JP2013197140A - 半導体薄膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶粒界がTFTのチャネル領域に混入するのを防止可能で且つ平坦な半導体薄膜を提供する。
【解決手段】半導体薄膜10は、絶縁基板上に形成された結晶シリコン薄膜2を備える。結晶シリコン薄膜2は、複数の結晶粒21を含む。複数の結晶粒21の各々は、短冊形の平面形状を有する。そして、複数の結晶粒21は、短冊形の長辺方向が同じになるように配置される。その結果、結晶シリコン薄膜2をTFTのチャネル層へ適用した場合、結晶粒界が存在しないチャネル層を形成できる。
【選択図】図1

Description

この発明は、半導体薄膜およびその製造方法に関するものである。
石英基板上に形成されたアモルファスシリコン(a−Si)膜へ大気圧マイクロ熱プラズマジェット(μ−TPJ)を照射することによって固相結晶化(Solid Phase Crystallization:SPC)、もしくは溶融領域の移動に伴う高速横方向結晶化(High Speed Lateral Crystallization: HSLC)が生じることが知られている(非特許文献1)。
高速横方向結晶化によって形成したシリコン薄膜における結晶粒界は、樹状模様で形成される。
S. Hayashi et. al., Appl. Phys. Express 3 (2010) 061401.
しかし、非特許文献1に記載された高速横方向結晶化を用いてシリコン薄膜を形成した場合、結晶粒界は、樹状模様で形成されるため、結晶粒界がTFT(Thin Film Transistor)のチャネル領域内へ混入するという問題がある。また、結晶化した膜の表面凹凸が大きいため、ゲート絶縁膜の耐圧が低くなり薄膜化が困難という問題がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、結晶粒界がTFTのチャネル領域に混入するのを防止可能で且つ平坦な半導体薄膜を提供することである。
また、この発明の別の目的は、結晶粒界がTFTのチャネル領域に混入するのを防止可能で且つ平坦な半導体薄膜の製造方法を提供することである。
この発明の実施の形態によれば、半導体薄膜は、絶縁基板と、結晶シリコン薄膜とを備える。結晶シリコン薄膜は、絶縁基板上に形成され、複数の結晶粒からなる。そして、複数の結晶粒の各々は、短冊形の平面形状を有し、複数の結晶粒は、短冊形の長辺方向が同じ方向になるように配置されている。
また、この発明の実施の形態によれば、半導体薄膜の製造方法は、アモルファスシリコン膜を絶縁基板上に形成する第1の工程と、直流アーク放電によって熱プラズマジェットを発生するための電力とアモルファスシリコン膜を掃引する掃引速度とによって規定され、かつ、アモルファスシリコン膜から固相で結晶成長する第1の領域と、熱プラズマジェットを発生するための電力と掃引速度とによって規定され、かつ、アモルファスシリコン膜から固相で結晶成長した結晶粒を核としてアモルファスシリコン膜の完全溶融状態から結晶成長する第2の領域との間に存在する結晶成長領域においてアモルファスシリコン膜から結晶粒が成長するように熱プラズマジェットを発生するための供給電力と掃引速度とを決定する第2の工程と、第2の工程において決定した供給電力を用いた直流アーク放電によって熱プラズマジェットを発生する第3の工程と、第2の工程において決定した掃引速度でアモルファスシリコン膜を掃引しながら、第3の工程において発生した熱プラズマジェットをアモルファスシリコン膜に照射する第4の工程とを備える。
この発明の実施の形態によれば、半導体薄膜は、短冊形の平面形状を有し、短冊形の長辺方向が同じ方向になるように配置された複数の結晶粒からなる結晶シリコン薄膜を備える。その結果、結晶シリコン薄膜をTFTのチャネル層に応用する場合、短冊形の長辺方向がチャネル層の長さ方向になるようにTFTが作製される。
従って、結晶粒界がTFTのチャネル領域に混入するのを防止できる。
また、この発明の実施の形態によれば、半導体薄膜の表面は平坦である。その結果、結晶シリコン薄膜をTFTのチャネル層に応用する場合、ゲート絶縁膜の薄膜化が可能となる。
また、この発明の実施の形態によれば、半導体薄膜の製造方法は、直流アーク放電によって熱プラズマジェットを発生するための電力とアモルファスシリコン膜を掃引する掃引速度とによって規定され、かつ、アモルファスシリコン膜から固相で結晶成長する第1の領域と、熱プラズマジェットを発生するための電力と掃引速度とによって規定され、かつ、アモルファスシリコン膜から固相で結晶成長した結晶粒を核としてアモルファスシリコン膜の完全溶融状態から結晶成長する第2の領域との間に存在する結晶成長領域においてアモルファスシリコン膜から結晶粒が成長するように熱プラズマジェットを発生するための供給電力と掃引速度とを決定し、その決定した供給電力と掃引速度とを用いて結晶シリコン薄膜を製造する。その結果、短冊形の平面形状を有し、短冊形の長辺方向が同じ方向になるように配置された複数の結晶粒からなる結晶シリコン薄膜が形成される。
従って、結晶シリコン薄膜をTFTのチャネル層に応用する場合、短冊形の長辺方向がチャネル層の長さ方向になるようにTFTが作製されるので、結晶粒界がTFTのチャネル領域に混入するのを防止できる。また、半導体薄膜の表面を平坦にできる。
この発明の実施の形態による半導体薄膜の平面図である。 図1に示す線II−II間における半導体薄膜の断面図である。 図1に示す半導体薄膜を製造する半導体製造装置の構成図である。 図3に示す半導体製造装置の動作を説明するための概念図である。 供給電力および掃引速度によって規定される結晶成長領域を示す図である。 この発明の実施の形態による半導体薄膜を製造する製造方法を示す工程図である。 ラマン散乱スペクトルを示す図である。 Si薄膜の光学顕微鏡写真を示す図である。 高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜の電子顕微鏡写真を示す図である。 高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜の高速度カメラで撮影した写真を示す図である。 図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜の電子顕微鏡写真を示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による半導体薄膜の平面図である。また、図2は、図1に示す線II−II間における半導体薄膜の断面図である。
図1および図2を参照して、この発明の実施の形態による半導体薄膜10は、絶縁基板1と、結晶シリコン薄膜2とを備える。
結晶シリコン薄膜2は、絶縁基板1の一主面上に配置される。結晶シリコン薄膜2は、例えば、100nm程度の膜厚を有する。そして、結晶シリコン薄膜2は、複数の結晶粒21を含む。
結晶粒21は、結晶シリコンからなり、短冊形の平面形状を有する。結晶粒21は、結晶シリコン薄膜2の厚み方向に繋がっている。そして、複数の結晶粒21は、短冊形の長辺方向が同じになるように配置される。
図3は、図1に示す半導体薄膜10を製造する半導体製造装置の構成図である。図3を参照して、半導体製造装置100は、架台101と、圧電素子102と、プラズマ源110と、測定装置130と、制御装置140と、XYステージ150とを備える。
圧電素子102は、一方端が架台101に固定され、他方端がプラズマ源110に連結される。
プラズマ源110は、陽極111と、絶縁体112,113と、陰極114と、ガス導入管115と、給水管116と、排出管117と、電源回路120とを含む。
陽極111は、概略、中空の円筒形状からなり、XYステージ150側に噴出口118を有する。また、陽極111は、その内部に中空部分119を有する。そして、陽極111は、例えば、熱伝導率が高い銅(Cu)からなる。
絶縁体112は、陽極111と導体113との間に陽極111および導体113に接して配置される。そして、絶縁体112は、例えば、アルミナおよびセラミックス等からなる。
導体113は、略十字形状を有する。そして、導体113のうち、水平方向DR1に配置された部分は、絶縁体112に接して配置される。また、導体113のうち、上下方向DR2に配置された部分は、陽極111の噴出口118の方向へ突出するとともに、一方端が尖っており、他方端が圧電素子102に連結されている。さらに、導体113は、陰極114を挿入するための孔を有する。そして、導体113は、例えば、Cuからなる。
絶縁体112が陽極111および導体113に接するように配置されることによって、内部空間121が形成される。
陰極114は、導体113に挿入されるとともに、一方端側が導体113から露出する。また、陰極114は、その一方端が噴出口118に向かって尖っている。そして、陰極114は、例えば、タングステン、タンタル、ルテニウム、およびジルコニウム等の熱陰極金属材料からなる。
ガス導入管115は、その一方端側が陽極111を貫通して内部空間121に達するように陽極111に固定される。そして、ガス導入管115は、アルゴン(Ar)ガスを保持するガスボンベ(図示せず)に連結されている。給水管116は、その一方端側が陽極111を貫通して中空部分119に達するように陽極111に固定される。排出管117は、その一方端側が陽極111を貫通して中空部分119に達するように陽極111に固定される。
噴出口118は、例えば、800μmφの直径を有する。電源回路120は、陽極111と陰極114との間に電気的に接続される。測定装置130は、その底面130Aが陽極111の底面111Aに一致するように陽極111の外周面に設置される。XYステージ150は、支持部材(図示せず)によって架台101に固定される。
圧電素子102は、制御装置140から電圧が印加されると、上下方向DR2に伸縮し、プラズマ源110を上下方向DR2へ移動させる。
プラズマ源110は、電源回路120から直流電圧が印加され、ガス導入口115からArガスが内部空間121へ供給されると、直流アーク放電によって熱プラズマジェットを発生する。そして、プラズマ源110は、その発生した熱プラズマジェットを噴出口118から放射する。
ガス導入管115は、Arガスをガスボンベ(図示せず)からプラズマ源110の内部空間121へ供給する。この場合、内部空間121は、大気圧に設定される。
給水管116は、冷却水を陽極111の中空部分119へ供給する。排出管117は、陽極111の中空部分119から冷却水を排出する。
電源回路120は、陽極111がプラスになり、陰極114がマイナスになるように、直流電圧を陽極111−陰極114間に印加する。
測定装置130は、制御装置140からの制御に従って、XYステージ150に設置された基板1と噴出口118との距離を測定する。より具体的には、測定装置130は、レーザ変位計からなり、レーザ光を基板1に照射したときに発生するレーザ光の干渉に基づいて基板1と噴出口118との距離dを測定する。距離dが半波長分変わると、干渉波が1振動するので、測定装置130は、干渉波の振動数を検出して距離dを測定する。そうすると、測定装置130は、その測定した距離dを制御装置140へ出力する。
制御装置140は、信号DSを測定装置130へ出力する。また、制御装置140は、距離Lを測定装置130から受け、その受けた距離Lに基づいて、基板1と噴出口118との距離が所望の距離に設定されるように、圧電素子102に電圧を印加する。
半導体製造装置100においては、基板1と噴出口118との距離は、例えば、1mmに設定される。制御装置140は、測定装置130によって測定された距離Lが1mmになるように電圧を圧電素子102に印加する。
半導体製造装置100は、プラズマ源110によって熱プラズマジェットを発生し、その発生した熱プラズマジェットを基板1上に形成されたアモルファスシリコン(a−Si)膜に照射することによって、a−Si膜を結晶化する。
この場合、半導体製造装置100は、基板1と噴出口118との距離dを1mmに設定することによってa−Si膜を結晶化する。
なお、図3においては、図示されていないが、陰極114も、陽極111と同じ方法によって冷却されている。
半導体製造装置100における動作について説明する。図4は、図3に示す半導体製造装置100の動作を説明するための概念図である。
図4を参照して、a−Si膜20が形成された基板1をXYステージ150に設置する。このa−Si膜20は、例えば、シラン(SiH)ガスを用いたプラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)法によって形成された水素化アモルファスシリコンを450℃で1時間熱処理した水素を脱離したものである。なお、a−Si膜20の膜厚は、例えば、100nmである。
そして、a−Si膜20を結晶化する場合、制御装置140は、測定装置130によって測定された距離dが1mmになるように電圧を圧電素子102に印加する。これによって、基板1と噴出口118との距離が1mmに設定される。
その後、ガス導入管115は、内部空間121の圧力が大気圧になるように、Arガスをガスボンベ(図示せず)からプラズマ源110の内部空間121へ供給する。この場合、Arガスの流量は、例えば、1.0〜10.0リットル/分である。また、給水管116は、冷却水を陽極111の中空部分119に供給するとともに、排出管117は、陽極111の中空部分119から冷却水を排出する。これによって、陽極111は、冷却される。
引き続いて、電源回路120は、例えば、1.2kWの直流電力を陽極111−陰極114間に印加する。そうすると、陰極114は、先端部から熱プラズマジェットTPJを発生し、その発生した熱プラズマジェットTPJを噴出口118を介してa−Si膜20に照射する。この場合、移動機構(図示せず)によってプラズマ源110を800〜1800mm/sの速度で移動させる。
その結果、a−Si膜20のうち、熱プラズマジェットTPJが照射された部分の近傍が結晶化され、結晶シリコン201が形成される。この結晶シリコン201は、短冊形の平面形状を有し、短冊形の長辺方向の長さが数十μm以上である。
図5は、供給電力および掃引速度によって規定される結晶成長領域を示す図である。図5において、縦軸は、熱プラズマジェットTPJを発生するための供給電力を表し、横軸は、プラズマ源110の掃引速度(=a−Si膜20の掃引速度)を表す。
また、直線k1よりも右側の領域REG1は、剥離によって結晶シリコン薄膜が成長しない領域である。直線k1と直線k2との間の領域REG2は、高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶シリコン薄膜が成長する領域である。より具体的には、領域REG2は、アモルファスシリコン膜から固相で結晶成長した結晶粒を核としてアモルファスシリコン膜の完全溶融状態から結晶成長する領域である。直線k2と直線k3との間の領域REG3は、短冊形の結晶粒からなる結晶シリコン薄膜が成長する領域である。直線k3と直線k4との間の領域REG4は、固相で結晶が成長する領域である。直線k4よりも右側の領域REG5は、結晶化しない領域である。そして、領域REG1〜REG5の各々は、熱プラズマジェットTPJを発生するための供給電力と、a−Si膜20の掃引速度とによって規定される領域である。
更に、図5における丸印は、実験ポイントである。
図5を参照して、図1に示す半導体薄膜10の結晶シリコン薄膜2は、領域REG2と領域REG4との間に存在する領域REG3における結晶成長によって生成される。即ち、領域REG3内に入るように、熱プラズマジェットTPJを発生するための供給電力と、a−Si膜20の掃引速度とを決定し、その決定した供給電力で発生した熱プラズマジェットTPJをa−Si膜20に照射し、その決定した掃引速度でa−Si膜20を掃引することによって、短冊形の平面形状を有する結晶粒21からなる結晶シリコン薄膜2がa−Si膜20から生成される。
図6は、この発明の実施の形態による半導体薄膜10を製造する製造方法を示す工程図である。
図6を参照して、半導体薄膜10の製造が開始されると、絶縁基板1上にa−Si膜20を形成する(工程S1)。このa−Si膜20は、1×1018cm−3以下の水素濃度を有する。従って、a−Si膜20は、プラズマCVD法によって水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)膜を形成し、その後、a−Si:H膜を450℃程度の温度で熱処理して形成してもよく、300〜500℃の基板温度で熱CVD法によって形成されてもよく、水素濃度が1×1018cm−3以下になる形成方法であれば、どのような形成方法を用いて形成されてもよい。
工程S1の後、直流アーク放電によって熱プラズマジェットTPJを発生するための電力とa−Si膜を掃引する掃引速度とによって規定され、かつ、a−Si膜から固相で結晶成長する第1の領域(REG4)と、熱プラズマジェットTPJを発生するための電力と掃引速度とによって規定され、かつ、a−Si膜から固相で結晶成長した結晶粒を核として結晶成長する第2の領域(REG2)との間に存在する結晶成長領域(REG3)においてa−Si膜20から結晶粒が成長するように熱プラズマジェットTPJを発生するための供給電力と掃引速度とを決定する(工程S2)。
そして、工程S2で決定した供給電力を用いた直流アーク放電によって熱プラズマジェットTPJを発生する(工程S3)。
その後、工程S2で決定した掃引速度でa−Si膜20を掃引しながら、工程S3で発生した熱プラズマジェットTPJをa−Si膜20に照射する(工程S4)。
これによって、半導体薄膜10が製造される。
図7は、ラマン散乱スペクトルを示す図である。図7において、縦軸は、強度を表し、横軸は、ラマンシフトを表す。
また、曲線k5は、高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜のラマン散乱スペクトルを示し、曲線k6は、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2のラマン散乱スペクトルを示し、曲線k7は、固相で結晶成長させた結晶シリコン薄膜のラマン散乱スペクトルを示し、曲線k8は、a−Si膜20のラマン散乱スペクトルを示し、曲線k9は、c−Siのラマン散乱スペクトルを示す。
なお、図7に示すラマン散乱スペクトルは、基板1と噴出口118との距離dが1.0mmであり、Arガスの流量が2.8リットル/分である条件を用いて作製した結晶シリコン薄膜のラマン散乱スペクトルである。
図7を参照して、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2は、結晶シリコンに起因するピークを有し、a−Siに起因するピークを有さない(曲線k6,k8参照)。
また、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2は、固相で結晶成長させた結晶シリコン薄膜よりも鋭いピークを有する(曲線k6,k7参照)。
更に、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2は、c−Siのピークよりも低波数側にピークを有する(曲線k6,k9参照)。
ラマン散乱スペクトルにおけるピーク位置、ピークの半値幅および結晶化率を表1に示す。
表1に示すように、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2は、高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜とほぼ同じ位置にピークを有する。
また、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2は、100%の結晶化率を有し、完全に結晶化していることが解る。
更に、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2は、高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜よりも半値幅が小さく、c−Siとほぼ同じ半値幅を有する。
従って、結晶シリコン薄膜2は、高品質な結晶シリコンからなることが解る。
図8は、Si薄膜の光学顕微鏡写真を示す図である。図8の(a)は、高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜の光学顕微鏡写真を示し、図8の(b)は、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2の光学顕微鏡写真を示し、。図8の(c)は、固相で結晶成長させた結晶シリコン薄膜の光学顕微鏡写真を示す。なお、図8において、熱プラズマジェットTPJは、右側から左側へ走査された。
高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜は、樹状の結晶粒が形成されていることが解る(図8の(a)参照)。
一方、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2および固相で結晶成長させた結晶シリコン薄膜は、平坦な表面モフォロジーを有する。
図9は、高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜の電子顕微鏡写真を示す図である。
なお、図9に示す電子顕微鏡写真は、結晶シリコン薄膜をセコエッチした後の電子顕微鏡写真である。また、(b)は、(a)の一部を拡大したものである。
図9を参照して、高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜は、表面は凹凸が大きく、樹状の結晶粒からなることが解る。
図10は、高速横方向結晶化(HLSC)によって結晶成長させた結晶シリコン薄膜の高速度カメラで撮影した写真を示す図である。
図10において、黒い部分が熱プラズマジェットTPJによってSiが溶融した領域である。
熱プラズマジェットTPJの照射によって、a−Si膜は、最初、固相成長し、融点以上に達した溶融領域が形成される。Siの溶融領域は、a−Si膜が走査されているので、楕円形状になっている。
溶融領域が通過した後に、Si結晶は、固相成長によって形成された結晶粒を核としてHSLC領域端から中央に向かう結晶成長が誘起された。従って、結晶成長した結晶の幅は、HSLC領域端では、小さく、中心に近づくとともに拡大される。この場合、結晶粒は、固液界面に対し、垂直に結晶成長し、溶融領域が移動することによって、樹状模様の形状になる。
このように、高速横方向結晶化(HLSC)においては、熱プラズマジェットTPJの照射によって溶融領域が形成され、その形成された溶融領域に垂直な方向に結晶粒が結晶成長する。
図11は、図6に示す製造方法によって製造した結晶シリコン薄膜2の電子顕微鏡写真を示す図である。
なお、図11に示す電子顕微鏡写真は、結晶シリコン薄膜2をセコエッチした後の電子顕微鏡写真である。また、(b)は、(a)の一部を拡大したものである。
図11を参照して、熱プラズマジェットTPJが楕円形状に照射されている痕跡が観測されており、中心部においては、図11の紙面上、横方向に配列された結晶粒が観測された((a)参照)。
この中央部分を拡大した(b)においては、短冊形の結晶粒が多数観測され、複数の結晶粒は、短冊形の長辺方向がほぼ同じ方向になるように配列されている。
このように、結晶シリコン薄膜2においては、図9および図10に示した高速横方向結晶化(HLSC)による結晶シリコン薄膜と異なる結晶粒が成長している。そして、高速横方向結晶化(HLSC)においては、溶融領域に垂直な方向に結晶粒が結晶成長し(図10参照)、結晶粒は、樹状の形状を有する(図9参照)。
一方、図6に示す製造方法による結晶成長においては、熱プラズマジェットTPJが楕円形状に照射された痕跡が残っており、結晶シリコン薄膜2は、短冊形の結晶粒を含む。図6に示す製造方法による結晶成長の領域(REG4)は、高速横方向結晶化(HLSC)による結晶成長の領域(REG2)と固相による結晶成長の領域(REG4)との間に存在する。
従って、図6に示す製造方法による結晶成長においては、溶融領域が形成されずにa−Si膜20から結晶粒が結晶成長するものと考えられる。
そして、結晶シリコン薄膜2をチャネル層に適用したTFTにおいて、約500cm/V・sの移動度が得られた。
結晶シリコン薄膜2をTFTへ応用する場合、チャネル層の長さ方向が短冊形の長辺方向になるように結晶シリコン薄膜2を用いてTFTを作製するので、チャネル層に結晶粒界が存在しない。従って、高い移動度を得ることができる。また、結晶シリコン薄膜2の表面は、平坦であるので、結晶シリコン薄膜2をTFTのチャネル層に応用する場合、ゲート絶縁膜を薄膜化できる。
このように、図6に示す製造方法を用いれば、結晶粒界がTFTのチャネル領域に混入するのを防止できるとともに、結晶シリコン薄膜2の表面を平坦化できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、半導体薄膜およびその製造方法に適用される。
1 絶縁基板、2 結晶シリコン薄膜、10 半導体薄膜、20 a−Si膜、21 結晶粒、100 半導体製造装置、101 架台、102 圧電素子、110 プラズマ源、111 陽極、112 絶縁体、113 導体、114陰極、115 ガス導入管、116 給水管、117 排出管、118 噴出口、119 中空部分、120 電源回路、121 内部空間、130 測定装置、140 制御装置、150 XYステージ。

Claims (4)

  1. 絶縁基板と、
    絶縁基板上に形成され、複数の結晶粒からなる結晶シリコン薄膜とを備え、
    前記複数の結晶粒の各々は、短冊形の平面形状を有し、
    前記複数の結晶粒は、前記短冊形の長辺方向が同じ方向になるように配置されている、半導体薄膜。
  2. 前記結晶シリコン薄膜に対するラマン散乱スペクトルのシリコン−シリコン結合に起因するピークの半値幅は、直流アーク放電によって発生された熱プラズマジェットを照射して生成され、かつ、アモルファスシリコン膜から固相で結晶成長した結晶粒を核として前記アモルファスシリコン膜の完全溶融状態から結晶成長した複数の結晶粒からなる基準薄膜に対するラマン散乱スペクトルのシリコン−シリコン結合に起因するピークの半値幅よりも小さい、請求項1に記載の半導体薄膜。
  3. 前記結晶シリコン薄膜に対するラマン散乱スペクトルのシリコン−シリコン結合に起因するピークの半値幅は、単結晶シリコンに対するラマン散乱スペクトルのシリコン−シリコン結合に起因するピークの半値幅とほぼ同じである、請求項1に記載の半導体薄膜。
  4. アモルファスシリコン膜を絶縁基板上に形成する第1の工程と、
    直流アーク放電によって熱プラズマジェットを発生するための電力と前記アモルファスシリコン膜を掃引する掃引速度とによって規定され、かつ、前記アモルファスシリコン膜から固相で結晶成長する第1の領域と、前記熱プラズマジェットを発生するための電力と前記掃引速度とによって規定され、かつ、前記アモルファスシリコン膜から固相で結晶成長した結晶粒を核として前記アモルファスシリコン膜の完全溶融状態から結晶成長する第2の領域との間に存在する結晶成長領域において前記アモルファスシリコン膜から結晶粒が成長するように前記熱プラズマジェットを発生するための供給電力と前記掃引速度とを決定する第2の工程と、
    前記第2の工程において決定した供給電力を用いた直流アーク放電によって熱プラズマジェットを発生する第3の工程と、
    前記第2の工程において決定した掃引速度で前記アモルファスシリコン膜を掃引しながら、前記第3の工程において発生した熱プラズマジェットを前記アモルファスシリコン膜に照射する第4の工程とを備える半導体薄膜の製造方法。
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WO2021215170A1 (ja) * 2020-04-24 2021-10-28 積水化学工業株式会社 照射器具及びプラズマ装置

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