JP2013201176A - ポリシングスラリー、及び第13族窒化物基板の製造方法 - Google Patents

ポリシングスラリー、及び第13族窒化物基板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013201176A
JP2013201176A JP2012067284A JP2012067284A JP2013201176A JP 2013201176 A JP2013201176 A JP 2013201176A JP 2012067284 A JP2012067284 A JP 2012067284A JP 2012067284 A JP2012067284 A JP 2012067284A JP 2013201176 A JP2013201176 A JP 2013201176A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polishing
abrasive grains
slurry
polishing slurry
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012067284A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5900079B2 (ja
Inventor
Masayuki Tashiro
雅之 田代
Yoshihisa Shimomura
祥久 下村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2012067284A priority Critical patent/JP5900079B2/ja
Publication of JP2013201176A publication Critical patent/JP2013201176A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5900079B2 publication Critical patent/JP5900079B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】化学機械的研磨性に優れたポリシングスラリー、及び、当該ポリシングスラリーを用いた第13族窒化物基板の製造方法を提供する。
【解決手段】第13族窒化物結晶の表面を化学機械的研磨するためのポリシングスラリーであって、平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であることを特徴とする、ポリシングスラリー。
【選択図】図1

Description

本発明は、化学機械的研磨性に優れたポリシングスラリー、及び、当該ポリシングスラリーを用いた第13族窒化物基板の製造方法に関する。
GaN(窒化ガリウム)やAlN(窒化アルミニウム)等の窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、またバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色又は緑色等の発光ダイオード、レーザーダイオード等の比較的短波長側の発光デバイスや、高電子移動度トランジスタ(HEMT)及びヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)等の高周波及び高出力の電子デバイスの材料として有用である。これらの光学的又は電子的用途においては、結晶性に優れ表面が平坦な窒化物半導体基板が求められている。
窒化物半導体基板の原料となる窒化物半導体結晶のインゴットは、通常、所定の厚さにスライシングされ、所望の形状に研削された後、研磨工程に供される。ここでいう研磨工程とは、スライシングや研削等により生じた結晶表面の歪みを軽減する工程のことである。
研磨工程は、通常、粗研磨(ラッピング)と精密研磨(ポリシング)に分けて行われる。研磨工程の最終段階である精密研磨においては、化学機械的研磨(Chemical mechanical polishing;以下、CMPと称する場合がある。)が行われるのが一般的である。CMPには、通常、研磨剤及び研磨パッドが用いられ、化学研磨効果と機械研磨効果との相乗効果により、粗研磨により生じた結晶表面のナノオーダーの段差を除去し、結晶表面を平坦化することができる。
CMPに用いられる研磨剤について、例えば、以下に示す技術が知られている。特許文献1には、酸性CMPスラリー組成物によるGaNウエハー等へのCMPに関する技術に関する記載がある(請求項108等)。当該文献の明細書の段落[0082]には、pHが8を超えるスラリー又はpHが6未満の酸性液の中でCMPプロセスが実施される旨、スラリーにはCMP速度を上げるために酸化剤が添加される旨、及び、GaNウエハーのCMPにはコロイド状シリカ又はアルミナが使用される旨が記載されている。
特許文献2には、水酸化カリウム(KOH)を含む研磨液を用いてGaN層の−c面を研磨するCMP技術が開示されている(請求項4)。当該文献の明細書の段落[0040]には、CMPスラリーとして、SiO(コロイダルシリカ)、CeO、Al、MnO等の研磨剤粒子を、水酸化カリウム(KOH)等を含む水中に分散させて得られる分散体を用いる旨が記載されている。
一方、以下のように、研磨剤中の砥粒の状態や形状に着目した技術も知られている。特許文献3には、III族窒化物結晶の表面を化学機械的研磨するためのポリシングスラリーであって、1次粒子が会合した2次粒子を砥粒として含むものが開示されている(請求項1)。また、特許文献4には、真円度が0.50〜0.75である粒子を主成分とすることを特徴とする研磨用砥粒が開示されている(請求項1)。
特開2012−17259号公報 特開2011−211097号公報 特開2007−103457号公報 特開2005−264057号公報
窒化物結晶基板の表面加工において最終研磨工程となるCMPは、従来、長時間を要するものであった。特に、化学的に安定な面である(0001)や(10−1−1)等のGa極性面を主面とする窒化物結晶基板において、CMPに顕著に長い時間が費やされるという課題があった。一方、今日の窒化物結晶基板製造プロセスにおいては、CMPに要する時間を短縮し、コストダウンを図ることが求められている。
本発明者らは、窒化物結晶基板のCMPに用いられるポリシングスラリーについて検討した結果、異なる平均粒径の砥粒を2種類以上組み合わせた酸性ポリシングスラリーが、砥粒を1種類のみ含む酸性ポリシングスラリーと比較して、極めて高いポリッシュレートを示し、CMPに要する時間を従来よりも短縮できることを見出した。この結果は、アルカリ性のポリシングスラリーについて、異なる平均粒径の砥粒を2種類以上組み合わせた場合のポリッシュレートが、砥粒を1種類のみ用いた場合の各ポリッシュレートのほぼ平均値となることに鑑みれば、極めて特異な現象である。
なお、上記特許文献1には、砥粒の平均粒径に関する詳細な記載はなく、ポリッシュレートに関する記載や示唆は一切ない。上記特許文献2には、砥粒の平均粒径に関する詳細な記載は一切ない。上記特許文献3及び特許文献4には、二次粒子を砥粒として用いた場合の効果しか開示されておらず、一次粒子を砥粒として含むポリシングスラリーの効果に関する記載は一切ない。
本発明者らは、鋭意努力の結果、平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含む酸性のポリシングスラリーを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、以下に示す本発明を完成させた。
(1)第13族窒化物結晶の表面を化学機械的研磨するためのポリシングスラリーであって、平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であることを特徴とする、ポリシングスラリー。
(2)前記2種以上の砥粒はいずれも無機酸化物を主成分とすることを特徴とする、(1)に記載のポリシングスラリー。
(3)前記2種以上の砥粒の総質量を100質量%としたときの、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の総質量の割合が35〜65質量%であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のポリシングスラリー。
(4)前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も大きい種類の砥粒の平均粒径が40〜100nmであることを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(5)前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の平均粒径が10〜50nmであることを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(6)前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も大きい種類の砥粒の平均粒径が、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の平均粒径の2倍以上であることを特徴とする、(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(7)pHが4以下であることを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(8)前記2種以上の砥粒の硬度が、いずれも、前記第13族窒化物結晶の硬度以下であることを特徴とする、(1)乃至(7)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(9)第13族窒化物結晶を準備する工程、平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であるポリシングスラリーを準備する工程、及び、前記ポリシングスラリーを用いて、前記第13族窒化物結晶の少なくとも1つの表面を化学機械的研磨して、第13族窒化物基板を得る工程、を有することを特徴とする、第13族窒化物基板の製造方法。
(10)第13族窒化物結晶を準備する工程、砥粒及び水を含む酸性のスラリーであって、当該砥粒の平均粒径が異なる2種以上のスラリーを混合してポリシングスラリーを準備する工程、及び、前記ポリシングスラリーを用いて、前記第13族窒化物結晶の少なくとも1つの表面を化学機械的研磨して、第13族窒化物基板を得る工程、を有することを特徴とする、第13族窒化物基板の製造方法。
(11)前記化学機械的研磨工程における圧力が300〜1,500g/cmであることを特徴とする、(9)又は(10)に記載の第13族窒化物基板の製造方法。
(12)前記化学機械的研磨工程は、前記第13族窒化物結晶の前記表面及び研磨定盤の間に前記ポリシングスラリーを添加して、当該表面を研磨する工程であり、前記化学機械的研磨工程における前記第13族窒化物結晶と前記研磨定盤との相対速度が1〜3m/sであることを特徴とする、(9)乃至(11)のいずれか1つに記載の第13族窒化物基板の製造方法。
本発明によれば、平均粒径の異なる2種類以上の砥粒を含むことにより、平均粒径が1種類の砥粒のみを含む従来のポリシングスラリーと比較して、異種砥粒同士の相互作用により優れた化学機械的研磨性を発揮できる。
実施例1−実施例3、比較例1−比較例3、及び参考例1−参考例2のポリシングスラリーのポリッシュレートを比較した棒グラフである。
1.ポリシングスラリー
本発明のポリシングスラリーは、第13族窒化物結晶の表面を化学機械的研磨するためのポリシングスラリーであって、平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であることを特徴とする。具体的には、砥粒及び水を含む酸性のスラリーであって、当該砥粒の平均粒径が異なる2種以上のスラリーを混合して準備したポリシングスラリーであることが好ましい。通常、研磨に用いられる砥粒を含むスラリーは、当該砥粒が所定の粒度分布を有し、平均粒径を有するように調製される。ここで、砥粒の平均粒径は、BET法で求められる平均粒径や、動的光散乱法等の方法により分布が求められる場合はモード径あるいはメディアン径等で算出されるが、BET法により求められる平均粒径を採用することが好ましい。
本発明において、第13族窒化物結晶は例えばGaAlIn1−x−yN結晶(式中0≦x≦1、0≦y≦1)で表され、具体的には窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム、又は、これらの混晶である窒化アルミニウムガリウム、窒化インジウムガリウム等が挙げられる。第13族窒化物結晶の主面の面指数は特に限定されず、例えば、C面等の極性面;A面及びM面等の非極性面;半極性面;等が挙げられる。
本発明では、半導体素子を形成するためにエピタキシャル層を形成する面を有する結晶を基板という。一般には、アズグロウン結晶からスライス、研削等の形態加工を実施して基板を得るが、本発明では加工途中のものは基板と称さず、結晶と称する。
本発明に用いられる砥粒は、第13族窒化物結晶のCMPに通常用いられる材料を含むものであれば特に限定されない。本発明には2種以上の砥粒が用いられるが、各砥粒は同じ硬度の材料を含むものであってもよいし、異なる硬度の材料を含むものであってもよい。CMPが効率よく進行し、CMP時の砥粒同士の消耗が少ないという観点から、本発明に用いられる砥粒は同じ硬度の材料を含むものであることが好ましく、同じ材料を含むものであることがより好ましい。
本発明に用いられる砥粒は、2種類のみであってもよく、3種類以上を組み合わせてもよい。なお、砥粒の種類は、10種類以下であることが好ましく、5種類以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる各砥粒は、いずれも、第13族窒化物結晶の硬度以下の硬度を有することが好ましい。第13族窒化物結晶の表面をポリシングする際に、新たなスクラッチ及び潜傷を発生させることなく、研削や粗研磨により発生したスクラッチ及び潜傷を減らすことができるからである。
本発明において硬度とは、機械的強度のことを指す。したがって、いわゆるモース硬度やビッカース硬度等の、一般的に硬度(いわゆるひっかき強度)として知られるものを含む他、破壊強度(破壊エネルギー)やせん断応力、降伏応力等も、本発明における硬度に含まれる。
本発明に用いられる各砥粒は、好適には第13族窒化物結晶の硬度以下の硬度を有するものであれば特に制限はないが、比較的入手が容易であり且つ扱いやすいという観点から、無機微粒子を主成分とすることが好ましい。無機微粒子の例としては、SiO、Al、CeO、TiO、MgO、MnO、Fe、Fe、NiO、ZnO、CoO、Co、CuO、CuO、GeO、CaO、Ga、及びInからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料を含む微粒子が挙げられる。これらの材料の中でも、特に、SiO、Al、及びTiOからなる群より選ばれる少なくとも1つの材料を含むことが好ましく、コロイダルシリカを含むことがより好ましい。
本発明に係るポリシングスラリーにおいては、平均粒径の異なる2種類以上の砥粒同士の相互作用により、各砥粒を1種類ずつ用いる場合と比較して、優れた化学機械的研磨特性を発揮することができる。
本発明に用いられる砥粒の平均粒径は、混合前において、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法としては、例えば、BET法や、動的光散乱法、TEM観察又はSEM観察を用いた方法等が挙げられる。
BET法により平均粒径を算出する方法の例は以下の通りである。まず、JIS H7008 6026に記載されているように、窒素ガス等の吸着ガスの圧力と吸着量との関係から、BET式を用いて単分子吸着量を測定し、比表面積を求める。次に、求めた比表面積と砥粒の比重(真比重)から、当該砥粒が球状であると仮定した場合の平均粒径を求めることができる。
動的光散乱法(Dynamic light scattering)とはコロイド粒子のブラウン運動の激しさから、粒子径および粒度分布を求める手法で、具体的には、レーザ光を粒子に当て、発生した光散乱の揺らぎから粒度分布を測定する方法であり、市販の粒度分布測定装置で測定され、平均粒径はモード径あるいはメディアン径等で算出される。
TEM観察又はSEM観察により平均粒径を算出する方法の例は以下の通りである。まず、適切な倍率(例えば、1,000〜1,000,000倍)のTEM(透過型電子顕微鏡)画像又はSEM(走査型電子顕微鏡)画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察又はSEM観察による粒径の算出を、同じ種類の所定の個数(例えば、100〜10,000個)の粒子について行い、各粒子の平均を平均粒径とする。
砥粒の粒径は、通常、所定の粒度分布を有し、平均粒径が1種類のみの砥粒の粒度分布のヒストグラムは1つの山を示す。本発明に係るポリシングスラリーは、例えば、当該ポリシングスラリーに含まれる全ての砥粒に関する粒度分布のヒストグラムにおいて、2つ以上の頻度(度数)の山を有していてもよい。このようにヒストグラム中に少なくとも2つの頻度の山を有することにより、ポリシングスラリーが、平均粒径の異なる2種類の砥粒を含むことを推測することができる。なお、当該ヒストグラムにおける横軸(粒径)の間隔は、例えば、1〜10nmとする。また、当該頻度の山に対応する粒径が、必ずしも平均粒径そのものであるとは限らない。
本発明に用いられる2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も大きい種類の砥粒(以下、大砥粒と称する場合がある。)の平均粒径は40〜100nmであることが好ましい。大砥粒の平均粒径が100nmを超える場合には、砥粒が沈降しやすくなり、研磨液としての役割が全うされないおそれがある。大砥粒の平均粒径が40nm未満の場合には、小砥粒との平均粒径の差が小さくなりすぎるため、異種砥粒間の相互作用による優れた化学機械的研磨の効果が十分に享受できないおそれがある。
大砥粒の平均粒径は、50〜95nmであることがより好ましく、60〜90nmであることがさらに好ましい。
本発明に用いられる2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も小さい種類の砥粒(以下、小砥粒と称する場合がある。)の平均粒径は10〜50nmであることが好ましい。小砥粒の平均粒径が50nmを超える場合には、大砥粒との平均粒径の差が小さくなりすぎるため、異種砥粒間の相互作用による優れた化学機械的研磨の効果が十分に享受できないおそれがある。小砥粒の平均粒径が10nm未満の場合にも、砥粒自体が小さくなりすぎて研磨作用が小さくなるおそれがある。
小砥粒の平均粒径は、12〜40nmであることがより好ましく、15〜30nmであることがさらに好ましい。
大砥粒の平均粒径は、小砥粒の平均粒径の2倍以上であることが好ましい。大砥粒の平均粒径が小砥粒の平均粒径の2倍未満である場合には、大砥粒の粒度分布と小砥粒の粒度分布の重複部分が多くなりすぎる結果、異種砥粒間の相互作用による優れた化学機械的研磨の効果が十分に享受できないおそれがある。
大砥粒の平均粒径は、小砥粒の平均粒径の2.5倍以上であることがより好ましく、3〜5倍であることがさらに好ましい。
3種類以上の砥粒を用いる場合、大砥粒及び小砥粒以外の砥粒(以下、中砥粒と称する場合がある。)の平均粒径については、大砥粒の平均粒径未満であり且つ小砥粒の平均粒径を超えること以外は特に制限はない。ただし、大砥粒と中砥粒の粒径の大きさの関係、あるいは、大砥粒と小砥粒の大きさの関係、あるいは、中砥粒と小砥粒の大きさの関係のいずれかが、上述した好適な条件下にあることが好ましい。
各砥粒の含有割合は特に限定されず、CMP条件によって適宜調節すればよい。本発明においては、スラリー中に含まれる2種以上の砥粒の総質量を100質量%としたときの、小砥粒の総質量の割合が35〜65質量%であることが好ましい。小砥粒の総質量の割合が35質量%未満の場合又は65質量%を超える場合には、小粒径の割合が少なすぎるか又は多すぎるため、異種砥粒間の相互作用による優れた化学機械的研磨の効果が十分に享受できないおそれがある。
本発明においては、スラリー中に含まれる2種以上の砥粒の総質量を100質量%としたときの、小砥粒の総質量の割合が37〜64質量%であるのがより好ましく、40〜63質量%であるのがさらに好ましい。
本発明に係るポリシングスラリーは、酸性であることにより、アルカリ性スラリーや中性スラリーと比較して、平均粒径の異なる2種類以上の砥粒同士の相互作用を極めて効果的に発揮する。
本発明に係る酸性のポリシングスラリーは、水系分散剤に上述した2種以上の砥粒を分散させたものであることが好ましい。本発明に係る酸性のポリシングスラリーは、CMPに通常使用できる添加剤を含んでいてもよい。砥粒や添加剤の濃度について特に限定はなく、CMP条件に応じて適宜調節すればよい。
本発明に係るポリシングスラリーのpHは7未満、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。本発明に係るポリシングスラリーは、酸性水溶液中で分散安定性の良好なものを用いることが好ましい。
砥粒として無機酸化物を用いる場合には、水に分散させたときに酸性となるように砥粒に表面処理を施すことで、酸性のポリシングスラリーとしての性質を良好に保つことができる。ここでいう酸性のポリシングスラリーとしての性質とは、例えば、酸性水系媒体中における優れた分散性である。例えば、砥粒として水ガラス法で製作されたコロイダルシリカを用いる場合は、アルカリ金属等の塩基を含有してアルカリ性を示すが、陽イオン交換処理を施すことで酸性とすることができる。
ここで、上記のような酸性水系媒体中の分散性を有する範囲であれば、酸性ポリシングスラリーであっても、アルカリ性不純物を含有していてもよく、具体的には0.1%以下の濃度で含まれていてもよい。ここでいうアルカリ性不純物とは、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はこれらのイオンのように、水と反応することによりアルカリ性を呈する物質又はイオンのことを指す。
本発明に係るポリシングスラリーは、例えば、以下のような試験方法により酸性であると確認できるものが好ましい。
まず、酸性(pH7未満)の水溶液にポリシングスラリーを投入して適宜攪拌して分散させる。次に、当該酸性水溶液を室温(15〜30℃)で1週間放置する。1週間後、目視で酸性水溶液を確認し、砥粒が元の分散状態を保っていれば、酸性のポリシングスラリーであるとして、本発明に含まれる。仮に、中性又はアルカリ性のポリシングスラリーを酸性水溶液中に投入した場合には、1週間放置後に凝集し、元の分散性を保持できないと考えられる。
分散状態を確認する方法としては、目視による確認の他、例えば、動的光散乱法や、粒度分布計による粒度分布の測定等が挙げられる。
なお、ポリシングスラリーが酸性であるか否かを確認できる他の方法としては、例えば、ポリシングスラリーを適宜水で希釈し分散させ、リトマス試験紙、pH試験紙、pH指示薬、又はpHメーター等で分散液のpHを測定する方法が挙げられる。
本発明に係るポリシングスラリーは、公知の方法により製造できる。本発明に用いられるポリシングスラリーの製造方法の一例としては、砥粒を1種類のみ含む酸性スラリーであって、砥粒の平均粒径が互いに異なるスラリーを2種類以上用意して、それらを所定の割合となるように混合し、適宜分散させることにより調製する方法が挙げられる。つまり、砥粒及び水を含む酸性のスラリーであって、当該砥粒の平均粒径が異なる2種以上のスラリーを混合して準備したポリシングスラリーであることが好ましい。この場合、各々のスラリーは、それぞれ酸性のスラリーであることが好ましい。ここでいう酸性とは、上述の酸性のポリシングスラリーの場合と同様にして確認することができる。各々のスラリーのpHは7未満、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。
砥粒の平均粒径が異なる2種以上のスラリーにおいて、それぞれのスラリーに含まれる砥粒の粒径は、通常、粒径の幅を有する。各々のスラリーの粒径の幅としては、平均粒径の±30nmであることが好ましく、±20nmであることがより好ましく、±10nmであることが特に好ましい。
本発明に係るポリシングスラリーは、そのままCMPに使用してもよいし、CMP条件に応じて、適宜所定量の添加剤を加えて、砥粒の濃度、pH等を適宜調整して使用してもよい。添加剤については後述する。
2.第13族窒化物基板の製造方法
本発明の第13族窒化物基板の製造方法は、第13族窒化物結晶を準備する工程、平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であるポリシングスラリーを準備する工程、及び、前記ポリシングスラリーを用いて、前記第13族窒化物結晶の少なくとも1つの表面を化学機械的研磨して、第13族窒化物基板を得る工程、を有することを特徴とする。
本発明は、(1)第13族窒化物結晶を準備する工程、(2)ポリシングスラリーを準備する工程、及び、(3)化学機械的研磨工程を有する。本発明は、必ずしも上記3工程のみに限定されることはなく、上記3工程以外にも、例えば、後述するようなスライス工程、研削工程、洗浄工程等を有していてもよい。
第13族窒化物結晶は、公知の方法により準備できる。第13族窒化物結晶は、予め成長させた結晶を用いてもよいし、市販のものを用いてもよい。
本発明に用いられるポリシングスラリーは、上述した本発明に係る酸性のポリシングスラリーと同様のものである。上述したように、本発明に用いられるポリシングスラリーは、そのままCMPに供してもよいし、適宜添加剤を加えて砥粒の濃度や分散性等を調整した後にCMPに供してもよい。
添加剤としては、ポリシングスラリーと協働して化学機械的研磨の効率を高めつつ、研磨対象である結晶を過度に傷めないものであれば特に限定されないが、例えば、リン酸、硝酸、過酸化水素水、塩酸、及び硫酸等の酸、並びにこれら酸の混合物等が挙げられる。
添加剤は、ポリシングスラリーに加えてもよいし、ポリシングスラリーと共に研磨部分に直に添加してもよい。
一般的に第13族窒化物基板は、アズグロウン結晶を原料に、スライス、研削、研磨等の加工を経て得られる。本発明における化学機械的研磨工程は、通常、アズグロウン結晶をスライス後、側面をベベリング処理し、裏面や表面に必要に応じて研削、エッチング、粗研磨(ラッピング)等の処理を施した後の第13族窒化物結晶に対して行うものである。スライスから粗研磨までの処理については公知の方法を採用すればよく、処理方法、順序は特に限定されない。また、上述したスライスから粗研磨までの処理は一例であり、必ずしもこれらの処理を全て行った結晶に対して、本発明の化学機械的研磨工程を施さなければならないものではない。
CMPは公知の方法を採用して実施することが可能であり、例えば、第13族窒化物結晶の研磨対象となる表面と、研磨定盤に貼られた研磨パッドとの間にポリシングスラリーを添加した後、所定の圧力で当該結晶を保持しつつ、当該表面を研磨する方法が挙げられる。研磨パッドの材質は公知のものでよく、ポリウレタン製等が例示できる。
研磨速度についても特段限定されず、回転による研磨の場合には、通常回転速度が50〜200rpmである。
結晶を研磨定盤に対向させて配置する際の圧力についても特段限定されないが、300〜1,500g/cmであることが好ましい。当該圧力が300g/cm未満である場合には、十分な研磨が進行せず、ポリッシュレートが向上しないおそれがある。一方、当該圧力が1,500g/cmを超える場合には、圧力が高すぎるため、研磨パッドに極度の磨耗が生じるおそれがある。なお、結晶を貼り付けるプレート面は、研磨後に均一な厚みの基板を得るために、平坦なものが好ましい。
化学機械的研磨工程における圧力は500〜1,400g/cmであることがより好ましく、700〜1,300g/cmであることがさらに好ましい。
上記研磨定盤を用いる場合には、化学機械的研磨工程における第13族窒化物結晶と当該研磨定盤との相対速度は1〜3m/sであることが好ましい。当該相対速度が1m/s未満の場合には、十分な研磨が進行せず、ポリッシュレートが向上しないおそれがある。一方、当該相対速度が3m/sを超える場合には、研磨速度が速すぎるため、研磨パッドに極度の磨耗が生じるおそれがある。
化学機械的研磨工程における第13族窒化物結晶と当該研磨定盤との相対速度は1.3〜2.8m/sであることがより好ましく、1.5〜2.5m/sであることがさらに好ましい。
CMPの実施時間はCMPの条件により適宜調整できるが、粗研磨による研磨キズが無くなるまで実施することが好ましい。研磨キズが無くなることは、蛍光顕微鏡やCL(カソードルミネッセンス法)による観察で確認できる。生産性を考慮すると、CMP時間は10時間以下であることが好ましく、5時間以下であることがより好ましい。
CMP終了後の第13族窒化物基板の表面粗さRmsは、3nm未満であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましく、0.1nm以下がさらに好ましい。
本発明の製造方法により得られる第13族窒化物基板は、通常研磨後に行われる洗浄工程を経て、製品となる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.GaN基板の製造
[実施例1]
まず、直径が2インチのアズグロウンGaN結晶のGa面をワックスによりプレートへ貼り付け、当該GaN結晶のN面を平坦になるまで研削した。次に、当該GaN結晶をプレートから剥離して、120℃のKOH水溶液によりN面のエッチングを行い、研削ダメージを除去した。続いて、ワックスにより当該GaN結晶のN面をプレートへ貼り付け、当該GaN結晶のGa面を平坦になるまで研削した。当該GaN結晶の外周を研削して形状を円形に整えた。
次に、4種類の異なる平均粒径を有するダイヤスラリーを用い、当該GaN結晶のラッピングを平均粒径の大きいダイヤスラリーから順に用いて4段階に分けて行った。ダイヤスラリーの平均粒径は、各段階について、3μm、1μm、1/2μm、1/4μmとした。
ポリシングスラリーAを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーAは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:70〜100nm)と、BET法により決定された平均粒径が20nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:20〜25nm)とを、(平均粒径が80nmの砥粒):(平均粒径が20nmの砥粒)=47質量%:53質量%の割合で含み、且つ水を分散媒とする酸性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーAのpHは2である。
ポリシングスラリーA、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO含有割合は32.8質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、圧力1,000g/cm、パッド/プレート相対速度1.6m/sの条件でCMPを行い、実施例1のGaN基板を製造した。研磨レートは0.41μm/hであった。また、AFMで10μm×10μmの範囲でRmsを測定したところ0.09nmであり、原子ステップが確認できた。
[実施例2]
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーBを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーBは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:70〜100nm)と、BET法により決定された平均粒径が20nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:20〜25nm)とを、(平均粒径が80nmの砥粒):(平均粒径が20nmの砥粒)=37質量%:63質量%の割合で含み、且つ水を分散媒とする酸性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーBのpHは2である。
ポリシングスラリーB、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO含有割合は33.2質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、実施例2のGaN基板を製造した。研磨レートは0.28μm/hであった。
[実施例3]
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーCを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーCは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:70〜100nm)と、BET法により決定された平均粒径が20nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:20〜25nm)とを、(平均粒径が80nmの砥粒):(平均粒径が20nmの砥粒)=57質量%:43質量%の割合で含み、且つ水を分散媒とする酸性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーCのpHは2である。
ポリシングスラリーC、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO含有割合は32.4質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、実施例3のGaN基板を製造した。研磨レートは0.27μm/hであった。
[比較例1]
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーaを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーaは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:70〜100nm)及び水を含む酸性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーaのpHは2である。
ポリシングスラリーa、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO含有割合は30.7質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、比較例1のGaN基板を製造した。研磨レートは0.15μm/hであった。
[比較例2]
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーbを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーbは、BET法により決定された平均粒径が20nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:20〜25nm)及び水を含む酸性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーbのpHは2である。
ポリシングスラリーb、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO含有割合は34.9質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、比較例2のGaN基板を製造した。研磨レートは0.12μm/hであった。
[比較例3]
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーcを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーcは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(アルカリ性コロイダルシリカ)と、BET法により決定された平均粒径が40nmの砥粒(アルカリ性コロイダルシリカ)とを、(平均粒径が80nmの砥粒):(平均粒径が40nmの砥粒)=50質量%:50質量%の割合で含み、且つ水を分散媒とするアルカリ性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーcのpHは10である。
ポリシングスラリーc、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO含有割合は30.0質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、比較例3のGaN基板を製造した。研磨レートは0.22μm/hであった。
[参考例1]
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーdを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーdは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(アルカリ性コロイダルシリカ)及び水を含むアルカリ性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーdのpHは10である。
ポリシングスラリーd、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO含有割合は30.0質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、参考例1のGaN基板を製造した。研磨レートは0.15μm/hであった。
[参考例2]
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーeを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーeは、BET法により決定された平均粒径が40nmの砥粒(アルカリ性コロイダルシリカ)及び水を含むアルカリ性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーdのpHは10である。
ポリシングスラリーe、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO含有割合は30.0質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、参考例2のGaN基板を製造した。研磨レートは0.38μm/hであった。
2.考察
図1は、実施例1−実施例3、比較例1−比較例3、及び参考例1−参考例2のポリシングスラリーのポリッシュレートを比較した棒グラフである。
図1から分かるように、酸性コロイダルシリカ砥粒を1種類のみ用いた比較例1及び比較例2においては、ポリッシュレートは0.15μm/h以下に留まる。一方、平均粒径の異なる2種類の酸性コロイダルシリカ砥粒を用いた実施例1−実施例3においては、ポリッシュレートは0.27μm/h以上である。これらの結果から、2種類の酸性コロイダルシリカ砥粒を組み合わせたCMPは、酸性コロイダルシリカ砥粒を1種類のみ用いたCMPと比較して、0.12μm/h以上のポリッシュレートの差があることが分かる。
一方、図1から分かるように、平均粒径の異なる2種類のアルカリ性コロイダルシリカ砥粒を、1:1の質量比で組み合わせて用いた比較例3のポリッシュレートは、アルカリ性コロイダルシリカの各砥粒を1種類のみ用いた参考例1及び参考例2のポリッシュレートのほぼ平均の値となった。
以上の結果から、アルカリ性コロイダルシリカ砥粒を2種類以上組み合わせて用いても、アルカリ性コロイダルシリカ砥粒を各1種類のみ用いる従来のCMPのポリッシュレートを超えることができないのに対して、2種類以上の酸性コロイダルシリカ砥粒を組み合わせて用いた場合には、酸性コロイダルシリカ砥粒を各1種類のみ用いる従来のCMPと比較して、劇的に化学機械的研磨性が向上することが分かる。この優れた化学機械的研磨性は、詳細は不明であるものの、酸性ポリシングスラリー中の異種砥粒同士の相互作用によるものと推測される。

Claims (12)

  1. 第13族窒化物結晶の表面を化学機械的研磨するためのポリシングスラリーであって、
    平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であることを特徴とする、ポリシングスラリー。
  2. 前記2種以上の砥粒はいずれも無機酸化物を主成分とすることを特徴とする、請求項1に記載のポリシングスラリー。
  3. 前記2種以上の砥粒の総質量を100質量%としたときの、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の総質量の割合が35〜65質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリシングスラリー。
  4. 前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も大きい種類の砥粒の平均粒径が40〜100nmであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
  5. 前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の平均粒径が10〜50nmであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
  6. 前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も大きい種類の砥粒の平均粒径が、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の平均粒径の2倍以上であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
  7. pHが4以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
  8. 前記2種以上の砥粒の硬度が、いずれも、前記第13族窒化物結晶の硬度以下であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
  9. 第13族窒化物結晶を準備する工程、
    平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であるポリシングスラリーを準備する工程、及び、
    前記ポリシングスラリーを用いて、前記第13族窒化物結晶の少なくとも1つの表面を化学機械的研磨して、第13族窒化物基板を得る工程、を有することを特徴とする、第13族窒化物基板の製造方法。
  10. 第13族窒化物結晶を準備する工程、
    砥粒及び水を含む酸性のスラリーであって、当該砥粒の平均粒径が異なる2種以上のスラリーを混合してポリシングスラリーを準備する工程、及び、
    前記ポリシングスラリーを用いて、前記第13族窒化物結晶の少なくとも1つの表面を化学機械的研磨して、第13族窒化物基板を得る工程、を有することを特徴とする、第13族窒化物基板の製造方法。
  11. 前記化学機械的研磨工程における圧力が300〜1,500g/cmであることを特徴とする、請求項9又は10に記載の第13族窒化物基板の製造方法。
  12. 前記化学機械的研磨工程は、前記第13族窒化物結晶の前記表面及び研磨定盤の間に前記ポリシングスラリーを添加して、当該表面を研磨する工程であり、
    前記化学機械的研磨工程における前記第13族窒化物結晶と前記研磨定盤との相対速度が1〜3m/sであることを特徴とする、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の第13族窒化物基板の製造方法。
JP2012067284A 2012-03-23 2012-03-23 ポリシングスラリー、及びその製造方法、並びに第13族窒化物基板の製造方法 Active JP5900079B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012067284A JP5900079B2 (ja) 2012-03-23 2012-03-23 ポリシングスラリー、及びその製造方法、並びに第13族窒化物基板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012067284A JP5900079B2 (ja) 2012-03-23 2012-03-23 ポリシングスラリー、及びその製造方法、並びに第13族窒化物基板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013201176A true JP2013201176A (ja) 2013-10-03
JP5900079B2 JP5900079B2 (ja) 2016-04-06

Family

ID=49521214

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012067284A Active JP5900079B2 (ja) 2012-03-23 2012-03-23 ポリシングスラリー、及びその製造方法、並びに第13族窒化物基板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5900079B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015153852A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 三菱化学株式会社 窒化物半導体基板の製造方法
WO2019188747A1 (ja) 2018-03-28 2019-10-03 株式会社フジミインコーポレーテッド ガリウム化合物系半導体基板研磨用組成物
CN113574638A (zh) * 2019-03-27 2021-10-29 Agc株式会社 氧化镓基板的制造方法和氧化镓基板用研磨浆料

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004530306A (ja) * 2001-06-08 2004-09-30 アドバンスト テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド 高表面品質GaNウェーハおよびその製造方法
WO2005109481A1 (ja) * 2004-05-11 2005-11-17 Nitta Haas Incorporated 研磨組成物および基板の研磨方法
JP2006310362A (ja) * 2005-04-26 2006-11-09 Sumitomo Electric Ind Ltd Iii族窒化物結晶の表面処理方法、iii族窒化物結晶基板、エピタキシャル層付iii族窒化物結晶基板および半導体デバイス
JP2007103457A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Sumitomo Electric Ind Ltd ポリシングスラリー、iii族窒化物結晶の表面処理方法、iii族窒化物結晶基板、エピタキシャル層付iii族窒化物結晶基板、半導体デバイスおよびその製造方法
WO2012005142A1 (ja) * 2010-07-09 2012-01-12 旭硝子株式会社 研磨剤および研磨方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004530306A (ja) * 2001-06-08 2004-09-30 アドバンスト テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド 高表面品質GaNウェーハおよびその製造方法
WO2005109481A1 (ja) * 2004-05-11 2005-11-17 Nitta Haas Incorporated 研磨組成物および基板の研磨方法
JP2006310362A (ja) * 2005-04-26 2006-11-09 Sumitomo Electric Ind Ltd Iii族窒化物結晶の表面処理方法、iii族窒化物結晶基板、エピタキシャル層付iii族窒化物結晶基板および半導体デバイス
JP2007103457A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Sumitomo Electric Ind Ltd ポリシングスラリー、iii族窒化物結晶の表面処理方法、iii族窒化物結晶基板、エピタキシャル層付iii族窒化物結晶基板、半導体デバイスおよびその製造方法
WO2012005142A1 (ja) * 2010-07-09 2012-01-12 旭硝子株式会社 研磨剤および研磨方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015153852A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 三菱化学株式会社 窒化物半導体基板の製造方法
WO2019188747A1 (ja) 2018-03-28 2019-10-03 株式会社フジミインコーポレーテッド ガリウム化合物系半導体基板研磨用組成物
KR20200135851A (ko) 2018-03-28 2020-12-03 가부시키가이샤 후지미인코퍼레이티드 갈륨 화합물계 반도체 기판 연마용 조성물
CN113574638A (zh) * 2019-03-27 2021-10-29 Agc株式会社 氧化镓基板的制造方法和氧化镓基板用研磨浆料

Also Published As

Publication number Publication date
JP5900079B2 (ja) 2016-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104736296B (zh) 抛光蓝宝石表面的方法
JP4311247B2 (ja) 研磨用砥粒、研磨剤、研磨液の製造方法
JP5287174B2 (ja) 研磨剤及び研磨方法
JP4759298B2 (ja) 単結晶表面用の研磨剤及び研磨方法
KR20090085113A (ko) 탄화규소 단결정 기판 연마용 수계 연마 슬러리 및 그 연마방법
CN107052988A (zh) 研磨用组合物
KR102350734B1 (ko) 사파이어 표면 연마용 화학적 기계적 연마 조성물 및 그의 사용방법
US11214711B2 (en) Polishing composition, method for producing same, and polishing method
TWI723085B (zh) 磁碟基板用研磨液組合物
TW201446952A (zh) 研磨用組成物
WO2012036087A1 (ja) 研磨剤および研磨方法
JP5900079B2 (ja) ポリシングスラリー、及びその製造方法、並びに第13族窒化物基板の製造方法
JP6820723B2 (ja) 磁気ディスク基板用研磨液組成物
TWI488952B (zh) Cmp研磿液以及使用此cmp研磨液的研磨方法以及半導體基板的製造方法
TW201321491A (zh) 化合物半導體研磨用組成物
JP6436018B2 (ja) 酸化物単結晶基板の研磨スラリー及びその製造方法
JPWO2019043890A1 (ja) 半導体ウェーハの製造方法
WO2019207926A1 (ja) 合成石英ガラス基板用の研磨剤及びその製造方法、並びに合成石英ガラス基板の研磨方法
WO2018211903A1 (ja) シリコンウエーハの研磨方法
JP6179418B2 (ja) 窒化物半導体基板の製造方法
JP6997083B2 (ja) 磁気ディスク基板の製造方法
JP4396963B2 (ja) 研磨用組成物、その調製方法及びそれを用いたウェーハの研磨方法
US20220002589A1 (en) Method of manufacturing gallium oxide substrate and polishing slurry for gallium oxide substrate
Gong et al. Investigation of CMP on GaN substrate for led manufacturing
KR20220157327A (ko) 연마용 세리아 입자 및 이를 포함하는 슬러리

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141009

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151027

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5900079

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350