JP5251234B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、芳香族ポリカーボネート樹脂に添加される添加剤は、粉末状又は液状の形態を有するものが多く、その使用量は極めて少量である。このため、押出機により芳香族ポリカーボネート樹脂と添加剤とを混合すると、添加材が偏在し、均一に混合されない場合が多いという問題がある。
この場合、予め、添加剤と適当なポリマーとからなるマスターバッチの形態で押出機に添加する方法が考えられる。しかし、例えばヘンシェルミキサー等の混合機を用いてマスターバッチを調製すると、粉末状の添加剤は分級し、均一な分散状態が得られない場合が多い。また、液状の添加剤は、マスターバッチを調製後、分離する場合がある。
しかし、製品の歩留まりや資源の節約の観点から、このような生産ロス品を処分することは好ましくなく、有効に利用することが望ましい。ところが、このような生産ロス品を循環リサイクルすると製品の熱安定性を悪化させ商品価値を低下させる場合がある。
ここで、ペレット循環供給工程において芳香族ポリカーボネートのペレットに添着される熱安定剤が、酸性化合物またはその誘導体であることが好ましい。
さらに、熱安定剤が、液状且つ炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよいスルホン酸またはそのエステルであることが好ましい。
さらに、ペレット循環供給工程において、押出機に供給される芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、熱安定剤が添着された芳香族ポリカーボネートのペレット0.5重量部〜5重量部が押出機に供給されることが好ましい。
また、押出工程において、芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、熱安定剤が0.002重量部以下の量で混合されることが好ましい。
また、ポリカーボネート供給工程において、押出機に供給される芳香族ポリカーボネートは、塩基性化合物を触媒とし、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応により得られるものであることが好ましい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合により製造される。
以下、原料として芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを用い、エステル交換触媒の存在下、連続的に溶融重縮合反応を行うことにより、ポリカーボネート樹脂を製造する方法について説明する。
本実施の形態において使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
本実施の形態において使用する炭酸ジエステルとしては、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
尚、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
即ち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して炭酸ジエステルのモル比が、好ましくは、1.01以上、特に好ましくは1.02以上、また好ましくは1.30以下、特に好ましくは1.20以下で用いられる。モル比が1.01より小さくなると、得られるポリカーボネート樹脂の末端OH基が多くなり、樹脂の熱安定性が悪化する傾向となる。また、モル比が1.30より大きくなると、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となる傾向となる他、樹脂中の炭酸ジエステルの残存量が多くなり、成形加工時や成形品の臭気の原因となることがあり、好ましくない。
本実施の形態において使用するエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、ベリリウム又はマグネシウム化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。
エステル交換触媒の使用量は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、好ましくは1×10-9モル以上、特に好ましくは1×10-7モル以上、また好ましくは、1×10-1モル以下、特に好ましくは1×10-2モル以下の範囲で用いられる。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
次に、芳香族ポリカーボネートの製造方法について説明する。
芳香族ポリカーボネートの製造は、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを含む混合物を調製し(原調工程)、これらの化合物の混合物を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応器を用いて多段階方式で重縮合反応させる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよいが生産性や品質安定性の観点からは連続式が好ましい。反応器は、連続式の場合一般に複数基の直列に配された反応器から構成され、好ましくは複数の竪型反応器及びこれに続く少なくとも1基の横型反応器が用いられる。
本実施の形態においては、重縮合工程後、熱安定剤を添加するために押出機を用い、好ましくは反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去できるベント口を有する2軸型の押出機を用いる。
次に、芳香族ポリカーボネートの製造方法の各工程について説明する。
芳香族ポリカーボネートの原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の攪拌槽型の装置を用いて、溶融混合物として調製される。溶融混合の温度は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合は、好ましくは120℃以上、特に好ましくは125℃以上、また好ましくは180℃以下、特に好ましくは160℃以下の範囲から選択される。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段〜7段の多段方式で連続的に行われる。
具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、1段階の平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
重縮合工程を多段で行う場合の各反応器においては、重縮合反応の進行とともに副生するフェノールをより効果的に排出するために、上記の反応条件内で、通常段階的により高温、より高真空に設定する。尚、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の色相等の品質低下を防止するためには、できるだけ低温、短滞留時間の設定が好ましい。
ここで、薄膜蒸発性能に優れた反応器としては、例えば、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等が用いられる。
触媒の溶解に使用する水としては、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
次に、図面に基づき、本実施の形態が適用される芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法の一例を具体的に説明する。
図1は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造装置の一例を示す図である。図1に示す製造装置において、芳香族ポリカーボネートは、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを調製する原調工程と、これらの原料を溶融状態で複数の反応器を用いて重縮合反応させる重縮合工程とを経て製造される。
その後、反応を停止させ重合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、芳香族ポリカーボネート樹脂を所定の粒径のペレットに形成する工程を経て、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットが成形される。
また、第1原料調製槽2aには、DPC供給口1a−1から、DPCが溶融状態で供給され、BPA供給口1bからは、芳香族ジヒドロキシ化合物であるビスフェノールA(以下、BPAと記載することがある。)が粉末状態で供給され、溶融したジフェニルカーボネートにビスフェノールAが溶解される。
次に、原料混合物は、原料供給ポンプ4aを経由して第1竪型反応器6aに連続的に供給される。また触媒として、炭酸セシウム水溶液が、原料混合物の移送配管途中の触媒供
給口5aから連続的に供給される。
ここで、熱安定剤としては、例えば、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、イオウ系安定剤、エポキシ系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。好ましい熱安定剤の具体例は後述する。
ここで、本実施の形態では、熱安定剤は、後述するように芳香族ポリカーボネートペレットに連続的に添着され、添加剤供給ライン12aから連続的に押出機11aに供給される。
そして、ストランド状の芳香族ポリカーボネートは、ストランドバス13aを経由して冷却水により冷却され、ストランドカッター14aでペレット化され、篩分機15aにて水分除去した後に製品サイロ16a,16bに導入される。
この気力輸送配管には、図示しない圧縮機により圧縮された空気または窒素等の不活性ガスが供給され、芳香族ポリカーボネートペレットを気力輸送することができる。
本実施の形態において、製品サイロ16cに貯蔵された芳香族ポリカーボネートペレットは、気力輸送配管を通し、適宜、ブレンダー21aに、好ましくは連続的に供給される。図1には示されていないが、ブレンダー21aへの連続供給を安定的に行うため、芳香族ポリカーボネートペレット供給用にホッパーや定量フィーダーを具備し、製品サイロ16cからホッパーへの供給は断続的に行い、ホッパーから定量フィーダーを用いてブレンダー21aに芳香族ポリカーボネートペレットを連続的に供給することもできる。
この場合、ブレンダー21a中で芳香族ポリカーボネートペレットに連続的に添着させる熱安定剤の量は特に限定されないが、通常、芳香族ポリカーボネートのペレット100重量部に対し、熱安定剤0.001重量部〜1重量部であり、好ましくは0.005重量部〜0.5重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部〜0.2重量部である。
また、芳香族ポリカーボネートペレットに添着させる熱安定剤の量が過度に少ないと、熱安定剤の所定量を確保するために押出機11a内に供給されるペレットの供給量が増大する傾向がある。この場合、押出機11a内に、予め熱履歴を受けた芳香族ポリカーボネートペレットを多量に供給することとなる。その結果、製品として得られる芳香族ポリカーボネートの色調が悪化するのみならず、押出機11aの運転の不安定化を招き、ブレンダー21aにも過大な負荷がかかる傾向がある。
次に、ブレンダー21aで熱安定剤を連続的に添着された芳香族ポリカーボネートペレットは、前述のように押出機11aに添加剤供給ライン12aを通じ連続的に循環供給され、押出機11a内の溶融した芳香族ポリカーボネートと混合される。
尚、ここで添着とは、混合により熱安定剤を芳香族ポリカーボネートペレット上に付着させる程度の状態を言う。
ブレンダー21aは、連続的に混合が可能である機器であれば特に限定されることはないが、例えば、リボンブレンダー等が例示される。そして、芳香族ポリカーボネートペレットは、押出機11aに供給される際に同伴される酸素により製品品質が低下するため、窒素等の不活性ガス雰囲気下で扱われることが好ましい。特にブレンダー21aに窒素を導入することは製品の熱劣化を抑制するために有効である。
更に、添加剤供給ライン12b,12cから供給する添加剤も添加剤供給ライン12aと同様の方法で供給してもよい。
本実施の形態では、上記の手法を採用することにより、熱安定剤の量が少量であっても、熱安定剤を芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中に十分に分散させることができる。特に、本実施の形態では、熱安定剤の量が、押出機内11aの溶融した芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.002重量部以下の場合でも、熱安定剤を芳香族ポリカーボネート樹脂に安定して供給することが可能である。
ここで、熱安定剤として使用する酸性化合物としては特に制限はなく、例えば、通常、重縮合反応に使用される塩基性エステル交換触媒を中和する化合物(いわゆる、反応停止剤や失活剤と呼ばれる化合物)が挙げられる。
熱安定剤を添着する芳香族ポリカーボネートペレット中の芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv1)が、押出機11a内の溶融した芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv2)より過度に大きいと、また、粘度平均分子量(Mv2)と粘度平均分子量(Mv1)との差(Mv2−Mv1)が過度に大きいと、熱安定剤の分散性が低下する傾向がある。
図2に示した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造装置では、図1に示した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造装置に対し、ブレンダー21bが新たに設けられている。また、別途、熱安定剤供給口22bが設けられている。
ブレンダー21bには、気力輸送配管を分岐させることで、ブレンダー21aと同様に芳香族ポリカーボネートペレットを供給することができる。また、熱安定剤供給口22bより、熱安定剤や他の添加剤を供給することができ、ブレンダー21bにおいて、芳香族ポリカーボネートペレットに添着することができる。
ブレンダー21bにおいて、熱安定剤や他の添加剤を添着した後は、添加剤供給ライン12bを通し、押出機11aに循環供給される。
尚、以下の実施例および比較例における芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の分析は以下の方法により行った。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を塩化メチレンに溶解させ、ウベローデ粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン中での極限粘度[η]を測定し、以下の数式(1)により粘度平均分子量(Mv)を求めた。
尚、本実施例において、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中の芳香族ポリカーボネート樹脂以外の成分は微量であるため、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中の芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)と芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は同じとみなした。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を窒素雰囲気下、120℃で6時間乾燥した後、日本製鋼所株式会社製J75EII型射出成形機を用いて60mm×60mm×3mm厚の射出成形片を、樹脂温度360℃、成形サイクル30秒の条件で成形する操作を繰り返した。
そして、6ショット目〜15ショット目で得られた射出成形品のイエローインデックス(YI)値をカラーテスター(コニカミノルタ株式会社製CM−3700d)を用いて測定し、平均値と標準偏差を算出した。YI値が小さい方が色相がよく品質に優れることを示し、標準偏差が小さい方が色むらが少なく品質が安定していることを示す。
上記(2)で16ショット目からは成形サイクルを10分とし、射出成形する操作を繰り返し、22ショット目までの射出成形品を得た。
20ショット目〜22ショット目で得られた60mm×60mm×3mm厚の射出成形品のYI値をカラーテスター(コニカミノルタ株式会社製CM−3700d)を用いて測定し、平均値を算出した。YI値が小さい方が色相がよく品質に優れることを示す。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造装置として、図2に示したものを使用した。 図2において、窒素雰囲気下、DPC供給口1a−1からDPCを、またBPA供給口1bからBPAを、一定のモル比(DPC/BPA=1.050)で内温140℃に制御された第1原料調製槽2aに連続的に供給し、均一の溶融状態とした。
第1竪型反応器6aから排出された重合液は、引き続き第2竪型反応器6b、第3竪型反応器6c、第4横型反応器9aに逐次連続供給した。第2竪型反応器6bは、内温260℃、圧力4kPa、平均滞留時間1.5時間とした。また第3竪型反応器6cは、内温270℃、圧力70Pa、平均滞留時間1時間とし、第4横型反応器9aは、内温270℃、圧力200Pa、平均滞留時間1.5時間とした。
得られたポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は15,000、初期のYI=1.28、標準偏差は0.015、滞留熱安定性試験後のYI=3.21であった。
製品サイロ16cにストックされた芳香族ポリカーボネートペレットの粘度平均分子量(Mv)を14,500とした他は実施例1と同様に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は15,000、初期色相はYI=1.25、標準偏差は0.013、滞留熱安定性試験後のYI=3.20であった。
製品サイロ16cにストックされた芳香族ポリカーボネートペレットの粘度平均分子量(Mv)が27,000であった他は実施例1と同様に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は15,400、初期色相はYI=1.37、標準偏差は0.031、滞留熱安定性試験後のYI=3.43であった。
ブレンダー21a,21bに供給する芳香族ポリカーボネートペレットを単位時間当たりそれぞれ3重量部になるよう供給した他は、実施例1と同様に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。ブレンド時間はそれぞれ4分であった。
得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は15,000、初期色相はYI=1.40、標準偏差は0.012、滞留熱安定性試験後のYI=3.65であった。
熱安定剤を含まない芳香族ポリカーボネートペレットを製品サイロ16cにストックし、供給した他は実施例1と同様に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は15,000、初期色相はYI=1.55、標準偏差は0.017、滞留熱安定性試験後のYI=3.90であり、上記各実施例に比べ悪化した。
ブレンダー21a,21bに窒素を流通させない他は、比較例1と同様に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は15,000、初期色相はYI=1.59、標準偏差は0.024、滞留熱安定性試験後のYI=4.05であり、上記各実施例に比べ悪化した。
製品サイロ16cにストックされていた芳香族ポリカーボネートペレット6重量部をヘンシェルミキサーに仕込み、p−トルエンスルホン酸ブチル0.002重量部を添加した後、10分間十分に混合した。このようにバッチ方式で調製したペレットをブレンダー21aに単位時間当たり1.5重量部になるよう供給した。なお、ブレンダー21aには実施例1と同じ連続型のリボンブレンダーを使用し、熱安定剤供給口22aからp−トルエンスルホン酸ブチルを供給しなかった他は実施例1と同様に行った。
得られたポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は15,000、初期色相はYI=1.49、標準偏差は0.157、滞留熱安定性試験後のYI=3.77であった。
比較例3において、製品サイロ16cにストックされていた芳香族ポリカーボネートペレット6重量部とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.02重量部、ステアリン酸モノグリセリド0.12重量部を、あらかじめヘンシェルミキサーで10分間十分に混合しバッチ方式で調製しておき、このペレットをブレンダー21bに単位時間当たり1.5重量部になるように連続的に供給した。なお、ブレンダー21bには実施例1と同じ連続型のリボンブレンダーを使用し、供給口22bからトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトおよびステアリン酸モノグリセリドを供給しなかった他は比較例3と同様に行った。得られたポリカーボネート樹脂組成物の粘度平均分子量(Mv)は15,000、初期色相はYI=1.53、標準偏差は0.170、滞留熱安定性試験後のYI=3.84であった。
Claims (10)
- 熱安定剤を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、
溶融状態の芳香族ポリカーボネートを連続的に押出機に供給するポリカーボネート供給工程と、
前記押出機により、ポリカーボネート供給工程において供給された芳香族ポリカーボネートと熱安定剤とを混合し、当該押出機から芳香族ポリカーボネートを押し出す押出工程と、
前記押出工程において押出機から押し出された芳香族ポリカーボネートをペレット化し芳香族ポリカーボネートのペレットを形成するペレット形成工程と、
前記ペレット形成工程においてペレット化された芳香族ポリカーボネートのペレットの一部を分取し、当該ペレットに熱安定剤を連続的に添着しつつ、当該熱安定剤が添着されたペレットを、前記ポリカーボネート供給工程において芳香族ポリカーボネートが供給される押出機に連続的に供給するペレット循環供給工程と、
を有することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。 - 前記ペレット形成工程によりペレット化された芳香族ポリカーボネートのペレットを輸送配管により気力輸送する気力輸送工程をさらに有し、
前記輸送配管から分岐させた分岐配管により、前記ペレット形成工程において得られた芳香族ポリカーボネートのペレットの一部を気力輸送することを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。 - 前記熱安定剤が、液状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記熱安定剤が、酸性化合物またはその誘導体であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記熱安定剤が、炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよいスルホン酸またはそのエステルであることを特徴とする請求項4に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記ペレット循環供給工程において、芳香族ポリカーボネートのペレット100重量部に対し、熱安定剤0.001重量部〜1重量部を、当該芳香族ポリカーボネートのペレットに連続的に添着させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記ペレット循環供給工程において、前記押出機に供給される芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、前記熱安定剤が添着された芳香族ポリカーボネートのペレット0.5重量部〜5重量部が当該押出機に供給されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記ペレット循環供給工程において分取した芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv1)が、前記押出工程において前記押出機内で熱安定剤と混合される溶融状態の芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv2)以下(Mv1≦Mv2)であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記押出工程において、芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、熱安定剤が0.002重量部以下の量で混合されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 前記ポリカーボネート供給工程において、前記押出機に供給される芳香族ポリカーボネートは、塩基性化合物を触媒とし、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応により得られるものであることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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