JP2013194013A - 溶液組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】式(1)で示される1,4−二置換−2−ブテンを含み、1,4−二置換−2−ブテン濃度の経時変化が十分抑制された溶液組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】式(1)
Figure 2013194013

(式中、
及びYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルカンスルホニルオキシ基、又はベンゼンスルホニルオキシ基などを表す。)
で示される化合物と、
フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物と、
有機溶媒とを含む溶液組成物及びその製造方法の提供。
【選択図】なし

Description

本発明は、1,4−二置換−2−ブテンを含む溶液組成物などに関する。
式(1)
Figure 2013194013
(式中、
及びYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、群Pより選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンスルホニルオキシ基、又は、群Pより選ばれる置換基を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基を表し、群Pは、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる。)
で示される化合物(以下、場合により「1,4−二置換−2−ブテン」という。)は例えば、医薬、農薬又は各種化学品の製造用原料として有用である(非特許文献1参照)。
一方で、近年、1,4−二置換−2−ブテンのうち例えば、1,4−ジクロロ−2−ブテンは健康障害の危険性が指摘されている(非特許文献2参照)。そのため、このような1,4−二置換−2−ブテンは、特にその粉体の吸入暴露を十分防止するため適切な設備などが求められており、1,4−二置換−2−ブテンを上記製造用原料として用いる際の取扱いが煩雑になるという問題があった。
Journal of the American Chemical Sciaety,第81巻,5943−5945頁,1959年 厚生労働省 詳細リスク評価書No.26(2010年6月)
上記問題を解決するために、本発明者は1,4−二置換−2−ブテンを有機溶媒に溶解した溶液の形態で、各種化学品などの製造用原料として使用することを検討した。ところが、1,4−二置換−2−ブテンを溶液の形態で、所定時間保管すると、1,4−二置換−2−ブテンの分解(経時分解)が生じ、当該溶液中の1,4−二置換−2−ブテンの濃度が、調製直後の濃度から著しく低下するという新たな問題があることを本発明者は見出した。そこで、本発明の目的は、1,4−二置換−2−ブテンを含み、1,4−二置換−2−ブテン濃度の経時変化が十分抑制された溶液組成物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の発明を含む。
〔1〕式(1)
Figure 2013194013
(式中、
及びYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、群Pより選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンスルホニルオキシ基、又は、群Pより選ばれる置換基を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基を表し、群Pは、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる。)
で示される化合物と、
フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物と、
有機溶媒とを含む溶液組成物。
〔2〕Y及びYはそれぞれ独立に、塩素原子、臭素原子、又はメタンスルホニルオキシ基である〔1〕記載の溶液組成物。
〔3〕Y及びYがともに臭素原子である〔1〕記載の溶液組成物。
〔4〕前記有機溶媒が、芳香族炭化水素溶媒又はエーテル溶媒を含む〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の溶液組成物。
〔5〕前記アミン化合物として、トリアルキルアミンを含む〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の溶液組成物。
〔6〕前記アミン化合物として、トリアルキルアミンを含み、
さらに、酸化防止剤を含む〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の溶液組成物。
〔7〕前記酸化防止剤が、亜硫酸ナトリウム又はアスコルビン酸である〔6〕記載の溶液組成物。
〔8〕前記トリアルキルアミンが、エチルジイソプロピルアミンである〔5〕〜〔7〕のいずれか記載の溶液組成物。
〔9〕前記キノン化合物として、ヒドロキノンを含む〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の溶液組成物。
〔10〕式(1)
Figure 2013194013
(式中、
及びYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、群Pより選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンスルホニルオキシ基、又は、群Pより選ばれる置換基を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基を表し、群Pは、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる。)
で示される化合物と、
フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物と、
有機溶媒とを混合する工程を有する溶液組成物の製造方法。
〔11〕式(1)
Figure 2013194013
(式中、
及びYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、群Pより選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンスルホニルオキシ基、又は群Pより選ばれる置換基を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基を表し、群Pは、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる。)
で示される化合物と、有機溶媒とを含む溶液に、
フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物を
混合する工程を有する、前記溶液の安定化方法。
本発明によれば、1,4−二置換−2−ブテンを含み、1,4−二置換−2−ブテン濃度の経時変化が十分抑制された溶液組成物が提供される。
本発明の溶液組成物は上述のとおり、式(1)で示される化合物である1,4−二置換−2−ブテンと、
フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物と、
有機溶媒とを含むことを特徴とする。すでに述べたとおり、当該1,4−二置換−2−ブテンと有機溶媒とを含む溶液中において、1,4−二置換−2−ブテンは経時分解などが生じ易い。そのメカニズムは必ずしも明確ではないが、後述する参考例で示すように、所定時間保管(保持)後の溶液には、1,4−二置換−2−ブテンの幾何異性体(cis体)や1,2,3,4−置換体などが検出されることから、脱離基であるYやYが脱離することや、さらに、その脱離基が脱離した後の生成物と、1,4−二置換−2−ブテンとが反応することにより、溶液中の1,4−二置換−2−ブテン濃度が調製直後より低下したり、不純物が生成したりすることを本発明者は見出している。上記のフェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物を共存した本発明の溶液組成物は、このような1,4−二置換−2−ブテンの分解などを抑制し、その濃度の経時変化(経時低下)や不純物の生成を十分抑制することができる。
まず、1,4−二置換−2−ブテンについて説明する。この1,4−二置換−2−ブテンは式(1)で示される。繰り返しになるが、式(1)を以下に示す。
Figure 2013194013
(式中、
及びYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、群Pより選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンスルホニルオキシ基、又は群Pより選ばれる置換基を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基を表し、群Pは、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる。)
式(1)中のY及びYは、ハロゲン原子、群Pより選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンスルホニルオキシ基、又は群Pより選ばれる置換基を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基であり、脱離能を有する脱離基である。かかる脱離基は、各種化学品などの製造用原料として用いる際には、有用な反応性を有している反面、上記問題を発現する原因になるものと本発明者は推定している。
及びYのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。
及びYのアルカンスルホニルオキシ基としては、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、ブチルスルホニルオキシ基及びヘキシルスルホニルオキシ基などが挙げられ、これらアルカンスルホニルオキシ基のうち、炭素数3以上のものは直鎖状であっても分岐していてもよい。
アルカンスルホニルオキシ基及びベンゼンスルホニルオキシ基は、上記群Pから選ばれる置換基を有していてもよい。群Pは、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基及びヘキシル基などであり、炭素数3以上である場合、直鎖状でも分岐していてもよい。ハロゲン原子の具体例は、すでに例示したものを含むが、アルキル基などの置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。ここで「群Pから選ばれる置換基を有するアルカンスルホニルオキシ基」又は「群Pから選ばれる置換基を有するベンゼンスルホニルオキシ基」とは、すでに例示したアルカンスルホニルオキシ基又はベンゼンスルホニルオキシ基に含まれる水素原子の一部又は全部が、群Pから選ばれる置換基に置換されているものをいう。群Pから選ばれる置換基を有するベンゼンスルホニルオキシ基を具体的に例示すると、4−メチルベンゼンスルホニルオキシ基、2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、3−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、4−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基、2,4−ジニトロベンゼンスルホニルオキシ基、4−フルオロベンゼンスルホニルオキシ基及びペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ基などが挙げられる。
群Pから選ばれる置換基を有するアルカンスルホニルオキシ基の場合、ハロゲン原子、特にフッ素原子を有するアルカンスルホニルオキシ基が好ましく、アルカンスルホニルオキシ基に含まれる水素原子の全部がフッ素原子に置換された、パーフルオロアルカンスルホニルオキシ基が特に好ましい。
以上、脱離基であるY及びYについて、具体例を挙げて説明したが、1,4−二置換−2−ブテンを簡便に製造できる点では、Y及びYはそれぞれ独立に、塩素原子、臭素原子、又はメタンスルホニルオキシ基であると好ましい。1,4−二置換−2−ブテンは公知の方法により製造できるが、Y及びYはそれぞれ独立に、塩素原子、臭素原子、又はメタンスルホニルオキシ基である1,4−二置換−2−ブテンは例えば、上記非特許文献1記載の製造方法あるいは該製造方法に準じた製造方法に従うことにより、当業者は容易に得ることができる。これらの中でも、Y及びYはともに臭素原子であると特に好ましい。Y及びYがともに臭素原子である1,4−二置換−2−ブテンは、臭素原子の脱離反応性が良好であるため、各種化学品の製造用原料などとして特に有用であるが、該脱離反応性のため、1,4−二置換−2−ブテンの経時分解が生じ易いものであり、本発明の効果を一層享受できる。
本発明の溶液組成物に用いられる有機溶媒は、溶解させる1,4−二置換−2−ブテンが十分溶解できるものが選ばれる。例えば、
ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、イソデカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン及び石油エーテルなどの脂肪族炭化水素溶媒;
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン及び1,2,4−トリクロロベンゼンなどの芳香族溶媒;
テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール及びジフェニルエーテルなどのエーテル溶媒;
アセトニトリル、プロピオニトリル及びベンゾニトリルなどのニトリル溶媒;
ジクロロメタン、クロロホルム及び1,2−ジクロロエタンなどの塩素化脂肪族炭化水素溶媒;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル及びプロピオン酸イソプロピル等のエステル溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンなどのケトン溶媒;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及び1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノンなどの非プロトン性極性溶媒などの単独又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明の溶液組成物に用いられる有機溶媒は好ましくは、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族溶媒、エーテル溶媒、ニトリル溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒又はこれらの混合物であり、より好ましくは、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族溶媒、エーテル溶媒又はこれらの混合物であり、さらに好ましくは、芳香族溶媒、エーテル溶媒又はこれらの混合物であり、特に好ましくはトルエン、t−ブチルメチルエーテル又はこれらの混合物である。
本発明の溶液組成物に用いられる有機溶媒の使用量は、用いる有機溶媒や1,4−二置換−2−ブテンの種類に応じて、当該有機溶媒に1,4−二置換−2−ブテンが十分溶解できるように適切な範囲が選ばれるが、例えば、1,4−二置換−2−ブテン1gに対する有機溶媒量は、好ましくは0.5〜20.0g、より好ましくは0.5〜10.0g、特に好ましくは1.0〜5.0gの割合である。
続いて、本発明の溶液組成物に含まれるフェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物について、各々の具体例を挙げて説明する。
フェノール化合物やキノン化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、p−メトキシフェノール、メチルヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール及びヒドロキノンなどが挙げられる。なお、本発明の溶液組成物には、フェノール化合物及びキノン化合物を組み合わせて用いることもできる。本発明の溶液組成物に用いるうえでは、これらの中でも、キノン化合物が好ましく、キノン化合物の中でも、ヒドロキノンが好ましい。ヒドロキノンは安価で市場からも入手し易く、本発明に好ましく用いることができる。
本発明の溶液組成物にフェノール化合物及び/又はキノン化合物を用いる場合、その合計使用量は、これらフェノール化合物及びキノン化合物の種類にもよるが、1,4−二置換−2−ブテンの量を基準に好ましくは、0.005〜10.0重量%、より好ましくは、0.01〜5.0重量%、特に好ましくは0.05〜1.0重量%の割合である。
本発明の溶液組成物に用いるアミン化合物はトリアルキルアミンが好ましい。トリアルキルアミンとしては、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、メチルジプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルブチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、エチルジイソプロピルアミン、イソプロピル−メチル−tert−ブチルアミン、ジメチルヘプチルアミン、メチル−ジブチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルエチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジイソプロピル−3−ペンチルアミン、ジメチルノニルアミン、ジメチルデシルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルウンデシルアミン、メチルジヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルトリデシルアミン、トリイソペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジメチルテトラデシルアミン、メチルジオクチルアミン、ジメチルヘキサデシルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリス(2−エチルヘキシル)アミン、トリ−n−ドデシルアミン及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどが挙げられる。
これらの中でも、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン及びトリ−n−オクチルアミンが好ましく、トリイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン及びトリ−n−ブチルアミンがさらに好ましく、エチルジイソプロピルアミンが特に好ましい。
本発明の溶液組成物にアミン化合物、特にトリアルキルアミンを用いる場合、その使用量は、用いるアミン化合物の種類にもよるが、1,4−二置換−2−ブテンの量を基準に、好ましくは0.005〜10重量%、より好ましくは、0.01〜5.0重量%、特に好ましくは0.05〜2.0重量%の割合である。
本発明の溶液組成物は、1,4−二置換−2−ブテンと、フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物と、有機溶媒とを含むものであるが、有機溶媒に溶解してなる1,4−二置換−2−ブテンの経時分解を十分抑制することができるが、1,4−二置換−2−ブテン、フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物、或いは有機溶媒に対して反応し得る化合物は含まれない。例えば、上記非特許文献1記載の製造方法を参考として、Y及びYが臭素原子である1,4−二置換−2−ブテンを得た場合、当該1,4−二置換−2−ブテンには微量の臭素が含まれることがある。このような1,4−二置換−2−ブテンを用いて、本発明の溶液組成物を得た場合、該溶液組成物に臭素が混入して、本発明の効果が損なわれる場合がある。特に、溶液組成物に、1,4−二置換−2−ブテンに対して0.1モル倍以上の水が混入すると、臭素と水との相乗効果のためか、1,4−二置換−2−ブテンの経時分解が促進されることを本発明者は見出している。このように本発明の溶液組成物に臭素及び水が混入した場合の1,4−二置換−2−ブテンの経時分解は、本発明者のさらなる検討の結果、フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物に加えて、酸化防止剤を加えた本発明の溶液組成物により、改善できることを見出した。
本発明の溶液組成物に酸化防止剤を用いる場合には、フェノール化合物、アミン化合物及びキノン化合物の中でも、アミン化合物を用いることが好ましく、該溶液組成物に、トリアルキルアミンと、酸化防止剤とを併用することがとりわけ好ましい。かかる酸化防止剤はフェノール化合物、アミン化合物及びキノン化合物以外のものであり、その具体例は、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸及びエリソルビン酸ナトリウムがなど挙げられ、これらの中でも、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸及びエリソルビン酸が好ましく、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸及びエリソルビン酸がさらに好ましく、亜硫酸ナトリウム及びアスコルビン酸が特に好ましい。
本発明の溶液組成物に酸化防止剤を用いる場合、その使用量は、用いる酸化防止剤の種類や、該溶液組成物に含まれる臭素及び水の量にもよるが、1,4−二置換−2−ブテンの量を基準に、好ましくは0.0025〜5.0重量%、より好ましくは、0.005〜2.5重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%の割合である。酸化防止剤の量が上記範囲内であれば、例えば、上記非特許文献1記載の製造方法などの公知の方法により得られる1,4−二置換−2−ブテンに混入し得る臭素による影響を十分抑制できる。
本発明の溶液組成物の製造方法は、式(1)で示される化合物(1,4−二置換−2−ブテン)と、フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物と、有機溶媒とを混合する工程を有する。すでに述べたように、1,4−二置換−2−ブテンに混入している臭素などの量に応じて、さらに酸化防止剤を混合することもある。かかる工程において、その混合順は任意であり特に限定されるものではないが、あらかじめ、1,4−二置換−2−ブテンを有機溶媒に溶解して溶液とし、この溶液にフェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物を混合する、又は、フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物と酸化防止剤とを混合するという製造方法が操作面でもより容易であり、本発明による1,4−二置換−2−ブテンの経時的分解を一層顕著に防止できるため、本発明の効果を一層享受できる。換言すると、かかる方法による溶液組成物の製造とは、1,4−二置換−2−ブテンを有機溶媒に溶解して溶液の安定化方法とみなすことができる。
以下、1,4−二置換−2−ブテンを有機溶媒に溶解して溶液とし、かかる溶液にフェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物を混合する方法について簡単に、その条件を説明する。
1,4−二置換−2−ブテンを有機溶媒に溶解して溶液とする際の混合温度は、用いる1,4−二置換−2−ブテンや有機溶媒の種類にもよるが例えば、0〜40℃の範囲である。混合時間は混合温度などにより適切な範囲が定められるが、例えば、1分〜24時間程度である。なお、混合時間は、混合途中の混合液を適宜サンプリングし、1,4−二置換−2−ブテンの溶解状態を目視などにより判定することで定めることもできる。
続いて、1,4−二置換−2−ブテンを有機溶媒に溶解した溶液に、フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物を混合する。アミン化合物を混合する際には、上記酸化防止剤を合わせて混合することもある。この場合の混合温度は、用いるキノン化合物やアミン化合物などの種類にもよるが例えば、0〜40℃の範囲である。混合時間は混合温度などにより適切な範囲が定められるが、例えば、1分〜24時間程度である。1,4−二置換−2−ブテンの溶解状態を判定して溶解時間を定めることと同様に、混合途中のフェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物の溶解状態を判定して、その混合時間を定めることもできる。
調製後の溶液組成物は例えば、例えば、濾過などを行うことにより未溶解物を取り除いてもよい。
かくして製造(調製)された本発明の溶液組成物は、各種化学品の製造用原料としてそのまま使用することができる。また、本発明の溶液組成物は、当該溶液組成物中の1,4−二置換−2−ブテンの経時分解が十分抑制されているので、本発明の溶液組成物を製造した後に保管しておけば、所定期間経過後に当該溶液組成物を用いても、調製直後の溶液組成物とほぼ同等の取扱いを可能とする。本発明の溶液組成物が例えば、−20〜70℃の温度範囲内で保管すれば、1,4−二置換−2−ブテンの経時分解を十分抑制できるが、当該経時分解を一層効果的に抑制できる点で、保管温度は、−10〜60℃の範囲内がさらに好ましく、0〜50℃の範囲内がとりわけ好ましい。
本発明をさらに詳細に説明するために、実施例を示す。
なお、以下に示す実施例及び比較例において、溶液中又は溶液組成物中の1,4−二置換−2−ブテンの濃度及び不純物の検出は、ガスクロマトグラフィー(GC)分析により行った。その詳細な分析条件は、1.5μmのフィルム厚さを有する30m×0.53mmのDB−1カラムを用いて、水素炎イオン検出器を備え、He流速10mL/分のHeキャリアーガスを用いた。なお、GC熱条件は以下の通りである。注入器温度120℃、検出器温度290℃であり、オーブンの温度プログラムは、初期50℃(保持時間無し)、5℃/分の速度で280℃に上昇、最終温度で4分間保持とした。被検サンプルは、トリデカン2.0gをトルエン200mLに溶解し、内部標準溶液を調製し、10mLのメスフラスコに内部標準溶液5mLと、溶液又は溶液組成物を300〜600mgとを量りとり、トルエンで10mLにメスアップして調製した。この被検サンプルの注入量は、2μLとした。
また、1,4−二置換−2−ブテンであるtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテンは公知の方法により製造した。
実施例1
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン8.04gをトルエン12.00gに溶解させ、約40重量%濃度の溶液を調製した。この溶液に、ヒドロキノン9mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.1重量%)を添加して溶解し、溶液組成物を調製した。調製した溶液組成物(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液組成物をさらに40℃で21日間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン100.00%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン89.22%、RT7成分5.59%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン3.54%、1,2,3,4−テトラブロモブタン1.47%であった。なお、RT7成分とは、保持時間7分に検出される成分(構造未同定)であり、以下も同様である。
実施例2
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン7.97gをトルエン12.00gに溶解させ、約40重量%濃度の溶液を調製した。この溶液に、エチルジイソプロピルアミン8mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.1重量%)を添加して溶解し、溶液組成物を調製した。調製した溶液組成物(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液組成物をさらに40℃で21日間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン100.00%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン97.64%、RT7成分2.07%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.17%であった。
実施例3
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン30.17gをt−ブチルメチルエーテル45.06gに溶解させ、約40重量%濃度の溶液を調製した。この溶液に、エチルジイソプロピルアミン32.7mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.1重量%)を添加して溶解し、溶液組成物を調製した。調製した溶液組成物(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液組成物をさらに50℃で7日間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン99.68%、RT7成分0.16%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.11%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン98.99%、RT7成分0.85%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.11%であった。
参考例1
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン8.03gをトルエン12.05gに溶解させ、約40重量%濃度の溶液を調製した。調製後の溶液(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液をさらに40℃で7日間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン100.00%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン81.30%、RT7成分7.55%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン8.53%、1,2,3,4−テトラブロモブタン1.31%であった。
参考例2
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン30.00gをt−ブチルメチルエーテル45.00gに溶解させ、40重量%濃度の溶液を調製した。調製後の溶液(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液をさらに50℃で2日間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前がtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン99.46%、RT7成分0.29%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.20%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン81.75%、RT7成分9.54%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン8.67%であった。
実施例4
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン12.00gをt−ブチルメチルエーテル18.00gに溶解させ、40重量%濃度の溶液を調製した。この溶液に、エチルジイソプロピルアミン6mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.05重量%)を添加して溶解し、溶液組成物を調製した。調製した溶液組成物(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液組成物をさらに40℃で5週間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン99.80%、RT7成分0.05%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.06%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン99.20%、RT7成分0.57%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.19%であった。
実施例5
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン12.00gをt−ブチルメチルエーテル18.00gに溶解させ、40重量%濃度の溶液を調製した。この溶液に、エチルジイソプロピルアミン120mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 1.0重量%)を添加して溶解し、溶液組成物を調製した。調製した溶液組成物(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液組成物をさらに40℃で12週間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン99.82%、RT7成分0.05%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.07%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン94.18%、RT7成分4.69%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.66%であった。
実施例6
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン12.00gをt−ブチルメチルエーテル48.00gに溶解させ、20重量%濃度の溶液を調製した。この溶液に、エチルジイソプロピルアミン12mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.1重量%))を添加して溶解し、溶液組成物を調製した。調製した溶液組成物(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液組成物をさらに40℃で7日間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン100.00%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン99.78%、RT7成分0.03%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン0.08%であった。
参考例3
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン8.02gをt−ブチルメチルエーテル12.00gに溶解させ、約40重量%濃度の溶液を調製した。調製後の溶液(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液をさらに40℃で4週間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前がtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン100.00%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン80.71%、RT7成分9.93%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン8.96%であった。
以上の実施例1〜6及び参考例1〜3より、本発明の溶液組成物は、所定時間経過後の1,4−二置換−2−ブテン(trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン)濃度の経時低下が十分抑制されていることが分かった。
以下の実施例及び参考例では、1,4−二置換−2−ブテン(trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン)の分解などを促進し得る臭素を、溶液組成物中又は溶液中に共存させた場合に、酸化防止剤をさらに用いた本発明の溶液組成物の効果を確認した。
実施例7(臭素が共存した場合の溶液組成物に関する実施例)
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン12.00gをt−ブチルメチルエーテル48.00gに溶解させ、20重量%濃度の溶液を調製した。この溶液に、エチルジイソプロピルアミン12mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.1重量%)を添加して溶解し、溶液組成物Aを調製した。この溶液組成物A15.00gを量り取り、さらに臭素150mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.07モル倍)と、水48mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.19モル倍)と、アスコルビン酸200mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.08モル倍)を添加して溶解させ、溶解組成物A’を調製した。調製した溶液組成物A’(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液組成物A’をさらに40℃で7日間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン100.00%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン96.15%、RT7成分1.85%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン1.69%、1,2,3,4−テトラブロモブタン0.21%であった。
実施例8(臭素が共存した場合の溶液組成物に関する実施例)
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン15.00gをt−ブチルメチルエーテル60.00gに溶解させ、20重量%濃度の溶液を調製した後、この溶液に、エチルジイソプロピルアミン15mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.1重量%)を添加して溶解させ、溶解組成物Bを調製した。この溶液組成物B15.00gを量り取り、さらに、臭素150mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.07モル倍)と、水48mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.19モル倍)と、亜硫酸ナトリウム140mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.08モル倍)を添加して溶解させ、溶解組成物B’を調製した。調製した溶液組成物B’(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液組成物B’をさらに40℃で7日間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン100.00%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン95.80%、RT7成分1.99%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン1.92%、1,2,3,4−テトラブロモブタン0.07%であった。
参考例4(臭素が共存した場合の溶液組成物に関する参考例)
trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン12.00gをt−ブチルメチルエーテル48.00gに溶解させ、20重量%濃度の溶液Dを調製した。この溶液Dに、安定化剤としてエチルジイソプロピルアミンを、12mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.1重量%)添加した溶液から、15.00gを量り取り、さらに、臭素150mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.07モル倍)と、水48mg(対trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン 0.19モル倍)と添加して溶解させ、溶液D’を調製した。調製した溶液D’(保持前)に対してGC分析を行い、この溶液組成物D’をさらに40℃で7日間保持した後(保持後)、再びGC分析を行った。各成分の面積百分率の値は、保持前が、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン100.00%であったのに対して、保持後はtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン79.98%、RT7成分9.10%、cis−1,4−ジブロモ−2−ブテン8.40%、1,2,3,4−テトラブロモブタン1.69%であった。
本発明の溶液組成物は、1,4−二置換−2−ブテンを用いる各種化学品の製造用原料として極めて有用であり、産業上の価値が高いものである。

Claims (11)

  1. 式(1)
    Figure 2013194013
    (式中、
    及びYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、群Pより選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンスルホニルオキシ基、又は群Pより選ばれる置換基を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基を表し、群Pは、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる。)
    で示される化合物と、
    フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物と、
    有機溶媒とを含む溶液組成物。
  2. 及びYはそれぞれ独立に、塩素原子、臭素原子、又はメタンスルホニルオキシ基である請求項1記載の溶液組成物。
  3. 及びYがともに臭素原子である請求項1記載の溶液組成物。
  4. 前記有機溶媒が、芳香族炭化水素溶媒又はエーテル溶媒を含む請求項1〜3のいずれか記載の溶液組成物。
  5. 前記アミン化合物として、トリアルキルアミンを含む請求項1〜4のいずれか記載の溶液組成物。
  6. 前記アミン化合物として、トリアルキルアミンを含み、
    さらに、酸化防止剤を含む請求項1〜4のいずれか記載の溶液組成物。
  7. 前記酸化防止剤が、亜硫酸ナトリウム又はアスコルビン酸である請求項6記載の溶液組成物。
  8. 前記トリアルキルアミンが、エチルジイソプロピルアミンである請求項5〜7のいずれか記載の溶液組成物。
  9. 前記キノン化合物として、ヒドロキノンを含む請求項1〜4のいずれか記載の溶液組成物。
  10. 式(1)
    Figure 2013194013
    (式中、
    及びYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、群Pより選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンスルホニルオキシ基、又は、群Pより選ばれる置換基を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基を表し、群Pは、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる。)
    で示される化合物と、
    フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物と、
    有機溶媒とを混合する工程を有する溶液組成物の製造方法。
  11. 式(1)
    Figure 2013194013
    (式中、
    及びYはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、群Pより選ばれる置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンスルホニルオキシ基、又は群Pより選ばれる置換基を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基を表し、群Pは、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子及びニトロ基からなる。)
    で示される化合物と、有機溶媒とを含む溶液に、
    フェノール化合物、アミン化合物又はキノン化合物を
    混合する工程を有する、前記溶液の安定化方法。
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