JP2020097528A - トリフルオロスルファニル芳香族化合物を含む混合物の変性方法および分析方法 - Google Patents

トリフルオロスルファニル芳香族化合物を含む混合物の変性方法および分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トリフルオロスルファニル芳香族化合物およびフルオロスルフィニル芳香族化合物を含む混合物において、一方または双方の化合物を誘導体に変換する、混合物の変性方法を提供する。【解決手段】一般式(1):Ar−SF3(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるトリフルオロスルファニル芳香族化合物、および一般式(2):Ar−SOF(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるフルオロスルフィニル芳香族化合物を含む混合物の変性方法であって、当該混合物を、一般式(A):R1R2NH(R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基)で表される1級または2級アミンとの反応に供して、前記フルオロスルフィニル芳香族化合物を一般式(3):Ar−SONR1R2(Ar、R1およびR2は前述のとおり定義される)で表されるスルフィンアミド体に変換するアミド化工程を含む、変性方法。【選択図】なし

Description

本発明はトリフルオロスルファニル芳香族化合物を含む混合物の変性方法および分析方法に関する。
2,6−ジメチル−4−t−ブチル−トリフルオロスルファニルベンゼン(Fluolead(登録商標))等のトリフルオロスルファニル芳香族化合物は、対象化合物に容易にフッ素原子を導入できるフッ素化剤である(特許文献1等)。当該化合物はさらに化学的安定性が高いことから医薬分野や表示材料分野等の最先端技術分野に用いられている。しかしながら当該化合物は長期にわたり湿気に晒されると分解反応によってトリフルオロスルファニル基(SF基)が徐々にフルオロスルフィニル基(SOF基)に変換され、不純物としてフルオロスルフィニル芳香族化合物が生成する。
特表2015−509907号公報
SF基を有するトリフルオロスルファニル芳香族化合物とSOF基を有するフルオロスルフィニル芳香族化合物は、硫黄含有基は相違するが他の化学構造は同一であるため、前記混合物においてこれらの成分を同定または分離することが困難である。19F−NMRを用いればこれらの成分の分析は可能であるが当該分析方法は経済的でないためより簡便な分析方法が求められている。かかる事情を鑑み、発明者らは、前記混合物におけるトリフルオロスルファニル芳香族化合物とフルオロスルフィニル芳香族化合物の一方または双方を互いに類似性の低い誘導体に変換すれば、分析や分離が容易になることを着想した。以上を鑑み、本発明はトリフルオロスルファニル芳香族化合物およびフルオロスルフィニル芳香族化合物を含む混合物において、一方または双方の化合物を誘導体に変換する、混合物の変性方法を提供することを課題とする。
本発明はトリフルオロスルファニル芳香族化合物およびフルオロスルフィニル芳香族化合物を含む混合物中の一方または双方の化合物を誘導体に変換することにより、両者の同定が可能であることを見出し、本発明を完成した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
[1]一般式(1):Ar−SF(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるトリフルオロスルファニル芳香族化合物、および一般式(2):Ar−SOF(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるフルオロスルフィニル芳香族化合物を含む混合物の変性方法であって、
当該混合物を、一般式(A):RNH(Rは炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基)で表される1級または2級アミンとの反応に供して、前記フルオロスルフィニル芳香族化合物を一般式(3):Ar−SONR(Ar、RおよびRは前述のとおり定義される)で表されるスルフィンアミド体に変換するアミド化工程を含む、変性方法。
[2]前記アミド化工程後の混合物を一般式(B):ROH(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表されるアルコールとの反応に供して、前記トリフルオロスルファニル芳香族化合物を一般式(4):Ar−SOR(ArおよびRは前述のとおり定義される)で表されるスルフィンエステル体に変換するエステル化工程をさらに含む、[1]に記載の変性方法。
[3]前記混合物がフッ化水素をさらに含み、
前記アミド化工程の前に、当該混合物を一般式(C):R N(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表される3級アミンとの反応に供して、当該フッ化水素と3級アミンの塩を形成する工程をさらに含む、[1]または[2]に記載の変性方法。
[4]前記Rが炭素数2または3のアルキル基、
前記Rが水素原子あるいは炭素数2または3のアルキル基、
前記Rが炭素数2または3のアルキル基、
前記Rが炭素数1または2のアルキル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の変性方法。
[5]一般式(1):Ar−SF(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるトリフルオロスルファニル芳香族化合物、および一般式(2):Ar−SOF(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるフルオロスルフィニル芳香族化合物を含む混合物におけるトリフルオロスルファニル芳香族化合物の濃度を分析する方法であって、
当該混合物を一般式(A):RNH(Arは置換または非置換のアリール基、Rは炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基)で表される1級または2級アミンとの反応に供して、前記フルオロスルフィニル芳香族化合物を一般式(3):Ar−SONR(Ar、RおよびRは前述のとおり定義される)で表されるスルフィンアミド体に変換するアミド化工程、
当該アミド化工程後の変性混合物を一般式(B):ROH(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表されるアルコールとの反応に供して、前記トリフルオロスルファニル芳香族化合物を一般式(4):Ar−SOR(ArおよびRは前述のとおり定義される)で表されるスルフィンエステル体に変換するエステル化工程、ならびに
当該エステル化工程後の変性混合物を液体クロマトグラフィーまたはH−NMRによって分析して前記スルフィンエステル体の濃度を決定し、当該濃度をトリフルオロスルファニル芳香族化合物の前記濃度とする工程、を含む、分析方法。
[6]前記混合物がフッ化水素をさらに含み、
前記アミド化工程の前に、当該混合物を一般式(C):R N(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表される3級アミンとの反応に供して、当該フッ化水素と3級アミンの塩を形成する工程をさらに含む、[5]に記載の分析方法。
[7]前記Rが炭素数2または3のアルキル基、
前記Rが水素原子あるいは炭素数2または3のアルキル基、
前記Rが炭素数2または3のアルキル基、
前記Rが炭素数1または2のアルキル基である、[5]または[6]に記載の分析方法。
変性混合物のHPLCチャート 未変性混合物の19F−NMRチャート
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X〜Y」はその端値であるXおよびYを含む。また、本発明においてアルキル基、アルコキシ基とは直鎖、環状、または分岐状の基をいう。
1.混合物の変性方法
本方法のスキームを以下に示す。
(1)混合物
当該方法で用いる混合物は、一般式(1):Ar−SFで表されるトリフルオロスルファニル芳香族化合物(以下「SF体」ともいう)、および一般式(2):Ar−SOFで表されるフルオロスルフィニル芳香族化合物(以下「SOF体」ともいう)を含む。一般式(1)および(2)においてArは1価の置換または非置換のアリール基である。アリール基とは芳香族炭化水素基であり、例えばフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられる。一般式(1)および(2)におけるアリール基は同一であることが好ましい。
置換基としては炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数が6〜30のアリール基、炭素数が1〜18のアルコキシ基、炭素数が6〜30のアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数が1〜18のアルカンスルホニル基、炭素数が6〜30のアレーンスルホニル基、炭素数が1〜18のアシルオキシ基、炭素数が1〜18のアルカンスルホニルオキシ基、炭素数が6〜30のアレーンスルホニルオキシ基、炭素数が2〜18のアルコキシカルボニル基、炭素数が7〜30のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。中でも、炭素数が1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数が1〜4のアルキル基がより好ましい。
Ar−SFはAr−SOFに分解される際にフッ化水素を生成するので、当該混合物はフッ化水素を含んでいてもよい。これらの成分の混合比率は任意であるが、Ar−SFが主成分であることが好ましい。Ar−SFが保存中に分解することによって得られる混合物におけるAr−SFの濃度は概して90%重量以上であり、好ましくは93重量%以上である。
(2)アミド化
本工程では混合物を1級または2級アミンとの反応に供して、混合物中のSOF体を選択的にアミド化して一般式(3)で表されるスルフィンアミド体(以下「SOA体」ともいう)を形成する。1級アミンまたは2級アミンはSOF体と反応してスルフィンアミド体を生成するが、SF体とは反応しない。本工程ではこの原理を用いてSOF体を選択的にスルフィンアミド化する。この原理は本発明者らによって見出された新たな知見である。
本工程で用いるアミンは一般式(A):RNHで表される。Rは炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。アルキル基としては、取扱い性や溶媒に溶解しやすい等の理由から炭素数2または3のアルキル基が好ましい。また得られるスルフィンアミド体の安定性を考慮すると、アミンとしては2級アミンであることが好ましい。用いるアミンの量はSOF体に対して過剰であることが好ましい。例えばAr−SFが保存中に分解することによって得られる混合物を用いる場合、当該混合物におけるAr−SFの濃度は通常90重量%以上であるので当該混合物すべてがAr−SFで構成されると仮定してAr−SFのモル数を算出し、これに対し、0.1〜0.5当量程度のアミンを用いればよい。
反応は溶媒存在下で実施することが好ましい。副反応を生じない限り溶媒は限定されないが、溶解性等を考慮するとジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が好ましい。反応は室温(15〜30℃)で実施することが好ましい。反応時間も適宜設定でき、例えば1〜60分程度としてよい。さらに、アミド化に必要な公知の触媒や反応促進剤を併用してもよい。
このようにして混合物中のSOF体を選択的にSOA体に変換する。SOA体はSF体とは溶媒への溶解性等が異なるので、特定の溶媒を用いる等によりSOA体の存在を確認でき、さらには両者を分離または単離することも可能である。また、SOA体はアルキル基に起因するプロトンを有するので、H−NMRによってその存在を確認することもできる。SOA体を確認できれば変性前の混合物中にSOF体が存在したことを確認できる。
(3)エステル化
本方法においてはさらにSF体をスルフィンエステル体に変換することが好ましい。SF体は水と反応しフッ化水素を発生しうる。このためSF体を含む混合物を分析する際には水を回避する必要があり分析方法に制約が生じる。しかしSF体をスルフィンエステル体にすると、水を回避する必要がなくなり水を溶離液として用いる液体クロマトグラフィー等による分析が可能となる。さらに、スルフィンエステル体はスルフィンエステル基にプロトンを有するのでH−NMRによる分析も可能になる。
エステル化は、SF体と一般式(B):ROHで表されるアルコールを反応させることによって実施できる。Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくはメチル基またはエチル基である。アルコールはSOF体と反応してスルフィンエステル体を形成するがSOA体とは反応しない。よって、前記アミド化工程後の混合物を前記アルコールとの反応に供して、SF体を選択的にエステル化することが好ましい。アルコールの量はSF体に対して過剰であればよく、溶媒量とすることが好ましい。このように本反応ではアルコールが溶媒となるので追加の溶媒は不要であるが、例えばジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を溶媒として用いてもよい。反応は室温(15〜30℃)で実施することが好ましい。反応時間も適宜設定でき、例えば1〜60分程度としてよい。さらに、エステルド化に必要な公知の触媒や反応促進剤を併用してもよい。
(4)塩形成
前述のとおり混合物にはフッ化水素が含まれている場合がある。フッ化水素は腐食性であるので混合物にはフッ化水素が含まれていると分析や分離工程において制約が生じる。そこで、本方法においては混合物を一般式(C):R Nで表される3級アミンとの反応に供して、フッ化水素を選択的に塩に変換することが好ましい。Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは炭素数2または3のアルキル基である。3級アミンはフッ化水素とは反応するがSOF体やSF体とは反応しない。本工程ではこの原理を利用して、混合物中のフッ化水素のみを選択的に塩とする。この原理は発明らによって見出された新たな知見である。したがって、塩形成工程はアミド化工程の前に実施することが好ましい。また、フッ化水素の中和はKF等の無機塩を用いても実施可能であるが、当該塩は有機溶媒に不溶であり系が不均一になる。しかし、3級アミンから形成される塩は有機溶媒に可溶であるのでこのような不具合が生じない。
(5)好ましい態様
以上から、本方法の好ましい態様として、混合物を塩形成工程に供し、次いでアミド化工程に供し、さらにエステル化工程に供することが挙げられる。このスキームを以下に示す。
当該スキームにおいて、Rは独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基である。Rは独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは水素原子である。Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、好ましくはブチル基である。R〜Rは前述のとおりである。よって、より好ましいスキームは以下のとおりである。
2.分析および単離方法
前記のとおり調製した変性混合物は通常の分析法によって分析可能である。すなわち、アミド化およびエステル化工程を経て調製された変性混合物は、SF体由来のエステル体とSOF体由来のSOA体を含む。両者は特性が異なるためHPLC等のクロマトグラフィーを用いて同定、定量、または単離等が可能である。この際、混合物中にフッ化水素が含まれていると分析が困難あるいは不可能となりうるので、変性混合物は前記塩形成工程を経ていることが好ましい。
さらに、SF体とSOF体はH−NMRでは分析が不可能であるが、エステル体とSOA体はスルフィンエステル基およびスルフィンアミド基にプロトンを有するのでH−NMRによる同定および定量が可能である。一態様として、以下の方法によって混合物中のSF体の濃度を求めることができる。
1)標準物質と濃度の異なるスルフィンエステル体とを含む複数の試料を準備して、これをH−NMRで分析して検量線を作成する。標準物質としてはペンタメチルベンゼン等が好ましい。
2)変性混合物をH−NMRで分析して、前記検量線からスルフィンエステル体の濃度を決定する。
3)スルフィンエステル体の濃度から未変性混合物中のSF体の濃度を決定する。
別の態様として、変性混合物をHPLCで分析してスルフィンエステル体およびSOA体の面百値を決定し、この値から未変性混合物中のSF体の濃度を決定する。この場合、溶離液はアセトニトリルと水の混合溶媒が好ましい。さらに標準物質を用いて補正を行ってもよい。未変性混合物がSF体の保存中に不純物として生成したSOF体を含む混合物である場合、未変性混合物中のSF体の濃度はSF体の純度に相当する。
[実施例1]
前述のスキーム3に示す変性を行った。
2,6−ジメチル−4−t−ブチル−トリフルオロスルファニルベンゼン(宇部興産株式会社製 Fluolead(登録商標))を準備した。当該製品は保存中の分解によって生じた微量なSOF体およびフッ化水素を含む混合物である。
1)窒素雰囲気下のグローブボックス内(露点:−40℃)にてFluoleadを500mg精量し、300mLのマグネチックスターラーを備えたフッ素樹脂製容器に入れた。グローブボックスから当該容器を取出し、スターラーに載置し、アルゴンガスを当該容器内に通気した。
2)5mLのジクロロメタンを容器に加え、0.41g(2当量)のトリエチルアミンを1分かけて滴下し、室温(19〜24℃)で撹拌した。
3)30分経過後に、マイクロシリンジを用いて0.15g(0.2当量)のジエチルアミンを10秒かけて加え撹拌した。
4)さらに30分経過後にシリンジを用いて5mLのメタノールを1分かけて添加した。
5)さらに60分経過後に撹拌を停止して、反応液全量を100mLのメスフラスコに入れ、メタノールでメスアップした。
このようにして変性混合物を製造した。
[実施例2]
実施例1で得た変性混合物をHPLCで分析した。分析条件は以下のとおりである。
カラム :Xbridge C8 5μm、4.6×150mm
溶離液 :MeCN:HO=7:3
流速 :1mL/min
検出波長 :254nm
注入量 :20μL
チャートを図1に示す。SF体由来のエステル体(本例では「SOM」という)およびSOF体由来のSOA体を同定することができた。前記混合物を、水を含む溶離液を用いて分析することが可能であることが明らかとなった。
[実施例3]
標準品としてのSOMを合成した。合成は以下のように行った。
1)窒素雰囲気下のグローブボックス内(露点:−40℃)にてFluoleadを20.56g量り取り、1000mLのマグネチックスターラーを備えたフッ素樹脂製容器に入れた。
2)グローブボックスより当該容器を取出し、スターラーに載置し、アルゴンガスを当該容器内に通気した。ジクロロメタン100mLを加えた後、トリエチルアミン29.1g(3.5当量)を加え、室温(19℃〜24℃)にて撹拌した。
3)30分経過後、メタノール100mLを40分かけて定量ポンプで添加した。
4)60分後、反応液の全量を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mLに注ぎ、クエンチした。
5)上記溶液にジクロロメタン200mLを加えて、分液ロートにて抽出を行った。
6)エバポレーターで濃縮後、以下の条件にて分取精製装置(Isolera)でカラムクロマトを行った。
カラムカートリッジ:Biotage社 SNAP Ultra (球状シリカゲル) 100g
溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=99/1(v/v)
7)カラム後のフラクションをロータリーエバポレーターで濃縮し、真空ポンプで乾燥して白色の結晶(7.94g、収率=40.2%)として標準品SOMを得た。
当該合成のスキームを以下に示す。
標準品SOMをH−NMRにて分析して純度を求めた。この際、ペンタメチルベンゼンを内部標準として用いた。その結果、標準品SOMのH−NMRによる純度は99.56%であった。このペンタメチルベンゼンをHPLCで分析したところ面百値から純度は99.43%であったので、標準品SOMのHPLCによる純度を99.56%×0.9943=98.99%とした。
実施例2で用いたものとは別のロットのFluolead(登録商標)を準備して、実施例2と同様にして変性し、変性混合物をHPLCで分析しエステル体(SOM)の面百値を求めた。この値を前記標準品SOMの純度で補正し、変性混合物中のエステル体(SOM)の濃度を求めた。その値は94.3重量%であった。当該濃度はFluolead(登録商標)の純度である。
一方、同ロットのFluolead(登録商標)を19F−NMRで分析して得たチャートを図2に示す。当該分析においては、フッ化水素を塩として沈殿させるためにFluolead(登録商標)にKFを添加した。当該チャートから求めたFluolead(登録商標)の純度は94.4%であった。以上から、HPLCにより求めた純度は、従来の19F−NMRにより求めた純度とほぼ同じ値を示すことが明らかである。

Claims (7)

  1. 一般式(1):Ar−SF(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるトリフルオロスルファニル芳香族化合物、および一般式(2):Ar−SOF(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるフルオロスルフィニル芳香族化合物を含む混合物の変性方法であって、
    当該混合物を、一般式(A):RNH(Rは炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基)で表される1級または2級アミンとの反応に供して、前記フルオロスルフィニル芳香族化合物を一般式(3):Ar−SONR(Ar、RおよびRは前述のとおり定義される)で表されるスルフィンアミド体に変換するアミド化工程を含む、
    変性方法。
  2. 前記アミド化工程後の混合物を一般式(B):ROH(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表されるアルコールとの反応に供して、前記トリフルオロスルファニル芳香族化合物を一般式(4):Ar−SOR(ArおよびRは前述のとおり定義される)で表されるスルフィンエステル体に変換するエステル化工程をさらに含む、
    請求項1に記載の変性方法。
  3. 前記混合物がフッ化水素をさらに含み、
    前記アミド化工程の前に、当該混合物を一般式(C):R N(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表される3級アミンとの反応に供して、当該フッ化水素と3級アミンの塩を形成する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の変性方法。
  4. 前記Rが炭素数2または3のアルキル基、
    前記Rが水素原子あるいは炭素数2または3のアルキル基、
    前記Rが炭素数2または3のアルキル基、
    前記Rが炭素数1または2のアルキル基である、
    請求項1〜3のいずれかに記載の変性方法。
  5. 一般式(1):Ar−SF(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるトリフルオロスルファニル芳香族化合物、および一般式(2):Ar−SOF(Arは置換または非置換のアリール基)で表されるフルオロスルフィニル芳香族化合物を含む混合物におけるトリフルオロスルファニル芳香族化合物の濃度を分析する方法であって、
    当該混合物を一般式(A):RNH(Arは置換または非置換のアリール基、Rは炭素数1〜4のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基)で表される1級または2級アミンとの反応に供して、前記フルオロスルフィニル芳香族化合物を一般式(3):Ar−SONR(Ar、RおよびRは前述のとおり定義される)で表されるスルフィンアミド体に変換するアミド化工程、
    当該アミド化工程後の変性混合物を一般式(B):ROH(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表されるアルコールとの反応に供して、前記トリフルオロスルファニル芳香族化合物を一般式(4):Ar−SOR(ArおよびRは前述のとおり定義される)で表されるスルフィンエステル体に変換するエステル化工程、ならびに
    当該エステル化工程後の変性混合物を液体クロマトグラフィーまたはH−NMRによって分析して前記スルフィンエステル体の濃度を決定し、当該濃度をトリフルオロスルファニル芳香族化合物の前記濃度とする工程、
    を含む、分析方法。
  6. 前記混合物がフッ化水素をさらに含み、
    前記アミド化工程の前に、当該混合物を一般式(C):R N(Rは炭素数1〜4のアルキル基)で表される3級アミンとの反応に供して、当該フッ化水素と3級アミンの塩を形成する工程をさらに含む、
    請求項5に記載の分析方法。
  7. 前記Rが炭素数2または3のアルキル基、
    前記Rが水素原子あるいは炭素数2または3のアルキル基、
    前記Rが炭素数2または3のアルキル基、
    前記Rが炭素数1または2のアルキル基である、
    請求項5または6に記載の分析方法。
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