JP2013190319A - 鋼材の耐hic性の評価方法およびそれを利用したラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法 - Google Patents

鋼材の耐hic性の評価方法およびそれを利用したラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼材の耐HIC性の評価方法およびそれを利用した厚鋼板の製造方法。
【解決手段】評価対象の鋼材について中心偏析部を特定し、該中心偏析部を含む微小領域について高周波燃焼−紫外蛍光法を用いてS濃度を分析する。S濃度が所定値を超える場合には、HICを発生する危険度が高くなり耐HIC性が低下した鋼材であると評価する。鋼材が厚鋼板である場合には、まず微小硬さHVを測定し、微小硬さHVが230以上である箇所について、S濃度の分析を行って、耐HIC性を評価する。このような鋼材の耐HIC性の評価方法を鋼素材の状態で適用し、耐HIC性に優れたと評価された鋳片のみを鋼素材として厚鋼板を製造すれば、耐HIC性に優れた厚鋼板を安定して製造できる。また、製造された厚鋼板について耐HIC性を評価し、耐HIC性に優れると評価された厚鋼板をラインパイプ向けと選別することにより、耐HIC性に優れた厚鋼板を製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼材の耐水素誘起割れ(Hydrogen Induced Cracking:HIC)性向上に係り、とくに、鋼材の耐HIC性の評価方法に関する。なお、ここでいう「鋼材」には、厚鋼板、熱延鋼板が含まれる。
連続鋳造鋳片(以下、単に「鋳片」ともいう)を素材とする鋼材では、連続鋳造時に鋳片中心部に形成される偏析(中心偏析)が、鋼材の品質に大きな悪影響を及ぼすことが知られている。特に、硫化水素が多く含まれる原油、天然ガス等の輸送用ラインパイプでは、表面から鋼中に水素が侵入しやすいため、水素誘起割れ(Hydrogen Induced Cracking:HIC)が多発して問題となってきた。鋼材の中心偏析部には、延伸したMnS、酸化物等の介在物などが多数、存在しており、侵入した水素が集積しやすく、中心偏析部での水素誘起割れが多発しやすい。このため、従来から、中心偏析を軽減することが要望されてきた。
当初は、中心部におけるMnの偏析を抑制したり、あるいは例えば、特許文献1に記載されるように、Sを0.001%以下に低減し、さらにCaを添加してMnSの形態を制御した鋳片とし、さらに該鋳片に、加熱、圧延、冷却を適正に調整して、HICを抑制しようする技術が提案されている。しかし、これらだけでは、HICの発生を完全には防止できず、更なる検討が行われてきた。
例えば、特許文献2には、中心偏析が低減され、マクロ的な中央偏析が除かれたのちにも、Mnのスポット的な偏析部が存在し、ここを起点に水素誘起割れ(HIC)が発生する場合があることが記載されている。このようなMnのスポット的な偏析部は、群状のMnSが存在し、Pの偏析が認められ、Ca処理が有効に作用していない領域であり、Mnのスポット的な偏析部の大きさを400μm未満、偏析部のP濃度を0.035%未満、かつ有効Ca比を1.7以上とすれば、HICの発生が回避できるとしている。また、特許文献3には、連続鋳造時の2次冷却の比水量を適正量に制限し、中心偏析部のNb、Mn含有量を抑制し、Mn偏析度(偏析部の最大Mn含有量/平均Mn含有量)を1.4以下、かつNb偏析度(偏析部の最大Nb含有量/平均Nb含有量)を4.0以下に調整した熱延鋼板が提案されている。
しかし、特許文献2,3に記載された技術では、各元素の偏析度の測定方法についての記載がなく、また偏析部の形態やその判定方法についての記載もなく、具体的にHICの発生を回避するうえで、不明瞭のままであるという問題がある。
また、特許文献4には、連続鋳造における最終凝固時の軽圧下と、熱間圧延終了後の水冷を調整することにより、最大Mn偏析度:2.0以下、Nb偏析度:4.0以下、Ti偏析度:4.0以下に制限したうえで、S/Ca:0.5以下を満足するようにCa処理を施した耐水素誘起割れ性に優れた高強度ラインパイプ用鋼板が提案されている。しかし、特許文献4に記載された技術では、偏析部における各元素の偏析度は、EPMA(電子プローブマイクロアナライザー、Electron Probe Micro Analyzer)によって測定した値を用いるとしているが、偏析部の形態やその判定方法についてまでの言及はなく、不明瞭のままである。
中心偏析を評価する方法としては、従来から、例えば、スライス法、ドリル法、マクロ腐食法、Hプリント法など、いくつかの方法が開発され、使用されている。
スライス法では、鋳片や厚鋼板を厚さ方向に順次スライスしていき、そのスライスして採取した切粉の成分を分析し、厚さ方向の濃度分布を得る。また、ドリル法では、鋳片の縦断面からマクロプリントを採取して中心偏析領域を特定し、この中心偏析領域上の多数の分析点から、ドリルで切粉サンプルを採取し、この切粉を分析する。
また、マクロ腐食法は、鋳片の切断面を研磨して、偏析部をピクリン酸等の腐食液により腐食させてからインク等を染み込ませた後、一旦、表面のインクを拭き取り、腐食部に残ったインクをセロハン紙等に写し取り、偏析の発生状況を可視化する方法である。また、Hプリント法は、鋳片の切断面を研磨、腐食し、腐食後に写し取ったプリントから中心偏析部の最大偏析粒径等を測定する方法である。
一般に、鋳片の中心偏析は、鋳片のC断面全体、すなわち、鋳造方向に垂直な断面全体についてみると、厚さ方向および幅方向で均一であるとはいえない。そのため、鋳片や厚鋼板の偏析を調べるためには、C断面の広い領域に亘って評価する必要がある。
このような観点から上記した各方法を検討すると、スライス法は、試料調整・分析に時間がかかるため、結果が出るまでに長時間を要するうえ、鋳片や厚鋼板等の中心偏析評価をC断面全体に亘って行うと、分析コストが高騰するという問題がある。また、この方法では、スライスした切粉を分析するため、厚さ方向の平均としての分析値しか得られない。そのため、スライス法は、従来から、一部領域の評価にのみ用いられる程度であった。
また、ドリル法は、スライス法に比較して、迅速性には優れるが、切粉の採取領域がスライス法に比較し、さらに狭くなるため、全体的な評価ができにくいという問題があった。
また、マクロ腐食法は、迅速性の観点から上記した2つの方法と比較すると、優位であるといえる。しかし、マクロ腐食法は、目視による判定となるため、非定量的な評価しか得られないという問題がある。また、Hプリント法は、定量的ではあるが、評価に熟練を要し、しかも長時間を要するため、分析コストが高くなるという問題がある。
また、上記した方法とは別に、中心偏析を評価する方法がいくつか提案されている。例えば、特許文献5には、連鋳鋳片の軸心部の硬度を測定し、その硬度の測定値の平均値、最大値、最大値と最小値との差の中の1種以上から連鋳鋳片の中心偏析度を把握する、簡便な連鋳鋳片中心偏析評価方法が記載されている。
また、特許文献6には、中心偏析部を含む領域の濃度マッピング分析を行って、指標元素の濃度が所定の閾値濃度以上である面積を求め、その面積をもって中心偏析を評価する、連続鋳造鋳片および厚鋼板の中心偏析評価方法が記載されている。なお、特許文献6に記載された方法では、濃度マッピング分析を、EPMA(電子プローブマイクロアナライザー、Electron Probe Micro Analyzer)、発光分光分析およびSEM−EDXのいずれかを用いて行うことが好ましいとしている。
これらの方法によれば、偏析部の存在および偏析度は評価することができるが、特許文献5,6には、偏析度とHICの発生との関連についてまでの言及はない。
特開昭62−112722号公報 特開平06−271974号公報 特開2002−363689号公報 特開2010−209461号公報 特開平09−178733号公報 特開2009−236842号公報
しかし、最近、S量を低減しCaを添加した場合でも、耐HIC性が劣化する場合があることが明らかになっている。とくに、鋼材の中心偏析部に、凝固時に形成され、圧延により伸延したMnSが存在する場合には、中心偏析部の硬さが低くてもHICが発生する場合がある。これは、偏析スポットの形態やCaの反応性の予期せぬバラつきにより、固溶S量が増加して偏析部に局所的にMnSが形成され、圧延により延伸する場合があるためと考えられる。
このようなことから、とくに高強度鋼板を製造する場合には一層、偏析部でのMnSの形成を抑制する必要があることに想到し、鋼材の耐HIC性を評価するうえでは、中心偏析部等でのMnS形成の有無を判別することが重要になることに思い至った。しかし、MnSの大きさがミクロンオーダーであるため光学顕微鏡による観察では判別できない。また、最近の鋼材では、S量は数ppm程度まで低減されており、 EPMA(電子プローブマイクロアナライザー:Electron Probe Micro Analyzer)等での濃度マッピングによっても、MnS形成を判別することは非常に困難になっている。
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みてなされたもので、鋼材の耐HIC性の評価方法およびそれを利用した耐HIC性に優れたラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、まず、偏析部の微小領域におけるS濃度とMnS形成との関係について、鋭意検討した。その結果、偏析部微小領域のS濃度は、本発明者のうちの一人が開発し、特開2011−169753号公報に記載された「硫黄の分析方法」である高周波燃焼−紫外蛍光法を利用することにより、少量の分析試料でも偏析部微小領域のS濃度を精度高く、定量分析できることを見出し、この分析手法を用いて測定した、偏析部微小領域のS濃度が、MnSの形成とよい相関があることを見出した。
そして、スラブ(鋳片)であれば、マクロエッチングにより偏析スポット部(偏析部)の位置を特定し、その位置の3×3mmの領域で測定したS濃度がMnSの形成とよい相関があることを見出した。また、鋼板であれば、微小硬さ試験(試験力:490mN;荷重50gf)を行い、HV230を超える箇所では、その圧痕を中心として0.5×3mmの領域で測定したS濃度がMnSの形成とよい相関があることを見出した。具体的には、偏析スポット部でS濃度が質量ppmで18ppmを超える場合に、延伸したMnSが多く形成され、HICが発生する。
そして、更なる検討の結果、本発明者らは、鋳片(スラブ)もしくは鋼板の中心偏析部で、特定範囲の微小領域のS濃度を分析し、得られた値が所定値(18質量ppm)を超えるか否かで、MnSの形成の有無を判別し、耐HIC性の優劣を判断できることを見出した。
まず、本発明者らが行った、本発明の基礎となった実験結果について説明する。
質量%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.01〜0.80%、P:0.001〜0.02%、S:0.0001〜0.003%、Al:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.08%、Ti:0.005〜0.04%、Ca:0.0005〜0.005%、N:0.001〜0.01%、Cu:0〜0.7%、Ni:0〜2%、Cr:0〜1%、V:0〜0.5%を含み、Mnを0.8〜1.5%の範囲で変化させた組成の厚鋼板(板厚:32mm)を用意した。
そして、それら厚鋼板の板幅中央部から、HIC試験片(大きさ:厚さ全厚または30mm×幅20mm×長さ100mm)を採取した。そして、採取したHIC試験片を、NACE TM0284の規定に準拠して、A規格液中に96時間浸漬した。浸漬後のHIC試験片について、割れの有無を超音波探傷法で調査した。
浸漬したHIC試験片について、とくに、割れが発生した領域で、微小硬度計(試験力:490mN(荷重:50gf))を用いて微小硬さHVを測定し、さらに圧痕を中心として0.5×3mmの領域から分析用試料を採取し、高周波燃焼−紫外蛍光法を用いて、当該領域のS濃度(質量%)を測定した。
その結果、MnSが形成されている場合(すなわち、S濃度が18質量ppm超えの場合)で、かつ微小硬さがHV230以上の場合には、HICが発生しているが、MnSが形成されていない場合(すなわち、S濃度が18質量ppm以下の場合)では、微小硬さがHV275までは、HICが発生していないことを確認した。
このようなことから、偏析スポット(偏析部)でのS濃度が18質量ppm以下であれば、MnSの形成は抑制されており、優れた耐HIC性を保有していること、一方、偏析スポット(偏析部)でのS濃度が18質量ppmを超えると、伸延したMnSが多く形成され、耐HIC性が著しく低下すること、を知見した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)鋼材の耐HIC性を評価するにあたり、前記鋼材の中心偏析部を特定し、該中心偏析部を含む微小領域についてS濃度を分析し、得られたS濃度の最大値が質量%で、0.0018%以下である場合を、耐HIC性に優れる鋼材と評価することを特徴とする鋼材の耐HIC性の評価方法。
(2)(1)において、前記鋼材が鋳片である場合には、前記微小領域を3×3mm の領域として、前記S濃度の分析を高周波燃焼−紫外蛍光法で行うことを特徴とする鋼材の耐HIC性の評価方法。
(3)(1)において、前記鋼材が鋼板である場合には、前記微小領域を3×0.5 mmの領域とし、該微小領域におけるS濃度の分析を高周波燃焼−紫外蛍光法で行うことを特徴とする鋼材の耐HIC性の評価方法。
(4)鋼材の耐HIC性を評価するにあたり、前記鋼材を鋼板とし、該鋼板の中心偏析部を特定したのち、該中心偏析部を含む微小領域の複数箇所で微小硬さHVを測定し、得られた微小硬さHVが230以上である箇所の圧痕を中心として3×0.5 mmの領域から分析試料を採取して、高周波燃焼−紫外蛍光法を用いてS濃度を分析し、得られたS濃度の最大値が質量%で0.0018%以下である場合を耐HIC性に優れる鋼板と評価することを特徴とする鋼材の耐HIC性の評価方法。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記鋼材が、質量%で、C:0.03%以上0.07%未満、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.8〜1.5%、S:0.0008%以下、P:0.008%以下、Al:0.07%以下、Ti:0.005〜0.02%、Nb:0.005〜0.07%、Ca:0.0005〜0.005%、N:0.008%以下、O:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする鋼材の耐HIC性の評価方法。
(6)(5)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:1%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする鋼材の耐HIC性の評価方法。
(7)鋼素材を、熱間圧延し、あるいはさらに急速冷却、あるいはさらに再加熱処理して、厚鋼板とするにあたり、複数の前記鋼素材の中心偏析部を含む微小領域についてS濃度を分析し、その値の最大値が、質量%で0.0018%以下である場合に、該鋼素材をラインパイプ用厚鋼板向け鋼素材とすることを特徴とする耐HIC性に優れたラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
(8)(7)において、前記S濃度を分析する領域を3×3mmの微小領域とし、前記S濃度の分析を高周波燃焼−紫外蛍光法で行うことを特徴とするラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
(9)鋼素材を、熱間圧延し、あるいはさらに急速冷却、あるいはさらに再加熱処理して、厚鋼板とするにあたり、得られた厚鋼板について、該厚鋼板の中心偏析部を特定し、該中心偏析部を含む微小領域の複数箇所で微小硬さHVを測定し、得られた微小硬さHVが230以上である箇所の圧痕を中心として3×0.5 mmの領域から分析試料を採取し、高周波燃焼−紫外蛍光法を用いてS濃度を分析し、得られたS濃度の最大値が質量%で0.0018%以下である場合を、ラインパイプ用厚鋼板とすることを特徴とする耐HIC性に優れたラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
(10)(7)ないし(9)のいずれかにおいて、前記鋼素材が、質量%で、C:0.03%以上0.07%未満、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.8〜1.5%、S:0.0008%以下、P:0.008%以下、Al:0.07%以下、Ti:0.005〜0.02%、Nb:0.005〜0.07%、Ca:0.0005〜0.005%、N:0.008%以下、O:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
(11)(10)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:1%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とするラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
(12)(7)ないし(11)のいずれかに記載の厚鋼板の製造方法により製造された厚鋼板を鋼管素材として、冷間成形、シーム溶接、拡管を施してなる溶接鋼管。
本発明によれば、対象とする鋼材の耐HIC性を定量的に精度高く評価でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、ラインパイプ用として好適な、耐HIC性に優れた高強度厚鋼板を容易に製造できるという効果もある。
本発明で用いた鋼素材(スラブ)および鋼板のサンプル採取位置の概略を示す説明図である。 本発明で用いる高周波燃焼−紫外蛍光法によるS分析装置の構成の1例を模式的に示す説明図である。
まず、本発明になる鋼材の耐HIC性の評価方法について説明する。
評価の対象とする鋼材を、まずマクロエッチングして、偏析部(中心偏析部)を特定する。なお、マクロエッチングはC断面で行うこととする。
そして、特定された偏析部を含む微小領域でS濃度を測定する。
偏析部(偏析スポット)の大きさは、鋳片であれば直径数mm程度であるため、S濃度を分析する微小領域としては、鋳片であれば、偏析部(偏析スポット)を中心として3mm×3mmの領域とする。なお、鋼板では、偏析部が圧延により板厚方向に潰されているため、S濃度を分析する微小領域は、偏析部(偏析スポット)を中心として幅方向3mm×厚さ方向0.5 mmの領域とする。
なお、この微小領域のS濃度は、MnS形成と相関関係を有する。この領域のS濃度が最大値でも18質量ppm以下であれば、HICの発生と関連するMnSの形成は認められない。このようなことから、鋼材の偏析部(偏析スポット)を含む上記した微小領域について測定したS濃度が最大値で質量%で、0.0018%以下である場合を耐HIC性に優れる鋼材と評価することにした。
偏析部を含む微小領域のS濃度が18質量ppmを超えると、MnSの形成頻度が増加し、圧延により伸延したMnS によりHICの感受性が高くなり、耐HIC性が劣化する。S濃度が18質量ppm 以下であれば、偏析部にMnS が形成されず、高強度でも割れ面積率CARが3%以下と、良好な耐HIC性を示す。また、偏析部を含む微小領域のS濃度が10質量ppm以下であれば、厳しいHIC試験においても割れが発生せず、優れた耐HIC性を示す鋼材となる。
なお、鋼材が鋼板である場合には、偏析部(偏析スポット)が薄く潰されており、HIC発生の危険度を的確に判定するためには、鋼板の偏析部(偏析スポット)を含む微小領域について、荷重50gf(試験力490mN)で微小硬さHVを複数箇所、測定したのち、微小硬さHVが230 HV以上となる箇所についてのみ、該箇所(圧痕)を中心として上記した幅方向3mm×厚さ方向0.5 mmの領域でS濃度を分析することが好ましい。微小硬さHVが230 HV未満であれば、S濃度が0.0018質量%以上と高くても、当該箇所ではHICは発生しないことを確認している。
また、微小硬さHVが230 HV以上となる箇所であっても、上記のように測定した微小領域のS濃度が最大値でも18質量ppm以下であれば、HICの発生と関連するMnSの形成は認められず、HIC発生の危険性は低い。このようなことから、鋼材が鋼板である場合においては、偏析部(偏析スポット)を含む微小領域の複数箇所で微小硬さを測定し、その値が230 HV以上である箇所について上記した微小領域について測定したS濃度が最大値で質量%で、0.0018%以下である場合を、耐HIC性に優れる鋼材(鋼板)と評価することにした。
図1に、本発明で、S濃度を分析する微小領域と偏析部(偏析スポット)との関係を模式的に示す。
本発明では、特定された偏析部(偏析スポット)を含む上記した微小領域から分析試料を採取し、偏析部(偏析スポット)を含む微小領域のS濃度を直接、分析(測定)する。そのため、本発明では、採取した分析試料から精度高くS濃度を分析する必要がある。しかも、対象とする鋼材は、低S含有量の鋼材である。このようなことから、本発明では、本発明者の一人が開発した、特開2011−169753号公報に記載された「硫黄の分析方法」である高周波燃焼−紫外蛍光法を利用することにした。この方法によれば、微小領域のような少ない量の分析試料しか得られない場合でも、鋼材のS濃度を精度よく定量分析することができる。
分析試料は、鋼材から直接切り出しして採取してもよいが、簡便性の観点からは、ドリルや研削により当該箇所から切粉を採取することが好ましい。本発明でS濃度の分析に使用する高周波燃焼−紫外蛍光法では、分析試料は、0.05〜0.2g程度の重量があれば、S:数質量ppm程度の含有であっても十分な精度の分析が可能である。
高周波燃焼−紫外蛍光法で使用する紫外蛍光分析装置の構成の一例を図2に示す。紫外蛍光分析装置1は、高周波誘導加熱炉3と、ダストフィルタ4と、紫外蛍光分析器5から構成される。
高周波誘導加熱炉3には、試料2を溶解し、燃焼させるセラミックスるつぼ31と、セラミックスるつぼ31を囲繞するコイル32とが配設される。なお、コイル32には、交流電源(図示せず)が接続されていることは言うまでもない。
ダストフィルタ4は、高周波誘導加熱炉3と紫外蛍光分析器5との間に設置され、高周波誘導加熱炉3で発生したSO2含有ガスから、試料2や助燃剤から発生するダストを除去して、後段に配設された紫外蛍光分析器5を保護する。ダストフィルタ4として使用する素材は、SO2を吸着しない素材、例えば、シリカ繊維やポリテトラフルオロエチレンからなる通気性の優れた素材を用いることが好ましい。
紫外蛍光分析器5は、発生したSO2含有ガスに、例えば波長220nmの紫外線を照射し、励起状態となったSO2が基底状態に戻る際に放出する蛍光(波長330nm)を一定時間測定し、測定された蛍光強度の積算値から、予め作成しておいた検量線を用いて試料2中に含まれるS量を算出する。
鋼材の偏析部微小領域から採取された試料2は、セラミックスるつぼ31に収容される。そして、コイル32に交流電流を印加されて、高周波誘導加熱炉3内で純酸素雰囲気下で、迅速に加熱、溶解される。その際、試料2中に含まれているSが酸素と反応して、即ち、Sが酸化(燃焼)してSO2(気体)を生成する。なお、試料2を燃焼する際には、錫やタングステン等の助燃剤を用いることが好ましい。試料2を助燃剤とともに加熱すれば、試料2を迅速に燃焼させることができ、分析を迅速に行うことができる。
そして、生成したSO2含有ガスは、ダストフィルタ4で塵埃(ダスト)を除去され、ついで、塵埃(ダスト)を除去されたSO2含有ガスは紫外蛍光分析器5に導かれる。紫外蛍光分析器5では、紫外蛍光法によりガス中のSO2量を測定し、予め作成された検量線を用いて、試料2中に含まれているS濃度を定量する。
この紫外蛍光分析装置1では、生成したSO2量を紫外蛍光分析器5で測定するので、従来の赤外線検出器で測定する赤外線吸収法と比較して、測定対象ガス中に含まれる水蒸気や測定対象ガスの温度による影響を受けることがほとんどない。したがって、除湿器を設ける必要がなく、簡便な装置で迅速かつ正確にSの定量分析を行うことができる。さらに、この紫外蛍光分析装置1では、従来技術のように、測定時に参照ガス(比較ガス)を使用する必要もない。
なお、酸素は、励起状態となったSO2が基底状態に戻る際に放出する蛍光を吸収したり、励起状態となったSO2分子と衝突してクエンチング(消光)現象を起こしたりする。そのため、紫外蛍光法では、測定対象ガス中のSO2量が低い場合や、測定対象ガス中に酸素が多量に含まれている場合には、SO2濃度の測定精度が低下することが知られている。しかし、この紫外蛍光分析装置1では、高周波誘導加熱炉3を用いて純酸素雰囲気下で試料2を燃焼させ、試料2中のSを短時間ですべて酸化することができる。このため、測定対象ガス中のSO2濃度が高く、紫外蛍光分析器5で測定される蛍光強度が尖頭状の鋭いピークを示すようになる。このようなことから、この紫外蛍光分析装置1によれば、SO2量を正確に測定することができ、少ない重量の分析試料でも、含まれるS濃度を高い精度で分析することができる。
本発明では、上記したように、対象とする鋼材の中心偏析部(偏析スポット)のS濃度を測定し、得られたS濃度が最大値で、0.0018質量%以下であれば、耐HIC性に優れた鋼材と評価する。
なお、耐HIC性に優れた鋼材として、引張強さTS:550MPa以上を有し、ラインパイプ用として好適な高強度厚鋼板がある。このような高強度厚鋼板は、質量%で、C:0.03%以上0.07%未満、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.8〜1.5%、S:0.0008%以下、P:0.008%以下、Al:0.07%以下、Ti:0.005〜0.02%、Nb:0.005〜0.07%、N:0.008%以下、Ca:0.0005〜0.005%、O:0.005%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することが好ましい。
このような高強度厚鋼板の組成限定理由について、つぎに説明する。以下、質量%は単に%で記す。
C:0.03%以上0.07%未満
Cは、強化に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.03%以上の含有を必要とする。Cが0.03%未満では十分な強度を確保できない。一方、0.07%以上含有すると、靭性が低下する。このため、Cは0.03%以上0.07%未満に限定した。
Si:0.01〜0.5%
Siは、脱酸剤として作用する元素である。このような効果を得るためには0.01%以上の含有を必要とする。0.01%未満では脱酸効果が十分でない。一方、0.5%を超える含有は、靭性や溶接性を劣化させる。このため、Siは0.01〜0.5%の範囲に限定した。
Mn:0.8〜1.5%
Mnは、強度増加、靭性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには0.8%以上含有する必要がある。一方、1.5%を超える含有は、偏析が顕著となり、中心偏析部にMnS形成の可能性が増して、耐HIC性を低下させる。このため、Mnは0.8〜1.5%の範囲に限定した。
P:0.008%以下
Pは、偏析傾向が強く、とくに粒界に偏析して粒界の強度を低下させ、HICにおける亀裂進展を助長する。耐HIC性向上のためには、できるだけ低減することが好ましいが、0.008%程度までは許容できる。このため、Pは0.008%以下に限定した。
S:0.0008%以下
Sは、鋼中では延伸したMnSとして中心偏析部(偏析スポット)に存在し、耐HIC性を低下させるため、できるだけ低減することが望ましいが、0.0008%程度までは許容できる。このため、Sは0.0008%以下に限定した。
なお、S含有量を低減すれば、中心偏析部(偏析スポット)のS量を低減できる。さらに、中心偏析部(偏析スポット)のS量の低減は、鋳造時のタンディッシュ内で溶鋼を撹拌し、あるいはさらに1.2〜0.8 m/minの範囲の鋳造速度で鋳造したり、あるいはさらに凝固末期に、電磁攪拌を施し偏析部を均一に分散させたり、また、鋳片に軽圧下を施し偏析スポットのサイズを小さくしたりすることで、調整可能である。
Al:0.07%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには0.02%以上含有することが望ましい。一方、0.07%を超えて含有すると、介在物量が増加し、鋼の清浄度が低下し、HICの起点となる介在物が増加する。このため、Alは0.07%以下に限定した。
Ti:0.005〜0.02%
Tiは、窒化物TiNを形成し、ピンニング効果により、スラブ加熱時のオーステナイト粗大化を抑制し、母材靭性を向上させる作用を有する。このような効果を得るためには、0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.02%を超える含有は、粗大なTi系析出物が析出し、HICの起点になり、耐HIC性が低下する。このため、Tiは0.005〜0.02%の範囲に限定した。
Nb:0.005〜0.07%
Nbは、組織の微細粒化に寄与し、靭性を向上させる作用を有する。また、Nb は、析出物を形成し、析出強化による強度上昇に寄与する。このような効果を得るためには、0.005%以上含有する必要があるが、0.07%を超える含有は、粗大なNb系析出物の形成を促進するため、粗大な析出物がHICの起点となり、耐HIC性が低下する。このため、Nbは0.005〜0.07%の範囲に限定した。
Ca:0.0005〜0.005%
Caは、硫化物系介在物の形態を制御して、耐HIC性を向上させる元素である。このような効果を得るためには0.0005%以上の含有を必要とする。一方、0.005%を超えて含有すると、効果が飽和するとともに、逆に清浄度を低下させてHICの起点となる介在物を形成し、耐HIC性を低下させる。このため、Caは0.0005〜0.005%の範囲に限定した。
N:0.008%以下
Nは、不可避的不純物であるが、0.008%を超える多量の含有は、HICの起点となる粗大なTi−Nb系析出物を形成する。このため、Nは0.008%以下に限定した。
O:0.005%以下
Oは、不可避的不純物であり、粗大で耐HIC性に悪影響を与える酸化物系介在物の生成を抑制するために、Oはできるだけ低減することが望ましいが、0.005%までは許容できる。このため、Oは0.005%以下に限定した。
上記した成分に加えてさらに、Cu:0.5%以下、Ni:1%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ni、Cr、Mo、Vはいずれも、強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種または2種以上含有できる。
Cuは、鋼の焼入性向上を介して、強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには0.02%以上含有することが好ましい。一方、0.5%を超えて含有すると、靱性劣化が生じる。このため、含有する場合は、Cuは0.5%以下に限定することが好ましい。
Niは、鋼の焼入性向上を介して強度増加に寄与するとともに、多量に含有しても靱性劣化を生じないため、強靱化に有効に寄与する元素である。このような効果を得るためには0.02%以上含有することが望ましい。一方、Niは高価な元素であるため、1%を超える多量の含有は、材料コストが高騰する。このため、含有する場合は、Niは1%以下に限定することが好ましい。
Crは、Mnと同様に、低C域で十分な強度を確保すために有効に作用する。このような効果を得るためには、0.1%以上含有することが望ましいが、0.5%を超える過剰な含有は溶接性を低下させる。このため、含有する場合は、Crは0.5%以下に限定することが好ましい。
Moは、焼入性を向上させ、強度を増加させる元素であり、MA生成やベイナイト相を強化することで強度上昇に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.02%以上含有することが好ましい。一方、0.5%を超える含有は、溶接熱影響部靭性の低下を招く。このため、含有する場合は、Moは0.5%以下に限定することが好ましい。さらに好ましくは0.3%以下である。
Vは、焼入性向上を介し、強度上昇に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが好ましい。一方、0.1%を超える含有は、溶接熱影響部靭性を低下させる。このため、含有する場合は、Vは0.1%以下に限定することが好ましい。
なお、上記した選択元素以外に、強度向上、靱性改善の観点から、Mg:0.02%以下、および/または、REM(希土類金属):0.02%以下、および/または、B:0.003%以下を含有してもよい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
従来から、厚鋼板は、鋼素材(スラブ)を、熱間圧延し、あるいはさらに急速冷却、あるいはさらに再加熱処理して、製造されている。上記した高強度厚鋼板の好ましい製造方法はつぎのとおりである。
上記した組成の溶鋼を、転炉等の常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の鋳造方法でスラブ等の鋳片(鋼素材)としたのち、好ましくは1020〜1200℃に加熱し、930℃以下の温度域で累積圧下率:65%以上の熱間圧延を施し、800℃以上の温度で圧延を終了する制御圧延と、圧延終了後、平均冷却速度で20℃/s以上40℃/s以下で、380〜550℃の冷却停止温度まで冷却し、あるいはさらに誘導加熱装置で600〜680℃の温度範囲に再加熱する、製造工程で厚鋼板とすることが好ましい。これにより、引張強さ:550MPa以上で、例えば、試験温度:−5℃でのシャルピー衝撃試験で210J以上の吸収エネルギーを確保でき、ラインパイプ用として好適な、高靭性高強度の厚鋼板とすることができる。上記した条件を外れる工程では、所望の高強度と高靭性を確保することができない。
さらに、上記した高強度厚鋼板の好ましい製造方法において、本発明の鋼材の耐HIC性の評価方法を適用すれば、耐サワー性能に優れた高強度ラインパイプの製造が可能な、耐HIC性に優れたラインパイプ用高強度厚鋼板が容易に製造できる。
たとえば、上記した高強度厚鋼板の好ましい製造方法において、鋼素材を、上記した本発明の鋼材の耐HIC性の評価方法を用いて評価し、耐HIC性に優れた鋼素材であると評価された鋼素材を用いて、厚鋼板を製造することが好ましい。得られた厚鋼板は、耐HIC性に優れ、ラインパイプ用として好適である。
また、例えば、上記した高強度厚鋼板の好ましい製造方法で製造された厚鋼板について、上記した本発明の鋼材の耐HIC性の評価方法を用いて、耐HIC性を評価し、耐HIC性に優れた厚鋼板であると評価された厚鋼板のみを、ラインパイプ用厚鋼板として適用すれば、耐サワー性能に優れた高強度ラインパイプの製造が可能な、耐HIC性に優れたラインパイプ用高強度厚鋼板が確実に製造できる。
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブ(鋼素材)(肉厚:250 mm)とした。なお、鋼No.9は、鋳造速度を、通常の約1.3倍(1.6 m/min)として、中心偏析部の偏析度を変化させた鋳片(スラブ)を鋼素材とした。また、鋼板No.12以外は、凝固末期に0.9mm/minの圧下を加えた鋳片(スラブ)を用いた。
得られた鋼素材を、ついで、1150℃に加熱し、圧延開始温度:1050℃、圧延終了温度:870℃とする熱間圧延を施した。熱間圧延終了後、830℃から急速水冷却を施し、表2に示すほぼ23〜28℃/sの冷却速度で、表2に示す冷却停止温度:400〜450℃の範囲の冷却停止温度まで冷却し、表2に示す板厚:29 mmまたは32 mmの厚鋼板とした。なお、一部の厚鋼板には、誘導加熱装置により、表2に示す520〜650℃の範囲の温度に再加熱する再加熱処理を施した。
なお、鋼板No.1〜No.4、No.9、No.10は、鋼素材(スラブ)段階で試験材を採取し、C断面をマクロエッチングして、偏析部(偏析スポット)を特定し、該偏析部(偏析スポット)を含む微小領域のS濃度を測定した。S濃度の測定は、特定した中心偏析部(偏析スポット)を含み3×3mmの領域から、ドリルで分析試料(切粉)を採取して行った。採取した切粉の重量を秤量し、助燃剤としてタングステン1.5gとスズ0.3gとともに、分析に供した。なお、採取した切粉の重量は0.05〜0.2gの範囲であった。採取した切粉を、助燃剤とともに、セラミックルツボに入れ、高周波燃焼−紫外蛍光法でS量を分析し、偏析部(偏析スポット)のS濃度とした。
得られた厚鋼板のうち、鋼板No.5、No.6、No.7、No.8、No.11、No.12については、厚鋼板のC断面をマクロエッチングして、偏析部(偏析スポット)を特定し、該偏析部を含む微小領域の複数箇所で、荷重50gf(試験力490mN)で微小硬さHVを測定したのち、微小硬さHVが230 HV以上となる箇所についてのみ、該箇所(圧痕)を中心として幅方向3mm×厚さ方向0.5 mmの領域から研削で分析試料(切粉)を採取した。このとき、分析試料の重量が0.05〜0.2gとなるように採取した。得られた分析試料は、助燃剤とともに、セラミックルツボに入れ、高周波燃焼−紫外蛍光法でS量を分析し、偏析部(偏析スポット)含む微小領域のS濃度とした。
また、得られた厚鋼板から、試験片を採取し、引張試験、衝撃試験、HIC試験を実施し、各厚鋼板の強度靭性、耐HIC性を評価した。試験方法はつぎのとおりとした。
(1)引張試験
得られた厚鋼板から、API−5Lの規定に準拠して、全厚引張試験片を採取し、引張試験を実施し、引張特性(引張強さTS)を評価した。
(2)衝撃試験
得られた厚鋼板の板厚方向1/4T位置から、長さ方向が圧延方向に直角方向となるようにVノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、試験温度:−5℃で、シャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーvE-5 (J)を求め、靭性を評価した。
(3)HIC試験
得られた厚鋼板の幅方向板中央位置(W/2部)で、板厚中央部を含むように3個ずつ、HIC試験片(大きさ:板厚全厚〜30mm×幅20mm×長さ100mm)を採取した。得られたHIC試験片を、NACE TM0284に準拠して、A規格液中に96h浸漬するHIC試験を実施した。浸漬後、試験片の割れ面積率(CAR%)を超音波探傷法で測定した。得られた各試験片のCARの平均値をもとめ、3.0%以下である場合を耐HIC性が良好であるとした。
得られた結果を表3に併記する。
なお、得られた厚鋼板の強度は、560MPa〜660MPaの範囲であった。
Figure 2013190319
Figure 2013190319
Figure 2013190319
鋳片で偏析部を含む微小領域のS濃度を測定し18質量ppm以下である鋳片を鋼素材とする厚鋼板はいずれも、HICが発生しても、軽微であり、また、鋼板で偏析部を含む微小領域のS濃度を測定し18質量ppm以下である場合はいずれも、HICが発生しても、軽微であり、偏析部を含む微小領域のS濃度を測定し18質量ppm以下である鋼材を耐HIC性に優れた鋼材とする、本発明の鋼材の耐HIC性の評価方法は有効であるといえる。
素材である鋳片または厚鋼板の偏析部を含む微小領域のS濃度が10質量ppm以下の厚鋼板(厚鋼板No.1、No.5)では、HIC割れが発生せず、あるいは発生しても軽微であり、耐HIC性に優れた厚鋼板であるといえる。また、素材である鋳片または厚鋼板の偏析部を含む微小領域のS濃度が18質量ppm以下である厚鋼板(厚鋼板No.2、No.3、No.4、No.6〜No.8)では、HICが発生する場合もあるが、HICが発生しても平均のCARは2%以下であり、良好な耐HIC性を有する厚鋼板といえる。
一方、鋳片の鋳造速度を速くした鋳片を鋼素材とした厚鋼板No.9、鋳造末期の圧下を施さなかった鋳片を鋼素材とした厚鋼板No.12では、中心偏析が著しくなり、偏析部を含む微小領域のS濃度が18質量ppmを超え、MnSが形成されて、耐HIC特性が低下している。また、成分含有量(Mn)が好適範囲を外れた厚鋼板No.10、Sが好適範囲を外れた厚鋼板No.11では、偏析部を含む微小領域のS濃度が18質量ppmを超え、MnSが形成されて、耐HIC特性が低下している。
このように、本発明によれば、鋼材の中心偏析部を含む微小領域のS濃度を測定し、あるいは鋼材の中心偏析部を含む微小領域で微小硬さを測定して、MnSの形成の有無の判定を介して、鋼材の耐HIC性の良否を精度高く評価することが可能であることがわかる。
1 紫外蛍光分析装置
2 分析試料
3 高周波誘導加熱炉
31 セラミックスるつぼ
32 コイル
4 ダストフィルタ
5 紫外蛍光分析器

Claims (12)

  1. 鋼材の耐HIC性を評価するにあたり、前記鋼材の中心偏析部を特定し、該中心偏析部を含む微小領域についてS濃度を分析し、得られたS濃度の最大値が質量%で、0.0018%以下である場合を、耐HIC性に優れる鋼材と評価することを特徴とする鋼材の耐HIC性の評価方法。
  2. 前記鋼材が鋳片である場合には、前記微小領域を3×3mmの領域として、前記S濃度の分析を高周波燃焼−紫外蛍光法で行うことを特徴とする請求項1に記載の鋼材の耐HIC性の評価方法。
  3. 前記鋼材が鋼板である場合には、前記微小領域を3×0.5mmの領域とし、該微小領域におけるS濃度の分析を高周波燃焼−紫外蛍光法で行うことを特徴とする請求項1に記載の鋼材の耐HIC性の評価方法。
  4. 鋼材の耐HIC性を評価するにあたり、前記鋼材を鋼板とし、該鋼板の中心偏析部を特定したのち、該中心偏析部を含む微小領域の複数箇所で微小硬さHVを測定し、得られた微小硬さHVが230以上である箇所の圧痕を中心として3×0.5mmの領域から分析試料を採取して、高周波燃焼−紫外蛍光法を用いてS濃度を分析し、得られたS濃度の最大値が質量%で0.0018%以下である場合を耐HIC性に優れる鋼板と評価することを特徴とする鋼材の耐HIC性の評価方法。
  5. 前記鋼材が、質量%で、
    C:0.03%以上0.07%未満、 Si:0.01〜0.5%、
    Mn:0.8〜1.5%、 S:0.0008%以下、
    P:0.008%以下、 Al:0.07%以下,
    Ti:0.005〜0.02%、 Nb:0.005〜0.07%、
    Ca:0.0005〜0.005%、 N:0.008%以下、
    O:0.005%以下
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の鋼材の耐HIC性の評価方法。
  6. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:1%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項5に記載の鋼材の耐HIC性の評価方法。
  7. 鋼素材を、熱間圧延し、あるいはさらに急速冷却、あるいはさらに再加熱処理して、厚鋼板とするにあたり、複数の前記鋼素材の中心偏析部を含む微小領域についてS濃度を分析し、その値の最大値が、質量%で0.0018%以下である場合に、該鋼素材をラインパイプ用厚鋼板向け鋼素材とすることを特徴とする耐HIC性に優れたラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
  8. 前記S濃度を分析する領域を3×3mmの微小領域とし、前記S濃度の分析を高周波燃焼−紫外蛍光法で行うことを特徴とする請求項7に記載のラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
  9. 鋼素材を、熱間圧延し、あるいはさらに急速冷却、あるいはさらに再加熱処理して、厚鋼板とするにあたり、得られた厚鋼板について、該厚鋼板の中心偏析部を特定し、該中心偏析部を含む微小領域の複数箇所で微小硬さHVを測定し、得られた微小硬さHVが230以上である箇所の圧痕を中心として3×0.5mmの領域から分析試料を採取し、高周波燃焼−紫外蛍光法を用いてS濃度を分析し、得られたS濃度の最大値が質量%で0.0018%以下である場合を、ラインパイプ用厚鋼板とすることを特徴とする耐HIC性に優れたラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
  10. 前記鋼素材が、質量%で、
    C:0.03%以上0.07%未満、 Si:0.01〜0.5%、
    Mn:0.8〜1.5%、 S:0.0008%以下、
    P:0.008%以下、 Al:0.07%以下,
    Ti:0.005〜0.02%、 Nb:0.005〜0.07%、
    Ca:0.0005〜0.005%、 N:0.008%以下、
    O:0.005%以下
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載のラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
  11. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:1%以下、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項10に記載のラインパイプ用高強度厚鋼板の製造方法。
  12. 請求項7ないし11のいずれかに記載の厚鋼板の製造方法により製造された厚鋼板を鋼管素材として、冷間成形、シーム溶接、拡管を施してなる溶接鋼管。
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