以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
<1. 第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aを示す図である。第1の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aは、各家庭(ユーザ宅)に対して地震速報を報知するシステムとして構築されている。
センサーネットワークシステム1aは、気象予報センター等に設置されるサーバ20と、サービス事業者等に設置されるサーバ21と、ユーザ宅に設置されるユーザシステム3aとを備えており、これらはネットワーク90により互いにデータ通信が可能な状態で接続されている。ネットワーク90は、WAN(Wide Area Network)であり、有線通信に限定されるものではなく、一部に無線通信網を含んでいてもよいし、すべてが無線通信網により構築されていてもよい。
なお、ネットワーク90に接続されるユーザシステム3aの数は、図1に示すように3つに限定されるものではない。
詳細は図示しないが、地震計10は、全国各地に分散して配置されており、サーバ20との間でデータ通信が可能な状態で接続されている。図1では、地震計10が通信ケーブルで直接的にサーバ20と接続されているように図示しているが、地震計10とサーバ20との通信方式はこのような有線による専用線通信に限定されるものではない。例えば、各地に設置される地震計10がネットワーク90を介してサーバ20に接続されていてもよい。
各地震計10は、設置場所における地盤等の振動の強さや深度等に関する観測値(周囲の環境を表す環境情報)60を取得する振動センサとしての構成および機能を有しており、取得した観測値60をサーバ20に送信する。このような振動センサは、我が国においても、すでに全国各地に設置されており、センサーネットワークシステム1aにおいて、そのような装置を採用することができる。
なお、地震計10は、必ずしも振動センサでなくてもよい。例えば、岩盤内における微弱電流を計測する電流検出センサ、あるいは岩盤の歪みを検出する歪みセンサ等であってもよい。すなわち、本実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aにおいては、精度の高い地震速報を作成し報知するために有効な観測値60を取得するセンサであれば、その種類は問わない。
サーバ20は、一般的なコンピュータとしての構成および機能を備えており、例えば、気象庁のような気象予報センターに設置される。サーバ20には、先述のように、複数の地震計10が接続されている。サーバ20は各地震計10から随時送信される観測値60を受信する。
サーバ20は、各地震計10(センサ)により取得された観測値60(環境情報)に応じて一次報知情報7(図2参照)を生成する。
一次報知情報7は、収集された観測値60のみならず、あらかじめ取得されている情報(地質学的な情報や過去の地震履歴情報など)も含め、総合的に分析して作成される。一次報知情報7としては、例えば、震源地(位置)、震源深度、震度、地震規模(マグニチュード)、津波に関する情報、伝播速度、発生時間、あるいは、収集された観測値60などの情報が含まれるが、もちろんこれらに限定されるものではない。例えば、伝播速度と発生時間等に基づいて、各地における地震波の到達予想時間が求められ、これが一次報知情報7に含められていてもよい。
サーバ20は、報知する必要性に応じて一次報知情報7を作成するか否かを選択する。例えば、閾値未満の小さな地震(被害が想定できない、注意喚起不要な地震)に関しては一次報知情報7を作成しなくてもよい。一次報知情報7は正確かつ詳細であることが望ましいが、迅速性が強く求められるため、オペレータを介さず、サーバ20により自動的に作成されることが好ましい。
サーバ20は、一次報知情報7を作成すると、これをサーバ21に向けて送信する。本実施の形態では、迅速性を確保するため、サーバ20は、作成した一次報知情報7をサーバ21からの要求なしに自動的にサーバ21に向けて送信する。しかし、例えば、サーバ21からの要求を待って送信するように構成してもよい。
図2は、第1の実施の形態におけるサーバ21を示す図である。サーバ21は、CPU210、ROM211、RAM212、ハードディスク213、操作部214、表示部215および通信部219を備えている。サーバ21は、一般的なコンピュータとしての構成および機能を備えており、先述のように、サービス事業者に設置される。
CPU210は、ROM211に格納されているプログラム80に従って動作することにより、サーバ21の各構成を制御する。
例えば、CPU210は、サーバ20により生成された一次報知情報7に応じて二次報知情報70を生成する機能を有している。すなわち、一次報知情報7は、二次報知情報70を作成するための中間的な情報である。
このように、センサーネットワークシステム1aにおいてはサーバ20およびサーバ21が協働して、地震計10により取得された観測値60(環境情報)に応じて報知情報(二次報知情報70)を生成する。すなわち、本実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aにおいては、サーバ20およびサーバ21が、本発明に係る報知情報生成手段に相当する。
また、CPU210は、生成された二次報知情報70に応じてテキスト形式の文字情報200aを含む音声情報200を生成する。このとき、CPU210は、ユーザ情報216を参照しつつ、各ユーザシステム3aごとに音声情報200を生成するが詳細は後述する。
テキスト形式の文字情報200aは、一の文字列を表現した情報に限定されるものではなく、一度に作成(送信)される文字情報200aに複数の文字列(例えば、所定の時間間隔を設けて再生される二以上の文字列)が含まれてもよい。また、音声情報200は、文字情報200aに限定されるものではなく、文字情報200aに対する音声制御情報を含んでいてもよい。音声制御情報とは、例えば、カウントダウンを実行させる情報や、所定の時間経過後に特定の文字列(文字情報200aの一部など)を再生するように制御するための情報などが想定される。
ROM211は、読み取り専用の記憶装置であり、主にプログラム80を格納する。なお、図2では、CPU210によって実行されるプログラム80は、すべてROM211に格納されているように図示している。しかし、プログラム80の一部がハードディスク213に格納されており、必要に応じてRAM212に読み出されてからCPU210に実行されてもよい。
RAM212は、CPU210の一時的なワーキングエリアとして使用される記憶装置である。RAM212は、比較的高速にアクセス可能な揮発性の記憶媒体から構成されることが一般的であるが、もちろんこれに限定されるものではない。また、RAM212は、必要に応じて搭載される複数種類の記憶媒体から構成されていてもよい。本実施の形態におけるRAM212は、特に、サーバ20から受信する一次報知情報7、一次報知情報7に応じて生成される二次報知情報70、および、文字情報200aを含む音声情報200を格納する。ただし、これらの情報の一部または全部がハードディスク213に転送されて格納されてもよい。
ハードディスク213は、比較的大容量の情報を格納する不揮発性の記憶装置である。本実施の形態におけるハードディスク213は、主にユーザ情報216を格納する。ユーザ情報216は、センサーネットワークシステム1aに接続されている各ユーザシステム3aごとに対応して1つのレコードが作成されるテーブル構造のデータベースである。ユーザ情報216の各レコードには、例えば、識別番号(ユーザ番号やレコード番号)、ネットワーク90上のアドレス、位置(住所)、機器構成、設定状況、ネットワーク構成、建屋構造、パスワード、個人情報(氏名、電話番号)などである。
操作部214は、例えば、マウスやキーボード、各種ボタン類、テンキー等が該当する。操作部214は、オペレータがサーバ21に対して様々な情報を入力するために操作される。本実施の形態では、例えば、ユーザ情報216を作成するときやメンテナンス、あるいは、二次報知情報70の元となる補助的な情報を入力したりする際に使用される。
表示部215は、例えば、液晶ディスプレイやランプ、LED等が該当する。表示部215は、オペレータに様々な情報(センサーネットワークシステム1aの状態等)を提示する機能を有している。
通信部219は、サーバ21をネットワーク90に接続する機能を有する。これにより、サーバ21は、サーバ20およびユーザシステム3aとの間でデータ通信が可能となる。特に、本実施の形態における通信部219は、ネットワーク90を介して、サーバ20から一次報知情報7を受信する。また、通信部219は、ユーザ情報216を参照し各ユーザシステム3aのアドレスを取得して、音声情報200をユーザシステム3aに向けて送信する。なお、通信部219は、音声情報200以外にも、様々な情報(例えば、ユーザ情報216の元となる情報など)をユーザシステム3aとの間で送受信する。
このように、サーバ21は、二次報知情報70に応じてテキスト形式の文字情報200aを含む音声情報200を生成し、ユーザシステム3aに向けて送信する機能を有しており、本発明に係るテキスト情報生成装置に相当する。
図1に戻って、ユーザシステム3aは、ルータ30、ゲートウェイ31、コンピュータ32および音声再生装置40,41を備えている。なお、各ユーザシステム3aにおける機器構成やネットワーク構成は必ずしも統一されている必要はなく、個々に異なっていてもよいが、ネットワーク90に接続する機能を有する中継装置と、後述するように、文字情報200aに従って音声を合成し出力する音声再生装置とを備えている。また、音声再生装置が中継装置の機能を有していてもよい。
ルータ30は、ユーザシステム3aをネットワーク90に接続する機能を提供する。より詳細には、ユーザシステム3a内のLAN(Local Area Network)91とネットワーク90とを接続する。すなわち、ルータ30は、ネットワーク90に接続されている装置(例えば、サーバ20,21)とLAN91に接続されている装置(例えば、ゲートウェイ31やコンピュータ32)との間のデータ通信を中継する中継装置である。
ゲートウェイ31は、電力線通信ネットワーク92および無線通信ネットワーク93と、LAN91とを接続する機能を提供する。
電力線通信ネットワーク92とは、電力線搬送通信、電力線通信あるいはPLC(Power Line Communication)と呼ばれる通信を実現する有線ネットワークである。電力線通信ネットワーク92は、一般的な建物内に普通に敷設されている商用電力線を送受信する情報の搬送媒体として使用するため、改めて通信用のケーブルを設置する必要がない。また、電力線通信モデム(対応機器)をコンセントに接続するだけで利用可能となる。ただし、ゲートウェイ31に接続する有線ネットワークとしては、電力線通信ネットワーク92の代わりに、イーサネット(登録商標)や光ファイバ等を用いた通信、RS232、RS485等の専用ケーブルによる通信を実現するネットワークを採用してもよい。
本実施の形態における無線通信ネットワーク93は、低消費電力の無線通信を実現する無線通信ネットワークであり、例えば、特定小電力無線やIEEE802.15等の低速な通信、サブギガ帯、2.4GHz帯の通信等が想定される。
なお、図1では、LAN91に1台のゲートウェイ31のみが接続されている例を示しているが、ユーザシステム3aが備えるゲートウェイ31の数は、1台に限定されるものではない。すなわち、2台以上のゲートウェイ31がLAN91に接続されていてもよい。
コンピュータ32は、一般的なパーソナルコンピュータであって、主に、ユーザ情報216の元となる情報を入力し、サーバ21に送信するために使用される。すなわち、各ユーザシステム3aのユーザは、コンピュータ32を操作してサーバ21にアクセスし、必要な情報を入力することによってサーバ21に自身のシステムを登録する。
音声再生装置40,41は、詳細は後述するが、サーバ21により送信された音声情報200をネットワーク(ネットワーク90、LAN91、電力線通信ネットワーク92、無線通信ネットワーク93)を介して受信し、受信した音声情報200に含まれるテキスト形式の文字情報200aに従って音声を合成し出力する機能を有している。以下では、特に、音声再生装置41について詳述し、適宜、音声再生装置40についても説明する。
図3は、第1の実施の形態における音声再生装置41を示す図である。音声再生装置41は、CPU410、ROM411、メモリ412、操作部413、表示部414、電力線通信部415、無線通信部416およびスピーカ417を備えている。なお、音声再生装置40は、無線通信部416を備えていない他は、ほぼ音声再生装置41と同様の構成である。
CPU410は、ROM411に格納されているプログラム81に従って動作することにより、音声再生装置41の備える各構成を制御する。特に、CPU410は、スピーカ417が音声を出力するためのデジタル信号(以下、「合成音信号」と称する。)を、文字情報200aに従って生成する機能を有している。
ROM411は、読み取り専用の記憶装置であり、主にプログラム81を格納する。なお、図2では、CPU410によって実行されるプログラム81は、すべてROM411に格納されているように図示している。しかし、プログラム81の一部がメモリ412に格納されており、必要に応じてCPU410に実行されてもよい。
メモリ412は、CPU410の一時的なワーキングエリアとして使用される記憶装置である。メモリ412は、比較的高速にアクセス可能で、かつ、読み書き可能な記憶媒体から構成されることが一般的であるが、もちろんこれに限定されるものではない。また、メモリ412は、必要に応じて搭載される複数種類の記憶媒体から構成されていてもよい。本実施の形態におけるメモリ412は、特に、サーバ21(ゲートウェイ31や音声再生装置40)から受信する音声情報200を一時的に格納する。
操作部413は、本実施の形態では、電源ボタンやペアリングボタン、リセットボタン等の比較的簡易なボタン類である。ただし、音声再生装置41は、操作部413として、比較的複雑な情報を入力することが可能なキーなどを備えていてもよい。
表示部414は、例えば、LED等の比較的簡易な表示装置である。本実施の形態における表示部414は、音声再生装置41の動作状態として、せいぜい正常、異常、停止の区別を表示できるものであれば充分である。ただし、音声再生装置41は、表示部414として、比較的複雑な情報を表示可能な液晶パネルなどを備えていてもよい。
電力線通信部415は、音声再生装置41が電力線通信ネットワーク92を介してデータ通信を行う機能を提供する。すなわち、音声再生装置41が電力線通信部415を備えていることにより、音声再生装置41は電力線通信ネットワーク92に接続されている機器との間で情報の送受信が可能となる。
特に、音声再生装置41は、ゲートウェイ31とデータ通信を行うことにより、ゲートウェイ31を中継装置として、LAN91に接続されている機器とも情報の送受信が可能である。さらに、すでに説明したように、ゲートウェイ31はルータ30との間でデータ通信を行い、ルータ30を中継装置としてネットワーク90に接続されている機器とも情報の送受信が可能である。したがって、音声再生装置41は、ルータ30およびゲートウェイ31を中継装置として、サーバ21との間で情報の送受信が可能となっており、サーバ21から音声情報200を受信することが可能である。
無線通信部416は、音声再生装置41が無線通信ネットワーク93を介してデータ通信を行う機能を提供する。すなわち、音声再生装置41が無線通信部416を備えていることにより、音声再生装置41は無線通信ネットワーク93に接続されている機器との間で情報の送受信が可能となる。
このように、音声再生装置41が電力線通信部415および無線通信部416とを備えていることにより、音声再生装置41はゲートウェイ31との間の情報の送受信が、2種類のネットワークで二重化されている。一般に、電力線通信ネットワーク92や低消費電力の無線通信ネットワーク93は通信品質が低く、リンクが確保されない事態に陥ることが予想される。
しかし、本実施の形態における音声再生装置41は、多重化されているネットワークのうちのいずれかのネットワークにおいてゲートウェイ31との間のリンクが確立できれば、当該ネットワークを介してゲートウェイ31から音声情報200を受信することができる。したがって、ゲートウェイ31と音声再生装置41との間のネットワークとして、比較的低品質のネットワークを採用したとしても、センサーネットワークシステム1aの信頼性の低下を抑制できる。
また、本実施の形態における音声再生装置41は、音声再生装置40との間でも、電力線通信ネットワーク92を介したデータ通信が可能である。したがって、音声再生装置41とゲートウェイ31との間において直接的にデータ通信ができない場合であっても、音声再生装置40を中継装置として、音声再生装置41が自機宛の音声情報200を受信することが可能となっている。
例えば、ゲートウェイ31と音声再生装置41との間の距離が遠いために、低品質のネットワーク(電力線通信ネットワーク92および無線通信ネットワーク93)では両者の間に直接的にリンクを確立できない事態も起こりうる。そのような場合、ゲートウェイ31は、例えば、ゲートウェイ31とリンクが確立できる機器を検索し、検出された機器に対して音声再生装置41宛の音声情報200を送信し、音声再生装置41に転送するように制御する。このようにして音声再生装置41宛の音声情報200を受信した音声再生装置40は、自機の電力線通信部415を使用して、電力線通信ネットワーク92を介して音声再生装置41に対して当該音声情報200の送信を試みる。このとき、音声再生装置40と音声再生装置41との間でリンクが確立できれば、音声再生装置41は、音声再生装置40から自機宛の音声情報200を受信することができる。
以下の説明では、中継装置(ゲートウェイ31)と、ノード(音声再生装置40,41)との間の通信において、当該ノード以外の他のノードにより中継される通信を「ホップ通信」と称する。ホップ通信を採用することにより、ゲートウェイ31と音声再生装置41との間のネットワークとして、比較的低品質のネットワークを採用したとしても、センサーネットワークシステム1aの信頼性の低下を抑制できる。
なお、本実施の形態では、音声再生装置40,41のいずれも電力線通信ネットワーク92に接続する機能を有している。しかし、例えば、無線通信部416に相当する構成のみ備え、無線通信ネットワーク93を介したデータ通信のみ可能な音声再生装置が採用されてもよい。
また、ユーザシステム3aが備える音声再生装置(音声再生装置40,41)の数は、図1に示す数(各一台)に限定されるものではない。そして、例えば、無線通信ネットワーク93に接続する機能を有する音声再生装置41が複数存在する場合には、ゲートウェイ31を介さずに当該複数の音声再生装置41の間のデータ通信が実現されてもよい。また、その場合、電力線通信ネットワーク92のみならず、無線通信ネットワーク93においても、ホップ通信が実現できる。
スピーカ417は、図示しないD/A変換器やアンプ等を備えており、CPU410から入力される合成音信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換しつつ、人の聴覚によって知覚される「音声」として出力する。なお、文字情報200aに応じて生成された合成音信号に基づいてスピーカ417から再生(出力)される音声を、以下、「合成音声メッセージ」と称して他の音声と区別する場合がある。ここにいう合成音声メッセージは、文字情報200aによって表現される文字列を人が読み上げるときに発せられる音声を擬似的に再現したものである。
本実施の形態におけるスピーカ417が再生(出力)する音声は、上記合成音声メッセージに限定されるものではない。例えば、予め録音された音を再生する音声(固定メッセージや警告音)などが含まれてもよい。合成音声メッセージを出力する直前に警報音や固定メッセージを出力し、合成音声メッセージに対するユーザの注意を予め喚起したり、合成音声メッセージを繰り返し出力する合間に警報音を出力するなどの利用形態が想定される。
以上が、第1の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aの構成および機能の説明である。次に、センサーネットワークシステム1aによってどのように地震速報が報知されるかを説明する。
図4は、第1の実施の形態における地震計10およびサーバ20の動作を示す流れ図である。なお、図4に示す各工程が開始されるまでに、各地に地震計10が設置され、サーバ20と接続されているものとする。
運用が開始されると、地震計10は、設置場所において観測を開始し、観測値60を取得して、随時、サーバ20へ送信する(ステップS1)。
サーバ20は、各地に設置された地震計10から送信される観測値60を収集し、他の情報(履歴情報など)とともに分析して、一次報知情報7を生成する(ステップS2)。
このとき、サーバ20は、収集された観測値60を新たな履歴情報としてハードディスク213に保存するとともに、作成した一次報知情報7もハードディスク213に保存する。
次に、サーバ20は、ステップS2において作成した一次報知情報7に関する強制的な報知の是非を判定する(ステップS3)。
サーバ20は、予め設定されている閾値と一次報知情報7に含まれる特定の情報(判断の根拠とする指標情報)の値とを比較することにより、ステップS3における判定を行う。指標情報とは、例えば、マグニチュードや震度などが好ましい。また、これらの組み合わせで判断してもよい。
ステップS3においてNoと判定されると、ステップS1からの処理を繰り返す。このとき、一次報知情報7は、サーバ20によって強制的にサーバ21に向けて送信されることはないが、サーバ21(あるいはユーザシステム3a)からの要求があったときなどに、閲覧に供されてもよい。その意味では、一次報知情報7もユーザに報知される情報である。
一方、ステップS3においてYesと判定すると、サーバ20は、ステップS2において作成した一次報知情報7を、ネットワーク90を介してサーバ21に向けて、いわば強制的に送信する(ステップS4)。
図5は、第1の実施の形態におけるサーバ21の動作を示す流れ図である。なお、図5に示す各工程が開始されるまでに、サーバ21には、すべてのユーザシステム3aに関する登録が完了しており、各ユーザシステム3aに対応したレコードがユーザ情報216に作成されているものとする。
図5に示す処理が開始されると、サーバ21は、主に、サーバ20から一次報知情報7が送信されてきたか否かを監視する状態となる(ステップS11)。
なお、図5においては、図示を省略しているが、サーバ21は、ステップS11を繰り返している間(監視状態)においても、ユーザ情報216の追加更新処理や、履歴情報の更新処理等、その他の処理を実行している。
監視状態において、通信部219が一次報知情報7を受信すると、CPU210は、ステップS11においてYesと判定し、ユーザ情報216を検索して、まず、1のユーザを特定する(ステップS12)。このときのユーザの特定方法としては、単純にユーザ情報216に登録されている順序に従って特定してもよいが、それ以外にも様々な手法が想定される。例えば、震源地に近いユーザから順に処理が開始されるように選択してもよい。
次に、CPU210は、ステップS12において特定したユーザに対応するレコードをユーザ情報216から検索し、取得した当該レコードに含まれる情報と、ステップS11において受信したことが検出された一次報知情報7とに基づいて、二次報知情報70を生成する(ステップS13)。
このように、二次報知情報70は、一次報知情報7に応じて、各ユーザシステム3aごとに作成され、当該ユーザシステム3aのユーザについて個別に作成される情報となる。すなわち、地震が発生した場合において、一次報知情報7は当該地震に関する比較的公共的で抽象的な情報としての性格を有するのに対して、二次報知情報70は当該地震について各ユーザ向けにカスタマイズされたより具体的な情報を含む情報となる。
例えば、一次報知情報7には、地震の規模を示すマグニチュードや発生時刻、震源地の詳細等が主な情報として含まれている。
ここで、地震発生時にユーザが取るべき行動は、地震波が到達するまでの時間によって変化する。例えば、地震波が到達するまでに2〜30秒あれば、火の元を確認した上で、隣接する公園などに避難することも可能かもしれない。これに対して残された時間が10秒ほどであれば、火の元の確認は可能かもしれないが、避難中の揺れにより転倒したりする危険があるため、屋内に留まって落下物に注意する方がよい場合もある。さらに、残された時間が数秒しかない場合であれば、落下物から身を守るためにテーブルなどの下に入る余裕しかないであろう。ところが、地震が発生したときに、発生時刻や震源地を知らされても、ユーザには、地震波が到達するまでにどのくらいの時間的余裕があるのか理解できず、咄嗟にどのように行動すべきか判断しにくい。
また、ユーザが取るべき行動は、地震波の揺れの大きさによっても変化する。しかし、建物が建てられている地表における震度が同じであっても、建物の構造(高層マンション、鉄筋の一軒家、耐震性の弱い木造家屋、瓦屋根の家など)によって建物内で体感される現実の揺れは大きく変化する。また、体感される揺れが同じ程度の揺れであっても倒壊する建物と倒壊しない建物が存在し、建物が倒れると予想される場合には例え屋外に多少の危険があっても建物の下敷きになるよりは直ちに屋外に避難すべきかもしれない。一方、建物が倒れないと予想される場合には慌てて屋外に飛び出すよりも火の元を確認した後、屋内で落下物や家具の倒壊にのみ注意する方が好ましい場合もある。すなわち、体感される揺れが同じであってさえも、ユーザの置かれた状況によってユーザの取るべき行動は変化する。また、周囲の地形(裏が崖であったり、河川の土手である場合など)や、設備(建物に隣接して安全な公園やグラウンドがあるとか、逆に崩れそうな石垣があるなど)の状況によっても、ユーザの取るべき行動(積極的に屋外に避難すべきか屋内に留まるべきか等)は変化する。ところが、地震が発生したときに、地震の規模を示すマグニチュードや震源地を知らされても、ユーザには、どのくらいの揺れになるのか理解できず、咄嗟にどのように行動すべきか判断しにくい。
このように、地震による緊急避難時において、センサーネットワークシステム1aが、一次報知情報7に含まれる地震の規模を示すマグニチュードや発生時刻、震源地の詳細等の情報を報知しても、ユーザが適切な行動をとれるとは限らない。それよりも、ユーザに対して、各自の居る地点にいつ地震波が到達するのか、どのような対応が求められるのかといった情報を報知する方が、ユーザのより適切な行動に結びつくことになる。
そこで、先述のように、サーバ21のCPU210は、ステップS13において、公共的な一次報知情報7と、ユーザに固有のユーザ情報216とに基づいて、各ユーザに適した二次報知情報70を作成する。なお、二次報知情報70に、一次報知情報7の一部または全部が含まれていてもよい。
次に、CPU210は、ステップS13において作成された二次報知情報70に応じて、テキスト形式の文字情報200aを含む音声情報200を作成する(ステップS14)。
このとき作成されるテキスト形式の文字情報200aは、二次報知情報70の全部または一部を表現した文字列の情報であり、後述するように、音声再生装置40,41により音声として再生される情報である。
文字情報200aとしては、「地震発生」といった文字列のように地震の発生を知らせる発生通知情報、「地震波到達まで15秒です」といった文字列のように揺れ始めるまでの時間を知らせる時間予測情報、「テーブルの下に隠れてください」といった文字列のように具体的な推奨行動を促す行動示唆情報などである。ただし、このような情報に限定されるものではないし、また、これらの情報が全て必ず含まれていなければならないわけでもない。例えば、到達する地震波がとても小さいと予想される場合には、発生通知情報のみでもよい。あるいは、震源地が比較的遠いために、到達する地震波は小さいが津波の危険性があるときには、「津波の情報に注意してください」といった行動示唆情報のみが含まれてもよい。すなわち、ユーザが状況に応じて適切に行動できるように、文字情報200aの文字列が作成(編集)されればよい。
なお、本実施の形態では、同一のユーザシステム3aが備える音声再生装置40,41には、いずれにも同じ音声情報200が送信される例で説明するが、もちろん各音声再生装置40,41ごとに異なる音声情報200を作成し送信することも可能である。例えば、二階建ての住宅が倒壊する場合、一階部分が二階部分に押しつぶされる例がある。そのような事態が想定されるときには、一階に設置されている音声再生装置40,41と、二階に設置されている音声再生装置40,41とでは、例えば、行動示唆情報が異なるものとなってもよい。
また、すでに説明したように、音声情報200には、文字情報200aの他に、音声制御情報(例えば、時間予測情報から1秒ごとのカウントダウン音声を再生させる情報など)を含んでいてもよい。
ステップS12において特定したユーザに対する音声情報200を作成すると、CPU210は、通信部219を制御して、当該音声情報200を当該ユーザのユーザシステム3aに向けて送信する(ステップS15)。
このとき、CPU210は、当該ユーザに対応するレコード(ユーザ情報216)に格納されている音声再生装置40,41のネットワークアドレスを参照して、音声情報200を送信させる。なお、音声情報200に、二次報知情報70を付加してもよい。その場合、二次報知情報70は、例えば、ユーザシステム3aのルータ30を介して当該ユーザシステム3aのコンピュータ32に送信され表示されてもよい。このような情報は、主に揺れが収まった後などに、ユーザが発生した地震の詳細や現状を確認するために表示され閲覧される。
ステップS12において特定したユーザに音声情報200を送信すると、CPU210は、すべてのユーザに対して音声情報200を送信したか否かを判定する(ステップS16)。そして、未だ音声情報200を送信していないユーザが存在する場合には、ステップS12からの処理を繰り返し、当該未送信ユーザに対してステップS12ないしS15の処理を実行する。
なお、サーバ21は、必ずしもすべてのユーザに対して音声情報200を送信しなければならないわけではない。例えば、到達する地震波が充分に小さく、特に報知する必要がないと判断されたユーザ(一次報知情報7からも判定できる。)に対しては、音声情報200の送信を省略してもよい。すなわち、ステップS16における判定は、音声情報200を送信する必要があるユーザのうち、未だ音声情報200を送信していないユーザがあるか否かを判定するものであってもよい。また、特定のユーザに対して音声情報200を作成し送信するか否かは、当該ユーザについての二次報知情報70が作成されたときに、その内容により判定してもよい。
図6は、第1の実施の形態におけるユーザシステム3aの動作を示す流れ図である。なお、図6に示す各工程は、主にゲートウェイ31または音声再生装置40,41の動作を示す。また、図6に示す各工程が開始されるまでに、ユーザシステム3aのルータ30が当該ユーザシステム3aのユーザ向けに作成された音声情報200をサーバ21から受信しており、当該音声情報200をゲートウェイ31に向けて送信しているものとする。
まず、ルータ30から音声情報200を受信すると、ゲートウェイ31はステップS21においてYesと判定する。そして、受信した音声情報200に含まれる宛先に応じて、当該宛先となる音声再生装置40,41との間で通信用のリンクを確立するために、各音声再生装置40,41を呼び出し(ステップS22)、それぞれについてリンクが確立できたか否かを判定する(ステップS23)。
電力線通信ネットワーク92または無線通信ネットワーク93の少なくとも一方によりゲートウェイ31との間で通信用のリンクが確立できた音声再生装置40,41に対しては(ステップS23においてYes)、ゲートウェイ31は当該音声再生装置40,41宛の音声情報200をそれぞれ送信する(ステップS24)。
一方、電力線通信ネットワーク92または無線通信ネットワーク93のいずれを使用してもゲートウェイ31との間で通信用のリンクが確立できなかった音声再生装置40,41に対しては(ステップS23においてNo)、ゲートウェイ31は他のリンクを確立できた音声再生装置40,41を中継装置として、音声情報200を送信する(ステップS25)。すなわち、ホップ通信による音声情報200の送信を行う。
サーバ21側で意図した音声を、ネットワークを介した音声再生装置40,41に再生させる手法として、例えば、次の2つの方法も考えられる。
1つ目は、サーバ21において二次報知情報70に応じて合成音声メッセージを作成し、音声としてネットワークに送信する方法である。そして、2つ目は、地震発生時に再生させる音声を録音し各音声再生装置40,41に格納しておき、二次報知情報70に応じてサーバ21からどの音声を再生するかを指定する指定情報を送信する方法である。
しかし、1つ目の手法を採用するならば、音声は、テキスト形式の情報に比べて情報量が大きいために、ネットワークの帯域を圧迫するという問題がある。センサーネットワークシステム1aにおいては、各部屋ごとに音声再生装置40,41を設置することが好ましく、通常、多数の音声再生装置40,41が設置されることになる。その場合、多数の音声再生装置40,41に対して一斉に音声が送信されることになるためこの問題は深刻である。さらに、センサーネットワークシステム1aにおいて電力線通信ネットワーク92や低消費電力の無線通信ネットワーク93を採用する場合、同時に多量の情報を送信することが困難である。
2つ目の手法では、ネットワーク上で通信される情報量を抑制することはできる。しかし、すべての音声再生装置40,41にすべての状況を想定して、録音情報を格納しておくことは、非効率的であるという問題がある。また、録音情報は比較的容量の大きい情報となり、音声再生装置40,41の記憶容量が圧迫されるために、準備できる音声のパターンが限られ、状況に応じて柔軟な音声を再生できないという問題がある。また、一旦設置した機器においてメッセージを追加・変更することも困難である。
本実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aは、サーバ21が二次報知情報70に応じて、テキスト形式の文字情報200aを含む音声情報200をその都度作成し、これを音声再生装置40,41に向けて送信する。文字情報200aは、文字列であり、予め録音されている音声を選択して指定する場合に比べて、自由に作成できる。したがって、センサーネットワークシステム1aは、状況に応じて、より適切な音声を再生させることができる。しかも、テキスト形式の文字情報200aは情報量が少ない(文字列の長さにもよるが、およそ数十バイト程度)ため、音声をネットワークに送信する場合に比べて、ネットワーク負荷を軽減できる。
音声情報200が各音声再生装置40,41に向けて送信され、受信されると、音声情報200を受信した音声再生装置40,41のCPU410は、当該音声情報200に含まれるテキスト形式の文字情報200aに基づいて合成音信号を生成しスピーカ417に向けて出力する。これにより、スピーカ417は、当該合成音信号をアナログ信号に変換しつつ、人の聴覚によって知覚される「音声」として出力する(ステップS26)。
これにより、ユーザは、音声再生装置40,41から出力される合成音声メッセージに従って、適切に行動することができる。
以上のように、第1の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aは、周囲の環境を表す観測値60を取得する地震計10と、地震計10により取得された観測値60に応じて二次報知情報70を生成するCPU210と、生成された二次報知情報70に応じてテキスト形式の文字情報200aを含む音声情報200を生成し、ネットワークを介して当該音声情報200を送信するサーバ21と、サーバ21により送信された音声情報200をネットワークを介して受信し、受信した音声情報200に含まれるテキスト形式の文字情報200aに従って音声を合成し出力する音声再生装置40,41とを備える。これにより、音声再生装置40,41に予め音声を録音しておく必要がないので記憶容量を抑制することができるとともに、状況に応じた音声を再生することができる。また、音声再生装置40,41が音声を出力するために送受信するデータの容量を抑制することができ、例えば、より多くの音声再生装置40,41をシステムに接続することができる。
また、音声情報200が送受信されるネットワークは、電力線通信ネットワーク92を含む有線を用いたネットワークとしてシステム構築することができる。すなわち、比較的通信速度の遅い電力線通信ネットワーク92をセンサーネットワークシステム1aに採用してサービスを提供することができる。したがって、電力線通信ネットワーク92の利点を生かしたサービスが可能である。
また、音声情報200が送受信されるネットワークは、低消費電力の無線通信ネットワーク93としてシステム構築することができる。すなわち、比較的通信速度の遅い無線通信ネットワーク93をセンサーネットワークシステム1aに採用してサービスを提供することができる。したがって、低消費電力の無線通信ネットワーク93の利点を生かしたサービスが可能である。
なお、サーバ20とユーザシステム3aとの間で直接的なデータ通信が行われてもよい。例えば、サーバ21の機能をコンピュータ32が有しているならば、一次報知情報7をコンピュータ32がサーバ20から直接受信し、コンピュータ32が音声情報200を作成してもよい。
また、本発明に係る音声再生装置としては、LAN91、電力線通信ネットワーク92あるいは無線通信ネットワーク93の少なくとも1つに接続する機能と、合成音声メッセージを出力する機能とを有しているならば、家庭内に存在する地震速報を報知する以外の機能を有する装置を転用(兼用)してもよい。例えば、コンピュータ32のようなパソコン、火災報知機、テレビ受信機やステレオ装置なども採用できる。したがって、火災報知機により地震発生に関する警報がされてもよい。
ただし、地震は何時に発生するか不確定であるため、地震速報を報知する音声再生装置40,41は常に待機している必要がある。したがって、音声再生装置40,41としては、待機消費電力の少ない装置あるいは外部から電源投入可能な装置がより適している。
また、第1の実施の形態では、強制的な報知の是非をサーバ20のみが判定していたが、サーバ21が判定してもよい(あるいは重畳的に判定してもよい。)。例えば、サーバ21における履歴情報収集等の目的で、一次報知情報7がサーバ20により作成された場合には、地震の規模等に関わらず、必ずサーバ21宛に送信するように構成してもよい。
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aは、センサがユーザシステムに接続されていない形態であった。言い換えれば、ユーザの周囲の環境を表す環境情報が、ユーザシステムとは別に取得される例であった。しかし、本発明はセンサがユーザシステムに接続されていてもよい。すなわち、ユーザシステムが環境情報を収集する機能を有していてもよい。
図7は、第2の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1bを示す図である。第2の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1bは、主にサーバ23およびユーザシステム3bから構成されており、各家庭(ユーザ宅)に対して熱中症警告を報知するシステムとして構築されている。
なお、以下の説明では、第2の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1bについて、第1の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aと同様の構成および機能については同符号を付し、適宜説明を省略する。また、図7において1つのユーザシステム3bのみ図示しているが、ユーザシステム3bの数は1つに限定されるものではない。
図8は、第2の実施の形態におけるサーバ23を示す図である。サーバ23は、CPU230、ROM231、RAM232を備えている以外は、サーバ21と同等の構成を備えている。サーバ23は、一般的なコンピュータとしての構成および機能を有しており、例えば、サービス事業者に設置される。
CPU230は、ROM231に格納されているプログラム82に従って動作することにより、サーバ23の各構成を制御する機能を有する。
特に、CPU230は、後述するように観測装置11により送信され受信された環境情報61とユーザ情報216とに応じて報知情報71を生成する機能を有している。すなわち、本実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1bにおいては、サーバ23が、本発明に係る報知情報生成手段に相当する。
なお、CPU230は、報知情報71を生成するときに、気象予報センター等から各ユーザの所在地に関する気象予報情報を取得して、これを参照してもよい。すなわち、報知情報71を作成するために参照される情報は、環境情報61とユーザ情報216とに限定されない。
また、CPU230は、生成された報知情報71に応じてテキスト形式の文字情報200aを含む音声情報200を生成する。このとき、CPU230は、第1の実施の形態と同様に、ユーザ情報216を参照しつつ、各ユーザシステム3bごとに音声情報200を生成する。
また、CPU230は、報知情報71に応じて、エアコン50を制御するための制御情報234を作成する。より詳細には、報知情報71において熱中症の危険が示されている場合に、エアコン50に対して冷房を開始させる制御情報234を作成する。すなわち、本実施の形態におけるCPU230は、本発明に係る制御手段に相当する機能を有している。
さらに、CPU230は、受信された環境情報61をハードディスク213に格納して、履歴情報として保存する機能も有している。このようにして記録される履歴情報も、報知情報71を作成するときに参照される。
第2の実施の形態におけるユーザシステム3bは、各ユーザ宅に設置されるシステムであって、観測装置11およびエアコン50を備えていることが第1の実施の形態におけるユーザシステム3aと異なっている。なお、ユーザシステム3bが備える観測装置11およびエアコン50の数は1つに制限されるものではなく、建物内のそれぞれの部屋に少なくとも1つ設置されることが好ましい。
図9は、第2の実施の形態における観測装置11を示す図である。観測装置11は、CPU110、ROM111、メモリ112、操作部113、表示部114、温度センサ115、湿度センサ116、人感センサ117および電力線通信部119を備えている。
CPU110は、ROM111に格納されているプログラム83に従って動作することにより、観測装置11の備える各構成を制御する。特に、CPU110は、温度センサ115、湿度センサ116および人感センサ117によって取得された環境情報61をゲートウェイ31を介してサーバ23に向けて送信させる。
ROM111は、読み取り専用の記憶装置であり、主にプログラム83を格納する。
メモリ112は、CPU110の一時的なワーキングエリアとして使用される記憶装置である。メモリ112は、比較的高速にアクセス可能で、かつ、読み書き可能な記憶媒体から構成されることが一般的であるが、もちろんこれに限定されるものではない。また、メモリ112は、必要に応じて搭載される複数種類の記憶媒体から構成されていてもよい。本実施の形態におけるメモリ112は、特に、温度センサ115、湿度センサ116、人感センサ117によって取得される環境情報61を一時的に格納する。
操作部113は、本実施の形態では、電源ボタンやペアリングボタン、リセットボタン等の比較的簡易なボタン類である。ただし、観測装置11は、操作部113として、比較的複雑な情報を入力することが可能なキーなどを備えていてもよい。
表示部114は、例えば、LED等の比較的簡易な表示装置である。本実施の形態における表示部114は、観測装置11の動作状態として、せいぜい正常、異常、停止の区別を表示できるものであれば充分である。ただし、観測装置11は、表示部114として、比較的複雑な情報を表示可能な液晶パネルなどを備えていてもよい。
温度センサ115は、周囲の温度に関する情報を取得して環境情報61とするセンサである。
湿度センサ116は、周囲の湿度に関する情報を取得して環境情報61とするセンサである。
人感センサ117は、周囲に人が存在しているか否かの情報を取得して、環境情報61とするセンサである。人感センサ117としては、赤外線センサ、震動センサ、接触センサなどが知られているが、これらに限定されるものではない。周囲の人の存在を検出できるものであれば、その方式は問わない。
このように、第2の実施の形態における観測装置11は、温度センサ115、湿度センサ116および人感センサ117を備えることにより、設置されている室内における温度と湿度とを計測しつつ、当該室内における人の存否に関する値を検出して、これらの情報を含む環境情報61を取得することが可能である。
なお、図9に示す観測装置11は、温度センサ115、湿度センサ116および人感センサ117のすべてを1つずつ備えた装置として構成されている。しかし、これらのうちの1種または2種のみで構成されていてもよい。また、1種のセンサを複数備えていてもよい。特に、温度センサ115および湿度センサ116は各部屋に1つ設置すれば充分かもしれないが、人感センサ117は室内に1つしか設置しない場合、室内の人の存在を確実に検出できるとは限らない。したがって、観測装置11に複数の人感センサ117を設け、室内の様々な場所に設置して、室内の全エリアをカバーするように構成することが好ましい。
電力線通信部119は、観測装置11が電力線通信ネットワーク92を介してデータ通信を行う機能を提供する。すなわち、観測装置11が電力線通信部119を備えていることにより、観測装置11は電力線通信ネットワーク92に接続されている機器との間で情報の送受信が可能となる。
特に、観測装置11は、ゲートウェイ31とデータ通信を行うことにより、ゲートウェイ31を中継装置として、LAN91に接続されている機器とも情報の送受信が可能である。さらに、すでに説明したように、ゲートウェイ31はルータ30との間でデータ通信を行い、ルータ30を中継装置としてネットワーク90に接続されている機器とも情報の送受信が可能である。したがって、観測装置11は、ルータ30およびゲートウェイ31を中継装置として、サーバ23との間で情報の送受信が可能となっており、サーバ23に向けて環境情報61を送信することが可能である。
なお、本実施の形態における観測装置11は、第1の実施の形態における無線通信部416に相当する構成を備えておらず、無線通信ネットワーク93を介してテータを送受信する機能を有していない。しかし、観測装置11がこのような構成および機能を備えていてもよい。あるいは、観測装置11が、電力線通信部119を備えておらず、無線通信部416に相当する構成のみ備えていてもよい。
エアコン50は、一般的なコンピュータとしての構成および機能を有しており、電力線通信ネットワーク92に接続する機能を有している。なお、エアコン50は、無線通信ネットワーク93に接続する機能を有していてもよい。
また、詳細は省略するが、エアコン50は、室内の環境を調整するための暖房機能や冷房機能、除湿機能等の機能を有している。
さらに、エアコン50は、サーバ23から送信される制御情報234を電力線通信ネットワーク92を介して受信し、当該制御情報234に応じて、室内の冷房を開始する。
先述のように、制御情報234は、環境情報61に応じて作成される報知情報71に応じて作成される。すなわち、エアコン50は、本発明に係る、周囲の環境(熱中症が危惧される環境)に応じて制御されるべき端末装置に相当する。
以上が第2の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1bの構成および機能の説明である。次に、センサーネットワークシステム1bの動作を簡単に説明する。
まず、ユーザシステム3bが設置された建物内において、各観測装置11が設置されている周囲の環境(温度、湿度および人の存否を示す値)が、随時、環境情報61としてサーバ23に送信される。
サーバ23では、収集した環境情報61を分析して、人が在室しており、かつ、熱中症が危惧される環境である場合に、報知情報71を作成するとともに音声情報200を作成する。このとき作成される音声情報200は、「熱中症のおそれがあります。飲み物を定期的に摂取してください」などの行動示唆情報が文字情報200aとして含まれる。なお、当該音声情報200の宛先は、当該室内に設置されている音声再生装置40,41であることが好ましい。
また、報知情報71が作成されたときには、サーバ23のCPU230は、ユーザ情報216を参照して、当該室内にエアコン50が設置されているようであれば、当該エアコン50に自動的に冷房を開始させるための制御情報234を作成する。
このようにして作成された制御情報234をエアコン50が受信すると、制御情報234に従って、エアコン50は冷房を開始する。
以上のように、第2の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1bにおいても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、周囲の環境に応じて制御されるべきエアコン50と、エアコン50を観測装置11により取得される環境情報61に応じて制御するサーバ23のCPU230とをさらに備えることにより、例えば、エアコン50を適切に制御できる。
なお、観測装置11やエアコン50に音声再生装置40,41におけるCPU410およびスピーカ417と同等の構成を設け、観測装置11やエアコン50がユーザに対して合成音声メッセージを再生するように構成してもよい。
また、観測装置11は、室内に存在する人が熱中症になるか否かを判定するために有用な情報を取得する他のセンサを備えていてもよい。例えば、室内の換気を検出する風速センサ等が考えられる。
また、例えば、センサーネットワークシステム1bは、「熱中症のおそれがあるので、冷房を開始しました」といった合成音声メッセージを出力してもよい。すなわち、テキスト形式の文字情報200aがエアコン50への制御状況を通知する情報を含むことにより、どのようにエアコン50が制御されかをユーザに音声で知らせることができる。
また、熱中症が危惧される室内に、エアコン50のように、サーバ23によって制御可能な端末装置が存在しない場合には、テキスト形式の文字情報200aとして「室内を冷房するか、扇風機を使用してください」といった文字列を作成することができる。すなわち、テキスト形式の文字情報200aに周囲の環境に応じて人により制御されるべき端末装置への制御案内を含めることにより、ユーザに適切に対処させることができる。
また、音声再生装置40,41のユーザへの合成音声メッセージによる警告、あるいは、エアコン50の外部からの制御等を実行したにもかかわらず、継続して熱中症のおそれが認められる場合などには、予め登録されている携帯電話等にサーバ23が通知するように構成してもよい。その場合は、当該携帯電話等に連絡したことを文字情報200aとする音声情報200をユーザシステム3b(音声再生装置40,41)に送信してもよい。このような文字情報200aとしては、例えば、「家族に連絡しました」といった文字列が考えられる。
また、第2の実施の形態では、環境情報61に基づいて報知情報71を作成する機能や、当該報知情報71に応じて音声情報200を作成する機能等をサーバ23が有している例で説明した。しかし、このような機能を備えた装置は、外部に設置されることに限定されない。例えば、このような機能をコンピュータ32が有していてもよい。すなわち、観測装置11から同じユーザシステム3b内のコンピュータ32に向けて環境情報61が送信され、当該コンピュータ32によって報知情報71および音声情報200が作成されてもよい。
また、音声情報200が作成される条件としては、必ずしも熱中症が危惧される状況に限られるものではない。例えば、定期的に室温を報知してもよいし、人がいない室内において、長時間、エアコン50が動作しているようであればそれを人のいる室内に設置されている音声再生装置40,41により報知してもよい。あるいは、省エネを目的としてエアコン50の温度設定に関するアドバイスを通知したり、省エネ効果を通知したりしてもよい。
また、音声再生装置がセンサを備えていてもよい。例えば、音声再生装置40,41が人感センサ117に相当する構成を備えていれば、効率よく人のいる場所(人の存在を感知している音声再生装置40,41)で、音声を再生することができる。
<3. 第3の実施の形態>
上記実施の形態では、サービス事業者とユーザとの間で情報のやり取りが行われるのみで、ユーザ間の情報のやり取りはされていない。例えば、第1の実施の形態では、サーバ21と各ユーザシステム3aとの間でデータ通信が行われているが、複数存在するユーザシステム3aの間ではデータのやり取りは行われない。しかし、本発明は、このような形態に限定されるものではない。
図10は、第3の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1cを示す図である。第3の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1cは、各家庭(ユーザ宅)に対して高齢者等の安否を確認し、その結果を外部の保護者や介護者等に知らせるシステムとして構築されている。図10では、ユーザシステム3aが介護者宅に設置されるシステムであり、ユーザシステム3cが要介護者宅に設置されるシステムである。
なお、センサーネットワークシステム1cにおけるユーザシステム3a,3cの数は図10に示す数に限定されるものではない。例えば、要介護者宅が複数であるのに対して介護者宅が1つであってもよいし、その逆であってもよい。また、複数の要介護者を複数の介護者が分担して担当していてもよい。
以下の説明では、第3の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1cについて、第1の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1aと同様の構成および機能については同符号を付し、適宜説明を省略する。
また、ユーザシステム3cは、ゲートウェイ31の代わりにゲートウェイ33を備えるとともに、コンピュータ32の代わりに電化製品51を備えている点が、第1の実施の形態におけるユーザシステム3aと異なっている。なお、一般に、ユーザシステム3cは、複数の電化製品51を備えている。また、ユーザシステム3cは、コンピュータ32に相当する構成を備えていてもよい。
図11は、第3の実施の形態におけるゲートウェイ33を示す図である。ゲートウェイ33は、CPU330、ROM331、RAM332、ハードディスク333、操作部334および表示部335を備えている。また、ゲートウェイ33は、通信部336、電力線通信部337および無線通信部338を備えている。ゲートウェイ33は、一般的なコンピュータとしての構成および機能を備えており、先述のように、ユーザ(要介護者)宅に設置される。
CPU330は、ROM331に格納されているプログラム84に従って動作することにより、ゲートウェイ33の各構成を制御する。
特に、CPU330は、電化製品51により取得された環境情報62に応じて報知情報72を生成する。すなわち、本実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1cにおいては、ゲートウェイ33が、本発明に係る報知情報生成手段に相当する。
また、CPU330は、生成された報知情報72に応じてテキスト形式の文字情報200aを含む音声情報200を生成する。このとき、CPU330は、ユーザ情報339を参照しつつ、各ユーザシステム3a,3cごとに音声情報200を生成する。
ROM331は、読み取り専用の記憶装置であり、主にプログラム84を格納する。なお、図11では、CPU330によって実行されるプログラム84は、すべてROM331に格納されているように図示している。しかし、プログラム84の一部がハードディスク333に格納されており、必要に応じてRAM332に読み出されてからCPU330に実行されてもよい。
RAM332は、CPU330の一時的なワーキングエリアとして使用される記憶装置である。RAM332は、比較的高速にアクセス可能な揮発性の記憶媒体から構成されることが一般的であるが、もちろんこれに限定されるものではない。また、RAM332は、必要に応じて搭載される複数種類の記憶媒体から構成されていてもよい。本実施の形態におけるRAM332は、特に、電化製品51から受信する環境情報62、環境情報62およびユーザ情報339に応じて生成される報知情報72、および、文字情報200aを含む音声情報200を格納する。ただし、これらの情報の一部または全部がハードディスク333に転送されて格納されてもよい。
ハードディスク333は、比較的大容量の情報を格納する不揮発性の記憶装置である。本実施の形態におけるハードディスク333は、主にユーザ情報339を格納する。ユーザ情報339は、ユーザシステム3cと、当該ユーザシステム3cのユーザを介護する介護者のユーザシステム3aとにそれぞれ対応して1つのレコードが作成されるテーブル構造のデータベースである。すなわち、上記実施の形態におけるユーザ情報216は、すべてのユーザシステム3a,3bに関する情報であったが、第3の実施の形態におけるユーザ情報339は、ユーザ(要介護者本人)のユーザシステム3cに関する情報と当該要介護者の介護者(複数の場合もある)のユーザシステム3aに関する情報とのみを含むデータベースである。
ユーザ情報339の各レコードは、上記実施の形態におけるユーザ情報216のレコードと同様に、例えば、識別番号(ユーザ番号)、ネットワーク90上のアドレス、位置(住所)、機器構成、設定状況、ネットワーク構成、建屋構造(換気性や機密性を示す)、パスワード、個人情報(氏名、電話番号)などの情報を含んでいる。
操作部334は、電源ボタンやペアリングボタン、リセットボタン等の比較的簡易なボタン類である。ただし、ゲートウェイ33は、操作部334として、比較的複雑な情報を入力することが可能なキーなどを備えていてもよい。
表示部335は、例えば、LED等の比較的簡易な表示装置である。ただし、ゲートウェイ33は、表示部335として、比較的複雑な情報を表示可能な液晶パネルなどを備えていてもよい。
通信部336は、ゲートウェイ33をLAN91に接続する機能を有する。これにより、ゲートウェイ33は、LAN91に接続された機器との間でデータ通信が可能となる。特に、本実施の形態における通信部336は、ネットワーク90、ルータ30およびLAN91を介して、コンピュータ32からユーザ情報339の元となる情報を受信する。すなわち、ユーザシステム3cにおけるユーザ情報339は、ユーザ(要介護者)を担当する介護者がコンピュータ32を操作することにより、作成される。
電力線通信部337は、ゲートウェイ33が電力線通信ネットワーク92を介してデータ通信を行う機能を提供する。すなわち、ゲートウェイ33が電力線通信部337を備えていることにより、ゲートウェイ33は電力線通信ネットワーク92に接続されている機器との間で情報の送受信が可能となる。
無線通信部338は、ゲートウェイ33が無線通信ネットワーク93を介してデータ通信を行う機能を提供する。すなわち、ゲートウェイ33が無線通信部338を備えていることにより、ゲートウェイ33は無線通信ネットワーク93に接続されている機器との間で情報の送受信が可能となる。
このように、ゲートウェイ33が電力線通信部337を備えているので、ゲートウェイ33は、電力線通信ネットワーク92に接続されている電化製品51から環境情報62を受信することができる。また、ゲートウェイ33が電力線通信部337および無線通信部338を備えているので、ゲートウェイ33は、少なくとも電力線通信ネットワーク92または無線通信ネットワーク93のいずれかに接続されている音声再生装置40,41に対して音声情報200を送信することができる。
このように、ゲートウェイ33は、報知情報72に応じてテキスト形式の文字情報200aを含む音声情報200を生成し、ユーザシステム3a,3cに含まれる各機器に向けて送信する機能を有しており、本発明に係るテキスト情報生成装置に相当する。
図12は、第3の実施の形態における電化製品51を示す図である。電化製品51は、CPU511、ROM512、メモリ513、操作部514、表示部515、スピーカ516および電力線通信部517を備えている。
本実施の形態では、電化製品51として、テレビ受信機を例示するが、電化製品51としてはテレビ受信機に限定されるものではない。例えば、電気ポット、エアコン、照明器具、トイレ便座等であってもよい。電化製品51としては、日常生活を営むにあたって、頻繁に操作される機器が好ましい。
CPU511は、ROM512に格納されているプログラム85に従って動作することにより、電化製品51の備える各構成を制御する。
特に、CPU511は、操作部514に対するユーザの操作状態(操作されたことのみならず、長時間操作されなかったことも含む。)に応じて、環境情報62を生成する。
また、音声情報200に含まれている文字情報200aに従って、CPU511は、スピーカ516が音声を出力するためのデジタル信号(合成音信号)を生成する機能を有している。
ROM512は、読み取り専用の記憶装置であり、主にプログラム85を格納する。
メモリ513は、CPU511の一時的なワーキングエリアとして使用される記憶装置である。メモリ513は、比較的高速にアクセス可能で、かつ、読み書き可能な記憶媒体から構成されることが一般的であるが、もちろんこれに限定されるものではない。また、メモリ513は、必要に応じて搭載される複数種類の記憶媒体から構成されていてもよい。本実施の形態におけるメモリ513は、特に、操作部514により取得される環境情報62や、コンピュータ33から送信され受信される音声情報200を一時的に格納する。
操作部514は、本実施の形態では、電源ボタンやチャンネルボタン、ペアリングボタン、リセットボタン、リモコンボタン等である。電化製品51では、操作部514に対するユーザの操作に応じて、環境情報62が取得される。ただし、電化製品51は、操作部514として、比較的複雑な情報を入力することが可能なキーなどを備えていてもよい。
表示部515は、液晶ディスプレイやLED、ランプ等の表示装置である。本実施の形態における表示部515は、電化製品51の動作状態等を表示するとともに、受信した放送番組に関する動画等も表示する。
スピーカ516は、第1の実施の形態におけるスピーカ417と同等の構成である。CPU511から入力される合成音信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換しつつ、人の聴覚によって知覚される「音声(合成音声メッセージ)」として出力する。
電力線通信部517は、第1の実施の形態における電力線通信部415と同等の構成であり、電化製品51を電力線通信ネットワーク92に接続する機能を有する。
このように、電化製品51は、操作部514に対するユーザ(ここでは要介護者)による操作の有無を検出し、検出結果としての環境情報62を取得し、ゲートウェイ31を介してコンピュータ33に向けて送信する。すなわち、電化製品51は、自機に対する操作を検出することにより、いわば人感センサとしての機能を有しており、要介護者の生存確認に繋がる情報(環境情報62)を取得する。環境情報62は、先述のように、要介護者による操作を検出した場合に限らず、所定の時間、操作がされなかったときにも、そのことを示す環境情報62が作成される。
また、電化製品51は、音声情報200を受信して、合成音声メッセージを再生する機能を有しており、音声再生装置40,41としての機能も有している。ただし、電化製品51における音声再生装置40,41としての機能は必須ではない。
以上が、第3の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1cの構成および機能の説明である。次に、センサーネットワークシステム1cによって、要介護者に対する安否確認がどのようにして行われるかを簡単に説明する。
センサーネットワークシステム1cは、運用が開始されると、電化製品51によって環境情報62が随時取得され、ゲートウェイ33に送信される。
ゲートウェイ33のCPU330は、電化製品51から受信された環境情報62を分析して報知情報72を作成する。さらに、CPU330は、作成した報知情報72が異常事態を示す場合には、要介護者に対して警告となる文字列である文字情報200aを含む音声情報200を作成する。これにより、ゲートウェイ33の電力線通信部337または無線通信部338が、ユーザシステム3c内の音声再生装置40,41(電化製品51を含む。)に向けて電力線通信ネットワーク92または無線通信ネットワーク93を介して音声情報200を送信する。
これを受信した音声再生装置40,41(電化製品51を含む。)は、受信した音声情報200に含まれる文字情報200aに従って、スピーカ417(スピーカ516)が合成音声メッセージを再生する。このとき、再生される合成音声メッセージとしては、例えば、「家族が心配しています。電化製品を使用すると、家族に安否が連絡されます」といった音声が考えられる。
要介護者が、当該音声に応じて、電化製品51を使用すれば、その旨が環境情報62としてゲートウェイ33に伝達されるため、要介護者の安否が確認される。この場合の安否は、介護者(ユーザシステム3a)には通知されなくてもよい。
一方、上記の音声を再生した後も、電化製品51が使用されることなく、所定期間以上安否が確認できない場合、ゲートウェイ33は、介護者宅のユーザシステム3aの音声再生装置40,41に対しても音声情報200を作成する。これにより、ゲートウェイ33の通信部336が、ユーザシステム3a内の音声再生装置40,41に向けてLAN91を介して音声情報200を送信する。
これを受信したユーザシステム3a内の音声再生装置40,41は、受信した音声情報200に含まれる文字情報200aに従って、スピーカ417が合成音声メッセージを再生する。このとき、再生される合成音声メッセージとしては、例えば、「○○さんの安否が確認できません。」といった音声が考えられる。
要介護者の安否が確認できない場合、このような音声が再生されるので、介護者は、電話をかけるとか、要介護者宅を訪問するなど、より確実な他の方法で安否確認をすることができる。
以上のように、第3の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1cにおいても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、電化製品51に対する操作がないときに、いったん音声により要介護者に呼びかけて電化製品51に対する操作等を促し、それでも応答がない場合に介護者に通知するので、誤報が抑制される。
また、電化製品51による消費電力を監視することによる安否確認であると、電化製品51が付きっぱなしの状態では安否が確認されていると誤認するおそれがあるが、電化製品51に対する操作を監視することにより、その危険性が低下する。
なお、第3の実施の形態では、環境情報62に基づいて報知情報72を作成する機能や、当該報知情報72に応じて音声情報200を作成する機能等をゲートウェイ33が有している例で説明した。しかし、例えば、このような機能をコンピュータ32が有していてもよい。すなわち、ユーザシステム3cの電化製品51からユーザシステム3aのコンピュータ32に向けて環境情報62が送信され、当該コンピュータ32によって報知情報72および音声情報200が作成されてもよい。
また、ゲートウェイ33のハードディスク333として大容量の記憶装置を備えることが困難であれば、環境情報62や報知情報72の記録(履歴情報)については、コンピュータ32のハードディスクに行ってもよい。
また、第3の実施の形態では、ユーザシステム3c内の要介護者の安否確認を外部のユーザシステム3aに対して通知していたが、ユーザシステム3c内に介護者がいてもよい。例えば、二世帯住宅であるとか、寝室に居る要介護者の安否を、建物内の他の部屋に居る介護者に知らせる場合などが想定される。
また、安否確認だけではなく、省エネを目的として電化製品51に関するアドバイスを通知したり、当該省エネ効果を通知したりしてもよい。
<4. 第4の実施の形態>
上記実施の形態では、センサ以外の装置が音声情報200を生成していたが、センサが音声情報200を作成する機能を有していてもよい。
図13は、第4の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dを示す図である。第4の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dは、各家庭(ユーザ宅)において火災や外部からの人の侵入の有無を検出して報知するシステムとして構築されている。
以下の説明では、第4の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dについて、第3の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1cと同様の構成および機能については同符号を付し、適宜説明を省略する。
センサーネットワークシステム1dは、サーバ24を備えている点と、ユーザシステム3a,3cの代わりにユーザシステム3dを備えている点とが第3の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1cと異なっている。なお、ユーザシステム3dの数は1つに限られるものではないし、複数のユーザシステム3dがすべて同じ機器構成である必要はない。
詳細は省略するが、サーバ24は、一般的なコンピュータとしての構成および機能を有している。サーバ24は、図13に示すように、ネットワーク90に接続された状態で、例えば消防署や警察署等に設置される。すなわち、サーバ24は、ユーザシステム3dからの通報(火災・侵入)先として機能する。なお、サーバ24には、ユーザ情報216(センサーネットワークシステム1dに接続されているすべてのユーザシステム3dに関する情報)を格納しておくことが好ましい。
ユーザシステム3dは、コンピュータ32を備えている点と、音声再生装置40の代わりに火災報知機42を備えている点がユーザシステム3cと異なっている。また、外部からの侵入を検出するためのセンサ群として、赤外線センサ13、接触センサ14および振動センサ15を備えるとともに、火災を検出するためのセンサ群として、煙探知センサ16、温度センサ17および火災報知機42を備えている。
なお、赤外線センサ13、接触センサ14、振動センサ15、煙探知センサ16、温度センサ17および火災報知機42を図13においてそれぞれ1つのみ図示している。しかし、これらの装置の数は1つに限定されるものではなく、通常は建物内にそれぞれの装置の目的や建物の構造等に応じて複数設置(より好ましくは各部屋に少なくとも1つ)される。
赤外線センサ13は、いわゆる人感センサであり、人の体から出る赤外線を感知することにより、侵入してきた人を感知する。すなわち、赤外線センサ13は、赤外線の検出値を環境情報63として取得し、侵入者の有無を示す報知情報(図示せず)を作成する。さらに、赤外線センサ13は当該報知情報に応じて音声情報203を生成する。音声情報203とは音声情報200が文字情報200aを含むのと同様にテキスト形式の文字情報203aを含む情報である。また、文字情報203aとは、文字情報200aと同様に文字列を表現した情報である。
接触センサ14は、物が触れたことを検出するセンサであり、例えば、ドアノブや窓に侵入者が触れたか否かを検出することにより、侵入者を感知する。接触センサ14は、侵入口となりうるドアや窓にそれぞれ設置することが好ましい。
接触センサ14は、物体の接触状況を環境情報64として取得し、それによって監視対象のドアや窓へのアクセスの有無を示す報知情報(図示せず)を作成する。さらに、接触センサ14は当該報知情報に応じて音声情報204を生成する。音声情報204とは音声情報200が文字情報200aを含むのと同様にテキスト形式の文字情報204aを含む情報である。また、文字情報204aとは、文字情報200aと同様に文字列を表現した情報である。
振動センサ15は、振動を感知することにより、侵入者を感知する。振動センサ15は、接触センサ14と同様に入口となりうるドアや窓にそれぞれ設置することが好ましい。これにより、例えば、ドアや窓の開閉操作を監視できる。
振動センサ15は、物体の振動の振れ幅を検出値とする環境情報65を取得し、侵入者の有無を示す報知情報(図示せず)を作成する。さらに、振動センサ15は当該報知情報に応じて音声情報205を生成する。音声情報205とは音声情報200が文字情報200aを含むのと同様にテキスト形式の文字情報205aを含む情報である。また、文字情報205aとは、文字情報200aと同様に文字列を表現した情報である。
煙探知センサ16は、室内の気体の成分を検出することにより、煙の有無を感知する。すなわち、煙探知センサ16は、火災の際に発声する気体の検出値(例えば濃度)を環境情報66として取得し、煙の発生の有無を示す報知情報(図示せず)を作成する。さらに、煙探知センサ16は当該報知情報に応じて音声情報206を生成する。音声情報206とは音声情報200が文字情報200aを含むのと同様にテキスト形式の文字情報206aを含む情報である。また、文字情報206aとは、文字情報200aと同様に文字列を表現した情報である。
温度センサ17は、室内の温度を測定することにより、主に発火の有無を感知する。すなわち、温度センサ17は、室温の検出値を環境情報67として取得し、発火の有無を示す報知情報(図示せず)を作成する。さらに、当該報知情報に応じて音声情報207を生成する。音声情報207とは音声情報200が文字情報200aを含むのと同様にテキスト形式の文字情報207aを含む情報である。また、文字情報207aとは、文字情報200aと同様に文字列を表現した情報である。
すでに説明してきたように、本発明では、音声再生装置において再生される音声がテキスト形式の文字情報で表現され送受信される。テキスト形式の文字情報は比較的簡易な装置でも容易に生成・編集することができるという利点がある。
本実施の形態におけるセンサノード(赤外線センサ13、接触センサ14、振動センサ15、煙探知センサ16および温度センサ17)は、いずれもコンピュータ32やゲートウェイ33に比べれば小型で安価な装置である。しかし、再生される音声がテキスト形式の文字情報で表現され送受信されるため、このような廉価な装置にも、音声情報を生成する機能を搭載することができる。
なお、本実施の形態における赤外線センサ13、接触センサ14、振動センサ15、煙探知センサ16および温度センサ17は、図13に示すように、いずれも電力線通信ネットワーク92に接続されている。また、これらは、第1の実施の形態における無線通信部416に相当する構成を備えておらず、無線通信ネットワーク93を介してテータを送受信する機能を有していない。しかし、これらの装置の一部または全部が無線通信部416に相当する構成および機能を備えていてもよい。
図14は、第4の実施の形態における火災報知機42を示す図である。火災報知機42は、CPU420、ROM421、メモリ422、操作部423、表示部424、煙探知センサ425、温度センサ426、電力線通信部427およびスピーカ428を備えている。
CPU420は、ROM421に格納されているプログラム86に従って動作することにより、火災報知機42の備える各構成を制御する。
特に、CPU420は、煙探知センサ425および温度センサ426によって環境情報68を取得する。また、環境情報68に基づいて報知情報73を生成する。また、報知情報73に応じて音声情報208を生成する。音声情報208とは音声情報200が文字情報200aを含むのと同様にテキスト形式の文字情報208aを含む情報である。また、文字情報208aとは、文字情報200aと同様に文字列を表現した情報である。
ROM421は、読み取り専用の記憶装置であり、主にプログラム86を格納する。
メモリ422は、CPU420の一時的なワーキングエリアとして使用される記憶装置である。メモリ422は、比較的高速にアクセス可能で、かつ、読み書き可能な記憶媒体から構成されることが一般的であるが、もちろんこれに限定されるものではない。また、メモリ422は、必要に応じて搭載される複数種類の記憶媒体から構成されていてもよい。本実施の形態におけるメモリ422は、特に、環境情報68、報知情報73および音声情報208を一時的に格納する。
操作部423は、本実施の形態では、電源ボタンやペアリングボタン、リセットボタン等の比較的簡易なボタン類である。ただし、火災報知機42は、操作部423として、比較的複雑な情報を入力することが可能なキーなどを備えていてもよい。
表示部424は、例えば、LED等の比較的簡易な表示装置である。本実施の形態における表示部424は、火災報知機42の動作状態として、せいぜい正常、異常、停止の区別を表示できるものであれば充分である。ただし、火災報知機42は、表示部424として、比較的複雑な情報を表示可能な液晶パネルなどを備えていてもよい。
煙探知センサ425は、煙探知センサ16と同様の構成である。また、温度センサ426は、温度センサ17と同様の構成である。
このように、第4の実施の形態における火災報知機42は、煙探知センサ425および温度センサ426を備えることにより、設置されている室内における気体成分や温度を観測して環境情報64を取得し、火災の存否を判定して報知情報73を作成することができる。また、火災報知機42は、報知情報73に応じてテキスト形式の文字情報208aを含む音声情報208を作成する機能も有している。すなわち、火災報知機42は、本発明に係るセンサを備えるとともに、報知情報生成手段を備えたテキスト情報生成装置を構成している。
電力線通信部427は、火災報知機42が電力線通信ネットワーク92を介してデータ通信を行う機能を提供する。すなわち、火災報知機42が電力線通信部427を備えていることにより、火災報知機42は電力線通信ネットワーク92に接続されている機器との間で情報の送受信が可能となる。
なお、本実施の形態における火災報知機42は、第1の実施の形態における無線通信部416に相当する構成を備えておらず、無線通信ネットワーク93を介してテータを送受信する機能を有していない。しかし、火災報知機42がこのような構成および機能を備えていてもよい。
ところで、第1の実施の形態における音声再生装置40,41と同様に、本実施の形態における赤外線センサ13、接触センサ14、振動センサ15、煙探知センサ16、温度センサ17および火災報知機42は、電力線通信ネットワーク92を用いて、ホップ通信が可能である。
本実施の形態では、ホップ通信による情報(音声情報)の伝達経路に応じて、上流の装置において作成された音声情報に下流の装置において取得された情報が順次追加され補完される。
ゲートウェイ33から火災報知機42に向けてホップ通信により音声情報200が送信される具体例で説明する。このときの音声情報200のホップ通信の伝達経路は、例えば、ゲートウェイ33から送信され、接触センサ14、振動センサ15、煙探知センサ16を経て、火災報知機42に至るものとする。
まず、ゲートウェイ33から音声情報200を受信した接触センサ14は、そのとき自機で取得されている環境情報64に応じて報知情報を生成する。
そして、接触センサは、このとき生成された報知情報と、受信した音声情報200に付加されている報知情報(過去に当該接触センサ14で作成されゲートウェイ33において収集された環境情報64に応じて生成された報知情報)とを比較して、変更がなければ、受信した音声情報200(文字情報200a)を更新することなく、振動センサ15へ向けて送信する。
一方、報知情報に変更があるようであれば、接触センサ14は新たに生成した報知情報に応じて、すでに受信している音声情報200の文字情報200aを追加、削除あるいは更新して、あらたな文字情報204aを生成し、音声情報204を生成する。この場合、接触センサ14は音声情報200ではなく、音声情報204を振動センサ15に向けて送信する。
以下、伝達経路の下流側に存在する振動センサ15、煙探知センサ16および火災報知機42においても、必要であれば、音声情報が更新される。したがって、最終的に、火災報知機42のスピーカ428により出力される合成音声メッセージは、いずれで生成された文字列となるかは不定となる。伝達経路において一切更新がされなければ文字情報200aが再生されるし、最終的に火災報知機42で更新されれば文字情報208aが再生される。
このように、本実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dでは、音声情報の生成機能を有するセンサノード(テキスト情報生成装置としてのセンサノード)が複数存在するため、合成音声メッセージの再生機能を有する装置(音声再生装置41や火災報知機42)に向けて音声情報200が送信される際に、途中のセンサノードが、自機の環境情報に基づく部分を更新することができる。すなわち、ホップ通信により、音声情報を動的に更新することができる。
なお、各センサにおいて取得された環境情報がゲートウェイ33に向けて回収されるとき(環境情報が下流側から上流側に向けて伝達されるとき)も、各センサを経由するホップ通信が行われる場合がある。本実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dでは、このような場合には、各センサにおいて音声情報の生成を行わず、環境情報をゲートウェイ33に向けて中継する処理のみ行う。ただし、各センサは、受信した環境情報に、そのとき自機で取得した環境情報を付加して、ゲートウェイ33に向けて送信するようにしてもよい。また、音声情報の作成も行うようにしてもよい。その場合は、ホップ通信中の伝達経路において音声再生装置が音声情報を中継する際に、合成音声メッセージを再生させてもよい。
以上が、第4の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dの構成および機能の説明である。次に、センサーネットワークシステム1dの動作について簡単に説明する。
上記実施の形態と同様に、センサーネットワークシステム1dにおいても、運用が開始される前に、ユーザ情報339が作成され、ゲートウェイ33のハードディスク333に格納される。ユーザ情報339は、主にコンピュータ32から入力されるがもちろんそれに限定されるものではない。ユーザ情報339には、ユーザシステム3d内の機器構成が格納されており、各機器の設置場所(リビングであるとか、キッチンなど)についても情報が格納されている。ただし、ユーザ情報339は、第3の実施の形態におけるユーザ情報339やユーザ情報216と異なり、通常は、外部のユーザシステム3dに関する情報は格納されない。
各センサは、運用が開始されると、適宜、観測(検出)を行い、周囲の環境を表す環境情報を取得して、ゲートウェイ33に向けて送信する。
ゲートウェイ33は、各センサから収集された環境情報を環境情報62として格納し、これを分析して、報知情報72を作成する。さらに、報知情報72においてユーザに対して音声による報知を行う事態が発生している場合には、音声情報200(文字情報200aを含む。)を作成する。
本実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dは、火災の発生と侵入者の有無を報知するシステムとして構成されている。したがって、主に、このような事態が発生したと判断される場合に、ゲートウェイ33は音声情報200を作成する。ただし、ゲートウェイ33が音声情報200を作成する契機はこれに限定されるものではない。
ゲートウェイ33は、各センサの設置場所をユーザ情報339により把握できるので、音声情報200を作成する事態となった環境情報を送信してきたセンサを特定することにより、当該事態の発生場所を特定することができる。したがって、例えば、リビングに設置されている温度センサ17からの環境情報67において室温が異常に高く、火災が発生したと判定した場合には、ゲートウェイ33のCPU330は、「リビングで火災が発生しました」という文字列からなる文字情報200aを生成して、音声情報200を生成する。
一方で、ゲートウェイ33は、他の温度センサ17(火災報知機42の温度センサ426を含む。)からの環境情報も取得しているので、その時点で低い室温を記録している温度センサ17が設置されている場所が安全であると判断することもできる。したがって、CPU330は「リビングで火災発生。玄関を避けてベランダから避難してください。」といった文字列からなる文字情報200aを生成することも可能である。
さらに、ゲートウェイ33は、ユーザ情報339を参照することにより、設置されている音声再生装置41の設置場所も把握しているので、外に近い音声再生装置41向けに生成する音声情報200については、近隣住宅(隣人)への火災報知に適した文字情報200aを作成することもできる。
音声情報200を作成した場合には、ゲートウェイ33は、音声再生機能を有する音声再生装置41(火災報知機42)に向けて、音声情報200を送信する。
なお、すでに説明したように、ゲートウェイ33から送信される音声情報200に対しては、ホップ通信により、伝達経路中のセンサにより、文字情報200aが更新・編集される場合がある。
音声情報(音声情報200とは限らない。)を受信した音声再生装置41(火災報知機42)は、当該音声情報に含まれる文字情報に応じてスピーカ417(スピーカ428)から合成音声メッセージを再生する。
なお、音声情報200を送信したゲートウェイ33は、サーバ24に対して報知情報72を送信し、火災が発生したことを通知する。この場合、サーバ24が、他のユーザシステム3d(特に、報知情報72を送信してきたユーザシステム3dの近隣のユーザシステム3d)に対して警報を通知する。このときサーバ24が、第1の実施の形態におけるサーバ21のように音声情報200を作成する機能を有しているならば、近隣のユーザシステム3dに対して、音声情報200を作成して送信することもできる。
また、上記では火災が発生したときを主に説明したが、侵入者を感知した場合も同様に、例えば、「リビングから侵入されました」といった場所を特定した報知が可能であるし、侵入者と鉢合わせしないように、より効果的な通行経路(例えばリビングやリビングからの出入り口付近等を避ける経路)を報知することもできる。
以上のように、第4の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dにおいても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、センサーネットワークシステム1d(ゲートウェイ33)は、火災が発生したことのみならず、文字情報200aに、避難時の通行経路を通知する情報を含める。これにより、緊急時に適切な通行経路を音声で知らせることができる。したがって、ユーザは、容易に避難することができる。
また、センサーネットワークシステム1dは、例えば、室温を検出している複数の温度センサ17により取得されたそれぞれの環境情報67に応じて、報知する通行経路を示す報知情報72を生成する。そして当該報知情報72に応じて、音声情報200を生成する。これにより、避難誘導時に、最も温度の低い通行経路を設定することができ、より安全な通行経路を設定することができる。
また、センサーネットワークシステム1dは、複数の赤外線センサ13や接触センサ14等のテキスト情報生成装置を備えており、これらが、他のテキスト情報生成装置により生成された音声情報を受信するとともに、自機で生成した報知情報に応じて、他の装置により生成された音声情報を更新することもできる。すなわち、より状況に応じた音声を再生できる。
<5. 第5の実施の形態>
第4の実施の形態では、合成音声メッセージを再生させる音声再生装置は、ゲートウェイにより決定されていた。言い換えればセンサノードは、音声情報を生成する機能(文字情報を途中で追加・編集する機能)を有してはいるものの、音声情報の行き先については決定権がなかった。しかし、自機で生成した音声情報(文字情報)の再生先をセンサノードが決定できるように構成してもよい。
このような形態を、第4の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dを例に説明する。
このような機能を持たせるためには、センサノード(赤外線センサ13、接触センサ14、振動センサ15、煙探知センサ16および温度センサ17)に、音声を再生する機能を有する音声再生装置(音声再生装置41や火災報知機42)をリストアップさら、その中から自機が生成した音声情報を再生させるものを選択させておく必要がある。
音声再生装置をリストアップする手法としては、各センサノードがゲートウェイ33に定期的に問い合わせを行い、ユーザ情報339を参照してもよい。
また、ノード名から電力線通信ネットワーク92に接続されている音声再生装置をリストアップしてもよい。すなわち、予め音声再生装置には、「speaker」という機能を示す文字列を含むノード名を付与しておき、このような文字列を含むノード名を持つノードをリストアップする。この場合、ノード名には、設置場所や搭載しているセンサの種類などを表現した文字列も含ませておく。
次に、リストアップされた音声ノード(音声再生装置)のなかから、センサノードが自機の生成した音声情報を再生させるものを選択しておき、キャッシュしておく。ノード名から選択する場合は、自機のノード名を参照しつつ、リストアップされたノード名に含まれる他の文字列(設置場所等)から最適な音声ノードを選択する。
そして、音声による報知が必要になったとき、センサノードは音声情報を作成して、キャッシュしてある音声ノードに対して当該音声情報を送信する。
以上のように構成すれば、音声情報を作成する機能を有する装置は、わざわざ他の装置(ゲートウェイ33)に音声情報の送信先を決定してもらわなくても、必要なときに、自機で作成した音声情報を最適な音声再生装置に再生してもらうことで効率よくユーザに報知することができる。
<6. 第6の実施の形態>
本発明においては、センサによって取得される環境情報は、当該センサの動作状況を示す情報を含むように構成することも可能である。
このような形態を、第4の実施の形態におけるセンサーネットワークシステム1dにおいて、火災報知機42を新たに設置する例で説明する。なお、ゲートウェイ33は、すでに正常に設置されており、正常に動作しているものとする。
まず、ユーザが火災報知機42を電力線通信ネットワーク92に物理的に接続する。電力線通信ネットワーク92の場合、この処理は、火災報知機42のプラグをコンセントに挿入するだけでよい。
次に、ユーザが火災報知機42の操作部423を操作して、当該火災報知機42の電源を投入する。火災報知機42のCPU420は、電源が最初に投入されたことを検出して環境情報68とする。そして、環境情報68に応じて報知情報73を生成し、これに応じて「ペアリングボタンを押してください」といった文字列の文字情報208aを含む音声情報208を生成する。
音声情報208を生成すると、CPU420は、音声情報208に含まれる文字情報208aに従って、合成音信号を生成してスピーカ428に伝達する。これにより、スピーカ428が「ペアリングボタンを押してください」といった合成音声メッセージを再生する。
これを聞いたユーザは、当該合成音声メッセージに従って、火災報知機42の操作部423(ペアリングボタン)を操作する。
ペアリングボタンが押されると、火災報知機42のCPU420は、ペアリングボタンが押されたことを検出して環境情報68とする。そして、環境情報68に応じて報知情報73を生成し、これに応じて「ゲートウェイのペアリングボタンを押してください」といった文字列の文字情報208aを含む音声情報208を生成する。
音声情報208を生成すると、CPU420は、音声情報208に含まれる文字情報208aに従って、合成音信号を生成してスピーカ428に伝達する。これにより、スピーカ428が「ゲートウェイのペアリングボタンを押してください」といった合成音声メッセージを再生する。
これを聞いたユーザは、当該合成音声メッセージに従って、ゲートウェイ33の操作部334(ペアリングボタン)を操作する。
ゲートウェイ33のペアリングボタンが押されることによって、ゲートウェイ33と火災報知機42との間でペアリング処理が開始される。
ここで火災報知機42のCPU420は、ペアリング処理が開始されたことを検出して環境情報68とする。そして、環境情報68に応じて報知情報73を生成し、これに応じて「ただ今ペアリング設定を行っています。しばらくお待ちください」といった文字列の文字情報208aを含む音声情報208を生成する。
音声情報208を生成すると、CPU420は、音声情報208に含まれる文字情報208aに従って、合成音信号を生成してスピーカ428に伝達する。これにより、スピーカ428が「ただ今ペアリング設定を行っています。しばらくお待ちください」といった合成音声メッセージを再生する。
これにより、ユーザはペアリング処理が正常に開始されたことを知ることができ、安心して待機することができる。
ペアリング処理が完了すると、火災報知機42のCPU420は、ペアリング処理が完了したことを検出して環境情報68とする。そして、環境情報68に応じて報知情報73を生成し、これに応じて「ペアリングが完了しました。」といった文字列の文字情報208aを含む音声情報208を生成する。
音声情報208を生成すると、CPU420は、音声情報208に含まれる文字情報208aに従って、合成音信号を生成してスピーカ428に伝達する。これにより、スピーカ428が「ペアリングが完了しました。」といった合成音声メッセージを再生する。
これと並行して、ゲートウェイ33のCPU330は、ペアリング処理が完了したことを検出して環境情報62とする。そして、環境情報62に応じて報知情報72を生成し、これに応じて「設置した機器に関する情報をコンピュータから入力してください」といった文字列の文字情報200aを含む音声情報200を生成し、火災報知機42に向けて送信する。
音声情報200を受信した火災報知機42のCPU420は、音声情報200に含まれる文字情報200aに従って、合成音信号を生成してスピーカ428に伝達する。これにより、スピーカ428が「設置した機器に関する情報をコンピュータから入力してください」といった合成音声メッセージを再生する。
これを聞いたユーザは、コンピュータ32を操作して、引き続きユーザ情報の入力処理に取りかかることができる。その後も、ゲートウェイ33のCPU330は、ユーザの入力状況に従って、音声情報200を作成し、作成した音声情報200をコンピュータ32または火災報知機42あるいはコンピュータ32の近傍に設置されている音声再生装置41に向けて送信する。これにより、ユーザは、ユーザ情報の入力作業においても、適切な音声による報知を受けることができる。
以上のように、第6の実施の形態においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、火災報知機42によって取得される環境情報68は、当該火災報知機42の動作状況を示す情報を含むように構成することにより、火災報知機42のメンテナンスが容易になり、その後取得される環境情報68の精度が向上する。また、火災報知機42に予めメンテナンス用の音声を録音しておく必要もない。
なお、上記の例では、音声を再生する機能を有する火災報知機42において説明したが、例えば、赤外線センサ13についてもこのような報知は可能である。例えば、赤外線センサ13のバッテリ容量(赤外線センサ13は通常は電力線から電力供給を受けるため、バッテリを搭載するとすれば非常用である)が低下したときに、これを環境情報63としてゲートウェイ33に送信し、適当な音声再生装置によって音声を再生すればよい。あるいは、自機において「赤外線センサの電池残量が低下しています。電池を入れ替えてください」といった文字列からなる文字情報203aを含む音声情報203を生成し、音声再生装置に向けて送信してもよい。
<7. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
例えば、センサーネットワークシステム1a,1b,1c,1dのうちの2以上のシステムが統合された1つのシステムとして構成されていてもよい。
また、上記実施の形態に示したセンサに限定されるものではなく、目的に応じて様々なセンサが用いられてもよい。例えば、磁気センサ、物体検出センサ、気圧センサ、水量センサ、GPSセンサなどが採用されてもよい。
また、専用の人感センサを備えなくても、人を感知すること以外の目的で設置されている他のセンサにより測定される環境情報の特性から、当該センサを人感センサとして兼用こともできる。例えば、照度センサが所定値以上の光を検出した場合に、その場所の照明が点灯していると判定し、周囲に人がいると判定する。あるいは、電力測定センサが、電化製品の消費電力を測定しており、電化製品が使用されていると判定できる場合に、周囲に人がいると判定するなどである。
また、合成音声メッセージは、同じ音声である警報音などに比べて、壁や扉、窓などによって遮断されると、ユーザによる判別(聞き取り)が困難になる。したがって、音声再生装置は、建物内の各部屋に少なくとも1つ設置されることが望ましい。逆に、同じ室内に複数の音声再生装置が存在し無秩序に合成音声メッセージが出力されると、個々の合成音声メッセージが聞き取りにくくなるおそれがある。したがって、各室内に設置される音声再生装置の数を制限するか、同じ室内に設置されている音声再生装置のうち1つを代表として選択し音声情報200を再生させることが好ましい。あるいは、各音声再生装置から出力される合成音声メッセージの出力時刻を管理(例えば、音声情報200に出力時刻を付加するなど。)して、同時に複数の合成音声メッセージが出力されない(あるいはステレオ再生のように一致して出力される)ように構成してもよい。
また、周囲の環境に応じて制御されるべき端末装置は、上記の例に限定されるものではない。地震発生の際には、火災予防のために、使用中のガス湯沸かし器やガスコンロ、ストーブなどを停止制御することが望ましいし、漏電を防止するためには、電磁調理器や洗濯機、冷蔵庫、テレビなども停止させることが望ましい。例えば、ガスの元栓やブレーカそのものを制御されるべき端末装置としてもよい。さらには、室内の環境(温度や湿度)を調整するために制御されるべき端末装置としてはエアコン50に限らず、加湿器や扇風機、空気清浄機なども想定される。