JP2013188946A - 金属板被覆用積層ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム被覆金属板、及びポリエステルフィルム被覆金属缶 - Google Patents

金属板被覆用積層ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム被覆金属板、及びポリエステルフィルム被覆金属缶 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム製膜性が良好であるとともに、製缶時の絞り・しごき加工工程にてフィルムの破断(ヘアー)、削れ(カジリ)が生じにくく、缶内へ内容物が封入されて製品化された後、落下、外部衝撃(デント)を与えられてもフィルム面が破損せず金属缶の腐食が生じにくい(耐デント性)、といった各種特性に優れた金属板被覆用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】(A)特定量のイソフタル酸成分を有するエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂層と、(B)エチレンテレフタレートを主体とする低分子量のエステルオリゴマーと、特定の分子量をもつダイマー酸由来のポリエステルポリオールとをランダム共重合反応させたポリエステル樹脂層とを積層しててなる2層構造を有することを特徴とする金属板被覆用積層ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属板被覆用ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム被覆金属板、及びポリエステルフィルム被覆金属缶、特に、フィルム製膜性が良好であるとともに、製缶過程での耐破損性や製品化後の耐衝撃性に優れた金属板被覆用ポリエステルフィルムに関する。
従来より、金属缶の内外面には腐食防止を目的として塗料が塗布されていたものの、人体への有害性、環境への悪影響、長時間の乾燥による生産性悪化などの理由から、スチール、ブリキ、アルミニウム等の金属板にポリエステル系フィルムを加熱、加圧によりラミネートし、その後製缶することが検討されてきた。一方、飲料缶には、金属板を円筒状に丸めて溶接により円筒成形し、その後、上下の開口部に蓋を取り付ける3ピース缶と呼ばれるものと、金属板を絞り及びしごき成形して容器を成形し、上面開口部に蓋体を巻き締め加工する2ピース缶と呼ばれるものとがある。
ここで、ポリエステル系フィルムをラミネートした金属板を用いて、2ピース缶を製造しようとすると、金属板への密着不足によってフィルムの剥がれ(デラミネート)が生じたり、金属缶外面用のフィルムとした場合、絞り・しごき加工工程においてフィルムの破断(ヘアー)、削れ(カジリ)が生じたり、あるいは金属缶内面用のフィルムとした場合、缶内へ内容物が封入されて製品化された後の落下、外部衝撃(デント)によってフィルム面が傷つき金属缶に腐食が生じてしまうといった問題があった。さらに、2ピース缶の成形過程において、潤滑剤の揮発や印刷インクの乾燥など、いくつかの加熱工程を経る間に、ラミネートされたポリエステル系フィルムの結晶化が促進されて脆くなるため、乾燥後は急冷して非晶状態を保つ必要があるなど、工程面でも煩雑で効率が悪いという問題があった。
これらの問題を解決するため、例えば、ポリエステル樹脂に対して、柔軟成分としてポリテトラメチレンテレフタレート―ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合ポリエステル(PBT−PTMG)、及びポリエチレンワックスを配合することが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この樹脂組成を用いたフィルムでは、デラミネート、及びヘアー、カジリの問題は改善されるものの、内容物封入後のデントによってフィルムの亀裂が生じ、炭酸飲料やスポーツ飲料用途では、特に金属缶の腐食が発生しやすいという問題が残ってしまう。さらに、PBT−PTMG樹脂は結晶化速度が速く、成形過程の加熱によって結晶化が促進してしまうため、非晶状態を保つために加熱乾燥後の急冷処理が必須であり、専用の冷却設備が必要であるため、工程面でも煩雑で効率が悪いという問題もあった。
また、ポリエステル樹脂に対して、柔軟成分として炭素数36のダイマー酸を特定量含む共重合ポリエステル樹脂も提案されている(特許文献2〜4参照)。しかし、この樹脂組成を用いたフィルムの場合にも、ヘアー、カジリは改善されるものの、外部衝撃による耐デント性は未だ不十分であり、金属缶の内外面保護用の樹脂フィルムとしては満足のいくものではなかった。
他方、ポリエステルエラストマーとして、芳香族ポリエステルと、ダイマー酸とブタンジオールからなる脂肪族ポリエステルとを共重合させて得られたブロック共重合体が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、この樹脂組成を用いた場合、ハードセグメントとして数平均分子量が5000〜3000の高分子量化した芳香族ポリエステルを使用しているため、得られる共重合体は、ハードセグメントとソフトセグメントとに分かれたブロック状の構造となり、白濁した外観となってしまう。また、この共重合体を他のポリエステル樹脂と混合してシートあるいはフィルムを成形しようとすると、相溶性に乏しいため、溶融押出の際にサージング現象(吐出不安定現象)が発生してしまい、シートあるいはフィルムを成形することができないという問題もあった。
特開2006−199915号公報 特許3303999号公報 特許3304000号公報 特許3304003号公報 特開2005−60645号公報
本発明は、前記従来技術の課題を解決する目的で行われたものである。すなわち、本発明の解決すべき課題は、フィルム製膜性が良好であるとともに、製缶時の絞り・しごき加工工程にてフィルムの破断(ヘアー)、削れ(カジリ)が生じにくく、缶内へ内容物が封入されて製品化された後、落下、外部衝撃(デント)を与えられてもフィルム面が破損せず金属缶の腐食が生じにくい(耐デント性)、といった各種特性に優れた金属板被覆用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、(A)特定量のイソフタル酸成分を有するエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂層と、(B)エチレンテレフタレートを主体とする低分子量のエステルオリゴマーと、特定の分子量をもつダイマー酸由来のポリエステルポリオールとをランダム共重合反応させたポリエステル樹脂層とを積層して得られた2層構造の積層ポリエステルフィルムが、フィルム製膜性が良好であるとともに、製缶時の破断、削れが少なく、さらに耐デント性にも優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる金属板被覆用ポリエステルフィルムは、
(A)テレフタル酸成分を85〜97モル%、イソフタル酸成分を15〜3モル%含有するジカルボン酸単位とエチレングリコール成分を90モル%以上含有するジオール単位とからなる共重合ポリエステル樹脂を含む樹脂層と、
(B)テレフタル酸成分を70モル%以上含有するジカルボン酸単位とエチレングリコール成分を70モル%以上含有するジオール単位とからなり数平均分子量700以下のエステルオリゴマー50〜93質量%と、水添ダイマー酸単位と、1,4−ブタンジオール単位とからなり数平均分子量1500〜3000のポリエステルポリオール7〜50質量%とを構成単位とする共重合ポリエステル樹脂を含む樹脂層と
を積層してなる2層構造を有することを特徴とするものである。
また、前記金属板被覆用積層ポリエステルフィルムにおいて、(A)層の厚さが4〜20μm、(B)層の厚さが4〜20μmであることが好適である。
また、本発明にかかるポリエステルフィルム被覆金属板は、金属板の表面から順に(B)層、(A)層となるように、前記金属板被覆用積層ポリエステルフィルムが金属板の表面上に被覆されていることを特徴とするものである。
また、本発明にかかるポリエステルフィルム被覆金属缶は、前記ポリエステルフィルム被覆金属板により形成されてなることを特徴とするものである。
本発明にかかる金属板被覆用積層ポリエステルフィルムは、フィルム製膜性が良好であるとともに、製缶時の絞り・しごき加工工程にてフィルムの破断(ヘアー)、削れ(カジリ)が生じにくく、さらに缶内へ内容物が封入されて製品化された後、落下、外部衝撃(デント)を与えられてもフィルム面が破損せず金属缶の腐食が生じにくい(耐デント性)、といった各種特性に優れている。
本発明にかかる金属板被覆用積層ポリエステルフィルムは、特定構造の共重合ポリエステル樹脂を含む(A)層と、該(A)層とは異なる特定構造の共重合ポリエステル樹脂を含む(B)とを積層してなる2層構造を有することを特徴とするものである。
(A)層
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、(A)層に用いられる共重合ポリエステル樹脂は、テレフタル酸成分を85〜97モル%、イソフタル酸成分を15〜3モル%含有するジカルボン酸単位とエチレングリコール成分を90モル%以上含有するジオール単位とからなるものである。すなわち、(A)層の共重合ポリエステル樹脂は、主としてエチレンテレフタレートからなり、少なくともイソフタル酸成分3〜15モル%が共重合されているものである。ここで、イソフタル酸成分が15モル%を超えると、製缶時に缶の内面フィルムが成形工具のパンチに密着しすぎて、パンチが離れる際に成形された缶が内外面反転するストリップ不良という現象が散見され好ましくない。一方で、3モル%未満ではフィルムにしなやかさがなく、缶体の成形時に表面に微細なクラックが生じ、結果的に飲料中のフレーバー成分が収着しやすくなり好ましくない。
(A)層の共重合ポリエステル樹脂においては、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分以外のジカルボン酸単位が、金属板へのラミネート性、金属缶の特性を損なわない範囲、例えば、10モル%以下の範囲で含まれていてもよい。このようなジカルボン酸単位としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,12−ドデカン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
また、(A)層の共重合ポリエステル樹脂においては、エチレングリコール成分以外のジオール単位が、10モル%以下の範囲で含まれていてもよい。このようなジオール単位としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール等が挙げられ、これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
(A)層の共重合ポリエステル樹脂は、上記ジカルボン酸成分とジオール成分とを、公知の方法でエステル化反応させることによって得られる。例えば、ジカルボン酸成分の末端にメチル基が付加された出発物質を用いて触媒添加によりジオール成分とエステル交換反応を行う方法や、末端未修飾のジカルボン酸成分を出発物質としてジオール成分と直接エステル化反応を行なう方法が挙げられる。あるいは、市販のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用してもよく、市販品としては、例えば、IP121B,PIFG8,PIFG10(いずれもベルポリエステルプロダクツ社製)等が挙げられる。また、(A)層の共重合ポリエステル樹脂の極限粘度は、特に限定されるものではないが、0.7〜0.9であることが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、(A)層の厚さは、特に限定されるものでは無いが、少なくとも4μm以上であることが望ましく、より好ましくは4〜20μmである。(A)層の厚さが4μm未満では、製缶工程で受ける熱によって(B)層の溶融の影響を受けて(A)層に穴がクレーター状に開いて外観の平滑性を損ね、内面欠点検査機の検出能力を低下させてしまう場合がある。
(B)層
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、(B)層に用いられる共重合ポリエステル樹脂は、テレフタル酸成分を70モル%以上含有するジカルボン酸単位とエチレングリコール成分を70モル%以上含有するジオール単位とからなり数平均分子量700以下のエステルオリゴマー50〜93質量%と、水添ダイマー酸単位と、1,4−ブタンジオール単位とからなり数平均分子量1500〜3000のポリエステルポリオール7〜50質量%とを構成単位とするものである。
〈エステルオリゴマー〉
(B)層の共重合ポリエステル樹脂に使用されるエステルオリゴマーにおいて、ジカルボン酸単位は、テレフタル酸単位を70モル%以上含有するものである。なお、ジカルボン酸単位の全量がテレフタル酸単位であってもかまわない。テレフタル酸単位が70モル%未満であると、金属缶の成形段階でヘアーが発生しやすくなる傾向にある。テレフタル酸以外のジカルボン酸成分は、金属板へのラミネート性、金属缶成形時の特性を損なわない範囲で、30モル%未満の範囲で含有していてもよい。例えば、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,12−ドデカン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。また、これらのうち、共重合ポリエステル樹脂の結晶性の制御による耐デント性の向上の点から、例えば、イソフタル酸を1〜30モル%程度の範囲で好適に用いることができる。
また、ジオール単位は、エチレングリコール単位を70モル%以上含有するものである。なお、ジオール単位の全量がエチレングリコール単位であってもかまわない。エチレングリコール単位が70モル%未満であると、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とブレンドしてフィルムに用いる場合に、相溶性が乏しく、耐デント性が不良となる場合がある。エチレングリコール以外のジオール成分は30モル%未満の範囲で含有していてもよく、例えば、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロへキサンジメタノール等があげられ、これらを単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
本発明に使用されるエステルオリゴマーの数平均分子量は700以下であり、好ましくは、300〜700である。数平均分子量700以下のエステルオリゴマーを使用して共重合反応を行うことで、ポリエステルポリオールが高分子鎖中にランダムに結合され、外観が透明な共重合ポリエステル樹脂が得られる。また、得られた共重合ポリエステル樹脂は、他の樹脂との相溶性が良好なため、溶融押出を行った際にサージング現象(吐出不安定現象)等の問題が発生せず、安定に製膜することができる。
一方で、例えば、数平均分子量が700を超え、1000付近のエステルオリゴマーを使用すると、さらなるポリエステルポリオールとの共重合反応において、重合反応の頭打ちが生じるため、例えば、極限粘度が0.7〜0.9程度の高粘度の共重合ポリエステル樹脂が得られない。また、数平均分子量が5000を超えるようなポリエステルを使用すると、重合反応の頭打ち現象が生じることなく、高分子の共重合ポリエステル樹脂が得られるものの、得られる共重合ポリエステル樹脂は、エステル単位の分子量が大きいため、−A−B−型のブロック状共重合体となってしまい、相分離により樹脂の外観が白濁してしまう。さらに、このようなブロック状共重合体は、他の樹脂との相溶性に乏しいため、溶融押出の際にサージング現象(吐出不安定現象)が発生してしまい、シートあるいはフィルムを成形することができないという問題もある。
エステルオリゴマーは、テレフタル酸を主とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主とするジオール成分とを、公知の方法でエステル化反応させることによって得られる。例えば、ジカルボン酸成分の末端にメチル基が付加された出発物質を用いて触媒添加によりジオール成分とエステル交換反応を行いオリゴマーを得る方法や、末端未修飾のジカルボン酸成分を出発物質としてジオール成分と直接エステル化反応によりオリゴマーを得る方法が挙げられる。
エステルオリゴマーの製造においては、例えば、反応温度230〜250℃にて所定のエステル化率に到達した後、得られた全オリゴマーに対して3〜10質量%のジオール(エチレングリコール)を系内に投入し、内温を230〜250℃に維持した状態で30分〜1時間程度、解重合反応を行なうことが望ましい。エステル化反応後、ジオール(エチレングリコール)を用いた解重合反応を行うことによって、エステルオリゴマーの数平均分子量を700以下に調整することが可能となる。一方、解重合反応を行わない場合、通常の条件では、エステルオリゴマーの数平均分子量が700を超える高いものとなってしまう。あるいは、解重合反応を行わない場合、ジオール成分のジカルボン酸成分に対するモル比を1.25〜1.60の高い範囲とすることによって数平均分子量を700以下に制御することもできるが、ジオール成分のモル比が1.25未満であると、数平均分子量が700を超えてしまう。
〈ポリエステルポリオール〉
(B)層の共重合ポリエステル樹脂に使用されるポリエステルポリオールは、ジカルボン酸単位が水添ダイマー酸単位からなるものである。ダイマー酸とは、オレイン酸やリノール酸といった炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られた炭素数36のジカルボン酸化合物である。二量化後に残存する不飽和二重結合が水素添加によって飽和化されたダイマー酸が水添ダイマー酸であり、ポリエステルポリオールのジカルボン酸単位は、この水添ダイマー酸単位からなる。なお、通常、水添ダイマー酸は、直鎖分岐構造化合物、脂環構造等を持つ化合物の混合物として得られ、その製造工程によりこれらの含有率は異なるものの、本発明においてこれらの含有率は特に限定されない。また、ポリエステルポリオールのジオール単位は、1,4−ブタンジオール単位からなる。なお、ポリエステルポリオールの末端は、いずれも1,4−ブタンジオール単位に由来する水酸基である。
ポリエステルポリオールの数平均分子量は1500〜3000であり、好ましくは1800〜2500である。平均分子量がこの範囲であれば、共重合時の反応性に優れ、且つ得られた共重合ポリエステル樹脂の金属板被覆用フィルムとしての性能も優れる。これに対して、平均分子量が1500未満の場合、共重合時の反応性は良好であるものの、フィルム被覆金属缶の耐デント性に劣る傾向がある。一方で、平均分子量が3000を超える場合、共重合時の反応性が悪く、所望の分子量の共重合ポリエステル樹脂が得られない場合がある。
ポリエステルポリオールは、水添ダイマー酸単位と、1,4−ブタンジオール単位とを、公知の方法でエステル化反応させることによって得ることができるものの、末端が水酸基となるように反応時のモル比をそれぞれ調整する必要がある。あるいは、ポリエステルポリオールとして、市販品を使用してもかまわない。例えば、水添ダイマー酸と1,4−ブタンジオールからなる数平均分子量2200のポリエステルポリオールとして、Priplast3199(クローダ社製)が市販されている。また、その他のポリエステルポリオールの市販品として、Priplast3162,3192,3196,2101,2104(いずれもクローダ社製)等が入手可能である。
(B)層の共重合ポリエステル樹脂は、エステルオリゴマー50〜93質量%と、ポリエステルポリオール7〜50質量%とを共重合反応させることによって得られる。ここで、ポリエステルポリオールの全ポリマー中に占める含有量は7〜50質量%であり、好ましくは15〜35質量%である。ポリエステルポリオールの含有量が上記範囲であれば、共重合反応性に優れているとともに、特にフィルム被覆金属缶としての耐デント性に優れている。さらに、ポリエステルポリオールが高分子鎖中にランダムに結合された共重合ポリエステル樹脂が得られるため、外観が無色透明あるいは淡黄色透明となる。他方、ポリエステルポリオールの含有量が7質量%未満であると、に耐デント性が劣り、50質量%を超えると、共重合反応性に劣るとともに、得られた共重合ポリエステル樹脂において、ポリエステルポリオールの相分離が生じ、白濁した外観となる場合がある。
エステルオリゴマーとポリエステルポリオールとの共重合反応は、従来公知の方法で行うことができ、例えば、各成分を添加した反応系内を大気圧から徐々に減圧して133.3Pa以下の高真空下として一連の反応を行うことができる。反応時の温度は、250〜270℃の間で制御することが望ましく、270℃を超えると、共重合反応の後半に劣化による粘度低下が発生し、250℃未満では共重合反応が進行しない場合がある。また、共重合反応に使用する重合触媒としては、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム、チタン化合物等が用いることができ、これらのうち、反応性、安全性、価格の面から、テトラブチルチタネートやテトライソプロポキシチタネート等のチタン化合物を用いることが好ましい。また、(B)層の共重合ポリエステル樹脂の極限粘度は、特に限定されるものではないが、0.7〜0.9であることが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、(B)層の厚さは、特に限定されるものでは無いが、4〜20μmであることが好ましい。(B)層の厚さが4μm未満では、耐デント性の改善が十分で無い場合があり、一方で、20μmを超えても耐デント性はそれ以上改善されないため、経済的に不利である。
また、本発明に使用される(A)層、(B)層の共重合ポリエステル樹脂において、溶融押出フィルムを成形する場合の冷却ロールへの静電密着性を安定させるために、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム等の金属塩を添加することも可能である。さらに、フィルムロールのブロッキング防止剤として、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の不活性粒子を適量配合することも可能であり、不活性粒子の平均粒径は1.0〜4.0μmが好ましい。1.0μm未満ではアンチブロッキング性に劣り、4.0μmを超えると磨耗による粒子の脱落やフィルム延伸時の破断が生じる場合がある。
また、本発明に使用される(A)層、(B)層の共重合ポリエステル樹脂には、必要に応じて熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有していてもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等があるが、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。また、これら酸化防止剤の数種類を組み合わせても添加してもよく、含有量は100〜5000ppmが好ましい。
本発明にかかる積層ポリエステルフィルムは、上記各(A)層、(B)層の共重合ポリエステル樹脂を、公知の方法によって積層することによって得られる。例えば、(A)層の共重合ポリエステル樹脂と(B)層の共重合ポリエステル樹脂とを、それぞれ個別の押出機に投入し1つのダイから同時に共押出する方法(コエクストルージョンラミネート)や、あるいは、予めTダイ法やインフレーション法によって製造した(A)層(あるいは(B)層)のフィルムを送り出しながら、その表面上に他方の(B)層(あるいは(A)層)の共重合ポリエステル樹脂を溶融押出し、冷却固化する方法(エクストルージョンラミネート)等が挙げられる。また、本発明にかかる積層ポリエステルフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、(A)、(B)層の合計で8〜40μmであることが好ましい。
また、本発明にかかる積層ポリエステルフィルムは、金属板の表面から順に(B)層、(A)層となるように、金属板の表面上に被覆される。金属板の種類は、特に限定されるものではないが、鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等が使用される。鋼板は、板厚や引張破断強度等の機械的特性によって限定されるものではなく、通常、製缶用鋼板として使用されているもの、より具体的には、絞り缶用、絞り・しごき缶用、薄肉化深絞り缶用などに用いられている鋼板が使用される。アルミニウム板やアルミニウム合金板についても、同様に、板厚や引張破断強度等の機械的特性によって特に限定されるものではなく、通常、製缶用アルミニウム板として使用されているもの、より具体的には絞り・しごき缶用などに用いられているアルミニウム板が使用される。アルミニウム板やアルミニウム合金板は、表面処理が施されていてもよく、リン酸クロメート処理やその他の化成処理が施されたものを適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種特性値は、以下に示す方法で評価したものである。
(1)極限粘度(dl/g)
実施例及び比較例にて得られた各種共重合ポリエステル樹脂を、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒に溶解し、ウベローデ粘度管を装着した自動粘度測定装置(サン電子工業製 ALC−6C)を用いて、20℃にて溶液粘度を測定した。
(2)各工程の成形性評価(製膜性,ラミネート性,製缶性)
φ35mmの短軸押出機へと(A)層のイソフタル酸共重合ポリエステル樹脂を投入し、これとは別にφ35mmの短軸押出機へ(B)層の共重合ポリエステル樹脂を投入した。Tダイを装備したシート製膜機を用い、(A)層、(B)層の共重合ポリエステル樹脂を共押出し、250℃にて幅350mm、厚み80μmの2層シートを製膜した。この際、Tダイから樹脂が脈動しながら出てくるとシートの厚さが不均一になることから、このような場合の製膜性の評価は×とした。
つづいて、縦1軸延伸機にて延伸部ロール表面温度85〜100℃で、4倍に延伸し端面をカット後、幅190mm、厚み20μmの1軸延伸ロールフィルムを採取した。この後、(B)層がアルミ板側になるように190℃の温度で、リン酸クロメート化成処理を施した厚さ0.28mmのアルミニウム合金板の両面にラミネートし、240℃で当該アルミ板上のフィルムを一旦溶かし、60℃以下に冷却して巻き取った。なお、フィルムを加熱溶解した際に突沸が生じると、気泡によりフィルム表面がざらついてしまうことから、このような場合のラミネート性の評価を×とした。
以上で得られたラミネート板からφ143のブランクを切り出し、φ66mmのパンチでカップ成形後、3段階のダイスでしごき、缶胴の薄い部分の壁厚を0.105mmとし、缶の高さが127mmになるようトリミング処理を行い、その後印刷・塗装を施し、フィルムの融点以上の240℃で焼き付けると同時に、成形時に不可避的に発生する缶高さ方向の配向を消滅させて、急冷処理を施すことなく自然冷却した後、ネック加工、フランジ加工を施して2ピース缶を得た。なお、パンチでのカップ成形の際にフィルムがパンチ内面に密着してしまうと、パンチが離れた際に缶の内外面の反転が発生するストリップ現象が生じることから、このような場合の製缶性の評価を×とした。また、缶の成形は可能であるものの、外観が不良のものについては製缶性の評価を△とした。
(3)フィルム被覆金属缶の製缶工程におけるヘアー、カジリ評価
以上の一連の金属缶製缶工程において、フィルム表面がダイスによるシゴキにより傷つけられた場合に、成形方向に発生する傷をカジリとし、また、その傷によって缶端面に発生したヒゲ状のフィルム切れ端をヘアーとし、それぞれの発生頻度が全製缶個数に対して5%未満のものを◎、5〜10%未満のものを○、10%以上を×として評価した。
(4)フィルム被覆金属缶における耐デント性、及びフレーバー評価
以上のようにして得られた各種2ピース缶へとスポーツ飲料(ポカリスエット:コカ・コーラ社製)を充填後、蓋をして5℃にて金属缶へ外部よりスリット状のデントを与え、55℃で貯蔵し、1ヶ月後にデント部の腐食状態を調べ、以下の基準にて評価した。
腐食無し: ◎
腐食部分が半分以下(デント部の半分以上が腐食していない):○
やや腐食(デント部の全領域にわたって部分的に腐食している): △
全体腐食(デント部の全領域が完全に腐食している): ×
また、同様にして各種2ピース缶へとお茶を充填し、38℃で貯蔵し、一週間後のフレーバーについて評価した。商品価値があるとされたものは○、やや問題があるとされたものは△、商品価値がないと判断されたものは×として評価した。
また、エステルオリゴマーの数平均分子量は、以下のようにして評価した。
(i)エステルオリゴマー0.5gに、ベンジルアルコール25mLを加えて加熱後、ジエチレングリコールを25mL加えてさらに加熱し、冷却後、メチルアルコール25mLと指示薬としてフェノールフタレインを加え、0.1規定の水酸化ナトリウム溶液で滴定し、下記式より酸価を求めた。
酸価(mgKOH/g)=(A−B)×ファクター×5.61/試料重量
A:ブランク試験における滴定量 B:本試験における滴定量
(ii)重クロロホルム/トリフルオロ酢酸を溶媒として、エステルオリゴマーについてH−NMRを測定し、エチレングリコールに基づくピークと酸成分に基づくピークの積分比より、エステルオリゴマーのモル比Cを求めた。
(iii) エステルオリゴマーのエステル化率Esとモル比Cより、下記式より数平均分子量を算定した。なお、エステル化率Esは酸価に基づいて常法により算出することができる。
数平均分子量=192.2/(1+C−2×Es)
本発明者らは、下記実施例及び比較例の積層フィルムを製造し、以上に示した方法を用いて各種物性について評価を行なった。各実施例及び比較例の積層フィルムの樹脂組成及び厚さ等を表1~3に、評価結果を表4,5にまとめて示す。
〈実施例1〉
(A)層用の共重合ポリエステル樹脂として、イソフタル酸を10モル%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(極限粘度:0.75)を製造した。また、(B)層用の共重合ポリエステル樹脂を製造するため、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート(BHET)5.38kg、テレフタル酸(TPA)3.52kg、エチレングリコール0.5kgを精留塔を備えた30Lオートクレーブに仕込み、窒素フローした大気圧下、内温250℃まで昇温しながらエステル化反応を行い、反応により溜出する水を分溜して所定量を系外へ除いて、エステル化率95%以上までエステル化反応を行った。その後、エチレングリコールを0.66kg系内へ投入して低下する内温を引き上げて250℃で30分以上解重合反応を行った。得られたエステルオリゴマーの数平均分子量は340であった。その後、水添ダイマー酸と1,4ブタンジオールからなる数平均分子量2200のポリエステルポリオール(Priplast3199:クローダ社製;酸価1mgKOH/g)2.75kgを系内へ添加し、30分以上攪拌して追加のエステル化反応を行った。引き続いて、重縮合触媒としてテトラブトキシチタネートをチタン元素として60ppm添加攪拌後、1時間で13.3kPa以下まで減圧し、この間に内温を250℃から265℃へ引き上げ、13.3kPa以下の高真空下で所定の粘度まで攪拌して共重合反応を行い、口金から索状に水中へ押出してペレタイザーでカットして共重合体樹脂のペレットを得た。なお、得られたペレットの外観は、淡黄色透明であった。(A)層用の共重合ポリエステル樹脂と、(B)層用の共重合ポリエステル樹脂とを、それぞれ短軸押出機へ投入し、Tダイを装備したシート製膜機を用いて共押出してシートを作成した。さらに、縦一軸延伸フィルム製膜を行い、(A)層の厚さ12μm、(B)層の厚さ8μmからなる2層フィルムを得た。このフィルムを厚さ0.28mmのリン酸クロメート化成処理アルミニウム合金板にラミネートし、得られたフィルム被覆アルミ板を用いてフィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈実施例2〉
実施例1の(B)層用の共重合ポリエステル樹脂において、水添ダイマー酸と1,4ブタンジオールからなるポリエステルポリオール(Priplast3199)の仕込み量を(B)層の樹脂全体の50質量%となるよう系内へ添加して追加のエステル化反応を行ったほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈実施例3〉
実施例1の(B)層用の共重合重合ポリエステル樹脂において、水添ダイマー酸と1,4ブタンジオールからなるポリエステルポリオール(Priplast3199)の仕込み量を(B)層の樹脂全体の7質量%となるよう系内へ添加して追加のエステル化反応を行ったほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈実施例4〉
実施例1の(B)層用の共重合重合ポリエステル樹脂において、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)からなるエステルオリゴマーの数平均分子量を690としたほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈実施例5〉
実施例1の(B)層用の共重合重合ポリエステル樹脂において、エステルオリゴマーのジカルボン酸成分を、テレフタル酸(TPA)82モル%とイソフタル酸(IPA)18モル%に変更したほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈実施例6〉
実施例1の(A)層用の共重合重合ポリエステル樹脂として、イソフタル酸を5モル%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(極限粘度:0.71)を用いたほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈実施例7〉
実施例1の(A)層用の共重合重合ポリエステル樹脂として、イソフタル酸を15モル%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(極限粘度:0.76)を用いたほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例1〉
実施例1の(B)層用の共重合ポリエステル樹脂において、水添ダイマー酸と1,4ブタンジオールからなるポリエステルポリオール(Priplast3199)の仕込み量を(B)層の樹脂全体の5質量%となるよう系内へ添加して追加のエステル化反応を行ったほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例2〉
(A),(B)層に使用した共重合ポリエステル樹脂は、比較例1とまったく同一としたものの、製缶工程において、一旦フィルムを溶融状態にした後、風速20m/分で常温の風を吹き付けて急速冷却処理を行ない、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例3〉
実施例1の(B)層用の共重合ポリエステル樹脂において、水添ダイマー酸と1,4ブタンジオールからなるポリエステルポリオール(Priplast3199)の仕込み量を(B)層の樹脂全体の55質量%となるよう系内へ添加して追加のエステル化反応を行ったほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例4〉
実施例1の(B)層用の共重合ポリエステル樹脂において、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のエステル化反応後、解重合反応を行なわずにエステルオリゴマーの数平均分子量を720として、つづくポリエステルポリオールとの共重合反応を行ったほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例5〉
実施例1の(B)層用の共重合ポリエステル樹脂において、ポリエステルポリオールを用いず、テレフタル酸(TPA)、および1,4ブタンジオール(1,4−BD)とをテトラブチルチタネートをチタン元素として34ppm触媒として添加し、エステル交換反応を行った後、水添ダイマー酸(クローダ製:Pripol1009)をジカルボン酸全量に対して6.5モル%となるように添加した後、エステル化反応を行い、引き続き245℃にて重縮合反応を行って得られた水添ダイマー酸変性ポリブチレンテレフタレート変性樹脂としたほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例6〉
実施例1の(B)層用の共重合ポリエステル樹脂において、ポリエステルポリオールを用いず、水添ダイマー酸(クローダ製:Pripol1009)をジカルボン酸全量に対して10モル%共重合反応させて得られた水添ダイマー酸変性ポリエチレンテレフタレート変性樹脂としたほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例7〉
実施例1の(B)層用の共重合ポリエステル樹脂において、エステルオリゴマーのジオール成分としてエチレングリコールを用いず、テレフタル酸(TPA)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)となからなるブチレンテレフタレートオリゴマーとしたほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例8〉
実施例1の(B)層用の共重合重合ポリエステル樹脂において、エステルオリゴマーのジカルボン酸成分を、テレフタル酸(TPA)65モル%とイソフタル酸(IPA)35モル%に変更したほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例9〉
実施例1の(A)層用の共重合重合ポリエステル樹脂として、イソフタル酸を20モル%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(極限粘度:0.71)を用いたほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例10〉
実施例1の(A)層用の共重合重合ポリエステル樹脂として、イソフタル酸を2モル%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂(極限粘度:0.76)を用いたほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例11〉
実施例1の(A)層の厚さを3μmとした(積層フィルムの合計厚さは20μm)ほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
〈比較例12〉
実施例1の(B)層の厚さを3μmとした(積層フィルムの合計厚さは20μm)ほかは、実施例1と同様にして、フィルム製膜、フィルム被覆金属缶の製缶を行った。
Figure 2013188946
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上記表3に示すように、(A)層としてイソフタル酸を5~15モル%共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、(B)層として数平均分子量340〜690のPETエステルオリゴマー50〜93質量%と、水添ダイマー酸と1,4−ブタンジオールとからなるポリエステルポリオール7〜50質量%とを共重合反応させて得られたポリエステル樹脂を用いた実施例1〜6の積層ポリエステルフィルムは、製膜性、ラミネート性、製缶性のいずれにも優れており、さらにフィルム被覆金属缶の製缶工程におけるヘアー、カジリの発生も少なく、成形後の金属缶の耐デント性、内容物のフレーバー保持性についても非常に良好であった。
これに対して、上記表4に示すように、(B)層の共重合ポリエステル樹脂において、ポリエステルポリオールの共重合比が5質量%である比較例1では、若干カジリが発生するとともに、耐デント性が劣っていた。なお、比較例2に示すように、吸冷処理を行うことで冷却に伴う樹脂の結晶化が抑制され、カジリや耐デント性の改善が見られるものの、工程が煩雑になり、設備コストも必要となる。一方で、ポリエステルポリオールの共重合比が55質量%である比較例3では、ポリエステルポリオールの相分離が生じ、製膜時にローラーに貼り付いてしまい、フィルムを得ることができなかった。
また、(B)層の共重合ポリエステル樹脂において、エステルオリゴマーの生成に際し、解重合反応を行なわなかった比較例4では、エステルオリゴマーの数平均分子量が720となり、つづくポリエステルポリオールとの共重合反応時に反応の頭打ちが生じてしまい、得られた共重合ポリエステル樹脂の極限粘度は0.64と低くなり、この結果、安定したフィルム製膜を行うことができなかった。また、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとともに水添ダイマー酸を共重合して得られた比較例5,本発明と同様のPETエステルオリゴマーと、水添ダイマー酸とを共重合させて得られた比較例6では、いずれもフィルム被覆金属缶の製缶工程におけるヘアー、カジリの発生、製品の耐デント性ともに劣る結果となった。
また、PBTエステルオリゴマーと、本発明と同様のポリエステルポリオールとを共重合させて得られた比較例7においても、ヘアー、カジリの発生、耐デント性ともに、十分な結果は得られなかった。また、エステルオリゴマーとして、イソフタル酸を35モル%共重合させたエチレンテレフタレートオリゴマーを使用した比較例8においては、ヘアーが発生し、耐デント性も若干劣っていた。また、
また、(A)層の共重合ポリエステル樹脂として、イソフタル酸を20モル%共重合させたポリエチレンテレフタレートを用いた比較例9では、製缶時に缶の内面フィルムが成形工具のパンチに密着して、パンチが離れる際に缶が内外面反転するストリップ不良現象が生じてしまい、2ピース缶を得ることができなかった。他方、イソフタル酸を2モル%共重合させたポリエチレンテレフタレートを用いた比較例10では、製缶時に表面に微細なクラックが生じ、結果的に飲料中のフレーバー成分が収着しやすくなってしまった。
さらに、(A)層の共重合ポリエステル樹脂の厚さを3μmとなるようにした比較例11では、缶の表面にざらつきが生じて外観不良となったほか、フレーバー保持性も若干劣る傾向にあった。一方で、(B)層の共重合ポリエステル樹脂の厚さを3μmとなるようにした比較例12では、耐デント性を十分に改善することができなかった。

Claims (4)

  1. (A)テレフタル酸成分を85〜97モル%、イソフタル酸成分を15〜3モル%含有するジカルボン酸単位とエチレングリコール成分を90モル%以上含有するジオール単位とからなる共重合ポリエステル樹脂を含む樹脂層と、
    (B)テレフタル酸成分を70モル%以上含有するジカルボン酸単位とエチレングリコール成分を70モル%以上含有するジオール単位とからなり数平均分子量700以下のエステルオリゴマー50〜93質量%と、水添ダイマー酸単位と、1,4−ブタンジオール単位とからなり数平均分子量1500〜3000のポリエステルポリオール7〜50質量%とを構成単位とする共重合ポリエステル樹脂を含む樹脂層と
    を積層してなる2層構造を有することを特徴とする金属板被覆用積層ポリエステルフィルム。
  2. 請求項1に記載の金属板被覆用積層ポリエステルフィルムにおいて、(A)層の厚さが4〜20μm、(B)層の厚さが4〜20μmであることを特徴とする金属板被覆用積層ポリエステルフィルム。
  3. 金属板の表面から順に(B)層、(A)層となるように、請求項1又は2に記載の金属板被覆用積層ポリエステルフィルムが金属板の表面上に被覆されていることを特徴とするポリエステルフィルム被覆金属板。
  4. 請求項3に記載のポリエステルフィルム被覆金属板により形成されてなることを特徴とするポリエステルフィルム被覆金属缶。
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