JP2013190793A - 再帰反射性のシーティングおよび物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】再帰反射性のシーティングおよびその他の物品の製造方法の提供。
【解決手段】少なくとも1つのチャネルを有するPGキューブコーナー微細構造化面を含む工具1200を用意するステップと、チャネルが進行する工具の方向と実質的に平行となるような方向に工具を進行させるステップと、成形可能な樹脂を工具表面上に注型するステップと、樹脂を固化させて、キューブコーナー要素を含む表面を有する再帰反射性シート1600を形成するステップと、シートを工具から取り外すステップと、を含む。
【選択図】図4a
【解決手段】少なくとも1つのチャネルを有するPGキューブコーナー微細構造化面を含む工具1200を用意するステップと、チャネルが進行する工具の方向と実質的に平行となるような方向に工具を進行させるステップと、成形可能な樹脂を工具表面上に注型するステップと、樹脂を固化させて、キューブコーナー要素を含む表面を有する再帰反射性シート1600を形成するステップと、シートを工具から取り外すステップと、を含む。
【選択図】図4a
Description
本発明は、微細構造化面を有する工具上に、成形可能な合成樹脂を注型することで製造される再帰反射性シーティングの製造方法に関する。
再帰反射性材料は、材料上に入射した光を発光源に戻す能力を特徴とする。この性質のために、種々の交通および個人の安全用途のための再帰反射性シーティングが広く使用されている。再帰反射性シーティングは、種々の物品、たとえば、交通標識、バリケード、ナンバープレート、路面表示、およびマーキングテープ、ならびに乗り物および衣類の再帰反射性テープにおいて一般に使用されている。
2つの公知の種類の再帰反射性シーティングは、微小球系シーティングおよびキューブコーナーシーティングである。「ビーズ」シーティングと呼ばれることもある微小球系シーティングは、入射光を再帰反射するために、典型的にはバインダー層中に少なくとも部分的に埋め込まれ、関連する正反射または拡散反射材料(たとえば、顔料粒子、金属フレーク、または気相コーティングなど)を有する多数の微小球を使用する。キューブコーナー再帰反射性シーティングは、典型的には、実質的に平面の前面と、一部またはすべてがキューブコーナー要素として構成される3つの反射面を含む複数の幾何学構造を含む構造化後面とを有する薄い透明層を含む。
キューブコーナー再帰反射性シーティングは、最初に構造化面を有するマスター型を製造することによって一般に製造され、完成シーティングがキューブコーナー型角錐またはキューブコーナー型空隙のいずれか(またはその両方)を有するべきかに依存して、このような構造化面は、完成シーティング中の所望のキューブコーナー要素形状、またはそのネガ(裏返し)のコピーのいずれかに対応している。マスター型の公知の製造方法としては、ピン結束(pin−bundling)技術、直接機械加工技術、および薄板を使用する技術が挙げられる。
ピン結束技術においては、キューブコーナー要素などの幾何学的形状を一端にそれぞれ有する複数のピンを互いに集合させることで、マスター型が形成される。米国特許第1,591,572号明細書(スティムソン(Stimson))および同第3,926,402号明細書(ヒーナン(Heenan))に実例が見られる。
直接機械加工技術においては、一連の溝が、平面の基材(たとえば金属板)の表面に形成されて、切り取られたキューブコーナー要素を含むマスター型が形成される。公知技術の1つにおいては、3組の平行な溝が互いに60°の開先角度で交差して、それぞれが等辺の底部三角形を有するキューブコーナー要素の配列が形成される(米国特許第3,712,706号明細書(スタム(Stamm))を参照されたい)。別の技術においては、2組の溝が60°よりも大きい角度で互いに交差し、第3の組の溝が60°未満の角度で他の2組と互いに交差して、傾斜したキューブコーナー要素が嵌り合った組みの配列が形成される(米国特許第4,588,258号明細書(フープマン(Hoopman))を参照されたい)。直接機械加工においては、典型的には、切削工具の連続動作によって形成される同じ溝に沿って、多数の個々の面が形成される。したがって、このような個々の面は、型製造手順全体でそれらの配列を維持する。このため、直接機械加工技術は、非常に小さなキューブコーナー要素を正確に機械加工することができる。しかし直接機械加工技術の欠点は、製造可能なキューブコーナー形状の種類において設計の自由度が低く、そのため全光帰還に影響が生じることである。
薄板を使用する技術においては、一方の長手方向端部に形成された幾何学的形状を有する薄板と呼ばれる複数の薄いシート(すなわち板)を集合させることでマスター型が形成される。薄板技術は、独立に機械加工される部品がより少ないため、一般にピン結束技術よりも労働力が少なくてすむ。たとえば、1つの薄板は典型的には約400〜1000個の個別のキューブコーナー要素を含み、各ピンが1つのキューブコーナー要素を含むのと対照的である。薄板技術の実例は、欧州特許出願公開第0 844 056 A1号明細書(ミムラ(Mimura))、米国特許第6,015,214号明細書(ヒーナン(Heenan))、米国特許第5,981,032号明細書(スミス(Smith))、米国特許第6,159,407号明細書(クリンク(Krinke))、および米国特許第6,257,860号明細書(ルットレル(Luttrell))に見ることができる。
切り取られたキューブコーナー配列の隣接するキューブコーナー要素の基端部は、典型的には同一平面上にある。「フルキューブ」または「好ましい形状(PG)のキューブコーナー要素」と記載される他のキューブコーナー要素構造は、典型的には、同一平面上にない少なくとも2つの非二面体端部を含む。このような構造は典型的には、切り取られたキューブコーナー要素と比較して、高い全光帰還を示す。国際公開第00/60385号パンフレットに記載されるように、一連の基材を直接機械加工することによってある種のPGキューブコーナー要素を製造することができる。しかし、この多段階製造工程を使用して、幾何学的精度を維持することは困難である。結果として得られるPGキューブコーナー要素および/または要素の配置における設計の制約も明らかとなりうる。対照的に、ピン結束および薄板を使用する技術は、PGキューブコーナー要素の種々の形状および配置を形成することができる。しかしピン結束とは異なり、薄板を使用する技術は、さらに好都合なことに、比較的小さいPGキューブコーナー要素を形成できる。
マスター型の製造後、マスター型が典型的には従来のニッケル電鋳などのあらゆる好適な技術を使用して複製されて、微細構造化シーティングを製造するのに望ましい寸法の工具が製造される。このようにして複数世代のポジコピーおよびネガコピー工具が形成され、この工具は、マスターと実質的に同程度の精度のキューブを有する。米国特許第4,478,769号明細書および同第5,156,863号明細書(プリコーン(Pricone))ならびに米国特許第6,159,407号明細書(Krinke)に記載されているような電鋳技術が知られている。たとえば、米国特許第6,322,652号明細書(ポールソン(Paulson))に記載されるような溶接によって、複数の複製物が互いに接合されることが多い。次に、結果として得られたツーリングは、当技術分野で公知であるエンボス加工、押出成形、または注型および硬化などの方法によるキューブコーナー再帰反射性シーティングの製造に使用することができる。
たとえば、米国特許第3,684,348号明細書および同第3,811,983号明細書には、再帰反射性材料および複合材料の製造方法が記載されており、それによると、キューブコーナーの凹部と、それに適用された予備成形部材とを有する成形面上に流動性成形材料が載せられる。次に、この成形材料を硬化させて、部材に結合させる。成形材料は溶融樹脂であってよく、その固化は少なくとも部分的には冷却によって実現され、溶融樹脂に固有の性質によって部材と結合を形成することができる。あるいは、成形材料は、架橋性基を有する流動性樹脂であってよく、その固化は、少なくとも部分的は樹脂の架橋によって実現されうる。成形材料は、部分的に重合した樹脂配合物であってもよく、この場合、その固化は、少なくとも部分的には樹脂配合物の重合によって実現される。
ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)の3Mカンパニー(3M Company)(「3M」)より商品名「3Mスコッチライト・ブランド・リフレクティブ・シーティング3990 VIP」(3M Scotchlite Brand Reflective Sheeting 3990 VIP)で市販される再帰反射性シーティングなどの切り取られたキューブコーナー配列を含む種々の再帰反射性シーティングが商業的に成功している。特許文献には記載されているが、フルキューブまたはPGキューブコーナー要素の配列を含む再帰反射性シーティングの商業的な製造および販売は行われている。フルキューブまたはPGキューブコーナー要素の配列を含む再帰反射性シーティングの商業的成功に対応するために、産業界では、このような配列を含む再帰反射性シーティングの改善された製造方法に利点を見いだしている。
フルキューブまたはPGキューブコーナー空隙の配列を含む再帰反射性シーティングを製造するためのある種の工具の特徴の1つは、チャネルの存在である。本発明者は、このようなチャネルの存在、ならびにシーティングの製造中の樹脂送達システム(たとえば進行する工具)と比較した工具の相対運動方向に対するこのようなチャネルの方向が、複製の品質およびシーティングの製造速度に有意な影響を与えることを発見した。本発明は、少なくとも1つのチャネルを有するキューブコーナー微細構造化面を含む工具を用意するステップと、前記チャネルが進行する工具の方向と実質的に平行となるような方向に前記工具を進行させるステップと、成形可能な樹脂を前記工具表面上に注型するステップと、前記樹脂を固化させて、キューブコーナー要素を含む表面を有する再帰反射性シートを形成するステップと、前記シートを前記工具から取り外すステップとの、再帰反射性シーティングの製造方法に関する。
別の実施態様においては、本発明は、一対の長手方向周辺端部と、PGキューブコーナー微細構造の少なくとも1つの列と、前記列と実質的に平行に延在する少なくとも1つのチャネルとを含む再帰反射性シーティングであって、前記チャネルが前記シーティングの前記長手方向周辺端部と実質的に平行である再帰反射性シーティングを開示する。この長手方向周辺端部は、製造時の最大寸法でシーティングに広がる。このシーティングは、好ましくはロール品(roll−good)で提供される。
これらの実施態様のそれぞれにおいて、キューブコーナー微細構造は好ましくはPGキューブコーナー微細構造である。キューブコーナー微細構造は空隙または要素であってよい。チャネルは、共通頂点で交差する第1の平面と第2の平面とを含む主溝チャネルであってよい。あるいは、またはそれに加えて、チャネルは、キューブコーナー面を含む第1の面と、反対側のキューブコーナー面を含む第2の面とを含む構造化チャネルであってよい。あるいは、構造化チャネルは、互いに反対側のキューブコーナー微細構造の互いに反対側の非二面体端部の交差部分を含んでもよい。あるいは、またはそれに加えて、チャネルは、第1の平面と第2の構造化面とを含むキューブ空隙チャネルであってもよい。第1の平面は、好ましくは主溝面のレプリカである。キューブ空隙チャネルのレプリカによって、キューブコーナー要素が形成される。樹脂は、溶融した又はシート形態の熱可塑性樹脂であってよい。この(たとえば熱硬化性、放射線硬化性の)樹脂は、場合によってはキャリアウェブ上で提供されてもよい。
添付の図面のいくつかの図において、類似する部分は類似の参照番号を有する。
本発明の方法および装置は、再帰反射性シーティングなどの微細構造化シーティング物品の製造に関する。
本明細書において使用される場合、「シーティング」とは、ポリマー(たとえば合成)材料の薄い断片を意味する。シーティングはあらゆる幅および長さであってよく、このような寸法は、シーティングが製造される設備(たとえば工具の幅、スロットダイオリフィスの幅など)によってのみ制限される。再帰反射性シーティングの厚さは、典型的には約0.004インチ(約0.1016mm)〜約0.10インチ(約2.54mm)の範囲である。好ましくは再帰反射性シーティングの厚さは約0.020インチ(約0.508mm)未満であり、より好ましくは約0.014インチ(約0.3556mm)未満である。再帰反射性シーティングの場合においては、その幅は、典型的には少なくとも30インチ(122cm)であり、好ましくは少なくとも48インチ(76cm)である。このシーティングは、典型的には最大約50ヤード(45.5m)〜100ヤード(91m)の長さで連続であり、それによってシーティングは、好都合に扱われるロール品(roll−good)で提供される。シールフィルムまたはオーバーレイなどの追加層を使用してもよい。しかし、別の場合では、シーティングは、ロール品としてよりも個別のシートとして製造することができる。そのような実施態様においては、それらのシートは、好ましくは完成物品の寸法に対応する。たとえば、再帰反射性シーティングは、標準的な米国の標識(たとえば30インチ×30インチ(76cm×76cm))の寸法を有することができ、したがってそのシーティングの製造に使用される微細構造化工具がそれとほぼ同じ寸法を有することができる。ナンバープレートまたは反射ボタンなどのより小さな物品では、対応するより小さな寸法を有するシーティングを使用することができる。
再帰反射性シーティングがロール品またはシートのいずれとして提供されるかとは無関係に、シーティングは、図8の2aおよび2bにより示されるような一対の長手方向周辺端部を含む。このような長手方向周辺端部は、典型的には最大方向でシーティングに広がる。さらに、長手方向周辺端部は、シーティングが製造されるプロセスにおいて進行する工具および/または進行する成形可能な樹脂の移動方向と平行である。好ましくは、PGキューブコーナー要素の列が、これらの長手方向周辺端部と平行に整列する。
本明細書において使用される場合、「微細構造化」とは、0.25インチ(6.35mm)未満、好ましくは0.125インチ(3.175mm)未満、より好ましくは0.04インチ(1mm)未満の横寸法(たとえばキューブコーナー構造の溝の頂点間距離)を有する構造を含むシーティングの少なくとも1つの主面を意味する。特に、キューブコーナー要素の横寸法は、好ましくは0.020インチ(0.508mm)未満、より好ましくは0.007インチ(0.1778mm)未満である。微細構造は、約0.001インチ(0.0254mm)〜0.010インチ(0.254mm)の範囲の平均高さを有し、0.004インチ(0.1016mm)未満の高さが最も典型的である。さらに、キューブコーナー微細構造の最小横寸法は典型的には少なくとも0.0005インチ(0.0127mm)である。キューブコーナー微細構造は、キューブコーナー空隙、または、好ましくはピークを有するキューブコーナー要素のいずれかを含むことができる。
本明細書において使用される場合、「注型」とは、成形可能な樹脂を微細構造化型表面と接触させることによって、微細構造化面を有するシートに成形可能な樹脂を成形することを意味する。成形可能な樹脂は、好ましくは、微細構造化面を有する成形工具上に押出、圧送、または注入が行えるように十分に流動性である。この樹脂の粘度は、広範囲で変動しうる。重合性樹脂は低から中粘度の液体であることが多く、一方、熱可塑性樹脂は注型温度において比較的粘稠となる場合がある。あるいは、成形可能な樹脂は、進行するエンボス加工工具と接触させるシート形態、またはコーティングされたキャリアウェブを工具と接触させることを含む回転バンク法によって提供することもできる。
本発明に使用される工具は典型的には、構造化面を有するマスター型を最初に製造することによって得られる。マスター型の製造方法は公知である。再帰反射性シーティングの製造に使用されるマスター型は、典型的には、当技術分野において公知となっているピン結束技術、直接機械加工技術、および薄板を使用する技術によって製造される。本発明に使用されるマスター型は、好ましくは薄板技術によって得られる。
図1を参照すると、薄板10は、第1の主面12と、反対側の第2の主面(図示せず)とを含む。薄板10は、第1の主面12と第2の主面との間に延在する作用面16と、反対側の底面とをさらに含む。薄板10は、第1の端面20と、反対側の第2の端面22とをさらに含む。
薄板10は、同じく重ね合わされたデカルト座標系を有する三次元空間において特徴づけることができる。第1の基準面24は、主面12の中央にある。第1の基準面24は、x−z面と呼ばれ、その法線ベクトルとしてy軸を有する。第2の基準面26は、x−y面と呼ばれ、薄板10の作用面16と実質的に同一平面上で延在し、その法線ベクトルとしてz軸を有する。第3の基準面28は、y−z面と呼ばれ、第1の端面20および第2の端面22の間の中央にあり、その法線ベクトルとしてx軸を有する。
キューブコーナー微細構造を含む薄板の機械加工方法においては、第1の溝の組、場合により第2の溝の組、好ましくは第3の主溝が、溝形成装置を使用して形成される。本明細書において使用される場合、用語「溝の組」は、溝の組の中の隣接する溝に対して公称で平行から1°以内の非平行までの範囲である、薄板10の作用面16中に形成された溝を意味する。あるいは、またはそれに加えて、溝の組の溝は、後述するように特定の基準面に対して公称で平行から1°以内の非平行までの範囲となってよい。したがって、個々の溝およびまたは溝の組の溝に関するそれぞれの特徴(たとえば垂直、角度など)は、これと同程度の偏差が生じうるものと理解されたい。公称で平行な溝は、溝形成装置の精度の範囲内で意図的な偏差が生じていない溝である。
一般に、第1の溝の組は、薄板の第1の主面12と作用面16が交差するそれぞれの溝頂点を有する複数の溝を含む。作用面16は、変化しないで残留する(すなわち切り取られていない)部分を含んでもよいが、作用面16が、切り取られていない表面部分を実質的に有さないことが好ましい。
第2の溝の組(すなわち存在する場合)は、薄板の第1の主面および作用面16が交差するそれぞれの溝頂点を有する複数の溝を含む。第1の溝の組と第2の溝の組は、第1の基準面24にほぼ沿って交差して、複数の交互のピークおよびV字型の谷を含む構造化面を形成する。図示していないが、この実施態様は、図2における薄板200および薄板300の組み合わせと同様に表すことができる。
第1および第2の溝の組の両方は、本明細書において「側溝」と呼ぶ場合もある。本明細書において使用される場合、側溝とは、少なくとも1つの隣接する溝に対して、好ましくは側溝の組のすべての溝に対して、溝が、それぞれの溝方向ベクトルについて、公称で平行から1°以内の非平行までの範囲となる個々の溝または溝の組を意味する。特定の溝の方向は、溝の頂点に沿ったベクトルによって画定される。溝方向ベクトルは、x、y、およびz方向における成分によって定義することができ、このx軸基準面28に対して垂直であり、y軸は基準面24に対して垂直である。あるいは、またはそれに加えて、側溝とは、基準面28に対して公称で平行から1°以内で基準面28に対して非平行の範囲の溝を意味する。側溝は場合によっては、これと同じ程度の偏差で基準面24に対して垂直であってよい。側溝は、開先角度誤差、および/またはスキュー、および/または傾斜などの再帰反射発散プロファイルを改善する目的で、意図的に小さい偏差を含むことができる。スキューおよび/または傾斜の利点は、2003年3月6日に出願された米国特許出願第60/452464号明細書に記載されている。米国特許出願第60/452464号明細書は、本出願が優先権を主張している米国特許出願第60/452605号明細書と同時に出願された。
薄板は、好ましくは、実質的に薄板の全長に延在する主溝面を含む。主溝面の形成によって、薄板上に3つの垂直またはほぼ垂直な光学面を有する複数のキューブコーナー要素を含む構造化面が得られる。典型的には、このような主溝面と作用面12または14のいずれかとの交差部分は、基準面24および26に対して公称で平行である。1つの薄板は、1つの主溝面、互いに反対側の側面上の一対の溝面、および/または作用面16と基準面24の交差部分に沿っており一対の主溝面が同時に得られる主溝を有することができる。互いに反対側の方向の一対の1種類の薄板、および好ましくは互いに反対側の方向の複数の薄板(たとえば、図2において100、200、300および400で示される4つの薄板)は、典型的には、それぞれの主溝面が、図2を参照して示されるような主溝52を形成するように組み立てられる。
再帰反射性シーティングの形成に好適な寸法のマスター工具を形成するために、マスター工具に電気めっきしてネガコピーを形成し、続いてネガコピーに電気めっきしてポジコピーを形成し、ポジコピーに電気めっきして第二世代のネガコピーを形成するなどによって、複数のツーリング(タイルとも呼ばれる)が製造される。このポジコピーは、マスター工具と同じキューブコーナー要素構造を有し、一方、ネガコピーはそのキューブ空隙レプリカである。したがって、ネガコピー工具(たとえば図3)はポジコピー(すなわちキューブコーナー要素)シーティングの作製に使用され、一方、ポジコピー工具(たとえば図2)はネガコピー(すなわちキューブコーナー空隙)シーティングの作製に使用される。次にこのようなツーリングを互いに貼り合わせることで、所望の寸法のマスター工具を組み立てることができる。本発明においては、典型的には、接合されたツーリング部分の間でチャネルが実質的に連続となるように同じ方向でツーリングが貼り合わせられる。
工具が得られる方法とは無関係であり、さらに、工具が、ピークで面が交差するキューブコーナー要素微細構造を含むか、またはその複製がキューブコーナー要素を形成するキューブコーナー空隙微細構造を含むかのいずれであるかとは無関係に、本発明の方法において使用される工具は少なくとも1つ、典型的には複数のチャネルを含む。これらのチャネルは、キューブコーナー微細構造(たとえば個々の薄板上に形成されたキューブコーナー微細構造)の列に対して典型的には平行である。
一態様においては、チャネルは主溝によって画定される。図2に示されるように、主溝チャネル52は典型的には一対の隣接する主溝面によって形成される。あるいは、またはそれに加えて、主溝チャネルは、図1における作用面16と基準面24の交差部分にそって存在することができる。主溝面は、典型的には交差して線を形成する。この交差部分は頂点と呼ぶ場合もある。主溝チャネルは、切り取られたキューブコーナー配列の直接機械加工によって形成された溝とは異なる。一態様において、切り取られたキューブコーナー配列の直接機械加工された任意の1つの溝の頂点は、典型的には他の溝の組の溝と交差し(たとえば第1の溝の組に対して60°で形成される)、溝面は連続とならない。対照的に、主溝の底部分(たとえば頂点)は典型的には他の溝と交差しない。したがって、切り取られたキューブコーナー配列の溝面は複数の対向する三角面を有し、一方、主溝面は五角形などの非三角形の面を含む。切り取られたキューブコーナー配列においては、工具は複数の要素または複数の空隙を含むが、同じ工具中に両方を含むことはない。対照的に、フルキューブまたはPGキューブコーナー配列を含む工具は、空隙(たとえばキューブコーナー空隙および他の空隙)と隆起部(たとえばキューブコーナー要素および他の構造)との組み合わせを有する。典型的には、主溝の面の少なくとも約10%から最大約50%までが連続であり、溝頂点の線上にある。
別の態様においては、主溝チャネルの存在の代わりに、またはそれに加えて、工具は、図2に示されるように互いに反対側の方向を有する微細構造化要素などの微細構造化要素の列の組の交差によって形成される1つのチャネル54、好ましくは複数のチャネルを含むことができる。この種のチャネルを、本明細書では「構造化チャネル」と呼ぶ。このような構造化チャネルは主溝チャネルの間に存在することができる。さらに、このような構造化チャネルは、典型的には主溝チャネルに対して平行である。たとえば、工具は、図2に示されるように構造化チャネルと交互に並ぶ主溝チャネルを有することができる。構造化チャネルは、直線においては交差しない。むしろこの交差部分は、典型的には、ピークと谷、たとえば繰り返しパターンで交互に並ぶピークと谷によって形成される複数の線分を含む。構造化チャネルの面は、好ましくはキューブコーナー面(たとえば隣接する薄板上に形成されたキューブの隣接する列から)を含む。
再帰反射性シーティングは工具のレプリカであるので、図2の工具からは、キューブコーナー空隙を含むキューブコーナー微細構造が形成される。したがって、キューブコーナー要素微細構造を含む再帰反射性シーティングは、図3に示されるようなキューブコーナー空隙を含む工具によって得られる。この種の工具のチャネル53は、図2のチャネルと異なる。この実施態様においては、各チャネルは一般に、実質的に連続の平面51を含む。この面は、好ましくは主溝面の複製から得ることができる。あるいは、この面は、主面(たとえば図1の12)の一部の複製から得ることができる。あるいは、この面は、不連続であってもよく、その場合、そのような面と交差する構造によってその面が中断される。チャネルの第2の面は、典型的には構造化面である。図2に示される構造化面とは対照的に、工具上に示されている図3の第2の面の構造はキューブコーナー要素構造ではない。しかし、平面51と第2の構造化面との間に形成されたチャネルはキューブコーナー空隙を形成し、これは、この空隙の複製がキューブコーナー要素(たとえば列で)を形成することを意味する。したがって、これらのチャネルは、キューブコーナー空隙チャネルと呼ぶことができる。
チャネルは、微細構造化面の全体の高さに対するチャネルの深さの比、すなわち微細構造の最高点と最低点との間のz軸に沿った距離に関して特徴づけることができる。この比は変動させることができるが、少なくとも10フィート/分(3.05m/分)の速度で良好な複製を行うためには、この比は好ましくは約0.4を超える(たとえば0.5、0.6、0.7、0.8、0.9で、1に近づいていく)。
一般に、要素の各列に対して、典型的には少なくとも1つのチャネルが存在する。各チャネルは、典型的には薄板の全体の長さ、キューブの列の全体の長さ、配列の全体の寸法、またはシーティングの全体の長さに延在する。しかし少なくとも、チャネルは、その幅の少なくとも約10倍の長さ、好ましくはその幅の少なくとも100倍の長さ、より好ましくはその幅の少なくとも500倍の長さで延在する。チャネルの種類、すなわち主溝チャネル、構造化チャネル、またはキューブコーナー空隙チャネルのいずれであるかとは無関係に、本発明の方法は、このようなチャネルの主要部分、好ましくはチャネルの実質的に全体が、送達システムと比較した工具の相対運動に対して実質的に平行となる、すなわち進行する工具および/または進行する供給装置の方向となるように、送達システム(たとえばスロットダイ装置などの供給装置)中に工具を設けるステップを使用する。チャネルの充填方向に対するチャネルの方向または向きと関連する場合の実質的に平行とは、これら2つの方向によって形成される鋭角を意味する。好ましくは、チャネルの向きは、0°から20°を超えるまでは変動せず、より好ましくは10°以下(たとえば9°、8°、7°、6°)、最も好ましくは5°以下(たとえば5°、4°、3°、2°、1°)を超えるまでは変動しない。本発明の方法は、成形可能な(たとえば流体)樹脂を提供するための供給手段としてのスロットダイ装置の使用に関して説明される。本明細書において使用される場合、「スロットダイ装置」とは、樹脂分散部分を含む孔隙を含む装置を意味し、この配列は種々の設計(たとえばコートハンガー、Tスロットなど)であってよく、この空隙は、一対のダイリップの間に設けられるスロットオリフィス中まで延びる。スロットオリフィスは典型的には長方形である。スロットダイ装置は、典型的には、当技術分野で公知のような調整ボルト、電熱器、熱電対などの種々の他の構成要素が取り付けられる。スロットオリフィスの寸法は変動させることができる。たとえば幅は0.010インチ〜0.1インチ(0.254mm〜2.54mm)で変動させることができ、一方、長さは2インチ〜60インチ(50.8mm〜1524mm)(すなわちコーティングラインの幅)で変動させることができる。
代案として、他の供給装置を、本明細書に記載されるスロットダイ装置の代わりに使用することもできる。たとえば、1つ以上の針送達システムを使用することができる。さらに代案として成形可能な樹脂は、エンボス加工工具と接触するシートとして提供することができるし(すなわち少なくとも一方が進行する)、または成形可能な樹脂は、回転バンク法の場合などキャリアウェブ上に提供することもできる。供給装置に依存するが、オリフィスを工具表面と接近させることができるし、またはある程度離すこともできる。
たとえば、米国特許第4,601,861号明細書(プリコーン(Pricone))に記載されるように、再帰反射性物品を製造するためのエンボス加工工具として工具を使用することができる。あるいは、再帰反射性シーティングは、国際公開第95/11464号パンフレットおよび米国特許第3,684,348号明細書に教示されるように予備成形されたフィルムに対してキューブコーナー要素を注型することにより層状製品として製造することができるし、あるいは、予備成形されたフィルムを予備成形されたキューブコーナー要素に積層することによって製造することもできる。
本明細書に記載される本発明を使用しない硬化性流動性合成樹脂の注型による再帰反射性シーティングの製造方法は一般に、たとえば米国特許第3,811,983号明細書(ローランド(Rowland))、同第3,689,346号明細書(ローランド(Rowland))、および米国特許第5,961,846号明細書(ベンソン・ジュニア(Benson Jr.))によって公知となっている。
図4a〜4cを参照すると、代表的な製造装置および方法1010は、微細構造化面1100を有する工具1200を、たとえば駆動ロール1400aおよび/または1400bによって進行させるステップと、スロットダイ装置1000を使用して流動性合成樹脂を工具の微細構造化面上に注型するステップと、工具と接触させながら樹脂を十分に硬化(すなわち固化)させて、シート1600を形成するステップと、シートを工具から取り外すステップとを含む。連続製造の場合では、シーティングの前縁は、たとえばストリッパーロール1800を使用して工具表面から取り外される。工具の充填方向は、送達システム(たとえばスロットダイ装置)に対する工具の相対運動方向310である。したがって、図4a〜4cにおいて、充填方向は供給装置のオリフィスに対して垂直である。
スロットダイ装置および進行する工具が垂直配置で示されているが、水平またはその他の配置(すなわち水平と垂直の間の角度)を使用することもできる。特定の配置とは無関係に、スロットダイ装置は、スロットダイ装置のオリフィスにおいて、好ましくは工具に対して法線方向に、流動性樹脂を微細構造化工具に供給する。さらに、この製造工程は、複数のスロットダイ装置の配置を含むことができる。たとえば、第1のスロットダイ装置が、キューブ空隙を部分的に充填するために設けられ、続いて第2のスロットダイが、空隙の残りを充填するために設けられてもよい。
ダイは、ねじジャッキまたは水圧シリンダーなどの好適な手段によって、進行する工具表面に向かって移動することができる実質的に機械的な枠組み中に取り付けられる。あるいは、ダイが静止して、進行する工具表面がダイに向かって移動してもよい。ダイが工具から約0.020インチ(約0.508mm)離れている場合、流動性合成樹脂(たとえば溶融熱可塑性ポリマー材料)が工具と接触して、樹脂の連続層を微細構造化工具表面上に形成する。スロットダイ装置と工具表面との間の間隙は、典型的には最終シーティング厚さの約2倍未満である。したがって、0.0025インチ〜0.015インチ(0.0635mm〜0.381mm)の公称厚さを有するシーティングを製造する場合、この間隙は約0.004インチ〜0.030インチ(約0.1016mm〜0.762mm)の範囲となる。
樹脂は、真空、圧力、温度、超音波振動、または機械的手段を場合により使用することで、成形面の空隙内に流動するような粘度を有する。好ましくは、空隙を実質的に充填するのに十分な量で使用される。好ましい実施態様においては、シーティングの最終ランド厚さ(すなわち、複製された微細構造から得られた部分を排除した厚さ、図4c中の1300b)が0.001〜0.100インチ(0.0254〜2.54mm)の間、好ましくは0.003〜0.010インチ(0.0762〜0.254mm)の間となる速度で、流動性樹脂が供給される。図4cを参照すると、工具表面の反対側の樹脂(たとえば固化している)の表面1300aは、ほぼ平滑および平面である。しかし、別の場合では、キューブ空隙のみが充填されて、したがってシーティングがランド層を実質的に有さないように樹脂を供給することができる。この実施態様においては、キューブコーナー要素は、典型的には、工具表面から除去する前にフィルム層に接合される。
溶融熱可塑性樹脂の押出成形の場合、典型的には樹脂は最初に固体ペレットの形態で供給され、樹脂を溶融押出機2000中に連続的に供給するホッパー2100に投入される。典型的には、たとえば循環する熱油を使用して、または電気誘導によって加熱される駆動ロール1400Aの上を通過することによって工具に熱が供給され、それによってポリマー軟化点よりも高温に工具表面温度が維持される。押出後に、工具から除去できるように樹脂を十分に硬化させるために、押し出された樹脂または工具上への水の噴霧、工具の切り取られていない表面と冷却ロールの接触、または高圧送風機によって供給される直接衝突空気ジェットなどの好適な冷却手段が設けられる。
重合性樹脂の場合、スロットダイ装置1000に供給を行うディスペンサー中に樹脂を直接注入または圧送することができる。ポリマー樹脂が反応性樹脂である実施態様の場合、シーティングの製造方法は、1つ以上のステップで樹脂を硬化させることをさらに含む。たとえば、工具から除去する前に樹脂を十分硬化させるために、重合性樹脂の性質に依存して化学線、紫外光、可視光などの好適な放射エネルギー源に曝露することで樹脂を硬化させることができる。冷却と硬化との組み合わせを使用することもできる。
図5および図6を参照すると、本発明に使用される代表的なスロットダイ装置1020は、第1のダイ部分110および第2のダイ部分115の2つの部分を含む。第1および第2のダイ部分が、ダイ分割線180において互いに接合して、長方形のスロットオリフィス181を有するスロット空隙(図示せず)を形成する。スロットオリフィス181と隣接し、ロール1400aの回転方向310に対してその下流に、第1のダイリップ120が存在し、本明細書ではこれは下流リップとも呼ばれる。スロットオリフィス181と隣接し、ロール1400aの回転方向310に対してその上流に、第2のダイリップ170が存在し、本明細書ではこれは上流リップとも呼ばれる。これらのリップは、連続的に前進する微細構造化面を有する工具1200と近接している。駆動ロール1400aは、ロールの作用面上でロール全面の偏差を0.001インチ(0.0254mm)未満に維持しながら、高いダイ負荷力に耐えるように構成されている。
本発明の方法においては、工具のチャネル(すなわち主溝チャネルおよび/または構造化チャネルおよび/またはキューブコーナー空隙チャネル)が進行する工具の方向に対して実質的に平行となるように、工具および/または成形可能な樹脂が進行し、したがってそのように提供される。このため、工具のチャネルは、好ましくは、スロットダイ装置のスロットオリフィスに対して実質的に垂直である。本発明者は、チャネルが進行する工具の方向に対して垂直となるように、供給装置に対して工具を設けると、工具の充填が不十分となることを発見した。不十分な工具の充填は、図8の部分Aに示されるようなクロスウェブの条線などの平面図中の不規則な外観を有するシーティングによって明らかとなり、図8の部分Bに示されるようにこのような不規則性が実質的に存在しない場合とは異なる。シーティングを顕微鏡で観察すると、部分Aが図9bに示されるように実質的な未充填介在物を有することが明らかであり、一方、図9aにおける未充填介在物の%値は1%未満である。図8の部分Aは、キューブコーナー要素の欠陥が激しいために、再帰反射の明るさが(存在するならば)非常に低くなる。
米国特許第6,257,860号明細書(ルトレル(Lutrell)ら)に記載されるような、薄板の機械加工方法および薄板からのマスターツーリングの形成方法が公知である。スキューおよび/または傾斜を実質的に有さない実施態様においては、米国特許第6,257,860号明細書(ルトレル(Lutrell)ら)および米国特許第6,159,407号明細書(クリンク(Krinke)ら)に記載されるように、側溝を複数の積層薄板中に形成することができる。個々の薄板(たとえばスキューおよび/または傾斜を含む側溝を有する薄板)の端部上に溝を形成し、薄板を組み立て、そして組み立てた薄板の微細構造化面を複製するための好ましい方法は、2003年3月6日に出願された米国特許出願第10/383039号明細書に記載されている。米国特許出願第10/383039号明細書は、本出願が優先権を主張している米国特許出願第60/452605号明細書と同時に出願された。このような方法では、溝形成装置を使用して複数のV字型溝を形成することによって薄板の露出端部表面(すなわち図1における作用面16)の上にキューブコーナー微細構造を機械加工するステップが説明されている。
薄板は、その厚さの少なくとも約10倍(好ましくはその厚さの少なくとも100倍、200倍、300倍、400倍、500倍)の長さおよび高さを有する薄い板である。薄板は、なんらかの特定の寸法に限定されるものではない。当業者であれば、薄板の最適寸法が、薄板の曲げ剛性、座屈剛性、および取り扱いの容易さと関連していることを理解できるであろう。さらに、最適寸法は、最終設計(たとえばキューブコーナー構造)の光学的要求によっても制約されうる。薄板は、典型的には0.25インチ(6.35mm)未満、好ましくは0.125インチ(3.175mm)未満の厚さを有する。薄板の厚さは好ましくは約0.020インチ(約0.508mm)未満であり、より好ましくは約0.010インチ(約0.254mm)未満である。典型的には、薄板の厚さは少なくとも約0.001インチ(約0.0254mm)であり、より好ましくは少なくとも約0.003インチ(約0.0762mm)である。このような薄板は、長さが約1インチ(約25.4mm)〜約20インチ(約5.08cm)の範囲であり、典型的には6インチ(15.24cm)未満である。薄板の高さは、典型的には約0.5インチ(約12.7mm)〜約3インチ(約7.62cm)の範囲であり、より典型的には約2インチ(約5.08cm)未満である。
一般に、薄板は、端部上に直接機械加工された溝を形成するのに適したあらゆる基材で構成されてよい。好適な基材は、ばりが形成されずにきれいに機械加工され、低い延性および低い粒状性を示し、溝形成後に寸法精度を維持する。機械加工可能な種々のプラスチックまたは金属を使用することができる。好適なプラスチックは、アクリルまたは他の材料などの熱可塑性または熱硬化性材料を含む。機械加工可能な金属としては、アルミニウム、真鍮、銅無電解ニッケル、およびそれらの合金が挙げられる。好ましい金属としては、非鉄金属が挙げられる。好適な薄板材料は、たとえば、圧延注型化学析出、電着、または鍛造によってシートに成形することができる。好ましい機械加工材料は、典型的には、溝の形成中に切削工具の摩耗が最小限となるように選択される。他の種類の微細構造を含む薄板に適した他の材料をも好適となりうる。
V字型溝は、高精度で各溝を形成することができるダイヤモンドツーリング装置を使用して形成される。コネチカット州ブリッジポートのムーア・スペシャル・ツール・カンパニー(Moore Special Tool Company,Bridgeport,CT)、ニューハンプシャー州キーンのプレシテック(Precitech,Keene,NH)、およびペンシルバニア州ピッツバーグのエアロテック・インコーポレイテッド(Aerotech Inc.,Pittsburg,PA)が、この目的に適した装置を製造している。このような装置は、典型的にはレーザー干渉計−位置決め装置を含む。好適な精密回転テーブルはAAゲージ(AA Gage)(ミシガン州スターリングハイツ(Sterling Heights,MI))より市販されており、一方、好適な顕微干渉計はザイゴ・コーポレーション(Zygo Corporation)(コネチカット州ミドルフィールド(Middlefield,CT))およびビーコ(Veeco)の一部門であるワイコ(Wyko)(アリゾナ州トゥーソン(Tucson,AZ))より市販されている。微細構造(たとえば溝頂点間隔および溝深さ)の精度(すなわち2点間の位置決め)は、好ましくは少なくとも±500nmの精度であり、より好ましくは少なくとも±250nmの精度であり、最も好ましくは少なくとも±100nmの精度である。溝角の精度は、切削長さ(たとえば薄板の厚さ)にわたって、少なくとも±2分角(±0.033°)の精度であり、より好ましくは少なくとも±1分角(±0.017°)の精度であり、さらにより好ましくは少なくとも±1/2分角(±0.0083°)の精度であり、最も好ましくは少なくとも±1/4分角(±0.0042°)の精度である。さらに、分解能(すなわち、現在の軸の位置を検出する溝形成装置の能力)は、典型的には精度の少なくとも約10%である。したがって、精度が±100nmである場合、分解能は少なくとも±10nmである。短い距離(すなわち10本の隣接する平行な溝)においては、精度は分解能にほぼ等しい。長時間にわたってこのような高精度の複数の溝を一貫して形成するために、この工程の温度は±0.1℃以内、好ましくは±0.01℃以内に維持される。
使用に好適なダイヤモンド工具は、K&Yダイヤモンド(K&Y Diamond)(ニューヨーク州ムーアズ(Mooers,NY))またはチャードン・ツール(Chardon Tool)(オハイオ州チャードン(Chardon,OH))より購入可能なダイヤモンド工具などの高品質のものである。特に、好適なダイヤモンド工具は、先端部0.010インチ(0.254mm)以内に傷がなく、これは2000倍の白色光顕微鏡を使用して評価することができる。典型的には、ダイヤモンドチップは、約0.00003インチ(約0.000762mm)〜約0.00005インチ(約0.001270mm)の範囲の寸法の平坦部分を有する。さらに、好適なダイヤモンド工具の表面仕上は、粗さの平均が約3nm未満であり、ピーク対谷粗さが約10nm未満であることが好ましい。表面仕上は、機械加工可能な基材中に試験切削を行い、ビーコ(Veeco)の一部門であるワイコ(Wyko)(アリゾナ州トゥーソン(Tucson,AZ))より購入可能なものなどの顕微干渉計を使用して試験切削を評価することによって評価することができる。
本発明の方法は、成形可能な(たとえば流動性)樹脂を微細構造化工具表面上に注型するための種々の供給装置を使用することができる。好適な供給装置としては、米国特許第5,067,432号明細書(リッペルト(Lippert))に記載されるスロットダイ装置、ならびに、ウィスコンシン州チペワフォールズのエクストルージョン・ダイス・インコーポレイテッド(Extrusion Dies,Inc.,Chippewa Falls,WI)より商品名「ウルトラコート」(Ultracoat)および「ウルトラフレックス」(Ultraflex)で市販されるスロットダイ装置が挙げられる。ある実施態様においては、本発明の方法は、2003年3月6日に出願された発明の名称「再帰反射性シーティングの製造方法およびスロットダイ装置」(Method of Making Retroreflective Sheeting and Slot Die Apparatus)の米国特許出願第10/382375号明細書に記載される方法および装置をさらに使用する。
図6を参照すると、代表的なダイは、2つの表面部分を有する全長約1.0インチ(約25.4mm)(たとえば0.88インチ(22.35mm))の下流リップを含む。第1の表面部分は、前縁130から第1の表面部分の後縁125(すなわち、2つの表面部分の場合の第2の表面部分の前縁および近接線)まで延在し、長さ121aが0.41インチ(10.41mm)であり、図6に示されるようにリップ表面からダイ分割線180の外挿まで反時計回りに測定した角度128が89.2°から垂直である。第2の表面部分は、第1の表面部分の後縁125から延在し、長さ126aが0.47インチ(11.94mm)であり、図3に示されるようにリップ表面からダイ分割線180の外挿まで反時計回りに測定した角度122が86.8°から垂直である。さらに、下流リップは、リップ表面部分と進行する工具との間に生じる高圧による曲げまたは偏差に耐えるのに十分な構造強度を有する。
本発明の方法は、あらゆる微細構造設計、たとえば前述したように主溝および/または微細構造化チャネルおよび/またはキューブコーナー空隙チャネルを含むキューブコーナー要素設計を使用する用途に好適である。チャネルの主要部分が進行する工具の方向に対して実質的に平行となるように工具が提供されるので、ロール製品の場合、チャネルはシートの長手方向端部、すなわち最大寸法に対しても実質的に平行である。
再帰反射性シーティングは、薄板および再帰反射性シーティングのキューブコーナー要素の少なくとも一部、好ましくは実質的にすべてが切り取られていないフルキューブであるキューブコーナー微細構造配列を含むことが好ましい。一態様においては、フルキューブ要素の基部が三角形ではない。別の態様においては、特徴的にフルキューブ要素の非二面体端部が全く同じ面内は存在しない(すなわち同一平面にない)。このようなキューブコーナー要素は、好ましくは「好ましい形状(PG)のキューブコーナー要素」である。フルキューブおよびPGキューブコーナー要素は、典型的には、切り取られたキューブコーナー要素と比較して、高い全光帰還を示す。
PGキューブコーナー要素は、基準面に沿って延在するキューブコーナー要素の構造化面と関連させて定義することができる。本出願の目的では、PGキューブコーナー要素は、(1)基準面に対して平行でなく、さらに(2)近傍のキューブコーナー要素の隣接する非二面体端部と実質的に平行である、少なくとも1つの非二面体端部を有するキューブコーナー要素を意味する。3つの反射面が長方形(正方形を含む)、三角形、四辺形、台形、五角形、または六角形を含むキューブコーナー要素が、PGキューブコーナー要素の例である。PGキューブコーナー要素の定義と関連する「基準面」とは、隣接するキューブコーナー要素または他の幾何学構造の群の近傍の面を近似する面または他の表面を意味し、このキューブコーナー要素または幾何学構造はその面に沿って配置されている。1つの薄板の場合、隣接するキューブコーナー要素の群は1つの列または一対の列からなる。組み立てられた薄板の場合、隣接するキューブコーナー要素の群は、1つの薄板および隣接して接触する薄板のキューブコーナー要素を含む。シーティングの場合、隣接するキューブコーナー要素の群は一般に、人の肉眼で認識可能な領域(たとえば好ましくは少なくとも1mm2)に及び、好ましくはシーティング全体の大きさに及ぶ。
本発明の再帰反射性シーティングに好適な樹脂組成物は、好ましくは、寸法安定性、耐久性、耐候性であり、所望の構成に容易に成形可能な透明材料である。好適な材料の例としては、ローム・アンド・ハース・カンパニー(Rohm and Haas Company)製造のプレキシグラス(Plexiglas)ブランドの樹脂などの約1.5の屈折率を有するアクリル、約1.59の屈折率を有するポリカーボネート、熱硬化性アクリレートおよびエポキシアクリレートなどの反応性材料、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド(E.I.Dupont de Nemours and Co.,Inc.)よりサーリン(SURLYN)の商品名で販売されるものなどのポリエチレン系アイオノマー、(ポリ)エチレン−コ−アクリル酸、ポリエステル、ポリウレタン、および酢酸酪酸セルロースが挙げられる。ポリカーボネートが、靭性、および広範囲の照射角にわたる改善された再帰反射性能に一般に寄与する比較的高い屈折率のため、特に好適である。17g/10分〜24g/10分(ASTM D1238またはISO 1133−1991;条件300/1.2)の範囲のメルトフローレートを有する射出成形グレードのポリカーボネートが典型的には好ましい。これらの材料は、染料、着色剤、顔料、UV安定剤、またはその他の添加剤を含むこともできる。再帰反射性シーティングの製造においては透明な合成樹脂が使用されるが、他の微細構造化物品の場合には、合成樹脂は不透明または半透明であってもよい。
溶融ポリマー樹脂の場合、この樹脂は、典型的には十分に冷却することによって固化する。たとえば、ポリカーボネートは、約240°F(約116℃)以下の温度に到達するまで十分に冷却される。冷却は、押し出された樹脂または工具上への水の噴霧、工具の切り取られていない表面と冷却ロールの接触、または高圧送風機によって供給される直接衝突空気ジェットの本発明の手段などのあらゆる手段によって実現することができる。
キューブコーナー要素の配列を形成するのに好適な材料の他の代表例は、化学線、たとえば、電子ビーム、紫外光、または可視光に曝露することによりフリーラジカル重合機構によって架橋可能な反応性樹脂系である。さらに、これらの材料は、過酸化ベンゾイルなどの熱開始剤を添加して熱的手段によって重合させることもできる。放射線で開始するカチオン重合性樹脂を使用することもできる。キューブコーナー要素の配列の形成に好適な反応性樹脂は、光開始剤と、アクリレート基を有する少なくとも1種類の化合物との混合物であってもよい。好ましくはこの樹脂混合物は、放射線照射によって架橋ポリマー網目構造を形成する一官能性、二官能性、または多官能性の化合物を含有する。
本発明で使用することができるフリーラジカル機構によって重合可能な樹脂の代表例としては、エポキシ、ポリエステル、ポリエーテル、およびウレタンから誘導されるアクリル系樹脂、エチレン系不飽和化合物、少なくとも1つのペンダントアクリレート基を有するイソシアネート誘導体、アクリル化エポキシ以外のエポキシ樹脂、ならびにそれらの混合物および組み合わせが挙げられる。本明細書ではアクリレートという用語は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を含むとして使用される。米国特許第4,576,850号明細書(マルテンス(Martens))には、本発明のキューブコーナー要素配列中に使用することができる架橋樹脂の例が開示されている。
シーティングの製造は、シーティングの固化の前または後に、場合により他の製造ステップを含むことができる。たとえば、再帰反射性シーティングは、国際公開第95/11464号パンフレットおよび米国特許第3,684,348号明細書に教示されるように予備成形されたフィルムに対してキューブコーナー要素を注型することにより層状製品として製造することができるし、あるいは、予備成形されたフィルムを予備成形されたキューブコーナー要素に積層することにより層状製品として製造することもできる。このためには、個々のキューブコーナー要素が、予備成形されたフィルムによって相互に連結される。さらに、これらの要素およびフィルムは、典型的には異なる材料で構成される。
あるいは、またはそれに加えて、金属コーティングなどの正反射コーティングを、キューブコーナー要素の裏側上に配置することができる。金属コーティングは、アルミニウム、銀、またはニッケルなどの金属の蒸着または化学析出などの公知の技術によって適用することができる。金属コーティングの接着性を向上させるために、キューブコーナー要素の裏側にプライマー層を適用してもよい。
金属コーティングに加えて、またはその代わりに、キューブコーナー要素の裏側にシールフィルムを適用することができ、たとえば、米国特許第4,025,159号明細書および同第5,117,304号明細書を参照することができる。このシールフィルムは、キューブ裏側における空気界面を維持することでその界面における全反射を可能にし、さらに汚れおよび/または湿気などの汚染物質の侵入を防止する。さらに、改善された(たとえば屋外)耐久性のため、または画像受容面を得るために、シーティングの観察面上に独立したオーバーレイフィルムを使用することができる。このような屋外耐久性が示されることによって、長期間(たとえば1年間、3年間)の屋外曝露の後でもASTM D49560−1aに記載されるような明るさの規格を十分に維持する。さらにCAP Y白色度は、屋外曝露の前後で好ましくは30を超える。
本発明の再帰反射性シーティングは、再帰反射輝度が高いことから、交通標識、路面標示、自動車の標示、および個人用安全用品などの種々の用途に有用である。再帰反射係数RAは、−4°照射、0°方向、0.2°観察において米国連邦試験方法標準規格370(US Federal Test Method Standard 370)に準拠して測定することができ、これは典型的には少なくとも100カンデラ/ルクス/平方メートル(CDL)であり、好ましくは少なくとも300CDLであり、より好ましくは少なくとも600CDLである。
以上の説明は例示を意図するものであって、限定を意図するものではないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱しない本発明の種々の修正および変形が、以上の説明から当業者には明らかになるであろうし、本明細書に記載される例示的実施態様に本発明が不当に限定されるべきではないことを理解されたい。
実施例1〜4
以下の具体的な特徴を組み込むために下流ダイリップを変化させたことを除けばウィスコンシン州チペワフォールズのエクストルージョン・ダイス・インコーポレイテッド(Extrusion Dies,Inc.,Chippewa Falls,WI)より商品名「ウルトラコート」(Ultracoat)で市販されるスロットダイ装置と実質的に同じであるスロットダイ装置を使用して、再帰反射性シーティングを作製した。(1)リップの水平長さを0.478インチから0.884インチ(12.14mmから22.45mm)に変化させた。(2)ポリカーボネート出口スロット付近のリップ断面を薄くすることで、リップ水平断面中にヒンジを形成し、それによってリップの下流部分を垂直面において調節できるようにした。(3)このリップのポリカーボネート接触面は、2つの平面が得られるように機械加工しており、その第1の面は、工具表面からダイの分割線の外挿まで反時計回りに測定して垂直に対し89.2°の角度であり、第2の面は、工具表面からダイの分割線の外挿まで反時計回りに測定して反時計回りに垂直に対し87.6°であった。(4)ダイボルトは、ダイリップの外側または後部を押し込むように構成されており、このため、ボルトの調整によって後部リップを垂直に移動させることができたが、前部および後部ダイリップの間のポリカーボネートスロットは実質的に変化しなかった。(5)図3を参照して、寸法150が0.33インチ(8.38mm)の厚さを有し、寸法151が0.26インチ(6.60mm)の厚さを有し、寸法152が0.19インチ(4.83mm)の厚さを有し、および角度153が基準面2000に対して105°となるように、リップをP−20工具鋼から作製した。
以下の具体的な特徴を組み込むために下流ダイリップを変化させたことを除けばウィスコンシン州チペワフォールズのエクストルージョン・ダイス・インコーポレイテッド(Extrusion Dies,Inc.,Chippewa Falls,WI)より商品名「ウルトラコート」(Ultracoat)で市販されるスロットダイ装置と実質的に同じであるスロットダイ装置を使用して、再帰反射性シーティングを作製した。(1)リップの水平長さを0.478インチから0.884インチ(12.14mmから22.45mm)に変化させた。(2)ポリカーボネート出口スロット付近のリップ断面を薄くすることで、リップ水平断面中にヒンジを形成し、それによってリップの下流部分を垂直面において調節できるようにした。(3)このリップのポリカーボネート接触面は、2つの平面が得られるように機械加工しており、その第1の面は、工具表面からダイの分割線の外挿まで反時計回りに測定して垂直に対し89.2°の角度であり、第2の面は、工具表面からダイの分割線の外挿まで反時計回りに測定して反時計回りに垂直に対し87.6°であった。(4)ダイボルトは、ダイリップの外側または後部を押し込むように構成されており、このため、ボルトの調整によって後部リップを垂直に移動させることができたが、前部および後部ダイリップの間のポリカーボネートスロットは実質的に変化しなかった。(5)図3を参照して、寸法150が0.33インチ(8.38mm)の厚さを有し、寸法151が0.26インチ(6.60mm)の厚さを有し、寸法152が0.19インチ(4.83mm)の厚さを有し、および角度153が基準面2000に対して105°となるように、リップをP−20工具鋼から作製した。
操作中は、上死点においてロールと接する基準面に対して、上死点の0.050インチ(1.27mm)上流に水平位置に分割線スロットオリフィスが配置されるように、ダイ支持ビームと、および加熱ローラーからあらゆる距離で配置できるようにするための垂直面にダイを移動させるためのねじジャッキ組立体とを有する剛性の枠組み中にダイを搭載した。ねじジャッキ組立体は、支持ビームの両側に駆動モーターが取り付けられ、これはボルトを使用してダイビームに取り付けた。ねじジャッキの移動端は、ロードセル中にねじ込み、このロードセルは、溶融樹脂とダイリップとの相互作用によって発生する全負荷がロードセルに伝達され感知されるように主支持構造にボルト締めされた。ロードセルは、これらのダイ力をデジタル表示する好適な電子機器に接続した。ダイは一軸スクリュー押出機に取り付けた。
17g/10分〜24g/10分(ASTM D1238またはISO 1133−1991;条件300/1.2)の範囲のメルトフローレートを有する射出成形グレードのポリカーボネートを、250°F(121℃)の乾燥ホッパー中で4時間乾燥させた。この乾燥させたポリカーボネートペレットを押出機入口にフラッドフィードした。この押出機バレルのゾーン温度は、ゾーン1を475°F(246℃)、ゾーン2を535°F(279℃)、ゾーン3を550°F(288℃)、ゾーン4を565°F(296℃)、およびゾーン5を570°F(299℃)に設定した。押出機末端のゲート出口ゾーン温度は575°F(302℃)に設定した。ポリマーの溶融温度および圧力は、それぞれ溶融熱電対および圧力プローブを使用して押出機ゲートにおいて測定し、表1に示している。内径(I.D.)1.25インチ(31.75mm)のアダプターで、押出機ゲートとダイとを接続した。このアダプター上の温度は560°F(293℃)に設定した。ダイボディーは、16の温度ゾーンに分割され、各温度ゾーンはほぼ同じ面積を有した。下流リップは連続するゾーン1〜8を含み、一方上流リップは連続するゾーン9〜16を含み、ゾーン1および16は、スロットオリフィスの互いに対向する側の上で互いに隣接した。これらのゾーンの温度は、ゾーン1、2、7、8、9、および10を575°F(302℃)、ゾーン3、6、11、および14を560°F(293℃)、ゾーン4、5、12、および13を545°F(285℃)、およびゾーン15および16を570°F(299℃)に設定した。
最初に、再帰反射性シーティングの所望のマイクロプリズム設計の反転したものからなる工具のマイクロプリズム面(後により詳細に説明する)から下流リップが約10ミル(約0.254mm)離れるようにダイを配置した。後部ダイリップ126の垂直位置を、ダイボルトを1回転の3/8だけ回すことで調整し、第2の表面部分の後縁140が工具に0.004インチ(0.1016mm)近づくようにした。マイクロプリズム面は、表1に示されるライン速度に設定された連続金属ベルト上にあった。高いダイ負荷力に耐え、30インチ(762mm)の直径を有するローラーの作用面全体で1ミル(0.0254mm)未満の全ローラー表面偏差を維持するように形成された連続駆動加熱ローラーの周囲にこのベルトを巻き付けることによって、工具のマイクロプリズム面をダイに向けた。495°F(257℃)の設定点の熱油システムによってローラーに熱を供給した。表1に示されるように、ツーリングの左右両方の平坦な非構造化縁部の上で接触高温計を使用して、工具表面温度を測定した。
工具は、ダウンウェブ方向で約20フィート(6.1m)であり、クロスウェブ方向で約3フィート(0.91m)であった。この工具は、約2インチ×約4インチ(約50.8mm×約101.6mm)(すなわち各薄板のマイクロプリズム面の長さ)の寸法を有する複数の薄板の組立体からなるマスター型より得た電鋳複製物を含んだ。薄板の機械加工方法、ならびに組立方法および組み立てられた積層体の複製方法は、前述の2003年3月6日に出願された米国特許出願第10/383039号明細書に記載されている。1つまたは複数の薄板中に形成される光学設計は、前述の米国特許出願第60/452464号明細書に記載されている。実質的に全薄板長さに延在する主溝面を各薄板上に形成した。この主溝面は、工具表面の面によって画定される法線ベクトルに対してほぼ35.49°の方向にあった。実質的に75.226°および104.774°の開先角度の側溝の交互の組が、0.005625インチ(0.142875mm)の間隔で各薄板中に形成されることで、キューブコーナー空隙の残りの面が形成された。このキューブコーナー空隙の対称軸は、基準面24と平行な面内で約6.03°斜めに傾いていた。この側溝は、主溝面に対して実質的に垂直に形成された。側溝(すなわち開先角度および垂直)に関する実質的という用語は、再帰反射された発散プロファイルを改善するために複数の非直交性を導入する目的でそれぞれ1°未満となる1/2角誤差、スキュー、および傾斜の組み合わせを含む側溝を意味する。スキューおよび/または傾斜を含む溝に関するさらなる詳細は、前述の代理人整理番号FN58179US002に見られる。1/2角誤差、スキュー、および傾斜の組み合わせが複製忠実度に影響するとは考えられていない。
工具表面は組み立てられた薄板のネガのレプリカであるため、この工具は、複数の実質的に平行なキューブコーナー空隙チャネルを含む。この工具は、ダウンウェブ流路がスロットオリフィスに対して垂直となるようにスロットダイ装置に向けた。
この工具から複製した再帰反射性シーティングの写真を図7に示す。図7におけるキューブ空隙の水平寸法は0.0075ミル(0.19μm)であり、個々の薄板の厚さに対応している。個々の薄板の台形のキューブコーナー空隙は、図7における縦の列に対応している。
溶融ポリカーボネートを、ダイオリフィスからツーリングのマイクロプリズム面上に出して、微細複製シーティングの連続ウェブを形成した。押出機の排出速度は、公称厚さ12ミル(0.3048mm)のシーティングが得られるように調整した。支持枠組み中に組み込まれたロードセルによってダイ力を測定した。
ベルトおよびウェブはロール曲面から平坦なフリースパンゾーンまで続き、次に240°F(116℃)未満の温度に到達するまで、衝突ノズルから空気を吹き込むことによって冷却した。次に、このウェブをベルトから取り外して、巻き付けることによって再帰反射性シーティングのロールを得た。
各再帰反射性シーティング試料の複製忠実度を、ウェブ全体の4つの位置のそれぞれで3インチ×5インチ(76.2mm×127mm)の4つの試料を取り出すことによって評価した。各比較例で16個の試料が同じ位置から取り出されるように注意した。各試料を、倍率10倍の顕微鏡(メジャースコープMM−11(Measurescope MM−11))の下に置き、複製が最も不十分な試料の写真(カメラはジャベリン・スマートカム(Javelin SmartCam)であった)撮影した。これらの写真を図7a〜7dに示している。各台形中央部で黒色の塊として見えるキューブ空隙の未充填介在物の存在によって不十分な複製が明らかであり、各台形はキューブコーナー要素の基端部である。未充填介在物の%値は、平面図における未充填介在物の表面積を測定することによって概算される。「合格」の評価は1%以下の未充填介在物を意味し、一方「不合格」の評価は1%を超える未充填介在物を意味する。
表1から、実施例1〜4のそれぞれが良好な精度の複製を示していることが分かる。
実施例5および比較例A
下流リップの全体の長さが0.501インチ(12.725mm)であり、下流リップが1つの平面を含んでいる異なるスロットダイ装置を使用して、実施例1〜4で説明したものと同じ一般手順を繰り返した。この工具は、約9.74°だけ前方に傾いた薄板から複製したキューブ空隙を有するキューブコーナー空隙チャネルを含んだ。キューブ空隙の幅は7.5ミル(0.19mm)であり、これは薄板の厚さに対応しており、側溝間隔は5.0ミル(0.127mm)であった。キューブのピークは、側溝の間の中央にあり、主溝表面によって交差する薄板側部から平面図において4.125ミル(0.1048mm)に位置した。すべての側溝が、実質的に90°の開先角度を有した。主溝面は、工具表面の面によって画定される法線ベクトルに対してほぼ45°に向いていた。
下流リップの全体の長さが0.501インチ(12.725mm)であり、下流リップが1つの平面を含んでいる異なるスロットダイ装置を使用して、実施例1〜4で説明したものと同じ一般手順を繰り返した。この工具は、約9.74°だけ前方に傾いた薄板から複製したキューブ空隙を有するキューブコーナー空隙チャネルを含んだ。キューブ空隙の幅は7.5ミル(0.19mm)であり、これは薄板の厚さに対応しており、側溝間隔は5.0ミル(0.127mm)であった。キューブのピークは、側溝の間の中央にあり、主溝表面によって交差する薄板側部から平面図において4.125ミル(0.1048mm)に位置した。すべての側溝が、実質的に90°の開先角度を有した。主溝面は、工具表面の面によって画定される法線ベクトルに対してほぼ45°に向いていた。
工具の第1のセクションでは、進行する工具の方向に対して、キューブ空隙チャネルがクロスウェブ方向に向くように、工具をスロットダイ装置に供給した。5フィート(1.524m)/分未満の速度で複製は良好であったが、5フィート(1.524m)/分を超える速度では工具の充填が不十分となった。
工具の第2のセクションでは、進行する工具の方向に対して、キューブ空隙チャネルがダウンウェブ方向(すなわち、チャネルが進行する工具の方向と平行)に向くように、工具をスロットダイ装置に供給した。最高約28フィート(8.53m)/分の範囲の速度で複製は良好であった。
図8は、再帰反射性シーティングの写真を示している。セクションAは、工具のチャネルをクロスウェブ方向に向けて11フィート(3.35m)/分の速度で複製したシーティングの一部であり、一方、セクションBは、工具のチャネルがダウンウェブ方向を向くようにスロットダイオリフィスに同じ工具を供給したことを除けば同じ条件を使用して複製したシーティングの一部である。
図9aは、セクションAの再帰反射性シーティングの写真を示しており、一方、図9bはセクションBの写真を示している。これらの写真から分かるように、セクションBは多量の未充填介在物を有した。
図6を参照すると、代表的なダイは、2つの表面部分を有する全長約1.0インチ(約25.4mm)(たとえば0.88インチ(22.35mm))の下流リップを含む。第1の表面部分は、前縁130から第1の表面部分の後縁125(すなわち、2つの表面部分の場合の第2の表面部分の前縁および近接線)まで延在し、長さ121aが0.41インチ(10.41mm)であり、図6に示されるようにリップ表面からダイ分割線180の外挿まで反時計回りに測定した角度128が89.2°から垂直である。第2の表面部分は、第1の表面部分の後縁125から延在し、長さ126aが0.47インチ(11.94mm)であり、図6に示されるようにリップ表面からダイ分割線180の外挿まで反時計回りに測定した角度122が86.8°から垂直である。さらに、下流リップは、リップ表面部分と進行する工具との間に生じる高圧による曲げまたは偏差に耐えるのに十分な構造強度を有する。
実施例1〜4
以下の具体的な特徴を組み込むために下流ダイリップを変化させたことを除けばウィスコンシン州チペワフォールズのエクストルージョン・ダイス・インコーポレイテッド(Extrusion Dies,Inc.,Chippewa Falls,WI)より商品名「ウルトラコート」(Ultracoat)で市販されるスロットダイ装置と実質的に同じであるスロットダイ装置を使用して、再帰反射性シーティングを作製した。(1)リップの水平長さを0.478インチから0.884インチ(12.14mmから22.45mm)に変化させた。(2)ポリカーボネート出口スロット付近のリップ断面を薄くすることで、リップ水平断面中にヒンジを形成し、それによってリップの下流部分を垂直面において調節できるようにした。(3)このリップのポリカーボネート接触面は、2つの平面が得られるように機械加工しており、その第1の面は、工具表面からダイの分割線の外挿まで反時計回りに測定して垂直に対し89.2°の角度であり、第2の面は、工具表面からダイの分割線の外挿まで反時計回りに測定して反時計回りに垂直に対し87.6°であった。(4)ダイボルトは、ダイリップの外側または後部を押し込むように構成されており、このため、ボルトの調整によって後部リップを垂直に移動させることができたが、前部および後部ダイリップの間のポリカーボネートスロットは実質的に変化しなかった。(5)図6を参照して、寸法150が0.33インチ(8.38mm)の厚さを有し、寸法151が0.26インチ(6.60mm)の厚さを有し、寸法152が0.19インチ(4.83mm)の厚さを有し、および角度153が基準面2000に対して105°となるように、リップをP−20工具鋼から作製した。
以下の具体的な特徴を組み込むために下流ダイリップを変化させたことを除けばウィスコンシン州チペワフォールズのエクストルージョン・ダイス・インコーポレイテッド(Extrusion Dies,Inc.,Chippewa Falls,WI)より商品名「ウルトラコート」(Ultracoat)で市販されるスロットダイ装置と実質的に同じであるスロットダイ装置を使用して、再帰反射性シーティングを作製した。(1)リップの水平長さを0.478インチから0.884インチ(12.14mmから22.45mm)に変化させた。(2)ポリカーボネート出口スロット付近のリップ断面を薄くすることで、リップ水平断面中にヒンジを形成し、それによってリップの下流部分を垂直面において調節できるようにした。(3)このリップのポリカーボネート接触面は、2つの平面が得られるように機械加工しており、その第1の面は、工具表面からダイの分割線の外挿まで反時計回りに測定して垂直に対し89.2°の角度であり、第2の面は、工具表面からダイの分割線の外挿まで反時計回りに測定して反時計回りに垂直に対し87.6°であった。(4)ダイボルトは、ダイリップの外側または後部を押し込むように構成されており、このため、ボルトの調整によって後部リップを垂直に移動させることができたが、前部および後部ダイリップの間のポリカーボネートスロットは実質的に変化しなかった。(5)図6を参照して、寸法150が0.33インチ(8.38mm)の厚さを有し、寸法151が0.26インチ(6.60mm)の厚さを有し、寸法152が0.19インチ(4.83mm)の厚さを有し、および角度153が基準面2000に対して105°となるように、リップをP−20工具鋼から作製した。
Claims (24)
- 少なくとも1つのチャネルを有するPGキューブコーナー微細構造化面を含む工具を用意するステップと、
前記チャネルが進行する工具の方向と実質的に平行となるような方向に前記工具を進行させるステップと、
成形可能な樹脂を前記工具表面上に注型するステップと、
前記樹脂を固化させて、キューブコーナー要素を含む表面を有する再帰反射性シートを形成するステップと、
前記シートを前記工具から取り外すステップと、
を含む再帰反射性シーティングの製造方法。 - 前記キューブコーナー微細構造が空隙である、請求項1に記載の方法。
- 前記キューブコーナー微細構造がキューブコーナー要素である、請求項1に記載の方法。
- 前記チャネルが主溝チャネルである、請求項1に記載の方法。
- 前記チャネルが、共通頂点において交差する第1の平面と第2の平面とを含む、請求項4に記載の方法。
- 前記チャネルが構造化チャネルである、請求項1に記載の方法。
- 前記チャネルが、キューブコーナー面を含む第1の面と、反対側のキューブコーナー面を含む第2の面とを含む、請求項6に記載の方法。
- 前記チャネルが、互いに反対側のキューブコーナー微細構造の互いに反対側の非二面体端部の交差部分を含む、請求項6に記載の方法。
- 前記チャネルがキューブ空隙チャネルである、請求項1に記載の方法。
- 前記チャネルが、第1の平面と第2の構造化面とを含む、請求項9に記載の方法。
- 前記チャネルのレプリカによってキューブコーナー要素が得られる、請求項9に記載の方法。
- 前記第1の平面が主溝面のレプリカである、請求項10に記載の方法。
- 前記樹脂が溶融熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の方法。
- 前記樹脂がシート形態で提供される熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の方法。
- 前記樹脂がキャリアウェブ上に提供される、請求項1に記載の方法。
- 主溝チャネル、構造化チャネル、キューブ空隙チャネル、およびそれらの組み合わせから選択されるチャネルを有するキューブコーナー微細構造化面を含む工具を用意するステップと、
前記チャネルが進行する工具の方向と実質的に平行となるような方向に前記工具を進行させるステップと、
成形可能な樹脂を前記工具表面上に注型するステップと、
前記樹脂を固化させて、キューブコーナー要素を含む表面を有する再帰反射性シートを形成するステップと、
前記シートを前記工具から取り外すステップと、
を含む再帰反射性シーティングの製造方法。 - 少なくとも1つの長手方向周辺端部、および少なくとも1列のPGキューブコーナー微細構造、および前記列に対して実質的に平行に延在する少なくとも1つのチャネルを含む再帰反射性シーティングであって、前記チャネルが、前記シーティングの前記長手方向周辺端部に対して実質的に平行である、再帰反射性シーティング。
- 前記キューブコーナー微細構造がPGキューブコーナー要素である、請求項17に記載のシーティング。
- 前記キューブコーナー微細構造がPGキューブコーナー空隙である、請求項17に記載のシーティング。
- 前記シーティングが熱可塑性樹脂を含む、請求項17に記載のシーティング。
- 前記長手方向周辺端部が、最大寸法で前記シーティングに広がる、請求項17に記載のシーティング。
- 前記シーティングが、互いに平行な一対の長手方向周辺端部を含む、請求項17に記載のシーティング。
- 前記シーティングがロール品で提供される、請求項17に記載のシーティング。
- 一対の長手方向周辺端部と、キューブコーナー微細構造の列と、前記列と実質的に平行に延在するチャネルとを含む再帰反射性シーティングであって、前記チャネルの主要部分が、前記シーティングの前記長手方向周辺端部と実質的に平行であり、前記チャネルが主溝チャネル、構造化チャネル、キューブ空隙チャネル、およびそれらの組み合わせから選択される、再帰反射性シーティング。
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