JP2013190032A - ベルト式無段変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁弁に通電できない場合に、プーリや前後進切替機構の油圧を適切に維持できるベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供する。
【解決手段】駆動プーリ12の溝幅を設定する第1油圧アクチュエータ15と、従動プーリ13の溝幅を設定する第2油圧アクチュエータ16と、駆動軸13の回転方向を設定する第3油圧アクチュエータ42と、油圧を電気的に制御する油圧回路32とを備えたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、油圧源31の油圧を第1油路33を介して第1油圧アクチュエータ15へ供給する第1油圧系統と、油圧回路32の無通電時に、第1油圧系統内の油圧より低い油圧を、第2油路35を介して第2油圧アクチュエータ16へ供給して保持する第2油圧系統と、第2油圧系統内の油圧より低い油圧を、第3油路40を介して第3油圧アクチュエータ42へ供給して保持する第3油圧系統とを設けた。
【選択図】図2
【解決手段】駆動プーリ12の溝幅を設定する第1油圧アクチュエータ15と、従動プーリ13の溝幅を設定する第2油圧アクチュエータ16と、駆動軸13の回転方向を設定する第3油圧アクチュエータ42と、油圧を電気的に制御する油圧回路32とを備えたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、油圧源31の油圧を第1油路33を介して第1油圧アクチュエータ15へ供給する第1油圧系統と、油圧回路32の無通電時に、第1油圧系統内の油圧より低い油圧を、第2油路35を介して第2油圧アクチュエータ16へ供給して保持する第2油圧系統と、第2油圧系統内の油圧より低い油圧を、第3油路40を介して第3油圧アクチュエータ42へ供給して保持する第3油圧系統とを設けた。
【選択図】図2
Description
この発明は、油圧源から供給される油圧を電気的に調圧・制御する油圧制御装置に関し、特に、プーリの可動シーブおよびクラッチやブレーキなどの係合装置を動作させるための油圧を制御するベルト式無段変速機の油圧制御装置に関するものである。
ベルト式無段変速機は、ベルトを巻掛けたプーリの溝幅を変化させることにより、プーリの有効径すなわちベルトの巻き掛かり半径を変化させて、変速比を無段階に設定することのできる変速機である。そのようなベルト式無段変速機は、通常、駆動側のプーリおよび従動側のプーリが、それぞれ、固定シーブとその固定シーブに対して軸線方向に前後動する可動シーブとによって構成されている。そして、油圧アクチュエータを用いて各プーリの可動シーブを前後動させ、それら各プーリの溝幅を変化させることにより、変速比を連続的にすなわち無段階に変更できるように構成されている。また、駆動輪に出力するトルクの回転方向を前進・後進に切り替える前後進切替機構、およびその前後進切替機構を動作させるための前進クラッチや後進ブレーキなどの係合装置が設けられている。そして、上記のような各プーリの可動シーブや前後進切替機構の係合装置などを動作させる油圧アクチュエータに供給する油圧を制御するための電磁弁や切替弁などが組み込まれた油圧回路が設けられている。
上記のようなベルト式無段変速機の油圧制御装置に関連する発明の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されている発明は、発進クラッチの締結力を制御するための制御弁の故障を特定して、メンテナンス性を向上させることを目的として、車両の動力源からの回転力が入力される変速機と駆動輪との間に設けられ、油圧系からの油圧が制御弁を介して供給されることにより締結されるとともに、制御弁に入力される指令入力に応じて締結力が制御される油圧制御式の発進クラッチに対して、車両の発進動作を検出した場合に、制御弁への指令入力、車両の車速、および動力源の回転数パラメータに応じて制御弁の故障を判定するように構成されている。そして、この特許文献1には、駆動側プーリ、従動側プーリ、および発進クラッチのそれぞれに、それら駆動側プーリの可動部、従動側プーリの可動部、および発進クラッチのクラッチ締結機構の各油室へ供給する油圧を制御する電磁弁が設けられたベルト式無段変速機の油圧制御装置に関する構成が開示されている。
なお、特許文献2には、アップシフト用およびダウンシフト用のソレノイドバルブが故障した場合でも、ベルト式無段変速機の変速比を保持することを目的とした発明が記載されている。この特許文献2に記載された発明は、プライマリプーリの可動シープの油圧アクチュエータに供給する油圧を制御する制御バルブに対して、2つのソレノイドバルブにより、プライマリプーリの油圧アクチュエータへ油圧を供給する第1の位置、プライマリプーリの油圧アクチュエータへの油圧の供給ならびに排出を行わないホールド位置、およびプライマリプーリの油圧アクチュエータから油圧を排出する第2の位置の間で移動自在なスプールを設けるとともに、そのスプールに付勢方向が互いに逆方向の2つの弾性付勢手段を設け、2つのソレノイドバルブが共に故障した場合に、それら2つの弾性付勢手段によってスプールをホールド位置に位置決めできるように構成されている。
上記のように、通常、ベルト式無段変速機では、その駆動プーリの可動シーブ、従動プーリの可動シーブ、および前後進切替機構の係合装置などの作動部分が油圧を用いて制御される。そして、例えば上記の特許文献1に記載されている構成のように、駆動プーリの可動シーブ、従動プーリの可動シーブ、および係合装置のそれぞれに、それらの各作動部分へ供給する油圧を電気的に制御するための電磁弁が設けられている。したがって、それらの各電磁弁の動作を制御することにより、ベルト式無段変速機の変速比を設定するためのプーリの溝幅やベルトの狭圧力、および前進・後進を設定するための係合装置の係合・解放動作を、それぞれ別個に油圧制御することができる。
ところで、上記のように、ベルト式無段変速機の各作動部分を油圧制御するための電磁弁が設けられた構成において、例えば電磁弁に電力を供給できなくなるようなフェイルが生じた場合には、ベルト式無段変速機の変速比制御や狭圧力制御、あるいは係合装置の係合・解放制御が適切に実行できなくなる。その結果、ベルト式無段変速機の変速比や伝達トルクを適切に制御できなくなってしまう可能性がある。例えば、車両に搭載されるベルト式無段変速機であった場合には、適切な変速比や伝達トルク容量を設定できなくなり、その結果、車両を退避走行させることができなくなってしまう可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、油圧回路の電磁弁に電力を供給できなくなるようなフェイルが生じた場合であっても、各プーリの可動シーブおよび前後進切替機構の係合装置などの油圧作動部に供給する油圧を適切に維持することができるベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動プーリの溝幅もしくはベルト狭圧力を設定するための第1油圧アクチュエータと、従動プーリの溝幅もしくはベルト狭圧力を設定するための第2油圧アクチュエータと、駆動軸に伝達するトルクの回転方向を設定するための第3油圧アクチュエータと、油圧源から供給される油圧を電気的に制御する油圧回路とを備え、前記油圧回路を介して前記各油圧アクチュエータに作用させる油圧をそれぞれ制御することにより、変速比、伝達トルク容量、および前記トルクの回転方向を制御するベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記油圧回路は、前記油圧源からの油圧を、第1油路を介して前記第1油圧アクチュエータへ供給するとともに、前記油圧回路に電力が供給されない無通電時に、前記第1油圧アクチュエータに供給された油圧を維持する第1油圧系統と、前記無通電時に、前記第1油圧系統内の油圧よりも低い油圧を、第2油路を介して前記第2油圧アクチュエータへ供給して維持する第2油圧系統と、前記無通電時に、前記第2油圧系統内の油圧よりも低い油圧を、第3油路を介して前記第3油圧アクチュエータへ供給して維持する第3油圧系統とを備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1油圧系統が、前記第1油路と、通電されることにより開いて前記第1油路の油圧を減圧し、通電が遮断されることにより閉じて前記第1油路の油圧を維持する常時閉型の第1電磁弁と、前記第1油路と前記第2油路との間の差圧が、前記無通電時に前記第1油路の油圧を所望する値に維持するため予め設定した第1リリーフ圧よりも大きい場合に開いて前記第1油路の油圧を減圧するリリーフ弁と、通電されることにより閉じ、通電が遮断されることにより開いて前記第1油路と前記リリーフ弁とを連通させる常時開型の電磁弁とを備え、前記第2油圧系統が、前記第2油路と、通電されることにより開いて前記第2油路の油圧を減圧し、通電が遮断されることにより閉じて前記第2油路の油圧を維持するとともに、前記第2油路と前記第3油路との間の差圧が、前記無通電時に前記第2油路の油圧を所望する値に維持するため予め設定した第2リリーフ圧よりも大きい場合に開くリリーフ機能を有する常時閉型の第2電磁弁とを備え、前記第3油圧系統が、前記第3油路と、通電されることにより開いて前記第3油路の油圧を減圧し、通電が遮断されることにより閉じて前記第3油路の油圧を維持するとともに、前記第3油路の油圧が、前記無通電時に前記第3油路の油圧を所望する値に維持するため予め設定した第3リリーフ圧よりも大きい場合に開くリリーフ機能を有する常時閉型の第3電磁弁とを備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
請求項1の発明によれば、油圧回路への電力の供給が停止された場合、あるいは油圧回路に電力を供給している電源が喪失してしまうようなフェイルが生じた場合などの無通電時に、第1油圧アクチュエータへ油圧を供給することができる。それとともに、第1油圧アクチュエータに供給される油圧よりも低い油圧を第2油圧アクチュエータへ供給し、かつ維持することができる。そして、その第2油圧アクチュエータに供給される油圧よりも更に低い油圧を第3油圧アクチュエータへ供給し、かつ維持することができる。したがって、各油圧アクチュエータに供給される油圧を、それぞれに適したレベルに維持することができる。そのため、油圧回路に電力が供給されず、電気的な油圧制御を実行できない場合であっても、ベルト式無段変速機で所望する変速比やベルト狭圧力、あるいは駆動軸のトルクの回転方向を適切に設定することができる。また、各油圧アクチュエータへ供給されるそれぞれの油圧に圧力差が設けられることから、最も許容圧力が低い油圧アクチュエータを第3油圧アクチュエータとして配置することにより、その許容圧力が低い油圧アクチュエータに過大な油圧が作用してしまうことを回避し、油圧アクチュエータおよびその油圧アクチュエータにより動作させられる油圧作動部を保護することができる。
また、請求項2の発明では、油圧回路の無通電時には、第1電磁弁、第2電磁弁、および第3電磁弁がいずれも閉じた状態になり、常時開型の電磁弁が開いた状態になる。その結果、油圧源からの油圧が、第1油路を介して第1油圧アクチュエータに直接供給される。そして、第2油圧アクチュエータには、常時開型の電磁弁およびリリーフ弁を介して、リリーフ弁で減圧された油圧が供給され、その減圧された油圧が第2油路で維持される。また、第3油圧アクチュエータには、第2電磁弁のリリーフ機能によって更に減圧された油圧が供給され、その減圧された油圧が第3油路で維持される。第3油路の油圧が高い場合は第3電磁弁のリリーフ機能によって減圧される。すなわち、各油圧アクチュエータには、第1油圧アクチュエータ、第2油圧アクチュエータ、第3油圧アクチュエータの順に油圧が低くなるように圧力差が設けられた油圧がそれぞれ供給され、かつそれぞれ維持される。
したがって、請求項2の発明によれば、リリーフ弁のリリーフ圧、およびリリーフ機能付きの第2電磁弁のリリーフ圧ならびにリリーフ機能付きの第3電磁弁のリリーフ圧を、それぞれ適宜に設定しておくことにより、油圧回路の各電磁弁における電気的な油圧制御を実行できない無通電時であっても、各油圧アクチュエータに、それぞれ所望する油圧を供給し、かつ維持することができる。そのため、無通電時であっても、ベルト式無段変速機で所望する変速比やベルト狭圧力、あるいは出力トルクの回転方向を適切に設定することができる。また、上記のように各油圧アクチュエータへ供給されるそれぞれの油圧に圧力差が設けられることから、許容圧力が低い油圧アクチュエータあるいは許容圧力が低い油圧作動部を動作させる油圧アクチュエータを第3油圧アクチュエータとして配置すれば、その許容圧力が低い油圧アクチュエータあるいは油圧作動部に過大な油圧が作用してしまうことを回避することができる。
次に、この発明を図面を参照して具体的に説明する。この発明は、車両用のベルト式無段変速機を対象とする油圧制御装置に適用することができる。そのベルト式無段変速機を搭載した車両のドライブトレーンの一例を図1に示してある。符号1は、駆動力源であり、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関が用いられる。電動機やこれら内燃機関と電動機とを組み合わせたいわゆるハイブリッド式の駆動装置を用いることもできる。以下の説明では駆動力源としてガソリンエンジンを採用した例を説明し、したがって駆動力源をエンジン1と記す。
エンジン1の出力側には、トルクコンバータ2が連結されている。このトルクコンバータ2は、車両に広く採用されている一般的な構成のものである。そして、トルクコンバータ2の入力側の回転要素と出力側の回転要素とを直接連結するロックアップクラッチ3を備えている。
トルクコンバータ2の出力側に、前後進切替機構4が配置されている。この前後進切替機構4は、入力されたトルクをそのまま出力し、またトルクの回転方向を反転して出力できる構成のものである。図1では、ダブルピニオン型遊星歯車機構を主体として構成された前後進切替機構4を示している。すなわち、トルクコンバータ2の出力側の回転要素に連結されたサンギヤ5と同心円上に、内歯歯車であるリングギヤ6が配置されている。また、これらサンギヤ5とリングギヤ6との間に、サンギヤ5に噛み合っているピニオンギヤ7と、そのピニオンギヤ7およびリングギヤ6に噛み合っている他のピニオンギヤ8とが配置されている。そして、これらのピニオンギヤ7,8がキャリヤ9によって自転および公転できるように保持されている。
サンギヤ5に入力されたトルクをそのままの回転方向で出力する前進状態を設定するためのクラッチC1が設けられている。このクラッチC1は、上記のダブルピニオン型遊星歯車機構におけるいずれか2つの回転要素を連結して遊星歯車機構の全体を一体化して回転させるためのクラッチであり、この図1に示す例では、サンギヤ5とキャリヤ9とを選択的に連結するように構成されている。このクラッチC1は、具体的には、湿式の多板式のクラッチ機構によって構成することができ、したがって複数の摩擦板およびプレートと、それらを動作させて密着させるための油圧作動機構(後述する油圧アクチュエータ42)とを備えている。
一方、サンギヤ5に入力されたトルクの回転方向を反転して出力する後進状態を設定するためのブレーキB1が設けられている。このブレーキB1は、この図1に示す例では、リングギヤ6をケーシングなどの固定部10に選択的に連結してリングギヤ6に反力を与え、その回転を止めるように構成されている。また、このブレーキB1は、具体的には、湿式の多板式のクラッチ機構によって構成することができ、したがって複数の摩擦板およびプレートと、それらを密着させるための油圧作動機構とを備えている。
このように、前後進切替機構4は、図1に示す例では、サンギヤ5が入力要素、リングギヤ6が反力要素、キャリヤ9が出力要素となっており、クラッチC1が係合してサンギヤ5とキャリヤ9とが連結されることにより、遊星歯車機構の全体が一体となって回転するように構成されている。その結果、サンギヤ5およびキャリヤ9から入力されたトルクがそのまま出力されて前進状態が設定される。一方、クラッチC1に替えてブレーキB1が係合することにより、リングギヤ6が固定されるように構成されている。その結果、サンギヤ5に対してキャリヤ9が反対方向に回転するので、入力されたトルクとは反対方向に作用するトルクが出力され、後進状態が設定される。
上記の前後進切替機構4の出力側にベルト式無段変速機11が連結されている。このベルト式無段変速機11は、従来広く知られている一般的な構成のものである。すなわち、このベルト式無段変速機11は、それぞれ固定シーブとこれに対向して配置された可動シーブとからなる一対の駆動プーリ12および従動プーリ13を備え、それらの固定シーブと可動シーブとによって形成されるいわゆるプーリ溝に、ベルト14が巻き掛けられている。
駆動プーリ12には、上記の前後進切替機構4におけるキャリヤ9が連結されている。そして、駆動プーリ12における可動シーブの背面側に、油圧アクチュエータ15が設けられている。したがって、その油圧アクチュエータ15に供給する油圧を高くし、あるいは圧油の量を増大させることにより、駆動プーリ12のプーリ溝の幅が狭くなり、ベルト14の巻き掛け半径が増大するように構成されている。すなわち、この図1に示す例では、駆動プーリ12の油圧あるいは圧油の量を制御することにより、変速比を変化させるように構成されている。上記のように、油圧アクチュエータ15が、駆動プーリ12のプーリ溝の溝幅を変化させ、変速比を設定するためのアクチュエータであって、この発明における「第1油圧アクチュエータ」に相当している。
また、従動プーリ13の背面側に、油圧アクチュエータ16が設けられている。したがって、その油圧アクチュエータ16に給排する油圧によって、ベルト14を挟み付けて所定の伝達トルク容量を設定するベルト挟圧力を生じさせるように構成されている。そして、この従動プーリ13のプーリ軸17に設けた出力ギヤ18が、カウンタドリブンギヤ19に噛み合っており、そのカウンタドリブンギヤ19と一体となって回転するカウンタドライブギヤ20が、終減速機を構成しているデファレンシャルギヤ21のリングギヤ22に噛み合っている。そしてそのデファレンシャルギヤ21から駆動軸23を介して、左右の駆動輪(図示せず)にトルクを伝達するように構成されている。上記のように、油圧アクチュエータ16が、従動プーリ13におけるベルト狭圧力を変化させ、伝達トルク容量を設定するためのアクチュエータであって、この発明における「第2油圧アクチュエータ」に相当している。
上記のロックアップクラッチ3、クラッチC1やブレーキB1、およびベルト式無段変速機11などは油圧によって制御されるように構成されており、その油圧制御のための油圧制御装置24が設けられている。この油圧制御装置24は、電気的に制御される複数の電磁弁を備え、それらの電磁弁のオン・オフの状態あるいはスプールの位置に応じて出力される油圧により、上記のロックアップクラッチ13、あるいはクラッチC1やブレーキB1を係合もしくは解放させるように、また、ベルト式無段変速機11で設定する変速比やベルト挟圧力を高低に変化させるように構成されている。なお、この油圧制御装置24の詳細な構成および作用については後述する。
そして、上記のようなベルト式無段変速機11の変速比やベルト挟圧力を制御し、またクラッチC1やブレーキB1に対する油圧の給排を制御するための電子制御装置(ECU)25が設けられている。この電子制御装置25は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータや予め記憶しているデータに基づいて演算を行って制御指令信号を出力するように構成されている。また、この電子制御装置24はエンジン1の出力を制御するように構成されており、したがって、電子制御装置24から前述した油圧制御装置24やエンジン1に対して制御指令信号が出力されるように構成されている。
上記のように、油圧制御装置24は、その油圧回路内に設けられた複数の電磁弁を電気的に制御することにより、各プーリ12,13の可動シーブや前後進切替機構4のクラッチC1あるいはブレーキB1の動作を制御するように構成されている。したがって、油圧制御装置24の電磁弁に電力が供給されない場合には、可動シーブやクラッチC1あるいはブレーキB1の油圧制御を実行することができなくなる。そこで、フェイルセーフの観点から、この発明における油圧制御装置24は、電磁弁に電力を供給することができないフェイルが生じた場合であっても、各プーリ12,13の可動シーブや前後進切替機構4のクラッチC1を動作させるための油圧を、それぞれ所望する油圧レベルに維持することができるように構成されている。その油圧制御装置24の構成の一例を、図2に示してある。
図2において、油圧制御装置24は、オイルポンプ31で発生させた油圧が、油圧回路32を介して、上述したベルト式無段変速機11の各プーリ12,13や、前後進切替機構4のクラッチC1に供給されるように構成されている。具体的には、オイルポンプ31と駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15とを連通する油路33に、電磁弁34が設けられている。したがって、電磁弁34によってオイルポンプ31と油路33との間を連通・遮断することにより、駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に対する圧油の供給を選択的に行うようになっている。そして、この電磁弁34は、電気的に制御されてポートを開閉するバルブであって、通電されることにより出力ポート34oを閉じて閉弁状態となり、また通電が遮断されることにより出力ポート34oを開いて開弁状態となるいわゆる常時開型(ノーマリオープンタイプ)のバルブによって構成されている。
上記のように、油路33が、油圧源であるオイルポンプ31と駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15とを連通して油圧アクチュエータ15へ油圧を供給する油路であって、この発明における「第1油路」に相当している。なお、この発明の油圧源としてのオイルポンプ31は、例えば、前述のエンジン1の動力によって駆動される機械式のオイルポンプを採用することができる。また、油圧制御装置24と別系統の電源を用いるものであれば、電動式のオイルポンプであってもよい。あるいは、この発明における油圧源としては、上記のような機械式もしくは電動式のオイルポンプの他に、油圧を蓄圧しかつ外部に放出することが可能な油圧アキュムレータであってもよい。
また、油路33には、その油路33の油圧を下流側の油路35に排出する電磁弁36が連通されている。この電磁弁36は、電気的に制御されてポートを開閉するバルブであって、通電されることにより出力ポート36oを開いて開弁状態となり、また通電が遮断されることにより出力ポート36oを閉じて閉弁状態となるいわゆる常時閉型(ノーマリクローズタイプ)のバルブによって構成されている。また、この電磁弁36は、閉弁状態では油圧の漏れをほとんど生じさせることなくポートを閉じるいわゆるポペットタイプのバルブによって構成されている。したがって、この電磁弁36が、通電されることにより開いて油路33の油圧を減圧し、通電が遮断されることにより閉じて油路33の油圧を維持する常時閉型の電磁弁であって、この発明における「第1電磁弁」に相当している。
さらに、油路33と油路35との間であって、上記の電磁弁36と並列する油路37に、電磁弁38およびリリーフ弁39が設けられている。すなわち、油路33と油路35との間の油路37に、油路33に近い側から、電磁弁38、リリーフ弁39の順に、それら電磁弁38とリリーフ弁39とが直列に配置されている。
電磁弁38は、電気的に制御されてポートを開閉するバルブであって、通電されることにより出力ポート38oを閉じて閉弁状態となり、また通電が遮断されることにより出力ポート38oを開いて開弁状態となるいわゆる常時開型(ノーマリクローズタイプ)のバルブによって構成されている。
リリーフ弁39は、フィードバックポート39fに作用する油圧、すなわち油路33と油路35との間の差圧が、スプリング39sの弾性による押圧力よりも高い場合に開弁状態となるように構成されたバルブである。したがって、リリーフ弁39のスプリング39sの弾性力を調整することにより、このリリーフ弁39が開弁を開始する油圧であるリリーフ圧を適宜に設定することができる。ここでは、そのリリーフ弁39のリリーフ圧は、油圧回路32に電力が供給されない無通電時に、油路33で維持する油圧が駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15を所望する動作位置に維持するための油圧となるように、予め設定されている。
したがって、上記のリリーフ弁39で設定されるリリーフ圧が、油圧回路32の無通電時に、油路33に作用する油圧を所望する油圧に維持するため予め設定される油圧であって、この発明における「第1リリーフ圧」に相当している。また、その第1リリーフ圧が設定されているリリーフ弁39が、油圧回路32の無通電時に、油路33と油路35との間の差圧が上記の第1リリーフ圧よりも大きい場合に開いて、油路33の油圧を減圧するバルブであって、この発明における「リリーフ弁」に相当している。そして、上記の電磁弁38が、通電されることにより閉じて、また通電が遮断されることにより開いて油路33とリリーフ弁39とを連通させる電磁弁であって、この発明における「常時開型の電磁弁」に相当している。
電磁弁36の出力ポート36oと従動プーリ13の油圧アクチュエータ16とを連通する油路35に、その油路35の油圧を下流側の油路40に排出する電磁弁41が連通されている。この電磁弁41は、電気的に制御されてポートを開閉するバルブであって、通電されることにより出力ポート41oを開いて開弁状態となり、また通電が遮断されることにより出力ポート41oを閉じて閉弁状態となるいわゆる常時閉型(ノーマリクローズタイプ)のバルブによって構成されている。また、この電磁弁41は、閉弁状態では油圧の漏れをほとんど生じさせることなくポートを閉じるいわゆるポペットタイプのバルブによって構成されている。さらに、この電磁弁41は、フィードバックポート41fに作用する油圧、すなわち油路35と油路40との間の差圧が、スプリング41sの弾性による押圧力よりも高い場合に開弁状態となるリリーフ機能を有している。
上記のようなリリーフ機能付きの電磁弁41は、そのスプリング41sの弾性力を調整することにより、この電磁弁41がリリーフ機能によって開弁を開始する油圧であるリリーフ圧を適宜に設定することができる。ここでは、そのリリーフ機能付き電磁弁41のリリーフ圧は、油圧回路32に電力が供給されない無通電時に、油路35で維持する油圧が従動プーリ13の油圧アクチュエータ16を所望する動作位置に維持するための油圧となるように、予め設定されている。
したがって、このリリーフ機能付き電磁弁41で設定されるリリーフ圧が、この発明における「第2リリーフ圧」に相当している。また、上記の油路35が、電磁弁36の出力ポート36oと従動プーリ13の油圧アクチュエータ16とを連通して油圧アクチュエータ16へ油圧を供給する油路であって、この発明における「第2油路」に相当している。そして、上記の電磁弁41が、通電されることにより開いて油路35の油圧を減圧し、通電が遮断されることにより閉じて油路35の油圧を維持するとともに、油路35と油路40との間の差圧が第2リリーフ圧よりも大きい場合に開いて、油路35の油圧を減圧するリリーフ機能を有する常時閉型の電磁弁であって、この発明における「第2電磁弁」に相当している。
そして、電磁弁41の出力ポート41oと前述したクラッチC1の油圧アクチュエータ42とを連通する油路40に、その油路40の油圧を下流側の油路43に排出する電磁弁44が設けられている。したがって、この電磁弁44によって油路40と、例えばオイルパンなどのドレーン箇所に通じている油路43との間を連通・遮断することにより、クラッチC1の油圧アクチュエータ42に対する圧油の供給を選択的に行うようになっている。
ここで、油圧アクチュエータ42は、前述したように、前後進切替機構4のクラッチC1およびブレーキB1を動作させるものであり、前進状態と後進状態とを切り替えて設定するためのアクチュエータである。なお、この油圧アクチュエータ42によって動作させるクラッチC1とブレーキB1とは、図示しないマニュアルバルブにより切り替えられるように構成されている。したがって、この油圧アクチュエータ42が、前後進切替機構4を動作させて駆動軸23に伝達するトルクの回転方向を設定するためのアクチュエータであって、この発明における「第3油圧アクチュエータ」に相当している。
電磁弁44は、前述の電磁弁41と同様に、電気的に制御されてポートを開閉するバルブであって、通電されることにより出力ポート44oを開いて開弁状態となり、また通電が遮断されることにより出力ポート44oを閉じて閉弁状態となるいわゆる常時閉型(ノーマリクローズタイプ)のバルブによって構成されている。また、この電磁弁44は、閉弁状態では油圧の漏れをほとんど生じさせることなくポートを閉じるいわゆるポペットタイプのバルブによって構成されている。さらに、この電磁弁44は、フィードバックポート44fに作用する油圧、すなわち油路40の油圧が、スプリング44sの弾性による押圧力よりも高い場合に開弁状態となるリリーフ機能を有している。
上記のようなリリーフ機能付きの電磁弁44は、そのスプリング44sの弾性力を調整することにより、リリーフ圧を適宜に設定することができる。ここでは、そのリリーフ機能付き電磁弁44のリリーフ圧は、油圧回路32に電力が供給されない無通電時に、油路40で維持する油圧がクラッチC1の油圧アクチュエータ42を所望する動作位置に維持するための油圧となるように、予め設定されている。
したがって、このリリーフ機能付き電磁弁44で設定されるリリーフ圧が、この発明における「第3リリーフ圧」に相当している。また、上記の油路40が、電磁弁41の出力ポート41oと、クラッチC1の油圧アクチュエータ42とを連通して油圧アクチュエータ42へ油圧を供給する油路であって、この発明における「第3油路」に相当している。そして、上記の電磁弁44が、通電されることにより開いて油路40の油圧を減圧し、通電が遮断されることにより閉じて油路40の油圧を維持するとともに、油路40の油圧が第3リリーフ圧よりも高い場合に開いて、その油路40の油圧を減圧するリリーフ機能を有する常時閉型の電磁弁であって、この発明における「第3電磁弁」に相当している。
なお、上記のように、リリーフ弁39、リリーフ機能付き電磁弁41、およびリリーフ機能付き電磁弁44でそれぞれ設定されるリリーフ圧、すなわちこの発明における「第1リリーフ圧」、「第2リリーフ圧」、および「第3リリーフ圧」と、無通電時に各油圧アクチュエータ15,16,42に作用させて維持させる各油圧の目標値との関係を、図3に模式的に示してある。油圧源すなわちオイルポンプ31で発生した油圧が順次減圧され、各油圧アクチュエータ15,16,42に供給される。したがって、駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15、従動プーリ13の油圧アクチュエータ16、クラッチC1の油圧アクチュエータ42の順に、油圧の目標値が低くなっている。そして、それら各油圧アクチュエータ15,16,42の各油圧の目標値を達成させるための各リリーフ圧が設定されている。すなわち、駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に作用させる油圧の目標値と、従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に作用させる油圧の目標値との差圧が、「第1リリーフ圧」として設定されている。また、従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に作用させる油圧の目標値と、クラッチC1の油圧アクチュエータ42に作用させる油圧の目標値との差圧が、「第2リリーフ圧」として設定されている。そして、クラッチC1の油圧アクチュエータ42に作用させる油圧の目標値が、「第3リリーフ圧」として設定されている。
上記のように構成された油圧制御装置24の作用について説明する。先ず、通常時、すなわち油圧回路32に通常通り電力が供給されている場合、電磁弁39は常時通電されている。したがって、電磁弁39は常に閉じた状態となっていて、油路37には作動油は流れない。そして、駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に作用する油圧が目標値よりも低い場合は、電磁弁34への通電が停止されてその電磁弁34が開けられる。また、電磁弁36への通電が停止されてその電磁弁36が閉じられ、オイルポンプ31からの油圧が油圧アクチュエータ15に供給される。反対に、駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に作用する油圧が目標値よりも高い場合は、電磁弁34に通電されてその電磁弁34が閉じられる。また、電磁弁36に通電されてその電磁弁36が開けられ、油圧アクチュエータ15の油圧が油路35へ排圧される。
従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に作用する油圧が目標値よりも低い場合は、電磁弁36に通電されてその電磁弁36が開けられる。また、電磁弁41への通電が停止されてその電磁弁41が閉じられ、油路33の油圧が油圧アクチュエータ16に供給される。反対に、従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に作用する油圧が目標値よりも高い場合は、電磁弁36への通電が停止されてその電磁弁36が閉じられる。また、電磁弁41に通電されてその電磁弁41が開けられ、油圧アクチュエータ16の油圧が油路40へ排圧される。
クラッチC1の油圧アクチュエータ42に作用する油圧が目標値よりも低い場合は、電磁弁41に通電されてその電磁弁41が開けられる。また、電磁弁44への通電が停止されてその電磁弁44が閉じられ、油路35の油圧が油圧アクチュエータ42に供給される。反対に、クラッチC1の油圧アクチュエータ42に作用する油圧が目標値よりも高い場合は、電磁弁41への通電が停止されてその電磁弁41が閉じられる。また、電磁弁44に通電されてその電磁弁44が開けられ、油圧アクチュエータ42の油圧が油路43へ排圧される。
なお、従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に作用する油圧が目標値よりも低く、かつ駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に作用する油圧が目標値よりも高い場合は、上記のように電磁弁36に通電されてその電磁弁36が開けられるが、油圧アクチュエータ15に作用する油圧が低下しないよう、同時に電磁弁34も開くように制御される。同様に、クラッチC1の油圧アクチュエータ42に作用する油圧が目標値よりも低く、かつ従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に作用する油圧が目標値よりも高い場合は、上記のように電磁弁41に通電されてその電磁弁41が開けられるが、油圧アクチュエータ16に作用する油圧が低下しないよう、同時に電磁弁36も開くように制御される。
また、上記のように各油圧アクチュエータ15,16,42に作用させる油圧を制御する際に、1つの所定の電磁弁に対して開く命令と閉じる命令とが重畳して与えられた場合には、開く命令が優先されるように、電磁弁に対する通電状態が制御される。
また、この油圧回路32では、電磁弁34を省略することもできる。電磁弁34は、後述する油圧回路32の無通電時には、常に開いたままの状態になっていればよく、制御弁やリリーフ弁として機能することはない。また、通常時は、電磁弁34を省いた場合であっても、電磁弁36の開閉状態を制御することによって油路33および駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15の油圧を制御することが可能である。したがって、電磁弁34を省いて油圧回路32の構成を簡略化することもできる。
上記のように、各電磁弁34,36,38,41,44に対する通電状態をそれぞれ制御することにより、各油圧アクチュエータ15,16,42の動作をそれぞれ制御することができる。その場合に、駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に作用する油圧は、従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に作用する油圧よりも常に高くなる。しかしながら、油圧アクチュエータ16の油圧シリンダの受圧面積が油圧アクチュエータ15の油圧シリンダの受圧面積よりも大きくなるように構成されることにより、油圧アクチュエータ15で発生する軸力を、油圧アクチュエータ16で発生する最大の軸力に対して大きくすることも小さくすることもできる。そのため、駆動プーリ12における可動シーブの位置および従動プーリ13における可動シーブの位置を自在に制御することができ、その結果、ベルト式無段変速機11で所望する任意の変速比および伝達トルク容量を設定することができる。
なお、ベルト式無段変速機11は入力されたトルクの全てを伝達する構成であることから、各油圧アクチュエータ15,16に作用させることが可能な油圧の上限(許容圧力)は、そのトルクに応じた高い圧力に設定される。これに対して、前後進切替機構4のクラッチC1やブレーキB1は、エンジン1から駆動軸23に伝達するべきトルクの全てを受け持つ構成ではないことから、それらクラッチC1やブレーキB1における許容圧力は、必然的に、各油圧アクチュエータ15,16における許容圧力よりも低く設定されている。
次に、油圧回路32に電力が供給されない場合の油圧制御装置24の作用、すなわち油圧制御装置24のフェイルセーフ機能について説明する。油圧回路32に対する電力の供給が停止すると、電磁弁36、電磁弁41、および電磁弁44が閉じたままの状態になるとともに、電磁弁34および電磁弁38が開いたままの状態になる。電磁弁36が閉じて、通常時は常に通電されて閉じていた電磁弁38が開くことにより、オイルポンプ31から送られる作動油は、油路37を通り、リリーフ弁39に向かって流れる。
リリーフ弁39では、第1リリーフ圧が設定されていて、リリーフ弁39に作用する油圧がその第1リリーフ圧よりも高くなった場合にポートを開くようになっている。ここで第1リリーフ圧は、油路33と油路35との間の差圧の目標値であり、無通電時に駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に作用する油圧が所望する値に維持されるように、予め設定されている。
油路33および油圧アクチュエータ15に作用する油圧が目標値よりも高いこと、あるいは油路35および油圧アクチュエータ16に作用する油圧が目標値よりも低いことにより、油路33と油路35との間の差圧が第1リリーフ圧よりも大きいと、リリーフ弁39が開き、作動油は油路35および電磁弁41に向かって流れる。
電磁弁41は、通電が無いことにより閉じているが、第2リリーフ圧が設定されたリリーフ機能を有しているため、油路33と油路35との間の差圧が第2リリーフ圧よりも大きいと、電磁弁41はそのリリーフ機能によって開いた状態になる。そして、作動油が油路40および電磁弁44に向かって流れる。
電磁弁44は、上記の電磁弁41と同様に、通電が無いことにより閉じているが、第3リリーフ圧が設定されたリリーフ機能を有しているため、油路40と油路43との間の差圧、すなわち油路40の油圧が第3リリーフ圧よりも大きいと、電磁弁44はそのリリーフ機能によって開いた状態になる。そして、作動油が油路43およびオイルパンに向かって流れる。
上記のようにして油路40ならびにクラッチC1、および電磁弁44の油圧アクチュエータ42に作動油が供給され、その油圧が電磁弁44のリリーフ機能に対して設定された第3リリーフ圧よりも大きい場合は、電磁弁44が開いて、油路40および油圧アクチュエータ42に作用する油圧が目標値まで低下させられる。すなわち、この電磁弁44のリリーフ機能により、クラッチC1の油圧アクチュエータ42に作用する油圧が目標値に維持される。
上記の第3リリーフ圧、すなわち無通電時にクラッチC1の油圧アクチュエータ42に作用させる油圧の目標値は、前後進切替機構4で前進状態を設定するために、クラッチC1を係合する際に必要な油圧に設定されている。したがって、上記のようにクラッチC1の油圧アクチュエータ42に作用する油圧が目標値に維持されることにより、無通電時であっても、前後進切替機構4を前進状態または後進状態に設定した状態を維持することができる。
また、油路35と油路40との間の差圧が、電磁弁41のリリーフ機能に対して設定された第2リリーフ圧よりも高い場合は、電磁弁41が開いて、油路35および油圧アクチュエータ16に作用する油圧が目標値まで低下させられる。すなわち、この電磁弁41のリリーフ機能により、従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に作用する油圧が目標値に維持される。
そして、油路33と油路35との間の差圧が、リリーフ弁39に対して設定された第1リリーフ圧よりも高い場合は、リリーフ弁39が開いて、油路33および油圧アクチュエータ15に作用する油圧が目標値まで低下させられる。すなわち、このリリーフ弁39により、駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に作用する油圧が目標値に維持される。
無通電時に従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に作用させる油圧の目標値は、例えばベルト式無段変速機11で変速比γが「γ=1」の状態を設定するために、従動プーリ13の可動シーブを所定の位置に保持する際に必要な油圧に設定されている。そして、無通電時に駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に作用させる油圧の目標値は、例えばベルト式無段変速機11で変速比γが「γ=1」の状態を設定するために、駆動プーリ12の可動シーブを所定の位置に保持する際に必要な油圧に設定されている。したがって、上記のように駆動プーリ12および従動プーリ13の各油圧アクチュエータ15,16に作用する油圧が、それぞれの目標値に維持されることにより、無通電時であっても、ベルト式無段変速機11の変速比γを「γ=1」に設定した状態を維持することができる。
なお、無通電時にベルト式無段変速機11で設定する変速比γは、上記のように「γ=1」もしくは「γ≒1」に設定するのが好ましい。これは、ベルト式無段変速機11を車両に搭載した場合、油圧回路32が無通電状態となるフェイルが生じた際に、車両を退避走行させるために適している変速比γが、「γ=1」前後の値であるためである。
上記のように、油圧回路32は、オイルポンプ31からの油圧を、油路33を介して駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15へ供給するとともに、油圧回路32に電力が供給されない無通電時に、電磁弁36が閉じたままの状態になり、かつ電磁弁34および電磁弁38が開いたままの状態になるように構成されている。そして、油路33および油圧アクチュエータ15に供給された油圧が目標値で維持されるようになっている。したがって、上記の油路33、常時閉型の電磁弁36、常時開型の電磁弁38、およびリリーフ弁39によって構成される油圧系統が、この発明における「第1油圧系統」に相当している。
また、油圧回路32は、無通電時に、電磁弁41が閉じたままの状態になるように構成されている。そして、電磁弁41のリリーフ機能により、上記の油路33および油圧アクチュエータ15で維持される油圧よりも低い値に減圧された油圧が、油路35を介して油圧アクチュエータ16へ供給され、維持されるようになっている。したがって、上記の油路35、およびリリーフ機能付きの常時閉型の電磁弁41によって構成される油圧系統が、この発明における「第2油圧系統」に相当している。
そして、油圧回路32は、無通電時に、電磁弁44が閉じたままの状態になるように構成されている。そして、電磁弁44のリリーフ機能により、上記の油路35および油圧アクチュエータ16で維持される油圧よりも低い値に減圧された油圧が、油路40を介して油圧アクチュエータ42へ供給され、維持されるようになっている。したがって、上記の油路40、およびリリーフ機能付きの常時閉型の電磁弁44とによって構成される油圧系統が、この発明における「第3油圧系統」に相当している。
なお、クラッチC1の油圧アクチュエータ42は、前述したように、伝達するべきトルクが低いことから、相対的に低い許容圧力が設定されて構成されている。これに対して、クラッチC1の油圧アクチュエータ42は、この発明における「第3油圧アクチュエータ」として、リリーフ弁39および電磁弁41で順次減圧され、作用する油圧が最も低くなる位置に配置されている。そのため、許容圧力が低い油圧アクチュエータ42に過大な油圧が作用してしまうことを回避し、油圧アクチュエータ42およびその油圧アクチュエータ42により動作させられるクラッチC1を保護することができる。
以上のように、この発明に係るベルト式無段変速機の油圧制御装置によれば、油圧回路32への電力の供給が停止された場合、あるいは油圧回路32に電力を供給している電源が喪失してしまうようなフェイルが生じた場合などの無通電時に、駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15へ油圧を供給することができる。それとともに、駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に供給される油圧よりも低い油圧を、従動プーリ13の油圧アクチュエータ16へ供給し、かつ維持することができる。そして、その従動プーリ13の油圧アクチュエータ16に供給される油圧よりも更に低い油圧を、クラッチC1の油圧アクチュエータ42へ供給し、かつ維持することができる。したがって、各油圧アクチュエータ15,16,42に供給される油圧を、それぞれに適した油圧レベルに維持することができる。
具体的には、油圧回路32の無通電時には、電磁弁36、電磁弁41、および電磁弁44がいずれも閉じた状態になり、常時開型の電磁弁34および電磁弁38が開いた状態になる。その結果、オイルポンプ31からの油圧が、油路33を介して駆動プーリ12の油圧アクチュエータ15に直接供給される。そして、従動プーリ13の油圧アクチュエータ16には、常時開型の電磁弁38およびリリーフ弁39を介して、リリーフ弁39で減圧された油圧が供給され、その減圧された油圧が油路35で維持される。また、クラッチC1の油圧アクチュエータ42には、電磁弁41のリリーフ機能によって更に減圧された油圧が供給され、その減圧された油圧が油路40で維持される。その油路40の油圧が高くなると電磁弁44のリリーフ機能によって減圧される。すなわち、各油圧アクチュエータ15,16,42には、油圧アクチュエータ15、油圧アクチュエータ16、油圧アクチュエータ42の順に油圧が低くなるように圧力差が設けられた油圧がそれぞれ供給され、かつそれぞれ維持される。
したがって、リリーフ弁39のリリーフ圧(第1リリーフ圧)、およびリリーフ機能付きの電磁弁41のリリーフ圧(第2リリーフ圧)ならびにリリーフ機能付きの電磁弁44のリリーフ圧(第3リリーフ圧)を、それぞれ適宜に設定しておくことにより、油圧回路32における電気的な油圧制御を実行できない無通電時であっても、各油圧アクチュエータ15,16,42に、それぞれ所望する油圧を供給し、かつ維持することができる。そのため、無通電時であっても、ベルト式無段変速機11で所望する変速比やベルト狭圧力、あるいは前後進切替機構4による前進状態を適切に設定することができる。
なお、上述した具体例では、油路35と油路40との間に配置される電磁弁41を、リリーフ機能を有する常時閉型の電磁弁により構成した例を示しているが、電磁弁41を、リリーフ機能を有さない常時閉型の電磁弁とリリーフ弁とに分けて構成することも可能である。すなわち、油路35と油路40との間で、電磁弁41が配置されている位置にリリーフ機能を有さない常時閉型の電磁弁を配置し、それと並列に、電磁弁41のリリーフ機能と同様に機能するリリーフ弁を配置することにより、上述した具体例において電磁弁41を用いた場合と同じ作用・効果を得ることができる。
同様に、上述した具体例では、油路40と油路43との間に配置される電磁弁44を、リリーフ機能を有する常時閉型の電磁弁により構成した例を示しているが、電磁弁44を、リリーフ機能を有さない常時閉型の電磁弁とリリーフ弁とに分けて構成することも可能である。すなわち、油路40と油路43との間で、電磁弁44が配置されている位置にリリーフ機能を有さない常時閉型の電磁弁を配置し、それと並列に、電磁弁44のリリーフ機能と同様に機能するリリーフ弁を配置することにより、上述した具体例において電磁弁44を用いた場合と同じ作用・効果を得ることができる。
4…前後進切替機構、 11…ベルト式無段変速機、 12…駆動プーリ、 13…従動プーリ、 15…油圧アクチュエータ(第1油圧アクチュエータ)、 16…油圧アクチュエータ(第2油圧アクチュエータ)、 23…駆動軸、 24…油圧制御装置、 31…オイルポンプ(油圧源)、 32…油圧回路、 33…油路(第1油路)、 35…油路(第2油路)、 36…電磁弁(第1電磁弁)、 38…電磁弁(常時開型の電磁弁)、 39…リリーフ弁、 40…油路(第3油路)、 41…電磁弁(第2電磁弁)、 42…油圧アクチュエータ(第3油圧アクチュエータ)、 44…電磁弁(第3電磁弁)、 C1…クラッチ、 B1…ブレーキ。
Claims (2)
- 駆動プーリの溝幅もしくはベルト狭圧力を設定するための第1油圧アクチュエータと、従動プーリの溝幅もしくはベルト狭圧力を設定するための第2油圧アクチュエータと、駆動軸に伝達するトルクの回転方向を設定するための第3油圧アクチュエータと、油圧源から供給される油圧を電気的に制御する油圧回路とを備え、前記油圧回路を介して前記各油圧アクチュエータに作用させる油圧をそれぞれ制御することにより、変速比、伝達トルク容量、および前記トルクの回転方向を制御するベルト式無段変速機の油圧制御装置において、
前記油圧回路は、
前記油圧源からの油圧を、第1油路を介して前記第1油圧アクチュエータへ供給するとともに、前記油圧回路に電力が供給されない無通電時に、前記第1油圧アクチュエータに供給された油圧を維持する第1油圧系統と、
前記無通電時に、前記第1油圧系統内の油圧よりも低い油圧を、第2油路を介して前記第2油圧アクチュエータへ供給して維持する第2油圧系統と、
前記無通電時に、前記第2油圧系統内の油圧よりも低い油圧を、第3油路を介して前記第3油圧アクチュエータへ供給して維持する第3油圧系統と
を備えていることを特徴とするベルト式無段変速機の油圧制御装置。
- 前記第1油圧系統は、前記第1油路と、通電されることにより開いて前記第1油路の油圧を減圧し、通電が遮断されることにより閉じて前記第1油路の油圧を維持する常時閉型の第1電磁弁と、前記第1油路と前記第2油路との間の差圧が、前記無通電時に前記第1油路の油圧を所望する値に維持するため予め設定した第1リリーフ圧よりも大きい場合に開いて前記第1油路の油圧を減圧するリリーフ弁と、通電されることにより閉じ、通電が遮断されることにより開いて前記第1油路と前記リリーフ弁とを連通させる常時開型の電磁弁とを備え、
前記第2油圧系統は、前記第2油路と、通電されることにより開いて前記第2油路の油圧を減圧し、通電が遮断されることにより閉じて前記第2油路の油圧を維持するとともに、前記第2油路と前記第3油路との間の差圧が、前記無通電時に前記第2油路の油圧を所望する値に維持するため予め設定した第2リリーフ圧よりも大きい場合に開くリリーフ機能を有する常時閉型の第2電磁弁とを備え、
前記第3油圧系統は、前記第3油路と、通電されることにより開いて前記第3油路の油圧を減圧し、通電が遮断されることにより閉じて前記第3油路の油圧を維持するとともに、前記第3油路の油圧が、前記無通電時に前記第3油路の油圧を所望する値に維持するため予め設定した第3リリーフ圧よりも大きい場合に開くリリーフ機能を有する常時閉型の第3電磁弁とを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。
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Cited By (1)
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CN109595321A (zh) * | 2018-12-30 | 2019-04-09 | 芜湖万里扬变速器有限公司 | 纯电动车辆用无级变速系统 |
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2012
- 2012-03-14 JP JP2012056673A patent/JP2013190032A/ja active Pending
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