、0.01〜2質量部であることが好ましく、0.05〜1質量部であることがより好ましく、0.1〜0.7質量部であることが更に好ましい。上記範囲であると、乳化分散性により優れ、また、トナーの帯電特性により優れる。
また、前記油性混合物における界面活性剤の含有量は、樹脂100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましく、1.5〜15質量部であることがより好ましく、2〜10質量部であることが更に好ましい。上記範囲であると、乳化分散性により優れ、また、トナーの帯電特性により優れる。
また、前記溶融工程における乳化装置内の温度は、溶融状態とするため、樹脂の軟化点以上の温度であることが好ましい。
これらの中でも、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が好ましく、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、N−アルキルニトリロトリ酢酸、N−アルキルジメチルベタイン、N−アルキルオキシメチル−N,N−ジエチルベタイン、N−アルキルスルホベタイン、N−アルキルヒドロキシスルホベタイン、レシチン、ペルフルオロアルキルスルホンアミドアルキルベタインが挙げられる。
中でも、樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。
また、樹脂としては、カルボン酸基(カルボキシル基)やスルホン酸基等の酸基を有する樹脂であることが好ましく、酸基を有するポリエステル樹脂であることがより好ましく、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂であることが更に好ましい。上記態様であると、乳化工程における水系媒体への分散がより容易である。
また、本実施形態に用いられる樹脂は、非結晶性樹脂及び結晶性樹脂を含むことが好ましく、非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。
更に、本実施形態に用いられる樹脂は、静電荷像現像トナー用結着樹脂であることが好ましい。
105℃における溶融粘度は、剪断試験により、シェアレート(歪み速度)2.6s−1における溶融粘度をフローテスターCFT−500F型((株)島津製作所製)を用いて、測定することができる。
本実施形態に用いることのできる重縮合性単量体としては、例えば、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、又は、それらの混合物が挙げられる。特に、重縮合性単量体としては、多価カルボン酸とポリオールと更にはこれらのエステル化合物(オリゴマー及び/又はプレポリマー)であることが好ましく、直接エステル反応、又は、エステル交換反応を経て、ポリエステル樹脂を得るものがよい。
本実施形態において、重縮合樹脂は、重縮合性単量体、それらのオリゴマー及びプレポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を重縮合して得られるが、これらの中でも重縮合性単量体を使用することが好ましい。
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸等、更にまたこれらの低級エステルなどが挙げられる。更にまた、これらの酸ハロゲン化物、酸無水物も用いられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、低級エステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1〜8であることを示す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等が挙げられる。
また、水分散性を容易にするため、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等が例示される。
また、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶性樹脂や結晶性樹脂を容易に得ることができる。
酸価の測定方法としては、特に制限はないが、JIS K0070に従い測定することが好ましい。
結着樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
ラジカル重合性単量体としては、スチレン系単量体類、不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリレート類(なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味するものとし、以下も同様とする。)、N−ビニル化合物類、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニル化合物類、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。なお、これらの中で、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、及び、多官能(メタ)アクリレート類等は、生成された重合体に架橋反応を生起させることもできる。これらを、単独で、あるいは組み合わせて使用できる。
ラジカル重合性単量体としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましく、芳香族エチレン性不飽和化合物(以下、「ビニル芳香族」ともいう。)、エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸(不飽和カルボン酸)、エステルやアルデヒド、ニトリル若しくはアミドなどの不飽和カルボン酸の誘導体、N−ビニル化合物、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニル化合物、N−置換不飽和アミド、共役ジエン、多官能ビニル化合物、又は、多官能(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、溶融させた前記油性混合物に剪断力を付与しながら水性媒体を添加し乳化する乳化工程を含む。
前記乳化工程における乳化は、転相乳化であることが好ましい。
本実施形態に用いられる水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、水であることがより好ましく、イオン交換水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体は、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよいが、前記乳化工程においては、含まないことが好ましい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
前記乳化工程における水系媒体の使用量としては、特に制限はないが、得られる樹脂粒子分散液の固形分濃度が、1〜60質量であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましい。
また、前記乳化工程における水系媒体の添加方法としては、徐々に添加しても、一度に添加してもよいが、2回以上に分けて添加することが好ましく、3回以上に分けて添加することがより好ましい。上記態様であると、塩基及び界面活性剤の使用量が少量であっても、乳化分散性により優れ、粒度分布のより狭い樹脂粒子分散液が得られる。
測定法として具体的には、以下の方法が例示される。
分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径(D50)とする。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法は、少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を、剪断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程と、溶融させた前記油性混合物に剪断力を付与しながら水性媒体を添加し乳化する乳化工程と、を含み、前記溶融工程及び乳化工程において、1つの乳化装置を使用する。
乳化装置は、溶融工程及び乳化工程を両方行うことができる装置であれば特に制限はないが、二軸混練機であることが好ましく、二軸混練押出機であることがより好ましく、連続供給型の二軸混練押出機であることが更に好ましい。
本実施形態に好適に用いられる乳化装置(二軸混練押出機)の一例について、図面を用いて以下に説明する。
図1に示す二軸混練押出機10は、二軸のスクリュー(不図示)を内部に備えた混練及び乳化を行うシリンダー12を有しており、シリンダー12は、原料投入口14、塩基水溶液投入口16、界面活性剤投入口18、水投入口20、21及び22、並びに、排出口24を有している。各投入口には、原料を供給する供給ライン26が接続されており、また、各供給ラインには、必要に応じ、供給量を調整可能なポンプ28が備えられている。原料投入口14には、供給ライン26により樹脂供給機30が接続されている。原料投入口14の側壁には、塩基水溶液投入口16が突出して設けられており、塩基水溶液投入口16には、供給ライン26により塩基水溶液タンク32が接続されている。界面活性剤投入口18には、供給ライン26により界面活性剤水溶液タンク34が接続されており、界面活性剤水溶液タンク34には、恒温槽等のような温度調節装置36が設けられている。水投入口20、21及び22にはそれぞれ、供給ライン26により純水タンク38が接続されており、純水タンク38には、ヒーター40が設けられている。
図1に示す二軸混練押出機10におけるシリンダー12は、樹脂供給バレル42と呼ばれる区画を10個有しており、例えば、各バレル毎に二軸のスクリューの構造を変更したり、温度調節を変更したりすることができる。また、二軸混練押出機10は、温度調節装置(不図示)を備えている。シリンダー12に投入された各原料は、混練され、排出口24より樹脂粒子分散液として排出される。
本実施形態の好ましい態様としては、図1に示すように、まず、樹脂と塩基水溶液とを乳化装置に供給し、乳化装置の原料供給口から排出口までのうち、シリンダー前半部分において界面活性剤を供給し、シリンダー中央部分から後半部分において3カ所に分けて水を供給することである。
図1に示す二軸混練押出機10を本実施形態に使用する場合、1バレル目において、樹脂と塩基水溶液とを供給した後、2バレル目〜10バレル目までの恒温域44では内部の温度が85℃〜99℃の温度範囲に維持されるように温度の調節を行うことが好ましい。
本実施形態の静電荷像現像トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液に分散された樹脂粒子を結着樹脂として少なくとも使用したトナーである。
本実施形態の静電荷像現像トナーにおける結着樹脂は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液由来の樹脂を少なくとも含む。
本実施形態の静電荷像現像トナーは、結着樹脂として、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液由来の樹脂以外の樹脂を含んでいてもよいが、トナーに含まれる結着樹脂の全質量に対し、50質量%未満であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、含まないことが特に好ましい。上記態様であると、定着特性により優れる。
本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液由来の樹脂以外の樹脂としては、特に制限はなく、トナー使用される公知の樹脂が用いられる。
本実施形態のトナーは、必要に応じ、着色剤を含有してもよい。
着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から任意に選択すればよい。
具体的には、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドCローズベンガル、などの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種着色剤などが例示できる。
着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転剪断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものではない。また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
本実施形態の静電荷像現像トナーは、離型剤を含有することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。これらの中でも、ワックス類が好ましい。
前記離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜20質量部の範囲で含有することが好ましく、3〜15質量部の範囲で含有することがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
トナーには、上記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。上記磁性体等を含有させて磁性トナーとして用いる場合、これらの強磁性体は平均粒子が2μm以下が好ましく、0.1〜0.5μm程度のものがより好ましい。トナー中に含有させる量としては樹脂成分100質量部に対し20〜200質量部が好ましく、特に樹脂成分100質量部に対し40〜150質量部が好ましい。また、10Kエルステッド印加での磁気特性が保磁力(Hc)が20〜300エルステッド、飽和磁化(σs)が50〜200emu/g、残留磁化(σr)が2〜20emu/gのものが好ましい。
トナーは、必要に応じて外添剤が表面に外添されていてもよい。表面に外添される外添剤としては、無機粒子や有機粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
無機粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機粒子の平均一次粒径としては、1〜200nmの範囲が好ましい。無機粒子の添加量としては、トナー100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲が好ましい。
前記疎水化処理は、疎水化処理剤に前記無機粒子を浸漬等することにより行ってもよい。前記疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シランカップリング剤が好適に挙げられる。
また、外添剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
外添前のトナー母粒子に外添される外添剤の割合は、トナー母粒子100質量部に対し0.01〜5質量部の範囲が好ましく、0.1〜3.0質量部の範囲がより好ましい。
本実施形態のトナーは、コアシェルトナーであることが好ましく、コア及びシェルの両方に本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液由来の樹脂を含むことが好ましい。
前記シェル層の厚さ(平均総厚さ)は、特に制限はないが、0.01〜2.5μmであることが好ましい。
また、前記シェル層の量は、トナー母粒子の全質量に対し、0.01〜40質量%であることが好ましく、0.1〜35質量%であることがより好ましい。
また、本実施形態のトナーにおけるトナー母粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上20μm以下が好ましく、3μm以上15μm以下がより好ましく、3μm以上12μm以下が更に好ましい。上記範囲であると、高温高湿環境下における転写むらがより抑制される。
トナーの粒度分布としては狭いほうが好ましく、より具体的にはトナーの個数粒径の小さい方から換算して16%径(D16p)と84%径(D84p)との比を平方根として示したもの(GSDp)、すなわち、下式で表されるGSDpが1.40以下であることが好ましく、1.31以下であることがより好ましく、1.27以下であることが特に好ましい。また、GSDpは1.15以上であることが好ましい。
GSDp={(D84p)/(D16p)}0.5
体積平均粒径、GSDpともに上記範囲であれば、極端に小さな粒子が存在しないため、小粒径トナーの帯電量が過剰になることによる現像性の低下を抑制できる。
粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、(株)堀場製作所製)を用いて測定することができる。
更に、粒径がナノメーターオーダーの場合は、BET式の比表面積測定装置(Flow SorbII2300、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
形状係数SF1は、粒子表面の凹凸の度合いを示す形状係数であり、以下の式により算出される。
SF1の具体的な測定方法としては、例えば、まずスライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個のトナーについてSF1を計算し、平均値を求める方法が挙げられる。
本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液を含む分散液中で前記樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程(以下、「凝集工程」ともいう。)、及び、前記凝集粒子を加熱して融合させる工程(以下、「融合工程」ともいう。)、を含むことを特徴とする。
本実施形態のトナーの製造方法は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液を含む分散液中で前記樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る凝集工程を含むことが好ましい。
前記凝集工程においては、互いに混合された、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液、及び、必要に応じて、着色剤分散液、離型剤分散液中の各粒子を水系媒体中において凝集させて、凝集体における所望の体積平均粒径の凝集粒子を形成する。前記凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、凝集粒子の安定化、粒度/粒度分布制御を目的として、界面活性剤や凝集剤を添加してもよい。また、凝集粒子の形成は、回転剪断型ホモジナイザーで撹拌下、凝集剤を添加することにより行うことが好ましい。また、前記凝集工程における温度は、凝集が進行すれば特に制限はないが、10℃〜55℃であることが好ましい。
本実施形態においては、目的に応じて、前記樹脂粒子分散液、前記着色剤分散液及び前記離型剤分散液の少なくともいずれかに、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、有機粒体、滑剤、研磨材などのその他の成分(粒子)を分散させてもよい。また、例えば、前記結着樹脂分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液の少なくともいずれかの中に、その他の成分(粒子)を分散させてもよいし、樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液を混合してなる混合液中に、その他の成分(粒子)を分散させてなる分散液を混合してもよい。
本実施形態に用いられる水系媒体としては、前述したものが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体には、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
また、前記凝集工程においては、分散液に凝集剤を添加した後、分散液の温度を35℃〜55℃に加熱することが好ましい。
本実施形態において、トナーの製造時に、例えば、前記凝集工程における樹脂粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液等の分散安定を目的として界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、第四級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等のノニオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、イオン性界面活性剤が好ましく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤がより好ましい。
非イオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、界面活性剤はトナー中にある程度は残留するものであるが、その量はアルカリ金属量(例えば、Na)の量で測定することができる。その量は0.1kps以下が好ましい。0.1kps以下であると、帯電量への影響が少なく、転写効率に優れる。なお、kpsとは、蛍光X線装置において、測定可能な元素の総数を1としたときの割合を示す。
前記凝集工程においては、pH変化等により凝集を発生させ、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒径の粒子を調製することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、又は、より狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得るため、凝集剤を添加してもよい。
凝集剤としては、一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、その化合物の具体例としては、前述のイオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、(ポリ)塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩等が挙げられる。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であることが好ましく、一価の場合は3質量%以下、二価の場合は1質量%以下、三価の場合は0.5質量%以下であることが好ましい。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物を用いることが好ましい。
前記着色剤分散液は、少なくとも着色剤を分散させてなる。
着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、着色剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散し、着色剤粒子分散液を作製してもよい。着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記着色剤の体積平均粒径(以下、単に平均粒径ということがある。)としては、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.01〜0.5μmが特に好ましい。
また、着色剤の水系媒体中での分散安定性をより安定化させ、トナー中での着色剤のエネルギーを低くするために添加する分散剤として、ロジン、ロジン誘導体、カップリング剤、高分子分散剤などが挙げられる。
前記離型剤分散液は、少なくとも離型剤を分散させてなる。
離型剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、離型剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散し、離型剤粒子分散液を作製してもよい。本実施形態において、離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記離型剤粒子の平均粒径としては、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。
本実施形態のトナーの製造方法は、凝集を行い、凝集体を形成した後、前記凝集体を含む分散液に更に樹脂粒子を添加する添加工程と、前記凝集体の表面に前記樹脂粒子を付着させ凝集粒子を得るシェル付着工程と、を含むことが好ましい。前記樹脂粒子は、本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子であることが好ましい。すなわち、前記添加工程は、前記凝集体を含む分散液に更に本実施形態の樹脂粒子分散液の製造方法により得られた樹脂粒子分散液を添加する工程であることが好ましい。
前記シェル付着工程に使用される凝集剤は、前記凝集工程において添加した凝集剤をそのまま利用してもよいし、新たに添加してもよい。
前記シェル付着工程における分散液の温度としては、前記凝集体の表面に樹脂粒子を付着させられる温度であれば、特に制限はないが、前記凝集工程における分散液の温度と好ましい態様は同様である。
また、前記添加工程、及び、前記シェル付着工程は、前記添加工程を行いながら、前記シェル付着工程を行っても、前記添加工程を行った後、前記シェル付着工程を行ってもよいが、前記シェル付着工程の次の添加工程については、前記シェル付着工程において、前記凝集体の表面に前の添加工程において添加した樹脂粒子が付着する時間を考慮し、間隔をあけることが好ましい。
前記添加工程及び/又はシェル付着工程において、凝集体の安定化、粒度/粒度分布制御を目的として、界面活性剤を添加してもよいし、また、pH調整を行ってもよい。
本実施形態の静電荷像現像トナーの製造方法は、前記凝集粒子を加熱して融合させる融合工程を含むことが好ましい。
前記融合工程においては、前記凝集粒子中の結着樹脂が、その融点又はガラス転移温度以上の温度条件で溶融し、凝集粒子は不定形からより球形へと変化する。
前記融合工程における加熱温度としては、(使用した結晶性樹脂の融解温度+0〜50)℃又は(使用した非結晶性樹脂粒子のガラス転移温度+0〜50)℃の範囲であることが好ましく、(使用した結晶性樹脂の融解温度+0〜40)℃又は(非結晶性ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度+10〜40)℃の範囲であることがより好ましい。
前記加熱の時間としては、粒子間での融合が行われる程度に時間をかければよく、0.5〜10時間が好ましい。
凝集粒子の融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、離型剤や結着樹脂の融解温度近傍(融解温度±10℃の範囲)で冷却速度を上げる、いわゆる急冷をすることで離型剤や結着樹脂の再結晶化を抑制して表面露出を抑制してもよい。
融合工程の終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程、外添工程等を経て所望のトナーを得てもよい。
洗浄工程は、帯電性の点から十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引ろ過、加圧ろ過等が好ましく用いられる。更に、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。本実施形態のトナーは、乾燥後の含水分率を、1.0質量%以下に調整することが好ましく、0.5質量%以下に調整することがより好ましい。
外添工程におけるトナー母粒子の表面にシリカ、チタニアなどの無機粒子を外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられ、例えば、機械的方法、又は、化学的方法で付着させる方法が挙げられる。
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」という場合がある。)は、本実施形態の静電荷像現像トナーを含有するものであれば特に制限はなく、また、トナーを単独で用いる一成分系の現像剤であってもよく、トナーとキャリアとを含む二成分系の現像剤であってもよい。なお、一成分系の現像剤の場合には、磁性金属粒子を含むトナーであっても磁性金属粒子を含まない非磁性一成分トナーであっても構わない。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μmであることが好ましい。
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて選択される。
本実施形態のトナーを用いた画像形成方法について説明する。本実施形態のトナーは、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には以下の工程を有する画像形成方法において利用される。
すなわち、好ましい画像形成方法は、静電荷像保持体表面を一様に帯電させる帯電工程と、帯電した前記静電荷像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成工程と、前記静電荷像保持体の表面に形成された潜像を少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記静電荷像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写工程と、前記被転写体に転写されたトナー像を定着する定着工程と、転写後の前記静電荷像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程と、を有するもので、前記トナーとして、既述の本実施形態のトナーを用いる。また、転写工程は、静電荷潜像保持体から被転写体へのトナー像の転写を媒介する中間転写体を用いたものであってもよい。
前記静電潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
前記クリーニング工程は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体を使用することができる。
被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の静電荷像現像トナーを用いた画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像トナーであることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、クリーニング手段、除電手段等を含んでいてもよい。
前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
また、本実施形態の画像形成装置においては、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング手段を備えることが好ましい。
クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられるが、クリーニングブレードが好ましい。
<溶融工程>
非結晶性ポリエステル樹脂(ガラス転移温度(Tg):60℃、融点)200質量部、水酸化ナトリウム50質量%水溶液0.2質量部を、二軸押出機(商品名:TEM26SS、東芝機械(株)製)の原料投入口に投入し、また、二軸押出機の4バレル目から、界面活性剤としてドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(三洋化成工業(株)製、エレミノールMON−7)4.1質量部を投入し、バレル温度90℃、スクリュー回転数400rpmで溶融し油性混合物を作製した。
二軸押出機の5バレル目から90℃に調整したイオン交換水(イオン交換水1)を150質量部、7バレル目から90℃に調整したイオン交換水(イオン交換水2)を150質量部、9バレル目から90℃に調整したイオン交換水(イオン交換水3)を150質量部添加し、油性混合物を乳化して非結晶性樹脂粒子分散液(A1)を得た。
このときの二軸混練機のモーターの平均動力Peは12.5kWであり、モーターの空動力P0は11.5kWであり、油性混合物の平均供給量Fは12kg/hであり、(Pe−P0)/Fは0.08kW・s/kgであった。
得られた樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定機(LA−700、(株)堀場製作所製)により測定した。その結果、樹脂粒子の体積平均粒度分布(GSDv=√(D84v/D16v))は1.24であった。
体積平均粒度分布(GSDv)は、以下のようにして求めた。
前述のレーザー回折式粒度分布測定機(LA−700、(株)堀場製作所製)で測定される樹脂粒子分散液の粒度分布をもとにして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積を小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、累積84%となる粒径を体積D84vと定義し、体積平均粒度分布(GSDv)を√(D84v/D16v)として求めた。
樹脂粒子分散液の中の粒子の粒度分布評価は、測定した樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布を以下の基準に当てはめることにより行った。
体積平均粒度分布の評価基準は、以下のとおりである。
◎:1以上1.25未満
○:1.25以上1.30未満
△:1.30以上1.80未満
×:1.80以上
体積平均粒度分布が1以上1.25未満の範囲であれば、粒子の粒度分布のばらつきが抑えられていると評価され、体積平均粒度分布が1.25以上1.30未満の範囲であれば、粒子の粒度分布のばらつきは若干あるが、実用上の問題がないレベルでばらつきが抑えられていると評価される。また、体積平均粒度分布が1.30以上1.80未満の範囲であれば、粒度分布のばらつきは大きく、実用上の問題があるレベルであり、体積平均粒度分布が1.80以上であれば、粒度分布のばらつきは非常に大きく、実用上の問題があるレベルである。
(1)結晶性ポリエステル樹脂分散液(C1)の調製
・1,10−ドデカン二酸:50モル%
・1,9−ノナンジオール:50モル%
上記モノマー成分を、撹拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、前記モノマー成分100質量部に対してチタンテトラブトキサイド(試薬)を0.25質量部投入して、窒素ガス気流下170℃で3時間撹拌反応させた。更に、温度を210℃に上げて反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間撹拌反応させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂220質量部と、酢酸エチル220質量部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.5N)0.1質量部とを用意し、これらをセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水400質量部を加え、転相乳化させた後、酢酸エチルを脱溶剤した。冷却後イオン交換水を加え固形分濃度を10.0%に調整し結晶性ポリエステル樹脂分散液(C1)を調製した。
・離型剤(日本精鑞(株)製、商品名:FNP0090、融点Tw89.7℃):270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK、有効成分量:60質量%):13.5質量部(有効成分として、離型剤に対して3.0質量%)
・イオン交換水:721.6質量部
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザー)で、内液温度120℃にて、離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、つづいて、40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液を得た。この分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは230nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度を20.0質量%に調整し、離型剤分散液を得た。
・シアン顔料(大日精化(株)製:ECB 301):200質量部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンSC):33質量部
(有効成分60質量%。着色剤に対して10質量%)
・イオン交換水:750質量部
上記成分をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3程度になる大きさのステンレス容器に、イオン交換水を280質量部とアニオン系界面活性剤20質量部とを入れ、充分に界面活性剤を溶解させた後、前記シアン顔料すべてを投入し、撹拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで撹拌するとともに、充分に脱泡させた。脱泡後に残りのイオン交換水を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5,000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した。
脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6,000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を15質量%に調整した。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは115nmであった。なお、該体積平均粒径D50vはマイクロトラックにて5回測定した内の、最大値と最小値を除いた3回の測定値の平均値を用いた。
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業(株)製:17質量%硫酸アルミニウム):35質量部
・イオン交換水:1,965質量部
を容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで撹拌混合して硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(C1):57質量部
・非結晶性樹脂粒子分散液(A1):635質量部
・着色剤分散液:100質量部
・離型剤分散液:115質量部
・イオン交換水:200質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):7.0質量部
上記各成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した反応容器に入れ、温度25℃にて、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて5,000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液を125質量部添加して6分間分散した。その後、反応容器に撹拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌するように撹拌機の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分で、40℃を超えてからは0.05℃/分で昇温し10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとなったところで温度を保持し、更に追加用非結晶性樹脂分散液(A1)312質量部を5分間かけて投入した。投入後30分間保持した後、4質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、90℃で保持した。15分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、1.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間で冷却した。冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去した後、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナーを手で出来るだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の伝導度を測定した。ろ液の伝導度が10μS/cm以下となるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。洗浄したトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)1.0質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)0.8質量部とを加え、サンプルミルを用いて13,000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(A1)を得た。
得られたトナーは、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数0.960(シスメックス(株)製、FPIA 3000)であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合はなかった。
・Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(平均粒径40μm):100質量部
・トルエン:14質量部
・シクロヘキシルメタアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(共重合質量比99:1、重量平均分子量Mw8万):2.0質量部
・カーボンブラック(VXC72:キャボット社製):0.12質量部
フェライト粒子を除く上記成分及びガラスビーズ(φ1mm、トルエンと同量)を、関西ペイント(株)製サンドミルを用いて1,200ppm/30min撹拌し、樹脂被覆層形成用溶液とした。更に、この樹脂被覆層形成用溶液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れ減圧し、トルエンを留去/乾燥することにより樹脂被覆キャリアを形成した。
上記キャリア500質量部に対して前記トナー(A1)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動ふるいにより凝集体を除去して現像剤(A1)を得た。
蛍光X線装置((株)島津製作所製、XRF−1500)を用いてトナー中のナトリウム量を測定した。トナー(A1)中のナトリウム量は0.07kpsであった。
前記現像剤(A1)を、「Docu Centre Color 400改造機(富士ゼロックス(株)製)」の現像器に充填し転写効率の評価を行った。
転写効率は、次のようにして評価した。テスト手順としては、まず温度10℃/湿度20RH%環境下で、感光体上にトナー乗り量が5g/m2になるように現像電位を調整した。次に、感光体上の現像されたトナーが中間転写体(中間転写ベルト)へ移行した直後に評価機を止める。このことにより感光体上では転写後(クリーニング前)の状態でトナーが残っている。このトナーをメンディングテープで取りその時のトナー重量測定を行う。現像時のトナー乗り量と転写後のトナー乗り量の割合から次式に基づいて転写効率を求めた。転写効率の測定は、画像面積が5%となる画像をA4用紙、50,000枚連続で出力した後に行った。
・式:転写効率=転写後の紙上トナー乗り量/感光体上トナー乗り量×100
転写効率評価基準は以下の通りである。
◎:転写効率98%以上
○:転写効率95%以上98%未満
△:転写効率90%以上95%未満
×:転写効率85%以上90%未満
××:転写効率85%未満。
表1に結果一覧を示す。
二軸押出機のスクリュー回転数を200rpmとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A2)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは6.1kW、P0は5.9kW、(Pe−P0)/Fは0.02kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.28であった。また、樹脂粒子分散液(A2)を用いて作製したトナー(A2)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A2)を用いた現像剤(A2)の転写効率は96%であった。
二軸押出機のスクリュー回転数を600rpmとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A3)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは19.6kW、P0は17.9kW、(Pe−P0)/Fは0.14kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(A3)を用いて作製したトナー(A3)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A3)を用いた現像剤(A3)の転写効率は97%であった。
結晶性ポリエステル樹脂(融点(Tm):80℃)を使用したこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A4)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは2.0kW、P0は1.5kW、(Pe−P0)/Fは0.042kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.27であった。また、樹脂粒子分散液(A4)を用いて作製したトナー(A4)中のナトリウム量は0.08kpsであり、トナー(A4)を用いた現像剤(A4)の転写効率は95%であった。
前記溶融工程に使用する塩基として水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを使用したこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A5)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは13.2kW、P0は12.1kW、(Pe−P0)/Fは0.09kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.26であった。また、樹脂粒子分散液(A5)を用いて作製したトナー(A5)中のナトリウム量は0.06kpsであり、トナー(A5)を用いた現像剤(A5)の転写効率は98%であった。
前記溶融工程に使用する界面活性剤として三洋化成工業(株)製、エレミノールMON−7の代わりに第一工業製薬(株)製、ネオゲンRKを使用したこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A6)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは12.4kW、P0は11.3kW、(Pe−P0)/Fは0.09kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.27であった。また、樹脂粒子分散液(A6)を用いて作製したトナー(A6)中のナトリウム量は0.08kpsであり、トナー(A6)を用いた現像剤(A6)の転写効率は95%であった。
前記溶融工程及び転相乳化工程に使用する装置として二軸押出機(商品名:TEM26SS、東芝機械(株)製)の代わりに小容量加圧型ニーダー(容量1L、株式会社モリヤマ製)を用いること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A7)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは12.6kW、P0は11.5kW、(Pe−P0)/Fは0.09kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(A7)を用いて作製したトナー(A7)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A7)を用いた現像剤(A7)の転写効率は96%であった。
前記転相乳化工程で添加する塩基と界面活性剤の順序を逆とすること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A8)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは12.5kW、P0は11.4kW、(Pe−P0)/Fは0.09kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.27であった。また、樹脂粒子分散液(A8)を用いて作製したトナー(A8)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A8)を用いた現像剤(A8)の転写効率は97%であった。
前記転相乳化工程で添加するイオン交換水1を200質量部、イオン交換水2を200質量部、イオン交換水3を0質量部とすること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A9)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは12.7kW、P0は11.7kW、(Pe−P0)/Fは0.08kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(A9)を用いて作製したトナー(A9)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A9)を用いた現像剤(A9)の転写効率は96%であった。
前記溶融工程及び転相乳化工程の乳化温度を85℃にすること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A10)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは12.5kW、P0は11.5kW、(Pe−P0)/Fは0.08kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.28であった。また、樹脂粒子分散液(A10)を用いて作製したトナー(A10)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A10)を用いた現像剤(A10)の転写効率は96%であった。
前記溶融工程及び転相乳化工程の乳化温度を99℃にすること以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(A11)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは12.3kW、P0は11.5kW、(Pe−P0)/Fは0.07kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(A11)を用いて作製したトナー(A11)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(A11)を用いた現像剤(A11)の転写効率は96%であった。
二軸押出機のスクリュー回転数を100rpmとした以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(B1)を調製した。
このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは3.0kWでありP0は2.9kW、(Pe−P0)/Fは0.01kW・s/kgであった。
樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.92であった。また、樹脂粒子分散液(B1)を用いて作製したトナー(B1)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(B1)を用いた現像剤(B1)の転写効率は96%であった。
二軸押出機のスクリュー回転数を700rpmとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(B2)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは21.3kW、P0は19.5kW、(Pe−P0)/Fは0.15kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.42であった。また、樹脂粒子分散液(B2)を用いて作製したトナー(B2)中のナトリウム量は0.07kpsであり、トナー(B2)を用いた現像剤(B2)の転写効率は96%であった。
前記溶融工程に使用する塩基量を5質量部としたこと以外は、比較例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(B3)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは3.1kW、P0は3.0kW、(Pe−P0)/Fは0.01kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(B3)を用いて作製したトナー(B3)中のナトリウム量は0.18kpsであり、トナー(B3)を用いた現像剤(B3)の転写効率は81%であった。
前記溶融工程に使用する界面活性剤量を20質量部としたこと以外は、比較例1と同様の条件で樹脂粒子分散液(B4)を調製した。このときの二軸押出機のモーターの平均動力Peは3.0kW、P0は2.9kW、(Pe−P0)/Fは0.01kW・s/kg、樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布(GSDv)は1.29であった。また、樹脂粒子分散液(B4)を用いて作製したトナー(B4)中のナトリウム量は0.12kpsであり、トナー(B4)を用いた現像剤(B4)の転写効率は87%であった。
Claims (6)
- 少なくとも樹脂、塩基、及び、界面活性剤を含む油性混合物を、剪断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程と、
溶融させた前記油性混合物に剪断力を付与しながら水性媒体を添加し乳化する乳化工程と、を含み、
前記溶融工程及び乳化工程において、1つの乳化装置を使用し、
油性混合物及び水性媒体に剪断力を付与する前記乳化装置のモーター動力が、下記式(1)を満たすことを特徴とする
樹脂粒子分散液の製造方法。
0.02≦(Pe−P0)/F≦0.14 (1)
(式(1)中、Peは前記溶融工程及び乳化工程時におけるモーター平均動力(kW)を表し、P0はモーターの空動力(kW)を表し、Fは前記乳化装置への樹脂の平均供給量(kg/h)を表す。) - 前記乳化装置が、二軸混練機である、請求項1に記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
- 前記樹脂が、酸基を有するポリエステル樹脂を含む、請求項1又は2に記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
- 前記樹脂の105℃溶融粘度(シェアレート2.6s−1)が、20,000Pa・s以下である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
- 前記樹脂が、結晶性樹脂と、非晶性樹脂とを含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
- 前記溶融工程及び乳化工程において、前記樹脂、塩基、界面活性剤及び水性媒体を連続的に前記乳化装置へ供給する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の樹脂粒子分散液の製造方法。
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