JP2016503167A - 乳癌予知のための画像分析 - Google Patents
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Abstract
Description
研究契約に参加する当事者
Ventana Medical Systems, Inc.,(ベンタナ・メディカス・システムズ社)、Cleveland Clinic(クリーブランド・クリニック)、およびthe University of Melbourne(メルボルン大学)は、本明細書において開示する発明を管理する研究契約に参加する当事者である。
このようなスコアは、免疫組織化学複合スコア単独よりも多い情報を提供することができる。
本開示の以上のならびに他の目的および特徴は、添付図面を参照しながら進める以下の詳細な説明から一層明らかとなろう。
用語および方法についての以下の説明は、本開示をより良く説明するため、そして本開示の実施において当業者を導くために設けられる。単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上そうでないことが明らかに判断できない限り、1つよりも多いことに言及するものとする。例えば、「抗体を含む」(comprising an antibody)は、1つまたは複数の抗体を含み、「少なくとも1つの抗体を含む」という句と同等であると見なされる。「または」(or)という用語は、文脈上そうでないことが明らかに示されない限り、述べられた代替要素の1つの要素、または2つ以上の要素の組み合わせに言及するものとする。本明細書において使用される場合、「含む」(comprises)は「含む」(includes)を意味するものとする。つまり、「AまたはBを含む」(comprising A or B)は、追加の要素を除外せずに「A、B、またはAおよびBを含む」(including A, B, or A and B)ことを意味する。本明細書において言及されるGenBankアクセッション番号の日付けは、早い方では少なくとも2012年12月28日には入手可能な連番(sequences)である。
接触:ある薬剤を他の薬剤に近接させることによって、これらの薬剤に相互作用させること。例えば、生物サンプルを収容した顕微鏡スライドまたは他の表面に抗体を載せることによって、サンプルにおいて、抗体によって特定的に認識されるタンパク質の検出を可能にすることができる。
IHC4 = 94.7 × {−0.100ER10 ― 0.079PR10 + 0.586HER2 + 0.240In(1+10 × Ki67)}
当業者にとって、他のIHC複合スコア(例えば、IHC3,IHC5等)も可能であることが認められる。
出力予知スコア:被験者に対するIHC複合(例えば、IHC4)スコアおよび異質性スコアを組み合わせて重み付けした結果。これから、乳癌予知を判定することができる。
サンプル:例えば、ゲノムDNA、RNA(例えば、mRNA)、タンパク質、またはその組み合わせを含有し、被験者から得られる生体試料。例は、微細針吸引生検、組織生検、外科手術標本、および生検素材を含むが、これらに限定されるのではない。一例では、サンプルは、針生検、乳腺腫瘤摘出、および乳房切除の間に得られるような、胸部組織を含む。
次にとって十分な条件下:所望の活動を許す任意の環境を記述するために使用される句。例は、サンプルにおいて1つ以上の標的分子(例えば、ER,PR,HER2,Ki−67)の検出を可能にする程十分に抗体を乳癌サンプルと接触させることを含み、サンプルにおける1つ以上の標的分子の定量化を含むことができる。
図1は、本明細書において説明する技術を実行するためのシステム例のブロック図である。この例では、スライド・スキャナ(例えば、Ventana Medical Systems, Inc.の iScan Coreo等)のような画像取得デバイス10が、本明細書において説明するように用意されたスライド5を受け入れ、本明細書において説明するような分析のためにスライド5の画像を生成するように動作可能である。実際には、本明細書において説明するように、複数のスライドが使用される。
本明細書では、乳癌、例えば、早期乳癌を、免疫組織化学(IHC)複合スコア(IHC4等)スコアおよび/または異質性スコアを得ることに基づいて予知できることを示す。これら2つのスコアが組み合わされ重み付けされ、出力予知スコアが得られる。得られた出力予知スコアは、患者の乳癌を予知するために使用することができる。例えば、出力予知スコアが閾値よりも高い場合、これは乳癌の進行性が強いことまたは乳癌が再発する可能性が高いことを示し、一方閾値よりも低い出力予知スコアは、乳癌の進行性が弱く再発する可能性が低いことを示す。これによって、臨床医および患者は、より適切な処置および監視判断を行うことが可能になる。例えば、出力予知は、適切な療法を判断するときに有益であり得る(例えば、監視、乳房切除、乳腺腫瘤摘出術、または乳腺腫瘤摘出術と化学療法の組み合わせの中から選択する)。
図3は、方法例の全体像を示す。この方法は、例えば、PRおよびKi−67の各々に対する陽性百分率、HER2に対する等級スコア(例えば、強度を表す典型的な0から3までの目盛り上。0は陰性染色に指定され、3は非常に強く染色されたサンプルに指定される)、そしてERに対するH−スコアを判定または測定することによって、ER,Ki−67,PR,HER112の各々に対して測定した発現(expression)によって、IHC4スコアを判定するステップを含む。また、この方法は、少なくともERおよびPRに対して、そしてある例ではKi−67およびHER2 114に対しても異質性スコアを判定するステップも含む。得られたIHC4スコア112および異質性スコア114を組み合わせて(116)、出力予知スコア118を生成する。この出力予知スコアに基づいて、乳癌を予知する(120)。
IHC4 = 94.7 × {−0.100ER10 − 0,079PR10 + 0.586HER2 + 0.240In(1 + 10 × Ki67)}
ここで、ER10はERに対するH−スコア/30であり、PR10は陽性に染色した細胞の百分率(細胞の百分率に対して10%の上限を課する)を10で除算して、0から10の範囲の変数を生成することによって得られる。HER2は、二進HER2スコア(例えば、2+未満の場合0,その他の場合1)であり、Ki67はKi−67に対する陽性百分率である。実際には、ER10は、式に示されるように、H−スコアを30で除算することによって、0から10の範囲に調整される。
例示の実施形態では、陽性百分率は、手作業で(例えば、ディジタル画像を使用せずに、画像分析を使用して、または種々の他の画像分析方法で)判定される。
PS = 0.03114 × IHC4 + 1.95119×複合異質性スコア
ここで、複合異質性スコアは、二乗根(ER異質性スコア+PR異質性スコア)である。得られた出力予知スコアは、乳癌を有する患者の予知を判定するために使用される。例えば、本方法は、出力予知スコアがある閾値よりも高い場合、被験者における乳癌が進行性であるまたは再発する(例えば、5年以内に)可能性が高いことを予知することができ、また出力予知スコアが閾値よりも低い場合、被験者における乳癌は進行性であるまたは再発する可能性が低いことを予知することができる。
図9は、本明細書において説明した乳癌予知技術を実現するシステム例900のブロック図である。この例では、スライド画像処理ツール920が複数のスライド画像912および複数の視野914を入力として受け入れることができる。ツール902は、癌が被験者において再発する可能性があるか否かの指示990を出力する。本明細書において説明したように、このような指示990は出力予知スコアに基づくことができる。
スライド画像処理ツール920は、予知ツール930を含むことができる。予知ツール930は、計算されたIHC複合スコアおよび1つ以上の異質性スコア927を入力として受け入れ、癌がより進行性であり、それ故被験者において再発する可能性が更に高いか否かについての指示990を出力する。
図10は、本明細書において説明した乳癌予知技術を実現するコンピュータ実装方法例1000のフローチャートであり、例えば、図9に示したシステムにおいて実現することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、視野は、画像内部におけるあるエリア(例えば、1組の画素、境界等)の格納された指示として、または画像(例えば、後の使用のためにその後格納される)を参照して(例えば、画像上で)病理医によって操作されるコンピュータ・システムによるアノテーション(例えば、図、トレース等)として受け取ることができる。
免疫組織化学複合スコアの例
本明細書における例のいずれにおいても、免疫組織複合スコアを異質性スコアと組み合わせて、乳癌再発予知スコアを求めることができる。例えば、本明細書において説明したIHC(例えば、IHC4)スコア、または2つ以上のバイオマーカ、例えば、HER2,ER,PR,Ki−67等を組み合わせた他の免疫組織化学複合スコアを使用することができる。このようなスコアは、本明細書において説明したように、病理医によって示される視野によって判定することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、画像は、特定のバイオマーカ用の抗体で検出可能に標識された被験者からの乳癌サンプルを描写するディジタル画像とすることができる。実際には、このような画像は、このようなサンプルの1区間を描写する。異なる区間を異なるバイオマーカに使用することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、ディジタル視野は、画像内のエリア、またはそのようなエリアの指示とすることができ、ときとしてここでは単に「視野」と呼ばれることもある。このような視野は、病理医によって示される対象領域を含むことができる。ある実施態様では、視野がスライド全体となることができるように、スライドを他のスライドと比較することができる。しかしながら、視野は通例ディジタル画像全体よりは小さいので、視野は、通例、撮像された区間全体よりも小さいエリアに対応する。実際には、このようなディジタル視野は、基準画像(例えば、視野が得られた画像)を参照して、別個の画像として格納すること、または境界によって示すことができる(例えば、本来病理医によって描写され電子的に格納される)。境界内側の画像の部分は、視野内と見なされ、境界外側の画像の部分は視野外と見なされる。境界上の部分は、所望に応じて、内側または外側と見なすことができる。
視野選択の例
本明細書における例のいずれにおいても、視野は、目的に適したプロトコルにしたがって選択することができる。例えば、IHC(例えば、IHC4)スコアにおいて使用される視野では、プロトコルは、選択されたフィールド(例えば、2,3,4,5,6,7等)が腫瘍領域であり、腫瘍組織内部におけるバイオマーカのタンパク質発現を表す(例えば、同様の外観)ことを指定する。異質性スコアに使用される視野では、プロトコルは、腫瘍組織内部においてバイオマーカのタンパク質発現の異なる(例えば、異質な)レベルを表すフィールド(例えば、2,3,4,5,6,7等)が選択されることを指定する。場合によっては、1つのフィールドを双方の目的に使用することができる(例えば、異質フィールドの内1つがIHC複合スコアにおいて使用される)。
本明細書における例のいずれにおいても、タンパク質異質性は、乳癌サンプルにおける乳癌バイオマーカER,HER2,Ki−67,PRに対する染色パターンのような、組織化学的および分子的染色パターンに言及し、ときとしてここでは単に「異質性」と呼ばれることもある。例えば、異質性は、1つのサンプル内にある異なる位置におけるバイオマーカの可変性レベルと共に増大する。異質性は、総合(aggregated)臨床表現型(例えば、再発する可能性が高い腫瘍)と相関付けることができる腫瘍進行性および/または成長パターンの空間的ばらつきの指標となることができる。
異質性は、複数の視野間において同じバイオマーカに対するタンパク質発現レベルがどのように異なるかを測定する可変性メトリックによって測定することができる(例えば、1つのバイオマーカに対する複数の視野内におけるタンパク質発現測定値の可変性)。つまり、領域間(例えば、FOV間)異質性を使用することができる。
異質性の例(H) = σ(PE(FS1),PE(FS2),...,PE(FSN))
この値は、平均スライド・スコア(S)にしたがって正規化することができる。平均スライド・スコア(S)は、特定のスライドに対するタンパク質発現測定値の平均(例えば、PE(FS1),PE(FS2),...,PE(FSN)の平均)とすることができる。平均スライド・スコア(S)が閾値(例えば、10%等)よりも低い場合、代替値(例えば、5%)を平均スライド・スコアとして使用することができる。観察された偏差を平均スライド・スコアで除算することによって、正規化を行うことができる。
本明細書において説明したように、関与するバイオマーカにしたがって、正規化を行うことができる。
本明細書における例のいずれにおいても、空間タンパク質異質性を測定することができる。このような異質性は、地理的、領域的、腺間、腺内等に分類することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、標準偏差σ以外の可変性メトリック(VM)は、領域間タンパク質異質性を測定するために使用することができる。例えば、タンパク質発現測定値またはその最大値における領域間相違(例えば、2つよりも多い視野の場合)を使用することができる。例えば、所与のバイオマーカ用の視野FS1,FS2,FS3に対するそれぞれのタンパク質発現(PE)測定値を有する1組の視野に対する異質性計算の例は、次のように、絶対値(ABS)関数を使用して計算することができる。
VM = MAX(ABS(PE(FS1) − PE(FS2)),ABS(PE(FS1) − PE(FS3)),ABS(PE(FS2) − PE(FS3)))
このような計算は、可変性の範囲も考慮することができる。例えば、最少領域間相違を考慮に入れることができる。したがって、計算の一例は次のようにすることができる。
VMadj=VM−MIN(ABS( PE(FS1) − PE(FS2)),ABS(PE(FS1)− PE(FS3)),ABS(PE(FS2)− PE(FS3)))
更に他の変形も可能である。
本明細書における例のいずれにおいても、正規化を異質性スコアに適用することができる(例えば、バイオマーカに対する異質性スコア)。例えば、正規化は、先に説明したように、観察された偏差を平均スライド・スコア(例えば、測定されたバイオマーカに対する)で除算することによって行うことができる。
本明細書における例のいずれにおいても、所与のバイオマーカに対するタンパク質発現は、そのタンパク質が発現された程度(例えば、1つの視野において、または複数の視野において集合的に)測定することによって、定量化することができる。1つの視野における染色細胞を参照すると、タンパク質発現は、視野において陽性に染色された細胞の百分率として表すことができる。例えば、視野FSにおけるタンパク質発現の定量化PP(FS)は、陽性百分率を判定するために、次のように計算することができる。
PP(FS) = (FSにおける陽性染色細胞の個数)/(FSにおける細胞の総個数)
このような場合、細胞の総個数は、陽性染色細胞の個数と陰性染色細胞の個数の和とすることができる。実際には、陽性染色細胞の個数を判定することができ、陰性染色細胞の個数を判定することができ、これら2つに基づいて、タンパク質発現を計算することができる。定量化は、陽性に染色された細胞の百分率を示すので、このような測定値は時として「視野」に対する「陽性百分率」(例えば、所与のバイオマーカに対する)とも呼ばれる。
本明細書において説明したような等級スコアを、タンパク質発現(例えば、HER2に対する)を測定するために使用することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、所与の視野に対する陽性百分率は、任意の数の技法によって判定することができる。本明細書において説明した技術は、陽性百分率を判定するための現在の技法および今後開発される技法を利用することができる。
図11は、スライドにおいて核を識別するコンピュータ実装方法例1100のフローチャートである。この例では、方法1100は、分析のために、視野の外側にあるスライドについての情報を使用することができる。
図12は、視野採点のシステム例1200のブロック図である。この例では、入力視野1210が示される。しかしながら、このような分析は、多数の視野、スライドの1つ以上のタイル、スライド全体、または任意の他の入力画像に対して実行することができる。
図13は、視野採点の他のシステム例1300のブロック図である。この例では、入力視野1310が示される。しかしながら、このような分析は、多数の視野、スライドの1つ以上のタイル、スライド全体、または任意の他の入力画像に対して実行することができる。
図14は、真に陽性染色された核を判定するクラシファイアの一例1400のブロック図である。この例では、候補の核(例えば、入来する候補)がクラシファイア1410によって処理される。クラシファイア1410は、2つのクラス、陽性1451および陰性1452に分ける。入来する候補がいずれにも分類されないこと、前もって除外されること等があり得る。クラシファイアは、染色されていない細胞であると判定された細胞(例えば、核に関連付けられた)を陰性1452と判定することができる。一部の候補(例えば、間質組織、リンパ球等)は、陰性1452分類にも陽性1451分類にも含まれない非細胞である可能性がある。
図15は、真に陽性染色された核を判定する多段階線形二進クラシファイアの一例1500のブロック図である。この例では、候補核(例えば、入来する小塊)は、クラシファイア1510によって処理される。クラシファイア1510は2つの暫定クラスに別ける。
2)陰性(例えば、染色されない核)、リンパ球、および間質。
クラシファイア1520は、入来する候補を、間質1554ならびに陰性およびリンパ球に別ける。
更に他のクラシファイア1540は、入来する候補を茶色(真の陽性)1551および僅かに茶色のくずれた小塊1555に別ける。
これらのクラシファイアは、色特徴(例えば、平均、分散等)、組織背景色および状況、形状(例えば、サイズ、離心率、延長)、形態、細胞密度等のような、特徴を使用することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、等級スコアをHER2バイオマーカに対して生成することができる。IHC複合スコアについては、HER2に対する視野は集合的に考えることができる(例えば、複数のディジタル視野上で集合的に分析を実行することができる)。異質性スコアについては、HER2バイオマーカに対する組織スライドの画像内にあるそれぞれの視野に対して等級スコアを生成することができる。実際には、このようなスコアは、核を包囲する細胞膜に対する染色の完全さを判定する。
図16は、HER2等級スコアを判定する方法例1600のフローチャートであり、本明細書においてHER2等級スコアが使用される例のいずれにでも使用することができる。このようなスコアは、本明細書において説明したように、複数の視野に対して集合的に、または別々の視野毎に生成することができる。
1630において、核を染色または対比染色に分類する。
1650において、それぞれの核を、それらの回りにある染色膜と関連付けることによって、細胞を採点する。核の周囲における染色膜の存在に基づいて、細胞を次のタイプの内1つに分類する。非染色(例えば、核の回りに染色膜が発見されない)、部分的染色(例えば、細胞の核が部分的に染色膜によって包囲される)、完全染色(例えば、核が染色膜によって完全に包囲される)。部分的または完全な染色を判定するための閾値として、パラメータを使用することができる。望まくは、このようなパラメータは、ユーザによって調節することができる(例えば、部分的と評価するために必要な百分率範囲(percentage surrounding)、完全と評価するために必要な百分率範囲)。例えば、包囲する染色膜が閾値量よりも多い(例えば、90%)細胞は、「完全に」染色されたものと判定することができる。
1660において、視野における細胞のスコアに基づいて、視野を採点する(例えば、集合的にまたはそれぞれに)。例えば、以下の条件を使用することができる(例えば、視野がもっと高いスコアに該当する(qualify for)場合、それより低いスコアに対して処理を実行する必要はない)。
本明細書における例のいずれにおいても、陽性染色(例えば、細胞膜の)を平均的な茶色っぽさ(average brownness)によって定量化することができる。例えば、膜上における平均的な茶色っぽさは、輝度スカラー値(例えば、0−255)によって判定することができる。輝度スカラー値は、膜領域のRGB画素値から計算することができる。RGB値は、RGB−L*a*b*変換技法によって、輝度値(L)に変換することができる。L値は、0〜100の目盛りから0〜255の目盛りに変換することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、HER2等級スコアを計算する目的のために、核を分類することができる。例えば、画像からの核細胞における彩度、強度、ならびに赤および青色情報に基づいて、細胞を染色および対比染色に分類することができる。彩度および強度情報は、暗い灰色の細胞が、非染色の代わりに、染色に分類できるように、暗い灰色の細胞を区別するために使用することができる。
A.染色百分率1 = 100 * (R − G) / (R + 1)
B.染色百分率2 = 100 * (R − B) / (R + 1)
C.染色百分率1>画素レベル染色%、および染色百分率2>画素レベル染色%である場合、画素=染色となる。
E.彩度<128、および強度<55の場合、画素=染色となる。
F.彩度<255、および強度<30の場合、画素=染色となる。
この画素分類情報を使用すると、各核内における染色画素の百分率に基づいて、各核を染色または非染色に分類することができる。例えば、以下の規則を使用することができる。
B.それ以外の場合、非染色に分類する。
HER2等級スコア対照の例
HER2等級スコアが本明細書において説明したように判定されているか否か判定するために、4つの細胞株対照を使用することができる。本明細書において説明したように処理し染色したとき、細胞株は、以下の表に記載されるように染色するはずである。細胞株は、Ventana Medical Systems, Inc.からカタログ番号781−2991として入手可能である。
本明細書における例のいずれにおいても、H−スコアは、自動化技法によって1つまたは複数の視野から集合的に計算することができる。例えば、核を識別することができ、次いで細胞(例えば、これらの核に対応する)を4つのビン、0,1(弱い染色),2(適度な染色),3(強い染色)に分類する(例えば、等級分けする)ことができる。このような技法は、細胞または細胞のかたまり(例えば、小塊)の平均的な茶色っぽさを判定することによって遂行することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、乳癌再発予知スコアは、1つ以上のバイオマーカに対するIHC複合スコアおよび異質性スコアに基づいて生成することができる。このような予知スコアは時として単に「出力予知スコア」とも呼ばれる。
次いで、これら2つの成分を組み合わせる(例えば、加算、乗算等)ことができる。
本明細書における例のいずれにおいても、予知の指示は、出力予知スコア自体、閾値に基づくカテゴリ(例えば、赤、黄色、緑)等を含むことができる。この指示は、入力に基づいて、癌が再発すると予測されるか否か(またはどの位の可能性か)示す形式にすることができる。
多数の指示をサポートすることができる(例えば、癌が1年以内に再発することが予期されるか否かについて1つのカテゴリ、癌が5年以内に再発することが予期されるか否かについての他のカテゴリ等)。
本技術は単体でも実現することができるが、本明細書において説明した技術は、スライド画像データの分析においてユーザを補助する多機能ディジタル病理プラットフォームにおいても実現することができる。例えば、本技術は、Ventana Medical Systems, Inc.,のVirtuoso画像管理ソフトウェアまたは相当する解決手段に統合することができる。
本技術を実現する異質性ツールを含むシステム例
図17は、本明細書において説明した乳癌予知技術を実現する異質性ツール1720を含むシステム例1700のブロック図である。この例では、異質性ツール1720は、それぞれのバイオマーカ用の複数のディジタル視野1711A−N、1714A−Nを入力として受け入れ、任意のノーマライザ(normalizer)1725の補助により、バイオマーカのそれぞれに対して異質性スコア1731,1734を出力する。
予知ツール1740は、異質性スコア1731,1734、およびIHC複合スコア1750を入力として受け入れ、予知閾値1745を参照して、被験者において癌が再発する可能性が高いか否かの指示1790を出力する。
図18は、それぞれのバイオマーカに対する異質性スコアを判定することによって、本明細書において説明した乳癌予知技術を実現するコンピュータ実装方法例1800のフローチャートであり、例えば、図17に示したシステムにおいて実現することができる。
1812において、ディジタル視野に基づいて、バイオマーカのそれぞれに対する異質性スコアを判定する。
1818において、予知スコアに基づいて、予知の指示(例えば、被験者において癌が再発する可能性が高いか否かの指示1790)を出力する。
コンピュータ実装方法は、それぞれのバイオマーカ抗体で検出可能に標識された(例えば、本明細書において説明したように、複数のバイオマーカに対して)乳癌サンプルを描写するそれぞれの画像内におけるそれぞれの複数のディジタル視野を受け取ることによって、被験者に対する免疫組織化学複合スコアを計算することができる。
次いで、免疫組織化学複合スコアを計算することができる。このような計算は、1つのバイオマーカに対する陽性百分率を第2バイオマーカに対する陽性百分率と組み合わせることを含むことができる。
本明細書において説明したように、バイオマーカは、HER2を含むことができ、IHC複合スコアの計算は、HER2スコア(例えば、等級分け、二進等)を含むことができる。
図17の例では、領域的異質性を判定するために、バイオマーカERおよびPRが使用される。実際には、バイオマーカの異なる組み合わせの異質性を計算し、IHC複合スコアと組み合わせて予知スコアを生成することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、多重化のシナリオにおいてバイオマーカを測定することができる。例えば、本明細書において説明したように、例えば、異なる標識がなされた副抗体を使用することによって、このように標識されたタンパク質が区別可能である限り、1つの組織区間を1つよりも多い抗体(2つの異なるバイオマーカに特定的な2つの抗体等)で標識することができる。
本明細書における例のいずれにおいても、組織染色を実施するために組織マイクロアレイ技法を適用することができる。例えば、複数の組織サンプルを1つの基板に付着させることができ、複数の染色剤(例えば、標識された抗体)をこれらのサンプルに適用することができる(例えば、組織サンプル毎に異なる薬剤)。次いで、本明細書において説明した技法は、本明細書において説明したように、1つ以上のスコアを判定するために使用することができる(例えば、検出可能に標識された組織サンプルの画像に基づいて)。
本明細書における例のいずれにおいても、統計的評価によって閾値を導くことができる。例えば、訓練および検査を使用して切断点を決定し、危険性が高い患者および低い患者を最良に定める最適な切断点の妥当性を判断することができる。
図19は、バイオマーカに対する異質性スコアを計算するための示差エンジン(difference engine)1940を含むシステム例1900のブロック図である。所望に応じて、図9および/または図17の特徴を組み込むまたは混在させることができる。
図20は、本明細書において説明した乳癌予知技術において使用する異質性スコアを計算するためのコンピュータ実装方法例2000のフローチャートであり、例えば、図19に示したシステムにおいて実装することができる。
2020において、バイオマーカに対する異質性スコアを出力する(例えば、本明細書において説明した技術において使用するため)。
図21は、画像内においてディジタル視野を示すユーザ・インターフェース例2100のスクリーンショットである。ユーザ・インターフェースは、入力を受け入れるためにユーザに提示されるウィンドウ、画面、ペイン等の形態を成すことができる(例えば、表示されたスライド画像上における視野の指示)。
図22は、ディジタル病理医ワークフロー・コンピュータ実装方法例2200のフローチャートである。画像上(例えば、内部)における視野の選択を容易にするために、ディジタル病理医ワークフローをサポートすることができる。
2218において、異質性スコア用の視野に対するタンパク質発現値を測定し、これから異質性スコアを計算する。それぞれの他のバイオマークに対する1つ以上の他の異質性スコアも同様に得ることができる。
2222において、乳癌再発予知スコアに基づく乳癌再発予知の指示を表示する(例えば、見ている病理医による検討のため)。
本明細書における例のいずれにおいても、スライド全体を表すように、IHC複合スコア用に視野を選択することができる。病理医に提示されるユーザ・インターフェースは、そのように指示することができる。
A.生物学的サンプル
被験者から生物学的サンプルを得る方法は、当技術分野では周知である。例えば、胸部組織または胸部細胞を得る方法は型どおりの手順である。例えば、細胞物質を含有する腫瘍からのサンプルは、その腫瘍の全部または一部の外科的切除によって、腫瘍から微細針吸引液を収集することによって、そして当技術分野において周知である他の方法によって得ることができる。
1.エストロゲン受容体(ER)(OMIM:133430)
人エストロゲン受容体(ERまたはESR)は、α(ESRI)およびβ(ESR2)と呼ばれる、2つの異なる形態を有する。ERαは、乳癌細胞において見られる形態である。ERαは、例えば、GenBank(R)から公に入手可能なシーケンスである(例えば、アクセッション番号 NP_001116214.1,NP_001116213.1,P03372.2(タンパク質),NM_000125.3,NM_001122741.1,NM_178850.2(ヌクレオチド))。
人HER2遺伝子は、染色体17(17q21-q22)上に位置する。HER2シーケンスは、例えば、GenBank(R)から公に入手可能である(例えば、アクセッション番号 NP_001005862.1,P04626.1,NP_004439.2(タンパク質),NM_001005862.1,NM_001982.3(ヌクレオチド))。
HER2発現を測定するための抗体は、Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA)、Thermo Scientific Pierce Antibodies (Rockford, IL)、 GeneTex (Irvine, CA)、ARP American Research Products, Ventana Medical Systems, Inc. (Tucson, AZ) 、またはAbcam(Cambridge, MA)からというように、公に入手可能であり、例えば、Ventanaからの Cat. Nos. 790-2991(クローン4B5)、Santa Cruz Biotechnology からのsc-08、sc-81528、およびsc-136294 、ならびにAbcamからの ab2428、abl6901、またはab36728がある。
人のKi−67遺伝子は、染色体10上に位置する。Ki−67シーケンスは、例えば、GenBank(登録商標)から公に入手可能である。(例えば、アクセッション番号 NP_001139438.1、P46013.2,NP_002408.3(タンパク質),NM_001040058.1,NM_001145966.1(ヌクレオチド))。
人のPR遺伝子(核受容体サブファミリ3,グループC、メンバー3、NR3C3としても知られる)は、染色体11q22に位置する。PRシーケンスは、例えば、GenBank(登録商標)(例えば、アクセッション番号NP_000917.3,AAA60081.1.AAS00096.1(タンパク質),NM_001202474.1,NM_000926.4(ヌクレオチド))から公に入手可能である。
PR発現を測定するための抗体は、Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA)、Thermo Scientific Pierce Antibodies (Rockford, IL)、GeneTex (Irvine, CA)、ARP American Research Products、Ventana Medical Systems, Inc. (Tucson, AZ)、またはAbeam (Cambridge, MA)からというように、公に入手可能であり、例えば、VentanaからのCat. Nos. 790-2223(クローンIE2)、Santa Cruz Biotechnologyからのsc-810,sc-811,sc-539、およびAbcamからのab2765,ab2764,ab68195がある。
本明細書において示し、公に入手可能な特定のER,HER2,Ki−67,PRに加えて、当業者は、このような配列の変異体が特定の被験者には存在し得ることを認めよう。例えば、特定の遺伝子またはタンパク質の多相性が存在する場合がある。加えて、配列は異なる有機体間でも変化する場合がある。特定的な例では、配列変異体は、その対応する天然配列の生物学的活動を保持する。例えば、特定の被験者内に存在するER,HER2,Ki−67,PR配列が、1から5または1から10の保存アミノ酸置換のような、保存アミノ酸変化(非常に高く保存された置換、高く保存された置換、または保存された置換)を有する可能性がある。保存アミノ酸置換の例をテーブル1に示す。
特定的な例では、被験者から得られたサンプルが、乳癌サンプルのように、ER,HER2,Ki−67,PRタンパク質を含有するか否か判定するために、このサンプルが分析される。つまり、サンプルにおけるER,HER2,Ki−67,PRタンパク質の存在、例えば、定性的または定量的測定値を検出または測定するために、サンプルを分析することができる。また、タンパク質発現の異質性を判定するために、ER,HER2,Ki−67,PRタンパク質の発現パターンも使用することができる。
IHC複合(例えば、IHC4)スコアを計算するために、検出可能に標識されたER,HER2,Ki−67,PR(例えば、1,2,3,4枚のスライドというような、1枚以上のスライド)を含む乳癌サンプルが使用される。一例では、乳癌サンプルには、ER,HER2,Ki−67,PRの各々に特定的な主抗体で、更にしかるべく標識された副抗体(蛍光体、またはDIGのような酵素で標識されたもの等)で標識することができる。一例では、ultraView Red ISH DIG検出キットが、製造業者の指示通りに(Ventana Medical Systems, Inc., Catalog # 760-505)使用される。
IHC4 = 94.7 × {−0.100ER10 − 0.079PR10 + 0.586HER2 + 0.240In(1 + 10 × Ki67)}
E.異質性スコアの計算
異質性とは、乳癌サンプルにおける乳癌バイオマーカER,HER−2,Ki−67,PRに対する染色パターンのような、組織化学的および分子染色パターンの空間的ばらつきを指す。異質性は、腫瘍の進行性および/または成長パターンの空間的ばらつきの指標となることができ、統合臨床表現型(例えば、再発する可能性が高い腫瘍)と相関付けることができる。ここでは、ER,PR,HER2,Ki−67タンパク質発現の生物学的異質性が、早期乳癌患者の一部(fraction)の予測不可能な再発と相関付けられることを示す。
ER,Ki−67,HER2,PRタンパク質の各々について、異質性スコアが判定される。ある例では、例えば、サンプルがHER2陰性である場合、HER2は判定されない(またはHER2に対する異質性がないので、値は外れる)。ある例では、例えば、Ki−67は判定されない(またはKi−67に対する異質性がないので、値は外れる)。
VM=STD(PPFS1),PP(FS2),...,PP(FSN))
ここで、PP(FS)は、視野FS毎の陽性百分率である。陽性百分率は、本明細書において説明したように計算することができる。次いで、マーカ(例えば、ERおよびPR)に対する異質性スコアは、次の式を使用して計算される。
以下のテーブルは、本明細書において説明したように、領域的異質性を含む、異なるタイプの異質性を示す。
出力予知スコアは、以上で説明したIHC複合スコアおよび異質性スコアから計算される。複合異質性スコアは、以下のように生成され、更に他のバイオマーカを含むように調節することができる。
複合異質性スコア = 二乗根(ER異質性スコア + PR異質性スコア)
IHC複合スコアおよび複合異質性スコアは、双方の尺度の複合予測能力が最大になるように、統計分析方法(例えば、Coxの比例ハザード・モデル)に入力される。例えば、このモデルは、1,3,5年のPFSのような成果として進行のない生存(PFS:progression-free survival)を判定するため、またはそれ以外で患者をカテゴリに分けるために使用することができる。
出力予知スコア = 0.03114 × IHC4 + 1,95119 × 複合異質性スコア
このように、出力予知スコアは、高危険性スコア(例えば、5年以内に、局所再発または遠隔転移のように、早期乳癌が再発する可能性が高いことを示す)、または低危険性スコア(早期乳癌が再発しそうもないことを示す)のいずれかとなる。
IHC複合スコアの判定に続いて、異質性スコア、ならびに出力予知スコア、分析評価結果(出力予知スコア等)、発見、予知、予測、および/または処置の推奨が、通例、記録され、例えば、技師、外科医、および/または患者に伝えられる。ある種の実施形態では、このような情報を、患者および/または担当する外科医のような、当事者に伝えるためにコンピュータが使用される。乳癌の予知に基づいて、被験者に施される療法を変更することができる。
開示する方法は、更に、例えば、サンプルに早期乳癌が起こる可能性が高いと予知された場合、乳癌の処置のために被験者を選択するステップも含むことができる。あるいは、開示する方法は、更に、サンプルに早期乳癌が再発しそうもないと診断された場合、処置しない(例えば、単なる監視)被験者を選択するステップも含むことができる。
本明細書における例のいずれにおいても、スコア構成要素は、1つ以上のバイオマーカに対する遺伝子の発現(例えば、陽性百分率等)、H−スコア、等級スコア、二進スコア等の測定値を指すことができる。
更なる説明例
IHC計算および異質性測定では、手作業の顕微鏡測定法による採点の代わりに、スライドをディジタル化することができ、自動化された画像分析アルゴリズムが、病理医によって選択された視野(FOV)に対して、陽性百分率、等級スコア(例えば、更に二進スコアに変換する)、およびH−スコアを計算することができる。
計算システム例
図23は、説明した様々な革新(innovation)を実現することができるのに適した計算システム2300の一般化した例を示す。計算システム2300は、使用範囲や機能に関して何ら限定を示唆することは意図していない。何故なら、本革新は様々な汎用または特殊目的計算システムにおいて実現できるからである。本明細書において説明する計算システムは、自動機能を実現するために使用することができる(例えば、プロセス、アクション等が、ここで説明する計算システムによって実行される)。
本明細書におけるコンピュータ読み取り可能媒体はいずれも、非一時的(例えば、メモリ、磁気ストレージ、光ストレージ等)とすることができる。
本明細書において説明した方法はいずれも、1つ以上のコンピュータ読み取り可能記憶デバイス(例えば、メモリ、磁気ストレージ、光ストレージ等)に格納されたコンピュータ実行可能命令によって実現することができる。このような命令は、コンピュータに本方法を実行させることができる。
この例は、早期乳癌再発の危険性を予測するために使用される方法について説明する。
約20人の患者からの乳癌サンプルを、ER,PR,HER2,Ki−67で特定的な抗体で標識した。
IHC4 = 94.7 × {−0.100ER10 − 0,79PR10 + 0.586HER2 + 0.240 In(1 + 10 × Ki67)}
IHC4スコアおよび12個の異質性値(ER,PR,HER2,Ki−67の各々のための3つのFOVの各々に1つずつ)を使用して、遠隔再発までの時間をモデル化するコックスの比例ハザード・モデルを用いて、異質性尺度およびIHC4スコアの各々をモデル化した。3つの異質性尺度は非常に類似しており、したがって、4回の分析評価の各々に、最初の異質性尺度を使用した。
異質性スコアの単位(unit)が変わる毎に、遠隔再発の危険性において同じ増加が生ずるという仮定があるので、異質性スコアと危険性との関係が線形か否か判定する。データを変換し(二乗根、自然対数等を求める)、変換した変数をコックス・モデルに入力した。二乗根を選択したのは、これが予測能力を最も高めたからである。
出力危険性スコア = 1.95119×(二乗根(HETPR + HETER)) + 0.03114 × IHC4
図24に示すように、この方法は、乳癌サンプルを高い進行性(悪化)または低い進行性(悪化せず)に正確に分類した。図24に示す事例は、このアルゴリズムを作成するために使用した同じ事例である。
代替態様
いずれの例からの技術でも、他の例のいずれの1つ以上において説明した技術とでも組み合わせることができる。本開示の原理を応用することができる多くの可能な実施形態を考慮して、例示した実施形態は本開示の例に過ぎず、本開示の範囲を限定するように捕らえてはならないことは、認められてしかるべきである。逆に、本開示の範囲は、以下の請求項によって定められる。したがって、これらの請求項の範囲および主旨に該当する全てを、本発明として特許請求する。
Claims (52)
- コンピュータ実装方法であって、
バイオマーカ用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する表示画像内における複数のディジタル視野間においてバイオマーカに対して測定したタンパク質異質性と、被験者に対する免疫組織化学複合スコアとに少なくとも部分的に基づいて、乳癌再発予知スコアを生成するステップであって、前記乳癌サンプルが前記被験者から得られる、ステップと、
前記乳癌再発予知スコアに基づいて、前記被験者に対する乳癌再発予知の指示を出力するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。 - 請求項1記載の方法をコンピュータ・システムに実行させるコンピュータ実行可能命令を含む1つ以上の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
- 請求項1記載の方法において、
前記バイオマーカが、エストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PR)を含む1群の中から選択された1つ以上である、方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記バイオマーカが、Ki−67、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、エストロゲン受容体(ER)、およびプロゲステロン受容体(PR)を含む一群の中から選択された1つ以上である、方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記被験者に対する前記免疫組織化学複合スコアが、前記乳癌サンプルから生成される、方法。 - 請求項1記載の方法であって、更に、
複数の視野を受け取るステップと、
前記複数のディジタル視野間において前記バイオマーカに対するタンパク質異質性を測定するステップと、
前記被験者に対する免疫組織化学複合スコアを受け取るステップと
を含む、方法。 - 請求項6記載の方法において、
前記複数のディジタル視野間において前記バイオマーカに対するタンパク質異質性を測定するステップが、領域レベルで空間タンパク質発現異質性を測定するステップを含む、方法。 - 請求項6記載の方法において、
前記バイオマーカに対するタンパク質異質性を測定するステップが、
前記ディジタル視野のそれぞれに対して陽性百分率測定値を決定するステップであって、前記陽性百分率測定値が、前記ディジタル視野のそれぞれにおいて、前記バイオマーカに対して陽性に染色された細胞の百分率を示す、ステップと、
前記ディジタル視野に対する陽性百分率測定値を比較するステップと
を含む、方法。 - 請求項6記載の方法であって、更に、
前記被験者に対して免疫組織化学複合スコアを生成するステップを含む、方法。 - 請求項6記載の方法において、前記バイオマーカが第1バイオマーカを含み、当該方法が、更に、
第2バイオマーカ用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する表示画像内における第2複数のディジタル視野を受け取るステップと、
前記第2複数のディジタル視野間において前記第2バイオマーカに対するタンパク質異質性を測定するステップと
を含み、前記乳癌再発予知スコアが、前記第2バイオマーカに対して測定した前記タンパク質異質性に少なくとも付加的に基づく、方法。 - 請求項10記載の方法において、
前記第2バイオマーカ用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する前記表示画像が、前記第1バイオマーカ用の前記画像に描写された区間とは、前記サンプルの異なる区間を描写する、方法。 - 請求項10記載の方法であって、更に、
前記第1バイオマーカに対する前記測定タンパク質異質性、または前記第2バイオマーカに対する前記測定タンパク質異質性の内少なくとも1つを正規化するステップを含む、方法。 - 請求項10記載の方法であって、更に、
前記第1バイオマーカに対する前記測定タンパク質異質性、および前記第2バイオマーカに対する前記測定タンパク質異質性を、異なる正規化係数によって正規化するステップを含む、方法。 - 請求項1記載の方法であって、更に、
前記乳癌再発予知スコアに対して格納された1つ以上の閾値に基づいて、前記乳癌再発予知の指示を選択するステップを含む、方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記免疫組織化学複合スコアが、エストロゲン受容体(ER)成分、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)成分、Ki−67成分、およびプロゲステロン受容体(PR)成分を含む、方法。 - 画像処理システムであって、
被験者からの乳癌サンプルにおけるそれぞれのバイオマーカに対するタンパク質発現を描写する複数のスライド画像を受け取るように動作可能なスライド画像処理ツールであって、
更に、前記スライド画像内における視野を更に受け取るように動作可能であり、
前記スライド画像および前記スライド画像内における視野に基づいて、免疫組織化学複合スコアを計算するように動作可能であり、
前記スライド画像および前記スライド画像内における視野の選択に基づいて、1つ以上の異質性スコアを計算するように動作可能である
スライド画像処理ツールと、
前記免疫組織化学複合スコアおよび前記1つ以上の異質性スコアを入力として受け入れ、前記被験者において癌が再発する可能性が高いか否かの指示を出力するように動作可能な予知ツールと
を含む、画像処理システム。 - 請求項16記載の画像処理システムであって、更に、
1つ以上のプロセッサと、
メモリと
を含む、画像処理システム。 - コンピュータ実装方法であって、
免疫組織化学複合スコアおよび異質性スコアを組み合わせて、乳癌再発予知スコアを求めるステップと、
前記乳癌再発予知スコアに基づいて、乳癌再発予知の指示を表示するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。 - 請求項18記載の方法であって、更に、
ユーザ・インターフェースを介して、前記免疫組織化学複合スコア用に視野を要求し、前記免疫組織化学複合スコアを判定するために表示された複数のスライド画像内において、前記免疫組織化学複合スコア用に1つ以上の視野を受け取るステップと、
ユーザ・インターフェースを介して、前記異質性スコア用に視野を要求し、前記異質性スコアを判定するために表示された複数のスライド画像内において、前記異質性スコア用に複数の視野を受け取るステップと、
前記免疫組織化学複合スコア用の前記視野に対するタンパク質発現値を測定し、それから前記免疫組織化学複合スコアを計算するステップと、
前記異質性スコア用の前記視野に対するタンパク質発現値を測定し、それから前記異質性スコアを計算するステップと
を含む、方法。 - 請求項19記載の方法において、
タンパク質発現が複数のバイオマーカに対して測定され、
少なくとも1つのバイオマーカに対してタンパク質発現を測定するステップが、前記バイオマーカに対する陽性百分率を計算するステップを含む、方法。 - 請求項19記載の方法において、
前記免疫組織化学複合スコア用の視野を要求する前記ユーザ・インターフェースが、エストロゲン受容体(ER)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、Ki−67、およびプロゲステロン受容体(PR)の各々用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する複数のスライド画像を含み、
前記免疫組織化学複合スコア用に前記1つ以上の視野を受け取るステップが、ER、HER2、Ki−67、およびPRの各々用に1つ以上の視野を受け取るステップを含み、
前記異質性スコア用に視野を要求する前記ユーザ・インターフェースが、ERおよびPRの各々用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する複数のスライド画像を含み、
前記複数の視野に対する前記異質性スコアの指示を受け取るステップが、ERおよびPRの各々用に複数の視野を受け取るステップを含む、方法。 - コンピュータ実装方法であって、
バイオマーカ用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する表示画像内において複数のディジタル視野を受け取るステップと、
前記ディジタル視野において前記バイオマーカに対するタンパク質発現を測定するステップと、
前記複数のディジタル視野間において、前記バイオマーカに対して測定したタンパク質発現の異質性を測定するステップと、
前記バイオマーカに対して測定したタンパク質異質性を出力するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。 - 請求項22記載の方法において、
前記複数のディジタル視野間において、前記バイオマーカに対して測定したタンパク質発現の異質性を測定するステップが、領域レベルで空間タンパク質発現異質性を測定するステップを含む、方法。 - 被験者に対する免疫組織化学複合スコアを計算するコンピュータ実装方法であって、
複数のバイオマーカ用に、それぞれのバイオマーカ抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写するそれぞれの画像内におけるそれぞれの複数のディジタル視野を受け取るステップと、
前記複数のバイオマーカに対して陽性百分率を測定するステップと、
前記免疫組織化学複合スコアを計算するステップであって、前記免疫組織化学複合スコアの計算が、1つのバイオマーカに対する前記陽性百分率を、第2バイオマーカに対する前記陽性百分率と組み合わせることを含む、ステップと、
前記免疫組織化学複合スコアを出力するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。 - 請求項24記載の方法において、
前記バイオマーカがHER2を含み、
前記免疫組織化学複合スコアを計算するステップが、HER2スコアを計算するステップを含む、方法。 - 請求項25記載の方法において、前記免疫組織化学複合スコアを計算するステップが、HER2に対する二進スコアを計算するステップを含む、方法。
- 請求項25記載の方法において、前記免疫組織化学複合スコアを計算するステップが、HER2に対する等級スコアを計算するステップを含む、方法。
- 請求項27記載の方法において、HER2用に複数のディジタル視野があり、HER2に対する等級スコアを計算するステップが、
HER2用の前記複数のディジタル視野に対する分析を集合的に実行するステップを含む、方法。 - 請求項27記載の方法において、HER2に対する等級スコアを計算するステップが、
HER2用の前記ディジタル視野に現れる複数の細胞に対して、それぞれの染色完全性指標および染色強度値を判定するステップと、
前記染色完全性指標および前記染色強度値を分析するステップと、
を含む、方法。 - 請求項29記載の方法において、前記分析するステップが、
完全に染色された細胞の百分率が閾値よりも高いか否か判定するステップを含む、方法。 - 請求項29記載の方法において、前記分析するステップが、
膜中央強度を強い強度閾値と比較するステップを含む、方法。 - 請求項27記載の方法において、HER2に対する等級スコアを計算するステップが、
HER2用の前記ディジタル視野内に現れる複数の核に対して、前記核を包囲する細胞膜が完全に染色されたか否かを判定するステップを含む、方法。 - 請求項27記載の方法において、HER2に対する等級スコアを計算するステップが、
HER2用の前記ディジタル視野内に現れる複数の核に対して、前記核のそれぞれを包囲する細胞膜の染色の強度を判定するステップを含む、方法。 - コンピュータ実装方法であって、
ER用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する画像において、ER用に複数のディジタル視野を受け取るステップと、
ER用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する画像において、PR用に複数のディジタル視野を受け取るステップと、
ER用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する画像において、Ki−67用に複数のディジタル視野を受け取るステップと、
ER用の抗体で検出可能に標識された乳癌サンプルを描写する画像において、HER2用に複数のディジタル視野を受け取るステップと、
ER用の前記ディジタル視野に基づいて、ERに対するH−スコアを計算するステップと、
PR用の前記ディジタル視野に基づいて、PRに対する陽性百分率を計算するステップと、
Ki−67用の前記ディジタル視野に基づいて、Ki−67に対する陽性百分率を計算するステップと、
HER2用の前記ディジタル視野に基づいて、HER2に対する等級スコアを計算するステップと、
前記ERに対するH−スコア、前記PRに対する陽性百分率、前記Ki−67に対する陽性百分率、および前記HER2に対する等級スコアを組み合わせると共に、免疫組織化学複合スコアを求めるステップと
を含む、コンピュータ実装方法。 - 請求項34記載の方法において、前記組み合わせるステップが、前記HER2に対する等級スコアをHER2に対する二進スコアに変換するステップを含む、方法。
- 請求項34記載の方法において、HER2に対して等級スコアを計算するステップが、
前記HER2用のディジタル視野に対して集合的に分析を行うステップを含む、方法。 - 請求項34記載の方法において、HER2に対して等級スコアを計算するステップが、
前記HER2用のディジタル視野内に現れる複数の核に対して、該核を包囲する細胞膜が完全に染色されたか否かを判定するステップを含む、方法。 - 請求項34記載の方法において、HER2に対して等級スコアを計算するステップが、
前記HER2用のディジタル視野内に現れる複数の核に対して、当該核を包囲する細胞膜の染色の強度を判定するステップを含む、方法。 - 被験者において乳癌を予知する方法であって、
エストロゲン受容体(ER)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、Ki−67、およびプロゲステロン受容体(PR)の各々用に少なくとも2つの異なる視野(FOV)を、前記被験者から得られた乳癌サンプルにおいて選択するステップであって、前記サンプルが、ER、HER2、Ki−67、およびPRの各々用の抗体が検出可能に標識される、ステップと、
前記選択したFOVの各々において、ER、HER2、Ki−67、およびPRタンパク質発現を測定するステップと、
免疫組織化学(IHC)複合スコアを判定するステップと、
前記選択したFOVの各々において、ERおよびPRタンパク質異質性を測定するステップと、
ERおよびPRの各々に対してタンパク質異質性スコアを判定するステップと、
前記タンパク質異質性スコアおよび前記IHC複合スコアを組み合わせることによって、出力予知スコアを生成するステップと、
前記出力予知スコアが閾値と一致する場合に、前記被験者における乳癌が進行性である可能性が高いと判定し、前記出力予知スコアが閾値に一致しない場合に、前記被験者における乳癌は進行性でありそうにないと判定するステップと
を含む、方法。 - 請求項39記載の方法において、前記乳癌サンプルが早期乳癌サンプルである、方法。
- 請求項40記載の方法において、前記早期乳癌サンプルが、HER2陰性、ER陽性、およびリンパ節陰性である、方法。
- 請求項39から41までのいずれか一項記載の方法において、乳癌の再発5年危険性を判定する、方法。
- 請求項39から42までのいずれか一項記載の方法であって、更に、ER、HER2、Ki−67、およびPRの各々に対して検出可能に標識された前記乳癌サンプルのディジタル化画像を得るステップを含む、方法。
- 請求項39から43までのいずれか一項記載の方法において、ER、HER2、Ki−67、およびPRタンパク質発現を測定するステップが、
ER、Ki−67、およびPRの各々に対する陽性百分率と、
HER2に対する等級スコアと、
ERに対するH−スコアと、
を判定するステップを含む、方法。 - 請求項39から44までのいずれか一項記載の方法において、IHC複合スコアを判定するステップが、
IHC4 = 94.7 × {−0.100ER10 − 0,079PR10 + 0.586HER2 + 0,240In(1 + 10 × Ki67)}
の式を適用するステップを含み、ER10がERに対するH−スコアであり、PR10がPRに対する調節した陽性百分率スコアであり、HER2がHER2に対する等級スコアであり、Ki67がKi−67に対する陽性百分率である、方法。 - 請求項39から45までのいずれか一項記載の方法において、ER、HER2、Ki−67、およびPRタンパク質異質性を測定するステップが、ER、HER2、Ki−67、およびPRの各々に対する可変性メトリック(VM)を判定するステップを含み、ここで、
VM = STD(PP(FS1),PP(FS2), ....PP(FSN))
であり、PP(FS)が、各視野FSに対する陽性百分率である、方法。 - 請求項39から48までのいずれか一項記載の方法において、出力予知スコアを生成するステップが、
出力予知スコア = 免疫組織化学複合係数 × IHC4 + 異質性係数 × 複合異質性スコア
の式を適用するステップを含み、前記複合異質性スコアが、(ER異質性スコア+PR異質性スコア)の二乗根に等しい、方法。 - 請求項39から49までのいずれか一項記載の方法において、
前記免疫組織化学複合係数が0.03114に等しく、前記異質性係数が1.95119に等しい、方法。 - 請求項39から50までのいずれか一項記載の方法において、前記ステップの1つ以上が、相応しくプログラミングされたコンピュータによって実行される、方法。
- 請求項39から51までのいずれか一項記載の方法において、乳癌サンプルにおいて少なくとも2つの異なるFOVを選択する前記ステップが、病理医によって実行される、方法。
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