JP2007530047A - 腫瘍内皮細胞の増殖を検出するための方法及びバイオマーカー - Google Patents

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Abstract

血管内皮細胞の増殖速度を評価するために、方法、バイオマーカー及び発現特性を開示する。より具体的には、本発明は、腫瘍脈管構造において内皮細胞の増殖を調節するように設計された癌治療薬の薬力学効果を評価するためのバイオマーカー及び遺伝子特性として使用できる一連の遺伝子を提供する。一態様では、本発明は、哺乳類KDR受容体活性などのキナーゼ受容体活性を阻害するように設計された化合物の効果の評価方法を提供する。

Description

本出願は、参照により本明細書に組み込んだ2004年3月26日出願の米国特許仮出願第60/556645の利益を主張するものである。
本発明の分野は、腫瘍内の血管内皮細胞の増殖速度を評価するための方法、バイオマーカー及び発現特性に関する。より具体的には、本発明は、腫瘍脈管構造における内皮細胞の増殖を調節するように設計された癌治療薬の薬力学効果を評価するために、バイオマーカーとして使用できる一連の遺伝子を提供する。一態様では、本発明は、哺乳類KDR受容体活性などのキナーゼ受容体活性を阻害するように設計された化合物の効果の評価方法を提供する。
以下の説明では、特定の所見及び所説を支持するために、様々な科学文献の教示を利用している。特定の文章の最後にある数字の引用は、明細書の最後に含まれた文献リストの番号を意味する。
血管内皮細胞は、血管系全体にわたって管腔非血栓性単層を形成する。固体腫瘍は血管系が栄養と生成物代謝物の拡散により制限される小結節を越えて拡張することを必要とする。腫瘍細胞は、まず既存の宿主毛細血管に定着することができるが、腫瘍細胞の増殖はこれら既存の正常血管の破壊を導き、低酸素症を引き起こす。したがって、血管形成は多くの癌の進行に不可欠である。その後の腫瘍の増殖には、腫瘍血管形成という新たな宿主血管の内殖によって実現する血管新生が必要である。腫瘍は、血管内皮細胞用の増殖因子を分泌することによって、増殖、移動及び分化を誘導し、血管新生をもたらす。血管形成は多くの癌の進行に不可欠である。腫瘍は、内皮細胞の移動、増殖及び分化を誘導し、既存の血管から生じた血管新生をもたらす。腫瘍細胞は、主に強力な内皮細胞分裂促進因子であり、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR、FLK−1又はVGEF受容体)のリガンドである分泌蛋白質、血管内皮増殖因子(VEGF)の産生及び分泌によって血管形成を誘導する。
チロシンキナーゼは、アデノシン3リン酸の末端のリン酸の蛋白質基質チロシン残基への移動を触媒する酵素の1種である。チロシンキナーゼは、基質のリン酸化によって、いくつかの細胞機能のためのシグナル伝達において重要な役割を果たすと考えられ、細胞増殖、発癌及び細胞分化に関与する重要な因子であることが示された。チロシンキナーゼは、受容体型又は非受容体型として分類することができる。受容体型チロシンキナーゼは、一般的に細胞外部分、膜貫通部分及び細胞内部分を有し、一方非受容体型チロシンキナーゼは、リガンドが結合すると、それ自体キナーゼ活性を持たない受容体の細胞内部分に細胞内キナーゼを結合させる膜受容体の例もあるが、一般的に完全に細胞内にある。チロシンキナーゼは受容体型及び非受容体型のいずれも、癌、乾癬及び過免疫応答をはじめとする数多くの病的状態を引き起こす細胞シグナル伝達経路に関与している。
受容体型チロシンキナーゼは、種々の生物活性をもつ多数の膜貫通受容体から構成される。実際に、受容体型チロシンキナーゼの異なるサブファミリー約20個が同定されている。キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)は、受容体型チロシンキナーゼのFLKサブファミリーに属する。KDRは、VEGFに起因する生理学的機能の大部分を伝達する、血管内皮細胞で主に発現する膜貫通受容体チロシンキナーゼである(3、8〜10)。KDR触媒活性を阻害すると、腫瘍の新血管形成が阻止され、血管透過性が減少し、動物モデルでは、腫瘍増殖及び転移が阻害される。
腫瘍細胞は、強力な内皮細胞分裂促進因子であり、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR、FLK−1、又はVEGF受容体2)のリガンドである血管内皮増殖因子(VDGF)の産生及び分泌によって主に血管形成を誘導する(3〜7)。VEGFは、血管内皮細胞によって発現する2種類の膜貫通チロシンキナーゼ結合受容体、Flt−1(VEGFR−1)及びKDR(Flk−1/VEGFR−2)に高い親和性で結合する。KDRの細胞外領域に2量体VEGFが結合すると、受容体の2量体化を促進して細胞内チロシンキナーゼドメインを相互に結合させ、いくつかの受容体チロシン残基のリン酸化を促進し、これらの残基の少なくともいくつかは有糸分裂誘発シグナル伝達に不可欠である。
ヒトの癌を治療する抗血管形成治療薬を確立するために多大な努力がなされている。腫瘍細胞によって産生分泌されたVEGFはKDRを活性化し、内皮細胞の増殖を誘導するので、小分子によってKDRを阻害すると腫瘍内皮細胞の増殖速度の減少が引き起こされるはずである。近年、KDR活性の小分子阻害剤のいくつかが臨床試験で抗癌剤として評価されている。KDRは一旦活性化されるとシグナル伝達カスケードを開始し、内部移行して、最終的に分解される。VEGF/KDR系を阻害するとVEDF依存性腫瘍の血管形成及び増殖が阻害されることがいくつかの動物モデルで示された。腫瘍細胞によって産生分泌されたVEGFはKDRを活性化し、内皮細胞の増殖を誘導するので、KDRキナーゼ活性を阻害すると腫瘍内皮細胞の増殖速度の減少が引き起こされることが確認されている。したがって、提案されている数々の癌治療薬は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)又はキナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR/VEGFR−2/FLK−1)、内皮細胞上の主なVEGF受容体を標的とする。
臨床的に、KDR蛋白質は容易に入手可能な臨床試料では簡単には検出できないので、KDR阻害剤の薬力学効果を直接評価することは困難である。ダイナミック造影核磁気共鳴画像法(dynamic contrast−enhanced magnetic resonance imaging)(DCE−MRI)によって腫瘍内の血管透過性の変化を測定することが現在最も一般的な薬力学測定法であるが、間接的な指標であり、複雑で、高価な手法である。したがって、現在の臨床研究機器に適合し、抗血管形成剤の効果を評価することができる迅速で、定量的で、再現性の良い安価な測定法が臨床の現場で必要とされている。
分裂促進及び血管形成に適格なVEGF受容体として、KDRはVDGF依存性腫瘍血管形成及び増殖と拮抗するために特に興味ある標的である。KDR触媒活性を阻害すると、腫瘍の新血管形成が阻止され、血管透過性が減少し、動物モデルでは、腫瘍の増殖及び転移を阻害される。しかし、KDR蛋白質は、末梢血又は骨髄穿刺液などの容易に入手可能な生物学的材料で高濃度に発現されないので、KDRキナーゼ阻害剤のインビボでの薬力学効果を臨床的に評価することは困難を極める。したがって、KDR阻害の現在の動力学的測定法は一般的に、評価するべき化合物に対しても敏感な代理蛋白質キナーゼマーカー(すなわち、大多数のKDRキナーゼ阻害剤の場合はFms関連チロシンキナーゼ−3(Flt−3)によるチロシンリン酸化)、又は血管透過性の変化を評価することができるDCE−MRIなどの画像技術に基づいている。これらの方法の欠点は、KDR機能及び内皮細胞増殖を間接的に測定することである。
他の取り組みは、腫瘍内皮細胞の増殖速度に対するKDR推定阻害剤の薬力学効果を評価することである。報告されたEC増殖をインビボで評価するための1方法は、内皮細胞マーカー、CD−31及び細胞増殖の核マーカー、Ki−67について腫瘍部分を2重免疫組織化学(IHC)染色することが必要である(11)。このような免疫組織化学法でECの増殖画分を決定することはできるが、この実験方法は技術的に複雑で、染色した腫瘍部分それぞれに要する分析は極めて時間がかかる。これらの各要因それぞれによって、IHCをベースとした測定法を臨床的には使用できそうにない。
本明細書で開示し特許請求した方法は、増殖する内皮細胞に特異的なバイオマーカー、及び遺伝子発現特性の発見及び特徴付けに基づいている。培養した初代内皮細胞、培養した腫瘍細胞及びKDR阻害剤で処理した動物腫瘍モデルの組織の遺伝子発現プロファイリングデータは、腫瘍細胞に対して腫瘍内皮細胞で選択的に過剰発現し、その発現パターンが腫瘍内皮細胞の増殖速度と相関する一連の遺伝子を同定するために使用した。腫瘍脈管構造において内皮細胞の増殖を阻害することを目的とする任意の癌治療薬の薬力学指標を提供する場合、本明細書で開示し特許請求したバイオマーカー及び内皮細胞特異的発現特性には実用性が見いだされるものと考えられる。
本明細書で示したように、これらの遺伝子の発現レベルは、KDR受容体チロシンキナーゼの小分子阻害剤の活性の簡単な薬力学測定法の基礎として役立つ。本明細書で開示し特許請求した方法は、KDR受容体チロシンキナーゼの小分子阻害剤の臨床面での開発を支持することができる薬力学測定の基礎として使用することができる。より具体的には、本発明は、腫瘍内の血管内皮細胞の増殖速度に対するKDRキナーゼ阻害剤のインビボでの効果を評価するための方法を提供する。
一態様では、本発明は内皮細胞の増殖状態(又は速度)の測定方法を提供する。本明細書で示したように、開示された方法は、インビトロの、又はインビボのいずれかの様式で内皮細胞の増殖状態を評価するために使用することができる。本明細書で提供した開示に基づいて確立できる、開示された遺伝子発現をベースとした薬力学測定法は、内皮細胞の増殖状態を調節するように企図された治療薬の効果を評価するように確立されたスクリーニング測定法を支持するために使用できることを当業者であれば認識するであろう。
第2の態様では、本発明は腫瘍内の血管内皮細胞の増殖速度の評価方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は、腫瘍脈管構造において内皮細胞の増殖を調節するように設計された癌治療薬の臨床面での開発を支持するための使用に適した、遺伝子発現をベースとした薬力学測定法を提供する。たとえば、開示した方法は、ほとんど静止した内皮細胞を含有する腫瘍から増殖する内皮細胞を含有する腫瘍を区別できる薬力学測定法を確立するために使用することができるものと考えられる。特定の実施形態では、該方法は、Angpt−2、Clu(ApoJ)、Cyr61(CCN1)、Endrb(Etb)、Ifit−3(Garg49)、Fut−4、Plau(uPA)から成る群から選択された1個以上の遺伝子の発現レベルを検出することを含むことができる。
第3の態様では、本発明は、腫瘍内の血管内皮細胞の増殖速度を調節するように企図された抗血管形成治療薬の活性を評価するための方法を提供する。特定の実施形態では、本発明はKDRなどの受容体型キナーゼ阻害剤である小分子阻害剤の効果を評価する方法を提供する。たとえば、本発明のこの態様は、化合物AなどのKDRキナーゼ阻害剤の臨床面での開発を支持するための使用に適した方法を提供する。本明細書で提供した情報を使用したところ、特に化合物A及び化合物Bは表5に示した内皮細胞特異的発現特性を誘導した。表6は、表6で示したKDRキナーゼ阻害剤(化合物A及び化合物B)のインビボ投与に応じて観察される内皮細胞特異的バイオマーカー(全体として増殖配列と称する)の発現変化(抑制)を表す情報をまとめて示したものである。抗血管形成剤の効果を評価するために適した、遺伝子発現をベースとした測定法を設計し、検証することは当業者の能力の十分範囲内である。
本明細書で提供した開示を使用して、当業者は、内皮細胞増殖を調節するために企図された他の治療薬の効果の評価を容易にする化合物特異的発現特性を同定するために、本明細書で開示した増殖特性をまとめた表にある情報を使用することができる。たとえば、本発明のこの態様は、化合物AなどのKDRキナーゼ阻害剤の臨床面での開発を支持するための使用に適した方法を提供する。たとえば、Angpt−2、Clu(ApoJ)、Cyr61(CCN1)、Endrb(Etb)、Ifit−3(Garg49)、Fut−4、Plau(uPA)遺伝子を含む遺伝子特性の発現における変化を検出する測定法を確立することによって、化合物Aの効果はインビボで評価できるものと考えられる。
第4の態様では、本発明は腫瘍細胞に関連した腫瘍内皮細胞で選択的に過剰発現し、その発現パターンが腫瘍内皮細胞増殖の速度と相関する遺伝子又はバイオマーカーの組成物を提供する。本発明のこの態様の1実施形態は、それぞれのオリゴヌクレオチドが表3又は4で開示した遺伝子と特異的にハイブリダイズする配列を含む少なくとも2個のオリゴヌクレオチド、並びにそれぞれのプローブが表3、4、5又は6の遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含む少なくとも2個のプローブを含む固相支持体を含む組成物を提供する。特定の実施形態では、該組成物は、表3〜6で同定されたその他の遺伝子に特異的なその他のオリゴヌクレオチド又はプローブと組み合わせて、以下の遺伝子、Angpt−2、Clu(ApoJ)、Cyr61(CCN1)、Endrb(Etb)、Ifit−3(Garg49)、Fut−4、Plau(uPA)とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド及び/又はプローブを含む。
他の態様では、本発明は、内皮細胞の増殖を調節するように設計された治療薬の効果を評価するための、発現をベースとした薬力学測定法を確立するために使用できる遺伝子発現特性を提供する。当業者は、この開示で提供された情報、特に、本明細書で表3(HDMVEC増殖特性)、表4(RHNVEC増殖特性)、表5(化合物A及びB誘導内皮細胞特異的配列)及び表6(KDRキナーゼ阻害剤投与によるEC特異的増殖特性の変化)と称する増殖特性の表に含まれる情報を利用して、その他の抗血管形成化合物の効果をモニターするために適した内皮細胞増殖特性を解明することができるものと考えられる。本明細書で示したように、本明細書で開示し特許請求した遺伝子発現特性は、主に静止状態のECを含有する腫瘍から、主に増殖するECを含有する腫瘍を区別するために使用することができる。
開示した測定法は、治療を開始した後で比較的迅速に血管形成阻害を検出する能力を有し、腫瘍の微小血管系の形態学的変化を視覚化するのに長い時間を必要としないものと考えられる。さらに、開示した方法は、生検の小組織試料(すなわち、穿刺吸引物)又は形態学的に不十分な組織試料などの、免疫組織化学が不適切であるか、又は実行不可能な環境で特に有用であると考えられる。リアルタイム定量逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)様式において、開示された測定法は、既存の臨床研究機器に容易に適合できる非常に敏感な測定法となると予測される。
癌治療の薬力学効果の発現プロファイリングをベースとしたモニタリングは、潜在的に多くの利点を有する。臨床の場で使用する場合、この技術は現在の臨床研究機器に適合できる、迅速で、定量的で、再現性の良い安価な測定法となる。本明細書で開示した測定法などの注意深く設計された、遺伝子発現をベースにした測定法は、抗腫瘍薬の投与をより効果的にしたり、特定治療から利益を最も得る可能性がある患者集団を同定したり、新規治療薬の臨床開発時間を減少させたりする見込みがある。これらの側面はそれぞれ、腫瘍の反応速度の増加及び、ヒトの健康の増進をもたらすだろう。
以下の説明では、当業者に公知の多くの用語及び表現を使用している。明瞭かつ一貫性のある解釈のために、いくつかの用語及び表現の定義を挙げる。
本発明は、細胞の状態に応じて、すなわち、増殖細胞と静止細胞とでは異なって発現し得る遺伝子の発現レベルを検出する組成物及び方法を提供する。本明細書では、「発現レベルを検出すること」という表現は、発現レベルを定量する方法並びに関心のある遺伝子が確かに発現するかどうかを決定する方法を含む。したがって、この表現は本明細書で使用されるとき、発現量を定量する必要なくはっきりした結果をもたらす測定法は、「発現レベルを検出すること」が必要な測定法である。増殖内皮細胞で異なって発現していることが同定された遺伝子は、所与の試料における遺伝子以上遺伝子の発現レベルを検出又は定量するための様々な核酸検出測定法で使用することができる。たとえば、従来のノザンブロッティング、ヌクレアーゼ保護、RT−PCR及びディファレンシャルディスプレイ法は、遺伝子発現レベルを検出するために使用することができる。
本明細書では、本明細書で説明した遺伝子の1種以上と相補的なオリゴヌクレオチド配列とは、厳密な条件下で少なくとも前記遺伝子のヌクレオチド配列の少なくとも一部とハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドのことである。このようなハイブリダイズできるオリゴヌクレオチドは一般的に、前記遺伝子に対してヌクレオチドレベルで少なくとも約75%の同一性を示し、好ましくは前記遺伝子に対して約80%又は85%の配列同一性を示し、より好ましくは約90%又は95%以上の配列同一性を示す。
「実質的に結合する」とは、プローブ核酸と標的核酸との間の相補的なハイブリダイゼーションを意味し、標的ポリヌクレオチド配列の望ましい検出を実現するために、ハイブリダイゼーション媒体の厳密性を減少させることによって適応可能な小さなミスマッチを容認する。
「〜に特異的にハイブリダイズする」という表現は、その配列が複合体混合物(たとえば、全細胞の)DNA又はRNAに存在するとき、厳密な条件下で特定のヌクレオチド配列又は配列類に実質的に、又はそれらとのみ分子が結合するか、2本鎖形成するか、又はハイブリダイズすることを意味する。
本発明の測定法及び方法は、少なくとも約100個、好ましくは約1000個、より好ましくは約10000個、最も好ましくは約1000000個以上の異なる核酸ハイブリダイゼーションで同時にスクリーニングするために使用可能な様式を利用できる。
VEGFシグナリング経路を標的とする抗血管形成治療の薬力学を直接評価することは困難である。KDRチロシン蛋白質キナーゼを阻害すると内皮細胞増殖が抑制されるが、インビボでこれらの細胞の増殖速度を評価することは困難である。使用されてきた1方法は、増殖する内皮細胞を定量するために腫瘍部分をCD31及びKi67について2重免疫組織化学染色する方法である。使用されている第2の方法は、核磁気共鳴画像法(MRI)による血管透過性の変化の評価である。いずれの方法にも欠点がある。免疫組織化学(IHC)は比較的大きな、完全な腫瘍試料が入手できる研究に限定される。その場合でも、薬剤候補による処理の前後を比較するために対となる腫瘍採取試料が入手できることは希である。臨床の場で穿刺吸引(FNA)によって得られた生検試料はこの方法によって分析することはできない。さらに、微小血管密度又は腫瘍全体の増殖内皮細胞の割合を正確に評価することは、半自動又は自動の顕微鏡装置を用いても多大な労力を必要とする。血管透過性の変化を評価するためのMRI画像の分析もまた多大な労力を必要とし、撮像装置の操作及び画像の解釈には十分に訓練された職員が必要である。
内皮細胞増殖の遺伝子発現をベースにした薬力学測定法を設計する戦略は、培養された初代微小血管細胞において一般的な分裂促進剤誘導増殖特性を最初に同定するゲノム範囲の遺伝子発現プロファイリングを採用することである。特定の遺伝子の発現プロフィール、組織、病状又は疾患の進行段階は、毒性、薬剤効果、薬剤代謝、成長及び疾患のモニターを評価するための分子手段となる。基準プロフィールから発現プロフィールへの変化は、このような影響の指標として使用することができる。当業者は、発現プロフィールの変化を観察するために、様々な公知の技術のいずれかを使用して本出願で同定した1種以上の遺伝子及び/又はESTの発現を評価することができる。
初代内皮細胞の分裂促進剤誘導性増殖によってインビトロで調節されることが示された多様な遺伝子を手始めに、内皮細胞に比較的特異的な小集団を同定した。次に、内皮細胞特異的なインビトロ増殖特性から遺伝子の小集団を同定した。2種類の異なる同系腫瘍モデルを使用して、インビボにおいてKDRキナーゼ阻害剤に曝露すると腫瘍内の血管内皮細胞の増殖速度の抑制と一致した様式で活発な遺伝子発現の変化が媒介されることが示される。遺伝子発現変化は、VEGFシグナリングの阻害と一致しており、内皮細胞増殖の阻害は各動物モデルの腫瘍で検出された。
推定バイオマーカーの内皮細胞特異性は、免疫蛍光顕微鏡によって確かめられた。該バイオマーカーはさらに、内皮細胞増殖の独立した、免疫組織化学測定にインビボ遺伝子発現変化を相関させることによって検証した。
3種類の腫瘍モデルのうち少なくとも2種類においてKDRキナーゼ阻害剤に全身的に曝露することによって調節される遺伝子は、内皮細胞増殖バイオマーカーとして選択された。(マイクロアレイハイブリダイゼーションによって測定したような)これらのバイオマーカーの遺伝子発現変化は、プロファイルした腫瘍並びに他の、独立した動物腫瘍研究の腫瘍の両方において、定量リアルタイムPCRによって確かめられた。
開示された一連のバイオマーカーは、(プロファイルした同様のラット腫瘍において再び)免疫組織化学染色によって測定したように、化合物誘導性の遺伝子発現変化を増殖する腫瘍内皮細胞数の化合物誘導性変化と相関させることによって検証した。本明細書で開示し特許請求したバイオマーカー発現(遺伝子特性)の(ラット腫瘍モデルの場合の)内皮細胞特異性は、同定した遺伝子の蛋白質産物がCD31発現細胞に限定されることを示すことによって確立される。本明細書で示した開示に基づいて、腫瘍内の血管内皮細胞の増殖速度を反映する遺伝子発現特性を同定することはおそらく可能で、それによって医師が治療に対する腫瘍応答性を予測することが可能であると考えられる。
本明細書で説明したデータに基づいて、本発明は、インビトロにおいて初代微小血管系内皮細胞の増殖を分裂促進剤で誘導している間に、及びインビボにおいてKDRキナーゼ阻害剤に対する全身的な曝露に応じて調節される一連の遺伝子又は集合的に本明細書で遺伝子特性と称するバイオマーカーを提供する。KDRの阻害に応じたこれらのバイオマーカーの発現レベルの変化は、腫瘍内皮細胞増殖速度の変化の指標である。調節することで腫瘍血管内皮細胞の増殖速度の変化が示される本明細書で開示し特許請求した遺伝子発現特性(又はバイオマーカー)の同定は、抗血管形成治療薬に曝露した後の非侵襲性の安価な測定法を提供するものと考えられる。
全ての選択基準に合致する遺伝子を偶然に同定するという見込みは少なかったが、一連の7種類の有望なバイオマーカー遺伝子(Angpt−2、Endrb(Etb)、Fut−4、Clu(ApoJ)、Cyr61(CCN1)、Plau(uPA)及びIfit−3(Garg49))を同定した。注目に値すべきことに、同定された7種のバイオマーカーのそれぞれは内皮細胞の生物学に関与することが知られているか、又は見なされている。我々は内皮細胞特異的遺伝子に対するバイオマーカー選択に重点を置いているが、我々の多数の基準に合致する遺伝子が内皮細胞において公知のいずれかの機能を有するという保証はない。驚くべきことに、同定されたほとんど全ての遺伝子が内皮細胞機能の調節に直接関与していると見なされるか、又は示された。
アンジオポエチン−2蛋白質(ANGPT2/ANG2)は、VEGF及びアンジオポエチン−1と相まって血管再構築を調節するように機能するTie−2受容体チロシンキナーゼのよく特徴付けられたリガンドである(25)。アンジオポエチン−2遺伝子発現は、我々の結果と一致して、インビボ及びインビトロの両方で、VEGFによって直接上方制御されることが既に報告されている(26)。
エンドセリン受容体B型(EDNRB/ET(B))は、後腸における神経節の先天的奇形、ワールデンブルグ−ヒルシュスプルング病で変異する7回膜貫通型G蛋白質結合受容体である(27)。EDNRBについて発表された研究のほとんどは、神経冠発達中の神経系における役割について記載している。しかし、これは血管収縮を制御し、エンドセリン及びEDNRBによって誘導された血管細胞増殖は原発性黒色腫で過剰発現することが示された(28)。EDNRB拮抗薬は、インビトロ及びインビボで血管細胞増殖及びヒト黒色腫の細胞増殖を阻害することが報告された(29、30)。
フコシルトランスフェラーゼ4(FUT4)は、E−セレクチンの主要な生理学的結合剤であるミエログリカン(myeloglycan)の合成に関与するアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼである(31)。これはまた、その他の多くのグリコシル化蛋白質の合成に関与するが、いくつかの腫瘍で予後と逆相関して高く発現することが報告されている(32)。
クラステリンはアポトーシス細胞で過剰発現と思われる分泌型糖蛋白質であるが、その機能の多くは未だに知られていない(33)。クラステリン発現は、抗増殖性であり(36)、進行した前立腺癌では下方制御されていることが示された(37〜39)。血清クラステリン濃度の減少はまた、食道扁平上皮癌の腫瘍形成と相関する(40)。
システインの豊富な蛋白質61(CYR61)は、血管形成誘発特性を有する細胞外マトリックス関連ヘパリン結合蛋白質である(41)。インビトロでは、CYR61は細胞外マトリックスに対する細胞接着及び化学走性を促進する(42、43)。それは、インテグリンαVβ5、α6β1、αMβ2と相互作用することによって細胞移動性を刺激し、Vb3と相互作用することによって内皮細胞増殖を刺激する(44〜48)。KDRキナーゼ阻害剤に曝露した後、ラット腫瘍組織でCyr61遺伝子は上方制御されたという所見は、内皮細胞増殖の阻害と一致しないと考えられた。しかし、Cyr61遺伝子の上方制御は、機能性KDRの欠如を補おうとする内皮細胞の応答機構である可能性がある。
ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(PLAU又はuPA)は、血管形成、腫瘍浸潤及び細胞外マトリックスの再構築に関与することによる転移において重要な役割を果たす蛋白質分解酵素である(49、50)。それは、腫瘍浸潤誘発性及び転移誘発性因子として特徴付けられている。PLAU活性の影響は、プラスミノーゲンのプラスミンへの変換である。Plau遺伝子発現は血管新生において減少が伴うと我々は期待したが、Cyr61のように、KDRキナーゼ阻害剤に曝露した腫瘍では、なぜ減少ではなく増加が認められたのかはわからない。Plau発現の増加がなぜVEGFシグナリング経路の阻害によって惹起された代償機構であると推測することはできるが、この観察の基礎となる機構を決定するために、より研究が必要であることは明らかである。
Ifit3(テトラトリコペプチド反復3回を有するインターフェロン誘導蛋白質、Garg−49(グルココルチコイドattenuated応答遺伝子)及びIRG2(インターフェロン応答遺伝子2)としても知られる)は、未だに機能が知られていない遺伝子である。リポポリ多糖又はインターフェロンによって誘導されたグルココルチコイドattenuated応答遺伝子を同定する研究の一環として、マウスからのクローニングし、保存性が高いIFIT3のテトラトリコペプチドの反復ドメインは、蛋白質−蛋白質相互作用を媒介すると考えられる(51〜54)。Ifit3のヒト相同分子種はヒト細胞では同定されていないが、Ift4と称する相同遺伝子は、蛋白質配列の同一性が60%、類似性が78%である(BLASTP、(55))。
実際には、少数の遺伝子をベースにした遺伝子発現ベースの薬力学測定法は、臨床研究室が熟知している従来の定量的リアルタイムPCR技術を使用して比較的少ない労力で実施することができる。リアルタイムPCRに十分なRNAは、少ないミリグラム量の組織試料から単離することができる。現在、試薬を予め添加したマイクロフルイディクスカードと共に定量的サーマルサイクラーを使用することが可能で、複数遺伝子の発現をベースにした測定法を日常的に臨床で使用することが現実的な目的となっている。
本明細書で例示した方法以外の別の測定様式を、表3〜6で同定した遺伝子の発現を変更する推定癌治療薬の能力をモニターするために使用することができる。たとえば、前述のように、mRNA発現は、本発明の核酸にプローブをハイブリダイズすることによって直接モニターすることができる。しかし、本発明の方法及び測定法は、大量の遺伝子の発現を検出するためのアレイ又はチップハイブリダイゼーションをベースとした方法によって最も効果的に設計されている。溶液ベースの、及び固相ベースの測定様式を含めた任意のハイブリダイゼーション測定様式を使用することができる。好ましい固相は、DNAチップ又は遺伝子チップとしても知られている高密度アレイである。1アッセイ様式では、表5〜6の少なくとも2種類の遺伝子に対するプローブを含有する遺伝子チップは、腫瘍の脈管構造の内皮細胞増殖を調節するように設計された推定癌治療薬に曝露した患者から調製された内皮細胞を含有する生物学的試料における遺伝子発現の変化を直接モニターするか、又は検出するために使用することができる。
個別に発現する遺伝子のためのオリゴヌクレオチドプローブを含有する固相は、当業者に公知の任意の固体又は半固体支持材料であることができる。適切な例には、限定はしないが、膜、フィルター、組織培養皿、ポリ塩化ビニル皿、ビーズ、試験用切片、シリコン又はガラスをベースにしたチップなどが含まれる。適切なガラスウェーハ及びハイブリダイゼーション法は広く入手可能で、たとえば、Beattie(WO95/11755)で開示されたものがある。オリゴヌクレオチドが直接的に、又は間接的に、共有結合的に、又は非共有結合的に結合できる任意の固相表面を使用できる。いくつかの実施形態では、いくつかのオリゴヌクレオチドが共有結合し、その他が同じ固相に非共有的に結合していることが望ましい。
好ましい固相は、高密度アレイ又はDNAチップである。これらは、アレイの予め決定された位置に特定のオリゴヌクレオチドプローブを含有する。予め決定されたそれぞれの位置は、複数のプローブ分子を含有することができるが、予め決定された位置の各分子は同一の配列を有する。このような予め決定された位置は特徴(feature)と呼ばれる。単一の固相上に、このような特徴が2、10、100、1000から10000、100000又は400000個存在することができる。該プローブが結合した固相又は領域は、平方センチメートルの程度であることができる。
発現をモニターするためにオリゴヌクレオチドプローブアレイを作製して、当業界で公知の任意の技術によって使用することができる(たとえば、Lockhart他、Nat.Biotechnol.(1996)14、1675〜1680;McGall他、Proc.Nat.Acad.Sci.USA(1996)93、13555〜13460を参照のこと。)。このようなプローブアレイは、本明細書で説明した2種類以上の遺伝子と相補的な、又はハイブリダイズする少なくとも2種類以上のオリゴヌクレオチドを含有することができる。このようなアレイはまた、本明細書で説明した少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、70種類以上の遺伝子と相補的な、又はハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含有することができる。
溶液をベースとした測定様式及び固相をベースとした測定様式を含めた任意のハイブリダイゼーション測定様式を使用することができる。個別に発現する本発明の遺伝子のオリゴヌクレオチドプローブを含有する固相は、フィルター、ポリ塩化ビニル皿、シリコン又はガラスをベースにしたチップでよい。このようなウェーハ及びハイブリダイゼーション法は広く入手可能で、たとえば、Beattie(WO95/11755)で開示されたものがある。オリゴヌクレオチドが直接的に、又は間接的に、共有結合的に、又は非共有結合的に結合することができる任意の固相表面を使用することができる。好ましい固相は、高密度アレイ又はDNAチップである。これらは、アレイの予め決定された位置に特定のオリゴヌクレオチドプローブを含有する。予め決定されたそれぞれの位置は、複数のプローブ分子を含有することができるが、予め決定された位置の各分子は同一の配列を有する。このような予め決定された位置は特徴(feature)と呼ばれる。単一の固相上に、このような特徴が約2、10、100、1000から10000、100000又は400000個存在することができる。該プローブが結合した固相又は領域は、平方センチメートルの程度であることができる。
前記に挙げた技術の中で最も敏感で、最も柔軟な定量法は、RT−PCRで、薬剤処理をした、又はしていない正常組織及び腫瘍組織の様々な試料集団におけるmRNA濃度を比較して、遺伝子発現パターンを特徴付けたり、密接に関与するmRNAとの間を区別したり、RNA構造を分析したりするために使用できる。
第1段階は、標的試料からのmRNAの単離である。開始物質は一般的に、ヒト腫瘍又は腫瘍細胞株及び対応する正常組織又は細胞株からそれぞれ単離された全RNAである。したがって、RNAは、健康なドナーから収集したDNAと共に乳房、肺、結腸、前立腺、脳、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、精巣、卵巣、子宮などの腫瘍を含む様々な原発腫瘍又は腫瘍細胞株から単離することができる。mRNAの原料が原発腫瘍の場合、mRNAは、たとえば、凍結又は保存されたパラフィン包埋及び固定(たとえば、ホルマリン固定)組織試料から抽出することができる。
RNAは、PCRの鋳型としては使用できないので、RT−PCRによる遺伝子発現プロフィリングの第1段階はcDNAへのRNA鋳型の逆転、その後のPCR反応の対数的増幅である。2種類の最も一般的に使用される逆転写酵素は、トリ(avilo)骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV−RT)及びモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV−RT)である。逆転写段階は、環境及び発現プロファイリングの目的に応じて、一般的に特異的プライマー、ランダムヘキサマー又はオリゴ−dTプライマーを使用して刺激される。たとえば、抽出したRNAは、GeneAmp RNA PCRキット(Perkin Elmer、California、USA)を使用して、製造者の指示に従って逆転写できる。次に、得られたcDNAをその後のPCR反応で鋳型として使用できる。誤差及び試料間の変動の影響を最小限に抑えるために、RT−PCRは通常、内部標準を使用して実施する。理想的な内部標準は、異なる組織でも一定濃度で発現し、実験処理によって影響を受けない。遺伝子発現のパターンの標準化に最も良く使用されるRNAは、本明細書で使用したようなハウスキーピング遺伝子グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(GAPDH)又はβアクチン遺伝子のmRNAである。
PCRの段階は様々な熱安定性DNA依存DNAポリメラーゼを使用することができるが、一般的に、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有し、3’−5’プルーフリーディングエンドヌクレアーゼ活性を欠如したTaqDNAポリメラーゼを使用する。したがって、TaqMan.RTM.PCRは一般的に、その標的単位複製配列に結合したハイブリダイゼーションプローブを加水分解するためにTaq又はTthポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性を利用するが、同等の5’ヌクレアーゼ活性を備えたいかなる酵素も使用することができる。PCR反応に特有の単位複製配列を生じるために、2種類のオリゴヌクレオチドプライマーが使用される。3番目のオリゴヌクレオチド又はプローブは、2種類のPCRプライマーの間に位置するヌクレオチド配列を検出するために設計される。該プローブは、TaqDNAポリメラーゼ酵素によって伸長されることはなく、リポーター蛍光色素及びクエンチャー蛍光色素で標識される。2種類の色素が該ブローブ上にあって近接した位置にあるとき、レーザーによって誘発されるリポーター色素からの放射は消光色素によって消光される。増幅反応中、TaqDNAポリメラーゼ酵素は鋳型に依存した方法でプローブを切断する。得られたプローブ断片は溶液中で解離し、放出されたリポーター色素の信号は第2の蛍光体の消光効果を受けない。合成された新規分子それぞれについてリポーター色素1分子が遊離するので、消光されないリポーター色素を検出することがデータの定量的解釈の基礎となる。
TaqMan.RTM.RT−PCRは、市販の装置、たとえば、ABI PRISM 7700.TM.Sequence Detection System.TM.(Perkin−Elmer−Applied Biosystems、Foster City、Calif.、USA)又はLightcycler(Roche Molecular Biochemicals、Mannheim、Germany)を使用して実施することができる。好ましい実施形態では、5’ヌクレアーゼ法は、ABI PRISM7700.T.M.Sequence Detection System.TM.などのリアルタイム定量PCR装置で操作する。該システムは、サーモサイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラ及びコンピュータから構成される。該システムは、サーモサイクラー上の96ウェル形態中で試料を増幅する。増幅中、レーザー誘発蛍光信号は、96ウェル全部について光学繊維ケーブルによってリアルタイムで収集し、CCDで検出する。該システムは、装置の作動及びデータの分析のためのソフトウェアを含む。
RT−PCR技術の最新の方法は、デュアル標識蛍光発生プローブ(すなわち、TaqMan.RTM.プローブ)によってPCR生成物の蓄積を測定するリアルタイム定量PCRである。リアルタイムPCRは、標的配列それぞれの内部競合相手を標準化に使用する定量的競合PCR、及び試料内に含有される標準遺伝子又はRT−PCR用ハウスキーピング遺伝子を使用する定量的比較PCRの両方に適合している。より詳細は、たとえば、Held他、Genome Research 6:986〜994(1996)を参照のこと。
本発明によって測定される遺伝子は、一般的にmRNA、又は逆転写されたmRNAの形態である。該遺伝子は、クローニングされているか、又はされていなくてよく、該遺伝子は増幅されているか、又はされていなくてよい。クローニング自体は集団内の遺伝子の表現に偏るものではないようである。しかし、少ない処理段階で使用できるので、原料としてポリA+RNAを使用することが好ましい可能性がある。mRNA抽出の一般的な方法は当業界で周知で、Ausubel他、Current Protocols of Molecular Biology、John Wiley and Sons(1997)を含めた分子生物学の標準参考書に開示されている。パラフィン包埋組織からのRNA抽出方法は、たとえば、Rupp and Locker、Lab Invest.56:A67(1987)、及びDe Andrs他、BioTechniques 18:42044(1995)に開示されている。特に、RNA単離は精製キット、緩衝液セット及び商用製造者、たとえば、Qiagenの蛋白質分解酵素を使用して、製造者の指示に従って実施することができる。その他の市販のRNA単離キットには、MasterPure.TM.Complete DNA and RNA精製キット(EPICENTRE.RTM.、Madison、Wis.)及びParaffin Block RNA Isolation Kit(Ambion、Inc.)が含まれる。組織試料の全RNAは、RNA Stat−60(Tel−Test)を使用して単離することができる。腫瘍から調製したRNAは、たとえば、塩化セシウム密度勾配遠心によって単離することができる。
当業者には明らかなように、本発明の方法及び測定法で使用した核酸試料は、入手可能な任意の方法又は工程によって調製することが可能である。全mRNAの単離方法はまた、当業者には周知である。たとえば、核酸の単離及び精製方法は、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biologyの3章、Hybridization With Nucleic Acid Probes、Part I Theory and Nucleic Acid Preparation、Tijssen、(1993)(著)Elsevier Pressに詳細に記載されている。このような試料には、RNA試料が含まれるが、細胞又は関心のある組織から単離されたmRNA試料から合成されたcDNAもまた含まれる。このような試料にはまた、cDNAから増幅されたDNA、増幅されたDNAから転写されたRNAが含まれる。当業者は、ホモジェネートに存在するRNアーゼを阻害するか、又は破壊してから、均一化を使用できることが望ましいであろうことを理解するだろう。
生物学的試料は、任意の生物の任意の生物学的組織又は液体又は細胞並びに細胞株及び組織培養細胞などのインビトロで生成した細胞であってよい。しばしば、該試料は患者から得られる試料「臨床試料」である。一般的な臨床試料には、限定はしないが、唾液、血液、血液細胞(たとえば、白血球)、組織又は穿刺生検試料、尿、腹水及び胸水又はそれらからの細胞が含まれる。生物学的試料はまた、組織切片、たとえば、組織学のために採取された凍結切片又はホルマリン固定切片を含めることができる。
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに例示するために提示される。
方法及び材料
本発明を実施するには、特記しない限り、当業界の範囲内である分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学及び生化学の従来技術を使用する。このような技術は、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、2.sup.nd edition (Sambrook他、1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait、ed.、1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney著、1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press、Inc.);「Handbook of Experimental Immunology」、4.sup.th edition(D.M.Weir & C.C.Blackwell著、Blackwell Science Inc.、1987);「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」(J.M.Miller & M.P.Calos著、1987);「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubel他著、1987);及び「PCR:The Polymerase Chain Reaction」、(Mullis他著、1994)等の文献に十分に説明されている。
化合物:本発明の例で使用した小分子KDRキナーゼ阻害剤、化合物A及び化合物Bの構造は以下の通りである。
Figure 2007530047
細胞培養:初代ヒト皮膚微小血管内皮細胞(HDMVEC)及びラット心臓微小血管内皮細胞(RHMVEC)は、VEC Technologies(Renneslaer、NY)から購入し、供給者の指示に従って培養した。内皮細胞単層は、ヒトフィブロネクチン(Sigma、St.Louis、MO)でコーティングした組織培養フラスコ内で、完全培地MCDB−131(10%牛胎児血清(FBS、Invitrogen、Carlsbad、CA)及び増殖因子カクテルENDOGRO、VEC Technologies)を補給したMCDB−131)を使用して、5%CO2湿潤雰囲気内において37℃で維持した。
インビトロにおけるMVEC増殖実験では、細胞は凍結保存から培養を開始した後3〜6回継代培養する間にトリプシン処理することによって収集し、計数して、フィブロネクチンをコーティングした組織培養プレート(1.5x10細胞/プレート、直径100mmのプレート)に集密度75%で接種した。細胞増殖は分裂促進剤を使用中止することによって24時間停止させ、次にVEGF100ng/ml、bFGF100ng/ml又はENDOGRO200μg/mlを添加することによって刺激した。増殖停止のために、培地は10%FBSを補給し予備加温したDMEMに変更した。細胞増殖を刺激するために、増殖停止培地は、10%FBS及び適切な増殖因子を補給したMDCB−131に置換した。各刺激条件について、刺激性の増殖因子を補給しなかった対応する対照プレートを作製した。増殖因子で刺激した後所望する時点で、培地を吸引によって迅速に除去して、該細胞をRLT緩衝液(RNA安定化及び精製のためのグアニジンチオシアネート溶解緩衝液、QIAGEN、Valencia、CA)1.2mlで溶解した。細胞溶解物はQIAshredderで均一にして、全RNAはRNeasy MINIアフィニティーカラムで単離した(QIAGEN、Valencia、CA)。8種の独立したVEGF刺激培養物、7種のENDOGRO刺激培養及び4種のbFGF刺激培養物全体の遺伝子発現特徴はHDMVECについて決定した。4種の独立したVEGF刺激培養物、4種のENDOGRO刺激培養物及び4種のbFGF刺激培養物の特徴はRHMVECについて決定した。
動物腫瘍モデル:ラットグリア細胞株(C6、ATCC CCL−107)及びラット乳腺癌(MatBIII、ATCC CRL−1666)は、動物腫瘍モデル用に使用した。C6細胞はL−グルタミン2mM、重炭酸ナトリウム1mg/ml、ウマ血清15%、牛胎児血清2.5%、ペニシリン10U/ml及びストレプトマイシン10μg/ml(いずれの培地成分もInvitrogenから入手。)を補給したHam’s F−12培地で5% CO2湿潤雰囲気において37℃で培養を維持した。MatBIII細胞は、グルタミン1.5mM、FBS10%、ペニシリン10U/ml及びストレプトマイシン10μg/mlを補給したMcCoy’s 5a培地で増殖させた。C6又はMatBIII細胞からRNAを単離するために、直径100mmの組織培養用プレートで増殖させた細胞2x10個を、直接RLT緩衝液1.2mlで溶解した。細胞溶解物をQIAshredderでホモゲナイズした後、全RNAはRNeasy MINIアフィニティーカラムで単離した。
C6グリア細胞及びMatBIII腺癌細胞は、Fischer344(F344)ラットから得られ、したがって、免疫適格性F344動物において同系腫瘍を生成するために使用できるので、動物モデルのために選択した。移植前に細胞を収集し、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、ハンクス平衡塩溶液(Invitrogen)に2x10(C6)又は2x10(MatBIII)細胞/mlの密度で再懸濁した。
C6神経膠腫側腹部腫瘤モデル:C6細胞をF344雄ラットの右脇腹に皮下注射した(150〜175g、動物1匹当たり10細胞)。細胞を注射した後、動物は体重によって無作為化し、媒体(メチルセルロース0.5%)又は薬剤(メチルセルロース0.5%に溶かして、化合物B 10mpk/投与又は化合物A 40mpk/投与)のいずれかを投与した(12〜15)。腫瘍細胞を移植後7日目に、1日1回の経口投与を開始し、1、2又は3日間継続して、その時点で動物を殺処分した。腫瘍は二分して、半分はRNA抽出のために液体窒素で急速冷凍して保存し、半分は組織学又は免疫蛍光顕微鏡用に固定した。媒体で処理した5匹の動物及び化合物で処理した5匹の動物を各時点で殺処分した。RNAは、腫瘍試料からRNeasy Miniカラムで標準的方法(QIAGEN)によって抽出した。簡単に説明すると、凍結した腫瘍試料の重量を量り、RLT緩衝液(組織30mg当たりRLT600μl)を含有する試験管に入れ、すぐに回転子/固定子ホモゲナイザーを使用して10〜20秒間ホモゲナイズした。全RNAは、RNeasyアフィニティーカラムでホモゲナイズした組織溶解物から単離し、DEPC処理水に再懸濁して、−80℃で凍結した。ビークル処理集団それぞれの5個の腫瘍から得られたRNAを一緒にして、3種類の参照RNAプールを形成した。各集団の5匹の化合物処理ラットから得られた腫瘍試料それぞれから単離されたRNAは、マイクロアレイハイブリダイゼーション中に、RNAの適切な時間対応参照プールと比較した。さらに、個々のビークル処理ラットから得られたRNAは、動物間の変動を評価するために、時間対応ビークル処理プールと比較した。
MatBIII乳癌転移モデル:20〜30回継代したMatBIII細胞をF344メスラット(150〜175g)の左4番目の乳頭の周りの乳腺脂肪体に注射した(10細胞/動物)。投与前に、動物を腫瘍の大きさ及び体重に応じて無作為に群に分けた。化合物A(メチルセルロース0.5%で調製、40mpk/投与)又は媒体(メチルセルロース0.5%)の1日1回経口投与は、腫瘍細胞移植後7日目に開始し、さらに4日間継続した。ビークル処理動物6匹及び化合物処理動物6匹を11日目の最後の投与4時間後に殺処分した。検死時に、腫瘍を取り出してすぐに重量を量った。各腫瘍の半分を組織学及び免疫蛍光顕微鏡用にZn−Trisで固定し、その他の半分はRNA抽出用に液体窒素ですぐに急速冷凍した。全RNAは、C6腫瘍研究と同様の方法で単離した。ビークル処理集団のRNAを一緒にして、対照RNAプールを形成した。化合物処理ラットから得られた腫瘍試料それぞれから単離したRNAは、マイクロアレイハイブリダイゼーション中に、RNAの対照プールと比較した。個々のビークル処理動物から得られたRNAは、動物間の変動を評価するためにビークル処理プールと比較した。
遺伝子発現プロファイリング:培養細胞又は腫瘍組織試料から単離された全RNAは、既に記載されたようなDNAマイクロアレイにハイブリダイズする蛍光標識相補的RNA(cRNA)を作製するために使用した(16、17)。簡単に説明すると、個々の腫瘍試料又はインビトロでの内皮細胞培養物から得られた全RNA4μgを使用して、逆転写によって2本鎖DNAを合成した。cRNAはインビトロ転写によって作製し、合成後にCy3又はCy5で標識した。インクジェット技術でその場で合成したオリゴヌクレオチドアレイに競合ハイブリダイゼーションさせることによって、標識したcRNAの2集団、参照集団及び実験集団を互いに比較した。蛍光色素の逆の戦略を使用して、各cRNA試料対で2種類のハイブリダイゼーションを実施した。動物の腫瘍の研究のために、適切な媒体投与群における腫瘍それぞれから等量のcRNAを収集することによって参照cRNAプールを作製した。ハイブリダイゼーション後、アレイを走査して、特徴それぞれの蛍光強度を記録した。アレイ強度データを標準化し修正した後に、転写存在量の比(実験集団対対照集団)を得た。遺伝子発現データの分析は、Rosetta Resolver Clientソフトウェア(v3.2、Rosetta Biosciences、Kirkland、WA)で実施した。一元配置分散分析(one−way ANOVA)試験を使用して遺伝子発現の統計学的有意な変化を決定した。
定量リアルタイムPCR:定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応は、公表された方法(ABI Assays−on−Demand(商標)Gene Expression Protocol、Rev A、http://docs.appliedbiosystems.com/pebiodocs/04333458.pdf)に従って遺伝子特異的PCRプライマー対及び単位複製配列特異的蛍光プローブ(TaqaMan、Applied Biosystems Inc.(ABI)、Foster City、CA)によって実施した。1段階定量的逆転写PCR反応は、ABI’s TaqMan(登録商標) 1段階RT−PCR Master Mix Reagents(ABI Product #4309169)及び全RNA鋳型25ngを使用して、ABI Prism 7900HT Sequence Detection Systemsで実施した。2段階逆転写PCR実験は、ABI’s High Capacity cDNA Archiveキット(ABI Product #4322171)を使用して全RNA25ngを鋳型としてcDNAを合成することによって開始した。2段階定量リアルタイムPCRは、標準試薬(TaqMan(登録商標)Universal PCR Master Mix、ABI Product#4324018)によってABI Prism 7900HT Sequence Detection Systemで実施した。リアルタイムPCR反応は、384ウェルプレートにおいて反応量25μlで2連で実施した。各遺伝子のために使用した、プライマー及びプローブ配列は以下に挙げる。RNA試料毎に、GAPDHの転写存在量を測定した。
さらに、関心のある遺伝子及びGAPDHの遺伝子の転写存在量は、ヒト肺全RNA又はラット肺全RNAのいずれかのRNA試料標準物質について測定した。遺伝子発現の倍変化は、ΔΔCT法(ABI User Bulletin #2、Rev B:Relative Quantitation Of Gene Expression、http://docs.appliedbiosystems.com/pebiodocs/04303859.pdf)を使用して計算した。この教示は全て、参照として組み込まれる。
表3〜6で開示された増殖及び発現特性を含む個々のバイオマーカー遺伝子の配列は公開されたデータベースで容易に入手できる。表3及び表4で定義された特性(それぞれHDMVEC増殖特性及びRHMVEC増殖特性)は、含まれるバイオマーカーの遺伝子バンク登録番号及び遺伝子記号を表し、その配列は本明細書に参照として組み込まれる。表5及び表6に定義された内皮細胞特異的特性はまた、発現特性を含むバイオマーカーの遺伝子バンク登録番号及び遺伝子記号を表す。以下のリストは名称、登録番号並びにバイオマーカーのサブセット検出のために使用したプライマー及びプローブを示す。
Hsとはホモサピエンスのことである。Rnとは、ラット(Rattus norvegicus)のことである。
Figure 2007530047
Figure 2007530047
免疫組織化学:腫瘍試料は、殺処分した動物からとり出すとすぐに、免疫組織化学用Zn−トリス固定溶液(IHC Zinc Fixative、BD Biosciences−Pharmingen、San Diego、CA)に室温で(RT、22℃)24時間浸漬し、その後70%エタノールにさらに24時間RTで浸漬することによって固定した。その後の段階は全てRTで実施した。腫瘍試料はパラフィン(Tissue−Tek VIP加工/浸漬用溶媒、Sakura Finetik、Torrance、CA)中に包埋し、Sakura Accu−Cut SRMミクロトーム(Sakura Finetek)で3μmの切片に切断した。組織切片は、キシレンで脱蝋し、段階的エタノール洗浄によって再水和した。脱イオンH20(dH20)及びトリス緩衝生理食塩水(TBS)で洗浄した後、疎水性ペン(Super Pap Pen、#71310)で組織切片の周りに疎水性バリアを設置した。
CD31染色:CD31は内皮細胞特異的蛋白質であることが確認されている(18〜20)。切片をProtein Block(Biogenex、San Ramon、CA)で30分間ブロックし、ブロッカーを含むDAKO抗体希釈液(DakoCytomation、Carpinteria、CA)で1:1000に希釈した抗CD31抗体(マウス抗ラット、Serotec、Raleigh、NC)と共に2時間インキュベートした。TBST(TBS+0.1%Tween−20)で数回簡単に洗浄した後、切片をビオチン化抗マウスIgG第2抗体(DakoCytomationアルカリホスファターゼキットLink K−0610)と共に10〜30分間インキュベートし、TBSTで数回洗浄し、アルカリホスファターゼに結合させたストレプトアビジン(DAKOアルカリホスファターゼキットK−0610)と共に10〜30分間インキュベートした。次に、TBSTを数回取り替えて切片を再度洗浄し、抗体の結合したCD31をVulcan Fast Red基質(Biocare Medical、Walnut Creek、CA)と共に10分間インキュベートすることによって視覚化した(発色を顕微鏡でモニターした。)。次に、切片をdH2Oで洗浄し、TBS中で一晩保存した。
Ki67染色:Ki67は増殖細胞でのみ発現することが確認された核蛋白質である(21、22)。Ki67の抗体認識を容易にするために、高温での抗原検索方法を使用した。切片は、Decloaking容器(Biocare Medical、DC2002)内でTargen Retrieval溶液(dHOで希釈した1xDakoCytomation S1699)中に浸漬し、195℃で1分間加熱した。切片はHdH2Oを検索溶液に流し入れて冷却し、次にTBSで濯いだ。残存するペルオキシダーゼ活性はTBSに溶かした3.0%H2O2で20分間インキュベートすることによってブロックした。切片をTBSで数回洗浄し、次に抗体希釈液で1:2000に希釈した抗Ki67抗体(ウサギ抗ヒト、Nvacastra、Newcastle upon Tyne、UK)と共に2時間インキュベートした。切片をTBSTで洗浄して、次に希釈していないビオチン化抗ウサギIgG(DakoCytomation、Link K−0609)と共に10分間インキュベートした。切片はTBSTで洗浄して、次に西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させたストレプトアビジン(DakoCytomation、K0609)と共に10分間インキュベートした。切片をTBSTで再度洗浄して、Ki67に結合した抗体は、ジアミノベンジジン及び基質(DakoCytomation、DAB+)と共に5分間インキュベートすることによって視覚化した(発色は顕微鏡でモニターした。)。切片はdH2Oで洗浄して、DAB増強剤で20分間RTでインキュベートし、dH2Oで再度洗浄した。腫瘍切片は濾過したMayer’sヘマトトキシリン(Lillie’s Formulation、DakoCytomation)で2分間対比染色して、次に洗浄水に色が残存しなくなるまで水道水で洗浄した。次に、切片をdH2Oで濯ぎ、100%エタノールで脱水して、キシレンで洗浄し、Permount(Fisher Scientific、Hampton、NH)で封入した。
内皮細胞増殖の免疫組織学的分析:CD31/Ki67二重標識腫瘍切片の連続的明視野画像は、自動ステージ(Prior H128、Watertown、MA)及び40倍対物レンズを装備したオリンパスBX−50顕微鏡に装着した3−CCDカラービデオカメラ(Optronics)で得られた。切片毎の画像数は、全組織領域に応じて1000枚と4000枚との間にした。CD31染色及びKi67染色は、ImageProPlusソフトウェアパッケージ(Media Cybernetics、Carlsbad、CA)を使用して各画像について定量した。増殖する内皮細胞は、細胞質がCD31で染色され、核がKi67で染色された細胞と同定された。CD31については陽性に染色したが、Ki67については核が染色されなかった細胞は、非増殖性内皮細胞として記録した。増殖する内皮細胞の割合は、内皮細胞に関連したKi67陽性核領域を内皮細胞に関連した全核領域(Ki67+及びKi67−の両方)によって除することで算出した。内皮細胞増殖の割合は、腫瘍切片当たりCD31染色を有する少なくとも100枚の画像の総合分析結果を表す。
免疫蛍光顕微鏡:腫瘍試料は前記の免疫組織化学で説明したように固定し、包埋し、切断して、脱蝋し、再水和した。その後の段階は全て室温で実施した。TBSで簡単に濯いだ後、組織切片はSniperブロック試薬(Biocare Medical)と共に5〜10分間インキュベートすることによってブロックし、TBSで濯ぎ、DAKO抗体希釈液で1:1000に希釈した第1抗体と共に2時間インキュベートした(ANGPT2、CLU、CYR61及びPLAUに対する抗体はSanta Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CAから入手し、ヤギ又はウサギで育てた。EDNRBに対する抗体はCalbiochem、San Diego、CAから入手し、ヒツジで育てた。CD31に対する抗体はSerotecから入手し、マウスで育てた。)。次に、0.2%Tween−20を含有するTris緩衝生理食塩水(TBST、Sigma)で切片を洗浄し、ブロッキング血清を含むDAKO抗体希釈液で1:200(10μg/ml)に希釈した適切な2次抗体と共に45分間インキュベートした(Alesa Fluor 488ロバ抗ヤギIgG、Alexa Fluor 488ヤギ抗ウサギIgG、Alexa Fluor 488ロバ抗ヒツジIgG、Molecular Probes、Eugene、OR、正常ロバ及び正常ヤギブロッキング血清、Sigma)。さらにTBSTで洗浄した後、切片をDAPI(Molecular Probes、1mg/ml保存液をMQH2Oで1:2000に希釈)で30分間対比染色した。次に、切片をTBSTで洗浄し、100%EtOHで脱水して、キシレンで洗浄し、Permountでカバーガラス下に封入した。画像は、40x対物レンズを装備したZeiss Axiovert 135倒立蛍光顕微鏡に連結したZeiss Axiocam mHR CCDカメラで撮影した。各蛍光体について、全画像は等しいカメラ積分時間を使用して撮影した。
増殖する微小血管内皮細胞の遺伝子発現変化の同定
静止内皮細胞と比べて、増殖する内皮細胞で調節される遺伝子を同定するために、増殖因子とのインキュベーションによって初代培養微小血管内皮細胞が静止状態から増殖を始めたインビトロ血管形成モデルを使用した。初代ヒト皮膚微小血管内皮細胞(HDMVEC)、又は4回から7回継代したラット心臓微小血管内皮細胞(RHMVEC)を組織培養皿で単層で増殖させ、分裂促進剤を24時間欠乏させて、その後VEGF、bFGF又はENDOGROに曝露することによって増殖を誘導した。
HEMVEC又はRHNVECは、培養を3回継代した後トリプシン処理して、フィブロネクチンをコーティングした、6ウェル組織培養プレートに10000細胞/ウェルの密度で接種した。細胞増殖は分裂促進剤を24時間使用中止することによって停止させ、次にVEGF100ng/ml、bFGF100ng/ml又はENDOGRO200μg/mlを添加することによって刺激した。刺激されなかった細胞のウェル及び停止しなかった細胞を含有するウェルを対照として含めた。増殖因子刺激後72時間して、細胞をトリプシン処理することによってプレートから取り除き、明視野顕微鏡で血球計数器によって計数した。
VEGF、bFGF及びENDOGRO(bFGFが豊富なウシ脳抽出物、VEC Technologies)が異なる増殖因子受容体によって情報伝達されたことを確かめるために、FGFR1及びFGFR2に対して100倍活性が少ない小分子KDRキナーゼ阻害剤である化合物Aの存在下で、VEGF、bFGF又はENDOGROに細胞を曝露した(表1)(12〜15)。
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分裂促進剤を欠乏させた静止HDMVEC及びRHMVECの遺伝子発現パターンを活発に分割する内皮細胞の発現パターンと比較すると、増殖する血管内皮細胞に特異的な、有意な(p値<0.01)遺伝子発現変化が示される。簡単に説明すると、内皮細胞培養物を培養して増殖させ、前述したように24時間分裂促進剤を欠乏させた。増殖因子で24時間刺激した後、培地を迅速に吸引し、細胞をRNA安定化緩衝液中で溶解した。各刺激条件について、刺激性の増殖因子を補給しない対応対照プレートが存在し、それらから単離されたRNAは、刺激された細胞のRNAと比較する参照物として使用した。
結果:10%FBSを補給した増殖培地は内皮細胞を増殖させるために十分ではなかったが、10%FBS+その他の増殖因子は迅速な内皮細胞増殖を誘発した。
図1に示したデータは、HDMVEC(図1A)及びRHMVEC(図1B)を化合物Aに曝露すると、血球計数器で生細胞を計数することによって測定したところ、VEGFによって誘導された微小血管内皮細胞のインビトロでの増殖が選択的に阻害されることを示唆している。図2に示した遺伝子発現プロフィールは、増殖するHDMVEC(パネルA)培養物及びRHMVEC(パネルB)培養物の特徴である遺伝子発現特性を例示している。色の強度は調節の程度を表しており、mRNAのコピー数を表しているのではない。
表3は、表2で例示した発現プロフィールで同定したHDMVEC増殖特性を含む遺伝子のリストである。表4は、表2で例示した発現プロフィールで同定したRHMVEC増殖特性を含む遺伝子のリストである。表3及び表4で示した情報を使用して、インビトロ又はインビボいずれかのスクリーニング測定法形式で血管内皮細胞の増殖を評価するのに適した、遺伝子発現をベースにした測定法の設計及び検証は十分当業者の能力の範囲内である。
初代内皮細胞におけるVEGF誘導遺伝子発現特性のKDRキナーゼ阻害剤による抑制
実施例1で同定された増殖因子誘導増殖特性がKDRキナーゼ阻害剤に敏感かどうかを決定するために、HDMVEC又はRHMVECを化合物B 100nMの存在下でVEGF又はbFGFで24時間刺激した。VEGFはfms様チロシンキナーゼ(FLT1)及びKDRに結合し活性化する(23、24)。FLT1及びKDRは両方とも化合物B(表1)によって阻害される。bFGFはFGFR1及びFGFR2に結合するが、FLT1及びKDRには結合しない。FGFR1及びFGFR2はいずれも化合物Bに比較的影響を受けない(表1参照)。
簡単に説明すると、EC単層は、集密度が約75%に達するまで完全MCDB−131培地で維持し、次に分裂促進剤を24時間欠乏させることによって静止状態に誘導した。次に、増殖させるために細胞を、化合物Bの存在下又は非存在下で、VEGF100ng/mlで24時間刺激した。VEGF又はVEGF+化合物Bに曝露した細胞から単離したRNA集団をVEGFにも化合物Bにも曝露していない静止細胞から単離した対応対照RNAと比較した。
結果:図3に示したデータは、HDMVEC VEGF誘発遺伝子発現特性は化合物Bによって効果的に抑制されたが、bFGF誘導特性は影響を受けなかったことを示している。並行した実験をRHMVECで実施した(データは示さず)。プロットの各点は、DNAオリゴヌクレオチドマイクロアレイ上に存在する遺伝子配列を表し、その遺伝子の2種類のmRNA濃度(実験試料強度:対照試料強度、縦軸)と総mRNA量(実験試料強度:対照試料強度、横軸)との比に従ってプロットされている。
内皮細胞特異的増殖特性の同定
上記で示した実験データは、遺伝子発現プロフィール又は増殖する内皮細胞に特異的な発現特性の確認に役立つ。しかし、内皮細胞増殖中に調節される遺伝子の多くはまた、他の種類の増殖細胞においても発現する(たとえば、細胞周期及び代謝過程を調節する遺伝子)。腫瘍は、様々な細胞種の複雑な混合体で、2000個に約1個(0.05%)の細胞が増殖性内皮細胞である(Joanne Antanavage、Rosemary、McFall、及びKen Thomas、私信)。したがって、腫瘍内皮細胞増殖を特異的に測定する薬力学測定法を開発しようとする試みには、HDMVEC及びRHMVEC増殖特性の内皮細胞特異的部分を同定する必要があった。内皮細胞特異的遺伝子候補は、分裂促進剤に対するインビトロでの増殖反応中では発現が調節されるが、非内皮細胞では比較的低濃度で発現することが特徴の遺伝子として定義された。
前述の発現プロファイリング研究から得られた、各アレイ特性に結合した標識cRNAの数に対応し、mRNAコピー数に比例するマイクロアレイ強度のデータを使用し、HDMVEC増殖実験から得られたマイクロアレイ強度のデータと比較した。活発に増殖する腫瘍由来の細胞株(MOLT−4、HL−60、Raji、SW480、Daudi、G361、A549、K562、MCF7)のパネルから得られた既存の強度データを使用して、EC:腫瘍マイクロアレイ強度の比が3:1未満である遺伝子は考察には入れなかった。
702個のHDMVEC配列はこの方法で内皮細胞特異的として選択された(表3参照)。この方法によって多くの公知の内皮細胞特異的遺伝子(すなわち、ESM−1KDR、FLT−1)並びに数多くの新規配列を同定した。並行して、RHMVEC実験から得られたマイクロアレイ強度を、培養で活発に増殖するラットC6神経膠腫細胞の遺伝子発現プロファイリング実験から得られたデータと比較することによって、増殖するRHMVECで調節される遺伝子に対する内皮細胞の特異性の測定値を得た。RHMVEC:C6強度比が3:1を上回る493個の遺伝子を同定した(表4参照)。
経口投与したKDRキナーゼ阻害剤は、同系動物の腫瘍において有意な遺伝子発現変化を誘導する
同系のラット腫瘍モデル2種(すなわち、C6神経膠腫側腹部腫瘤モデル及びMatBIII乳癌転移モデル)を使用して、インビトロにおいて内皮細胞増殖中に制御される内皮細胞特異的と同定された遺伝子に対する小分子KDRキナーゼ阻害剤、化合物A及び化合物Bの効果を評価した。腫瘍の研究は、材料及び方法で前述したように実施した。該腫瘍モデルは、いずれもFischer344ラットから得られたC6神経膠腫及びMatBIII乳癌細胞株を使用した。これらの細胞株はそれぞれVEGFを分泌し、KDRキナーゼ阻害剤に敏感な、高度に血管化した腫瘍を形成する。
神経膠腫側腹部腫瘤モデル:C6細胞をラットの右脇腹に皮下注射し、7日間腫瘍を形成させた。その時点で、化合物A、化合物B又は媒体の1日1回経口投与を開始し、全部で1、2又は3日間継続した(図4、パネルA「C6プロファイリング研究)。図4は、KDRキナーゼ阻害剤曝露後の確立されたラット腫瘍の増殖速度論を示す。腫瘍の量はノギス計測によって測定した。腫瘍は、2方向(長さ及び幅)をノギスで測り、腫瘍量は式(長さ)x(幅)x(1/2幅)に従って計算した。
化合物処理動物から単離された腫瘍におけるゲノム範囲の遺伝子の発現は、ビークル処理動物から単離された腫瘍の遺伝子発現と比較した。図5に示したデータでは、各行は個々の動物から得られた異なる腫瘍を表している。各列は遺伝子を表す。調節された(上方制御又は下方制御された)遺伝子に対応する点は様々な灰色の影で示されている。図5のパネルAで示されたデータは、KDRキナーゼ阻害剤化合物Bに全身を曝露してから24、48又は72時間後に調節されたラットC6側腹部腫瘍から得られた遺伝子を示す。図5のパネルBで示されたデータは、KDRキナーゼ阻害剤化合物Aに全身を曝露してから24、48又は72時間後に調節されたラットC6側腹部腫瘍から得られた遺伝子を示す。
化合物A(図5、パネルB)及び化合物B(図5、パネルA)の両方は特に48時間以上化合物に曝露した後で、C6腫瘍遺伝子発現において遺伝子発現変化を強く誘導することを観察した(個々の配列についてp値<0.05)。
MatBIII乳癌転移モデル:MatIII乳腺癌細胞をメスラットの乳腺脂肪体に注射した。7日間腫瘍を定着させた後、化合物の1日1回経口投与を開始し、全部で5日間継続した(図4B)。図5のパネルCで示されたデータは、KDRキナーゼ阻害剤化合物Aに全身を曝露してから100時間後に調節されたラットMatBIII乳癌から得られた遺伝子を示す。化合物処理ラットの腫瘍遺伝子発現パターンをビークル処理対象と比較したとき、再度有意な差を発見した(図5、パネルC、個々の配列についてp値<0.05)。3種類の研究の間でKDRキナーゼ阻害によって誘導された遺伝子発現変化には重複があったが、遺伝子発現変化の大部分は研究特異的であった(データは示さず)。
内皮細胞増殖の遺伝子発現バイオマーカーの同定
実施した3種類の動物実験それぞれにおいて、培養中に増殖するRHMVECに特異的であると同定した遺伝子の画分についてKDRキナーゼ阻害剤によって誘導された発現の変化を検出できることを所見した。図6は、本明細書で開示した様々な測定様式で同定された一連の遺伝子の間の重複程度をまとめたベン図である。より具体的に、図6AはC6側腹部腫瘍とMatBIII乳癌との間の、KDRキナーゼ阻害剤に対する腫瘍遺伝子発現応答の重複程度をまとめて示す。図6Bは、分裂促進剤によってインビトロで、及びKDRキナーゼ阻害剤によって腫瘍組織で調節されることが測定された一連の内皮細胞特異的遺伝子の重複の程度を示している。パネルBで示された遺伝子/配列は全て、分裂促進剤曝露後にインビトロで認められたものとは対照的な方法でKDRキナーゼ阻害剤によってインビボで調節されることが認められた。
最も興味深いことに、各実験で、これらの遺伝子のいくつかは内皮細胞増殖の抑制と一致して調節されることを発見した。実際に、これらの遺伝子はインビボの腫瘍研究と比較してインビトロの増殖実験で反対に調節された。いずれの場合においても、内皮細胞が非増殖条件下において低濃度で増殖し発現するとき、該遺伝子の発現が多かった。したがって、3種類の動物腫瘍実験のそれぞれにおいて「反対に制御」された内皮細胞特異的遺伝子を同定し、複数の実験(図6B並びに表5及び表6)でそれ自体制御された遺伝子を同定した。表5及び表6は、化合物Aによって調節されることが認められた遺伝子のリストを示す。表5は、化合物誘導性の内皮細胞特異的発現特性を定義するために、C6側腹部腫瘤及びMatBill乳癌転移モデルにおいて得られたデータを利用する。表5は、遺伝子バンク登録番号、遺伝子記号を示し、観察された遺伝子発現の化合物誘導性倍数変化をまとめて示す。表5で示された発現特性は、一般的には抗血管形成剤、特にKDRキナーゼ阻害剤のインビボでの効果の評価において利用性があると考えられる。表6は、インビボでのKDR阻害剤投与に応答して、本明細書で開示されたEC特異的増殖特性を含む個々のバイオマーカーで認められた変化(すなわち、発現の抑制)をまとめて示す。
バイオマーカーとして考えられる遺伝子は、インビボで化合物に誘導されて少なくとも1.6倍の発現変化を生じるべきであるという必要性を課すことによって、化合物A及び化合物Bの両方の実験において「反対に調節された」7個の遺伝子及び3種類全ての実験において「反対に調節された」2個の遺伝子を同定した。本発明の開示でもたらされたデータをベースにして、両方の化合物A動物実験によって同定された7個の遺伝子(Angpt2、Ednrb、Plau、Clu、Fut4、Ifit3及びCyr61)を腫瘍内皮細胞増殖の有望なバイオマーカーとして同定した。これらの遺伝子を同定し、表2に記載する。
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注目に値すべきことに、これらの遺伝子それぞれは内皮細胞機能に密接に関与することが報告されている。
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バイオマーカーの検証
腫瘍内皮細胞増殖の有望なバイオマーカーとして同定した7種類の遺伝子が腫瘍の脈管構造で特異的に発現し、その発現レベルは内皮細胞増殖速度を反映することを確認するために、いくつかの検証実験を実施した。まず、マイクロアレイハイブリダイゼーションの結果を確かめるために、定量的リアルタイムPCRによって動物腫瘍RNA試料における遺伝子発現レベルを独立して評価した。前述したマイクロアレイ実験で得られたバイオマーカーデータは、リアルタイム定量リアルタイムPCRによって検証された。
結果:定量リアルタイムPCRは、遺伝子特異的PCRプライマー対及び単位複製配列特異的蛍光プローブ(TaqMan)によって実施した。試験したそれぞれのRNA試料について、GAPDHの転写存在量を測定した。さらに、関心のある遺伝子及びGAPDHの遺伝子の転写存在量は、RNA試料標準物質(ラット肺総RNA)のために測定した。(A)ビークル処理動物の腫瘍に対するKDRキナーゼ処理動物の腫瘍における遺伝子発現の倍数変化(fold change)は、ΔΔCT法(材料及び方法を参照)を使用して計算した(材料及び方法)。ラット腫瘍における各遺伝子のmRNA濃度はまた、相対標準物質RNAプール(B)に対して示される。図7に示したように、リアルタイムPCR研究から得られた結果は、DNAマイクロアレイ研究の結果と密接に一致した(図7)。
遺伝子発現プロファイリングを実施しなかった第4の動物実験のもう一組のラットMatBIII腫瘍において、バイオマーカー遺伝子の発現レベルをまた測定した。この独立した研究において、確立したMatBIII乳癌を有する動物に(細胞移植後7日間)化合物A又は媒体を全部で8日間毎日1回経口投与した。
動物腫瘍研究の各腫瘍の半分を固定し、材料及び方法で説明したように切片法及び免疫組織化学のために保存した。バイオマーカー遺伝子の発現が腫瘍内の内皮細胞に特異的かどうかを決定するために、免疫蛍光顕微鏡によってラット腫瘍組織切片の蛋白質生成物を視覚化した。バイオマーカー蛋白質生成物7種のうち5種に対する抗体が市販されており、免疫蛍光染色に最適な条件を決定することができた。厚さ約3〜5μmの個々の腫瘍切片を脱蝋し、再水和して、(腫瘍の脈管構造を標識するために)バイオマーカー蛋白質の1つに対する抗体及び内皮細胞表面蛋白質CD31に対する抗体とも一緒にインキュベートした。脱蝋し、再水和したMatBIII腫瘍切片をCD31及び以下のバイオマーカー蛋白質、CLU、ANGPT2、CYR61、ENDRB又はPLAUの1つに対する抗体とインキュベートした。バイオマーカー蛋白質及びCD31と結合した1次抗体は、それぞれ材料及び方法で説明したAlexa488標識及びAlexa546標識2次抗体で視覚化した。カバーガラス下に封入した後、Zeiss Axiocamで40倍対物レンズを装備したZeiss Axiovert 135蛍光顕微鏡によって画像を捕捉した。
結果:調べた5種類の蛋白質(ANGPT2、CLU、CYR61、ENDRB及びPLAU)はそれぞれMatBIII腫瘍の腫瘍脈管構造に特異的に局在することを発見した(図8)。ラット乳癌でのバイオマーカー蛋白質発現は血管に局在していることを示した。Cyr61以外の遺伝子は全て、KDRキナーゼ阻害剤に対する曝露に応じて予測したとおりに発現レベルが変化した。
最後に、化合物Aで処理した腫瘍におけるバイオマーカー遺伝子の確認された発現変化を腫瘍内皮細胞増殖の独立した測定と相関させた。Mundhenke他(Mundhenke、2001)によって記載された方法の変法を使用して、腫瘍切片を内皮細胞マーカーCD31及び核増殖マーカーKi67で2重免疫組織化学染色することによって内皮細胞増殖速度を測定した。ビークル処理動物5匹及び化合物A処理動物5匹(媒体又は化合物について投与量3種で72時間)のC6側腹部腫瘤を分析した。
結果:ビークル処理動物の腫瘍における内皮細胞増殖速度が34%+/−5%であることを測定した。対照的に、化合物Aで処理した動物の腫瘍においては、内皮細胞増殖速度が19%+/−5%であることを測定した。
本発明は、具体的な実施形態であると考えられるものを参照にして説明してきたが、本発明をこのような実施形態に限定するものでないことを理解されたい。反対に、本発明は添付した特許請求の精神及び範囲に含まれる様々な変更及び同等物を含むものとする。たとえば、KDRキナーゼ阻害剤の効果を検出するために開示したバイオマーカーを使用することに本開示は焦点を当てているが、腫瘍内の血管内皮細胞の増殖状態を調節するその他の癌治療の能力を評価する同様の方法の使用は、具体的に本明細書の範囲内である。
開示全体にわたって引用された参考文献は全て、参照により明らかに本明細書に組み込まれる。
Figure 2007530047
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KDRキナーゼ阻害によるインビトロにおける血管内皮細胞(VEC)増殖の阻害を示した図である。HEMVEC及びRHNVECは、培養を3回継代した後トリプシン処理して、フィブロネクチンをコーティングした6ウェル組織培養プレートに10000細胞/ウェルの密度で接種した。細胞増殖は分裂促進剤を使用中止することによって24時間停止させ、次にVEGF100ng/ml、bFGF100ng/ml又はENDOGRO200μg/mlを添加することによって刺激した。刺激されなかった細胞のウェル及び停止しなかった細胞のウェルを対照として含めた。増殖因子刺激の72時間後に、細胞をトリプシン処理することによってプレートから取り除き、明視野顕微鏡下で血球計数器によって計数した。 インビトロで増殖する血管内皮細胞の遺伝子発現特性の同定を示した図である。HDMVEC及びRHMVECは培養して増殖させ、図1及び方法で説明したように分裂促進剤を24時間除去した。増殖因子で24時間刺激した後、培地を迅速に吸引し、細胞をRNA安定化緩衝液中で溶解した。各刺激条件について、刺激性の増殖因子を補給しなかった対応対照プレートが存在し、それらから単離されたRNAは、刺激された細胞のRNAと比較する参照物として使用した。調節された(たとえば、上方制御又は下方制御された)遺伝子に対応する線は様々な灰色の影で示されている。色の強度はmRNAのコピー数ではなく調節の程度を表す。 培養した血管内皮細胞でのVEGF誘導遺伝子発現の特異的抑制を示した図である。EC単層は、集密度が約75%に達するまで完全MCDB−131培地で維持し、次に分裂促進剤を24時間除去することによって静止状態に誘導した。次に、細胞を化合物Bの存在下又は非存在下でVEGF100ng/mlで24時間刺激して増殖させた。VEGF又はVEGF+化合物Bに曝露した細胞から単離したRNA集団を、VEGFにも化合物Bにも曝露していない静止細胞から単離した対応する対照RNAと比較した。プロットの各点は、DNAオリゴヌクレオチドマイクロアレイ上に存在する遺伝子配列を表し、その遺伝子の2種類のmRNA濃度(実験試料強度:対照試料強度、縦軸)と総mRNA量(実験試料強度+対照試料強度、横軸)との比に従ってプロットされている。濃い色の点は上方制御された遺伝子を示す。淡灰色の点は下方制御された遺伝子を示す。 KDRキナーゼ阻害剤に曝露された後の確立されたラット腫瘍の増殖速度論を示した図である。腫瘍の研究は、材料及び方法で説明したように実施した。図4A及び4Bは、C6プロファイリング研究(図4A)及びMattIIIプロファイリング研究(図4B)において、ノギスで計測して測定した動物の腫瘍量を示している。腫瘍は、2方向(長さ及び幅)をノギスで測り、腫瘍量は式(長さ)x(幅)x(1/2幅)に従って計算した。 インビボにおいてKDRキナーゼ阻害剤によってラット腫瘍に誘導された遺伝子発現変化を同定した図である。各行は個々の動物の異なる腫瘍を表す。各列は遺伝子を表す。灰色の点/線はKDRキナーゼによって調節された(たとえば、上方制御又は下方制御された)遺伝子を示す。図5Aは、KDRキナーゼ阻害剤化合物Bに全身を曝露してから24、48又は72時間後の調節されたラットC6側腹腫瘍の遺伝子発現変化を示している。 インビボにおいてKDRキナーゼ阻害剤によってラット腫瘍に誘導された遺伝子発現変化を同定した図である。各行は個々の動物の異なる腫瘍を表す。各列は遺伝子を表す。灰色の点/線はKDRキナーゼによって調節された(たとえば、上方制御又は下方制御された)遺伝子を示す。図5Bは、KDRキナーゼ阻害剤化合物Aに全身を曝露してから24、48又は72時間後の調節されたラットC6側腹腫瘍の遺伝子発現変化を示している。 インビボにおいてKDRキナーゼ阻害剤によってラット腫瘍に誘導された遺伝子発現変化を同定した図である。各行は個々の動物の異なる腫瘍を表す。各列は遺伝子を表す。灰色の点/線はKDRキナーゼによって調節された(たとえば、上方制御又は下方制御された)遺伝子を示す。図5Cは、KDRキナーゼ阻害剤化合物Aに全身を曝露してから100時間後の調節されたMatBIII乳癌の遺伝子発現変化を示している。 KDR阻害剤によって惹起された異なる腫瘍遺伝子の発現応答を示した図である。図6Aで示したベン図は、C6側腹腫瘍とMatBIII乳癌との間のKDRキナーゼ阻害剤に対する腫瘍遺伝子発現応答の重複の程度を示している。パネルBで示されたベン図は、分裂促進剤によってインビトロで、及びKDRキナーゼ阻害剤によって腫瘍組織で調節された内皮細胞特異的遺伝子の組の間の重複の程度を示している。図6Bで示された遺伝子(バイオマーカー)は全て、分裂促進剤曝露後にインビトロで認められたものとは反対の様式で、KDRキナーゼ阻害剤によってインビボで調節される。 リアルタイム定量リアルタイムPCRによってマイクロアレイデータを確認した図である。定量リアルタイムPCRは、遺伝子特異的PCRプライマー対及び単位複製配列特異的蛍光プローブ(TaqMan)で実施した。試験したそれぞれのRNA試料について、GAPDHの転写存在量を測定した。さらに、関心のある遺伝子及びGAPDHの遺伝子の転写存在量は標準物質RNA試料(ラット肺総RNA)についても測定した。図7Aは、ΔΔCT法(材料及び方法を参照)を使用して計算した、ビークル処理動物の腫瘍に対するKDRキナーゼ処理動物の腫瘍における遺伝子発現の倍数変化(fold change)を示している。図7Bは、標準物質RNAプールに対するラット腫瘍における各遺伝子のmRNA濃度を示している。 ラット乳癌でのバイオマーカー蛋白質発現は血管に局在している。脱蝋し、再水和したMatBIII腫瘍部分をCD31に対する抗体及び以下のバイオマーカー蛋白質、CLU、ANGPT2、CYR61、ENDRB又はPLAUの1つとインキュベートした。バイオマーカー蛋白質及びC31と結合した1次抗体は、それぞれ材料及び方法で説明したAlexa488標識及びAlexa546標識2次抗体で視覚化した。カバーガラス下に封入した後、Zeiss Axiocamで40倍対物レンズ及びAxiocam mHR CCDカメラを装備したZeiss Axiovert 135蛍光顕微鏡によって撮影した。

Claims (16)

  1. a)複数のアドレスを有する基盤を含み、各アドレスには内皮細胞増殖のバイオマーカーに特異的に結合できる捕捉プローブ又はオリゴヌクレオチドが配置されているアレイを提供することと、
    b)内皮細胞集団から核酸試験試料を調製することと、
    c)前記核酸試料を前記アレイと接触させることと、及び
    d)前記試験試料中の前記核酸が、前記アレイ上に存在する前記複数のアドレスそれぞれに結合するのを検出することによって発現特性を測定し、それによって前記内皮細胞の増殖速度を測定することと、
    を含む、内皮細胞集団の増殖状態を測定する方法。
  2. アレイが、表3又は表4に記載された遺伝子配列から選択される1個以上の遺伝子に特異的に結合するオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
  3. アレイが、表3から6で同定された遺伝子から選択されたその他のバイオマーカーと組み合わせて、Angpt−2、Clu(ApoJ)、Cyr61(CCN1)、Endrb(Etb)、Ifit−3(Garg49)、Fut−4、Plau(uPA)遺伝子と特異的に結合するオリゴヌクレオチドを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 核酸試料が、腫瘍生検から得られた血管内皮細胞の集団から調製される、請求項1に記載の方法。
  5. 試料は、腫瘍脈管構造中の内皮細胞の増殖を阻害するように企図された治療薬による治療を受けた癌患者から調製される、請求項4に記載の方法。
  6. 患者が、KDRキナーゼ阻害剤で治療される、請求項5に記載の方法。
  7. 患者が、化合物Aで治療される、請求項6に記載の方法。
  8. 表4及び表5で同定されたバイオマーカーからなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドを含有する細胞集団と化合物を、前記ポリヌクレオチドが発現される条件下で接触させることと、及び内皮細胞増殖特性の発現における変化を測定することを含み、発現の変化は抗血管形成活性の指標である、抗血管形成活性用の複数の治療薬のスクリーニング方法。
  9. 細胞集団が、腫瘍脈管構造中の内皮細胞の増殖を阻害するように企図された治療薬によって治療されている癌患者の腫瘍生検から単離される、請求項8に記載の方法。
  10. 治療薬が、受容体型キナーゼ阻害剤である、請求項10に記載の方法。
  11. 内皮細胞発現特性の変化が、内皮細胞増殖バイオマーカーに特異的に結合できるオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイに対するハイブリダイゼーション、又はRT−PCRによって測定される、請求項8に記載の方法。
  12. 内皮細胞増殖特性が、表5又は表6で同定された遺伝子から選択されるその他のバイオマーカーと組み合わせて、Angpt−2、Clu(ApoJ)、Cyr61(CCN1)、Endrb(Etb)、Ifit−3(Garg49)、Fut−4、Plau(uPA)遺伝子と特異的に結合する捕捉プローブ又はオリゴヌクレオチドを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 複数のアドレスを有する基盤を含み、各アドレスには表3及び表4で定義された増殖特性を含む遺伝子からなる群から選択されるバイオマーカー遺伝子のポリヌクレオチド配列に特異的に結合できる捕捉プローブ又はオリゴヌクレオチドがその上に配置されているアレイ。
  14. 表3又は表4に記載された増殖特性を含むバイオマーカー遺伝子を含む組成物。
  15. 表5又は表6に記載された発現特性を含むバイオマーカー遺伝子を含む組成物。
  16. Angpt−2、Clu(ApoJ)、Cyr61(CCN1)、Endrb(Etb)、Ifit−3(Garg49)、Fut−4、Plau(uPA)遺伝子を含む内皮細胞増殖特性。
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