JP2013200287A - Ki−67インデックス算定二重染色法を用いた陽性率測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生体から分離した組織から調製された細胞標本を、抗Ki−67抗体および腫瘍細胞の細胞質を染色する試薬を用いて、二重染色するステップ;二重染色した細胞標本を画像化するステップ;得られた画像データから細胞質が染色された細胞の画像を抽出するステップ;抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陰性細胞を抽出し、個数を計数するステップ;および抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陽性細胞を抽出し、個数を計数するステップを含む、腫瘍細胞におけるKi−67インデックスを算定する方法。
【選択図】なし
Description
〔1〕 生体から分離した組織から調製された細胞標本を、抗Ki−67抗体および腫瘍細胞の細胞質を染色する試薬を用いて、二重染色するステップ、
二重染色した細胞標本を画像化するステップ、
得られた画像データから細胞質が染色された細胞の画像を抽出するステップ、
抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陰性細胞を抽出し、個数を計数するステップ、および
抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陽性細胞を抽出し、個数を計数するステップ
を含む、腫瘍細胞におけるKi−67インデックスを算定する方法。
〔2〕 腫瘍細胞の細胞質を染色する試薬がサイトケラチンに対する抗体、GCDFP15に対する抗体またはマンマグロビンに対する抗体である、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕 サイトケラチンがサイトケラチン19である、前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕 画像抽出ステップがクロージング処理による腫瘍細胞領域の改善処理を含む、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕 Ki−67陰性細胞の個数の計数ステップがオープニング処理およびクロージング処理による陰性細胞領域の改善処理を含む、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕 Ki−67陽性細胞の個数の計数ステップがオープニング処理およびクロージング処理による陽性細胞領域の改善処理を含む、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕 画像抽出ステップ、Ki−67陰性細胞の個数の計数ステップおよびKi−67陽性細胞の個数の計数ステップの少なくとも1つのステップにおいて、微小領域の削除処理を含む、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕 腫瘍細胞におけるKi−67インデックスを算定するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
(P1)生体から分離した組織から調製された細胞標本を、抗Ki−67抗体および腫瘍細胞の細胞質を染色する試薬を用いて二重染色した細胞標本の画像を読み込む手段、
(P2)読み込まれた画像データから細胞質が染色された細胞の画像を抽出する手段、
(P3)抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陰性細胞を抽出し、個数を計数する手段、
(P4)抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陽性細胞を抽出し、個数を計数する手段、および
(P5)Ki−67インデックスを算出する手段
として機能させるための前記コンピュータプログラム。
〔9〕 画像抽出手段がクロージング処理による腫瘍細胞領域の改善処理を含む、前記〔8〕に記載のコンピュータプログラム。
〔10〕 Ki−67陰性細胞の個数の計数手段がオープニング処理およびクロージング処理による陰性細胞領域の改善処理を含む、前記〔8〕または〔9〕に記載のコンピュータプログラム。
〔11〕 Ki−67陽性細胞の個数の計数手段がオープニング処理およびクロージング処理による陽性細胞領域の改善処理を含む、前記〔8〕〜〔10〕のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
〔12〕 画像抽出手段、Ki−67陰性細胞の個数の計数手段およびKi−67陽性細胞の個数の計数手段の少なくとも1つの手段において、微小領域の削除処理を含む、前記〔8〕〜〔11〕のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
細胞質を染色するためには、標識された前記一次抗体を用いる方法、前記一次抗体と一次抗体に結合する標識された二次抗体とを用いる方法、前記一次抗体と、一次抗体に結合する二次抗体と、これらの複合体を認識する第3の試薬とを用いる方法など、免疫組織化学において通常用いられる染色手段が限定なく用いられる。
本発明のKi−67インデックスを算定する方法は、以下のステップを含む。
本ステップにおいて、抗Ki−67抗体および腫瘍細胞の細胞質を染色する試薬を用いて、細胞標本を二重染色する。Ki−67の染色および細胞質の染色の順序は特に限定されず、同時に行ってもよい。通常、細胞質を免疫染色した後に、Ki−67の免疫染色を行う。免疫染色は、自体公知の方法に従って行うことができ(例えば、改訂四版 渡辺・中根 酵素抗体法、発行 学際企画株式会社、編集 名倉宏、長村義之、堤寛、ISBN4-906514-73-X C304を参照のこと)、酵素抗体法(Enzyme labeled antibody method)および蛍光抗体法等が好適に用いられる。
二重染色を同時に行う場合は、一次抗体を混合して反応させ、洗浄し、二次抗体とも同時に反応させ、洗浄した後、発色基質は別々に添加して、発色させることにより二重染色が完了する。
Ki−67および細胞質を別々に免疫染色する場合は、前記プロトコールを繰り返し、二重染色が完了する。
二重染色後の細胞標本は、顕微鏡での形態観察のために、さらにヘマトキシリン染色等の対比染色を行ってもよい。
二重染色された細胞標本を、撮影装置を搭載した光学顕微鏡または蛍光顕微鏡(蛍光染色の場合)などを用いて撮像し、デジタル画像としてコンピュータに保存する。デジタル画像は二次元データであっても三次元データであってもよいが、本発明においては二次元データで十分に解析可能である。保存されたデジタル画像を後述する本発明のプログラムが搭載されたコンピュータ内に読み込み、下記ステップ(3)〜ステップ(5)の画像解析ステップに供す。
読み込んだ画像ファイルに対して、まず、RGB(Red・Green・Blue)成分から、細胞質の染色の有無を決定するために好適な色空間成分に変換する。具体的には、例えば染色にFast Redを用いた場合、YCbCr色空間により細胞質が染色された癌細胞部分を抽出する。ここで、YCbCr色空間とは、輝度信号Yと青成分・赤成分の2つの色差信号(Cb、Cr)を使って表現される色空間であり、映像信号の伝送や記録でよく使用されている。RGB成分からYCbCrへの変換は、ITU-R B.T.601により次式(I)となる。
さらに、抽出した領域のうち、例えば、15画素以下の微小領域は腫瘍細胞ではないと規定し、これらの微小領域を削除して、腫瘍細胞領域のみが抽出された画像を生成する(図3)。
Ki−67陰性細胞は、例えば、図4に示すように、核がKi−67抗体で染色されずバックグランドの薄い青色となっている。そこで、画像から、HLS表色系により薄い青色の核を有する細胞を抽出する。ここで、HLS表色系とは、色の立方体を変形して双六角錐にし、色相(Hue)、彩度(Saturation)および明度(Lightness)という概念で色を指定できるようにしたモデルであり、原色は明度L=50%、彩度S=100%にあたり,色相はR(赤)を起点として角度で測る。
RGBからHLSへの変換は下記のとおりである。
さらに、抽出した領域のうち、例えば、2画素以下の微小領域はKi−67陰性細胞ではないと規定し、これら領域を削除し、Ki−67陰性細胞のみが抽出された画像を生成する(図4)。
上記のように画像処理することにより、Ki−67陰性細胞を精度よく計数することができる。
Ki−67陽性細胞は、例えば、図5に示すように、核がKi−67抗体を用いてDAB染色され、濃い赤色となっている。そこで、画像から、ステップ(4)と同様に、例えば、HLS表色系で色データの分布をグラフにプロットし、選択した濃い赤色の領域を抽出するために適切な閾値を自動的に設定する。
ステップ(4)と同様にHLS表色系により濃い赤色の核を有する細胞を抽出する。濃い赤色の核のHLS値を計測し、各値の最小値と最大値の範囲をすべて満足(閾値の決定)する画素を抽出し、Ki−67陽性細胞画像を生成する。
上記のように画像処理することにより、Ki−67陽性細胞を精度よく計数することができる。
上記ステップ(3)〜(5)により、腫瘍細胞におけるKi−67陽性細胞とKi−67陰性細胞の個数が計数される。ステップ(3)〜(5)は、例えば、図6に示すように、コンピュータの画面上で連続的に操作することができる。
個数の総計が約200に満たなかった場合、200を超えるまでステップ(3)〜(5)を繰り返すことが望ましい。
Ki−67インデックスは、下記式(II)で算定される。
本発明のコンピュータプログラムは、上記した本発明の方法を実行させるように構成されたプログラムである。本発明のプログラムは、基本的には、本発明の方法の流れと全く同様であって、コンピュータを、少なくとも、上記(2)のステップを行う手段(P1)、上記(3)のステップを行う手段(P2)、上記(4)のステップを行う手段(P3)、上記(5)のステップを行う手段(P4)、および上記(6)のステップを行う手段(P5)として機能させるように構成される。
Target Retrieval Solution pH9.0(Dako, Glostrup, Denmark):抗原賦活処理用
H2O2(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)
Anti Ki-67 antibody, clone MIB1(Dako)
Anti Ki-67 antibody, clone SP6(Biocare Medical LLC., Concord, CA, USA)
Anti cytokeratin 19, clone LL002(Biocare Medical)
Anti cytokeratin, clone AE1/AE3(Dako)
Anti-cytokeratin clone MNF116(Dako)
Antibody Diluent(Dako)
EnVisionTM/HRP(Dako)
EnVisionTM G|2 System/AP(Dako)
Mach 2 Double Stain 1(Biocare Medical)
(Envision、Mach 2 は、いずれも二次抗体にポリマー試薬がついてHRPおよび/またはAP標識されたものである)
Vulcan Fast Red(Biocare Medical)
DAB(Sigma-Aldrich)
Vector VIP (Vector Laboratories, Inc., Burlingame, CA, USA)
グリシン(Glycine)(和光純薬工業株式会社(Wako Pure Chemical Industries, Ltd, Osaka, Japan))
マイヤーヘマトキシリン(Mayer’s hematoxylin)(武藤化学株式会社(Muto Pure Chemicals, Co. Ltd, Tokyo, Japan))
マリノール封入剤(marinol)(武藤化学株式会社)
患者の生検材料から、常法に従ってパラフィン包埋切片を調製し、スライドガラス上に固定し、細胞標本として用いた。
1.脱パラフィン
キシレンおよびアルコール(エタノール)をそれぞれ2〜3槽ずつ用意し、パラフィン包埋切片を固定したスライドガラスをキシレン槽に各5分間静置し、次いでアルコール槽に各2〜3分間静置し、脱パラフィン処理を行った。あるいは、キシレン槽にて一晩静置し、脱パラフィン処理を行った。
Tris-EDTA buffer pH9.0で施行した。Dako Target Retrieval Solution pH9.0(商品名)10倍濃縮液を10倍希釈したバッファーを容器に入れて準備した。
温浴槽に水をはり、その中に上記容器を浮かないように入れて、槽の温度を98℃に設定にした。温度表示が98℃になった後、脱パラフィン処理の終わったスライドガラスをバッファー内に入れ、40分間の温浴を行った。スライドガラスを取り出し、室温で30分程度冷却した。
抗原賦活化処理後のスライドを、3%H2O2(蒸留水)中で、または0.3%H2O2(メタノール)中で5分静置し、内因性のペルオキシダーゼ活性をブロックした。
内因性ペルオキシダーゼブロック処理後のスライドガラスを、水(水道水)で水洗し、TBSバッファーに浸した。スライドガラスを取りだし、ガラスの裏と検体周囲の水分を拭った。
反応終了後、スライドガラスをTBSバッファーで洗浄し、ガラスの裏と検体周囲の水分を拭った。
Envision ポリマー試薬(EnVisionTM/HRP)を細胞標本に加え、30分間室温で反応させた。次いで、上記4.と同様に、TBSバッファーで洗浄した。DAB発色は、粉末のDAB 30mg、TBS 150mlおよびH2O2 30μl(H2O2は直前に入れる)を混合した溶液中で行った。発色後、スライドガラスを水洗(水道水)し、TBSバッファーで洗浄、グリシン-塩酸緩衝液で洗浄、さらにTBSバッファーで洗浄した。
Envisionポリマー試薬(EnVisionTM G|2 System/AP)を細胞標本に加え、30分間室温で反応させた。次いで、上記4.と同様に、TBSバッファーで洗浄した。Vulcan Fast Red(Biocare Medical)で発色させた。発色後、スライドガラスを水洗し、マイヤーヘマトキシレン(商品名)で5分間室温で染色し、水洗(水道水で1〜2分)した。二重染色およびヘマトキシレンでの対比染色が完了した細胞標本を、アルコールで脱水し、キシレンで透徹し、マリノール封入剤(商品名)を用いて封入した。
ラビットとマウスのカクテル抗体を用いて、二重免疫染色を行った。実施例1と同様に、脱パラフィン、抗原賦活および内因性ペルオキシダーゼブロックを行い、その後、水洗し、TBSバッファーに浸したスライドガラスを取りだして、ガラスの裏と検体周囲の水分を拭った。
一次抗体カクテル(抗Ki-67抗体, clone SP6, Biocare Medicalおよび抗cytokeratin 19抗体, clone LL002, Biocare Medical)をDako Antibody Diluentで希釈し、スライドガラス上に加え、30分間室温で反応させた。TBSバッファーで洗浄後、Mach 2 Double Stain1ポリマー試薬を加え、30分間室温に置いた。次に、スライドガラスをTBSバッファーで洗浄し、実施例1と同様にして、DABあるいはVIP(Vector)で発色させた。発色完了後、スライドガラスを水(水道水)洗し、TBSバッファーで洗浄し、次いで、Vulcan Fast Red(Biocare medical)で発色させた。発色後、スライドガラスを水洗し、マイヤーヘマトキシレン(商品名)で5分間室温で染色し、水洗(水道水で1〜2分)した。二重染色およびヘマトキシレンでの対比染色が完了した細胞標本を、アルコールで脱水し、キシレンで透徹し、マリノール封入剤(商品名)を用いて封入した。
実施例1および2で二重染色された細胞標本を光学顕微鏡下で観察し、DXM1200(ニコン)で撮像し、画像データとしてコンピュータに保存した。
画像処理・解析プログラムWinROOF(商品名、三谷商事株式会社製)を搭載したコンピュータで、実施例3の画像データを開いた。あらかじめ作成したスクリプトを読み込み、スクリプトの自動実行を行った。
予め作成したスクリプトは、WinROOFの自動メニューに追加された。画像を開いた後、追加された当該スクリプトのメニューを選択し、スクリプトに規定された処理を開始した。
Claims (12)
- 生体から分離した組織から調製された細胞標本を、抗Ki−67抗体および腫瘍細胞の細胞質を染色する試薬を用いて、二重染色するステップ、
二重染色した細胞標本を画像化するステップ、
得られた画像データから細胞質が染色された細胞の画像を抽出するステップ、
抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陰性細胞を抽出し、個数を計数するステップ、および
抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陽性細胞を抽出し、個数を計数するステップ
を含む、腫瘍細胞におけるKi−67インデックスを算定する方法。 - 腫瘍細胞の細胞質を染色する試薬がサイトケラチンに対する抗体、GCDFP15に対する抗体またはマンマグロビンに対する抗体である、請求項1に記載の方法。
- サイトケラチンがサイトケラチン19である、請求項2に記載の方法。
- 画像抽出ステップがクロージング処理による腫瘍細胞領域の改善処理を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- Ki−67陰性細胞の個数の計数ステップがオープニング処理およびクロージング処理による陰性細胞領域の改善処理を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- Ki−67陽性細胞の個数の計数ステップがオープニング処理およびクロージング処理による陽性細胞領域の改善処理を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 画像抽出ステップ、Ki−67陰性細胞の個数の計数ステップおよびKi−67陽性細胞の個数の計数ステップの少なくとも1つのステップにおいて、微小領域の削除処理を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 腫瘍細胞におけるKi−67インデックスを算定するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
(P1)生体から分離した組織から調製された細胞標本を、抗Ki−67抗体および腫瘍細胞の細胞質を染色する試薬を用いて二重染色した細胞標本の画像を読み込む手段、
(P2)読み込まれた画像データから細胞質が染色された細胞の画像を抽出する手段、
(P3)抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陰性細胞を抽出し、個数を計数する手段、
(P4)抽出された腫瘍細胞領域画像上のKi−67陽性細胞を抽出し、個数を計数する手段、および
(P5)Ki−67インデックスを算出する手段
として機能させるための前記コンピュータプログラム。 - 画像抽出手段がクロージング処理による腫瘍細胞領域の改善処理を含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム。
- Ki−67陰性細胞の個数の計数手段がオープニング処理およびクロージング処理による陰性細胞領域の改善処理を含む、請求項8または9に記載のコンピュータプログラム。
- Ki−67陽性細胞の個数の計数手段がオープニング処理およびクロージング処理による陽性細胞領域の改善処理を含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
- 画像抽出手段、Ki−67陰性細胞の個数の計数手段およびKi−67陽性細胞の個数の計数手段の少なくとも1つの手段において、微小領域の削除処理を含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム。
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