JP2013203414A - 直線カット性ガスバリア包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルムの長手方向に直線カット性を有する二軸延伸フィルム(I)と、ガスバリア層(II)と、ラミネート接着剤層(III)と、シーラント層(IV)とがこの順に積層されてなる包装体であり、二軸延伸フィルム(I)がナイロン6とポリ(メタキシリレンアジパミド)とを含有し、それらの質量比[ナイロン6/ポリ(メタキシリレンアジパミド)]が80/20〜95/5であるフィルムであるかまたは、二軸延伸フィルム(I)がポリエチレンテレフタレート(PET)と変性ポリブチレンテレフタレート(変性PBT)とを含有し、それらの質量比[PET/変性PBT]が70/30〜95/5であり、変性PBTが分子量600〜4000のポリテトラメチレングリコール単位5〜20質量%を含有するポリブチレンテレフタレートであるフィルムであり、ガスバリア層(II)が無機層状化合物(A)と樹脂(B)とを含有し、それらの体積比[無機層状化合物(A)/樹脂(B)]が、3/97〜7/93であることを特徴とする直線カット性ガスバリア包装体。
【選択図】なし
Description
しかし、プラスチックフィルムを積層して得られる包装体は、直線的に引裂いて開封できないことがあり、斜めに開封された際に、内容物が液状である場合には、漏れ出すことがあった。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)フィルムの長手方向に直線カット性を有する二軸延伸フィルム(I)と、ガスバリア層(II)と、ラミネート接着剤層(III)と、シーラント層(IV)とがこの順に積層されてなる包装体であり、二軸延伸フィルム(I)がナイロン6とポリ(メタキシリレンアジパミド)とを含有し、それらの質量比[ナイロン6/ポリ(メタキシリレンアジパミド)]が80/20〜95/5であるフィルムであるかまたは、二軸延伸フィルム(I)がポリエチレンテレフタレート(PET)と変性ポリブチレンテレフタレート(変性PBT)とを含有し、それらの質量比[PET/変性PBT]が70/30〜95/5であり、変性PBTが分子量600〜4000のポリテトラメチレングリコール単位5〜20質量%を含有するポリブチレンテレフタレートであるフィルムであり、ガスバリア層(II)が無機層状化合物(A)と樹脂(B)とを含有し、それらの体積比[無機層状化合物(A)/樹脂(B)]が、3/97〜7/93であることを特徴とする直線カット性ガスバリア包装体。
(2)二軸延伸フィルム(I)とガスバリア層(II)とを含む積層体において、ガスバリア層(II)の厚み1μm当たりに換算した酸素透過度が、20℃、65%RH下で、2ml/m2・day・MPa以下であることを特徴とする(1)記載の直線カット性ガスバリア包装体。
(3)ガスバリア層(II)の厚みが0.1〜1μmであることを特徴とする(1)または(2)記載の直線カット性ガスバリア包装体。
(4)包装体のラミネート強力が3.5N/cm以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の直線カット性ガスバリア包装体。
(5)無機層状化合物(A)の平均粒径が5μm以下であり、アスペクト比が50〜5000であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の直線カット性ガスバリア包装体。
(6)樹脂(B)が高水素結合性樹脂であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の直線カット性ガスバリア包装体。
(7)高水素結合性樹脂がポリビニルアルコールであることを特徴とする(6)記載の直線カット性ガスバリア包装体。
したがって本発明の包装体は、ガスバリア性に優れ内容物の劣化を防ぐことができ、また開封する際に、直線的に容易に引き裂くことができ、デラミネーションが発生することがない。
また、本発明の包装体は、積層体を構成するフィルムを特定組成としたものであるため、設備投資したり加工の手間を増やす必要がなく、これらによるコストアップの問題を回避することができる。
本発明の包装体は、フィルムの長手方向に直線カット性を有する二軸延伸フィルム(I)と、ガスバリア層(II)と、ラミネート接着剤層(III)と、シーラント層(IV)とがこの順に積層された積層体である。
本発明の包装体において、フィルムの長手方向に直線カット性を有する二軸延伸フィルム(I)としては、包装体としての強度などの観点から、長手方向に直線カット性を有する二軸延伸ポリアミドフィルムまたは二軸延伸ポリエステルフィルムを使用することができる。
なお、本発明において、長手方向とは、フィルムの幅方向(TD)と垂直な方向、すなわち製膜時の生産ラインの方向(MD)を意味する。本発明における二軸延伸フィルム(I)は、MD方向に直線的に引き裂け易いものである。
そして二軸延伸ポリアミドフィルムにおけるナイロン6とMXD6の質量比は、ナイロン6/MXD6=80/20〜95/5であることが必要である。MXD6が20質量%より多い場合は、フィルムの厚み変動等の操業的な問題が発生しやすく、また、MXD6が5質量%より少ない場合は、フィルムに直線カット性が得られない。
なお、本発明の効果を損ねない範囲であれば、MXD6は、パラキシリレンアジパミド成分を5質量%以下程度含有してよい。
本発明における長手方向に直線カット性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、ポリブチレンテレフタレート(変性PBT)とを含有する二軸延伸ポリエステルフィルムであることが必要である。
そして二軸延伸ポリエステルフィルムにおけるPETと変性PBTの質量比は、PET/変性PBT=70/30〜95/5であることが必要であり、80/20〜90/10であることが好ましく、85/15〜90/10であることがさらに好ましい。変性PBTが30質量%より多い場合は、フィルムの厚み変動が大きくなったり、得られるフィルムの直線カット性が低下するのみならず、機械的強度、寸法安定性、ヘーズなどの性能が低下して実用性能に問題が生じる。また、変性PBTが5質量%より少ない場合は、フィルムに直線カット性が得られない。
他の共重合成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコールや、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物が挙げられる。
本発明の包装体は、二軸延伸フィルム(I)上にガスバリア層(II)が積層されるが、二軸延伸フィルム(I)上にアンカーコート層を形成してからガスバリア層(II)が積層されてもよい。アンカーコート層を介することにより、二軸延伸フィルム(I)とガスバリア層(II)との密着性を向上することができる。
アンカーコート剤を構成する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、トルエン、MEK、シクロヘキサノン、ソルベッソ、イソホロン、キシレン、MIBK、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどの有機溶剤などが挙げられる。
本発明におけるガスバリア層(II)は、無機層状化合物(A)と樹脂(B)とを含有することが必要であり、無機層状化合物(A)と樹脂(B)の体積比[無機層状化合物(A)/樹脂(B)]が3/97〜7/93であることが必要であり、3/97〜5/95であることが好ましく、4/96〜5/95であることがさらに好ましい。
無機層状化合物(A)の体積比が多ければ多いほど、ガスバリア層(II)の酸素バリア性は優れる。しかし、ガスバリア層(II)中の無機層状化合物(A)の体積比が7体積%を超えると、ガスバリア層(II)が硬く脆くなることで耐屈曲性が低下する。その結果、このガスバリア層(II)上にラミネート接着剤層(III)、シーラント層(IV)を順次積層してなる包装体は、引き裂く時に、デラミネーションが発生し、容易に引き裂くことができなくなる。本発明においてガスバリア層(II)中の無機層状化合物(A)の体積比を7体積%以下とすることにより、得られる包装体のラミネート強力(X)を3.5N/cm以上とすることができ、好ましくは3.55N/cm以上、さらに好ましくは3.6N/cm以上とすることができる。包装体のラミネート強力(X)が3.5N/cm以上であると、包装袋を開封した際にデラミネーションや開封不良などが起こりにくく、また、包装袋を形成し内容物を充填、密封した後の殺菌処理中や輸送中にデラミネーションや破袋が発生することがない。
一方、無機層状化合物(A)の体積比が3体積%より少ないと、ガスバリア層(II)の厚みを厚くしても、高い酸素バリア性を得ることができない。すなわち、二軸延伸フィルム(I)とガスバリア層(II)とを含む積層体において、ガスバリア層(II)の厚み1μm当たりに換算した酸素透過度が、20℃、65%RH下で、2ml/m2・day・MPa以下にならないことがあり、本発明の特徴である高い酸素バリア性を得ることができない。なお、食品を長期間保存するには、酸素透過度が2ml/m2・day・MPa以下であることが好ましい。
なお、ガスバリア層(II)は、必要に応じてその層数を増やしてもよい。
ガスバリア層(II)を構成する「無機層状化合物」とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している無機化合物をいう。換言すれば、「層状化合物」とは、層状構造を有する化合物ないし物質であり、「層状構造」とは、原子が共有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファン・デル・ワールス力等の弱い結合力によって平行に積み重なった構造をいう。
また無機層状化合物(A)のアスペクト比は、50〜5000であることが好ましく、200〜3000であることがさらに好ましい。アスペクト比が50未満では、ガスバリア性の発現が不十分となる。一方、アスペクト比が5000を超える無機層状化合物は、得ることが技術的に難しく、またコストないし経済的にも高価なものとなる。そのため、製造容易性の点からは、このアスペクト比は3000以下であることが好ましい。
ガスバリア層(II)を構成する樹脂(B)は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類などを挙げることができる。
なお、「水素結合性基」とは、炭素以外の原子(ヘテロ原子)に直接結合した水素を少なくとも1個有する基をいう。また「イオン性基」とは、水中において水分子の水和が可能な程度に局在化した「正または負」の少なくとも一方の電荷を有する基をいう。
水素結合性基としては、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基などが挙げられ、イオン性基としては、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基などが挙げられ、さらに好ましいものとしては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモニウム基などが挙げられる。
高水素結合性樹脂は、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール分率が40〜80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体であることが好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、ビニルアルコール分率が40〜80モル%であることが好ましく、45〜75モル%であることがより好ましい。またEVOHのメルトインデックス(温度190℃、荷重2160gの条件で測定した値、以下、MIと記す)は、特に限定されないが、0.1〜50g/10分であることが好ましい。EVOHは、本発明の目的が阻害されない限り、少量の共重合モノマーで変性されていてもよい。
多糖類とは、上述したような、種々の単糖類の縮重合によって生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれらをもとに化学修飾したものも含まれる。
架橋剤の好適な例としては、チタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、メラミン系カップリング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシアネート系カップリング剤、銅化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられる。耐水性向上の点からは、ジルコニウム化合物が特に好ましく用いられる。ジルコニウム化合物の具体例としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウム、塩基性硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジルコニウム塩;蟻酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、カプリル酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム等の有機酸のジルコニウム塩;炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、蓚酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム錯塩;等が挙げられる。
架橋剤の添加量は特に限定されないが、架橋剤の架橋生成基のモル数(CN)と樹脂の水素結合性基のモル数(HN)との比(K=CN/HN)が、0.001〜10の範囲になるように用いることが好ましく、0.01〜1の範囲になるように用いることがさらに好ましい。
上記無機層状化合物(A)と樹脂(B)とを含有するガスバリア層(II)を二軸延伸フィルム(I)上に積層する方法としては、無機層状化合物(A)と樹脂(B)とを含有するガスバリア層形成用塗料(C)を、二軸延伸フィルム(I)の表面に塗布し、熱処理する方法が挙げられる。
また、溶媒を系から除去した後、110〜220℃で熱エージングすることにより、とりわけ耐水性(耐水環境テスト後のバリア性)を向上させることができ好ましい。エージング時間に限定はないが、設定温度に到達する必要があり、例えば熱風乾燥機のような熱媒接触による方法の場合、1秒〜100分が好ましい。熱源についても特に限定はなく、熱ロール接触、熱媒接触(空気、オイル等)、赤外線加熱、マイクロ波加熱など種々の方法が適用できる。
本発明の包装体は、上記二軸延伸フィルム(I)上に積層されたガスバリア層(II)とシーラント層(IV)とが、ラミネート接着剤層(III)を介して積層されたものである。
シーラント層(IV)は、袋状包装袋などを形成する際の熱接着層として設けられるものであり、熱シール、高周波シールなどが可能な材料が使用される。例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−アクリレート共重合体などが挙げられる。厚みは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmである。
本発明の包装体は、二軸延伸フィルム(I)と、ガスバリア層(II)と、ラミネート接着剤層(III)と、シーラント層(IV)とがこの順に積層されたものであり、例えば、(I)(II)(III)(IV)の層構成や、(I)(II)(II)(III)(IV)の層構成を有するものである。さらに場合によっては、ガスバリア層(II)とラミネート接着剤層(III)との間に、プライマー層や帯電防止層などの機能性層が積層されてもよい。またガスバリア層(II)とラミネート接着剤層(III)は、それらの間の密着性を向上させるために、コロナ処理、オゾン処理などの表面処理が施されてもよい。さらに、ガスバリア層(II)面上や、ガスバリア層(II)等を積層していない二軸延伸フィルム(I)面上に、必要に応じて公知の方法で印刷を施すことができる。
[厚み測定]
0.5μm以上の厚みは、市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH−15M、日本光学社製)により測定した。一方、0.5μm未満の厚みは、重量分析法(一定面積のフィルムの重量測定値をその面積で除し、更に組成物の比重で除した)によった。
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA910)を使用し、ポリビニルアルコールおよび無機層状化合物を含むガスバリア層形成用塗工液C−1における、無機層状化合物とみられる粒子の体積基準のメジアン径を粒径として、フローセル法にて光路長4mmで測定した。
X線回折装置(島津製作所社製、XD−5A)を用い、無機層状化合物単独と、ポリビニルアルコールおよび無機層状化合物を含むガスバリア層形成用塗工液を乾燥したものとについて、粉末法による回折測定し、無機層状化合物の単位厚さaを求めた。上述の方法で求めた粒径Lを用いて、アスペクト比Zを、Z=L/a の式により算出した。なお、ガスバリア層形成用塗工液を乾燥したものについての回折測定から、無機層状化合物の面間隔が広がっている部分があることを確認した。
モコン社製酸素バリア測定器(OX−TRAN 2/20MH)を用いて、JIS K7126−2法に基づいて、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下における二軸延伸フィルム(I)とガスバリア層(II)とを含む積層体の酸素透過度を測定した。
得られた包装体から、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で長さ100mm×幅15mmの大きさの試験片を作製し、二軸延伸フィルム(I)とシーラント層(IV)間をピンセットにてMD方向に30mm以上の長さを剥離することで非接着部を作製し、その非接着部をつかみとして、引張試験機(島津製作所社製オートグラフAG−1S)にて、300mm/minの剥離速度でMD方向に50mm長さをT型剥離した時の平均剥離強力をサンプル数5点測定し、その平均値をラミネート強力とした。
得られた包装体から、MD方向200mm、TD方向300mm、シール幅10mmの横取り3方袋を作製した。TD方向のシール部に5mmの切込み(ノッチ)を設け、3方袋のMD方向に右手前、左手前方向にそれぞれ引き裂いた際の、3方袋を構成する表裏の包装体のズレ幅を測定した。この操作を5回繰り返しズレ幅の平均値を算出し、右手前、左手前ともに表裏のズレ幅が2mm未満の場合を○、2mm以上の場合を×とした。
包装体から作製した3方袋による直線カット性評価における、開封時のデラミネーション発生有無を評価し、開封時にデラミネーションが生じなかったものは○、デラミネーションが生じたものを×とした。
[二軸延伸ポリアミドフィルム]
ナイロン6とMXD6を、ナイロン6/MXD6=85/15、80/20、95/5、97/3、75/25または100/0(質量比)の割合で混合した原料を用いて、樹脂温度260℃で押出し、15℃の冷却ドラムに密着急冷させ、テンター式同時二軸延伸機にて延伸温度185℃下で縦及び横方向に3×3.3倍に同時二軸延伸した後、205℃で4秒間熱処理して製造した、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを使用した。
PETと変性PBTを、PET/変性PBT=87/13、70/30、95/5、60/40または100/0(質量比)の割合で混合した原料を用いて、樹脂温度280℃で押出し、20℃の冷却ドラムに密着急冷させ、ロール縦延伸機で90℃で3.5倍に、テンター横延伸機で120℃で4.5倍に延伸した後、235℃で4秒間熱処理して製造した、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを使用した。
東洋モートン社製EL−510−1−17K、CAT−87RT(EL−510−1−17K/CAT−87RT=5/1(質量比))を、溶剤(トルエン/MEK/MIBK=5/4/1(質量比))で、濃度が4質量%となるよう調整したアンカーコート剤を使用した。
[塗工液C−1]
分散釜に、イオン交換水(0.7μS/cm以下)と、ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−117H、ケン化度99.6%,重合度1700)とを投入し、低速攪拌(800rpm、周速度2m/分)下で95℃に昇温し、同温度で30分間攪拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、9.0質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。このポリビニルアルコール水溶液に、イオン交換水および2−プロパノールを混合したアルコール水溶液(イオン交換水/2−プロパノール=4/1(質量比))を10分間かけて添加し、高速攪拌(1600rpm,周速度4m/分)に切り替え20分間攪拌し、6質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。
得られたポリビニルアルコール水溶液に、無機層状化合物(モンモリロナイト、クニミネ工業社製クニピアRG)を徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間高速攪拌(1600rpm、周速度4m/分)を続けた。その後、さらに2−プロパノールを10分間かけて添加し、その混合液を室温まで冷却し、C−1準備液を得た。
この準備液0.01質量部に、非イオン性界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製SH3746)0.1質量部を添加し、高圧分散装置(マイクロフルイダイザー社製 超高圧ホモジナイザー)を用いて、1000kgf/cm2の条件で処理した。次いで、最終固形分濃度が5.8質量%になるように、イオン交換水と2−プロパノールを混合したアルコール水溶液(イオン交換水/2−プロパノール=1/1.2(質量比))を10分かけて添加し、20分間高速攪拌(1600rpm、周速度4m/分)して塗工液C−1を得た。
得られた塗工液C−1における、無機層状化合物と樹脂との体積比(無機層状化合物/樹脂)は、5/95である。劈開した無機層状化合物(モンモリロナイト)の平均粒径は560nmであり、粉末X線回折から得られる単位厚さ、すなわちa値は1.2156nmであり、アスペクト比は460であった。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が3/97になるようにし、またアルコール水溶液の添加量を変更して、最終固形分濃度が6質量%になるようにした以外は塗工液C−1の作液方法と同様にして、塗工液C−2を作製した。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が7/93になるようにし、またアルコール水溶液の添加量を変更して、最終固形分濃度が5.6質量%になるようにした以外は塗工液C−1の作液方法と同様にして、塗工液C−3を作製した。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が10/90になるようにし、またアルコール水溶液の添加量を変更して、最終固形分濃度が5.4質量%になるようにした以外は塗工液C−1の作液方法と同様にして、塗工液C−4を作製した。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が20/80になるようにし、またアルコール水溶液の添加量を変更して、最終固形分濃度が4.9質量%になるようにした以外は塗工液C−1の作液方法と同様にして、塗工液C−5を作製した。
無機層状化合物の添加量を変更して、体積比(無機層状化合物/樹脂)が2/98になるようにし、またアルコール水溶液の添加量を変更して、最終固形分濃度が6.2質量%になるようにした以外は塗工液C−1の作液方法と同様にして、塗工液C−6を作製した。
二軸延伸フィルム(I)として、ナイロン6/MXD6が85/15(質量比)であり、片面コロナ処理した二軸延伸ポリアミドフィルムを用い、処理面上にアンカーコート剤を、バーコーターNo3を用いて塗布し、熱風乾燥機で80℃1分間乾燥し、アンカーコート層を形成した。このアンカーコート層の乾燥厚みは0.07μmであった。
上記アンカーコート層の上に、ガスバリア層形成用塗料(塗工液C−1)をグラビア塗工(ヒラノテクシード社製テストコーター、マイクログラビア塗工法、塗工速度5m/分、乾燥温度80℃)し、ガスバリア層(II)を得た。ガスバリア層(II)の膜厚(乾燥厚み)は0.3μmであった。得られた、二軸延伸フィルム(I)とガスバリア層(II)とを含む積層体について、酸素透過度を測定した結果を表1に示す。
次いで、ガスバリア積層体(II)上に、ラミネート接着剤層(III)形成用コート剤(東洋モートン社製TM−329/CAT−8B)を、乾燥膜厚が2g/m2になるように塗布し、80℃の熱風乾燥機で10秒乾燥させて、ラミネート接着剤層(III)を形成した。
形成したラミネート接着剤層(III)面に、シーラント層(IV)用フィルム(三井化学東セロ社製LLDPE−40μm TUX−FCSのコロナ面側)をニップロールにて貼り合わせた(ニップ条件80℃)。40℃3日間養生し、ラミネート接着剤層(III)を硬化させ、(I)(II)(III)(IV)の順に積層された包装体を得た。
得られた包装体のラミネート強力の測定結果、および開封時の直線カット性とデラミネーション発生の評価結果を表1に示す。
ガスバリア層形成用塗料を、塗工液C−2(実施例2)、塗工液C−3(実施例3)に変更し、またガスバリア層(II)の厚みを変更した以外は実施例1と同様にして、積層体や包装体を得た。
二軸延伸フィルム(I)を、ナイロン6/MXD6が80/20(質量比)である二軸延伸ポリアミドフィルム(実施例4)、95/5(質量比)である二軸延伸ポリアミドフィルム(実施例5)に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体や包装体を得た。
二軸延伸フィルム(I)を、PET/変性PBTが87/13である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更した以外は実施例1と同様にして、積層体や包装体を得た。
ガスバリア層形成用塗料を、塗工液C−2(実施例7)、塗工液C−3(実施例8)に変更し、またガスバリア層(II)の厚みを変更した以外は実施例6と同様にして、積層体や包装体を得た。
二軸延伸フィルム(I)を、PET/変性PBTが70/30(質量比)である二軸延伸ポリエステルフィルム(実施例9)、95/5(質量比)である二軸延伸ポリエステルフィルム(実施例10)に変更した以外は実施例6と同様にして、積層体や包装体を得た。
二軸延伸フィルム(I)を、PET/変性PBTが60/40(質量比)である二軸延伸ポリエステルフィルム(比較例1)、100/0(質量比)である二軸延伸ポリエステルフィルム(比較例2)に変更した以外は実施例6と同様にして、積層体や包装体を得た。
二軸延伸フィルム(I)を、ナイロン6/MXD6が97/3(質量比)である二軸延伸ポリアミドフィルム(比較例3)、100/0(質量比)である二軸延伸ポリアミドフィルム(比較例4)に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体や包装体を得た。
ガスバリア層形成用塗料を、塗工液C−4(比較例5)、塗工液C−5(比較例6)、塗工液C−6(比較例7)に変更し、またガスバリア層(II)の厚みを変更した以外は実施例1と同様にして、積層体や包装体を得た。
二軸延伸フィルム(I)として、ナイロン6/MXD6が75/25(質量比)の割合で混合した原料を用いて、二軸延伸ポリアミドフィルムを製造しようとしたところ、生産時の厚み変動が激しく厚み調整が困難であったため、フィルムを採取することができなかった。
比較例1〜2は、優れたラミネート強力、酸素バリア性を有するものの、二軸延伸フィルム(I)を構成する変性PBTの含有量が本発明で規定する範囲を超えるため、直線カット性を得ることができなかった。
比較例3〜4は、優れたラミネート強力、酸素バリア性を有するものの、二軸延伸フィルム(I)を構成するMXD6の含有量が本発明で規定する量より少ないため、直線カット性を得ることができなかった。
比較例5〜6は、優れた酸素バリア性・直線カット性を有するものの、ガスバリア層(II)における体積比[無機層状化合物(A)/樹脂(B)]が本発明で規定する範囲外であるため、ラミネート強力が低下し、開封時にデラミネーションが発生した。
比較例7は、優れた直線カット性とラミネート強力を有するものの、ガスバリア層(II)における体積比[無機層状化合物(A)/樹脂(B)]が本発明で規定する範囲外であるため、十分な酸素バリア性が得られなかった。
比較例8は、二軸延伸ポリアミドフィルムを構成する樹脂のMXD6の含有量が本発明で規定する量より多いため、二軸延伸ポリアミドフィルム自体を採取できず、評価するまでには至らなかった。
Claims (7)
- フィルムの長手方向に直線カット性を有する二軸延伸フィルム(I)と、ガスバリア層(II)と、ラミネート接着剤層(III)と、シーラント層(IV)とがこの順に積層されてなる包装体であり、二軸延伸フィルム(I)がナイロン6とポリ(メタキシリレンアジパミド)とを含有し、それらの質量比[ナイロン6/ポリ(メタキシリレンアジパミド)]が80/20〜95/5であるフィルムであるかまたは、二軸延伸フィルム(I)がポリエチレンテレフタレート(PET)と変性ポリブチレンテレフタレート(変性PBT)とを含有し、それらの質量比[PET/変性PBT]が70/30〜95/5であり、変性PBTが分子量600〜4000のポリテトラメチレングリコール単位5〜20質量%を含有するポリブチレンテレフタレートであるフィルムであり、ガスバリア層(II)が無機層状化合物(A)と樹脂(B)とを含有し、それらの体積比[無機層状化合物(A)/樹脂(B)]が、3/97〜7/93であることを特徴とする直線カット性ガスバリア包装体。
- 二軸延伸フィルム(I)とガスバリア層(II)とを含む積層体において、ガスバリア層(II)の厚み1μm当たりに換算した酸素透過度が、20℃、65%RH下で、2ml/m2・day・MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の直線カット性ガスバリア包装体。
- ガスバリア層(II)の厚みが0.1〜1μmであることを特徴とする請求項1または2記載の直線カット性ガスバリア包装体。
- 包装体のラミネート強力が3.5N/cm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の直線カット性ガスバリア包装体。
- 無機層状化合物(A)の平均粒径が5μm以下であり、アスペクト比が50〜5000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の直線カット性ガスバリア包装体。
- 樹脂(B)が高水素結合性樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の直線カット性ガスバリア包装体。
- 高水素結合性樹脂がポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項6記載の直線カット性ガスバリア包装体。
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