JP2017181576A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明が解決しようとする課題は、低湿度環境下においても帯電特性が安定し、転写効率に優れた静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。
<1>少なくとも1種の酸基を有する樹脂、塩基、及び、界面活性剤を分散機に供給するサブ工程、前記樹脂、前記塩基、及び、前記界面活性剤を前記分散機中で混合するサブ工程、前記分散機に水を供給するサブ工程、並びに、前記樹脂を粒子に造粒するサブ工程を含む、樹脂粒子の水分散液を製造する分散工程と、前記樹脂粒子を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子を融合することによりトナー粒子を形成する融合工程と、を含み、前記塩基が水酸化アルカリ金属及び/又はアンモニウム化合物を含み、前記塩基による前記樹脂の酸基の中和率が25%以上50%未満であり、かつ、樹脂粒子の前記水分散液中に含まれるアンモニウムイオンの含有量が前記樹脂1kg当り0.05〜0.20モルであることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法、
<2>前記樹脂がポリエステル樹脂を含む、<1>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
<3>前記樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び/又は非結晶性ポリエステル樹脂を含む、<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
<4>前記樹脂の酸価が、10〜30mg−KOH/g樹脂である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
<5>前記水酸化アルカリ金属が水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
<6>前記アンモニウム化合物が、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、硫酸アンモニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
<7>前記分散機が多軸押出機である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
上記<2>又は<3>に記載の発明によれば、結着樹脂がポリエステル樹脂以外の場合に比較して、低湿度環境下において帯電特性がより安定し、より優れた転写効率を有する静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
上記<4>に記載の発明によれば、前記樹脂の酸価が、5〜25mg−KOH/g樹脂でない場合に比較して、低湿度環境下において帯電特性がより安定な静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
上記<5>に記載の発明によれば、特定の水酸化アルカリ金属を使用しない場合に比較して、低湿度環境下において帯電特性がより安定し、より優れた転写効率を有する静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
上記<6>に記載の発明によれば、特定のアンモニウム化合物を使用しない場合に比較して、低湿度環境下において帯電特性がより安定し、より優れた転写効率を有する静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
上記<7>に記載の発明によれば、多軸押出機を使用しない場合に比較して、低湿度環境下において帯電特性がより安定し、より優れた転写効率を有する静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
上記の静電荷像現像用トナーの製造方法について説明する前に、全般的な記載について説明する。
本実施形態において、「X〜Y」形式の数値範囲の記載は、XからYの間の範囲だけでなく、その両端であるX及びYも含む範囲を表す。例えば、「X〜Y」の形式で表される数値範囲は、数値の大小に応じて「X以上Y以下」又は「X以下Y以上」を表す。
また、本実施態様において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本実施形態のトナーの製造方法は、樹脂粒子の水分散液を製造する分散工程と、前記樹脂粒子を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、前記凝集粒子を融合することによりトナー粒子を形成する融合工程とを必須の工程として含み、好ましくはこの順に含む。
本実施形態の製造方法は、上記の必須工程の他に、トナー粒子を洗浄する洗浄工程や、洗浄したトナー粒子を乾燥する乾燥工程を、任意の工程として更に含んでもよい。
更に、上記の分散工程は、少なくとも1種の酸基を有する樹脂、塩基、及び、界面活性剤を分散機に供給するサブ工程、前記樹脂、前記塩基、及び、前記界面活性剤を前記分散機中で混合するサブ工程、前記分散機に水を供給するサブ工程、並びに、前記樹脂を粒子に造粒するサブ工程を含む。
樹脂粒子の水分散液を製造する上記分散工程は、少なくとも1種の酸基を有する樹脂、塩基、及び、界面活性剤を分散機に供給するサブ工程(「供給サブ工程」ともいう。)、前記樹脂、前記塩基、及び、前記界面活性剤を前記分散機中で混合するサブ工程(「混合サブ工程」ともいう。)、前記分散機に水を供給するサブ工程(「水供給サブ工程」ともいう。)、並びに、前記樹脂を粒子に造粒するサブ工程(「造粒サブ工程」ともいう。)を含む。
最初に、上記分散工程の4つの上記サブ工程について概説した後、使用する材料、使用する分散機の順に説明する。
供給サブ工程とは、前記分散工程のサブ工程の一つであり、少なくとも1種の酸基を有する樹脂、塩基、及び、界面活性剤を分散機に供給する工程である。上記塩基及び上記界面活性剤は、水溶液として供給してもよい。
混合工程とは、前記分散工程のサブ工程の一つであり、供給された前記ポリエステル樹脂、前記塩基、及び、前記界面活性剤を加熱下に混合する工程であり、前記樹脂を溶融して、溶融した前記樹脂と前記塩基と前記界面活性剤とを混合する工程であることが好ましい。
混合サブ工程では、好ましくは、ポリエステル樹脂が加熱下に溶融ないし軟化され、溶融した前記ポリエステル樹脂と水酸化アルカリ金属等の塩基及び前記界面活性剤とが混合される。混合工程は、好ましくは、分散装置中で剪断力をかけながら混練する工程である。混合工程は、連続式でも、バッチ式でもよい。分散装置内の温度は、使用する樹脂、例えばポリエステル樹脂の軟化温度又は融解温度以上であれば特に制限はないが、分散性の観点から、70℃〜100℃であることが好ましく、80℃〜99℃であることがより好ましく、85℃〜99℃であることが特に好ましい。
分散装置は、後述するが、使用するポリエステル樹脂などが上記の温度範囲に加熱されるように、押出機などのバレル温度を調節する。
水供給サブ工程とは、前記分散工程のサブ工程の一つであり、上記の混合サブ工程に引き続いて実施される。すなわち、溶融された樹脂、水酸化アルカリ金属などの塩基及び界面活性剤の混合物に、分散媒である水を供給する工程である。もっとも、供給サブ工程において、水酸化アルカリ金属、アンモニア水(水酸化アンモニウム)又は界面活性剤を水溶液として供給してもよい。水供給工程は、樹脂粒子の分散媒である水を供給する工程であり、有機溶媒は使用しない。アンモニウム塩を希薄な水溶液として供給してもよい。
水供給サブ工程では、好ましくは剪断力をかけながら、溶融したポリエステル樹脂、水酸化アルカリ金属、アンモニウム化合物及び界面活性剤の混合物に対して水を供給する。
水としては、井水、水道水、イオン交換水、蒸留水が使用され、イオン交換水が好ましく使用される。なお、水は、水混和性の水性溶媒を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
水供給サブ工程において、水はポリエステルの溶融状態を維持するために十分な温度に加熱されていることが好ましい。具体的には、水の供給口が接続された分散装置のバレル温度は、70℃〜99℃であることが好ましく、予め加温した水を供給することが好ましい。なお、分散装置において、水の沸騰を防止する加圧が可能であれば、水を100℃以上の温度としてもよい。
また、水供給サブ工程における水の添加方法としては、分割して添加しても、一度に添加してもよいが、2回以上に分けて添加することが好ましく、3回以上に分けて添加することがより好ましい。上記態様であると、水酸化アルカリ金属及び界面活性剤の使用量が少量であっても、造粒性により優れ、粒度分布のより狭い樹脂粒子の水分散液が得られる。
水の総使用量としては、特に制限はないが、得られる樹脂粒子の水分散液中の固形分濃度が、1〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
造粒サブ工程は、前記分散工程のサブ工程の一つであり、溶融した前記ポリエステル樹脂を、前記水酸化アルカリ金属及び/又はアンモニウム化合物、並びに、前記界面活性剤の存在下において、水中で混練してポリエステル樹脂の粒子に成形する工程である。造粒サブ工程では、溶融したポリエステル樹脂が、前記水酸化アルカリ金属及び/又はアンモニウム化合物、並びに、前記界面活性剤と共に分散装置中で混練され、剪断力によりポリエステル樹脂の粒子に生成され、水分散液となる。造粒サブ工程は、ポリエステル樹脂の単一種又は混合物が、加熱下に、溶融され又は軟化されて、剪断力によって、次第に小さな平均粒径を有する樹脂粒子になる工程であり、上記の混合サブ工程から始まり、水供給サブ工程の後に最終的な平均粒径を有するポリエステル樹脂粒子の水分散液となり、分散装置から排出される。
最終的に得られるポリエステル樹脂粒子の分散液におけるポリエステル樹脂粒子の平均粒径(体積平均粒径)は、60nm以上300nm以下の範囲であることが好ましく、80nm以上250nm以下の範囲であることがより好ましい。上記範囲であると、樹脂粒子の凝集性が十分であり、かつ、トナーの粒径分布を狭くすることができる。
得られたポリエステル樹脂粒子の分散液中の粒子の体積平均粒径は、例えば、マイクロトラック(日機装(株)製、マイクロトラックUPA9340)、レーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−700)で測定することが好ましく、マイクロトラック(日機装(株)製、マイクロトラックUPA9340)で測定することがより好ましい。測定法として具体的には、以下の方法が例示される。分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径(D50)とする。
以下に本実施形態において使用する材料について説明する。
前記樹脂は、トナーの結着樹脂として使用される公知の樹脂から任意に選択される。前記樹脂としては、スチレンアクリル樹脂など付加重合系の樹脂も使用されるが、ポリエステル樹脂など重縮合系の樹脂を含むことが好ましい。また、上記ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び/又は非結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましく、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。トナー中に、ポリエステル樹脂を80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましい。より詳しくは、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を合計して、トナーの80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましい。
本実施形態においては、樹脂はトナーの結着樹脂として機能し、前記樹脂が、ポリエステル樹脂を含むことが好ましく、非結晶性ポリエステル樹脂及び/又は結晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。また、凝集工程において、非結晶性ポリエステル樹脂粒子の水分散液及び結晶性ポリエステル樹脂粒子の水分散液を併用することがより好ましい。
ここで、「結晶性ポリエステル樹脂」は、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを有するものをいう。具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。一方、吸熱ピークの半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶性)とする。
ポリエステル樹脂は、ポリカルボン酸、好ましくはジカルボン酸成分と、ポリオール、好ましくはジオール成分の当モル混合物からなる混合物を重縮合して合成される。
ポリエステル樹脂としては、ジオールとジカルボン酸を重縮合して得られる線状ポリエステルが好ましい。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ポリエステル樹脂には、前述のように、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂があり、トナーに低温定着性を付与するために、結着樹脂として、非結晶ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を併用することが好ましい。
上記ポリカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸が含まれていることが好ましい。例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。また、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等のエチレン性不飽和結合を持つジカルボン酸成分を含んでもよい。
ポリエステル樹脂が少なくとも1種の酸基を有することにより、分散粒子の水分散性や分散安定性が向上する。上記酸基としては、好ましくは、カルボキシ基である。この酸基を有するポリエステル樹脂を合成するために、カルボキシ基を有する、ジオール又はジカルボンを合成原料の一部として併用することが好ましい。このような単量体としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等が例示される。
また、多価アルコール成分のうち、脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であると、ポリエステル樹脂の結晶性に優れ、融解温度が適度であるため、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び、低温定着性に優れる。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度(融点)の測定には、示差走査熱量計を用い、室温(20℃)から180℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂は、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融解温度とする。
非結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーとして、二価以上の第二級アルコール及び/又は二価以上の芳香族カルボン酸化合物が好ましい。二価以上の第二級アルコールとしては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセロール等が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、が好ましい。
二価以上の芳香族カルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ドデセニルコハク酸及びトリメリット酸が好ましく、テレフタル酸及びトリメリット酸がより好ましい。
また、非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜90,000であることがより好ましく、20,000〜80,000であることが更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、それぞれ上記の数値の範囲内であると、画像強度と定着性が両立されるので好ましい。上記の重量平均分子量は、いずれもテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で得られる。樹脂の分子量はTHF可溶物をTSK−GEL(GMH(東ソー(株)製))等を使用して、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出される。
ポリエステル樹脂は、上記ポリオールとポリカルボン酸を直接重縮合する場合には、例えば、上記ポリオールとポリカルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサーを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150℃〜250℃で加熱し、副生する水など低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造される。
以下に水酸化アルカリ金属及びアンモニウム化合物について説明する。
塩基としては、水酸化アルカリ金属(アルカリ金属の水酸化物)が含まれ、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属が例示される。水酸化アルカリ金属と併用できる塩基としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物等が例示される。アルカリ土類金属の水酸化物が併用できるが、アルカリ金属の水酸化物の単独使用がより好ましく、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムがより好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。また、本実施形態に使用する塩基は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。水酸化アルカリ金属及び水酸化アンモニウムによる、前記樹脂の酸基の中和率は25%以上50%未満である。
アンモニウム化合物としては、水酸化アンモニウム(アンモニア水)又は任意の無機アンモニウム塩が用いられ、アンモニア水が好ましい。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムが例示されるが、これに制限されるものではない。
アンモニウムイオンの含有量が、前記樹脂1kg当り0.05未満モルであると、低湿度環境下における帯電量が高くなりすぎ、また、前記樹脂1kg当り0.20モルを超えると、逆に帯電量が低くなりすぎ、かぶりの発生などの問題が生じる場合がある。
以下に、本実施形態に使用する界面活性剤について説明する。
本実施形態に用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び、ノニオン性界面活性剤の各種界面活性剤が含まれる。中でも、アニオン性界面活性剤が好ましく、硫酸エステル型又はスルホン酸型のアニオン性界面活性剤がより好ましく、スルホン酸型のアニオン性界面活性剤が更に好ましく、ジスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が特に好ましい。
なお、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び、ノニオン性界面活性剤としては、上記に例示したものに限定されるものではなく、上記のほか、公知のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を使用してもよい。また、本実施形態に使用する界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
なお、本実施形態においては、有機溶媒を使用することなく、少なくとも1種の樹脂粒子の水分散物が製造される。非結晶性ポリエステル樹脂を本実施形態により、樹脂粒子の水分散物とすることが好ましい。
水供給サブ工程においてアンモニウム化合物の水溶液を供給してもよい。
以下に本実施形態において使用する分散機について説明する。
本実施形態の分散工程に使用する分散機は、樹脂の水分散に使用される分散装置であることが好ましい。バッチ式であっても、バッチ連続式であっても、連続式であってもよい。バッチ式の場合には、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、ラボプラストミル、等のバッチ式混合装置が好ましく、連続式の場合には、押出機、特に混合性の良い二軸押出機、多軸押出機などが好ましい。また、これら装置を組み合わせて使用してもよい。二軸混練押出機は市販されており、東芝機械(株)のSSシリーズが例示される。
上記供給サブ工程において、前記樹脂、前記塩基、及び、前記界面活性剤の供給順序は特に問わないが、この順に分散機に供給することが好ましい。
供給サブ工程と、混合サブ工程と、水供給サブ工程と、造粒サブ工程とを、剪断力の下溶融したポリエステル樹脂が微小な粒子に造立されるように、一つの分散装置により連続して実施することが好ましい。
最終的に得られる水分散液には、微小な粒子に造粒された樹脂粒子が分散され分散機から排出される。
二軸混練押出機10は、二軸のスクリューを内部に備え混練及び造粒を行うシリンダー12を有しており、シリンダー12は、原料である樹脂を投入する原料投入口14、塩基である水酸化アルカリ金属(水溶液)及び/又はアンモニウム化合物(水溶液)を投入する塩基水溶液投入口16、界面活性剤(水溶液)投入口18、水投入口20、21、22、並びに、排出口24を有している。各投入口には、原料を供給する供給ライン26が接続されており、また、各供給ライン26には、必要に応じ、供給量を調整可能なポンプ28が備えられている。原料投入口14には、供給ラインにより樹脂供給機30が接続されている。原料投入口14の側壁には、塩基である水酸化アルカリ金属及び/又はアンモニウム化合物(水溶液)を投入する塩基水溶液投入口16が突出して設けられており、塩基水溶液投入口16には、供給ラインにより塩基水溶液タンク32が接続されている。界面活性剤投入口18には、供給ラインにより界面活性剤水溶液タンク34が接続されており、界面活性剤水溶液タンク34には、恒温槽等のような温度調節装置36が設けられている。水投入口20、21、22にはそれぞれ、供給ラインにより純水タンク38が接続されており、純水タンク38には、ヒーター40が設けられている。
二軸混練押出機を本実施形態に使用する場合、最初の1バレル目に、ポリエステル樹脂と水酸化アルカリ金属水溶液及び/又はアンモニウム化合物水溶液とを供給した後、続く2バレル目〜10バレル目までの恒温域44ではシリンダー12の内部温度が85℃〜99℃の温度範囲に維持されるように各バレルの加熱温度の調節を行うことが好ましい。
以下、樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合を中心として説明する。
アンモニウム化合物として、水酸化アンモニウム(アンモニア水)を使用する場合には、水酸化アルカリ金属の水溶液の添加と同時に又は相前後して添加することにより、樹脂中の酸基の少なくとも一部を中和してアンモニウム塩に変化させることができる。
無機アンモニウム塩を使用する場合には、無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムが例示されるが、これらの水溶液は、供給サブ工程〜水供給サブ工程において添加してもよい。
得られる樹脂粒子の水分散液中に含まれるアンモニウムイオンの含有量が前記樹脂1kg当り0.05〜0.20モルであり、好ましくは、0.07〜0.15モルである。
本実施形態のトナーの製造方法は、上記の樹脂粒子、好ましくはポリエステル樹脂粒子の水分散液に、他のトナー成分の粒子の水分散液を混合した混合分散液中で前記ポリエステル樹脂粒子などと他のトナー成分粒子とを凝集して凝集粒子を得る凝集工程を含む。
前記凝集工程においては、前記のポリエステル樹脂粒子の水分散液、及び、必要に応じて、着色剤の水分散液、離型剤の水分散液中の各粒子を水系媒体中において凝集させて、所望の体積平均粒径を有する凝集粒子を形成する。前記凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、凝集粒子の安定化、粒度/粒度分布制御を目的として、界面活性剤や凝集剤を添加してもよい。また、凝集粒子の形成は、回転剪断型ホモジナイザーで撹拌下、凝集剤を添加することにより行うことが好ましい。また、前記凝集工程における温度は、凝集が進行すれば特に制限はないが、10℃〜55℃であることが好ましい。
本実施形態においては、目的に応じて、前記ポリエステル樹脂粒子の水分散液、前記着色剤粒子の水分散液及び前記離型剤粒子の水分散液の少なくともいずれかに、内添剤、帯電制御剤、無機粒体、有機粒体、滑剤、研磨材などのその他の成分を共存させてもよい。また、例えば、前記ポリエステル樹脂の水分散液、着色剤粒子の水分散液及び離型剤粒子の水分散液の少なくともいずれかの中に、その他の成分を共存させてもよいし、樹脂粒子の水分散液、着色剤粒子の水分散液及び離型剤粒子の水分散液を混合してなる混合液中に、その他の成分を添加させてなる分散液を混合してもよい。
以下に、トナーの任意成分である着色剤及び離型剤について説明する。
本実施形態のトナーの製造方法において、前記凝集工程において、必要に応じ、着色剤の水分散液をポリエステル樹脂粒子の水分散液に併用してもよい。
着色剤としては、トナーの分野で公知のものを用いることができ、色相、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から任意に選択すればよい。
具体的には、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドCローズベンガル、などの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種着色剤などが例示できる。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の使用量は、トナー100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用することができる。
着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転剪断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものではない。また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
本実施形態に用いられる水には、脱イオン水、イオン交換水が好ましく使用される。
また、水に、水混和性の有機溶媒を混合して水系媒体としてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、エチルアルコール、アセトンや酢酸等が挙げられるが、有機溶媒の併用は少ない方が好ましい。
前記着色剤分散液は、着色剤を粒子状に水に分散させてなる分散液である。
着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散装置、高圧対向衝突式の分散装置等が好ましく用いられる。また、着色剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散し、着色剤粒子分散液を作製してもよい。着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記着色剤の体積平均粒径(以下、単に平均粒径ということがある。)としては、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.01〜0.5μmが特に好ましい。
また、着色剤の水系媒体中での分散安定性をより安定化させ、トナー中での着色剤のエネルギーを低くするために添加する分散剤として、ロジン、ロジン誘導体、カップリング剤、高分子分散剤などが挙げられる。
本実施形態のトナーの製造方法において、前記凝集工程において、必要に応じ、離型剤の水分散液を併用してもよく、また、併用することが好ましい。
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。これらの中でも、ワックス類が好ましい。
前記離型剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
前記離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜20質量部の範囲であることが好ましく、3〜15質量部の範囲であることがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
前記離型剤分散液は、離型剤を粒子状に水に分散させてなる水分散液である。
離型剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散装置、高圧対向衝突式の分散装置等が好ましく用いられる。また、離型剤は、極性を有するイオン性界面活性剤を用い、既述したようなホモジナイザーを用いて水系溶媒中に分散し、離型剤粒子分散液を作製してもよい。本実施形態において、離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記離型剤粒子の平均粒径としては、1μm以下が好ましく、0.01〜1μmがより好ましい。
本実施形態のトナーの製造方法において、前記凝集工程における樹脂粒子の水分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液等の分散安定を目的として界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、第四級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等のノニオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、イオン性界面活性剤が好ましく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤がより好ましい。
非イオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記凝集工程においては、pH変化等により凝集を発生させ、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒径の粒子を調製することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、又は、より狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得るため、凝集剤を添加してもよい。
凝集剤としては、一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、その化合物の具体例としては、前述のイオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、(ポリ)塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩等が挙げられる。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であることが好ましく、一価の場合は3質量%以下、二価の場合は1質量%以下、三価の場合は0.5質量%以下であることが好ましい。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物を用いることが好ましい。
本実施形態のトナーの製造方法は、いわゆるコア・シェル構造のトナー母粒子とするために、凝集粒子を形成する凝集工程の後に、前記凝集粒子を含む分散液に更に樹脂粒子を添加する添加工程と、前記凝集粒子の表面に前記樹脂粒子を付着させ凝集粒子を被覆するシェル付着工程と、を含むことが好ましい。前記樹脂粒子は、本実施形態の凝集工程で使用されるポリエステル樹脂粒子の水分散液を使用することが好ましい。すなわち、前記添加工程は、前記凝集粒子を含む分散液に更に凝集工程で使用されたポリエステル樹脂粒子の水分散液を添加する工程であることが好ましい。
前記シェル付着工程に使用される凝集剤は、前記凝集工程において添加した凝集剤をそのまま利用してもよいし、新たに添加してもよい。
前記シェル付着工程における分散液の温度としては、前記凝集体の表面に樹脂粒子を付着させられる温度であれば、特に制限はないが、前記凝集工程における分散液の温度と好ましい態様は同様である。
また、前記凝集工程、及び、前記シェル付着工程は、前記の樹脂粒子の添加工程を行いながら、前記シェル付着工程を行っても、前記添加工程を行った後、前記シェル付着工程を行ってもよいが、前記シェル付着工程の次の添加工程については、前記シェル付着工程において、前記凝集粒子の表面に凝集工程において添加した樹脂粒子が付着する時間を考慮し、間隔をあけることが好ましい。
前記添加工程及び/又はシェル付着工程において、凝集体の安定化、粒度/粒度分布制御を目的として、界面活性剤を添加してもよいし、また、pH調整を行ってもよい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、前記凝集粒子を融合することによりトナー粒子を形成する融合工程を含む。
前記融合工程においては、前記凝集粒子中の結着樹脂が、その融点又はガラス転移温度以上の温度条件で溶融して、凝集粒子は不定形からより球形へと変化する。
前記融合工程における加熱温度としては、(使用した結晶性ポリエステル樹脂粒子の融解温度+0〜50)℃又は(使用した非晶性ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度+0〜50℃)の範囲であることが好ましく、(使用した結晶性ポリエステル樹脂粒子の融解温度+0〜40℃)又は(使用した非結晶性ポリエステル樹脂粒子のガラス転移温度+10〜40℃)の範囲であることがより好ましい。
前記加熱の時間としては、凝集粒子中の樹脂粒子間での融合が行われる程度に時間をかければよく、0.5〜10時間が好ましい。
凝集粒子の融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、離型剤や結着樹脂の融解温度近傍(融解温度±10℃の範囲)で冷却速度を上げる、いわゆる急冷をすることにより離型剤や結着樹脂の再結晶化を抑制して表面露出を抑制してもよい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、前記融合工程の後に、前記トナー粒子を洗浄する洗浄工程と、洗浄したトナー粒子を固液分離後に乾燥する乾燥工程とのいずれか一方を含んでもよく、両方を含むことが好ましい。
すなわち、融合工程の終了後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程、外添工程等を経て所望のトナーを製造することが好ましい。
洗浄工程は、帯電性の点から十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。更に、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。本実施形態のトナーは、乾燥後の含水分率を、1.0質量%以下に調整することが好ましく、0.5質量%以下に調整することがより好ましい。
本実施形態の製造方法により得られるトナーは、キャリアと共に二成分現像剤として使用してもよい。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100〜30:100が好ましく、3:100〜20:100がより好ましい。
以下、本実施形態に係る静電荷像現像剤に用いられるトナーについて説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー母粒子と、必要に応じて、外添剤と、を含んで構成される。
また、前記トナー母粒子は、結着樹脂、及び、着色剤を含むことが好ましく、結着樹脂、着色剤、及び、離型剤を含むことがより好ましい。また、前記静電荷像現像用トナーは、着色剤を含むトナー母粒子(以下、着色粒子ともいう。)に、外添剤が外添されてなるトナーであることが好ましい。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適に使用される。ポリエステル樹脂については、既に説明した通りである。
着色剤及び離型剤については上述した通りである。その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー母粒子に含まれる。
トナー母粒子は、単層構造のトナー母粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成されたいわゆるコア・シェル構造のトナー母粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー母粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることが好ましい。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50,000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
式:SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置により解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
トナーは、必要に応じて外添剤が表面に外添されていてもよい。表面に外添される外添剤としては、無機粒子や有機粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
無機粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機粒子の平均一次粒径としては、1〜200nmの範囲が好ましい。無機粒子の添加量としては、トナー100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲が好ましい。
前記無機粒子は、表面が予め疎水化処理されていることが好ましい。この疎水化処理によりトナーの粉体流動性改善のほか、帯電の環境依存性、耐キャリア汚染性に対してより効果的である。
前記疎水化処理は、疎水化処理剤に前記無機粒子を浸漬等することにより行ってもよい。前記疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シランカップリング剤が好適に挙げられる。
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、流動性や帯電特性を良好にする観点から、チタニアやシリカ等の無機酸化物を用いることが好ましい。
また、外添剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。外添前のトナー母粒子に外添される外添剤の割合は、トナー母粒子100質量部に対し0.01〜5質量部の範囲が好ましく、0.1〜3.0質量部の範囲がより好ましい。
外添工程におけるトナー母粒子の表面にシリカ、チタニアなどの無機粒子を外添する方法としては、特に制限はなく、公知の方法が用いられ、例えば、機械的方法、又は、化学的方法で付着させる方法が挙げられる。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」ともいう。)は、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有するものであれば特に制限はなく、また、トナーを単独で用いる一成分系の現像剤であってもよく、トナーとキャリアとを含む二成分系の現像剤であってもよい。なお、一成分系の現像剤の場合には、磁性金属粒子を含むトナーであっても磁性金属粒子を含まない非磁性一成分トナーであっても構わない。
キャリアは、公知のキャリアであれば特に制限されるものではなく、鉄粉系キャリア、フェライト系キャリア、表面コートフェライトキャリア等が使用される。また、それぞれの表面添加粉末は所望の表面処理を施して用いてもよい。
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30〜200μmであることが好ましい。
キャリアとして、フェライト粒子を核体としてアクリル酸メチル又はアクリル酸エチル及びスチレン等に導電剤としてカーボンブラック等及び又は帯電制御剤としてメラミンビーズ等を分散した樹脂をコートしたキャリアを用いると、コート層を厚膜化しても抵抗制御性に優れるため、画質及び画質維持性に優れ、より好ましい。
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて選択される。
本実施形態のトナーを用いた画像形成方法について説明する。本実施形態のトナーは、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には以下の工程を有する画像形成方法において利用される。
すなわち、好ましい画像形成方法は、静電荷像保持体表面を一様に帯電させる帯電工程と、帯電した前記静電荷像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成工程と、前記静電荷像保持体の表面に形成された潜像を少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記静電荷像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写工程と、前記被転写体に転写されたトナー像を定着する定着工程と、必要に応じて、転写後の前記静電荷像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程と、を有するもので、前記トナーとして、既述の本実施形態のトナーを用いる。また、転写工程は、静電荷潜像保持体から被転写体へのトナー像の転写を媒介する中間転写体を用いたものであってもよい。
前記静電潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。前記クリーニング工程は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体を使用することができる。被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の静電荷像現像用トナー又は静電荷像現像剤を用いた画像形成装置である。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤が本実施形態の静電荷像現像用トナー又は本実施形態の静電荷像現像剤であることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、クリーニング手段、除電手段等を含んでいてもよい。前記転写手段では、中間転写体を用いて2回以上の転写を行ってもよい。また、転写手段における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
また、本実施形態の画像形成装置においては、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去するクリーニング手段を備えることが好ましい。クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられるが、クリーニングブレードが好ましい。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体と共に、記録紙300に画像を形成する画像形成装置を構成するものである。
なお、以下に実施例において、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
また、「ポリエステル」を「PE」ともいう。
(非晶性ポリエステル樹脂Aの合成)
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物4,690部と、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物1,370部と、テレフタル酸1,320部と、フマル酸750部と、ドデセニルコハク酸1,140部とを原料として、撹拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、触媒としてジブチル錫オキサイド40部を投入し、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で12時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂Aを合成した。ここで樹脂少量サンプルを採取し、このPE樹脂の酸価を測定したところ、20mgKOH/gであった。
上記の非晶性ポリエステル樹脂Aを100質量部/h、水酸化カリウム25質量%水溶液を0.11質量部/h、アンモニア水25%水溶液を0.82質量部/hで、二軸押出機(TEM−26SS、東芝機械(株)製)の原料投入口に供給し、また、二軸押出機の4バレル目から、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液(花王(株)製、ネオペレックスG-15)10質量部/hで供給し、バレル温度90℃、スクリュー回転数400rpmで混練し、ポリエステル樹脂と水酸化ナトリウム、アンモニア水、及び、界面活性剤を混合した。
二軸押出機の5バレル目から90℃に調整したイオン交換水(イオン交換水1)を100質量部/h、7バレル目から90℃に調整したイオン交換水(イオン交換水2)を100質量部/h、9バレル目から90℃に調整したイオン交換水(イオン交換水3)を100質量部/h供給し、混練して非晶性ポリエステル樹脂を粒子に造粒して非結晶性ポリエステル樹脂Aの水分散液(A1)を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂Aの酸価の中和率は35%であった。
前記分散液A1中のアンモニウムイオンは樹脂1kg当り0.12モルであった。
イオンクロマトグラフとして日本ダイオネクス(株)製ICS−2000を用い、以下の条件でアンモニウムイオンの含有量を分析した。樹脂粒子の水分散液A1の1.00gをフィルター(アドバンテック(株)製HP020AN)で抽出したサンプルをイオンクロマトグラフで陽イオン分析を行い、検出されたアンモニウムイオンを以ってアンモニウムイオン含有量とした。
(イオンクロマトグラフ測定条件)
陽イオン分離カラム:日本ダイオネクス(株)製 IonPacCS12A
陽イオンガードカラム:日本ダイオネクス(株)製 IonPacCG12A
溶離液:メタンスルフォン酸 20mM
流速:1ml/min
温度:30℃
検出法:電気伝導度法(サプレッサ式)
得られた樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の体積平均粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定機(LA−700、(株)堀場製作所製)により測定した。その結果、樹脂粒子の体積平均粒度分布(GSDv=(D84v/D16v)1/2)は1.22であった。
体積平均粒度分布(GSDv)は、以下のようにして求めた。
前述のレーザー回折式粒度分布測定機(LA−700、(株)堀場製作所製)で測定される樹脂粒子の水分散液の粒度分布をもとにして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積を小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、累積84%となる粒径を体積D84vと定義し、体積平均粒度分布(GSDv)を(D84v/D16v)1/2として求めた。
樹脂粒子の水分散液の中の粒子の粒度分布評価は、得られた樹脂粒子分散液中の粒子の体積平均粒度分布を測定し、以下の基準に当てはめることにより行った。
体積平均粒度分布の評価基準は、以下のとおりである。
E:1以上1.25未満
G:1.25以上1.30未満
P:1.30以上1.80未満
B:1.80以上
体積平均粒度分布が1以上1.25未満の範囲であれば、粒子の粒度分布のばらつきが抑えられていると評価され、体積平均粒度分布が1.25以上1.30未満の範囲であれば、粒子の粒度分布のばらつきは若干あるが、実用上の問題がないレベルでばらつきが抑えられていると評価される。また、体積平均粒度分布が1.30以上1.80未満の範囲であれば、粒度分布のばらつきは大きく、実用上の問題があるレベルであり、体積平均粒度分布が1.80以上であれば、粒度分布のばらつきは非常に大きく、実用上の問題があるレベルである。
実施例1で得られた非結晶性ポリエステル樹脂Aの樹脂粒子の粒度分布は、Eのレベルであった。
1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)の241部、及び、1,9−ノナンジオールの174部を、撹拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、前記モノマー成分100質量部に対してチタンテトラブトキサイド(試薬)を0.25質量部投入して、窒素ガス気流下170℃で3時間撹拌反応させた。更に、温度を210℃に上げて反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間撹拌反応させて、結晶性ポリエステル樹脂Bを得た。
・結晶性ポリエステル樹脂B:100部
・酢酸エチル:70部
・イソプロピルアルコール:15部
セパラブルフラスコに上記の酢酸エチルとイソプロピルアルコールを投入し、この混合媒体に上記樹脂を徐々に投入し、スリーワンモーターで撹拌を施し、完全に溶解させて油相を得た。この油相に10質量%アンモニア水溶液を合計で3質量部となるようにスポイトで徐々に添加し、更にイオン交換水230質量部を10ml/minの速度で徐々に滴下して転相乳化させ、更にエバポレータで減圧しながら脱溶媒を実施し、結晶性ポリエステル樹脂Bの粒子の水分散液(B1)を得た。
樹脂粒子の体積平均粒径D50vは165nmであった。また、固形分濃度はイオン交換水で調整して25.0質量%とした。
・離型剤(日本精鑞(株)製、商品名:FNP0090、融点Tw89.7℃):270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK、有効成分量:60質量%):13.5質量部(有効成分として、離型剤に対して3.0質量%)
・イオン交換水:721.6質量部
上記の成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー((株)エスエムテー製、ゴーリンホモジナイザー)で、内液温度120℃にて、離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、つづいて、40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤の分散液を得た。この分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは230nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度を20.0質量%に調整し、離型剤の水分散液を得た。
・シアン顔料(大日精化(株)製:ECB 301):200質量部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンSC):33質量部(有効成分60質量%。着色剤に対して10質量%)
・イオン交換水:750質量部
上記成分をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3程度になる大きさのステンレス容器に、イオン交換水を280質量部とアニオン性界面活性剤33質量部とを入れ、充分に界面活性剤を溶解させた後、前記シアン顔料すべてを投入し、撹拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで撹拌すると共に、充分に脱泡させた。脱泡後に残りのイオン交換水を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5,000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した。脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6,000回転で10分間分散した後、撹拌器で1昼夜撹拌させて脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して10パス相当行った。得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を15質量%に調整した。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは115nmであった。なお、該体積平均粒径D50vはマイクロトラックにて5回測定した内の、最大値と最小値を除いた3回の測定値の平均値を用いた。
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業(株)製:17質量%硫酸アルミニウム):35部
・イオン交換水:1,965部
上記の粉末及びイオン交換水を容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで撹拌混合して凝集剤である硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
下記の各成分を、温度計、pH計、撹拌機、及び、ジャケットを具備した撹拌槽に入れ、10分間撹拌した。
・非晶性ポリエステル樹脂粒子の水分散液(A1):635部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子の水分散液(B1):57部
・着色剤分散液:100部
・離型剤分散液:115部
・イオン交換水:200部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):7.0部
撹拌槽に入れた上記の分散液混合物に硫酸アルミニウム水溶液125質量部を徐々に添加しながら、撹拌槽の底弁より混合液をキャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に導入し、10分間分散した。添加終了後、ジャケットの温度を50℃で昇温を開始し、120分間経過後マルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定したところ、体積平均粒径は5.0μmであった。その後、追加用非結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液(A1)312質量部を投入し、30分間保持した。その後、撹拌槽に4質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを9.0にした後、ジャケットの温度を上げて90℃まで昇温し、保持した。30分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE SEM)にて凝集粒子の形状及び表面性を観察したところ、4時間目で粒子の合一が確認されたので、得られたスラリーを40℃まで冷却した。冷却後のスラリーを目開き15μmの振動篩(KGC800:(株)興和工業所製)で篩分処理した後、フィルタプレス(東京エンジニアリング(株)製)で濾過した。その後、トナー量の10倍のイオン交換水をフィルタプレス装置内のトナーに通過させ、トナーを洗浄した。洗浄したトナーはループ型気流式乾燥機((株)セイシン企業製 フラッシュジェットドライヤーFJD−2)を用いてサイクロン捕集で乾燥を行い、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)1.0質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)0.8質量部とを加え、サンプルミルを用いて13,000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩で篩分して、トナーを得た。
・Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(平均粒径40μm):100部
・トルエン:14部
・シクロヘキシルメタアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(共重合質量比99:1、重量平均分子量Mw8万):2.0部
・カーボンブラック(VXC72:キャボット社製):0.12部
フェライト粒子を除く上記成分及びガラスビーズ(φ1mm、トルエンと同量)を、関西ペイント(株)製サンドミルを用いて1,200ppmで30分間撹拌し、樹脂被覆層形成用溶液とした。更に、この樹脂被覆層形成用溶液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れ減圧し、トルエンを留去/乾燥することにより樹脂被覆キャリアを形成した。
上記キャリア500質量部に対して前記トナー40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して現像剤(A1)を得た。
前記現像剤(A1)の低湿度下における帯電量測定を行った。帯電量は、得られた静電荷像現像剤を現像器に充填して、温度10℃/湿度21%の環境下で12時間以上放置し、その後、同じ環境下で現像器を3分間空回しした。この現像剤の帯電量を東芝ケミカル(株)製ブローオフ粉体帯電量測定装置(TB−200)を用いて、測定した。評価基準は以下の通りである。
B1:帯電量が60μC/gを超える
G1:帯電量が55μC/gを超え60μC/g以下
E:帯電量が40μC/gを超え55μC/g以下
G2:帯電量が35μC/g以上40μC/g以下
B2:帯電量が35μC/g未満
前記現像剤(A1)の帯電量はE:45μC/gであった。
前記現像剤(A1)を、「Docu Centre Color 400(富士ゼロックス(株)製)」を改造した現像器に充填し転写効率の評価を行った。
転写効率は、次のようにして評価した。テスト手順としては、まず温度10℃/湿度20RH%環境下で、感光体上にトナー乗り量が5g/m2になるように現像電位を調整した。次に、感光体上の現像されたトナーが中間転写体(中間転写ベルト)へ移行した直後に評価機を止める。このことにより感光体上では転写後(クリーニング前)の状態でトナーが残っている。このトナーをメンディングテープで取りその時のトナー重量測定を行う。現像時のトナー乗り量と転写後のトナー乗り量の割合から次式に基づいて転写効率を求めた。転写効率の測定は、画像面積が5%となる画像をA4用紙、50,000枚連続で出力した後に行った。
・式:転写効率=転写後の紙上トナー乗り量/感光体上トナー乗り量×100
転写効率評価基準は以下の通りである。
E:転写効率98%以上
G:転写効率95%以上98%未満
P:転写効率90%以上95%未満
B:転写効率85%以上90%未満
EB:転写効率85%未満
前記現像剤(A1)の転写効率はEレベル(98%)であった。
上記の実施例1に記載した分散工程を、表1に記載したように変更する以外は全く同様にして、実施例2〜10及び比較例1〜6の静電荷像現像用トナーを製造し、それぞれの評価を実施した。変更した条件及び評価結果を表1にまとめて示す。
なお、ポリウレタンは以下のように製造した。
撹拌装置及び温度制御装置付きの反応容器に鎖伸長剤としてエチレングリコール15質量部、高分子ポリオールとしてのPTMG2000(三菱化学(株)製、ポリオキシテトラメチレングリコール)300質量部、有機ポリイソシアネート成分としてミリオネートMT(日本ポリウレタン(株)製4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)100質量部及び有機溶剤としてN,N−ジメチルアセトアミド 1,000質量部を仕込み、乾燥窒素雰囲気下70℃で10時間反応させた後、活性水素化合物としてブタノール 1質量部を加えて1時間反応を行い、ウレタン樹脂溶液を製造した。その後、ポリウレタン樹脂溶液を、70℃の循風乾燥機で10時間乾燥しポリウレタン樹脂を製造した。
実施例1で使用したポリエステル樹脂の代わりに、上記のポリウレタン樹脂を使用した以外は全く同様にして樹脂粒子を製造して、トナーを製造して、評価を行った。評価結果を表1にまとめて示す。
Claims (7)
- 少なくとも1種の酸基を有する樹脂、塩基、及び、界面活性剤を分散機に供給するサブ工程、前記樹脂、前記塩基、及び、前記界面活性剤を前記分散機中で混合するサブ工程、前記分散機に水を供給するサブ工程、並びに、前記樹脂を粒子に造粒するサブ工程を含む、樹脂粒子の水分散液を製造する分散工程と、
前記樹脂粒子を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、
前記凝集粒子を融合する融合工程と、を含み、
前記塩基が水酸化アルカリ金属及び/又はアンモニウム化合物を含み、
前記塩基による前記酸基の中和率が25%以上50%未満であり、かつ、
樹脂粒子の前記水分散液中に含まれるアンモニウムイオンの含有量が前記樹脂1kg当り0.05〜0.20モルであることを特徴とする
静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 前記樹脂がポリエステル樹脂を含む、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び/又は非結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記樹脂の酸価が、5〜25mg−KOH/g樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記水酸化アルカリ金属が水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記アンモニウム化合物が、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、及び、硫酸アンモニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記分散機が多軸押出機である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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