JP2013203712A - (メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留工程や捕集工程で生成する重合体の装置・配管内への付着、堆積を抑制して、固着物による装置・配管設備の閉塞を防止する。
【解決手段】(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留塔或いは捕集塔に、シリコーン系離型剤を添加する。シリコーン系離型剤の離型効果で、重合体を装置・配管に付着させることなく、比較的小さな粒状物の状態で系外へ排出することができる。
【選択図】図1
【解決手段】(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留塔或いは捕集塔に、シリコーン系離型剤を添加する。シリコーン系離型剤の離型効果で、重合体を装置・配管に付着させることなく、比較的小さな粒状物の状態で系外へ排出することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関し、特に、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留工程や捕集工程において生成する重合体による装置・配管設備の閉塞を防止する方法に関する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」又は「メタクリル酸」を意味する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」又は「メタクリル酸」を意味する。
プロピレン又はイソブチレンの気相接触酸化反応によりアクリル酸又はメタクリル酸、更に(メタ)アクリル酸エステルを製造するプロセスにおいては、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルを分離、精製するための、捕集塔や蒸留塔が多段に設けられている。
(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルは非常に重合し易い化合物であり、特に、高温条件下では重合が促進される。(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造工程内でこれらが重合すると、重合により生成した固形物により装置・配管設備が閉塞し、著しい場合には運転を継続することが不可能となる。また、装置・配管設備の閉塞による運転停止に至らずとも、例えば、通常運転時における装置・配管設備の清掃頻度や定期保全時における清掃の負荷の増大など、数多くの問題が発生する。
重合体による装置・配管設備の閉塞を防止するために、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造工程では、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの重合を防止することが重要な課題となっており、従来、例えばプロピレンの気相接触酸化反応で得られたアクリル酸を含む反応生成ガスからアクリル酸を水に吸収させてアクリル酸水溶液を得る捕集塔では、アクリル酸の重合を防止するために、吸収水中に重合防止剤を添加することが行われている。
また、特許文献1には、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留塔に添加する重合防止剤として、フェノチアジン、ハイドロキノン及び分子状酸素を組み合わせて用いることが提案されている。
また、特許文献1には、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留塔に添加する重合防止剤として、フェノチアジン、ハイドロキノン及び分子状酸素を組み合わせて用いることが提案されている。
特許文献2には、(メタ)アクリル酸の蒸留工程で界面活性剤を添加することにより装置内付着物の形成を抑制する方法が提案されている。
また、特許文献3には、メタクリル酸の蒸留工程でポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール類を添加することにより、装置内付着物の形成を抑制する方法が提案されている。
また、特許文献3には、メタクリル酸の蒸留工程でポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール類を添加することにより、装置内付着物の形成を抑制する方法が提案されている。
捕集塔や蒸留塔への重合防止剤の添加は、塔内での重合体の生成を防止して、重合体による固着物の生成を抑制するのに有効であるが、複数種の重合防止剤を併用しなければならず、また分子状酸素含有ガスを同時に供給しなければならない。
界面活性剤やポリアルキレングリコール類の添加であれば、高沸点副生物による固着防止効果が得られるが、重合体による固着物防止には有効ではない。
界面活性剤やポリアルキレングリコール類の添加であれば、高沸点副生物による固着防止効果が得られるが、重合体による固着物防止には有効ではない。
本発明は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留工程や捕集工程で生成する重合体の装置・配管内への付着、堆積を抑制して、固着物による装置・配管設備の閉塞を防止する(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を行ったところ、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留塔或いは捕集塔に離型剤を添加すると、塔内で生成した重合体を塔内壁や充填材、棚段等に付着させることなく、これらの重合体を比較的小さな粒状物の状態で系外へ排出することができ、この結果、これらの重合体が塔内に付着、堆積して固着物として成長し、蒸留塔又は捕集塔周辺の装置・配管設備を閉塞させる問題を効果的に改善することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] (メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留工程又は捕集工程を含む(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留塔或いは捕集塔に、シリコーン系離型剤を添加することを特徴とする(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[2] [1]において、前記シリコーン系離型剤が25℃における動粘度が1〜4000cStであるオルガノポリシロキサンからなるシリコーンオイルを含有することを特徴とする(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[3] [1]又は[2]において、前記シリコーン系離型剤を、蒸留塔又は捕集塔の塔底液中のシリコーン系離型剤濃度が50〜5000重量ppmとなるように添加することを特徴とする(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
[4] [2]又は[3]において、前記シリコーン系離型剤が、オルガノポリシロキサンよりなる主鎖に親水基を有する側鎖が導入されたものであることを特徴とする(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
本発明によれば、蒸留塔或いは捕集塔にシリコーン系離型剤を添加することにより、シリコーン系離型剤の離型効果で、塔内で生成した重合体を塔内壁や充填材、棚段等に付着させることなく、これらの重合体を比較的小さな粒状物の状態で塔外へ排出することにより、これらの重合体が塔内に付着、堆積して固着物として成長し、蒸留塔又は捕集塔周辺の装置・配管設備を閉塞させる問題を効果的に改善することができる。
即ち、シリコーン系離型剤の離型効果で塔内に付着することなく、塔内液中に浮遊状態で存在する重合体は、例えば、塔底液中に含有されて系外へ排出されたり、或いは、塔内液の排出配管に設けられたフィルターにより捕捉されて系外へ排出されるようになり、重合体の付着、堆積で生じる固着物による装置・配管設備の閉塞の問題は大幅に軽減される。
即ち、シリコーン系離型剤の離型効果で塔内に付着することなく、塔内液中に浮遊状態で存在する重合体は、例えば、塔底液中に含有されて系外へ排出されたり、或いは、塔内液の排出配管に設けられたフィルターにより捕捉されて系外へ排出されるようになり、重合体の付着、堆積で生じる固着物による装置・配管設備の閉塞の問題は大幅に軽減される。
このため、装置・配管設備の閉塞で運転停止に到ることなく、長期に亘りプロセスの安定運転を継続することができ、また、通常運転時における清掃頻度、所要重合防止剤量、定期保全時における装置内清掃の負荷を低減して、効率的な(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造を行える。
以下に本発明の(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造プロセスにおいて、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留塔或いは捕集塔にシリコーン系離型剤を添加すること以外は、常法に従って実施することができる。
本発明において用いるシリコーン系離型剤としては、製品である(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルに影響を及ぼすことなく、離型効果が高く、重合体の付着、堆積の防止効果が高いことから、オルガノポリシロキサンを有効成分とするシリコーン系離型剤が好ましく、特に粘度が高すぎず添加時の離型剤の分散性が良好なシリコーンオイルを有効成分とするものが好ましい。シリコーンオイルは直鎖状のオルガノポリシロキサンであり、例えばジメチルシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイルや一部のケイ素原子に各種有機基が導入された変性シリコーンオイルが挙げられる。シリコーンオイルは、製品である(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルに影響を及ぼすことなく、離型効果が得られれば特に限定されないが、特に、直鎖状のオルガノポリシロキサンを主鎖とし、側鎖にエーテル結合のような親水基を有するものが好ましい。
本発明に好適なシリコーン系離型剤としては、下記式(1)で表されるようなオルガノポリシロキサン(以下「オルガノポリシロキサン(1)」と称す。)が挙げられるが、本発明で用いるシリコーン系離型剤は、何ら以下のものに限定されるものではない。
上記式(1)において、[A]は下記式(2)で表される2価の基よりなる繰り返し単位(以下「繰り返し単位(2)」と称す。)と、下記式(3)で表される2価の基よりなる繰り返し単位(以下「繰り返し単位(3)」と称す。)との組み合わせよりなり、繰り返し単位(3)の数は1〜100であり、繰り返し単位(2)と繰り返し単位(3)の合計は10〜400であることが好ましい。
上記式(3)において、R1,R2は同一であっても異なるものであってもよく、
(i) アルキル基又はフェニル基で置換されていてもよい、炭素数1〜8の炭化水素基、
或いは
(ii) 下記式(4)で表される1価の基
を表す。
(i) アルキル基又はフェニル基で置換されていてもよい、炭素数1〜8の炭化水素基、
或いは
(ii) 下記式(4)で表される1価の基
を表す。
上記式(4)において、R3は炭素数1〜8の2価の炭化水素基、R4は炭素数1〜8の1価の炭化水素基又はアルキルカルボニル基であり、[B]は下記式(5)で表される2価の基よりなる繰り返し単位(以下「繰り返し単位(5)」と称す。)と、下記式(6)で表される2価の基よりなる繰り返し単位(以下「繰り返し単位(6)」と称す。)との組み合わせよりなり、繰り返し単位(5)の数は5〜100、繰り返し単位(6)の数は5〜100であることが好ましい。
上記式(5),(6)において、R5,R6は同一であっても異なるものであってもよく、炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数2〜8の2価の炭化水素基を表す。
R1,R2が上記(i)であるオルガノポリシロキサン(1)としては、R1,R2がフェニル基であるメチルフェニルシリコーンオイルや、R1,R2の一方がメチル基、他方がアラルキル基(−CH2−CH(CH3)−C6H5)であるアラルキル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。また、R1,R2が上記(ii)であるオルガノポリシロキサン(1)としては、R1,R2の一方がメチル基で、他方が上記式(4)で表される基であるポリエーテル系シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記ポリエーテル系シリコーンオイルとしては例えば、上記式(4)が−CH2−CH2−CH2−O−[−B−]−CH2−CH2−CH2−CH3で表され、式(5)が−[−C2H4O−]−、式(6)が−[−C3H6O−]−で表されるものが好ましい。これらの中でも式(2)の数が50、式(3)の数が4、式(5)の数が40、式(6)の数が38のポリエーテル系シリコーンオイル(信越化学工業(株)製「KM−244F」)がより好ましい。
これらのオルガノポリシロキサンにおいて、25℃における動粘度は1〜4000cStであることが好ましい。添加時の離型剤の離型性を考慮すると特に25℃における動粘度は100〜2000cStであることが好ましい。
メチルフェニルシリコーンオイルは、例えば信越化学工業(株)より商品名「KF−54」(25℃における動粘度=400cSt)として市販されている。
アラルキル変性シリコーンオイルは、例えば信越化学工業(株)より商品名「KF−410」(25℃における動粘度=900cSt)として市販されている。
ポリエーテル系シリコーンオイルは、例えば信越化学工業(株)より商品名「KM−244F」(25℃における動粘度=1600cSt)として市販されている。
シリコーン系離型剤の分子量が小さ過ぎると(前記式(1)中の繰り返し単位である式(2)、式(3)の数が少な過ぎると)離型性が低下する傾向にあり、大き過ぎると(前記式(1)中の繰り返し単位である式(2)、式(3)の数が多過ぎると)粘度が高くなり離型剤の分散性が低下する傾向にある。
また、(i)のシリコーン系離型剤において、繰り返し単位である式(3)が少な過ぎると耐熱性が低下する傾向にあり、大き過ぎると離型性が低下する傾向にある。
(ii)のポリエーテル系シリコーンオイルにおいて、親水性のポリエーテル基を有する繰り返し単位である式(3)が少な過ぎると親水性の低下により重合物との親和性が低下する傾向にあり、大き過ぎると離型性が低下する傾向にある。
また前記式(4)中の繰り返し単位である式(5)、式(6)の数が少なすぎると親水性の低下により重合物との親和性が低下する傾向にあり、大き過ぎると離型性が低下する傾向にある。
また、(i)のシリコーン系離型剤において、繰り返し単位である式(3)が少な過ぎると耐熱性が低下する傾向にあり、大き過ぎると離型性が低下する傾向にある。
(ii)のポリエーテル系シリコーンオイルにおいて、親水性のポリエーテル基を有する繰り返し単位である式(3)が少な過ぎると親水性の低下により重合物との親和性が低下する傾向にあり、大き過ぎると離型性が低下する傾向にある。
また前記式(4)中の繰り返し単位である式(5)、式(6)の数が少なすぎると親水性の低下により重合物との親和性が低下する傾向にあり、大き過ぎると離型性が低下する傾向にある。
これらのシリコーン系離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。さらに重合物による閉塞防止効果を高めるために公知の重合防止剤と組み合わせて用いてもよい。
本発明において、シリコーン系離型剤の添加形態は、特に制限はなく、用いるシリコーン系離型剤と、添加箇所に応じて適宜決定すればよい。例えば、原液のまま添加することもできるが、プロセス液を構成する少なくとも1種の溶剤またはその他の溶剤に溶解又は分散させて用いることができる。粘性の高い離型剤の場合は分散性を良くするために、例えば水、(メタ)アクリル酸、或いはトルエン等の有機溶剤に溶解ないし分散させて蒸留塔又は捕集塔に添加することが好ましい。溶液又は分散液として添加する場合の液中濃度は、特に制限されない。
シリコーン系離型剤を蒸留塔又は捕集塔に添加する際の添加箇所についても特に制限はなく、例えば次のような態様を採用することができる。
・捕集塔に供給される吸収水にシリコーン系離型剤を添加する。
・捕集塔からの(メタ)アクリル酸吸収液を次の脱水蒸留塔に送給する配管にシリコーン系離型剤を添加する。
・蒸留塔の還流槽にシリコーン系離型剤を添加する。
・蒸留塔の塔底にシリコーン系離型剤を添加する。
・蒸留塔からアクリル酸含有溶液を別の蒸留塔に送給する配管にシリコーン系離型剤を添加する。
・捕集塔に供給される吸収水にシリコーン系離型剤を添加する。
・捕集塔からの(メタ)アクリル酸吸収液を次の脱水蒸留塔に送給する配管にシリコーン系離型剤を添加する。
・蒸留塔の還流槽にシリコーン系離型剤を添加する。
・蒸留塔の塔底にシリコーン系離型剤を添加する。
・蒸留塔からアクリル酸含有溶液を別の蒸留塔に送給する配管にシリコーン系離型剤を添加する。
シリコーン系離型剤の添加量は、蒸留塔又は捕集塔の運転条件、固着物の生成状況等に応じて適宜決定されるが、通常、塔底液中のシリコーン系離型剤濃度として、50〜5000重量ppm、特に100〜3000重量ppmとなるようにシリコーン系離型剤を添加することが好ましい。
シリコーン系離型剤の添加量が少な過ぎると離型効果が不足し、重合体の付着、堆積防止効果を十分に得ることができず、多過ぎると製品の製造コストとして見合わなくなる。
前述の如く、シリコーン系離型剤の添加で蒸留塔又は捕集塔の塔内壁や、充填材棚段等に付着することなく塔外へ排出された重合体の粒状物は、塔底液中に含まれて系外へ排出されたり、移送配管に設けられたフィルターで捕捉されて系外へ排出される。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
図1に示す実験装置を用いて、アクリル酸水溶液の脱水蒸留を行った。
この実験装置は、アクリル酸製造プロセスにおいて、気相接触酸化反応で得られるアクリル酸を含む反応生成ガスを、捕集塔で吸収水と向流接触させて、アクリル酸を吸収水中に吸収させ、捕集塔の塔底から抜き出したアクリル酸を含む吸収液(アクリル酸水溶液)を脱水蒸留塔に送給して脱水蒸留し、脱水蒸留塔で水を蒸留分離したアクリル酸留分(塔底液)を次の酢酸分離塔に送給し、塔底から粗アクリル酸を得、この酢酸分離塔の塔頂留分を脱水蒸留塔の塔下部に循環する一連の工程における、脱水蒸留塔を模したものである。
図1に示す実験装置を用いて、アクリル酸水溶液の脱水蒸留を行った。
この実験装置は、アクリル酸製造プロセスにおいて、気相接触酸化反応で得られるアクリル酸を含む反応生成ガスを、捕集塔で吸収水と向流接触させて、アクリル酸を吸収水中に吸収させ、捕集塔の塔底から抜き出したアクリル酸を含む吸収液(アクリル酸水溶液)を脱水蒸留塔に送給して脱水蒸留し、脱水蒸留塔で水を蒸留分離したアクリル酸留分(塔底液)を次の酢酸分離塔に送給し、塔底から粗アクリル酸を得、この酢酸分離塔の塔頂留分を脱水蒸留塔の塔下部に循環する一連の工程における、脱水蒸留塔を模したものである。
図1において、1は蒸留カラムであり、塔底液の液溜部1Aと蒸留部1Bとで構成されている。液溜部1Aはオイルバス2中に保持され、140℃に温度調整されている。また、蒸留部1B内には、線径0.3mmのステンレスワイヤーをコイル状に成形した充填材(表面積2,040m2/m3、空間率81.1%、重量1,500kg/m3)により充填層3が形成されている。
蒸留部1Bの高さ方向の中間位置には、捕集塔からのアクリル酸水溶液を模した下記部組成の原料1が、下記流量で配管11より導入される。
また、液溜部1Aには、トルエンを用いた酢酸分離塔から循環される塔頂留分を模した下記組成の原料2が、下記流量で配管12より導入される。
また、液溜部1Aには、トルエンを用いた酢酸分離塔から循環される塔頂留分を模した下記組成の原料2が、下記流量で配管12より導入される。
液溜部1Aからは配管13を経て下記組成の塔底液が下記流量で抜き出される。
塔頂留分は、配管14を経てコンデンサ4で冷却された後、一部が配管15より蒸留カラム1の上部に還流され、残部が、下記組成の留出液として、下記流量で抜き出される。
塔頂留分は、配管14を経てコンデンサ4で冷却された後、一部が配管15より蒸留カラム1の上部に還流され、残部が、下記組成の留出液として、下記流量で抜き出される。
蒸留部1Bの充填層3の下部には、シリコーン系離型剤を供給するための配管17が設けられている。
<原料1>
組成:
アクリル酸:60.1重量%
酢酸 :3.1重量%
水 :36.8重量%
流量:135g/hr
<原料2>
組成:
アクリル酸:61.1重量%
酢酸 :7.4重量%
トルエン :31.5重量%
流量:90g/hr
<塔底液>
組成:
アクリル酸:86.2重量%
酢酸 :3.7重量%
水 :0.1重量%
トルエン :10.0重量%
流量:170g/hr
<留出液>
組成:
酢酸 :9.4重量%
水 :90.0重量%
トルエン :0.6重量%
流量:55g/hr
組成:
アクリル酸:60.1重量%
酢酸 :3.1重量%
水 :36.8重量%
流量:135g/hr
<原料2>
組成:
アクリル酸:61.1重量%
酢酸 :7.4重量%
トルエン :31.5重量%
流量:90g/hr
<塔底液>
組成:
アクリル酸:86.2重量%
酢酸 :3.7重量%
水 :0.1重量%
トルエン :10.0重量%
流量:170g/hr
<留出液>
組成:
酢酸 :9.4重量%
水 :90.0重量%
トルエン :0.6重量%
流量:55g/hr
実施例1においては、表1に示すシリコーン系離型剤を用い、このシリコーン系離型剤のトルエン溶液を配管17より、液溜部1A内の塔底液中のシリコーン系離型剤濃度が表1に示す濃度となるように、3mL/hrの流量で供給した。
この脱水蒸留実験において、蒸留カラム1の塔底と塔頂の差圧(図1中の圧力計18と19の圧力値の差)を測定し、差圧が20torrに達するまでの連続蒸留時間で、蒸留カラム1内の閉塞状況を調べ、結果を表1に示した。この時間が長い程、カラム内固着物による閉塞が防止されていることを示す。
[実施例2〜4]
シリコーン系離型剤として表1に示すものを用い、液溜部1A内の塔底液中のシリコーン系離型剤濃度が表1に示す濃度となるように供給したこと以外は実施例1と同様の条件で実験を行い、結果を表1に示した。
シリコーン系離型剤として表1に示すものを用い、液溜部1A内の塔底液中のシリコーン系離型剤濃度が表1に示す濃度となるように供給したこと以外は実施例1と同様の条件で実験を行い、結果を表1に示した。
[比較例1]
シリコーン系離型剤を添加せず、配管17からトルエンのみを供給したこと以外は実施例1と同様の条件で実験を行い、結果を表1に示した。
シリコーン系離型剤を添加せず、配管17からトルエンのみを供給したこと以外は実施例1と同様の条件で実験を行い、結果を表1に示した。
表1より、本発明によれば、シリコーン系離型剤を添加することにより蒸留塔又は捕集塔における固着物の生成を防止して安定運転を継続して行えることが分かる。
また、特に、KM−244Fを用いた実施例3,4より、シリコーン系離型剤としては、側鎖にエーテル結合のような親水性を有するシリコーン系離型剤が好ましいことが分かる。この理由は定かではないが、KM−244Fは直鎖状のオルガノポリシロキサンからなる疎水性の主鎖とポリエーテルからなる親水性の側鎖を有するが、その親水性側鎖が重合体に親和する一方で疎水性主鎖は重合体になじまないため、結果として重合体が疎水性主鎖で取り囲まれる形となり、これによって重合体の塔内部材への付着や重合体同士の付着が防止されることによるものと推定している。
また、特に、KM−244Fを用いた実施例3,4より、シリコーン系離型剤としては、側鎖にエーテル結合のような親水性を有するシリコーン系離型剤が好ましいことが分かる。この理由は定かではないが、KM−244Fは直鎖状のオルガノポリシロキサンからなる疎水性の主鎖とポリエーテルからなる親水性の側鎖を有するが、その親水性側鎖が重合体に親和する一方で疎水性主鎖は重合体になじまないため、結果として重合体が疎水性主鎖で取り囲まれる形となり、これによって重合体の塔内部材への付着や重合体同士の付着が防止されることによるものと推定している。
1 蒸留カラム
1A 液溜部
1B 蒸留部
2 オイルバス
3 充填層
4 コンデンサ
1A 液溜部
1B 蒸留部
2 オイルバス
3 充填層
4 コンデンサ
Claims (4)
- (メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留工程又は捕集工程を含む(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの蒸留塔或いは捕集塔に、シリコーン系離型剤を添加することを特徴とする(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- 請求項1において、前記シリコーン系離型剤が25℃における動粘度が1〜4000cStであるオルガノポリシロキサンからなるシリコーンオイルを含有することを特徴とする(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- 請求項1又は2において、前記シリコーン系離型剤を、蒸留塔又は捕集塔の塔底液中のシリコーン系離型剤濃度が50〜5000重量ppmとなるように添加することを特徴とする(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- 請求項2又は3において、前記シリコーン系離型剤が、オルガノポリシロキサンよりなる主鎖に親水基を有する側鎖が導入されたものであることを特徴とする(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
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JP (1) | JP2013203712A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016088578A1 (ja) * | 2014-12-03 | 2016-06-09 | 株式会社日本触媒 | 易重合性物質の精製方法 |
JP7304477B1 (ja) * | 2022-12-14 | 2023-07-06 | 住友化学株式会社 | ビニル系単量体製造装置 |
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2012
- 2012-03-29 JP JP2012075733A patent/JP2013203712A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016088578A1 (ja) * | 2014-12-03 | 2016-06-09 | 株式会社日本触媒 | 易重合性物質の精製方法 |
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CN107001229A (zh) * | 2014-12-03 | 2017-08-01 | 株式会社日本触媒 | 易聚合性物质的精制方法 |
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JP7304477B1 (ja) * | 2022-12-14 | 2023-07-06 | 住友化学株式会社 | ビニル系単量体製造装置 |
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