JP2013188962A - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents

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一十三 佐渡原
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康 嶋田
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Abstract

【課題】光硬化型のインクを用いて3つのインクの層を重ねる場合に、インク層の表面の平滑化を効率よく行い短時間で高品質の印刷を実行することができる印刷装置および印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷装置は、光硬化型の白インク、カラーインク、クリアインクを吐出する。白インクは、記録媒体上に直接形成されるインクの層であるベース層を形成する。カラーインクは、ベース層上に位置する中間層を形成する。クリアインクは、インクの層の最も表面側に位置する表面層を形成する。印刷装置は、第一制御処理(S3)において、走査中に白インクを吐出しつつ、白インクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で、吐出した白インクに光を照射する。印刷装置は、第二制御処理(S6、S8)において、走査中にカラーインクおよびクリアインクを吐出しつつ、吐出したインクに光を照射する。
【選択図】図4

Description

本発明は、光硬化型のインクを記録媒体に吐出し、吐出したインクに光を照射して硬化させる印刷装置および印刷方法に関する。
従来、光(例えば、紫外線)が照射されることで硬化する光硬化型のインクをインクヘッドから吐出し、吐出したインクに光を照射させることでインクを硬化させる印刷装置が知られている。例えば、特許文献1が開示する印刷装置は、吐出したインクに最初に照射する光の照射量を、最後に照射する光の照射量よりも小さくする。小さい照射量の光を照射することで、インクは完全に硬化しない状態(以下、「半硬化状態」という。)となる。印刷装置は、半硬化状態のインクに対してラメ等の装飾材が作業者によって散布された後に、照射量の大きい光をインクに照射し、インクを完全に硬化させる(以下、この状態を「完全硬化状態」という)。また、特許文献1が開示する印刷装置は、インクを重ね打ちして複数のインク層を形成する場合もある。
特開2011−212906号公報
印刷装置は、ベース層、中間層、表面層の順にインクの層を重ねて印刷を完成させる場合がある。この場合、最下層となるベース層は、中間層および表面層を支持する層となる。従って、ベース層の表面が平滑化(レベリング)されないまま完全硬化状態となると、ベース層の上面に重ねられる中間層の画像が乱れる。さらに、中間層の上面に重ねられる表面層の画像も乱れる場合がある。インクの層の表面の平滑化を行うためには、インクを吐出してから完全硬化状態とするまでに一定時間以上待機する必要がある。よって、平滑化だけを重視すると、印刷時間を短縮することができない。従って、光硬化型のインクを用いて3つのインクの層を重ねる場合に、効率よく平滑化を行い短時間で高品質の印刷を実行することは、従来の技術では困難であった。
本発明は、光硬化型のインクを用いて3つのインクの層を重ねる場合に、インク層の表面の平滑化を効率よく行い短時間で高品質の印刷を実行することができる印刷装置および印刷方法を提供することを目的とする。
本発明の第一態様に係る印刷装置は、光が照射されることで硬化する光硬化型のインクを吐出する複数のインクヘッドを備え、記録媒体に対する前記複数のインクヘッドの位置を相対的に移動させて印刷を実行する印刷装置であって、前記記録媒体の印刷領域に第一インクを吐出する前記インクヘッドである第一ヘッドと、前記印刷領域に第二インクを吐出する前記インクヘッドである第二ヘッドと、前記印刷領域に第三インクを吐出する前記インクヘッドである第三ヘッドと、前記第一ヘッド、前記第二ヘッド、および前記第三ヘッドの前記記録媒体に対する位置を相対的に移動させる移動手段と、前記第一ヘッドから吐出された前記第一インクが付着した前記印刷領域に、前記第二ヘッドおよび前記第三ヘッドから同一の走査で吐出される前記第二インクおよび前記第三インクが、前記第二インクおよび前記第三インクの順で付着するように、前記移動手段を制御する移動制御手段と、前記第一ヘッドから吐出された前記第一インクに光を照射する第一照射手段と、前記第二ヘッドから吐出された前記第二インクに光を照射する第二照射手段と、前記第三ヘッドから吐出された前記第三インクに光を照射する第三照射手段とを備え、前記第一照射手段は、前記第一インクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で前記第一インクに光を照射し、前記第二照射手段は、前記第二インクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で前記第二インクに光を照射することを特徴とする。
第一態様に係る印刷装置は、印刷領域に最初に吐出される第一インクに対し、第一インクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で光を照射する。その結果、第一インクは、完全硬化させた場合と比較して流動性を保持した状態となり、第一インクの上に第二インクおよび第三インクが吐出されるまでの間に、第一インクの層の平滑化が進行しやすくなる。印刷装置は、完全硬化された場合に比べて平滑化が進んだ第一インクの層の上に、第二インクと第三インクを印刷する。従って、第一インクの層が完全硬化されて平滑化されていない場合に比べて、第二インクの層および第三インクの層の画像が第一インクの層の凹凸によって乱れる可能性は低い。さらに、印刷装置は、第二インクと第三インクを短時間で吐出させて効率よく3つの層を積層することができる。よって、本発明に係る印刷装置は、光硬化型のインクを用いて3つのインクの層を重ねる場合に、インク層の表面の平滑化を効率よく行い短時間で高品質の印刷を実行することができる。
本発明の第二態様に係る印刷装置は、光硬化型のインクを記録媒体に吐出する複数のインクヘッドと、前記インクヘッドから前記記録媒体に吐出された前記インクに光を照射する照射手段と、前記記録媒体に対する前記インクヘッドおよび前記照射手段の相対的な位置を、前記インクヘッドが備える複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向、および、前記主走査方向に垂直な副走査方向に移動させることで、前記インクヘッドおよび前記照射手段を走査させる走査手段とを備え、前記複数のインクヘッドに、積層される複数の前記インクの層のうち、前記記録媒体上に直接形成されるベース層を形成するベースインクを吐出するベースインクヘッドと、前記複数のインクの層のうち、前記ベース層上に形成される中間層を形成する中間インクを吐出する中間インクヘッドと、前記複数のインクの層の最も表面側に位置する表面層を形成する表面インクを吐出する表面インクヘッドとを含む印刷装置であって、前記走査手段による走査を実行しつつ、前記ベースインクヘッドから前記ベースインクを吐出させると共に、吐出された前記ベースインクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で前記照射手段による光の照射を実行させることで、前記ベース層を形成する第一制御手段と、前記表面インクヘッドが前記中間インクヘッドよりも前記記録媒体に対する前記副走査方向の移動方向の後方に位置する状態で前記走査手段による走査を実行しつつ、前記ベース層上に前記中間インクヘッドおよび前記表面インクヘッドから前記インクを吐出させると共に、吐出された全ての前記インクに前記照射手段による光の照射を実行させることで、前記ベース層に前記中間層および前記表面層を積層する第二制御手段とを備える。
第二態様に係る印刷装置は、ベースインクを吐出しつつ、ベースインクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で光を照射する。その結果、ベース層は、完全硬化させた場合と比較して流動性を保持した状態となり、ベース層の上に中間インクが吐出されるまでの間に平滑化が進行しやすい。印刷装置は、完全硬化された場合に比べて平滑化が進んだベース層の上に、同一の走査で中間インクと表面インクを印刷する同時印刷を行い、中間層および表面層を積層する。従って、ベース層が完全硬化されて平滑化されていない場合に比べて、中間層および表面層の画像がベース層の凹凸によって乱れる可能性は低い。さらに、印刷装置は、2回の走査で3つの層を効率よく積層することができる。よって、本発明に係る印刷装置は、光硬化型のインクを用いて3つのインクの層を重ねる場合に、インク層の表面の平滑化を効率よく行い短時間で高品質の印刷を実行することができる。
第二態様において、前記表面インクは、光透過性を有するクリアインクであってもよい。この場合、ユーザは、クリアインクによって形成された表面層を通して、表面層の下に位置する中間層およびベース層を視認する。つまり、ユーザは、クリアインクで形成された画像を認識するわけではない。よって、仮に、平滑化されないまま完全硬化状態となった中間層の上にクリアインクが吐出されても、印刷品質にはほぼ影響を与えない。印刷装置は、ベース層が平滑化しやすい状態で印刷を行って印刷品質を向上させつつ、印刷品質に対する影響が少ない中間層の平滑化の時間を短縮する。従って、印刷装置は、高品質の印刷を短時間で実行することができる。
第二態様において、前記第二制御手段は、前記中間インクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で前記中間インクへの光の照射を実行し、且つ、前記表面インクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で前記表面インクへの光の照射を前記照射手段によって実行してもよい。前記印刷装置は、前記第二制御手段による動作が実行された後に、前記走査手段による走査を実行しつつ、前記表面インクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で前記照射手段による光の照射を実行させる第三制御手段をさらに備えてもよい。この場合、第二制御手段による動作が実行された時点で、表面層は流動性を保持した状態となる。よって、第三制御手段による光の照射が実行されるまでの間に、表面層の平滑化が進行しやすい。第三制御手段による光の照射によって、平滑化が進行した表面層が完全硬化し、印刷が完了する。その結果、最表面が滑らかな状態(所謂「グロス調」)となる。従って、印刷装置は、高品質のグロス調印刷を短時間で実行することができる。
第二態様において、前記第二制御手段は、前記中間インクおよび前記表面インクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で、前記中間インクおよび前記表面インクの各々に対する光の照射を前記照射手段によって実行してもよい。この場合、表面層の平滑化が進行する前に、全てのインクの層が完全硬化状態となり、印刷が完了する。その結果、最表面に粒状感がある状態(所謂「マット調」)となる。従って、印刷装置は、高品質のマット調印刷を短時間で実行することができる。
第二態様に係る印刷装置は、前記インクヘッドが備える複数のノズルの配列方向が前記主走査方向に交差するように前記インクヘッドを配置すると共に、前記インクヘッドおよび前記照射手段を前記主走査方向に沿って並べて搭載するキャリッジをさらに備えてもよい。この場合、印刷装置は、走査手段による走査を行いつつ、照射手段による照射を実行し、且つインクヘッドによるインクの吐出を行うだけで、吐出したインクに容易に光を照射させることができる。よって、印刷装置は、光硬化型のインクを用いた高品質の印刷を容易に行うことができる。
第二態様において、前記キャリッジは、前記主走査方向における前記インクヘッドの上流側および下流側の各々に前記照射手段を搭載してもよい。この場合、印刷装置は、主走査方向における往復走査の往路および復路の各々でインクを吐出させる印刷(所謂「双方向印刷」)を実行することができる。よって、より効率よく高品質の印刷を実行することができる。
第二態様において、1つの前記キャリッジが、前記ベースインクヘッド、前記中間インクヘッド、および前記表面インクヘッドを搭載してもよい。前記ベースインクヘッドおよび前記表面インクヘッドは前記主走査方向に沿って並べて配置され、且つ、前記ベースインクヘッドと前記表面インクヘッドを通る直線と、前記中間インクヘッドを通り前記主走査方向に延びる直線とが異なってもよい。この場合、複数のキャリッジを用いることなく全てのインクヘッドを搭載できる。さらに、ベースインクヘッドと表面インクヘッドの各々に照射手段を設ける必要が無く、照射手段を共通化することができる。よって、印刷装置を小型化することができ、コストも大幅に低下する。
第二態様において、前記第二制御手段は、前記第一制御手段によって制御される副走査の方向とは逆の方向を、前記走査手段による副走査の方向としてもよい。この場合、印刷装置は、副走査方向の移動を1往復させる過程で、第一制御手段による動作と第二制御手段による動作を共に完了させることができる。よって、より効率よく印刷を行うことができる。
本発明の第三態様に係る印刷方法は、光硬化型のインクを記録媒体に吐出する複数のインクヘッドと、前記インクヘッドから前記記録媒体に吐出された前記インクに光を照射する照射手段と、前記記録媒体に対する前記インクヘッドおよび前記照射手段の相対的な位置を、前記インクヘッドが備える複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向、および、前記主走査方向に垂直な副走査方向に移動させることで、前記インクヘッドおよび前記照射手段を走査させる走査手段とを備え、前記複数のインクヘッドに、積層される複数の前記インクの層のうち、前記記録媒体上に直接形成されるベース層を形成するベースインクを吐出するベースインクヘッドと、前記複数のインクの層のうち、前記ベース層上に形成される中間層を形成する中間インクを吐出する中間インクヘッドと、前記複数のインクの層の最も表面側に位置する表面層を形成する表面インクを吐出する表面インクヘッドとを含む印刷装置で実行される印刷方法であって、前記走査手段による走査を実行しつつ、前記ベースインクヘッドから前記ベースインクを吐出させると共に、吐出された前記ベースインクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で前記照射手段による光の照射を実行させることで、前記ベース層を形成する第一制御ステップと、前記表面インクヘッドが前記中間インクヘッドよりも前記記録媒体に対する前記副走査方向の移動方向の後方に位置する状態で前記走査手段による走査を実行しつつ、前記ベース層上に前記中間インクヘッドおよび前記表面インクヘッドから前記インクを吐出させると共に、吐出された全ての前記インクに前記照射手段による光の照射を実行させることで、前記ベース層に前記中間層および前記表面層を積層する第二制御ステップとを実行することを特徴とする。
第三態様に係る印刷方法によると、印刷装置は、ベースインクを吐出しつつ、ベースインクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で光を照射する。その結果、ベース層は、完全硬化させた場合と比較して流動性を保持した状態となり、ベース層の上に中間インクが吐出されるまでの間に平滑化が進行しやすい。印刷装置は、完全硬化された場合に比べて平滑化が進んだベース層の上に、同一の走査で中間インクと表面インクを印刷する同時印刷を行い、中間層および表面層を積層する。従って、ベース層が完全硬化されて平滑化されていない場合に比べて、中間層および表面層の画像がベース層の凹凸によって乱れる可能性は低い。さらに、印刷装置は、2回の走査で3つの層を効率よく積層することができる。よって、印刷装置は、光硬化型のインクを用いて3つのインクの層を重ねる場合に、インク層の表面の平滑化を効率よく行い短時間で高品質の印刷を実行することができる。
印刷システム100の概要を示す斜視図である。 第一実施形態の印刷装置1におけるキャリッジ34の構造を模式的に示す図である。 印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。 印刷装置1が実行する印刷処理のフローチャートである。 グロス調印刷による印刷物60の断面を模式的に示す図である。 マット調印刷による印刷物70の断面を模式的に示す図である。 第一実施形態の印刷処理で実行される第一制御処理のフローチャートである。 第一実施形態の印刷処理で実行されるグロス第二制御処理のフローチャートである。 第一実施形態の印刷処理で実行されるグロス第三制御処理のフローチャートである。 第一実施形態の印刷処理で実行されるマット第二制御処理のフローチャートである。 平坦化の有無によるインク量の差を説明するための説明図である。 第二実施形態の印刷装置1におけるヘッド保持機構134の構造を模式的に示す図である。 第二実施形態の印刷処理で実行される第一制御処理のフローチャートである。 第二実施形態の印刷処理で実行されるグロス第二制御処理のフローチャートである。 第二実施形態の印刷処理で実行されるグロス第三制御処理のフローチャートである。 第二実施形態の印刷処理で実行されるマット第二制御処理のフローチャートである。 第二実施形態の変形例におけるヘッド保持機構234の構造を模式的に示す図である。
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、印刷装置1および印刷システム100について説明する。印刷システム100は、印刷装置1とパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)5とを備える。印刷装置1は、主に樹脂等の記録媒体に対する印刷を行う公知のインクジェットプリンタであり、インクヘッド35(図2参照)を走査させることで、記録媒体に印刷を行うことができる。PC5は、印刷装置1に印刷を実行させるための印刷データを作成することができる。
図1を参照して、印刷装置1の概要について説明する。図1の左下側および右上側は、夫々、印刷装置1の正面側(前方)および背面側(後方)である。図1の左右方向および上下方向は、夫々、印刷装置1の左右方向および上下方向である。図1に示すように、印刷装置1は、矩形箱状の筐体31を有する。筐体31の前後方向略中央には、一対のガイドレール33が左右方向に延びている。キャリッジ34は、ガイドレール33により、ガイドレール33に沿って左右方向(主走査方向)に移動可能に支持されている。詳細は図示しないが、キャリッジ34は、主走査モータ46(図3参照)およびベルトを含む主走査機構によって主走査方向に走査される。キャリッジ34は、複数のインクヘッド35および複数のLED21〜28(図2参照)を下部に備えている。インクヘッド35およびLED21〜28の配置については、図2を参照して後述する。
筐体31の内部の左右方向略中央下部には、一対のガイドレール37が前後方向に延びている。プラテン支持台38は、ガイドレール37により、ガイドレール37に沿って前後方向(副走査方向)に移動可能に支持されている。詳細は図示しないが、プラテン支持台38は、副走査モータ47(図3参照)およびベルトを含む副走査機構によって副走査方向に走査される。プラテン支持台38の上面の左右方向略中央には、プラテン39が固定されている。プラテン39は板体であり、その上面に記録媒体を載置するためのものである。
印刷装置1は、インクヘッド35を主走査方向に走査させながらインクを吐出させることで、主走査方向に画素列(ドット列)を形成することができる。印刷装置1は、主走査方向の走査が完了すると、インクヘッド35を副走査方向に走査させた後に、再び主走査方向に画素列を形成する。印刷装置1は、以上の動作を印刷データに従って繰り返し実行することで、記録媒体上に複数の画素列を形成して印刷を行う。
なお、第一実施形態の印刷装置1は、キャリッジ34を主走査方向に移動させ、且つプラテン39を副走査方向に移動させることで、キャリッジ34と、プラテン39に保持された記録媒体とを相対的に移動させる。しかし、本発明は、記録媒体に対するインクヘッド35の位置を相対的に移動させる印刷装置を用いる場合であれば適用でき、具体的な移動方法は第一実施形態の方法に限定されない。つまり、本発明において「記録媒体に対するインクヘッド35の位置を相対的に移動(走査)させる」とは、プラテン39を主走査方向に移動させ且つキャリッジ34を副走査方向に移動させる場合、プラテン39のみを主走査方向および副走査方向に移動させる場合、キャリッジ34のみを主走査方向および副走査方向に移動させる場合等も含む。プラテン39のみを移動させる場合、キャリッジ34はインクヘッド35およびLED21〜28を移動させずに保持するのみとなる。また、プラテン39を移動させることで記録媒体を移動させる場合に限られず、ローラ等を用いて記録媒体のみを移動させてもよい。なお、本発明は、主走査方向の移動のみを伴う印刷装置にも適用できるが、この詳細は第二実施形態において説明する。
印刷装置1で使用されるインクについて説明する。印刷装置1は、印刷データに従って、光硬化型のインクを複数のインクヘッド35から記録媒体に吐出する。吐出した光硬化型インクに対し、LED21〜28によって光を照射する。本実施形態で用いられる光硬化型インクは、紫外線を照射すると重合反応を起こして硬化する。詳細には、光硬化型インクに含まれる液状のモノマーは、紫外線が照射されることで結合し、ポリマーに変化する。ポリマー樹脂の被膜は、記録媒体の表面に画像を形成する。従って、印刷装置1は、インクを吸収しない非吸収性素材(例えば、プラスチック)に対する印刷を行うことができる。
光硬化型インクの硬化度について説明する。例えば、光ラジカル重合型樹脂の硬化反応の初期過程では、モノマーに炭素の二重結合(C=C)が多く含まれている。重合反応によって炭素の二重結合が減少する程、光硬化型インクの流動性は減少し、インクが硬化する。つまり、重合反応を引き起こすための光(紫外線)の照射量を多くする程、光硬化型インクの硬化度は上昇する。
光硬化型インクは、記録媒体に吐出された後に光が照射されないまま放置されると、平坦な状態に広がっていく。光硬化型インクが過度に広がると、印刷品質は低下する。一方で、光硬化型インクを吐出した直後に照射量の大きい光を照射することで、インクの状態を、流動性が完全に失われた完全硬化状態とする場合もある。この場合、インクの層は、表面の液滴が平滑化(レベリング)される前に完全硬化状態となる。ユーザは、インクの層の最表面に粒状感がある状態(所謂「マット調」)となるように、意図的に印刷を実行させる場合もある。しかし、複数のインクの層を重ねる場合、下側のインクの層を平滑化せずに完全硬化状態とする(つまり、完全硬化させる)と、上面に重ねられる層の画像が乱れる場合がある。
平滑化の方法について説明する。光硬化型インクの層を過度に広げずに平滑化するためには、インクの層の少なくとも表面を、平滑化が進行する程度に流動性が保持されたまま適度に硬化(増粘)した半硬化状態とする(つまり、半硬化させる)必要がある。インクの層を半硬化させて待機すると、待機している間に表面の液滴が平滑化される。従って、印刷装置1は、インクの層を平滑化する場合、吐出した光硬化型インクに照射する光の照射量を、インクが完全硬化するために必要な照射量よりも小さくする。その結果、インクの層は、完全硬化状態となる場合に比べて流動性が保持された半硬化状態となる。次いで、印刷装置1は、光を照射せずに待機することで、平滑化を進行させる。平滑化された半硬化状態のインクの層に、完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で光を照射することで、層の形成を完了させる。
光の照射量について説明する。光の照射量とは、積算光量を表す。積算光量は、光源数、光源の発光の強さ、照射時間、光源とインクの層の間の距離等によって制御することができる。一例として、本実施形態の印刷装置1は、複数のLED21〜28(図2参照)のうち、点灯させるLEDの数と、点灯させる各LEDの発光の強さとを調整することで、照射量を制御する。しかし、照射量の制御は、前述した光源数等の複数のパラメータのうちの少なくともいずれかを調整することで実現できる。
光硬化型インクを半硬化状態または完全硬化状態とするための最適な光の照射量は、光硬化型インクの種類(組成)、層の厚み、温度等の条件によって変化する。従って、印刷装置1における光の照射量は、上記の条件に応じて適宜定めればよい。一例として、光ラジカル重合型樹脂を光硬化型インクに用いた場合、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)によって炭素の二重結合の減少量を測定することで、照射量と硬化度の関係を求めることができる。例えば、硬化反応がほぼ完了して反応が急激に緩やかになる硬化度(例えば、80%)を、完全硬化と定義することができる。光の照射量を、完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量とすれば、完全硬化させる場合に比べて層の平滑化が進行する。従って、光硬化型インクを半硬化させるための照射量は、完全硬化させるための照射量よりも小さい範囲内で、平滑化の速度、平滑化の度合い等を考慮して適宜定めればよい。
以上説明したように、光硬化型インクの層を複数重ねる場合、下の層は平滑化することが望ましい。例えば、ベース層、中間層、表面層の順に3つの層を重ねる場合、ベース層および中間層を平滑化すれば、表面層の画像は乱れ難い。しかし、平滑化には一定の時間を要するため、ベース層および中間層の平滑化だけを重視すると、印刷時間を短縮することができない。本実施形態の印刷装置は、効率よく平滑化を行いつつ、短時間で3つのインクの層を重ねることができる。
図2を参照して、第一実施形態の印刷装置1におけるキャリッジ34の構造について説明する。図2は、上方から見たキャリッジ34の構造を模式的に示す。まず、インクヘッド35の配置について説明する。キャリッジ34は、複数のインクヘッド35を搭載している。各インクヘッド35の底面には、複数個の微細なノズル36が設けられている。本実施形態では、インクヘッド35の各々に128個のノズル36が設けられているが、図面ではノズル36の個数を簡略化している。インクカートリッジ(図示せず)からインクヘッドに供給された光硬化型インクは、圧電素子の駆動によって、ノズル36から下向きに吐出される。各インクヘッド35における複数のノズル36の配列方向は、主走査方向に交差する方向(本実施形態では副走査方向)である。なお、ノズル36は、図2の左右方向に2列以上並べて配置されていてもよい。この場合、副走査方向であるノズル36の配列方向は、ノズル36の各列が配列されている長手方向であり、プラテン39の移動方向と同じ方向である。後述する第二実施形態でも同様である。
キャリッジ34には、白インクヘッド35Wと、カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kと、クリアインクヘッド35Lとが搭載されている。詳細には、キャリッジ34の正面側中央に、白インクヘッド35Wとクリアインクヘッド35Lとが主走査方向に沿って並べて配置されている。さらに、白インクヘッド35Wおよびクリアインクヘッド35Lに対して副走査方向にずれた位置(背面側)に、4つのカラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kが主走査方向に並べて配置されている。つまり、白インクヘッド35Wおよびクリアインクヘッド35Lを通る直線と、4つのカラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kを通る直線とが異なる。白インクヘッド35Wおよびクリアインクヘッド35Lと、4つのカラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kとは、主走査方向において重複しない。なお、白インクヘッド35Wは白インクを吐出する。カラーインクヘッド35Kは黒インクを吐出する。カラーインクヘッド35Cはシアンインクを吐出する。カラーインクヘッド35Mはマゼンタインクを吐出する。カラーインクヘッド35Yはイエローインクを吐出する。クリアインクヘッド35Lは、光透過性を有するクリアインクを吐出する。白インクヘッド35Wの位置とクリアインクヘッド35Lの位置は、入れ替えてもよい。
印刷装置1は、図2に示すキャリッジ34を用いることで、キャリッジ34を主走査方向に1回走査させる間に、カラーインクとクリアインクを共に記録媒体に吐出させて印刷を行うことができる。つまり、印刷装置1は、カラーインクとクリアインクの同時印刷を実行することができる。クリアインクはカラーインクの上に吐出される。従って、カラーインクとクリアインクの同時印刷中には、プラテン39(図1参照)はキャリッジ34に対して図2の下方(Y2方向)へ移動する。プラテン39がY2方向に移動すると、先にカラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kが印刷領域に侵入し、その後、クリアインクヘッド35Lが印刷領域に侵入する。なお、同時印刷の「同時」とは、カラーインクとクリアインクを全く同じタイミングで各ノズル36から吐出することを意味するものではない。同時印刷とは、それぞれの主走査において、カラーインクとクリアインクを共に並行して吐出できることを意味する。よって、交互にインクが吐出されてもよい。また、「クリアインクをカラーインクの上に吐出する」とは、印刷領域内の全ての画素において必ずカラーインクの上にクリアインクを吐出することを意味するものではない。カラーインクの層の上に、クリアインクの層を形成することを意味する。従って、白を表現するために、白インクの上にクリアインクが直接吐出される画素も存在し得る。
LED21〜28の配置について説明する。キャリッジ34は、複数のインクヘッド35と共に、光(紫外線)を照射するLED21〜28を備える。カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kの右外側には、3つのカラー用LED21が副走査方向に等間隔で並べて設けられている。右外側のカラー用LED21の内側には、3つのカラー用LED22が副走査方向に等間隔で並べて設けられている。つまり、カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kとカラー用LED21、22とが、主走査方向に沿って並べて搭載されている。なお、外側のカラー用LED21の各々の中心と、内側のカラー用LED22の中心との間の副走査方向の距離が一定となるように、複数のカラー用LED21、22は互い違いに配置されている。よって、カラー用LED21、22からインクの層に到達する光の強度には、位置による差が生じ難い。以下説明するLED23〜28も同様に互い違いに配置されている。
カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kの左外側には、3つのカラー用LED23が副走査方向に等間隔で並べて設けられている。さらに、左外側のカラー用LED23の内側には、3つのカラー用LED24が副走査方向に並べて設けられている。
白インクヘッド35Wおよびクリアインクヘッド35Lの右外側には、3つの白・クリア用LED25が副走査方向に並べて設けられている。右外側の白・クリア用LED25の内側には、3つの白・クリア用LED26が副走査方向に並べて設けられている。また、白インクヘッド35Wおよびクリアインクヘッド35Lの左外側には、3つの白・クリア用LED27が設けられている。左外側の白・クリア用LED27の内側には、3つの白・クリア用LED28が設けられている。
以上のように、インクヘッド35とLED21〜28とが主走査方向に並べて搭載されている。よって、印刷装置1は、キャリッジ34を主走査方向に走査させながら、LED21〜28による照射を実行し、且つインクヘッド35によるインクの吐出を行うだけで、吐出したインクに容易に光を照射することができる。また、主走査方向におけるインクヘッド35の上流側および下流側(図2における左右)の各々に、LED21〜28が搭載されている。よって、印刷装置1は、主走査方向における往復走査の往路および復路の各々でインクを吐出させる印刷(双方向印刷)を実行することができる。また、白インクヘッド35Wとクリアインクヘッド35Lとが、主走査方向に並べて配置されている。よって、白インクヘッド35Wとクリアインクヘッド35Lの各々にLEDを設ける必要が無く、LED25〜28を共通化することができる。
なお、第一実施形態では、4つのカラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kの左右両側にカラー用LED21〜24が配置され、各々のカラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kの間にはLEDは配置されていない。しかし、各々のカラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kの間にLEDを配置してもよい。同様に、白インクヘッド35Wとクリアインクヘッド35Lの間にLEDを配置してもよい。
図3を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。印刷装置1は、印刷装置1の制御を司るCPU10を備える。CPU10には、ROM11、RAM12、ヘッド駆動部13、モータ駆動部14、表示制御部16、操作処理部18、発光制御部20、およびUSBインタフェース48が、バス40を介して接続されている。
ROM11には、印刷装置1の動作を制御するための印刷制御プログラム、初期値等が記憶されている。RAM12には、PC5から受信した印刷データ等の各種データが一時的に記憶される。ヘッド駆動部13は、インクを吐出するインクヘッド35に接続しており、インクヘッド35の各吐出チャンネルに設けられた圧電素子を駆動する。モータ駆動部14は、インクヘッド35を主走査方向に移動させる主走査モータ46と、プラテン39(図1参照)を副走査方向に移動させる副走査モータ47とを駆動する。表示制御部16は、CPU10による指示に応じてディスプレイ17の表示を制御する。操作処理部18は、操作パネル19に対する操作入力を検知する。発光制御部20は、LED21〜28の発光を制御する。USBインタフェース48は、印刷装置1をPC5等の外部機器に接続する。
図4から図10を参照して、第一実施形態の印刷装置1が実行する印刷処理について説明する。前述したように、印刷装置1のROM11には印刷制御プログラムが記憶されている。印刷装置1は、印刷の実行指示を入力すると、印刷制御プログラムに従って、図4に示す印刷処理を実行する。なお、印刷装置1は、インクの層を2層以下、または4層以上とする印刷を実行することも可能である。しかし、以下の説明では、白インクからなるベース層、カラーインクからなる中間層、クリアインクからなる表面層の3層を積層する場合を例示する。図4に示すように、印刷処理が開始されると、PC5から印刷データが取得される(S1)。印刷方法を設定する処理が行われる(S2)。CPU10は、S2の処理において、PC5で設定された印刷方法をPC5から取得してもよい。また、CPU10は、ユーザに操作パネル19(図3参照)を操作させることで、印刷方法の設定入力を受け付けてもよい。
図5および図6を参照して、印刷装置1においてユーザが設定可能な印刷方法について説明する。印刷装置1では、ユーザはグロス調印刷およびマット調印刷のいずれかの印刷方法を選択し、設定することができる。
グロス調印刷では、最表面が滑らかな状態(所謂「グロス調」)で印刷が完成する。詳細には、図5に示すように、まず、白インクからなるベース層61が記録媒体15上に形成される。ベース層61の表面(図5の上部の面)が平滑化された後に、カラーインクからなる中間層62が、ベース層61上に形成される。形成された中間層62上に、クリアインクからなる表面層63が形成される。表面層63の表面(つまり、積層された3つの層61〜63の最表面)が平滑化された後に、表面層63が完全硬化されて、印刷物60が完成する。グロス調印刷によると、ユーザは、表面に光沢がある印刷物60を得ることができる。
マット調印刷では、最表面に粒状感がある状態(所謂「マット調」)で印刷が完成する。詳細には、図6に示すように、まず、白インクからなるベース層71が記録媒体15上に形成される。ベース層71の表面が平滑化される。カラーインクからなる中間層72が、平滑化されたベース層71上に形成される。形成された中間層72上に、クリアインクからなる表面層73が形成される。次いで、マット調印刷では、表面層73の表面の平滑化が行われることなく、表面層73が完全硬化されて、印刷物70が完成する。マット調印刷によると、ユーザは、粒状感があり光沢が少ない印刷物70を得ることができる。なお、印刷装置1は、いずれの印刷方法が設定された場合でも、白インクを用いてベース層61、71を形成することができる。従って、印刷装置1は、記録媒体15の色に関わらず、正確な色の画像を印刷することができる。
図4の説明に戻る。印刷方法の設定(S2)が終了すると、第一制御処理が行われる(S3)。第一制御処理は、いずれの印刷方法が設定された場合でも共通して行われる処理である。第一制御処理では、半硬化状態のベース層61、71が形成される。
次いで、グロス調印刷が設定されていれば(S5:YES)、グロス第二制御処理が行われ(S6)、さらにグロス第三制御処理が行われて(S7)、印刷処理は終了する。グロス第二制御処理(S6)では、半硬化状態のベース層61、71が完全硬化されると共に、完全硬化状態の中間層62と、半硬化状態の表面層63とが形成される。グロス第三制御処理(S7)では、半硬化状態の表面層63を完全硬化させるための光が照射されて、印刷物60が完成する。
マット調印刷が設定されていれば(S5:NO)、マット第二制御処理が行われて(S8)、印刷処理は終了する。マット第二制御処理では、第一制御処理によって形成されたベース層71の上に、中間層72および表面層73が短時間で形成されて、印刷物70が完成する。
図7を参照して、第一制御処理について説明する。第一制御処理では、白インクの印刷データがRAM12にセットされて、白インクヘッド35Wがインクを吐出する「ON」とされる(S11)。カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kが、インクを吐出しない「OFF」とされる(S12)。クリアインクヘッド35Lが「OFF」とされる(S13)。プラテン39の副走査方向の進行方向が、図2に示すY1方向とされて、主走査方向および副走査方向の各々の走査が開始される(S14)。なお、CPU10は、キャリッジ34およびプラテン39を走査させつつ、印刷データに基づいてインクヘッド35の動作を制御し、定められた画素にインクを吐出させる。この処理は公知の処理であるため、説明を省略する。
キャリッジ34の主走査方向の進行方向が、図2に示すX1方向であるか否かが判断される(S16)。X1方向であれば(S16:YES)、白インクヘッド35Wの右外側の白・クリア用LED25のみが弱い照度で点灯される(S17)。処理はS20の判断へ移行する。
キャリッジ34がX1方向に走査されている場合、白インクヘッド35Wの右側の白・クリア用LED25、26は、白インクヘッド35Wよりも主走査方向の進行方向における後方に位置する。従って、進行方向がX1方向であれば、右側の白・クリア用LED25、26が発する光は、主走査の過程で、白インクヘッド35Wから記録媒体に吐出された白インクに照射される。進行方向がX1方向である場合、左側の白・クリア用LED27、28が発する光は、吐出された白インクには照射されない。よって、進行方向における後方の白・クリア用LED25、26のみを点灯させることで、無駄な電力消費を削減することができる。
また、CPU10は、白インクヘッド35Wの右側に配置された6個の白・クリア用LED25、26のうち、外側に位置する3つの白・クリア用LED25のみを点灯させる。さらに、点灯させる白・クリア用LED25の照度を、白インクを完全硬化させる場合に比べて弱くする。以上の処理を行うことで、CPU10は、白インクに照射させる光の照射量を、完全硬化させるために必要な照射量よりも小さくする。その結果、白インクは、完全硬化した場合に比べて流動性を保った半硬化状態となり、平滑化が進行する。白インクを半硬化状態とするための白・クリア用LED25の照射量は、予め実験等によって最適値が定められている。最適値とは、白インクが過度に広がることなく、且つ高い流動性を白インクに保持させて、短時間で平滑化を進行させることができる値である。
なお、CPU10は、白インクを半硬化させる場合、内側の白・クリア用LED26でなく、外側の白・クリア用LED25を点灯させる。従って、内側の白・クリア用LED26を点灯させる場合に比べて、白インクが吐出されてから光が照射されるまでの時間が長い。よって、白インクの平滑化が、半硬化状態となる前にも進行し、印刷時間が短縮される。
キャリッジ34の主走査方向の進行方向がX2方向であれば(S16:NO)、白インクヘッド35Wの左側(つまり、進行方向後方)、且つ外側の白・クリア用LED27のみが、S17と同様に弱い照度で点灯される(S18)。その結果、白インクは半硬化状態となる。進行方向前方の白・クリア用LED25、26は点灯されないため、消費電力が無駄になることは無い。また、S17と同様に、外側の白・クリア用LED27のみを点灯させることで、印刷時間が短縮される。処理はS20の判断へ移行する。
次いで、1回の主走査方向の走査が終了したか否かが判断される(S20)。終了していなければ(S20:NO)、S20の判断が繰り返される。1回の主走査方向の走査が終了すると(S20:YES)、全ての印刷領域に対する白インクの印刷が完了したか否かが判断される(S21)。完了していなければ(S21:NO)、プラテン39が副走査方向(詳細にはY1方向)に移動される(S22)。なお、複数回の主走査で同一の画素列に白インクを重ね打ちする場合には、S22では、副走査方向の移動が行われない場合もある。次いで、キャリッジ34の主走査方向の進行方向が反転されて(S23)、処理はS16の判断へ移行する。前述したように、印刷装置1は、白インクヘッド35Wの左側および右側の両方に白・クリア用LED25〜28を備える。よって、印刷装置1は、主走査方向を反転させて白インクの双方向印刷を実行することができる。全ての印刷領域に対する白インクの印刷が完了すると(S21:YES)、点灯させていたLEDが消灯されて(S25)、処理は印刷処理(図4参照)へ戻る。
図8を参照して、グロス第二制御処理について説明する。前述したように、グロス第二制御処理は、グロス調印刷を実行する設定が行われている場合に、第一制御処理の後で実行される。まず、白インクヘッド35Wが、インクを吐出しない「OFF」とされる(S31)。カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kが「ON」とされる(S32)。クリアインクヘッド35Lが「ON」とされる(S33)。
プラテン39の副走査方向の進行方向が、図2に示すY2方向とされて、走査が開始される(S34)。つまり、グロス第二制御処理における副走査方向の進行方向は、第一制御処理(図7参照)における進行方向とは逆の方向である。よって、印刷装置1は、プラテン39の副走査方向の移動を反転させるだけで、カラーインクとクリアインクの印刷に移行することができる。印刷装置1は、プラテン39をY2方向に走査させながら、カラーインクとクリアインクを共に記録媒体に吐出させる。カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kの方が、クリアインクヘッド35Lよりも先に印刷領域に侵入するため、カラーインクの上にクリアインクが吐出される。つまり、印刷装置1は、各インクヘッド35を印刷領域全体に1回走査させる過程で、カラーインクとクリアインクの同時印刷を実行することができる。
走査中には、カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kの左右に設けられたカラー用LED21〜24の全てが、強い照度で点灯される(S35)。なお、右側のカラー用LED21、22の全て、または左側のカラー用LED23、24の全てを強い照度で点灯させることで、カラーインクを完全硬化させるために必要な照射量以上の光が、カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kから吐出されたカラーインクに照射される。その結果、カラーインクは、吐出された直後(つまり、上面にクリアインクが吐出される前)に完全硬化状態となり、インクの滲みが生じない。なお、カラーインクの層の下に形成される白のベース層61(図5参照)も、カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kよりも主走査方向の下流側(進行方向前方)において、カラーインクが吐出される前に完全硬化される。よって、カラーインクも滲まない。ただし、白のベース層61が半硬化状態とされてから、カラー用LED21〜24によって完全硬化されるまでの間に、キャリッジ34の副走査方向を反転させる等の時間を要している。従って、カラーインクが吐出される時点で、ベース層61の表面は平滑化されている。
キャリッジ34の主走査方向の進行方向が、図2に示すX1方向であるか否かが判断される(S37)。X1方向であれば(S37:YES)、クリアインクヘッド35Lの右外側の白・クリア用LED25が弱い照度で点灯される(S38)。白・クリア用LED25〜28のうち、右外側の白・クリア用LED25以外は消灯される。処理はS41の判断へ移行する。白・クリア用LED25〜28のうち、外側の白・クリア用LED25のみを弱い照度で点灯させることで、クリアインクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で、クリアインクに光が照射される。その結果、カラーインクからなる中間層62(図5参照)の上に、クリアインクからなる半硬化状態の表面層63が形成される。表面層63は半硬化状態であるため、平滑化が進行する。
キャリッジ34の主走査方向の進行方向が、図2に示すX2方向であれば(S37:NO)、クリアインクヘッド35Lの左側(つまり、進行方向後方)、且つ外側の白・クリア用LED27のみが、S38と同様に弱い照度で点灯される(S39)。この結果、クリアインクは半硬化状態となる。進行方向前方の白・クリア用LED25、26は点灯されないため、消費電力が無駄になることは無い。また、外側の白・クリア用LED27のみを点灯させることで、内側の白・クリア用LED28のみを点灯させる場合に比べて、インクが吐出されてから光が照射されるまでの時間が僅かに長くなる。よって、平滑化が進行しやすい。処理はS41の判断へ移行する。
次いで、1回の主走査方向の走査が終了したか否かが判断される(S41)。終了していなければ(S41:NO)、S41の判断が繰り返される。1回の主走査方向の走査が終了すると(S41:YES)、全ての印刷領域に対するカラーインクおよびクリアインクの印刷が完了したか否かが判断される(S42)。完了していなければ(S42:NO)、プラテン39が必要に応じて副走査方向(図2に示すY2方向)に移動される(S43)。キャリッジ34の主走査方向の進行方向が反転されて(S44)、処理はS37の判断へ戻る。なお、印刷装置1がカラーインクを吐出させるのは、キャリッジ34の主走査方向の進行方向がX2方向(図2参照)である場合に限られる。一方で、クリアインクについては、白インクと同様に双方向印刷を実行することができる。全ての印刷領域に対するカラーインクおよびクリアインクの印刷が完了すると(S42:YES)、点灯させていたLEDが消灯されて(S45)、処理は印刷処理(図4参照)へ戻る。
図9を参照して、グロス第三制御処理について説明する。前述したように、グロス第三制御処理は、グロス調印刷を実行する設定が行われている場合に、グロス第二制御処理の後で実行される。グロス第三制御処理では、半硬化状態の表面層63を完全硬化させるための処理が行われる。まず、全てのインクヘッド35が、インクを吐出しない「OFF」とされる(S51〜S53)。プラテン39の副走査方向の進行方向が、図2に示すY1方向とされて、走査が開始される(S54)。つまり、グロス第三制御処理における副走査方向の進行方向は、グロス第二制御処理(図8参照)における進行方向とは逆の方向である。走査中には、全てのLED21〜28が強い強度で点灯される(S55)。その結果、半硬化状態のまま平滑化が進行した表面層63には、クリアインクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で光が照射される。
1回の主走査方向の走査が終了したか否かが判断される(S57)。終了していなければ(S57:NO)、S57の判断が繰り返される。1回の主走査方向の走査が終了すると(S57:YES)、全ての印刷領域に対する走査が完了したか否かが判断される(S58)。完了していなければ(S58:NO)、プラテン39が副走査方向(図2に示すY1方向)に移動される(S59)。キャリッジ34の主走査方向の進行方向が反転されて(S60)、処理はS57の判断へ戻る。全ての印刷領域に対する走査が完了すると(S58:YES)、全てのLED21〜28が消灯されて(S61)、処理は印刷処理(図4参照)へ戻る。以上で、グロス調印刷による印刷物60(図5参照)が完成する。
図10を参照して、マット第二制御処理について説明する。前述したように、マット第二制御処理は、マット調印刷を実行する設定が行われている場合に、第一制御処理の後で実行される。まず、白インクヘッド35Wが「OFF」とされる(S71)。カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kが「ON」とされる(S72)。クリアインクヘッド35Lが「ON」とされる(S73)。プラテン39の副走査方向の進行方向が、第一制御処理(図7参照)における進行方向とは逆のY2方向(図2参照)とされて、走査が開始される(S74)。以上の処理によって、カラーインクとクリアインクの同時印刷が実行される。走査中には、全てのLED21〜28が強い照度で点灯される(S75)。よって、カラーインクおよびクリアインクは、吐出された直後に完全硬化されて、クリアインクからなる表面層73(図6参照)の表面はマット調となる。
1回の主走査方向の走査が終了したか否かが判断される(S77)。終了していなければ(S77:NO)、S77の判断が繰り返される。1回の主走査方向の走査が終了すると(S77:YES)、全ての印刷領域に対する印刷が完了したか否かが判断される(S78)。完了していなければ(S78:NO)、プラテン39が必要に応じて副走査方向(図2に示すY2方向)に移動される(S79)。キャリッジ34の主走査方向の進行方向が反転されて(S80)、処理はS77の判断へ戻る。なお、グロス第二制御処理(図8参照)と同様に、印刷装置1がカラーインクを吐出させるのは、主走査方向の進行方向がX2方向である場合に限られる。クリアインクについては、双方向印刷が可能である。全ての印刷領域に対するカラーインクおよびクリアインクの印刷が完了すると(S78:YES)、LED21〜28が消灯されて(S81)、処理は印刷処理(図4参照)へ戻る。以上で、マット調印刷による印刷物70(図6参照)が完成する。
以上説明したように、第一実施形態の印刷装置1は、白インクを吐出しつつ、白インクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で、吐出した白インクに光を照射する。その結果、白インクからなるベース層61、71は、流動性を保持したまま増粘した半硬化状態となり、ベース層61、71の上にカラーインクが吐出されるまでの間に平滑化が進行しやすい。印刷装置1は、平滑化が進んだベース層61、71の上に、同一の走査でカラーインクとクリアインクを印刷する同時印刷を行い、中間層62、72および表面層63、73を積層する。従って、ベース層61、71が平滑化されていない場合に比べて、中間層62、72および表面層63、73の画像がベース層61、71の凹凸によって乱れる可能性は低い。さらに、印刷装置1は、印刷領域全体に各インクヘッド35を2回走査させる過程で、3つの層を効率よく積層することができる。よって、印刷装置1は、光硬化型のインクを用いて3つのインクの層を重ねる場合に、インクの層の平滑化を効率よく行い短時間で高品質の印刷を実行することができる。
印刷装置1は、ベース層61、71を効率よく平滑化することで、クリアインクの使用量の増加を防ぐことができる。図11は、ベース層61を平滑化させた場合のグロス調印刷による印刷物60と、ベース層61を平滑化させなかった場合のグロス調印刷による印刷物60とを比較した図である。ベース層61を平滑化させなかった場合、ベース層61上に形成される中間層62の凹凸(起伏)も、ベース層61の平滑化を行った場合に比べて大きくなる。従って、ベース層61を平滑化させなかった場合、表面層63で中間層62を覆うためには、ベース層61を平滑化させた場合よりも表面層63の厚みを厚くしなければならない。図11に示す例では、ベース層61の平滑化の有無によって、厚みの差Dが生じている。表面層63の厚みを厚くすると、クリアインクの使用量は増加する。第一実施形態に係る印刷装置1は、ベース層61、71を効率よく平滑化することで、クリアインクの使用量を減少させることができる。
さらに、第一実施形態において表面層63、73に用いられるインクは、光透過性を有するクリアインクである。従って、ユーザは、クリアインクによって形成された表面層63、73を通して、表面層63、73の下に位置する中間層62、72およびベース層61、71を視認する。つまり、ユーザは、クリアインクで形成された画像を認識するわけではない。よって、仮に、平滑化されないまま完全硬化状態となった中間層62、72の上にクリアインクが吐出されても、印刷品質にはほぼ影響を与えない。印刷装置1は、ベース層61、71が平滑化しやすい状態で印刷品質を向上させつつ、印刷品質に対する影響が少ない中間層62、72の平滑化の時間を短縮する。従って、印刷装置1は、高品質の印刷を短時間で実行することができる。
印刷装置1がグロス第二制御処理(図8参照)を行った時点で、表面層63は流動性を保持した状態となる。よって、グロス第三制御処理(図9参照)による光の照射が実行されるまでの間に、表面層63の平滑化が進行しやすい。グロス第三制御処理によって、平滑化が進行した表面層63が完全硬化し、グロス調印刷が完了する。従って、印刷装置1は、高品質のグロス調印刷を短時間で実行することができる。
印刷装置1がマット第二制御処理(図10参照)を実行すると、表面層73の平滑化が進行する前に、全ての層71〜73が完全硬化状態となり、印刷が完了する。その結果、最表面に粒状感があるマット調の印刷物70が完成する。従って、印刷装置1は、高品質のマット調印刷を短時間で実行することができる。
キャリッジ34は、複数のノズル36の配列方向が主走査方向に交差するように複数のインクヘッド35を配置する。さらに、キャリッジ34は、インクヘッド35とLED21〜28とを主走査方向に沿って並べて搭載する。従って、印刷装置1は、キャリッジ34の走査を行いつつ、LED21〜28による照射を実行し、且つインクヘッド35によるインクの吐出を行うだけで、吐出したインクに容易に光を照射することができる。よって、印刷装置1は、光硬化型インクを用いた高品質の印刷を容易に行うことができる。
キャリッジ34は、主走査方向におけるインクヘッド35の上流側および下流側の各々にLED21〜28を搭載する。従って、印刷装置1は、主走査方向における走査方向の往路および復路の各々でインクを吐出させる双方向印刷を実行することができる。よって、より効率よく高品質の印刷を実行することができる。
キャリッジ34は、カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kを主走査方向に沿って並べて配置する。白インクヘッド35Wとクリアインクヘッド35Lを主走査方向に並べて配置する。カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kと、白インクヘッド35Wおよびクリアインクヘッド35Lとは対向するように配置されており、主走査方向において重複しない。従って、印刷装置1は同時印刷を実行できる。白インクヘッド35Wとクリアインクヘッド35Lの各々にLEDを設ける必要が無く、LED25〜28を共通化することができる。よって、印刷装置1を小型化することができ、製造コストも大幅に低下する。
グロス第二制御処理およびマット第二制御処理における副走査方向の進行方向(図2のY2方向)は、第一制御処理における副走査方向の進行方向とは逆である。従って、印刷装置1は、副走査方向の移動を1往復させる過程で、3つの層61〜63、71〜73を積層させることができる。よって、印刷装置1は、より効率よく印刷を行うことができる。
第一実施形態において、白インクが本発明の「第一インク」および「ベースインク」に相当する。カラーインクが本発明の「第二インク」および「中間インク」に相当する。クリアインクが本発明の「第三インク」および「表面インク」に相当する。白インクヘッド35Wが「第一ヘッド」および「ベースインクヘッド」に相当する。カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kが「第二ヘッド」および「中間インクヘッド」に相当する。クリアインクヘッド35Lが「第三ヘッド」および「表面インクヘッド」に相当する。主走査モータ46および副走査モータ47が「移動手段」および「走査手段」に相当する。白・クリア用LED25〜28が「第一照射手段」および「第三照射手段」に相当する。カラー用LED21〜24が「第二照射手段」に相当する。図4に示す印刷処理を実行するCPU10が「移動制御手段」として機能する。図7に示す第一制御処理を実行するCPU10が「第一制御手段」として機能する。図8に示すグロス第二制御処理、および図10に示すマット第二制御処理を実行するCPU10が「第二制御手段」として機能する。図9に示すグロス第三制御処理を実行するCPU10が「第三制御手段」として機能する。図7に示す第一制御処理が、本発明の「第一制御ステップ」に相当する。図8に示すグロス第二制御処理、および図10に示すマット第二制御処理が、本発明の「第二制御ステップ」に相当する。
図12から図16を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態の印刷装置1は、キャリッジ34(図2参照)の代わりにヘッド保持機構134(図12参照)を備え、キャリッジ34を走査させずに、プラテン39を主走査方向(印刷装置1の前後方向)に移動させる点が、第一実施形態と異なる。他の構成は、第一実施形態と共通である。従って、説明を簡略化するために、第二実施形態の印刷装置1における全体構成および電気的構成の説明は省略する。
図12を参照して、第二実施形態の印刷装置1が備えるヘッド保持機構134の構造について説明する。図12は、上方から見たヘッド保持機構134の構造を模式的に示す。ヘッド保持機構134が備える複数のインクヘッド135は、記録媒体の幅以上の長さを有する長尺のラインヘッドである。印刷装置1は、ヘッド保持機構134の下方に位置するプラテン39を、主走査方向(図12の上下方向)に走査させるだけで、副走査方向の移動を行うことなく短時間で印刷を行うことができる。
各インクヘッド135における複数のノズル36の配列方向は、主走査方向に交差する方向(左右方向)である。ヘッド保持機構134には、後方(図12の上方)から順に、黒インクを吐出するカラーインクヘッド135K、シアンインクを吐出するカラーインクヘッド135C、マゼンタインクを吐出するカラーインクヘッド135M、イエローインクを吐出するカラーインクヘッド135Y、クリアインクを吐出するクリアインクヘッド135L、白インクを吐出する白インクヘッド135Wが配置されている。全てのインクヘッド135が、主走査方向において重複する位置に設けられている。クリアインクヘッド135Lの位置と白インクヘッド135Wの位置を入れ替えてもよい。
ヘッド保持機構134の後端縁部(背面側の縁部)には、13個の背面側LED121が設けられている。背面側LED121は、カラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kよりも背面側に位置する。背面側LED121は、6個の背面側LED121Aと、7個の背面側LED121Bとを含む。6個の背面側LED121Aは、左右方向に等間隔で並べて設けられる。7個の背面側LED121Bは、6個の背面側LED121Aよりも正面側において、左右方向に等間隔に設けられている。背面側LED121は互い違いに配置されているため、インクの層に到達する光の強度には、位置による差が生じ難い。以下説明する中央LED122および正面側LED123も、同様に互い違いに配置されている。
ヘッド保持機構134の中央には、13個の中央LED122が設けられている。中央LED122は、カラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kとクリアインクヘッド135Lとの間に位置する。中央LED122は、左右方向に並ぶ6個の中央LED122Aと、6個の中央LED122Aよりも正面側において左右方向に並ぶ7個の中央LED122Bとを含む。
ヘッド保持機構134の前端縁部(正面側の縁部)には、13個の正面側LED123が設けられている。正面側LED123は、白インクヘッド135Wよりも正面側に位置する。正面側LED123は、左右方向に並ぶ6個の正面側LED123Aと、6個の正面側LED123Aよりも正面側において左右方向に並ぶ7個の正面側LED123Bとを含む。
以上のように、ヘッド保持機構134は、インクヘッド135とLED121〜123とを主走査方向に並べて搭載する。よって、印刷装置1は、プラテン39を主走査方向に走査させながら、LED121〜123による照射を実行し、且つインクヘッド135によるインクの吐出を行うだけで、吐出したインクに容易に光を照射することができる。また、白インクヘッド135Wおよびクリアインクヘッド135Lの主走査方向上流側および下流側の各々に、LED122、123が搭載されている。よって、印刷装置1は、主走査方向における往復走査の往路および復路の各々で、白インクまたはクリアインクを吐出させる印刷(双方向印刷)を実行することができる。中央LED122は、プラテン39の走査方向に応じて、カラーインク、クリアインク、白インクの全てに光を照射することができる。つまり、中央にLEDを配置することで、複数のインクに対してLEDを共通化できる。
図13から図16を参照して、第二実施形態の印刷装置1が実行する印刷処理について説明する。印刷装置1は、印刷の実行指示を入力すると、ROM11に記憶されている印刷制御プログラムに従って印刷処理を実行する。第二実施形態における印刷処理は、第一実施形態における印刷処理(図4参照)と同じである。よって、以下では、第一制御処理(図13参照)、グロス第二制御処理(図14参照)、グロス第三制御処理(図15参照)、およびマット第二制御処理(図16参照)について詳細に説明する。
図13を参照して、第一制御処理について説明する。第一制御処理は、グロス調印刷およびマット調印刷の両方で共通して実行される。第一制御処理では、白インクヘッド135Wが「ON」とされる(S101)。カラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kが「OFF」とされる(S102)。クリアインクヘッド135Lが「OFF」とされる(S103)。プラテン39の主走査方向の進行方向が、図12に示すY1方向とされて、主走査が開始される(S104)。CPU10は、プラテン39を走査させつつ、印刷データに基づいて白インクヘッド135Wの動作を制御し、定められた画素に白インクを吐出させる。
走査中には、複数のLED121〜123のうちの中央LED122のみが、弱い照度で間引いて点灯される(S105)。詳細には、13個の中央LED122のうち、6個の中央LED122Aのみが、弱い照度で点灯される。これにより、吐出された白インクに照射する光の照射量を、白インクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さくする。その結果、白インクは、完全硬化した場合に比べて流動性を保った半硬化状態となり、平滑化が進行する。なお、S105の処理では、インクの流動性等に応じて、中央LED122Aの代わりに背面側LED121Aを点灯させることも可能である。
主走査が終了したか否かが判断される(S107)。終了していなければ(S107:NO)、S107の判断が繰り返される。主走査が終了すると(S107:YES)、点灯させていたLEDが消灯される(S108)。次いで、平滑化時間が経過したか否かが判断される(S109)。平滑化時間とは、白インクからなる半硬化状態のベース層61、71が平滑化されるために待機することが必要な時間である。平滑化時間は、インクの性質、温度、層の厚み等によって変化する。第二実施形態では、最適な平滑化時間が予め実験等によって算出され、ROM11に記憶されている。平滑化時間が経過するまで(S109:NO)、待機状態とされる。平滑化時間が経過すると(S109:YES)、処理は印刷処理(図4参照)へ戻る。
図14を参照して、グロス第二制御処理について説明する。グロス第二制御処理は、グロス調印刷を実行する設定が行われている場合に、第一制御処理の後で実行される。まず、白インクヘッド135Wが「OFF」とされる(S111)。カラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kが「ON」とされる(S112)。クリアインクヘッド135Lが「ON」とされる(S113)。プラテン39の主走査方向の進行方向が、図12に示すY2方向とされて、主走査が開始される(S114)。つまり、進行方向がそのまま反転される。よって、印刷装置1は、プラテン39を無駄に走査させることなく、カラーインクとクリアインクの印刷に移行することができる。印刷領域には、カラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kが先に侵入し、クリアインクヘッド135Lが後で進入する。印刷装置1は、主走査を行いつつカラーインクとクリアインクの同時印刷を行い、ベース層61の上にカラーインクとクリアインクを重ねる。
走査中には、背面側LED121の全てが強い照度で点灯される(S115)。よって、白インクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量(完全硬化用の照射量)で、平滑化されたベース層61に光が照射される。その結果、完全硬化したベース層61にカラーインクが吐出される。また、走査中には、中央LED122の全てが強い照度で点灯される(S116)。よって、カラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kから吐出されたカラーインクに、完全硬化用の照射量で光が照射される。また、正面側LED123のうち、6個の正面側LED123Aのみが、弱い照度で点灯される(S117)。よって、クリアインクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で、クリアインクに光が照射される。その結果、クリアインクからなる表面層63は半硬化状態となり、平滑化が進行する。
主走査が終了したか否かが判断される(S119)。終了していなければ(S119:NO)、S119の判断が繰り返される。主走査が終了すると(S119:YES)、点灯させていたLEDが消灯される(S120)。表面層63を平滑化させるための平滑化時間が経過するまで(S121:NO)、待機状態とされる。平滑化時間が経過すると(S121:YES)、処理は印刷処理(図4参照)へ戻る。
図15を参照して、グロス第三制御処理について説明する。グロス第三制御処理は、平滑化を進行させるために半硬化状態とした表面層63を完全硬化させるための処理である。グロス第三制御処理では、全てのインクヘッド135が「OFF」とされる(S131〜S133)。プラテン39の主走査方向の進行方向が、図12に示すY1方向とされて、主走査が開始される(S134)。つまり、進行方向がそのまま反転される。全てのLED121〜123が強い照度で点灯される(S135)。主走査が終了したか否かが判断される(S138)。終了していなければ(S138:NO)、S138の判断が繰り返される。主走査が終了すると(S138:YES)、全てのLED121〜S123が消灯されて(S139)、処理は印刷処理(図4参照)へ戻る。以上で、グロス調印刷による印刷物60(図5参照)が完成する。
図16を参照して、マット第二制御処理について説明する。マット第二制御処理は、マット調印刷を実行する設定が行われている場合に、第一制御処理(図13参照)の後で実行される。まず、白インクヘッド135Wが「OFF」とされる(S141)。カラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kが「ON」とされる(S142)。クリアインクヘッド135Lが「ON」とされる(S143)。プラテン39の主走査方向の移動方向が、図12に示すY2方向とされて、主走査が開始される(S144)。走査中には、全てのLED121〜123が強い照度で点灯される(S145)。従って、カラーインクおよびクリアインクは、吐出された直後に完全硬化されて、クリアインクからなる表面層73(図6参照)の表面はマット調となる。主走査が終了したか否かが判断される(S147)。終了していなければ(S147:NO)、S147の判断が繰り返される。主走査が終了すると(S147:YES)、全てのLED121〜S123が消灯されて(S148)、処理は印刷処理(図4参照)へ戻る。以上で、マット調印刷による印刷物70(図6参照)が完成する。
以上説明したように、第二実施形態の印刷装置1は、ラインヘッドであるインクヘッド135を用いて、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。つまり、印刷装置1は、白インクからなるベース層61、71を半硬化状態として平滑化を進行させた後に、同一の走査でカラーインクとクリアインクを印刷する同時印刷を行い、中間層62、72および表面層63、73を積層する。よって、印刷装置1は、光硬化型のインクを用いて3つのインクの層を重ねる場合に、インクの層の平滑化を効率よく行い短時間で高品質の印刷を実行することができる。クリアインクの使用量の増加も防止できる。ラインヘッドを使用するため、副走査方向の移動を行う必要が無く、印刷時間が大幅に短縮される。第二実施形態の印刷装置1も、第一実施形態と同様に、グロス調印刷とマット調印刷とを使い分けて、ユーザが所望する品質の印刷物を作成することができる。
第二実施形態において、白インクヘッド135Wが本発明の「第一ヘッド」に相当する。カラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kが「第二ヘッド」に相当する。クリアインクヘッド135Lが「第三ヘッド」に相当する。中央LED122が「第一照射手段」および「第二照射手段」に相当する。正面側LED123が「第三照射手段」に相当する。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、様々な変形が可能であることは言うまでもない。まず、図17を参照して、第二実施形態におけるヘッド保持機構134の変形例について説明する。変形例におけるヘッド保持機構234は、第二実施形態におけるヘッド保持機構134と同様に、カラーインクヘッド135K、カラーインクヘッド135C、カラーインクヘッド135M、カラーインクヘッド135Y、クリアインクヘッド135L、白インクヘッド135Wを後方から順に備える。しかし、変形例におけるヘッド保持機構234は、第一LED221〜第六LED226の6種類のLEDを備える。第一LED221は、カラーインクヘッド135Kの背面側に位置する。第二LED222は、カラーインクヘッド135Kとカラーインクヘッド135Cの間に位置する。第三LED223は、カラーインクヘッド135Cとカラーインクヘッド135Mの間に位置する。第四LED224は、カラーインクヘッド135Mとカラーインクヘッド135Yの間に位置する。第五LED225は、カラーインクヘッド135Yとクリアインクヘッド135Lの間に位置する。第六LED226は、白インクヘッド135Wの正面側に位置する。
変形例に示すように、各々のカラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kの各々の間にLEDを配置してもよい。この場合、複数色のカラーインクの各々をより確実に硬化させて、インクが滲むことを防止することができる。なお、変形例のヘッド保持機構234を用いる場合、CPU10は、第一LED221〜第四LED224を、第二実施形態における背面側LED121として処理を行えばよい。第五LED225を、第二実施形態における中央LED122として処理を行えばよい。第六LED226を、第二実施形態のける正面側LED123として処理を行えばよい。
上記実施形態はその他の変更も可能である。例えば、第二実施形態では、ラインヘッドが搭載されたヘッド保持機構134に対して記録媒体を主走査方向に2回移動させる(1往復させる)過程で、3つの層が積層される。しかし、ヘッド保持機構134の構成を変更すれば、主走査方向の1回の走査で3つの層を積層させることも可能である。この場合、例えば、ヘッド保持機構134におけるインクヘッド135の配置を、走査方向の下流側から順に、白インクヘッド135W、カラーインクヘッド135C、135M、135Y、135K、およびクリアインクヘッド135Lとする。さらに、白インクからなるベース層61、71を平滑化させる時間を確保するために、白インクヘッド135Wとカラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kとの間の距離を、他のインクヘッド135間の距離よりも長くする。白インクヘッド135Wとカラーインクヘッド135C、135M、135Y、135Kとの間に設けたLEDを、半硬化用の照射量で点灯させる。クリアインクヘッド135Lの下流側のLEDを、完全硬化用の照射量で点灯させる。クリアインクヘッド135Lの上流側のLEDは、設定された印刷方法(グロス調印刷またはマット調印刷)に応じて照射量を変化させる。以上の構成とすることで、印刷装置1は、ベース層61、71を平滑化しつつ、1回の走査で3つの層を積層することができる。つまり、本発明は、少なくともカラーインクとクリアインクを同一の走査で吐出させれば実現できる。よって、全てのインクを同一の走査で吐出させる場合でも、本発明の実現は可能である。
第一実施形態におけるキャリッジ34の構成も変更できる。例えば、第一実施形態のキャリッジ34は、白インクヘッド35Wとクリアインクヘッド35Lを主走査方向に並べて配置する。よって、白・クリア用LED25〜28の光を、白インクとカラーインクの両方に照射することができる。しかし、白インクヘッド35Wとクリアインクヘッド35Lとが主走査方向に並べて配置されていない場合でも、本発明は適用できる。例えば、白インクヘッド35Wと、カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kとを主走査方向に並べてもよい。カラーインクヘッド35C、35M、35Y、35Kが副走査方向に沿って白インクヘッド35Wとクリアインクヘッド35Lの間に挟まれるように、インクヘッド35を配置してもよい。
第一実施形態の印刷装置1は、主走査方向におけるインクヘッド35の上流側および下流側にLED21〜28を配置するため、双方向印刷を行うことができる。しかし、双方向印刷を行わない場合には、インクヘッド35の上流側および下流側の一方にLEDを配置してもよい。第一実施形態のキャリッジ34は、各色のインクを吐出するインクヘッド35を1つずつ備えるが、同一色のインクを吐出するインクヘッド35を複数備えてもよい。例えば、印刷装置1は、白インクヘッド35Wおよびクリアインクヘッド35Lの少なくとも一方をキャリッジ34に複数搭載することで、大量のインクを容易に記録媒体に吐出することができる。
第一実施形態の印刷装置1は、1つのキャリッジ34に全てのインクヘッド35を搭載する。従って、部品点数の減少、コストの減少、装置の小型化、整備の容易化等の多数の効果が得られる。しかし、本発明は、複数のキャリッジを備えた印刷装置でも実現可能である。例えば、白インクを吐出するインクヘッドのみを備えたキャリッジと、カラーインクおよびクリアインクを吐出するインクヘッドを備えたキャリッジとを、別々に印刷装置に搭載してもよい。
第一実施形態および第二実施形態では、複数のLEDを互い違いに配置することで、光をより均等にインクに照射する。しかし、LEDの配置を変更しても、本発明は実現できる。また、第一実施形態および第二実施形態では、LEDの光の照射量を半硬化用の照射量とする場合、点灯させるLEDの数を減少させて、且つ各LEDの照度を減少させる。しかし、印刷装置1は、LEDの数の減少、および各LEDの照度の減少のいずれか一方によって、照射量を調整してもよい。また、LEDとインクの距離、照射時間等を調整することで、照射量を調整してもよい。
第一実施形態および第二実施形態では、表面層63、73を形成するインクに、光透過性を有するクリアインクが用いられる。従って、凹凸が存在する中間層62、72の上にクリアインクが吐出されても、印刷品質にはほぼ影響を与えない。よって、印刷装置1は、白インクを平坦化させつつ、カラーインクとクリアインクの同時印刷を行うことで、効率よく高品質の印刷を実行できる。しかし、本発明は、表面層63、73を形成するインクにクリアインクを用いない場合にも適用できる。この場合でも、印刷装置1は、ベース層61、71の凹凸が表面層63、73まで悪影響を与える可能性を低下させて、高品質の印刷を実行することができる。また、クリアインクを用いる場合、使用するクリアインクは光透過性を有していれば良いため、有色であってもよい。また、ベース層61、71および中間層62、72を形成するインクも変更することができる。つまり、本発明は、3つの層を積層させる印刷装置であれば適用でき、インクの種類は適宜変更できる。
第一実施形態および第二実施形態では、カラーインクがベース層61、71の上に吐出される直前に、カラーインクヘッドよりも下流側のLEDによって、半硬化状態のベース層61、71が完全硬化される。しかし、印刷装置1は、半硬化状態のベース層61、71にカラーインクを直接吐出させてもよい。この場合、カラーインクヘッドよりも下流側のLEDを消灯させればよい。なお、印刷画像の中に部分的にぼかしの処理を行う場合がある。記録媒体の地色、背景色を生かすように、部分的に透明処理を行う場合もある。このような場合でも、本発明は適用できる。つまり、ベース層61、71が部分的に形成されていない領域では、記録媒体上に中間層62、72が直接形成されてもよい。ベース層61、71が形成されている領域に、中間層62、72が部分的に形成されなくてもよい。その他、ベース層61、71、中間層62、72、表面層63、73のうちのいずれかの層が部分的に形成されていなくてもよいし、いずれかの層だけが部分的に形成されていてもよい。
第一実施形態では、第一制御処理(図7参照)によって白インクが吐出された後、副走査方向の進行方向が反転されて、第二制御処理(図8および図10参照)によってベース層61、71が平滑化される。従って、副走査方向の進行方向を反転させる間にベース層61、71の平滑化が進行するため、半硬化時間を待機する処理は行われていない。しかし、印刷装置1は、白インクの平滑化の速度等に応じて、第二制御処理による走査(つまり、ベース層61、71の完全硬化)を所定時間待機してもよい。グロス第三制御処理(図9参照)による走査についても同様に待機時間を設けてもよい。
1 印刷装置
10 CPU
11 ROM
15 記録媒体
21〜24 カラー用LED
25〜28 白・クリア用LED
34 キャリッジ
35、135 インクヘッド
35W、135W 白インクヘッド
35L、135L クリアインクヘッド
35C、35M、35Y、35K、135C、135M、135Y、135K カラーインクヘッド
36 ノズル
39 プラテン
46 主走査モータ
47 副走査モータ
60、70 印刷物
61、71 ベース層
62、72 中間層
63、73 表面層
121 背面側LED
122 中央LED
123 正面側LED
134、234 ヘッド保持機構
221〜226 LED

Claims (10)

  1. 光が照射されることで硬化する光硬化型のインクを吐出する複数のインクヘッドを備え、記録媒体に対する前記複数のインクヘッドの位置を相対的に移動させて印刷を実行する印刷装置であって、
    前記記録媒体の印刷領域に第一インクを吐出する前記インクヘッドである第一ヘッドと、
    前記印刷領域に第二インクを吐出する前記インクヘッドである第二ヘッドと、
    前記印刷領域に第三インクを吐出する前記インクヘッドである第三ヘッドと、
    前記第一ヘッド、前記第二ヘッド、および前記第三ヘッドの前記記録媒体に対する位置を相対的に移動させる移動手段と、
    前記第一ヘッドから吐出された前記第一インクが付着した前記印刷領域に、前記第二ヘッドおよび前記第三ヘッドから同一の走査で吐出される前記第二インクおよび前記第三インクが、前記第二インクおよび前記第三インクの順で付着するように、前記移動手段を制御する移動制御手段と、
    前記第一ヘッドから吐出された前記第一インクに光を照射する第一照射手段と、
    前記第二ヘッドから吐出された前記第二インクに光を照射する第二照射手段と、
    前記第三ヘッドから吐出された前記第三インクに光を照射する第三照射手段とを備え、
    前記第一照射手段は、前記第一インクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で前記第一インクに光を照射し、
    前記第二照射手段は、前記第二インクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で前記第二インクに光を照射することを特徴とする印刷装置。
  2. 光硬化型のインクを記録媒体に吐出する複数のインクヘッドと、
    前記インクヘッドから前記記録媒体に吐出された前記インクに光を照射する照射手段と、
    前記記録媒体に対する前記インクヘッドおよび前記照射手段の相対的な位置を、前記インクヘッドが備える複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向、および、前記主走査方向に垂直な副走査方向に移動させることで、前記インクヘッドおよび前記照射手段を走査させる走査手段と
    を備え、
    前記複数のインクヘッドに、
    積層される複数の前記インクの層のうち、前記記録媒体上に直接形成されるベース層を形成するベースインクを吐出するベースインクヘッドと、
    前記複数のインクの層のうち、前記ベース層上に形成される中間層を形成する中間インクを吐出する中間インクヘッドと、
    前記複数のインクの層の最も表面側に位置する表面層を形成する表面インクを吐出する表面インクヘッドと
    を含む印刷装置であって、
    前記走査手段による走査を実行しつつ、前記ベースインクヘッドから前記ベースインクを吐出させると共に、吐出された前記ベースインクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で前記照射手段による光の照射を実行させることで、前記ベース層を形成する第一制御手段と、
    前記表面インクヘッドが前記中間インクヘッドよりも前記記録媒体に対する前記副走査方向の移動方向の後方に位置する状態で前記走査手段による走査を実行しつつ、前記ベース層上に前記中間インクヘッドおよび前記表面インクヘッドから前記インクを吐出させると共に、吐出された全ての前記インクに前記照射手段による光の照射を実行させることで、前記ベース層に前記中間層および前記表面層を積層する第二制御手段と
    を備えたことを特徴とする印刷装置。
  3. 前記表面インクは、光透過性を有するクリアインクであることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
  4. 前記第二制御手段は、前記中間インクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で前記中間インクへの光の照射を実行し、且つ、前記表面インクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で前記表面インクへの光の照射を前記照射手段によって実行し、
    前記第二制御手段による動作が実行された後に、前記走査手段による走査を実行しつつ、前記表面インクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で前記照射手段による光の照射を実行させる第三制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の印刷装置。
  5. 前記第二制御手段は、前記中間インクおよび前記表面インクを完全硬化させるために必要な照射量以上の照射量で、前記中間インクおよび前記表面インクの各々に対する光の照射を前記照射手段によって実行することを特徴とする請求項2または3に記載の印刷装置。
  6. 前記インクヘッドが備える複数のノズルの配列方向が前記主走査方向に交差するように前記インクヘッドを配置すると共に、前記インクヘッドおよび前記照射手段を前記主走査方向に沿って並べて搭載するキャリッジをさらに備えたことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の印刷装置。
  7. 前記キャリッジは、前記主走査方向における前記インクヘッドの上流側および下流側の各々に前記照射手段を搭載することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
  8. 1つの前記キャリッジが、前記ベースインクヘッド、前記中間インクヘッド、および前記表面インクヘッドを搭載し、
    前記ベースインクヘッドおよび前記表面インクヘッドは前記主走査方向に沿って並べて配置され、且つ、前記ベースインクヘッドと前記表面インクヘッドを通る直線と、前記中間インクヘッドを通り前記主走査方向に延びる直線とが異なることを特徴とする請求項6または7に記載の印刷装置。
  9. 前記第二制御手段は、前記第一制御手段によって制御される副走査の方向とは逆の方向を、前記走査手段による副走査の方向とすることを特徴とする請求項8に記載の印刷装置。
  10. 光硬化型のインクを記録媒体に吐出する複数のインクヘッドと、
    前記インクヘッドから前記記録媒体に吐出された前記インクに光を照射する照射手段と、
    前記記録媒体に対する前記インクヘッドおよび前記照射手段の相対的な位置を、前記インクヘッドが備える複数のノズルの配列方向と交差する主走査方向、および、前記主走査方向に垂直な副走査方向に移動させることで、前記インクヘッドおよび前記照射手段を走査させる走査手段と
    を備え、
    前記複数のインクヘッドに、
    積層される複数の前記インクの層のうち、前記記録媒体上に直接形成されるベース層を形成するベースインクを吐出するベースインクヘッドと、
    前記複数のインクの層のうち、前記ベース層上に形成される中間層を形成する中間インクを吐出する中間インクヘッドと、
    前記複数のインクの層の最も表面側に位置する表面層を形成する表面インクを吐出する表面インクヘッドと
    を含む印刷装置で実行される印刷方法であって、
    前記走査手段による走査を実行しつつ、前記ベースインクヘッドから前記ベースインクを吐出させると共に、吐出された前記ベースインクを完全硬化させるために必要な照射量よりも小さい照射量で前記照射手段による光の照射を実行させることで、前記ベース層を形成する第一制御ステップと、
    前記表面インクヘッドが前記中間インクヘッドよりも前記記録媒体に対する前記副走査方向の移動方向の後方に位置する状態で前記走査手段による走査を実行しつつ、前記ベース層上に前記中間インクヘッドおよび前記表面インクヘッドから前記インクを吐出させると共に、吐出された全ての前記インクに前記照射手段による光の照射を実行させることで、前記ベース層に前記中間層および前記表面層を積層する第二制御ステップと
    を実行することを特徴とする印刷方法。
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