JP2013201176A - ポリシングスラリー、及び第13族窒化物基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第13族窒化物結晶の表面を化学機械的研磨するためのポリシングスラリーであって、平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であることを特徴とする、ポリシングスラリー。
【選択図】図1
Description
研磨工程は、通常、粗研磨(ラッピング)と精密研磨(ポリシング)に分けて行われる。研磨工程の最終段階である精密研磨においては、化学機械的研磨(Chemical mechanical polishing;以下、CMPと称する場合がある。)が行われるのが一般的である。CMPには、通常、研磨剤及び研磨パッドが用いられ、化学研磨効果と機械研磨効果との相乗効果により、粗研磨により生じた結晶表面のナノオーダーの段差を除去し、結晶表面を平坦化することができる。
本発明者らは、窒化物結晶基板のCMPに用いられるポリシングスラリーについて検討した結果、異なる平均粒径の砥粒を2種類以上組み合わせた酸性ポリシングスラリーが、砥粒を1種類のみ含む酸性ポリシングスラリーと比較して、極めて高いポリッシュレートを示し、CMPに要する時間を従来よりも短縮できることを見出した。この結果は、アルカリ性のポリシングスラリーについて、異なる平均粒径の砥粒を2種類以上組み合わせた場合のポリッシュレートが、砥粒を1種類のみ用いた場合の各ポリッシュレートのほぼ平均値となることに鑑みれば、極めて特異な現象である。
なお、上記特許文献1には、砥粒の平均粒径に関する詳細な記載はなく、ポリッシュレートに関する記載や示唆は一切ない。上記特許文献2には、砥粒の平均粒径に関する詳細な記載は一切ない。上記特許文献3及び特許文献4には、二次粒子を砥粒として用いた場合の効果しか開示されておらず、一次粒子を砥粒として含むポリシングスラリーの効果に関する記載は一切ない。
(2)前記2種以上の砥粒はいずれも無機酸化物を主成分とすることを特徴とする、(1)に記載のポリシングスラリー。
(3)前記2種以上の砥粒の総質量を100質量%としたときの、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の総質量の割合が35〜65質量%であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のポリシングスラリー。
(4)前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も大きい種類の砥粒の平均粒径が40〜100nmであることを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(5)前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の平均粒径が10〜50nmであることを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(6)前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も大きい種類の砥粒の平均粒径が、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の平均粒径の2倍以上であることを特徴とする、(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(7)pHが4以下であることを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(8)前記2種以上の砥粒の硬度が、いずれも、前記第13族窒化物結晶の硬度以下であることを特徴とする、(1)乃至(7)のいずれか1つに記載のポリシングスラリー。
(10)第13族窒化物結晶を準備する工程、砥粒及び水を含む酸性のスラリーであって、当該砥粒の平均粒径が異なる2種以上のスラリーを混合してポリシングスラリーを準備する工程、及び、前記ポリシングスラリーを用いて、前記第13族窒化物結晶の少なくとも1つの表面を化学機械的研磨して、第13族窒化物基板を得る工程、を有することを特徴とする、第13族窒化物基板の製造方法。
(11)前記化学機械的研磨工程における圧力が300〜1,500g/cm2であることを特徴とする、(9)又は(10)に記載の第13族窒化物基板の製造方法。
(12)前記化学機械的研磨工程は、前記第13族窒化物結晶の前記表面及び研磨定盤の間に前記ポリシングスラリーを添加して、当該表面を研磨する工程であり、前記化学機械的研磨工程における前記第13族窒化物結晶と前記研磨定盤との相対速度が1〜3m/sであることを特徴とする、(9)乃至(11)のいずれか1つに記載の第13族窒化物基板の製造方法。
本発明のポリシングスラリーは、第13族窒化物結晶の表面を化学機械的研磨するためのポリシングスラリーであって、平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であることを特徴とする。具体的には、砥粒及び水を含む酸性のスラリーであって、当該砥粒の平均粒径が異なる2種以上のスラリーを混合して準備したポリシングスラリーであることが好ましい。通常、研磨に用いられる砥粒を含むスラリーは、当該砥粒が所定の粒度分布を有し、平均粒径を有するように調製される。ここで、砥粒の平均粒径は、BET法で求められる平均粒径や、動的光散乱法等の方法により分布が求められる場合はモード径あるいはメディアン径等で算出されるが、BET法により求められる平均粒径を採用することが好ましい。
本発明では、半導体素子を形成するためにエピタキシャル層を形成する面を有する結晶を基板という。一般には、アズグロウン結晶からスライス、研削等の形態加工を実施して基板を得るが、本発明では加工途中のものは基板と称さず、結晶と称する。
本発明に用いられる砥粒は、2種類のみであってもよく、3種類以上を組み合わせてもよい。なお、砥粒の種類は、10種類以下であることが好ましく、5種類以下であることがより好ましい。
本発明において硬度とは、機械的強度のことを指す。したがって、いわゆるモース硬度やビッカース硬度等の、一般的に硬度(いわゆるひっかき強度)として知られるものを含む他、破壊強度(破壊エネルギー)やせん断応力、降伏応力等も、本発明における硬度に含まれる。
本発明に用いられる砥粒の平均粒径は、混合前において、常法により算出される。粒子の平均粒径の算出方法としては、例えば、BET法や、動的光散乱法、TEM観察又はSEM観察を用いた方法等が挙げられる。
BET法により平均粒径を算出する方法の例は以下の通りである。まず、JIS H7008 6026に記載されているように、窒素ガス等の吸着ガスの圧力と吸着量との関係から、BET式を用いて単分子吸着量を測定し、比表面積を求める。次に、求めた比表面積と砥粒の比重(真比重)から、当該砥粒が球状であると仮定した場合の平均粒径を求めることができる。
動的光散乱法(Dynamic light scattering)とはコロイド粒子のブラウン運動の激しさから、粒子径および粒度分布を求める手法で、具体的には、レーザ光を粒子に当て、発生した光散乱の揺らぎから粒度分布を測定する方法であり、市販の粒度分布測定装置で測定され、平均粒径はモード径あるいはメディアン径等で算出される。
TEM観察又はSEM観察により平均粒径を算出する方法の例は以下の通りである。まず、適切な倍率(例えば、1,000〜1,000,000倍)のTEM(透過型電子顕微鏡)画像又はSEM(走査型電子顕微鏡)画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察又はSEM観察による粒径の算出を、同じ種類の所定の個数(例えば、100〜10,000個)の粒子について行い、各粒子の平均を平均粒径とする。
大砥粒の平均粒径は、50〜95nmであることがより好ましく、60〜90nmであることがさらに好ましい。
小砥粒の平均粒径は、12〜40nmであることがより好ましく、15〜30nmであることがさらに好ましい。
大砥粒の平均粒径は、小砥粒の平均粒径の2.5倍以上であることがより好ましく、3〜5倍であることがさらに好ましい。
本発明においては、スラリー中に含まれる2種以上の砥粒の総質量を100質量%としたときの、小砥粒の総質量の割合が37〜64質量%であるのがより好ましく、40〜63質量%であるのがさらに好ましい。
本発明に係る酸性のポリシングスラリーは、水系分散剤に上述した2種以上の砥粒を分散させたものであることが好ましい。本発明に係る酸性のポリシングスラリーは、CMPに通常使用できる添加剤を含んでいてもよい。砥粒や添加剤の濃度について特に限定はなく、CMP条件に応じて適宜調節すればよい。
本発明に係るポリシングスラリーのpHは7未満、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。本発明に係るポリシングスラリーは、酸性水溶液中で分散安定性の良好なものを用いることが好ましい。
ここで、上記のような酸性水系媒体中の分散性を有する範囲であれば、酸性ポリシングスラリーであっても、アルカリ性不純物を含有していてもよく、具体的には0.1%以下の濃度で含まれていてもよい。ここでいうアルカリ性不純物とは、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属又はこれらのイオンのように、水と反応することによりアルカリ性を呈する物質又はイオンのことを指す。
まず、酸性(pH7未満)の水溶液にポリシングスラリーを投入して適宜攪拌して分散させる。次に、当該酸性水溶液を室温(15〜30℃)で1週間放置する。1週間後、目視で酸性水溶液を確認し、砥粒が元の分散状態を保っていれば、酸性のポリシングスラリーであるとして、本発明に含まれる。仮に、中性又はアルカリ性のポリシングスラリーを酸性水溶液中に投入した場合には、1週間放置後に凝集し、元の分散性を保持できないと考えられる。
分散状態を確認する方法としては、目視による確認の他、例えば、動的光散乱法や、粒度分布計による粒度分布の測定等が挙げられる。
なお、ポリシングスラリーが酸性であるか否かを確認できる他の方法としては、例えば、ポリシングスラリーを適宜水で希釈し分散させ、リトマス試験紙、pH試験紙、pH指示薬、又はpHメーター等で分散液のpHを測定する方法が挙げられる。
砥粒の平均粒径が異なる2種以上のスラリーにおいて、それぞれのスラリーに含まれる砥粒の粒径は、通常、粒径の幅を有する。各々のスラリーの粒径の幅としては、平均粒径の±30nmであることが好ましく、±20nmであることがより好ましく、±10nmであることが特に好ましい。
本発明に係るポリシングスラリーは、そのままCMPに使用してもよいし、CMP条件に応じて、適宜所定量の添加剤を加えて、砥粒の濃度、pH等を適宜調整して使用してもよい。添加剤については後述する。
本発明の第13族窒化物基板の製造方法は、第13族窒化物結晶を準備する工程、平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であるポリシングスラリーを準備する工程、及び、前記ポリシングスラリーを用いて、前記第13族窒化物結晶の少なくとも1つの表面を化学機械的研磨して、第13族窒化物基板を得る工程、を有することを特徴とする。
本発明に用いられるポリシングスラリーは、上述した本発明に係る酸性のポリシングスラリーと同様のものである。上述したように、本発明に用いられるポリシングスラリーは、そのままCMPに供してもよいし、適宜添加剤を加えて砥粒の濃度や分散性等を調整した後にCMPに供してもよい。
添加剤としては、ポリシングスラリーと協働して化学機械的研磨の効率を高めつつ、研磨対象である結晶を過度に傷めないものであれば特に限定されないが、例えば、リン酸、硝酸、過酸化水素水、塩酸、及び硫酸等の酸、並びにこれら酸の混合物等が挙げられる。
添加剤は、ポリシングスラリーに加えてもよいし、ポリシングスラリーと共に研磨部分に直に添加してもよい。
研磨速度についても特段限定されず、回転による研磨の場合には、通常回転速度が50〜200rpmである。
結晶を研磨定盤に対向させて配置する際の圧力についても特段限定されないが、300〜1,500g/cm2であることが好ましい。当該圧力が300g/cm2未満である場合には、十分な研磨が進行せず、ポリッシュレートが向上しないおそれがある。一方、当該圧力が1,500g/cm2を超える場合には、圧力が高すぎるため、研磨パッドに極度の磨耗が生じるおそれがある。なお、結晶を貼り付けるプレート面は、研磨後に均一な厚みの基板を得るために、平坦なものが好ましい。
化学機械的研磨工程における圧力は500〜1,400g/cm2であることがより好ましく、700〜1,300g/cm2であることがさらに好ましい。
化学機械的研磨工程における第13族窒化物結晶と当該研磨定盤との相対速度は1.3〜2.8m/sであることがより好ましく、1.5〜2.5m/sであることがさらに好ましい。
CMP終了後の第13族窒化物基板の表面粗さRmsは、3nm未満であることが好ましく、1nm以下であることがより好ましく、0.1nm以下がさらに好ましい。
[実施例1]
まず、直径が2インチのアズグロウンGaN結晶のGa面をワックスによりプレートへ貼り付け、当該GaN結晶のN面を平坦になるまで研削した。次に、当該GaN結晶をプレートから剥離して、120℃のKOH水溶液によりN面のエッチングを行い、研削ダメージを除去した。続いて、ワックスにより当該GaN結晶のN面をプレートへ貼り付け、当該GaN結晶のGa面を平坦になるまで研削した。当該GaN結晶の外周を研削して形状を円形に整えた。
次に、4種類の異なる平均粒径を有するダイヤスラリーを用い、当該GaN結晶のラッピングを平均粒径の大きいダイヤスラリーから順に用いて4段階に分けて行った。ダイヤスラリーの平均粒径は、各段階について、3μm、1μm、1/2μm、1/4μmとした。
ポリシングスラリーA、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO2含有割合は32.8質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、圧力1,000g/cm2、パッド/プレート相対速度1.6m/sの条件でCMPを行い、実施例1のGaN基板を製造した。研磨レートは0.41μm/hであった。また、AFMで10μm×10μmの範囲でRmsを測定したところ0.09nmであり、原子ステップが確認できた。
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーBを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーBは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:70〜100nm)と、BET法により決定された平均粒径が20nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:20〜25nm)とを、(平均粒径が80nmの砥粒):(平均粒径が20nmの砥粒)=37質量%:63質量%の割合で含み、且つ水を分散媒とする酸性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーBのpHは2である。
ポリシングスラリーB、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO2含有割合は33.2質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、実施例2のGaN基板を製造した。研磨レートは0.28μm/hであった。
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーCを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーCは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:70〜100nm)と、BET法により決定された平均粒径が20nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:20〜25nm)とを、(平均粒径が80nmの砥粒):(平均粒径が20nmの砥粒)=57質量%:43質量%の割合で含み、且つ水を分散媒とする酸性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーCのpHは2である。
ポリシングスラリーC、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO2含有割合は32.4質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、実施例3のGaN基板を製造した。研磨レートは0.27μm/hであった。
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーaを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーaは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:70〜100nm)及び水を含む酸性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーaのpHは2である。
ポリシングスラリーa、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO2含有割合は30.7質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、比較例1のGaN基板を製造した。研磨レートは0.15μm/hであった。
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーbを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーbは、BET法により決定された平均粒径が20nmの砥粒(酸性コロイダルシリカ、粒径の幅:20〜25nm)及び水を含む酸性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーbのpHは2である。
ポリシングスラリーb、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO2含有割合は34.9質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、比較例2のGaN基板を製造した。研磨レートは0.12μm/hであった。
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーcを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーcは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(アルカリ性コロイダルシリカ)と、BET法により決定された平均粒径が40nmの砥粒(アルカリ性コロイダルシリカ)とを、(平均粒径が80nmの砥粒):(平均粒径が40nmの砥粒)=50質量%:50質量%の割合で含み、且つ水を分散媒とするアルカリ性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーcのpHは10である。
ポリシングスラリーc、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO2含有割合は30.0質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、比較例3のGaN基板を製造した。研磨レートは0.22μm/hであった。
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーdを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーdは、BET法により決定された平均粒径が80nmの砥粒(アルカリ性コロイダルシリカ)及び水を含むアルカリ性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーdのpHは10である。
ポリシングスラリーd、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO2含有割合は30.0質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、参考例1のGaN基板を製造した。研磨レートは0.15μm/hであった。
実施例1と同様に、GaN結晶の研削及びラッピングを行った。
ポリシングスラリーeを用いて、GaN結晶のCMPを行った。ポリシングスラリーeは、BET法により決定された平均粒径が40nmの砥粒(アルカリ性コロイダルシリカ)及び水を含むアルカリ性コロイダルシリカスラリーである。ポリシングスラリーdのpHは10である。
ポリシングスラリーe、並びに、硝酸、リン酸、及び過酸化水素水を研磨定盤(定盤径:φ500mm)に所定量添加した。研磨定盤上の研磨剤中のSiO2含有割合は30.0質量%であった。研磨定盤に貼り付けたウレタンパッドとGaN結晶のC面とを対向させ、実施例1と同様の圧力、及びパッド/プレート相対速度の条件でCMPを行い、参考例2のGaN基板を製造した。研磨レートは0.38μm/hであった。
図1は、実施例1−実施例3、比較例1−比較例3、及び参考例1−参考例2のポリシングスラリーのポリッシュレートを比較した棒グラフである。
図1から分かるように、酸性コロイダルシリカ砥粒を1種類のみ用いた比較例1及び比較例2においては、ポリッシュレートは0.15μm/h以下に留まる。一方、平均粒径の異なる2種類の酸性コロイダルシリカ砥粒を用いた実施例1−実施例3においては、ポリッシュレートは0.27μm/h以上である。これらの結果から、2種類の酸性コロイダルシリカ砥粒を組み合わせたCMPは、酸性コロイダルシリカ砥粒を1種類のみ用いたCMPと比較して、0.12μm/h以上のポリッシュレートの差があることが分かる。
以上の結果から、アルカリ性コロイダルシリカ砥粒を2種類以上組み合わせて用いても、アルカリ性コロイダルシリカ砥粒を各1種類のみ用いる従来のCMPのポリッシュレートを超えることができないのに対して、2種類以上の酸性コロイダルシリカ砥粒を組み合わせて用いた場合には、酸性コロイダルシリカ砥粒を各1種類のみ用いる従来のCMPと比較して、劇的に化学機械的研磨性が向上することが分かる。この優れた化学機械的研磨性は、詳細は不明であるものの、酸性ポリシングスラリー中の異種砥粒同士の相互作用によるものと推測される。
Claims (12)
- 第13族窒化物結晶の表面を化学機械的研磨するためのポリシングスラリーであって、
平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であることを特徴とする、ポリシングスラリー。 - 前記2種以上の砥粒はいずれも無機酸化物を主成分とすることを特徴とする、請求項1に記載のポリシングスラリー。
- 前記2種以上の砥粒の総質量を100質量%としたときの、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の総質量の割合が35〜65質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリシングスラリー。
- 前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も大きい種類の砥粒の平均粒径が40〜100nmであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
- 前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の平均粒径が10〜50nmであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
- 前記2種以上の砥粒のうち、平均粒径が最も大きい種類の砥粒の平均粒径が、平均粒径が最も小さい種類の砥粒の平均粒径の2倍以上であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
- pHが4以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
- 前記2種以上の砥粒の硬度が、いずれも、前記第13族窒化物結晶の硬度以下であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリシングスラリー。
- 第13族窒化物結晶を準備する工程、
平均粒径の異なる2種以上の砥粒及び水を含み、且つ、酸性であるポリシングスラリーを準備する工程、及び、
前記ポリシングスラリーを用いて、前記第13族窒化物結晶の少なくとも1つの表面を化学機械的研磨して、第13族窒化物基板を得る工程、を有することを特徴とする、第13族窒化物基板の製造方法。 - 第13族窒化物結晶を準備する工程、
砥粒及び水を含む酸性のスラリーであって、当該砥粒の平均粒径が異なる2種以上のスラリーを混合してポリシングスラリーを準備する工程、及び、
前記ポリシングスラリーを用いて、前記第13族窒化物結晶の少なくとも1つの表面を化学機械的研磨して、第13族窒化物基板を得る工程、を有することを特徴とする、第13族窒化物基板の製造方法。 - 前記化学機械的研磨工程における圧力が300〜1,500g/cm2であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の第13族窒化物基板の製造方法。
- 前記化学機械的研磨工程は、前記第13族窒化物結晶の前記表面及び研磨定盤の間に前記ポリシングスラリーを添加して、当該表面を研磨する工程であり、
前記化学機械的研磨工程における前記第13族窒化物結晶と前記研磨定盤との相対速度が1〜3m/sであることを特徴とする、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の第13族窒化物基板の製造方法。
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