以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸が水平面に対して平行かつ互いに直交する方向に設定され、Z軸がX軸及びY軸のそれぞれと直交する方向(鉛直方向)に設定されている。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボット1の概略構成を示す斜視図である。図1において、符号W1は第1対象物、符号W2は第2対象物である。また、符号L1Aは第1アーム21Aの回転軸,符号L2Aは第2アーム22Aの回転軸、符号L3Aは第3アーム23Aの回転軸、符号L4Aは把持部10Aの回転軸である。符号L1Bは第1アーム21Bの回転軸,符号L2Bは第2アーム22Bの回転軸、符号L3Bは第3アーム23Bの回転軸、符号L4Bは把持部10Bの回転軸である。
ここでは、第1対象物W1として小型かつ軽量な歯車を例示して説明することとし、第2対象物W2として前記歯車を回転可能に支持する支持軸(ピン)を備える電子機器を例示して説明することとする。なお、第1対象物W1は把持部と接する側に曲面を有する略円柱形状となっている。
図1に示すように、本実施形態に係るロボット1は、ロボットハンドRHを備えている。ロボットハンドRHは、本体部11に設けられた把持部10A及び10Bを有している。把持部10Aは、開閉可能に設けられ対象物を把持する一対の指部41及び42を有している。把持部10Bは、開閉可能に設けられ対象物を把持する一対の指部43及び44を有している。
また、ロボット1は、対象物と把持部10A,10Bとをそれぞれ相対移動させるアーム(移動装置)20A,20Bと、第1対象物W1を搬送するベルトコンベア33,34と、第1対象物W1を第1ベルトコンベア(移動装置)33に搬入するフィーダと、第1対象物W1の受け渡し用の台となるステージ37と、対象物W1,W2を載置するステージ(移動装置)30と、アーム20A,20B及びステージ30を支持する基台50と、アーム20A,20Bにそれぞれ取り付けられたカメラ40A,40Bと、ロボット1自身の動作を制御する制御装置60と、制御装置60への入力指示を行う入力装置70と、を備えている。
把持部10Aは、第3アーム23Aの先端部に接続されている。把持部10Aは、第1ベルトコンベア33に配置された第1対象物W1を把持する。把持部10Aは、把持した第1対象物W1をステージ37に搬送する。把持部10Aは、第1対象物W1を把持する力を検出する検出装置41Aを備えている。検出装置41Aとしては、例えば、圧力センサーを用いたりモーターのトルクの変化(モーターを流れる電流の変化)を検出するセンサーを用いたりすることができる。
把持部10Bは、第3アーム23Bの先端部に接続されている。把持部10Bは、ステージ37に配置された第1対象物W1を把持する。把持部10Bは、把持した第1対象物W1をステージ30に搬送する。把持部10Bは、把持した(またはステージ37に配置された)第1対象物W1を第2対象物W2に搬送する。具体的には、把持部10Bによって、歯車W1が電子機器W2のピンに挿通される。把持部10Bは、第1対象物W1を把持する力を検出する検出装置41Bを備えている。検出装置41Bとしては、例えば、圧力センサーを用いたりモーターのトルクの変化(モーターを流れる電流の変化)を検出するセンサーを用いたりすることができる。
アーム20Aは、第1アーム21A、第2アーム22A、第3アーム23Aがこの順に連結されており、第1アーム21AがZ軸方向に回転軸を有する主軸24及び平面視略矩形の基底部25を介して基台50に接続されている。第1アーム21Aは、主軸24との連結個所において、水平方向(XY平面と平行な方向)に回転軸L1A周りを正逆回転可能に設けられている。第2アーム22Aは、第1アーム21Aとの連結個所において、水平方向に回転軸L2A周りを正逆回転可能に設けられている。第3アーム23Aは、第2アーム22Aとの連結個所において、水平方向に回転軸L3A周りを正逆回転可能であるとともに、垂直方向(Z軸方向)に上下移動可能に設けられている。なお、把持部10Aは、第3アーム23Aとの連結個所において、水平方向に直交する方向に回転軸L4A周りを正逆回転可能に設けられている。
アーム20Bは、第1アーム21B、第2アーム22B、第3アーム23Bがこの順に連結されており、第1アーム21BがZ軸方向に回転軸を有する主軸24及び平面視略矩形の基底部25を介して基台50に接続されている。第1アーム21Bは、主軸24との連結個所において、水平方向(XY平面と平行な方向)に回転軸L1B周りを正逆回転可能に設けられている。第2アーム22Bは、第1アーム21Bとの連結個所において、水平方向に回転軸L2B周りを正逆回転可能に設けられている。第3アーム23Bは、第2アーム22Bとの連結個所において、水平方向に回転軸L3B周りを正逆回転可能であるとともに、垂直方向(Z軸方向)に上下移動可能に設けられている。なお、把持部10Bは、第3アーム23Bとの連結個所において、水平方向に直交する方向に回転軸L4B周りを正逆回転可能に設けられている。
第1ベルトコンベア33、第2ベルトコンベア34は、アーム20Aが設けられた側からこの順に離間して配置されている。フィーダ36は、第1ベルトコンベア33の上流側(+Y方向側)に配置されている。第2ベルトコンベア34は、第1ベルトコンベア33の下流側(−Y方向側)に突出するよう平面視において第1ベルトコンベア33よりも大きくなっている。第1ベルトコンベア33から落下した第1対象物W1は、第2ベルトコンベア34に搬送されて図示しない傾斜したベルトコンベアによりフィーダ36の開口部36aに投入される。このようにして、把持部10Aに把持されなかった第1対象物W1は、第1ベルトコンベア33、第2ベルトコンベア34、フィーダ36を循環するようになっている。
ステージ30は、対象物を載置する天板31と、天板31を支持するベース部35と、を備えている。ベース部35は、例えば、X方向に天板31を水平移動させる移動機構と、Y方向に天板31を移動させる移動機構と、がそれぞれ独立に収納されており、天板31を水平方向に移動可能に設けられている。
カメラ40Aは、アーム20Aを構成する第2アーム22Aの先端部に取り付けられている。カメラ40Aとしては、例えばCCDカメラを用いる。カメラ40Aは、第1ベルトコンベア33上に載置された第1対象物W1を撮像する。カメラ40Aの撮影画像は、制御装置60に送信される。
カメラ40Bは、アーム20Bを構成する第2アーム22Bの先端部に取り付けられている。カメラ40Bとしては、例えばCCDカメラを用いる。カメラ40Bは、天板31上に載置された第1対象物W1、第2対象物W2を撮像する。カメラ40Bの撮影画像は、制御装置60に送信される。
制御装置60は、メモリー、CPU、電源回路等を内蔵している。制御装置60は、入力装置70から入力されるロボット1の動作内容を規定する動作プログラム等を記憶し、CPUによってメモリーに記憶された各種プログラムを起動しロボット1を統括制御する。
図2は、本実施形態に係る爪部の構成を示す平面図である。ここでは、把持部10A及び把持部10Bのうち把持部10Aの指部41及び42を例示して指部の構成を説明することとする。把持部10Bの指部43及び44については把持部10Aの指部41及び42と同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。図2(a)は、指部の構成を示す平面図であり、図2(b)は、指部の形状のパラメーターを説明する図である。
図2(a)に示すように、指部41は爪部101を有しており、指部42は爪部102を有している。爪部101及び爪部102は、基準線202で線対称の関係である。また、爪部101及び爪部102は、先端から後端(基端もしくは基部ともいう)に向かうにしたがって、互いに離れる方向に漸次傾斜する第1傾斜面(先端側の面ともいう)111及び112を有し、互いに近接する方向に漸次傾斜する第2傾斜面(基端側の面もしくは基部側の面もいう)121及び122を有している。また、爪部101及び爪部102は、例えば、アルミニウム等の金属(平板)を曲げたり、前記金属(直方体)を切削したりすることによって形成することができる。
このような構成により、第1対象物W1は爪部101と爪部102の先端付近で把持されることとなる。このため、爪部101及び爪部102は、第1対象物W1を把持して搬送するために、ケージング、セルフアライメント、摩擦把持の3つの機能を実現できる。制御装置60は、爪部101及び爪部102に第1対象物W1を4点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
なお、「ケージング」とは、対象物(第1対象物W1)がある位置及び姿勢のときに、第1対象物W1が、一対の爪部101及び爪部102とによって閉じられた空間の中にあることをいう。ケージングでは、第1対象物W1の位置あるいは姿勢は、爪部101及び爪部102に拘束されておらず自由である。
「セルフアライメント」とは、爪部101及び爪部102が第1対象物W1を挟み込む際に、爪部101及び爪部102の形状や、爪部101及び爪部102と第1対象物W1との摩擦力によって、第1対象物W1を前記閉じられた空間の中で所定の位置に移動させることをいう。
「摩擦把持」とは、爪部101及び爪部102が第1対象物W1を4点以上の接触点で接触させて第1対象物W1を拘束し、かつ、摩擦力によって第1対象物W1を第1対象物W1が配置された面33aに対して垂直な方向に拘束して把持することをいう。
図2(b)に示すように、爪部101の先端は、頂点a1、a2、a3に囲まれた三角形(凹部ともいう)の形状(以下、爪部形状という)になっている。この爪部形状を3つのパラメーターα、β、dで表す。符号βは、線分a1a2と線分a1a3とのなす角を表し、符号αは、頂点a2から線分a1a3に垂線(基線ともいう)をおろした場合の線分a2a3と垂線とのなす角を表す。また、符号dは、三角形a1a2a3の底辺a2までの高さ(=a2a3cosα)を表す。また、第1傾斜面111と第2傾斜面121との交点である点a2を基点ともいう。
爪部101において、爪部形状のパラメーターα、β、dが取り得る範囲は、次式(1)のようになる。
以下、この爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する手法について説明する。図3(a)と図3(b)は、本実施形態に係る爪部の開閉機構を説明する図である。
図3(a)に示すように、制御装置60は、爪部101及び爪部102を、各々の頂点a1とa3とを結ぶ辺を延長して交わる点Qを中心として、互いの辺a1a3とを延長した線同士のなす角φを制御することで開閉する。また、爪部101及び爪部102を、爪部101の開閉における3つのパラメーター(以下、開閉パラメーターという)θ、γ、l(エル)で表す。点Pは回転中心を表し、符号l(エル)は、点Pから爪部101の三角形a1a2a3の下端a1(点B;基端側の面の端部ともいう)までの距離を表す。符号γは把持部101が閉じている時のBPとx軸がなす角を表し、符号θは、把持部101が閉じている時のBPと爪部101が開いた状態の時のB’Pがなす角を表す。
次に、爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する手順を、図面を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する手順を説明する図である。
まず、図4を用いて爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する手順の概略を説明する。
図示しない爪部設計装置は、爪部101及び爪部102が把持可能な範囲を算出する(ステップS1)。なお、本実施形態では、爪部101及び爪部102の爪部形状のパラメーターα、β、dを、爪部設計装置が算出する例について説明するが、例えば、これらの算出手順に従って算出を行う演算装置や、爪部の設計者が行うようにしてもよい。
次に、爪部設計装置は、後述するケージング条件とセルフアライメント条件を含む制約条件を用いて、爪部101及び爪部102が把持可能な範囲の絞り込みを行う(ステップS2)。
次に、爪部設計装置は、制約条件から爪部101及び爪部102の爪先形状の範囲の絞り込みを行う(ステップS3)。
次に、爪部設計装置は、爪部101及び爪部102の爪先形状を算出、すなわち、爪部形状のパラメーターα、β、dを算出する(ステップS4)。
[摩擦把持の条件]
次に、ステップS1で行う爪部101及び爪部102が把持可能な範囲を計算手法について、詳細に説明する。爪部101及び爪部102が、対象物W1を把持する条件は、爪部101、102と対象物W1とが、少なくとも3点の接触点を有して接し、拘束していることである(摩擦把持の条件)。
ここで、まず、爪部設計装置は、爪部101及び爪部102が把持可能な対象物W1(部品)の最大の大きさを求める。
図5は、本実施形態に係る爪部が把持可能な部品を説明する図である。この図では、爪部101及び爪部102が把持する物体Mの形状は、xy平面から視たとき円形(例えば、円柱状)である。また、以下の説明において、爪部形状のパラメーターα、β、dを算出するため、前述した爪部101及び爪部102の先端の三角形の形状について説明する。なお、以下の説明では、爪部形状のパラメーターα、β、dが異なる把持部であっても、共通の符号101と102とを用いて、把持部101と102と称する。また、爪部101及び爪部102が把持する対象物W1は、以下、大きさが異なっても共通の符号Mを用いて、部品Mと称する。
また、図5(a)〜図5(c)に示すように、爪部101の第1傾斜面111と物体Mとの接点を点p1、爪部101の第2傾斜面121と部品Mとの接点を点p2、爪部102の第1傾斜面112と部品Mとの接点を点p4、爪部102の第2傾斜面122と部品Mとの接点を点p3と称する。また、物体Mの中心点oは、基準線202上にあり、中心点oを通り、この基準線202に対して垂直な線分を中心線201と称する。
図5(a)は、爪部101及び爪部102が把持可能な部品を説明する図であり、図5(b)は、爪部101及び爪部102が把持可能な最大の大きさの部品を説明する図であり、図5(c)は、爪部101及び爪部102が把持不可能な部品を説明する図である。
図5(a)に示すように、中心線201は、接点p1とp4を結ぶ線分と、接点p2とp3を結ぶ線分との間に位置している。このような状態の場合、爪部101及び爪部102は、4つの接触点により部品Mを囲むように把持できるため、部品Mを摩擦把持により安定して把持している。
図5(c)に示すように、中心線201は、接点p1とp4を結ぶ線分よりy方向の正方向に位置している。このような状態の場合、爪部101及び爪部102は、4つの接触点により部品Mを囲むように把持できないため、部品Mを摩擦把持により安定して把持できない場合がある。例えば、物体Mと爪部101及び爪部102の摩擦係数が所定の値より小さい場合、部品Mは、摩擦把持された状態からy方向の正方向へ抜けて飛び出してしまう場合がある。
このため、爪部101及び爪部102が把持する部品Mの最大の大きさは、図5(b)に示すように、中心線201と接点p1とp4を結ぶ線分と一致する場合である。この爪部101及び爪部102の面(第1傾斜面111と112、第2傾斜面121と122)が把持できる部品Mの最大半径をrmax1(以下、把持可能な最大の大きさという)で表す。
図6は、本実施形態に係る把持可能な最大の大きさと爪部形状のパラメーターα、β、dとの関係を説明する図である。図6に示すように、部品Mは、4つの接点p1〜p4で部品Mを囲んでいる。すなわち、全ての接点p1〜p4と部品Mが、爪部101及び爪部102の面(第1傾斜面111と112、第2傾斜面121と122)にある。このように、4つの接点で部品Mを囲むことができる把持可能な最大の大きさをrmax11で表す。
図7は、本実施形態に係る爪部の頂点と部品との関係により把持可能な部品の大きさを説明する図である。図8は、本実施形態に係る爪部の頂点と部品との関係を説明する図である。
図7(a)は、把持可能な場合を説明する図であり、図7(b)は、把持不可能な場合を説明する図である。なお、以下の説明では、部品Mは、爪部101及び爪部102の材質より柔らかい樹脂などの場合について説明する。
図7(a)に示すように、部品Mは、爪部101の第2傾斜面121と接点p2で接触し、および爪部102の第2傾斜面122と接点p3で接触している。そして、部品Mは、爪部101の第1傾斜面111とは接していず、爪部101の先端の三角形a1a2a3の頂点a3(接点p3)で接触している。接点p1において、爪部101の三角形a1a2a3の辺a2a3は、部品Mの接線である。このため、爪部101の頂点a3は、部品Mに突き刺さらない。
一方、図7(b)に示すように、図7(a)と同様に、部品Mが、爪部101の第2傾斜面121と接点p2で接触し、および爪部102の第2傾斜面122と接点p3で接触している。しかしながら、爪部101の頂点a1と部品Mは、接点p1で接している。この場合、接点p1において、爪部101の三角形a1a2a3の辺a2a3は、部品Mの接線ではない。このため、爪部101の頂点a3は、部品Mに突き刺ささる。
すなわち、把持可能な最大の大きさの条件として、爪部101の頂点a3または頂点a1が、部品Mに突き刺さらない必要がある。
以下、爪部101及び爪部102の頂点a3と、爪部101及び爪部102の頂点a1とを爪先と称する。
図8(a)は、爪部101及び爪部102の頂点a3が部品Mに突き刺さらない条件を説明する図である。図8(b)は、爪部101及び爪部102の頂点a1が部品Mに突き刺さらない条件を説明する図である。図8(a)と図8(b)の場合分けは、爪部形状のパラメーターαが、π/2−β未満であるか、π/2−β以上であるかである。このように、爪先に突き刺さらない条件を加味した把持可能な最大の大きさをrmax12で表す。
この結果、図6と図8に示すように、把持可能な最大の大きさrmax1は、幾何学的関係から、爪部形状のパラメーターα、β、dおよび開閉パラメーターθ、γ、l(エル)により、次式(2)〜次式(4)のようになる。
なお、式(2)において、rmax1が、rmax11かrmax12かが選択されるかは、爪先の形状により異なる。また、式(4)において、ifは、場合分けを表し、αがπ/2−β未満の場合は、rmax12=d/cos(α)×tan((π/2−β+α)/2)であり、αがπ/2−β以上の場合は、rmax12=d/sin(β)×tan((π/2−β+α)/2)である。
次に、爪部101及び爪部102を閉じた状態について説明する。図9は、本実施形態に係る爪部を閉じた時に把持可能な部品の大きさを説明する図である。
図9(b)に示すように、爪部101及び爪部102を閉じた場合、爪部101及び爪部102の第1傾斜面111と112、第2傾斜面121と122のおのおのの面は、部品Mとそれぞれ接点p1〜p4と接している。この状態の部品Mは、爪部101及び爪部102によって把持可能な最小の大きさrmin1である。
一方、図9(a)に示すように、部品Mが小さい場合、爪部101及び爪部102を閉じた時、部品Mは、4つの接点p1〜p4すべてと接することができない。このような状態を、爪部101及び爪部102が部品Mを把持できない(把持不可能)とする。
また、図9(c)に示すように、部品Mの後端は、爪部101及び爪部102の第2傾斜面121と122において接点p2とp3に接している。そして、部品Mの先端と爪部101及び爪部102の接点p1とp4は、爪部101及び爪部102の先端a3である。また、線分a2a3は、部品Mの接線である。このような状態は、図8で説明したように、爪部101及び爪部102が部品Mに突き刺さらない状態であるため、把持可能な状態である。
図10は、本実施形態に係る爪部により把持可能な部品の最小の大きさの算出を説明する図である。この状態は、図9(b)と同様に、爪部101及び爪部102を閉じた時に、部品Mが爪部101及び爪部102の面(第1傾斜面111と112、第2傾斜面121と122)に4つの接点p1〜p4で接している状態である。部品Mが円のため、爪部101及び爪部102が把持可能な部品Mの最小の大きさrmin1は、爪を閉じたときの内接円の半径である。従って、把持可能な部品の最小の大きさ は、図10に示す幾何学的関係から次式(5)のように求められる。
以上で、ステップS1で行う演算の説明を終了する。
次に、ステップS2で行う処理について詳細に説明する。ステップS2では、ケージング条件とセルフアライメント条件を制約条件として用い、爪部101及び爪部102が把持可能な範囲の絞り込みを行う。
図11は、本実施形態に係るケージング領域のパラメーターを説明する図である。図11(a)に示すように、符号rは、部品Mの半径を表す。部品Mの中心点oが自由に動ける空間Sを、x方向の長さをc2、y方向の長さをc1で表す。また、図11(b)に示すように、符号Hは、ケージング領域Sのy方向の正方向側の頂点を表し、符号Jは、y方向の負方向側の頂点を表す。また、符号Iは、ケージング領域Sの線分HJに対して負方向側のx方向の頂点を表し、符号Kは、線分HJに対して正方向側のx方向の頂点を表す。すなわち、y方向の長さc1は、頂点HとJとの間の距離であり、x方向の長さc2は、頂点IとKとの間の距離である。
図12は、本実施形態に係るケージング領域の形状と各パラメーターを説明する図である。
まず、符号についての定義を行う。図12(a)、図12(b)に示すように、爪部101及び爪部102の三角形a1a2a3において、符号l(エル)2は、頂点a3とa1とのy方向の距離を表す。また、図11で説明したy方向の長さc1を、ケージング領域の形状に応じて、符号c11、c12で表す。また、図11で説明したx方向の長さc2を、ケージング領域の形状に応じて、符号c21、c22、c23、c24で表す。また、符号l(エル)1は、三角形a1a2a3の頂点a1を符号Bで表し、点Bと頂点Jとのx方向の距離を表す。
まず、図12(a)と図12(b)に示すように、ケージング領域Sの頂点IJKで囲まれた領域の形状により、y方向の長さc11とc12に場合分けする。左右の爪部101及び爪部102の爪先の先端位置の距離は、部品Mの直径以下となる。すなわち、距離c11の上端は左右の爪部101及び爪部102の爪先の先端位置の中点となる。
図12(a)に示すように、ケージング領域Sの線分は、頂点IとJの間が直線であり且つ頂点JとKとの間が直線である。そして、ケージング領域Sの線分は、頂点HとIの間が直線ではない且つ頂点HとKとの間が直線でない。また、図12(a)に示すように、点Bと頂点Jとの距離はrではない。このような状態のケージング領域Sのy方向の長さをc11とする。
図12(b)に示すように、ケージング領域Sの線分は、頂点IとJの間が直線だけではなく且つ頂点JとKとの間が直線だけではない。すなわち、頂点IとJの間の線分は、図12(b)に示すように、直線と曲線と有している。そして、ケージング領域Sの線分は、頂点HとIの間と、頂点HとKの間とは、各々、直線と曲線と有している。また、図12(b)に示すように、点Bと頂点Jとの距離はrである。このような状態のケージング領域Sのy方向の長さをc12とする。
図12(a)と図12(b)に示すように、ケージング領域Sのy方向の距離c1は、次式(6)のように場合分けされる。
図12(a)と図12(b)に示した幾何学的関係から、ケージング領域Sのy方向の長さをc11とc12は、次式(7)〜次式(8)のようになる。
式(7)、式(8)において、距離l(エル)1、距離l(エル)2は、次式(9)〜次式(10)である。
また、式(7)、式(8)において、角度θは、次式(11)である
なお、式(11)において、a、b、cは、次式(12)〜次式(14)である。
[ケージング条件]
次に、ケージング領域Sの形状により、図13〜図16に示すように、ケージング領域Sのx方向の距離c2をc21〜c24に場合分けする。
図13は、本実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc21の場合を説明する図である。図14は、本実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc22の場合を説明する図である。図15は、本実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc23の場合を説明する図である。図16は、本実施形態に係るケージング領域のx方向の距離がc24の場合を説明する図である。
まず、図13〜図16で用いる符号について定義する。符号Tは、爪部101の三角形a1a2a3の頂点a3を表し、符号Bは、頂点a1を表す。また、符号Cは、ケージング領域Sの頂点Jを表す。符号L1は、ケージング領域Sの頂点Jと頂点Iを結ぶ線分を通る直線を表す。符号Aは、頂点Iと頂点Hとの間の直線範囲の終点を表す。すなわち、図13において、線分IAは直線であり、線分AHは曲線である。
直線L2は、ケージング領域Sの頂点Iと頂点Hとの間の直線範囲IAを通る直線である。符号l(エル)3は、ケージング領域Sの頂点Jと、爪部101の三角形a1a2a3の頂点a2とのx方向の距離を表す。また、符号l(エル)4は、点A(円弧と直線の境界(上側))と直線L1との距離を表し、符号l(エル)5は、点C(円弧と直線の境界(下側))と直線L2との距離を表す。符号l(エル)6は、点Aと点B(爪先の先端)の距離、l(エル)7は点Cと点T(爪先の先端)の距離を表す。
図13〜図16に示すように、ケージング領域Sの頂点IKの距離c2は、次式(15)のように場合分けされる。
式(15)において、例えば、l4が0(ゼロ)より大きいとは、ケージング領域Sの頂点Iと頂点Hとの間に直線領域があることを意味している。また、l4が0(ゼロ)未満とは、ケージング領域Sの頂点Iと頂点Hとの間に直線領域がない、すなわち曲線領域があることを意味している。l4が0(ゼロ)以上とは、ケージング領域Sの頂点Iと頂点Hとの間に直線領域があり、曲線領域を含むことを意味している。
図13に示すように、距離c21を有するケージング領域Sは、頂点Hと頂点Iの区間が直線と曲線で形成され、頂点Iと頂点Jの区間が直線のみで形成されている。図14に示すように、距離c22を有するケージング領域Sは、頂点Hと頂点Iの区間が曲線のみで形成され、頂点Iと頂点Jの区間が直線のみで形成されている。図15に示すように、距離c23を有するケージング領域Sは、頂点Hと頂点Iの区間が直線と曲線で形成され、頂点Iと頂点Jの区間が曲線のみで形成されている。図16に示すように、距離c24を有するケージング領域Sは、頂点Hと頂点Iの区間が曲線のみで形成され、頂点Iと頂点Jの区間が曲線のみで形成されている。
図13〜図16に示した幾何学的関係から、ケージング領域Sのx方向の長さをc21〜c24は、次式(16)〜次式(19)のようになる。
なお、式(16)〜式(19)において、l(エル)3〜l(エル)7、角度θは、次式(20)〜次式(25)である。
なお、式(25)において、a、b、cは、次式(26)〜次式(28)である。
ケージング領域Sが大きいほど,部品Mの位置誤差に対してロバストな把持が可能となる。また、部品Mが大きいほどケージング領域Sの距離c1およびc2の値は小さくなる。そこで許容可能な位置誤差の最小値climを定め、距離c1またはc2が最小値climを下回る部品Mの大きさをケージング可能な最大の大きさrmax2とする。爪部設計装置は、rmax2を式(6)及び式(15)から数値計算により求める。
図17は、本実施形態に係るケージング可能な最大の大きさrmax2と距離c1、c2、climの関係を説明する図である。図17において、縦軸は、距離c1、c2、climの長さであり、横軸は部品Mの半径である。図17に示すように、ケージング可能な最大の大きさrmax2は、距離c1またはc2の曲線と最小値climの交点のrが小さい値を選択する。例えば、式(6)の場合分けでc12が選択され、式(15)の選択でc21が選択された場合、ケージング可能な最大の大きさrmax2は、距離c12またはc21の曲線と最小値climの交点のrが小さい値を選択する。
また、最小値climは、許容される位置誤差である。許容される位置誤差とは、ケージングが成立する状態で部品Mが自由に動ける範囲(ケージング領域S)の事で、例えば最小値clim=2.0[mm]であれば、距離c1またはc2が2.0[mm]となる。
この値は、例えばカメラで対象物を認識して、把持部10Aで物体を把持する場合に、カメラの認識誤差や把持部10Aの位置決め誤差等が、c1、c2を2.0[mm]で形成する領域Sの範囲内であれば、rmax2の部品Mをケージングが出来る事を意味している。
[セルフアライメント条件]
次に、爪部設計装置が、セルフアライメントが可能な部品Mの最大の大きさを算出する方法について説明する。
図18は、本実施形態に係るセルフアライメントの条件を説明する図である。図18(a)に示すように、部品Mは、爪部101及び爪部102の第2傾斜面121と122の接点p2とp3で接触している。この状態で、爪部101及び爪部102が互いに近づく方向に移動、すなわち閉じると、部品Mが、y方向の正方向に移動させられる。これにより、セルフアライメントが行われる(上方向のセルフアライメントともいう)。また、図18(a)において、符号φは、爪部101の線分a1a2と、頂点a1を始点としy方向に平行な線分401とのなす角を表す。
また、図18(b)に示すように、部品Mは、爪部101及び爪部102の第1傾斜面111と112の接点p1とp4で接触している。この状態で、爪部101及び爪部102が互いに近づく方向に移動、すなわち閉じると、部品Mが、y方向の負方向に移動させられる。これにより、セルフアライメントが行われる(下方向のセルフアライメントともいう)。また、図18(b)において、符号φは、爪部101の線分a3a2と、頂点a3を始点としy方向に平行な線分411とのなす角を表す。
このなす角φは、爪部101と部品Mの接触角である。
図19は、本実施形態に係る爪部から部品に加わる力を説明する図である。図19(a)は、図18(a)と同様に上方向のセルフアライメント時の爪部から部品に加わる力を説明する図である。図19(b)は、図18(b)と同様に上方向のセルフアライメント時の爪部から部品に加わる力を説明する図である。また、図19(b)において、符号xbは、爪部101の頂点a3から部品Mの中心点oを通る線分421までの距離である。図20は、本実施形態に係るrと頂点a2の関係を説明する図である。
図19(a)、図19(b)に示すように、爪部101及び爪部102から部品Mに加わる力Fを、爪部方向(線分a2a1方向または線分a3a2方向)の力fsとx方向の力fxに分解すると次式(29)のように表される。
また、部品Mに対して働く摩擦力ffは、摩擦係数をμとすると、次式(30)のように表される。
式(29)、式(30)より、爪部101及び爪部102を閉じることによって、部品Mが移動する条件は、次式(31)のように表される。
式(31)において、次式(32)のように置く。
次に、上方向のセルフアライメントの場合のセルフアライメント条件を説明する。図19(b)に示すように、接触角φは、次式(33)のように表される。
式(33)のように、爪部101及び爪部102を閉じるほど、接触角φが小さくなるため、βが(tan−1μ)未満の範囲では、セルフアライメントの途中で部品Mが止まってしまう場合がある。このため、上方向へセルフアライメントが可能な部品Mの最小の大きさrmin2は、図19(a)に示した幾何学的関係から、次式(34)のように表される。
式(34)に、式(33)を代入すると、次式(35)のようになる。
次に、下方向のセルフアライメントの場合のセルフアライメント条件を説明する。図19(b)に示すように、接触角φは、次式(36)のように表される。
式(36)のように、爪部101及び爪部102を閉じるほど、接触角φが大きくなるため、(π/2−α)が(tan−1μ)以上の範囲では、最も爪部101及び爪部102が開いたときに、セルフアライメントが可能である。このため、下方向へセルフアライメントが可能な部品Mの最大の大きさrmax3は、図19(b)に示した幾何学的関係から、次式(37)のように表される。
式(37)に、式(36)を代入すると、次式(38)のようになる。
以上のように、ステップS2では、爪部設計装置が、ケージング条件に基づき、ケージング可能な部品Mの最大の大きさrmax2を式(6)と式(15)から算出する。さらに、爪部設計装置は、セルフアライメント条件に基づき、上方向へセルフアライメントが可能な部品Mの最小の大きさrmin2を式(35)から算出し、下方向へセルフアライメントが可能な部品Mの最大の大きさrmax3を式(38)から算出する。
以上で、ステップS2で行う演算の説明を終了する。
[対象部品組み付け可能な条件]
次に、ステップS3で行う処理について詳細に説明する。ステップS3では、部品Mを取り付ける場合について考慮するときに用いる条件について説明する。
図21は、本実施形態に係る部品Mを取り付ける場合に用いる条件を説明する図である。図21(a)に示すように、爪部101及び爪部102は、把持した部品M1を取り付け先の部品M2の歯車同士が組み合うように取り付ける。つまり、部品M1とM2は、例えば歯車を有するギアである。図21(b)は、爪部先が、取り付ける部品M2と干渉なく組み付けが可能な条件を説明する図である。また、図22は、本実施形態に係る爪部先が取り付ける部品M2と干渉している例を説明する図である。
図21(b)において、符号o1は部品M1の中心点であり、符号o2は、取り付けられる部品M2の中心点である。また、符号l(エル)8は、爪部101の三角形a1a2a3の頂点a1と部品M1の中心点o1とのx方向の距離を表し、符号l(エル)9は、爪部101の頂点a1と頂点a3との距離を表し、符号l(エル)10は、取り付けられる部品M2の中心点o2と爪部101の頂点a1との距離のy成分を表す。
図22に示すように、爪部101及び爪部102が、歯車の部品M1を歯車の部品M2に取り付ける場合、あまり部品M1を包み込むような爪部先形状であると、もう一方の歯車と爪先が干渉してしまう。すなわち爪部101及び爪部102は、干渉なく組み付けが可能な条件として、次式(39)を満たす必要がある。
なお、式(39)において、距離l(エル)8、l(エル)9、l(エル)10は、次式(40)〜次式(42)である。
なお、式(42)において、図21(b)に示すように、r1は把持対象の歯車の半径を表し、r2は組み付けしている相手である歯車の半径を表し、d1は歯車の軸間距離を表している。
以上のように、ステップS3では、爪部設計装置が、部品組み付け可能な条件に基づき、爪部101及び爪部102の条件を式(39)により算出する。
なお、ステップS3は、図21(a)に示したような歯車同士の取り付け時に考慮する必要があるが、例えば、把持された部品Mを軸に取り付ける場合には考慮しないようにしてもよい。この場合、ステップS3の演算処理は行わないようにしてもよい。
なお、本実施形態では、取り付け先の部品M2に干渉しない条件を設定する例を説明したが、把持する部品Mの大きさに応じて、爪部101及び爪部102が取り付け部品M2と干渉する部分を削除するようにしてもよい。この場合においても、前述した摩擦把持する条件、セルフアライメント条件、ケージング条件を満たすようにして、干渉部分を削除する。
以上で、ステップS3で行う演算の説明を終了する。
次に、ステップS4で行う処理について詳細に説明する。ステップS4では、ステップS1〜ステップS3で算出された結果を用いて、爪部101及び爪部102の爪先形状を算出する。
爪部設計装置は、許容可能な位置誤差clim、摩擦係数μを用いて次式(43)と次式(44)により、爪先形状において把持可能な部品Mの最小の大きさrminと、把持可能な最大の大きさrmaxを算出する。
すなわち、爪部設計装置は、式(43)により、部品Mの最小の大きさrminとして、摩擦把持可能な部品Mの最小の大きさrmin1と、先端から基端へのセルフアライメントが可能な部品Mの最小の大きさrmin2のうち、大きい値を選択する。また、爪部設計装置は、式(44)により、部品Mの最大の大きさrmaxとして、摩擦把持可能な部品Mの最大の大きさrmax1と、部品Mの中心が移動可能な領域が最大となる部品Mの最大の大きさrmax2と、先端から基端へのセルフアライメントが可能な部品Mの最大の大きさrmax3と、のうち、最も小さい値を選択する。このようにして選択された部品Mの最小の大きさrminと部品Mの最大の大きさrmaxとが、爪部101及び爪部102で把持可能な部品Mの大きさの範囲である。
なお、爪部101、102の先端部は、必ずしも厳密な意味での端部のみを示しているのではなく、例えば、図3(a)のように、点a1と点a3を通る直線を含む先端の方の側面やそれに類する箇所も含んでいる。同様に、爪部101、102の基部は、必ずしも厳密な意味での端部のみを示しているのではなく、例えば、図3(a)のように、点a1と点a3を通る直線を含む後ろ端の方の側面やそれに類する箇所も含んでいる。
また、明細書中の式は対象物が円である前提で示しているが、歯車でも近似的に外接円として扱うことで十分に成り立つものである。
[ロボットハンド]
次に、上記のように設計された爪部101及び爪部102を有するロボットハンドRHの本体部11の構成を示す模式図である。図23(a)及び図23(b)は、指部41及び42と本体部11との構成を示す図である。
図23(a)及び図23(b)に示すように、本体部11は、指部41及び42に連結されたリンク機構CNと、当該リンク機構CNを駆動する駆動部ACTと、これらリンク機構CN及び駆動部ACTを支持する支持機構FLを備えている。
支持機構FLは、ステージ509及び支持柱510を有している。ステージ509は、例えば円板状に形成されている。支持柱510は、ステージ509上に設けられており、+Y方向に立った状態で配置されている。支持柱510はステージ509に固定されており、ステージ509と支持柱510とは一体的に設けられている。
リンク機構CNは、一対の指部41及び42が同期して対象物に対して近づくまたは遠ざかる方向に移動するように把持部10Aを駆動する。リンク機構CNは、指部41及び42を支持する支持部材520を有している。支持部材520は、指部41に連結される支持部材520Aと、指部42に連結される支持部材520Bとを有している。
支持部材520は、例えば棒状に形成された剛性部材である。なお、指部41及び42は関節部512に支持されており、支持部材520は、当該関節部512に接続されている。このため、指部41及び42は、関節部512を介して支持部材520に支持されていることになる。
各支持部材520は、連結部材522に連結されている。連結部材522は、支持部材520との連結部から分岐されている。連結部材522の分岐部分のうち一方が関節部514に接続されており、他方が関節部515に接続されている。関節部514は、固定部材521に取り付けられている。固定部材521は、支持機構FLの支持柱510に固定されている。このため、関節部514は、X方向、Y方向及びZ方向の移動が規制されている。
一方、関節部514は、Z軸周りには回転可能に支持されている。このため、支持部材520は、関節部514を中心としてZ軸周りに回転可能である。各支持部材520が関節部514を中心としてZ軸周りに回転することで、一対の指部41及び42が開閉する構成となっている。
関節部515は、連結部材504に連結されている。連結部材504は、関節部516を介して昇降部材505に連結されている。昇降部材505は、例えば角柱状に形成されている。昇降部材505は、駆動部ACTに接続されており、Y方向に移動可能に設けられている。
駆動部ACTは、モーター装置MTRを有している。モーター装置MTRは、支持柱510に固定されている。モーター装置MTRは、不図示の回転軸を有しており、当該回転軸をY軸周りに回転させる。モーター装置MTRの回転軸は、ステージ509上に設けられたギア部530に接続されている。また、モーター装置MTRの回転軸には、エンコーダーECが取り付けられている。エンコーダーECは、モーター装置MTRによる回転軸の回転角度を検出する。
ギア部530には、駆動ベルト508が掛けられている。当該駆動ベルト508は、ギア部530と、ステージ509上に設けられたプーリー部531との間に掛け渡されている。
プーリー部531は、ボールネジ機構507のボルト部507aに接続されている。ボルト部507aは、Y軸回りに回転可能に設けられると共に、Y方向への移動が規制されている。ボルト部507aには、ナット部507bが螺合されている。ナット部507bは、昇降部材505に一体的に接続されており、Y方向へ移動可能に設けられているが、Y軸周りの回転が規制されている。
上記のように構成された把持部10Aの動作を説明する。モーター装置MTRが回転軸を回転させることにより、ギア部530がY軸周りに回転する。ギア部530がY軸周りに回転することで駆動ベルト508が回転移動し、当該駆動ベルト508の回転移動によりプーリー部531がY軸周りに回転する。
プーリー部531がY軸周りに回転すると、ボルト部507aがY軸周りに回転する。この回転により、ボルト部507aとナット部507bとの間で相対的な回転移動が生じ、ナット部507bがY方向に移動する。この移動により、ナット部507bに一体的に接続された昇降部材505がY方向に移動する。
なお、モーター装置MTRの回転方向を調整することで、例えば昇降部材505を+Y方向に移動させると、連結部材504が+Y方向に移動し、関節部515を+Y方向に押し出す。各支持部材520は関節部514においてX方向、Y方向及びZ方向の移動が規制されている。このため、各支持部材520は、この関節部515の動きにより、関節部514を中心として一対の指部41及び42を近づける方向に回転する。
また、昇降部材505を例えば−Y方向に移動させると、連結部材504が−Y方向に移動し、関節部515を−Y方向に引っ張る。各支持部材520は関節部514においてX方向、Y方向及びZ方向の移動が規制されている。このため、各支持部材520は、この関節部515の動きにより、関節部514を中心として一対の指部41及び42を遠ざける方向に回転する。
次に、上記のロボットハンドRHにおいて、爪部101及び爪部102によって把持される対象物の寸法及び中心位置を検出する手順を説明する。
図24は、ロボットハンドRHを用いて対象物(部品M)の寸法及び中心位置を検出する手順を示すフローチャートである。
図24に示すように、まず、エンコーダーECを用いて、モーター装置MTRの回転角度を検出する(ステップ101)。次に、リンク機構CNの移動距離を算出する(ステップ102)。次に、爪部101及び爪部102の開き角を算出する(ステップ103)。以上の結果をもとに、部品Mの寸法(半径)を算出する(ステップ104)と共に、部品Mの中心位置(座標)を算出する(ステップ105)。以下、順に説明する。
[回転角度の検出]
エンコーダーECの変化量をE(パルス)とすると、例えばエンコーダーECの1(パルス)に対応するモーター装置MTRの回転角度を0.001°とすると、モーター装置MTRの回転角度M(deg)は、式(45)で示される。
[リンク機構の移動距離]
例えば、ボールネジ機構507のボルト部507aに形成されたネジ山のピッチが1mmである場合、モーター装置MTRが1回転すると、ナット部507bはY方向に1mm移動することになる。このことを考慮し、以下の式(46)に基づいて、モーター装置MTRの回転角度Mからリンク機構CNの移動距離X(mm)を算出する。
[爪部の開き角]
図25は、一対の指部41、42及びリンク機構CNの構成を示す図であり、図23の一部を拡大して示す図である。図26は、図25の構成を模式的に示す図である。なお、図26では、一対の指部41及び42のうち、指部42を代表させて示している。これに伴い、以下では指部42の構成を中心に説明するが、以下の説明は指部41についても適用可能である。
図25及び図26に示すように、指部42の第二傾斜面122の端部(−Y側端部)から関節部514までの直線距離をlとし、昇降部材505のうちX方向の中央部から関節部516までの距離をALとし、関節部516から関節部515までの距離をBLとし、関節部515から関節部514までの距離をCLとする。
ここで、指部41と指部42とを閉じた状態(図26において図中実線で示した状態:以下、「第一状態」と表記する)において、X方向(2つの関節部514を結ぶ直線に平行な方向)と支持部材520との間の傾斜角度をγとする。また、指部41と指部42との間を開いた状態(図26において図中一点鎖線で示した状態:以下、「第二状態」と表記する)において、指部42の開き角をθとする。また、支持部材520と連結部材522の分岐部分(関節部515側)とがなす角度をδとする。
以上のようにパラメーターを設定した場合、図26に示すように、第一状態において、関節部515と関節部516との間のY方向の距離は、以下の式(47)で示される。また、この場合、関節部515と関節部514との間のY方向の距離は以下の式(48)で示される。
また、第二状態において、関節部515と関節部516との間のY方向の距離は、以下の式(49)で示される。また、この場合、関節部515と関節部514との間のY方向の距離は以下の式(50)で示される。
以上の式(47)〜式(50)を用いてリンク機構CNの移動距離Xを求める。この場合、リンク機構CNの移動距離Xは、関節部516の移動距離に等しい。ここで、図26(a)及び図26(b)に示すように、関節部516の移動距離Xと、式(47)との和は、式(48)と、式(49)と式(50)との和に等しい。このことから、下記式(51)を得る。
式(50)を変形すると、下記の式(52)を得る。
ここで、以下の式(53)〜式(55)のようにa、b、cを定義する。
すると、上記式(52)は、a、b、cを用いて以下の式(56)のように示される。
上記式(56)を開き角θについて変形すると、以下の式(57)を得る。
[部品の寸法(半径)]
爪部101と爪部102との間の開き角θの場合の部品Mの半径rの導出を行う。爪部101と爪部102及びリンク機構CNは、左右対称であるから、中心線に対して一方(例、左側)のみを考え、その結果を他方(例、右側)に対しても適用すればよい。
図27(a)及び図27(b)は、部品Mの寸法を算出するための概念図である。
図27(a)及び図27(b)に示すように、爪部101の三角形の頂点を根元側から順に、点A、点B及び点Cとする。部品Mの中心を点D、部品Mと爪部101との接触点を根元側から順に点E、点Fとする。点Bから中心線に対して垂線を下ろしたときの交点を点Gとし、点Aから線分BGに垂線を下ろしたときの交点を点Hとする。点Aから中心線に垂線を下ろしたときの交点を点Iとする。
線分BGの長さは、上記の式(20)で示されたl3と同一あり、線分FD及び線分EDの長さは共にrであるから、線分BDは∠ABCの二等分線である。∠ABCの大きさは、以下の式(58)の通りであるから、∠ABDの大きさは以下の式(59)のようになる。また、∠ABHの大きさは以下の式(60)のようになる。
よって、∠DGBは、以下の式(61)のようになる。
したがって、三角形DBGを考えると、線分BDの長さは、以下の式(62)で示される。
三角形BDEを考えると、求めるrは、以下の式(63)のようになる。
[部品の中心位置(座標)]
図28は、爪部101が閉じた状態と開いた状態とを示している。
図28に示すように、爪部101が閉じた状態における三角形の頂点を根元側から順に、点A、点B及び点Cとする。なお、点Aは、中心線上に位置する。また、爪部101が開き角θで開いた状態における三角形の頂点を根元側から順に、点A´、点B´及び点C´とする。また、点A´から中心線に対して垂線を下ろしたときの交点を点Gとする。
このとき、爪部101が閉じた状態から、開き角θで開いた状態となったときに、三角形の根元側の頂点(点A)は、線分AGの長さに等しい分、Y方向に移動することになる。このときの線分AGの長さ(点AのY方向の移動距離)は、式(64)によって示される。
また、図27において、点Dの座標が求める中心点の座標(Px、Py)である。点Dは中心線上に位置するため、X座標Pxは0である。ここでは、点DのY座標を求める場合を説明する。なお、点DのY座標としては、爪部101が閉じた状態における三角形の根元側の頂点(図28の点A)を基準(原点)とする。
点Dと、点A(爪部101が開いた状態の三角形の根元側の頂点)とのY方向の距離は、線分IGと線分GDとの和である。線分IGの長さは、以下の式(65)で示される。また、線分GDの長さは、以下の式(66)で示される。
したがって、点Dの座標(Px、Py)は、上記の式(64)〜式(66)より、以下の式(67)で示される。
以上のように、本実施形態によれば、把持部10A、10Bの動作によって対象物である部品Mを所定の位置で把持することができる。これにより、対象物の寸法及び中心座標を検出可能となるように対象物を把持することができる。この場合、一対の爪部101及び102の開閉角度を検出するエンコーダーECを更に備え、制御装置60がエンコーダーECの検出結果に基づいて部品Mの寸法(半径r)及び中心位置(座標(Px、Py))を算出することとしたので、これらの対象物の寸法及び中心座標を簡単に検出することができる。
図29は、本実施形態に係る演算結果による爪部の設計例を説明する図である。
図29(a)は、式(43)と式(44)により算出された爪部102の例である。
上述したように、爪先形状のパラメーターは、d=4.1[mm]、α=61.8[deg]、β=18.4[deg]である。この爪部の把持可能な部品Mの直径の範囲は、9.3[mm]〜33.5[mm]である。
すなわち、このようなパラメーターの爪部を備えるロボット1は、部品の直径が9.3[mm]〜33.5[mm]の範囲で把持可能である。
また、図29(b)に示すように、爪部102’は、図29(a)に示した爪部102から部品Mを把持する上で不要な部分を削除したものである。このように、爪部101と102の形状から、部品Mを把持する上で不要な部分を削除するようにしてもよい。
図30は、本実施形態に係る爪部の他の設計例を説明する図である。図30(a)は、爪部の斜視図であり、図30(b)は、爪部の三面図である。
図30に示すように、爪部102’は、第1傾斜面111に相当する箇所に鍔501、第2傾斜面121に相当する箇所に鍔502を備えている。図30(b)の側面図に示すように、鍔501(リブ)と鍔502(リブ)の高さはd1である。すなわち、鍔501と鍔502は、爪部102’の面510に対して、高さd1だけ凸状の形状に形成されている。鍔501が、第1傾斜面(先端側面)であり、鍔502が、第2傾斜面(基端側面)である。
このように、爪部102’は、鍔501と502を備えるようにしたので、図29(a)の爪先形状から部品Mを把持する上で不要な部分を削除しても、部品Mを把持することが可能になる。このように、第1傾斜面(先端側面)と第2傾斜面(基端側面)とが連続していなくてもよい。また、この鍔501と502は、z軸方向(特に正方向)に対して部品Mをケージングする効果も有する。また、上記のように不要な部分を削除した場合、ロボットハンドRHの軽量化、材料削減によるコスト低下、周辺部品への干渉防止といった点や、狭い部分への侵入が可能な点など、特有の効果を奏する。
[第二実施形態]
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の第二実施形態におけるロボットシステムは、第1の部品が取り付けられたアセンブリー部品に、ロボット本体が搬送する第2の部品を第1の部品に物理的な負荷をかけずに組み合わせて取り付ける組立てシステムである。本実施形態では、第1の部品および第2の部品が平歯車(以下、歯車という。)である例について説明する。
図31は、第二実施形態であるロボット装置を適用したロボットシステムが作業を行う様子を示す、概略の外観図である。
同図において、ロボットシステム801は、ロボット本体810と、把持部811と、ロボット制御装置820と、撮影装置830と、ケーブル840と、ケーブル841とを含んで構成される。
ロボット本体810とロボット制御装置820とケーブル841とは、ロボット装置に含まれる。
ロボット本体810は、具体的には、地面に対して固定された支持台810aと、旋回可能および屈伸可能に支持台810aに連結されたアーム部810bと、旋回可能および首振り可能にアーム部810bに連結されたハンド部10cとを含んで構成される。ロボット本体810は、例えば7軸垂直多関節ロボットであり、支持台810aとアーム部810bとハンド部10cとの連係した動作によって7軸の自由度を有する。つまり、その7軸の自由度は、支持台810aおよびアーム部810bによる6軸の自由度と、ハンド部10cによる1軸の自由度とである。
ロボット本体810は、把持部811を可動に備える。把持部811は、本発明の爪部を備える。なお、図31では、把持部811を、その機能を示すために模式的に示してある。
ロボット本体810は、ロボット制御装置820から供給されるロボット制御命令を取り込み、このロボット制御命令による駆動制御によって、把持部811の位置および姿勢を三次元空間内で所望に変更し、また把持部811の爪部を開閉させる。
なお、ロボット本体810は、7軸の自由度を有するものに限られず、例えば、6軸の自由度を有するものであってもよい。また、支持台810aを、壁や天井等、地面に対して固定された場所に設置してもよい。
図31に示すように、ロボット本体810の動作による把持部811の可動範囲内には、アセンブリー部品805が設置されている。なお、同図では、アセンブリー部品805の支持台(机)の図示を省略してある。アセンブリー部品805は、板状の基台850と、基台850に対してそれぞれ略垂直(垂直を含む。)に立てられた軸851と、軸852とを備える。そして、アセンブリー部品805は、軸851に歯車853(第1の部品)が取り付けられ、軸852に歯車854(第2の部品)が取り付けられて構成される。ただし、アセンブリー部品805は、軸851に歯車853が取り付けられた後、軸852に歯車854が取り付けられることにより完成される。
なお、同図における部品や構造等の縮尺は、図を明りょうなものとするために実際のものとは異なる。
撮影装置830は、アセンブリー部品805を撮影して静止画像または動画像である撮影画像を取得し、この撮影画像を、ケーブル840を介してロボット制御装置820に供給する。
撮影装置830は、例えば、デジタルカメラ装置、デジタルビデオカメラ装置により実現され、アセンブリー部品805に対して略垂直(垂直を含む。)上方において、撮影方向が略垂直(垂直を含む。)下方となる位置に固定設置される。ただし、図31において、軸851と軸852との距離に対して、軸851および軸852と撮影装置830との距離は十分に長い。
ケーブル840は、ロボット制御装置820が出力する撮影装置830に対する制御データを撮影装置830に供給したり、撮影装置830が出力する応答データや撮影画像をロボット制御装置820に供給したりする。制御データは、例えば、ロボット制御装置820が撮影装置830に対して通知する、撮影開始命令や撮影停止命令等の制御命令を含む。応答データは、例えば、撮影装置830がロボット制御装置820に対して通知する、制御データに対する応答を含む。
ケーブル841は、ロボット制御装置820が出力するロボット制御命令をロボット本体810に供給したり、ロボット本体810が出力するロボット制御応答をロボット制御装置820に供給したりする。ロボット制御命令は、ロボット本体810の各可動部を駆動制御する制御命令である。ロボット制御応答は、例えば、ロボット本体810がロボット制御装置820に対して通知する、ロボット制御命令に対する応答を含む。ケーブル841は、例えば、シリアル通信線等のケーブルやコンピューターネットワークである。
ロボット制御装置820は、撮影装置830から供給される、アセンブリー部品805の追跡画像を取り込み、この追跡画像に基づいてロボット本体810の各可動部の動作を制御し、歯車854を軸852に通してアセンブリー部品805に取り付けさせる。
[第三実施形態]
本発明の第三実施形態におけるロボットシステムでは、ロボット本体は、2系統のアームを備える。本実施形態では、各アームにはハンドが取り付けられている。そしてこのロボットシステムは、ロボット本体の一方のアームのハンドに取り付けられた撮影装置によってアセンブリー部品の撮影画像を取得し、他方のアームのハンドに取り付けられた把持部によって部品を搬送させる。
図32は、第三実施形態におけるロボットシステムの概略の外観図である。
同図において、ロボットシステム802は、ロボット本体860と、撮影装置861と、把持部862と、ロボット制御装置820と、ケーブル863とを含んで構成される。
ロボット本体860とロボット制御装置820とケーブル863とは、ロボット装置に含まれる。
ロボット制御装置820は、第二実施形態と同様の構成であるため、ロボット制御装置820についての詳細な説明を省略する。
ロボット本体860は、具体的には、地面に対して可動に設置された本体860aと、旋回可能に本体860aに連結された首部860bと、首部860bに対して固定された頭部860cと、旋回可能および屈伸可能に頭部860cに連結された第1アーム部860dと、旋回可能および屈伸可能に頭部860cに連結された第2アーム部860eと、ロボット本体860の設置面に対してロボット本体860を移動可能に本体860aに取り付けられた搬送部860fとを含んで構成される。
第1アーム部860dの開放端であるハンドには、把持部862が取り付けられている。また、第2アーム部860eの開放端であるハンドには、撮影装置861が取り付けられている。
搬送部860fは、ロボット本体860の設置面に対して、ロボット本体860を一定方向または方向自在に移動可能に支持する。搬送部860fは、四組の車輪、四組のキャスター、一対の無限軌道等により実現される。
ロボット本体860は、例えば、2系統のアームを備えた垂直多関節ロボット(双腕ロボット)である。ロボット本体860は、ロボット制御装置820から供給されるロボット制御命令を取り込み、このロボット制御命令による駆動制御によって、撮影装置861および把持部862それぞれの位置および姿勢を三次元空間内で所望に変更し、また把持部862の爪部を開閉させる。
撮影装置861は、被写体を撮影して静止画像または動画像である撮影画像を取得し、この撮影画像をロボット制御装置820に供給する。撮影装置861は、例えば、デジタルカメラ装置、デジタルビデオカメラ装置により実現される。
把持部862は、本発明の爪部を備える。なお、図32では、把持部862を、その機能を示すために模式的に示してある。
ケーブル863は、ロボット制御装置820が出力するロボット制御命令をロボット本体860に供給したり、ロボット本体860が出力するロボット制御応答をロボット制御装置820に供給したりする。ロボット制御命令は、ロボット本体860の各可動部を駆動制御する制御命令である。ロボット制御応答は、例えば、ロボット本体860がロボット制御装置820に対して通知する、ロボット制御命令に対する応答を含む。ケーブル863は、例えば、シリアル通信線等のケーブルやコンピューターネットワークである。
ロボット制御装置820は、ロボット本体860の首部860bと頭部860cと第2アーム部860eとの動作を制御し、撮影装置861の位置および姿勢を変更させる。具体的に、ロボット制御装置820は、撮影装置861を、図示しないアセンブリー部品に対して略垂直上方において、撮影方向が略垂直下方となる位置に設置させる。
また、ロボット制御装置820は、ロボット制御装置820は、撮影装置861から供給される、アセンブリー部品の撮影画像を取り込み、この撮影画像に基づいてロボット本体860の首部860bと頭部860cと第1アーム部860dとの動作を制御し、第二実施形態と同様に、歯車を軸に通してアセンブリー部品に取り付ける。
以上説明したとおり、本発明の第二実施形態および第三実施形態におけるロボット制御装置820では、テンプレート画像記憶部822が、互いに正常に組み合わされた状態での歯車853および歯車854の画像をテンプレート画像として記憶する。このテンプレート画像は、例えば、歯車853と歯車854とが互いに正常に組み合わされて基台850に取り付けられた状態のアセンブリー部品805を撮影した撮影装置830から供給される画像である。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
なお、本実施形態では、爪部が部品を把持して、搬送あるいは第2対象物に組み付ける例を説明したが、例えば、アームに設けられているカメラで撮像された画像を用いて取り付けるようにしても良い。カメラは、制御装置60の制御によって、部品または第2対象物を撮像し、取り付け位置を撮影した画像に基づき認識するようにしてもよい。そして、認識した結果に基づき、部品を第2対象物の取り付け位置に移動するように制御装置が制御するようにしてもよい。
以上のように、爪部を設計することで、小型かつ軽量な部品の把持が可能なハンドの把持可能な部品の径の大きさの範囲が最も広くなる形状を求める事が可能となる。また、ロボットがこのように設計された爪部を備えているため、小型かつ軽量な部品の把持が可能で、さらに把持可能な部品の大きさの範囲を広くすることができる。また、把持可能な部品の大きさの範囲が広いため、ロボットに装着する爪部を部品毎に取り替える頻度が少なくなり、ロボットが幅広い大きさの部品を把持することができる。
なお、本実施形態では、爪部101と102とを備える組み立てロボットに適用する例を説明したが、例えば、本実施形態のロボット1を、搬送装置などに適用してもよい。
また、本実施形態では、対象物を把持して搬送、または組み込む例を説明したが、例えば、物体の分解や検査など所定の動作を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、指部41及び指部42が3点の接触点で対象物を把持する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば、指部41及び指部42が4点以上の接触点で対象物を把持する構成であっても構わない。
なお、実施形態の図1の制御部、図示しない爪部設計装置の各部の機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピューターシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体、USB(Universal Serial Bus) I/F(インタフェース)を介して接続されるUSBメモリー、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、サーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。