以下、本発明による燃料電池システムの実施形態の一つである第1実施例について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは、箱状の筐体11、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30、インバータ装置50および制御装置60を備えている。
筐体11は、筐体11内を区画して第1室R1および第2室R2を形成する仕切部材12を備えている。第1室R1は第1空間を形成し、第2室R2は第2空間を形成する。仕切部材12は筐体11を上下に区画する部材であり、第1室R1および第2室R2は連通するようになっている。
燃料電池モジュール20は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて収納されている。燃料電池モジュール20は、ケーシング21、燃料電池24を少なくとも含んで構成されるものである。本実施形態では、燃料電池モジュール20は、ケーシング21、蒸発部22、改質部23および燃料電池24を備えている。
ケーシング21は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケーシング21は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて図示しない支持構造を介して仕切部材12に設置されている。ケーシング21内には、蒸発部22、改質部23、燃料電池24および燃焼部26である燃焼空間R3が配設されている。このとき、蒸発部22、改質部23が燃料電池24の上方に位置するように配設されている。
蒸発部22は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部22は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部23に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
この蒸発部22には、一端(下端)が水タンク13内に配設された給水管41の他端が接続されている。給水管41には、改質水ポンプ41aが設けられている。改質水ポンプ41aは、蒸発部22に改質水を供給するとともにその改質水供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。
また、蒸発部22には、改質用原料の供給源(以下、供給源という。)Gsからの改質用原料が改質用原料供給管42を介して供給されている。供給源Gsは、例えば都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベである。改質用原料供給管42には、上流から順番に遮断弁42a、脱硫器42b、流量センサ42c、バッファタンク42d、原料ポンプ42eおよび逆止弁42fが設けられている。遮断弁42a、脱硫器42b、流量センサ42c、バッファタンク42d、原料ポンプ42eおよび逆止弁42fは、筺体11内に収納されている。
遮断弁42aは改質用原料供給管42を開閉自在に遮断する弁である。遮断弁42aは、図2に示すように、ハウジング42a1、一対の遮断弁部42a2,42a2、および第1オリフィス42a3を含んで構成されている。遮断弁部42a2は、ハウジング42a1に設けられている。遮断弁部42a2は、制御装置60からの指示(通電・非通電)に応じて、ハウジング42a1に形成されている流路42a4を開閉自在に遮断する弁である。
第1オリフィス42a3は、改質用原料供給管42に設けられ遮断弁部42a2から流出する改質用原料の流量を絞るオリフィスである。第1オリフィス42a3は、流路42a4であって遮断弁部42a2と流路42a4の導出部42a6との間に設けられている。流路42a4は流体が流入する導入部42a5と流入した流体が流出する導出部42a6を有する。なお、第1オリフィス42a3は、流路42a4であって遮断弁部42a2と導入部42a5との間に設けるようにしてもよい。
第1オリフィス42a3は、図3に詳細に示すように、ハウジング42a1に一体的に設けられている。第1オリフィス42a3は、貫通孔42a3aを有しており、その内径(オリフィス径)は流路42a4の内径より小さい値に設定されている。
遮断弁42aの直下流部においてシール不良などが原因でガス漏れが発生した場合、オリフィス径とガス漏れ量との間には図4に示すような相関がある。具体的には、第1オリフィス42a3が無い場合、最大Qbのガスが漏れうる。これに対し、第1オリフィス42a3がある場合、オリフィス径を小さくすることで第1オリフィス42a3により圧損が増大し、遮断弁42aの直下流部の圧力が低下することでガス漏れ量は低下する。よって、オリフィス径φaではガス漏れ量をQa(Qbより小さい値である。)まで低減することが可能となる。なお、元圧(供給源Gsの圧力)が小さいほどガス漏れ量は小さくなる。
またオリフィス径は、後述する換気用空気ブロワ15の換気量毎においてその換気量で換気された筺体11中の改質用原料濃度が所定値未満となる値に設定されている。
図5を参照して詳述する。図5は、図4で説明したオリフィス径とガス漏れ量との間の相関を前提とし、本燃料電池システムの筺体11内を換気用空気ブロワ15による換気量B(m3/hr)をBaに固定した場合の筺体11内の改質用原料のガス濃度A(%)を示している。ガス濃度Aは(ガス漏れ量Q/(換気量Ba)×(1/(1000×1000/60)+ガス漏れ量Q))で表わされる。
ここで、可燃限界(下限)Axは、改質用原料の燃焼可能なガス濃度範囲の下限に設定されている。ガス濃度が燃焼可能なガス濃度範囲内であれば着火するが、燃焼可能なガス濃度範囲の下限より小さい場合には着火しないからである。燃焼可能なガス濃度範囲はガス種で異なっており、本実施形態においては、改質用原料は天然ガスであるので、燃焼可能なガス濃度範囲は5〜15%である。
第1オリフィス42a3がない場合、ガス濃度はAbと可燃限界Axより大きいため、着火源があった場合は着火/燃焼に至る可能性がある。着火源としては、例えば、燃料電池システムの空気導出口11cでのライター等による火やリレー等が挙げられる。これに対し、第1オリフィス42a3を設けてオリフィス径をφaとした場合、ガス濃度はAaとなり可燃限界Axを下回る。そのため、着火源があったとしても着火/燃焼に至ることを回避できる。これにより、オリフィス径φaの第1オリフィス42a3を設けることで、万が一ガス漏れがあった場合も着火/燃焼に至ることを抑制することができる。すなわち、本実施形態においては、オリフィス径は、換気用空気ブロワ15の換気量がBaであるときにおいてその換気量で換気された筺体11中の改質用原料濃度が所定値Ax未満となる値に設定されている。なお、オリフィス径をφaに設定するに当り、可燃限界Ax未満としても良いし、さらに安全率y%をかけた値未満とすることで更なる安全性向上を図ってもよい。また、換気量Baに関しては、燃料電池システム運転における制御の中での換気量の最小値であることが望ましい。
説明を図1に戻す。脱硫器42bは改質用原料中の硫黄分(例えば、硫黄化合物)を除去するものである。流量センサ42cは、燃料電池24に供給されている燃料(改質用原料)の流量すなわち単位時間あたりの流量を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信している。バッファタンク42dは、原料ポンプ42eの振動(脈動)を吸収して、原燃料ポンプ42eの脈動により流量センサ42cの精度低下や真値からの逸脱を抑制するものである。原料ポンプ42eは、燃料電池24に燃料(改質用原料)を供給する供給装置であり、制御装置60からの制御指令値にしたがって供給源Gsからの燃料供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。この原料ポンプ42eは、第1オリフィス42a3と改質部23との間に(第1オリフィス42a3の下流位置に配設され)改質用原料を吸入し圧送する圧送装置である。逆止弁42fは、原料ポンプ42eと燃料電池モジュール20(蒸発部22)との間に配設されており、原料ポンプ42eから燃料電池モジュール20への流れを許容するがその反対方向の流れを禁止するものである。
なお、遮断弁42aから原料ポンプ42eまでの間で最も圧力が高い部分は第1オリフィス42a3から脱硫器42bまでの間(脱硫器42bは含まない)の部位である。脱硫器42b以降は各部品の圧損で圧が低下し、さらに原料ポンプ42eの吐出に伴い減圧される。そのため、第1オリフィス42a3から脱硫器42bまでの間の配管破れ、もしくはシール部品(Oリング、ガスケット等)が破損した場合にガス漏れ量は最大となる。
改質部23は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部22から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部23内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は燃料電池24の燃料極に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応であり、一酸化炭素シフト反応は発熱反応である。
燃料電池24は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル24aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池24の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部23は省略することができる。
セル24aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路24bが形成されている。セル24aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路24cが形成されている。
燃料電池24は、マニホールド25上に設けられている。マニホールド25には、改質部23からの改質ガスが改質ガス供給管43を介して供給される。燃料流路24bは、その下端(一端)がマニホールド25の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ44a(カソードエア送出(送風)手段)によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管44を介して供給され、空気流路24cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
カソードエアブロワ44aは、第2室R2内に配設されている。カソードエアブロワ44aは、第2室R2内の空気を吸入し燃料電池24の空気極に吐出するものであり、その吐出量は調整制御(例えば燃料電池24の負荷電力量(消費電力量)に応じて制御)されるものである。
燃料電池24においては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路24bおよび空気流路24cからは、発電に使用されなかった改質ガスおよび酸化剤ガス(空気)が導出する。
(化1)
H2+O2−→H2O+2e−
(化2)
CO+O2−→CO2+2e−
(化3)
1/2O2+2e−→O2−
そして、燃料流路24bおよび空気流路24cから導出した、発電に使用されなかった改質ガス(アノードオフガス)は、燃料電池24と蒸発部22(改質部23)の間の燃焼空間R3にて、発電に使用されなかった酸化剤ガス(カソードオフガス)によって燃焼され、その燃焼ガス(火炎27)によって蒸発部22および改質部23が加熱される。さらには、燃料電池モジュール20内を動作温度に加熱している。その後、燃焼ガスは排気口21aから燃料電池モジュール20の外に排気される。このように、燃焼空間R3が、燃料電池24からのアノードオフガスと燃料電池24からのカソードオフガスとが燃焼されて改質部23を加熱する燃焼部26である。
排熱回収システム30は、燃料電池24の排熱と貯湯水との間で熱交換することで排熱を貯湯水に回収して蓄える排熱回収系である。排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器33と、が備えられている。
貯湯槽31は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽31の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の水)が補給され、貯湯槽31に貯留された高温の温水が貯湯槽31の柱状容器の上部から導出されるようになっている。
貯湯水循環ライン32の一端は貯湯槽31の下部に、他端は貯湯槽31の上部に接続されている。貯湯水循環ライン32上には、一端から他端に向かって順番に貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ32a、第1温度センサ32b、熱交換器33、および第2温度センサ32cが配設されている。貯湯水循環ポンプ32aは、貯湯槽31の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環ライン32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出するものであり、その流量(送出量)が制御されるようになっている。貯湯水循環ポンプ32aは、第2温度センサ32cの検出温度(貯湯水の貯湯槽31の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、送出量が制御されるようになっている。
第1温度センサ32bは、熱交換器33の貯湯水導入側の貯湯水循環ライン32であって熱交換器33と貯湯槽31との間に配設されている。第1温度センサ32bは、貯湯水の熱交換器33の入口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の出口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
第2温度センサ32cは、熱交換器33の貯湯水導出側の貯湯水循環ライン32に配設されている。第2温度センサ32cは、貯湯水の熱交換器33の出口温度すなわち貯湯水の貯湯槽31の入口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
熱交換器33は、燃料電池モジュール20から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽31からの貯湯水が供給され燃焼排ガスと貯湯水が熱交換する熱交換器である。この熱交換器33は、筐体11内に配設されている。本実施形態では、熱交換器33は、燃料電池モジュール20の下部に設けられており、少なくとも熱交換器33の下部は仕切部材12を貫通して第2室R2に突出されて配設されている。
熱交換器33は、ケーシング33aを備えている。ケーシング33aの上部には、燃料電池モジュール20のケーシング21の下部に設けられ燃焼排ガスが導出される導出口21aに連通する接続管45が接続されている。ケーシング33aの下部には、第1排気口11aに接続されている排気管46が接続されている。ケーシング33aの底部には、純水器14に接続されている凝縮水供給管47が接続されている。ケーシング33a内には、貯湯水循環ライン32に接続されている熱交換部(凝縮部)33bが配設されている。
このように構成された熱交換器33においては、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、接続管45を通ってケーシング33a内に導入され、貯湯水が流通する熱交換部33bを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管46を通って第1排気口11aから外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管47を通って純水器14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部33bに流入した貯湯水は、加熱されて流出される。
また、燃料電池システムは、水タンク13および純水器14を備えている。水タンク13および純水器14は第2室R2内に配設されている。水タンク13は、純水器14から導出された純水を貯めておくものである。純水タンク13には、純水タンク13内の純水量を検出する図示しない水量センサ(水位センサ)が設けられている。水量センサは例えばフロート式、静電容量式などの水位計である。水量センサは制御装置60に検出信号を送信するようになっている。
純水器14は、活性炭とイオン交換樹脂を内蔵しており、例えばフレーク状の活性炭と粒状のイオン交換樹脂を充填している。また被処理水の状態によっては、中空糸フィルタを設置しても良い。純水器14は、熱交換器33からの凝縮水を活性炭とイオン交換樹脂によって純水化するものである。純水器14は、配管48を介して純水タンク13に連通しており、純水器14内の純水は配管48を通って純水タンク13に導出される。
また、燃料電池システムは、第2室R2を形成する筐体11に形成された空気導入口11bと、第1室R1を形成する筐体11に形成された空気導出口11cと、空気導入口11bに設けられた換気用空気ブロワ15と、を備えている。換気用空気ブロワ15は、筐体11内を換気する換気装置である。この換気用空気ブロワ15が作動すると、外気が空気導入口11bを介して換気用空気ブロワ15に吸い込まれ、第2室R2に送出される。さらに、第2室R2内の気体(主として空気)は仕切部材12を通って第1室R1に流れ、第1室R1内の気体は空気導出口11cを介して外部に排出される。換気用空気ブロワはシロッコファンなどでも良い。
さらに、燃料電池システムは、インバータ装置50を備えている。インバータ装置50は、燃料電池24から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して交流の系統電源51および外部電力負荷53に接続されている電源ライン52に出力する第1機能と、系統電源51からの交流電圧を電源ライン52を介して入力し所定の直流電圧に変換して補機や制御装置60に出力する第2機能と、を有している。
系統電源(または商用電源)51は、該系統電源51に接続された電源ライン52を介して電力負荷53に電力を供給するものである。燃料電池24はインバータ装置50を介して電源ライン52に接続されている。電力負荷53は、交流電源で駆動される負荷であり、例えばドライヤ、冷蔵庫、テレビなどの電化製品である。
補機は、燃料電池モジュール20に改質用原料、水、空気を供給するためのモータ駆動のポンプ41a,42e、換気用空気ブロワ15およびカソードエアブロワ44aなどから構成されている。この補機は直流電圧にて駆動されるものである。
さらに、燃料電池システムは、制御装置60を備えている。制御装置60には、上述した温度センサ32a,32c、流量センサ42c、各ポンプ32a,41a,42e、および各ブロワ15,44aが接続されている。制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、燃料電池システムの運転を実施している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
上述した燃料電池システムにおいては、改質用原料供給管42が「燃料供給管」を構成するものであり、改質用原料の供給源Gsは「燃料の供給源」である。
上述した燃料電池システムによれば、供給源Gsからの改質用原料を改質部23に供給する改質用原料供給管42に第1オリフィス42a3を設けることで、第1オリフィス42a3より下流位置の圧力は上流位置の圧力より低減される。これにより、第1オリフィス42a3より下流位置において改質用原料が漏れた場合であっても、第1オリフィス42a3を設けない場合と比べて、ガス漏れ量を抑制することができる。よって、改質用原料供給管42においてガス漏れが発生した場合であっても、漏れたガス濃度を所定値未満に抑制することができる。
すなわち、燃料電池24、改質部23、改質用原料供給管42、遮断弁42aおよび第1オリフィス42a3を収納する筐体11と、筐体11内を換気する換気装置(換気用空気ブロワ15)と、をさらに備え、第1オリフィス42a3は、その内径が換気用空気ブロワ15の換気量毎においてその換気量で換気された筺体11中の改質用原料濃度が所定値Ax未満である換気量がBaのときにAaとなる値(φa)に設定されている。これにより、筐体11内を換気する換気用空気ブロワ15が作動しているときには、改質用原料供給管42からのガス漏れが生じても筺体11中の改質用原料濃度を所定値未満に確実に抑制することができる。
また、第1オリフィス42a3は、遮断弁42aを構成するハウジング42a1に一体的に設けられている。これにより、第1オリフィス42a3と遮断弁42aとの間に繋ぎ目を設けなくてよいため、第1オリフィス42a3と遮断弁42aとの間からのガス漏れを確実に防止することができ、ひいては、該ハウジング42a1の下流位置におけるガス漏れを確実に抑制することができる。
次に、第2実施例について図6、図7を参照して説明する。本第2実施例は、遮断弁部42a2と第1オリフィス42a3と間(供給源Gsと第1オリフィス42a3と間)に圧力センサ42gを設けている点が、上述した第1実施例と異なる。その他の構成は第1実施例と同一である。
圧力センサ42gは、遮断弁部42a2の下流側位置の圧力を測定するものであり、本実施形態では、遮断弁部42a2と第1オリフィス42a3との間に配設されている。圧力センサ42gは、接続管42hの先端に接続されている。接続管42hの基端は、ハウジング42a1に形成され一端が流路42a4に接続されている分岐流路42a7の他端に接続されている。圧力センサ42gの出力は制御装置60に出力されている。制御装置60は、圧力センサ42gの出力を使用して、ガス漏れ検知(リークチェック)、負圧解消制御、遮断弁42a上流に設けられているマイコンメーターによるガス遮断検知などを行っている。
すなわち、ガス漏れ検知においては、遮断弁42aを開けて内圧をかけた後に遮断弁42aを閉鎖し、閉鎖後の圧力低下率が所定の判定値より大きい場合にはガス漏れである旨を検知する。圧力低下率は、閉鎖直後に圧力センサ42gにより検出した圧力と、閉鎖後所定時間経過時点に圧力センサ42gにより検出した圧力との差分から算出している。所定の判定値は、予め設定された値であり、例えばガス漏れがない状態の圧力低下率である。このように、遮断弁42aを開いて遮断弁42aより下流側に内圧をかけた後に該遮断弁42aを閉じた状態にて、圧力センサ42gによって遮断弁部42a2の下流側位置の圧力を測定することで、遮断弁部42a2より下流側のガス漏れを検知することができる。
また、負圧解消制御においては、燃料電池システムの停止運転の終了後に圧力センサ42gにより検出した圧力が所定の判定値以下となった場合に、遮断弁部42a2を開けることで、遮断弁部42a2から逆止弁42fまでの間の圧力が低下(負圧化)することを回避することができる。この判定は、停止運転終了後所定時間(例えば、数時間、十数時間)経過時点に行われ、1回だけでなく数回行ってもよい。所定の判定値は、予め設定された値であり、例えば遮断弁部42a2の負圧時における開弁能力を超えない値に設定されている。
また、第2実施例においては、図8に示すように、第2オリフィス42a8を設けるようにしてもよい。
第2オリフィス42a8は、圧力センサ42gに流入する改質用原料の流量を絞るオリフィスである。第2オリフィス42a8は、分岐流路42a7であって流路42a4と圧力センサ42gとの間に設けられている。
第2オリフィス42a8は、図8に詳細に示すように、ハウジング42a1に一体的に設けられている。第2オリフィス42a8は、貫通孔42a8aを有しており、その内径(オリフィス径)は分岐流路42a7の内径より小さい値に設定されている。また、分岐流路42a7を貫通孔42a8aの径とすることでオリフィスとしても良い。
これにより、第2オリフィス42a8を設けることで、第2オリフィス42a8より下流位置の圧力は上流位置の圧力より低減される。したがって、第2オリフィス42a8より下流位置において改質用原料が漏れた場合であっても、第2オリフィス42a8を設けない場合と比べて、ガス漏れ量を抑制することができる。よって、第2オリフィス42a8から圧力センサ42gまでにおいてガス漏れが発生した場合であっても、漏れたガス濃度を所定値未満に抑制することができる。すなわち、遮断弁42aのハウジング42a1から圧力センサ42gまでの間の部位においてシール不良、配管破れ、シール部材不良等によりガス漏れが発生しても、上述した第1実施例と同様に、最大ガス漏れ量を低減することができる。
また、遮断弁42aを構成するハウジング42a1に第2オリフィス42a8を一体的に設けることで、第2オリフィス42a8と遮断弁部42a2との間からのガス漏れを確実に防止することができ、ひいては、該ハウジング42a1の下流位置におけるガス漏れを確実に抑制することができる。
次に、第3実施例について図9を参照して説明する。本第3実施例は、本燃料電池システム(筺体11)の外にガスメータ55(いわゆるマイコンメータ)が配設され、ガスメータ55に本燃料電池システムとともに他のガス機器70が接続されている点が、上述した第2実施例と異なる。その他の構成は第2実施例と同一である。
ガスメータ55は、改質用原料供給管42および改質用原料が供給されて燃焼される他のガス機器70と供給源Gsとの間に配設されている。ガスメータ55は、改質用原料の使用状況を監視するとともに所定条件を満たしたときに改質用原料の供給を遮断する機能を備えている。所定条件とは、ガスの流れ(異常なガスの消費、ガス機器の消し忘れ)や圧力等に異常が発生した場合、例えば震度5以上の地震が発生した場合などである。
他のガス機器70は、例えば給湯器、暖房機(ガスファンヒータなど)、ガスコンロなどであり、ガスメータ55を介して供給源Gsから原料(例えば改質用原料と同一のもの)が供給されて燃焼されるものである。
制御装置60は、圧力センサ142gによって測定された圧力が判定閾値(異常検知閾値)以下となった場合に、ガスメータ55が遮断状態である(供給源Gsからの改質用原料(燃料)の供給が遮断状態である)と判定する異常判定部61を備えている。すなわち、異常判定部61は、圧力センサ142gによって測定された圧力に基づいてガスメータ55が遮断状態であると判定する。
第1オリフィス42a3および圧力センサ142gを設置することで、燃料電池システム外に設けたガスメータ55の遮断(あるいは元弁56の閉止)の検知に関して説明する。
最初に、図10を参照して第1オリフィス42a3がない場合について説明する。ガスメータ55の直下の圧力を圧力計で測定した出力値をPa−1とし、原料ポンプ42eの吸い込み口の圧力をPb−1とする。
ガスメータ55が開状態であり、燃料電池システムが定常運転中であって原料ポンプ42eが駆動している場合、ガスメータ55から原料ポンプ42eまでの間においては、脱硫器42b、流量センサ42c、バッファタンク42dなどの圧損があるため、圧力Pb−1は圧力Pa−1と比べてそれらの圧損分だけ低い値である。圧力Pa−1は元圧と同じ値である。
ガスメータ55(または元弁56)が遮断されると、他のガス機器70および燃料電池システムが作動中であるため、ガスメータ55と他のガス機器70との間に残存している改質用燃料、およびガスメータ55と原料ポンプ42eとの間に残存している改質用燃料は、他のガス機器70および燃料電池システム(原料ポンプ42e)に吸引される。その結果、原料ポンプ42eの直前の圧力Pb−1はガスメータ55の直下の圧力Pa−1(圧力計で測定した出力値)とほぼ等しくなる。その後、原料ポンプ42eの直前の圧力Pb−1とガスメータ55の直下の圧力Pa−1(圧力計で測定した出力値)とは、他のガス機器70および原料ポンプ42eの作動によって同時に低下する。
制御装置60は、異常判定部61において、圧力センサ142gによって測定された圧力が判定閾値(本実施形態では異常検知閾値P−x)以下となった場合に、ガスメータ55が遮断状態であると判定する。すなわち、ガスメータ55が遮断された時点(時刻t1)から所定時間Δtm−1経過した時点(時刻t2)にガスメータ55の異常(改質用原料の供給異常)を判定することができる。
これに対して、図11を参照して第1オリフィス42a3がある場合について説明する。圧力計の出力値(ガスメータ55の直下の圧力)をPa−1とし、原料ポンプ42eの吸い込み口の圧力をPb−2とする。
ガスメータ55が開状態であり(および元弁56が開状態であり)、燃料電池システムが定常運転中であって原料ポンプ42eが駆動している場合、ガスメータ55から原料ポンプ42eまでの間においては、脱硫器42b、流量センサ42c、バッファタンク42dなどの圧損に加えて第1オリフィス42a3による圧損があるため、圧力Pb−2は圧力Pa−1(圧力計で測定した出力値)と比べてそれらの圧損分だけ低い値である。圧力Pb−2は、圧力Pb−1より第1オリフィス42a3による圧損分だけ低い値である。すなわち、第1オリフィス42a3から原料ポンプ42eまでの間の圧力は、第1オリフィス42a3がない場合と比較して第1オリフィス42a3による圧損分だけ低い値である。
ガスメータ55(または元弁56)が遮断されると、他のガス機器70および燃料電池システムが作動中であるため、ガスメータ55と他のガス機器70との間に残存している改質用燃料、およびガスメータ55と原料ポンプ42eとの間に残存している改質用燃料は、第1オリフィス42a3がない場合と同様に、他のガス機器70および燃料電池システム(原料ポンプ42e)に吸引される。その結果、ガスメータ55の直下の圧力Pa−1(圧力計で測定した出力値)は原料ポンプ42eの直前の圧力Pb−2とほぼ等しくなる。
しかし、第1オリフィス42a3がない場合と比較して、第1オリフィス42a3から原料ポンプ42eまでの間の圧力は第1オリフィス42a3による圧損分だけ低い値である。よって、ガスメータ55と原料ポンプ42eとの間に残存している改質用燃料が少ないため、ガスメータ55と第1オリフィス42a3との間およびガスメータ55と他のガス機器70との間の圧力Pa−1(圧力計で測定した出力値)は急速に低下して短時間で圧力Pb−2とほぼ等しくなる。その後、原料ポンプ42eの直前の圧力Pb−2とガスメータ55の直下の圧力Pa−1(圧力計で測定した出力値)とは、他のガス機器70および原料ポンプ42eの作動によって同時に低下する。
制御装置60は、第1オリフィス42a3がない場合と同様に、異常判定部61において、圧力センサ142gによって測定された圧力が判定閾値(本実施形態では異常検知閾値P−x)以下となった場合に、ガスメータ55が遮断状態であると判定する。すなわち、ガスメータ55が遮断された時点(時刻t11)から所定時間Δtm−1より小さい所定時間Δtm−2経過した時点(時刻t12)にガスメータ55の異常(改質用原料の供給異常)を判定することができる。
第1オリフィス42a3および圧力センサ142gが設置されていない状況にてガスメータ55(または元弁56)が閉鎖された場合、閉鎖されたことに気づかずに運転を継続するとガスメータ55から下流に配設されている各ガス機器(燃料電池システムを含む)の圧力(Pa)が負圧となり、他のガス機器からのエアの吸込み等の状態となりうる。しかし、前述したように、第1オリフィス42a3がある場合には、第1オリフィス42a3がない場合と比較して、ガスメータ55の直下の圧力Pa−1(圧力計で測定した出力値)が異常検知閾値P−xに低下するまでの時間が短くなり、ガスメータ55が遮断された時点(時刻t11)から短時間でガスメータ55の異常を検知することができる。よって、燃料電池システムの停止運転を早期に開始することができる。
一般的に、供給源Gs(例えばガス供給管やガスボンベ)に燃料電池システムだけでなく他のガス機器70が接続されており、燃料電池システムや他のガス機器70と供給源との間に、改質用原料の使用状況を監視するとともに所定条件を満たしたときに改質用原料の供給を遮断する機能を備えたガスメータ55が配設されている。このような構成においては、地震などを検知してガスメータ55が改質用原料の供給を遮断する。しかし、定常運転中の燃料電池システムは、ガスメータ55が供給を遮断したことを早期に認識(検知)することができないため、停止運転を早期に開始することなく、定常運転を継続する。また、燃料電池システムにおいては、このまま定常運転を継続すると、ガスメータ55から下流側の圧力は負圧となり、ひいては、他のガス機器70からエアを吸い込むおそれがある。
前述した実施形態によれば、ガスメータ55(または元弁56)が遮断された後に他のガス機器70が使用中である場合には、燃料電池システムの改質用原料供給管42における第1オリフィス42a3の上流側に残存する改質用原料は、他のガス機器70によっても吸引される。このため、ガスメータ55から下流側の圧力が低くなって、第1オリフィス42a3の上下流の圧力がほぼ等しくなる。一方、燃料電池システムの定常運転中において、第1オリフィス42a3と改質部23との間に配設されている原料ポンプ42e(圧送装置)が作動しているときには、原料ポンプ42eの吸入によって第1オリフィス42a3と原料ポンプ42eとの間は第1オリフィス42a3の上流側と比べて圧力が第1オリフィス42a3の圧損分だけ低くなる。したがって、第1オリフィス42a3の下流側の圧力は、第1オリフィス42a3がない場合と比べて第1オリフィス42a3の圧損分だけ低いため、比較的低い圧力値にて第1オリフィス42a3の上下流の圧力が等しくなる。その後、他のガス機器70および原料ポンプ42eの吸引によってさらに圧力が低下する。このとき、異常判定部61は、圧力センサ142gによって測定された圧力が判定閾値P−x以下となった場合に、ガスメータ55が遮断状態であると判定する。よって、ガスメータ55(または元弁56)が遮断されたことを遮断後短時間に検知することができ、ひいては、燃料電池システムの停止運転を遮断後早期に開始することができる。
なお、上述した各実施形態においては、第1オリフィス42a3は、遮断弁42aと一体的に設けるようにしたが、遮断弁42aとは別部材として設けるようにしてもよい。また、上述した実施形態においては、燃料電池は固体酸化物形燃料電池であったが、本発明を高分子電解質形燃料電池に適用するようにしてもよい。
なお、上述した各実施形態においては、改質部23を省略して、改質用原料を燃料電池24に直接供給するようにしてもよい。この場合、「燃料」は改質用原料である。また、改質部23を省略して、水素を燃料電池24に直接供給するようにしてもよい。この場合、「燃料」は水素である。