JP2013183048A - 電子線照射量決定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する際に、設計パターンが微細であってもプロセス裕度を高めることができ、解像度を向上させることができる電子線の照射量を決定する方法を提案する。
【解決手段】 設計パターンの輪郭線近傍に複数の評価点を設けて、評価点ごとに電子線の蓄積エネルギーを算出して、蓄積エネルギーのコントラストを求めて、蓄積エネルギーが急峻に変化するように電子線の照射量を決定する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、微細パターンの描画に関するものであり、特に、電子線を用いて、半導体や半導体用フォトマスク、ナノインプリントに用いるテンプレート、光学関連素子などを製造するための電子線照射量決定方法、電子線照射方法、および電子線照射量の決定システムに関する。
近年、半導体集積回路装置の集積度の向上に伴い、より微細なパターンの形成が要求されるようになっており、微細パターンの形成のために電子線を用いたパターン描画方法が実用されている。
電子線を用いた描画方法としては、例えば、スポットビーム電子線描画法、可変成形電子線描画法が代表的な描画方法であり、なかでも特にスポットビーム電子線描画法は、点状のビームスポットを持つ電子線で描画すべき領域を走査し、高い解像度を得ることができるので、微細パターンを形成する描画方法としてよく用いられている。
しかしながら、電子線描画法によるパターン形成方法は、高い微細パターン形成能力を有する反面、露光のため入射した電子線がレジスト膜および基板内にて散乱し、設計通りのパターンを得ることができなくなるという、いわゆる近接効果の問題をともなう。
すなわち、電子線描画法においては、フォトマスク基板やシリコン基板などの基板上のレジスト膜に電子線を照射してパターンを描画する場合、レジスト膜に入射した電子線の一部がレジスト膜を構成する原子と衝突して電子線の入射方向へ散乱される(いわゆる前方散乱)と共に、レジスト膜を透過した電子線の一部が基板を構成する原子と衝突して電子線の入射方向とは逆方向へ散乱(いわゆる後方散乱)されて再びレジスト膜に入射する現象等が生じる。
このため、電子線をレジスト膜上の一点に入射させても前方散乱と後方散乱による影響のために、パターンの寸法精度が低下する近接効果という現象が生じる。
この近接効果を補正するために、描画パターンの粗密やパターンサイズから電子の散乱状況を予測し、この予測値から補正量を計算し、描画パターン形状や露光量を変化させ、本来得たい所望のパターン寸法(設計パターン寸法)を得るための近接効果補正が行われる。実用的には例えば描画パターンの描画時に露光時間を制御することで露光量を変化させて補正する手法が主流であるといえる。
従来、近接効果を補正する方法としては種々のものが提案されている。例えば、(1)パターンの形状を考慮しない面積密度法(代表図形法)、すなわち、描画パターン全体をある所定の大きさの単位区画(メッシュ)に分割し、各々のメッシュ内の描画パターンの面積密度を算出し、その面積密度マップを用いて後方散乱による蓄積エネルギーを算出し、各メッシュ内において照射される電子線の後方散乱による蓄積エネルギーが一定となるように露光量を最適化する方法、(2)目標となる設計パターンの輪郭線に相当するパターンエッジに蓄積エネルギー評価点を設け、その評価点における照射される電子線の蓄積エネルギーを一定とする方法(以下、パターンエッジ評価法と称す)等がある。
上記(1)の方法は、補正手法が比較的簡便であり、計算負荷が小さく補正時間も短いことから、比較的に電子線描画装置に組み込まれ易い手法であるといえる。
しかしながら、近年の例えばフォトマスク設計寸法の微細化や、ナノインプリント用モールドなどのパターン寸法の微細化につれて、上記(1)の手法に基づく精度では不十分なものとなっている。特に、後方散乱の影響を主として考慮した面積密度法では、現像後の仕上がり寸法の十分な精度を保つことが困難となっている。
そこで、本来要求される精度を補うために近年(2)の方法にて補正を行うソフトウェアも使われるようになってきている。例えば、先行技術文献1(特開平9−45600号公報)に示されるように、設計パターンの輪郭線に相当するパターンエッジ上にエネルギー評価点を配置し、当該評価点における蓄積エネルギーを一定にするという条件下で、露光量補正を実施する試みがなされている。ここで、蓄積エネルギーとは、電子線照射によって入射した電子がレジスト中に蓄積するエネルギーのことであり、ある1点に入射した電子によってレジスト中に蓄積されるエネルギーの、レジスト表面からのある深さにおける平均分布は、下記の数式(1)に示されるように、EID(Energy Intensity Distribution)関数と呼ばれる2つのガウス分布の和で表わされる。
Figure 2013183048
上記式において、α、β、ηはレジスト表面からの深さによって決定される定数であり、αは前方散乱径(前方散乱の広がり)、βは後方散乱径(後方散乱の広がり)、ηは後方散乱係数(後方散乱エネルギー強度/前方散乱エネルギー強度:前方散乱に対する比)を示している。EID関数の第1項はレジストに入射した電子が前方散乱しつつ侵入していく際に蓄積されるエネルギー分布であり、第2項は入射電子がレジスト中及び基板中の原子核によって後方散乱を受け、入射方向と逆方向に散乱していく際に蓄積されるエネルギー分布である。
しかしながら、上記(2)の方法は精度が上がるものの、その反面、計算時間を要するという問題がある。そこで、この問題を解決するために上記の(1)と(2)の方法を組み合わせた手法、すなわち、(3)面積密度法を用いて近接効果補正を行い、その補正値を初期補正値としてパターンエッジ評価法を行う手法が主流となる傾向がある。
特開平09−45600号公報
しかしながら、上記(3)の手法を用いた場合であっても設計パターンの輪郭線に相当するパターンエッジ上に設けられた評価点のみで蓄積エネルギーを一定とした場合、そのパターンのカテゴリ(形状、大きさ、孤立/アレイ)や、隣接するパターンとの距離によっては、設計パターンの輪郭線近傍における蓄積エネルギーの変化の大きさ(以下、蓄積エネルギーのコントラストと称す)が揃わず、結果として得られるレジスト寸法にバラツキが生じるおそれがある。
例えば、図15(A)および図15(B)には、それぞれ、設計パターン10と、蓄積エネルギー分布D1、D2の一例が示されている。これらの図面において、レジストの平面はX−Y平面として、またレジストの厚さ方向はZ方向として表示されている。すなわち、設計パターン10は平面図として描かれており、X−Y平面が表示されている。また、蓄積エネルギー分布D1、D2は、図示の場合、幅方向(図面のX方向)に対向する輪郭線11に設けられた評価点Pon-Pon間を含むX方向の蓄積エネルギーの分布として表示されている。なお、蓄積エネルギー分布D1、D2が示されている座標の縦軸は蓄積エネルギー量を示している。
図15(A)および図15(B)ともに、「評価点Ponにおける蓄積エネルギーはEdev」という条件を満たしている。しかしながら、図15(B)に示される評価点Pon近傍の蓄積エネルギーのコントラストは、図15(A)に示されるそれよりも低く、寸法変動が生じやすい傾向にある。なお、Edevとは、近接効果補正において基準となる蓄積エネルギーを意味するために用いた記号である。
また、図16(B)に示されるように、近傍にパターンが存在して、互いの蓄積エネルギーのコントラストが低い場合には、非露光部(露光をしていない非パターン部)において、蓄積エネルギーの干渉が生じており、現像後のレジストパターンが分離しなくなってしまうおそれが生じる(例えば、図16(B)の矢印Qで示される部分)。特に、パターンが微細になればなるほど、「設計パターン10の輪郭線11上に設けられた評価点Ponにおける蓄積エネルギーをEdevとする」のみの判断では近接効果補正が不十分となることが考えられる。なお、図16(A)は、図16(B)との対比を目的として描かれた参考図であって、互いの蓄積エネルギーのコントラストが高く保たれている場合を想定した図面である。
このような実情のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基づいて電子線を照射する際に、設計パターンが微細であってもプロセス裕度を高めることができ、解像度を向上させることができる電子線の照射量を決定する方法を提案することにある。なお、プロセス裕度が高いとは、例えば、用いるレジストの感度変化(経時劣化)や現像液の劣化等に基づいて現像条件等が変化したり、描画装置の状態が変化したり、あるいはプロセスの環境変化(湿度や温度)が変化した場合であっても、設計寸法が大きく変動し難い状態をいう。
上記課題を解決するために、本発明の電子線照射量決定方法は、電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する際に、電子線の照射量を決定する方法であって、設計パターンの輪郭線上に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点を設定する工程と、設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第2評価点を設定する工程と、前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、これらの蓄積エネルギーを評価して、当該評価に基づいて、電子線の照射量を補正する照射量補正工程と、を有するように構成される。
また、本発明の電子線照射量決定方法のより好ましい態様として、前記照射量補正工程は、前記第2評価点における蓄積エネルギーの評価であって、前記第1評価点における蓄積エネルギーを基準として前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストを考慮した第2評価点判定基準値に基づく第2評価点判定操作、を含むように構成される。
また、本発明の電子線照射量決定方法のより好ましい態様として、前記照射量補正工程は、前記第2評価点判定操作よって第2評価点判定基準値を満たさないと判断された場合に操作される最適露光量算出操作、を含むように構成される。
また、本発明の電子線照射量決定方法のより好ましい態様として、前記照射量補正工程は、前記第1評価点における蓄積エネルギーの評価であって、前記第1評価点における蓄積エネルギーが第1評価点判定基準値(収束条件)を満たすか否かの第1評価点判定操作を含み、当該第1評価点における蓄積エネルギーの評価は、前記第2評価点における蓄積エネルギーの評価の前に行われるように構成される。
また、本発明の電子線照射量決定方法のより好ましい態様として、前記照射量補正工程は、前記第1評価点判定操作よって第1評価点判定基準値を満たさないと判断された場合に操作される最適露光量算出操作、を含むように構成される。
また、本発明の電子線照射量決定方法のより好ましい態様として、前記第2評価点は設計パターンの輪郭線の接線に対する法線上に配置され、前記第1評価点および前記第2評価点は前記法線上に存在するように構成される。
また、本発明の電子線照射量決定方法のより好ましい態様として、前記設計パターンは多角形であり、多角形の頂角の2等分線上に前記第1評価点および前記第2評価点が配置されるように構成される。
本発明の電子線照射方法は、電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する方法であって、設計パターンの輪郭線上に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点を設定する工程と、設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第2評価点を設定する工程と、前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストが所定の許容値を満たす条件下で電子線を前記レジストに照射する電子線照射工程と、を有するように構成される。
本発明の電子線照射量の決定システムは、電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する際に、電子線の照射量を決定するシステムであって、設計パターンの輪郭線上および設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点および第2評価点をそれぞれ設定する評価点設定部と、前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストに基づいて電子線の照射量を適宜補正する照射量補正部と、を有するように構成される。
また、本発明の電子線照射量の決定システムのより好ましい態様として、前記照射量補正部は、露光量の算出操作部、蓄積エネルギー算出部、および蓄積エネルギーのコントラストの算出部を含み、前記蓄積エネルギーのコントラストが所望の値に達していない場合には、前記露光量の算出操作部において露光量の算出操作が再度行なわれ、その後、蓄積エネルギー算出部において前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーが求められ、前記蓄積エネルギーの変化割合の算出部において前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄蓄積エネルギーのコントラストが求められるように構成される。
本発明は、電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する際に、電子線の照射量を決定する方法であって、設計パターンの輪郭線上に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点を設定する工程と、設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第2評価点を設定する工程と、前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、これらの蓄積エネルギーを評価して、当該評価に基づいて適宜、電子線の照射量を補正する照射量補正工程と、を有するように構成しているので、設計パターンが微細であってもプロセス裕度を高めることができ、解像度を向上させることができるという効果が発現する。
図1(A)および図1(B)は、図形分割の例および第1評価点Ponの配置例を説明するための平面図である。 図2は、第1評価点Ponおよび第2評価点Poutの配置を説明するための平面図である。 図3(A)および図3(B)は、第1評価点Ponおよび第2評価点Poutの配置を説明するための平面図である。 図4は、第1評価点Ponおよび第2評価点Poutの配置を説明するための平面図である。 図5は、第1評価点Ponおよび第2評価点Poutの配置を説明するための平面図である。 図6(A)は、第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーに対する収束条件の与え方の一例を示すとともに、収束条件を満足する場合を例示した図面である。図6(B)は、第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーに対する収束条件の与え方の一例を示すとともに、収束条件を満足しない場合を例示した図面である。 図7(A)は、第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーに対する収束条件の与え方の一例を示すとともに、収束条件を満足する場合を例示した図面である。図7(B)は、第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーに対する収束条件の与え方の一例を示すとともに、収束条件を満足しない場合を例示した図面である。 図8は、電子線の照射量の決定方法(近接効果補正)を説明するためフロー図面である。 図9は、電子線の照射量の決定方法(近接効果補正)を説明するためフロー図面である。 図10(A)は、実施例における設計パターンの平面図であり、図10(B)は、実施例における露光量変調の様子を示した図面である。 図11(A)は、比較例における設計パターンの平面図であり、図10(B)は、比較例における露光量変調の様子を示した図面である。 図12(A)は、上述した図10(A)および図11(A)と同様の図面である。図12(B)および図12(C)は電子線の照射量を決定する方法実施後の蓄積エネルギーの様子を示したグラフである。 図13(A)および図13(B)は、図12(C)における蓄積エネルギーを部分的にさらに拡大したグラフである。 本発明の電子線照射量決定方法を実施するためのシステムの一例を示す図面である。 図15(A)および図15(B)は、設計パターンと、蓄積エネルギー分布D1、D2の一例を示した図面である。 図16(A)は、近傍にパターンが存在して、互いの蓄積エネルギーのコントラストが高い場合の例を示した図面であり、図16(B)は、近傍にパターンが存在して、互いの蓄積エネルギーのコントラストが低い場合であり、非露光部において、蓄積エネルギーの干渉が生じている状態が示される図面である。 図17は、充分広い領域に配置された1:1ラインアンドスペース群の設計パターンと、それに対応する1:1ラインアンドスペース群による後方散乱による蓄積エネルギー分布および、電子線を照射した配置領域の中央部付近に存在する1パターンの前方散乱による蓄積における蓄積エネルギー分布を示したものである。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための複数の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する形態に限定されることはなく、技術思想を逸脱しない範囲において種々変形を行なって実施することが可能である。また、添付の図面においては、説明のために上下、左右の縮尺を誇張して図示することがあり、実際のものとは縮尺が異なる場合がある。
本発明は、電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基づいて電子線を照射する際に、電子線の照射量を決定する方法である。ここで設計パターンとは、露光後に現像して本来得ようとしている目標のパターンである。
本発明の電子線の照射量を決定する方法における要部は、設計パターンの輪郭線上に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点を設定する工程と、設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第2評価点を設定する工程と、前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、これらの蓄積エネルギーを評価して、当該評価に基づいて適宜、電子線の照射量を補正する照射量補正工程と、を有することにある。
以下、各工程毎にその内容を説明する。
〔第1評価点を設定する工程および第2評価点を設定する工程〕
本発明において、第1評価点は設計パターンの輪郭線上に設定される。この一方で、第2評価点は、設計パターンの輪郭線(コーナーである角部を含む)の外側(非露光部)に設定される。これらの第1および第2の評価点において、照射される電子線の蓄積エネルギーが求められ、当該蓄積エネルギーの評価が行われる。
以下に示される図面において、設計パターンの輪郭線上に設けられた蓄積エネルギーの第1評価点をPon(以下、単に評価点Ponと称す場合がある)とし、設計パターンの輪郭線の外側(非露光部)に設けられた蓄積エネルギーの第2評価点をPout(以下、単に評価点Poutと称す場合がある)と表示する。
(第1評価点であるPonの設定手法)
本発明において第1評価点であるPonを設定するための手法は、従来より実施されていた手法に準じて行うことができる。
その一例が図1(A)や、図1(B)に示されるが、これらの図面に示された手法に限定されるものでなく、設計パターンの形状や分割手法等に応じて適宜、評価点の設定手法を変更することができる。
図1(A)では、一つの図形を16分割にショット分割された正方形図形群において、全体図形としてみた場合の輪郭線(最外枠)に相当する線分Loの中心に第1評価点であるPonを設定した例が示されている。
また、図1(B)では、一つの図形を8分割にショット分割された長方形図形群において、全体図形の輪郭線(最外枠)に相当する長方形の短辺L1の中心、および長辺L2を2分した線分L2´の中心に第1評価点であるPonを設定した例が示されている。図1(B)において、長辺L2の中心に第1評価点であるPonを設定することもできる。しかし、図1(B)の例では、より精度の高い近接効果補正、すなわち、より精度の高い電子線の照射量を補正する照射量補正工程を施すために、ショットの輪郭線長さ(長辺L2)が指定したLsよりも大きい場合には、その中心ではなく、ショットの輪郭線長さがLsより小さくなる最小の整数個に分割(図示例では長辺L2を2つに分割)することにより形成されたL2´の中心に第1評価点であるPonを設定するようにしている。ちなみに、図1(B)において、L2´≦Ls<L2の関係が成立している。例えば、設計パターンの面積密度が小さい場合や、設計パターン面積密度の変化率が小さい場合には、図1(B)に示されるごとく、ショットを大きく分割することができる。
上記の図1(A)および(B)を用いて説明したごとく、第1評価点Pon は、描画1ショットを基準に、かつ全体図形の輪郭線(最外枠)上に設定される。上記の説明描画1ショットの輪郭線の長さが指定したLsよりも小さければその辺の中心に、大きければ上記に記したように1辺に複数の評価点Ponが設定される。近接効果補正では、補正計算をループさせながら、描画ショットが再分割されたり統合されたりするので、初期段階で分割された分割図形がそのまま最後まで保たれていくとは限らない。よって、第1評価点Pon および後述する第2評価点Pout は描画ショットの再分割が入る度に再設定されることになる。
(第2評価点であるPoutの設定手法)
本発明において第2評価点であるPoutを設定するための手法は以下のとおりである。第2評価点であるPoutは、前述したように設計パターンの輪郭線の外側(露光をしていない非パターン部)に、設けられる。
(1)図2に示されるように設計パターンの輪郭線上に配置されている第1評価点であるPonに対応して、1つの第2評価点であるPoutが設定される。あくまで、第1評価点Ponと第2評価点Poutは一対一の関係にあり、1つの第1評価点Ponに対して1つの第2評価点Poutが設定される。
(2)図2に示されるように第1評価点であるPonが設計パターンの輪郭線上であって、角部以外の位置に存在する場合には、輪郭線の接線に対する法線方向に第2評価点であるPoutが配置される。図2の部分拡大図に示されるように、図2の例において輪郭線は直線であるために接線と同じ線になり、この接線に対して外側に向かう法線方向に第2評価点Poutが設定される。
(3)図3(A)や図3(B)に示されるように、第1評価点であるPonが設計パターンの輪郭線上であって、角部の位置に存在する場合には、角部である頂角θを等角θ/2に分割した2等分線g上に第2評価点であるPoutが配置される。
(4)図2および図3に示される第1評価点であるPonと第2評価点であるPoutとの間の距離Lは、ユーザが与える任意の定数、任意のアルゴリズム、または任意の関数として与えられる。
なお、距離Lを予め定めた場合であっても、図4に示されるように隣接する設計パターンの輪郭線OL同士が距離2Lより接近している場合(2L≧H)には、近接距離Hを2等分する位置に第2評価点であるPoutが設けられる。
上記に従って第2評価点Poutを設けた結果、向かい合う輪郭線OL上に設定された各々の評価点Ponに対するPoutが一致する場合もありうるが、あくまで、第1評価点Ponと第2評価点Poutは一対一の関係にあるため、同一座標に2つのPoutが設定されているものとみなすことができる。
(5)図5に示されるように、第2評価点であるPoutは、設計パターンの輪郭線上の第1評価点であるPonに対してのみ設置される。例えば、図5に示されるごとくパターン内部に蓄積エネルギー評価点(PIN)が配置されている場合には、そのパターン内部の蓄積エネルギー評価点(PIN)に対しては、第2評価点であるPoutを発生させない。設計パターンの輪郭線と露光単位の露光ショットの辺とは区別されるものであり、本発明において第2評価点であるPoutを設けるのは設計パターンの輪郭線近傍の蓄積エネルギーのコントラストを適正に評価するためのものであるからである。なお、図5におけるパターン内部の蓄積エネルギー評価点(PIN)の配置は一例を示したものであり、その配置は、なんら本発明を限定せしめるものではない。
さらに第2評価点であるPoutの設定手法について、説明を加える。
第2評価点であるPoutの配置は、設計パターンの輪郭線の外側に配置されるものの、設計パターンの輪郭線に極めて近接する位置に配置されることが好ましい。設計パターンの輪郭線上近傍における蓄積エネルギーのコントラストの評価を目的としているからである。
より具体的には、評価点Ponと評価点Poutとの間の距離L(図2および図3参照)は、好適にはレジストパターン寸法誤差の許容値以下とすることが好ましい。例えば、レジストパターン寸法誤差の許容値が±5nmであれば、距離Lは、0を超え5nm以下に設定される。
また、配置座標としては、近接効果補正アルゴリズムに負荷を与えないように考慮されていることが好ましい。具体例としては、例えば、近接効果補正計算グリッド上に配置されることが挙げられる。この近接効果補正グリッドは、補正システムに依存するが、通常、出力する描画フォーマットのデータグリッドの1/N、もしくはN倍(Nは正の整数)とすることができる。
なお、採用する近接効果補正アルゴリズムに計算グリッドという概念がない場合には、あえて考慮する必要はない。
本発明の電子線照射量決定方法では、前記第1評価点Ponおよび前記第2評価点Poutにおけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、これらの蓄積エネルギーを評価して、当該評価に基づいて適宜、電子線の照射量を補正する照射量補正工程が設けられる。
第1評価点Ponおよび前記第2評価点Poutにおけるそれぞれの蓄積エネルギーを求めることそのものの方法は、公知の方法を用いればよい。すなわち、蓄積エネルギーを求めることは、電子線照射によって入射した電子がレジスト中に蓄積するエネルギーを求めることである。上述したように、ある1点に入射した電子によってレジスト中に蓄積されるエネルギーの、レジスト表面からのある深さにおける平均分布は、下記の数式(1)に示されるように、EID(Energy Intensity Distribution)関数と呼ばれる2つのガウス分布の和で表わされる。
Figure 2013183048
上記式において、α、β、ηはレジスト表面からの深さによって決定される定数であり、αは前方散乱径(前方散乱の広がり)、βは後方散乱径(後方散乱の広がり)、ηは後方散乱係数(後方散乱エネルギー強度/前方散乱エネルギー強度:前方散乱に対する比)を示している。EID関数の第1項はレジストに入射した電子が前方散乱しつつ侵入していく際に蓄積されるエネルギー分布であり、第2項は入射電子がレジスト中及び基板中の原子核によって後方散乱を受け、入射方向と逆方向に散乱していく際に蓄積されるエネルギー分布である。
上記式を用いて、第1評価点Ponおよび前記第2評価点Poutにおけるそれぞれの蓄積エネルギーを求めることができる。そして、これらの求められた蓄積エネルギーに基づいて、(1)第1評価点における蓄積エネルギーの評価であって、第1評価点Ponにおける蓄積エネルギーが第1評価点判定基準値(収束条件)を満たすか否かの第1評価点判定操作、および(2)第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーの評価であって、前記第1評価点における蓄積エネルギーを基準として前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストを考慮した第2評価点判定基準値に基づく第2評価点判定操作が行なわれる。
第1評価点Ponにおける蓄積エネルギーの評価(第1評価点判定操作)は、前記第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーの評価(第2評価点判定操作)の前に行われる
(第1評価点判定操作)
第1評価点判定操作は、通常、従来より行なわれている手法と同様であり、例えば、上記数式(1)を用いて求められた第1評価点Ponにおける蓄積エネルギーEonの値が、予め設定されている第1評価点判定基準値Edev(収束条件)を満たすか否かの判断が行われる。
第1評価点判定基準値Edev(収束条件)は、アルゴリズム上、最初に決定されるべきものである。例えば、充分広い領域にパターン幅の2倍のピッチで配置されたラインアンドスペースパターン(以下、1:1ラインアンドスペースパターンと称す場合がある)を用い、中心部付近に配置されたある1つのパターンの蓄積エネルギーから求める。詳しくは、電子線を照射した場合の、前方散乱による蓄積エネルギーを求め、ピーク値の1/2をEdevとして設定する。なお、充分広い領域とは後方散乱径の3〜5倍程度以上の領域をいう。前方散乱による蓄積エネルギーのピーク値の1/2をEdevとして設定する上記手法の概念図が図17に示される。図17は、充分広い領域に配置された1:1ラインアンドスペース群の設計パターンと、それに対応する1:1ラインアンドスペース群による後方散乱による蓄積エネルギー分布および、電子線を照射した配置領域の中央部付近に存在する1パターンのみの前方散乱による蓄積における蓄積エネルギー分布を示したものであり、それ以外のパターンの前方散乱による蓄積における蓄積エネルギー分布は図示されていない。
上記の第1評価点判定操作において第1評価点判定基準値Edev(収束条件)を満たす場合、次いで第2評価点判定操作が行われる。
第2評価点判定操作は本発明の要部であり、以下に詳述する。
(第2評価点判定操作)
第2評価点判定操作は、前述したように第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーEoutの評価であって、前記第1評価点における蓄積エネルギーEonを基準として前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストを考慮することによって行われる。具体的な蓄積エネルギーのコントラストは、第1評価点における蓄積エネルギーEonをベースにして求めることができる。なお、本発明でいうコントラストとは、広義に解釈される用語として用いており、コントラストは、比率で設定する場合および変化率で設定する場合、いずれも含まれるものである。
(第2評価点判定基準値(収束条件)の与え方の例示) 本発明における第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーEoutに対する第2評価点判定基準値(収束条件)の与え方は、近接効果補正計算アルゴリズムによらず組み込むことが可能となるようにするために、評価点Ponにおける蓄積エネルギーEonを基準とした判定方法にすることが望ましい。
判定方法の一手法として、評価点Ponにおける蓄積エネルギーEonを基準として、評価点Poutにおける蓄積エネルギーEoutが、例えば、下記式(I)を満たすように設定することができる。下記式(I)は、コントラストを比率で設定した場合として考えることができる。
Eout ≦ Eon/2 …式(I)
なお、上記式(I)において、第2評価点判定基準値(収束条件)は、Eon/2として定められているが、この第2評価点判定基準値はあくまでも一例であり、用いる電子線感応性のレジストの種類や特性に合わせて適宜選定するようにすればよい。
図6(A)には、第2評価点判定操作において第2評価点判定基準値 (収束条件)を満たす場合の設計パターン10と、蓄積エネルギー分布D1の一例が示されている。この一方で、図6(B)には、第2評価点判定操作において第2評価点判定基準値(収束条件)を満たさない場合の設計パターン10と、蓄積エネルギー分布D2の一例が示されている。これらの図面において、レジストの平面はX−Y平面として、またレジストの厚さ方向はZ方向として表示されている。すなわち、設計パターン10は平面図として描かれており、X−Y平面が表示されている。また、蓄積エネルギー分布D1、D2は、図示の場合、幅方向(図面のX方向)に対向する輪郭線11に設けられた評価点Pout-Pon-Pon-Pout間を含む蓄積エネルギーの分布として表示されている。
図6(A)および図6(B)ともに、「評価点Ponにおける蓄積エネルギーはEdev」という条件を満たしている。さらに、図6(A)に示される評価点Pon-Pout間における蓄積エネルギーのコントラストは、上記式(I)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たしている。しかしながら、図6(B)に示される評価点Pon-Pout間における蓄積エネルギーのコントラストは、上記式(I)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たしておらず、寸法変動が生じやすい傾向にある。そのため、図6(B)に示されるように上記式(I)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たしていない場合には、再度、最適な露光量を算出するための最適露光量算出操作が行なわれる。最適露光量算出操作は、照射量補正工程に含まれる。
図6(A)に示されるように上記式(I)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たす場合には、照射量補正工程は完了して電子線の照射量が決定されることとなる。
また、判定方法の他の一手法として、評価点Ponにおける蓄積エネルギーEonを基準として、評価点Poutにおける蓄積エネルギーEoutが、例えば、下記式(II)を満たすように設定することができる。下記式(II)は、蓄積エネルギーEonと蓄積エネルギーEoutとのコントラストを変化率で設定した場合として考えることができる。
(Eon−Eout)/Eon ≧ 0.8 … 式(II)
なお、上記式(II)において、第2評価点判定基準値(収束条件)は、変化率0.8として定められているが、この変化率に基づく判定基準値はあくまでも一例であり、前述したように用いる電子線感応性のレジストの種類や特性に合わせて適宜選定するようにすればよい。
図7(A)には、第2評価点判定操作において上記式(II)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たす場合の設計パターン10と、蓄積エネルギー分布D1の一例が示されている。この一方で、図7(B)には、第2評価点判定操作において上記式(II)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たさない場合の設計パターン10と、蓄積エネルギー分布D2の一例が示されている。これらの図面において、レジストの平面はX−Y平面として、またレジストの厚さ方向はZ方向として表示されている。すなわち、設計パターン10は平面図として描かれており、X−Y平面が表示されている。また、蓄積エネルギー分布D1、D2は、図示の場合、幅方向(図面のX方向)に対向する輪郭線11に設けられた評価点Pout-Pon-Pon-Pout間を含む蓄積エネルギーの分布として表示されている。
ここで、図7(A)および図7(B)に示した設計パターン10の第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーをそれぞれEout(A)、Eout(B)と示している。
図7(A)および図7(B)ともに、「評価点Ponにおける蓄積エネルギーはEdev」という条件を満たしている。さらに、図7(A)に示される評価点Pon-Pout間における蓄積エネルギーのコントラストは、上記式(II)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たしている((Eon−Eout)/Eon ≧ 0.8)。しかしながら、図7(B)に示される評価点Pon-Pout間における蓄積エネルギーのコントラストは、上記式(II)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たしておらず((Eon−Eout)/Eon < 0.8)、寸法変動が生じやすい傾向にある。そのため、図7(B)に示されるように上記式(II)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たしていない場合には、再度、最適な露光量を算出するための最適露光量算出操作が行なわれる。最適露光量算出操作は、照射量補正工程に含まれる。
図7(A)に示されるように上記式(II)の第2評価点判定基準値(収束条件)を満たす場合には、照射量補正工程は完了して電子線の照射量が決定されることとなる。
<近接効果補正のフロー1>
本発明の照射量補正工程を有する電子線照射量決定方法のフローの一例を図8を参照しつつ説明する。なお、図8に示されるフロー全体をいわゆる近接効果補正と称することができる。
本発明の電子線照射量決定方法の要部は、従来からの手法である設計パターンの輪郭線上の評価点Ponにおける蓄積エネルギーを求めることにより行われる近接効果補正のフローに、設計パターンの輪郭線の外側にさらに蓄積エネルギー評価点Poutを生成させて、評価点Ponにおける蓄積エネルギー(Eon)および評価点Poutにおける蓄積エネルギー(Eout)を求めて、蓄積エネルギーのコントラストの評価を追加している点にある。各評価点における蓄積エネルギーを求める計算手法そのものについては、従来からの方法をそのまま適用することができる。
以下、図8に示されるフローに基づき順次説明する。
(1)ステップS1
ステップS1において、設計パターンに基づく露光パターンの設定が行われる。
基本として、設計パターンを得るべく露光パターンが定められる。
設計パターンと露光パターンとは実質的に同様なパターンに設定してもよい。
なお、図8では、次のステップS2に行くまでのタイミングで、第1評価点における収束条件、第2評価点における収束条件、EIDパラメータ等のデータを記憶部に入力させる例が開示されているが、必ずしも、このタイミングに限定されるわけではない。
(2)ステップS2
ステップS2において、露光パターンを構成している図形の分割が行われる。分割手法として、その一例が図1(A)や、図1(B)に示されるが、これらの図面に示される形態に限定されるものではなく、露光ショットの大きさや、後述する各評価点における適切な評価が行えること等を考慮して分割手法を適宜決定することができる。
(3)ステップS3
ステップS3において、第1評価点であるPonの設定が行われる。
第1評価点であるPonは設計パターンの輪郭線上に設定される。具体的な手法としては、前述した「第1評価点であるPonの設定手法」を参考にされたい。前述したように、例えばその一例が図1(A)や、図1(B)に示されるが、これらの図面に示された手法に限定されるものでなく、設計パターンの形状や分割手法等に応じて適宜、評価点の設定手法を変更することができる。
(4)ステップS4
ステップS4において、各露光ショットの最適露光量を算出する操作が行なわれる。
各露光ショットとは、図形分割された各々一区画のことであり、この一区画内には均一な露光量が与えられる。
このステップS4において、いわゆるEIDパラメータ(α、β、η、δ)が使用される。ここで、αは前方散乱径(前方散乱の広がり)、βは後方散乱径(後方散乱の広がり)、ηは後方散乱係数(後方散乱エネルギー強度/前方散乱エネルギー強度:前方散乱に対する比)、δはビームブラー(いわゆるビームぼけ)を示している。
これらのEIDパラメータは、シミュレーションを用いて求めても良いが、実際に使用する装置、工程を用いた実描画実験などから導出することが好ましい。その場合、前方散乱径αと、ビームブラーδとを切り分けることが難しいことがあり、両者を含めた散乱径を「見かけの前方散乱径α´」として取り扱うようにすることができる。この場合、見かけの前方散乱径α´は、α2+δ2の平方根という関係が成り立っている。
本発明において、前方散乱径としてどちらを採用するかは、使用する近接効果補正アルゴリズムに依存していると考えることができ、例えば、近接効果補正アルゴリズムにおいて両者を区別していない場合には、見かけの前方散乱径α´を前方散乱径とみなすことができる。また、実描画実験において両者を切り分けることができない場合においても、見かけの前方散乱径α´を前方散乱径とみなすことができる。
各露光ショットの最適露光量を算出する操作の具体的方法としては、例えば、面積密度法(代表図形法)とパターンエッジ評価法を組み合わせた補正方法を挙げることができる。面積密度法は、描画パターン全体をある所定の大きさの単位区画(メッシュ)に分割し、各々のメッシュ内の描画パターンの面積密度を算出し、その面積密度マップを用いて蓄積エネルギーを算出し、各メッシュ内において照射される電子線の蓄積エネルギーが一定となるように露光量を最適化する方法である。さらに考慮すべき一般的な技法として、例えば、小パターンほど露光量が大きくなるように設定されること、パターンの輪郭線に近づくほど露光量が大きくなるように設定されること、複数描画ショットで構成されるパターンにおいては、露光量の変化がなだらかとなり、急変しないように決定されること、等が考慮される。
ただし、本発明の各露光ショットの最適露光量を算出する操作においては、最終的に設計パターン輪郭線近傍における蓄積エネルギーのコントラストを向上させることができるように露光量変調の操作を組み込むことが要求される。そのため、例えば、パターン最外周である輪郭線を1辺とする露光ショットの露光量を小さくし、パターン間の前方散乱(ビームブラーを含むみかけの前方散乱)による蓄積エネルギーの干渉を抑えることでパターン外周部(非露光部)の蓄積エネルギーを下げることが一つの手法として考えられる。しかしながら、これでは設計パターンの輪郭線の蓄積エネルギーがEdevを満たさない場合があるため、好ましい態様の一つとして設計パターン内の輪郭線近傍(近傍とは輪郭線を含む露光ショットではない)の露光量を大きくすることで、設計パターンの輪郭線の評価点が目的とする蓄積エネルギーとなるように最適化させることができる。
なお、露光量の高いショット同士の距離は、前方散乱径(ビームブラーを含むみかけの前方散乱径)の3〜5倍の距離程度に十分に分離させておくことが好ましい。双方のエネルギー干渉を防ぐようにするためである。
なお、本発明のステップ4の操作について、さらに説明を加えると、最初の1回目のステップS4では、面積密度法による近接効果補正が実施され、次いでステップS5へ進む操作が行なわれるが、後述するステップS6、S9から戻ってきて再度行われる2回目以降のステップ4の操作については、前述したように『本発明の各露光ショットの最適露光量を算出する操作において、最終的に設計パターン輪郭線近傍における蓄積エネルギーのコントラストを向上させることができるように露光量変調の操作を組み込むこと』が行なわれる。
なお、本発明において、照射量補正工程は、後述のステップも含めたステップS3〜S10の範囲を包含するものであり、照射量補正工程は、いわゆる近接効果補正の要部をなす工程と考えることができる。
(5)ステップS5
ステップS5において、第1評価点Ponにおける蓄積エネルギーを算出する操作が行なわれる。
前述したようにEID(Energy Intensity Distribution)関数と呼ばれる2つのガウス分布の和で表わされる式を用いて第1評価点Ponにおける蓄積エネルギーを算出する操作が行なわれる。蓄積エネルギーを算出する操作自体、従来より行なわれていたものを用いることができる。
(6)ステップS6
ステップS6において、第1評価点判定操作が行なわれる。すなわち、第1評価点Ponにおける蓄積エネルギーEonが、予め設定されている第1評価点判定基準値Edev(収束条件)を満たすか否かの判断が行われる。つまり、設計パターンの輪郭線上の各評価点Ponにおける蓄積エネルギーEonが収束条件を満たすか否かの判断が行われ、全ての評価点Ponにおいて収束条件を満たす場合(Yesの場合)、次なるステップS7に進むことができる。
この一方で、収束条件を満たさない場合(Noである場合)、各露光ショットの最適露光量算出のステップS4に戻る。戻されたステップS4で、例えば、Noとされた評価点Ponを中心にしてその中心周辺の他の評価点Ponも含めて、露光ショットの最適な露光量が再度算出されることになる。
その際、必要に応じて、ステップS2にて実施した図形分割を再分割する操作(ステップS2´)を行なう。例えば、補正計算が収束しない場合や連続する露光ショットの最適露光量が急激に変化する場合などである。
なお、ステップS2´にて図形の再分割を実施した場合には、それに応じて第1評価点Ponを再設定(ステップS3´)する操作が行なわれる。
(7)ステップS7
ステップS7において、第2評価点であるPoutの設定が行われる。
具体的な手法としては、前述した「第2評価点であるPoutの設定手法」を参考にされたい。第2評価点であるPoutは、前述したように設計パターンの輪郭線上に配置されている第1評価点であるPonに対応して設計パターンの輪郭線の外側に設けられ、1つの第1評価点Ponに対して1つの第2評価点Poutが設定される。
(8)ステップS8
ステップS8において、第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーを算出する操作が行なわれる。
前述したようにEID(Energy Intensity Distribution)関数と呼ばれる2つのガウス分布の和で表わされる式を用いて第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーを算出する操作が行なわれる。蓄積エネルギーを算出する操作自体、従来より行なわれていたものを用いることができる。
(9)ステップS9
ステップS9において、第2評価点判定操作が行なわれる。前述したように第2評価点判定操作は、第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーEoutの評価であって、第1評価点における蓄積エネルギーEonを基準として前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストを考慮することによって行われる。具体的な蓄積エネルギーのコントラストは、第1評価点における蓄積エネルギーEonをベースにして求めることができる。第2評価点判定基準値(収束条件)の与え方は、上述した「第2評価点判定基準値(収束条件)の与え方の例示」を参照されたい。
全ての第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーEoutが第2評価点判定基準値(収束条件)を満たす場合(Yesの場合)、いわゆる本発明における照射量補正工程が完了する(ステップS10に至る)。この一方で、全ての第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーEoutが第2評価点判定基準値(収束条件)を満たさない場合(Noの場合)、各露光ショットの最適露光量算出のステップS4に戻る。戻されたステップS4で、例えば、Noとされた評価点Poutを中心にしてその中心周辺の他の評価点Poutも含めて、露光ショットの最適な露光量が再度算出される。
上述したように、本発明において、照射量補正工程は、ステップS3〜S10の範囲を包含するものであり、照射量補正工程は、いわゆる近接効果補正の要部をなす工程である。
<近接効果補正のフロー2>
次いで、本発明の照射量補正工程を有する電子線照射量決定方法の他のフローを図9を参照しつつ説明する。なお、図8と同様に図9に示されるフロー全体をいわゆる近接効果補正と称することができる。
図9に示されるフローは、無限ループに陥らないために、補正を打ち切る判断工程(ステップS11)を備えている点で、図8に示されるフローと異なる。
本発明における近接効果補正においては、与えられた条件にて収束をしない可能性も考慮しておくことが望ましい。収束に向かいながら収束値の近傍までは近づくものの、収束値までは届かず収束値の近傍で振動したり、飽和してしまうことが生じ得るからである。このようなケースは、例えば、設計のパターン同士が近接し過ぎている場合や、パターンの面積密度が急変する場合に生じることが多い。従って、無限ループに陥らないために、図9に示されるごとく補正を打ち切る判断工程(ステップS11)を備えるように構成することが望ましい。
補正を打ち切る判断工程(ステップS11)は、図9に示されるごとく、ステップS6において第1評価点Ponにおける蓄積エネルギーEonが第1評価点判定基準値Edev(収束条件)を満たさない場合(Noである場合)、あるいは、ステップS9において第2評価点Poutにおける蓄積エネルギーEoutが第2評価点判定基準値(収束条件)を満たさない場合(Noの場合)であって、各露光ショットの最適露光量算出のステップS4に戻る途中に介在される。
補正を打ち切る判断工程(ステップS11)においては、図示のごとく補正計算の打ち切り条件を満たすか否かの判断条件が付与される。計算の打ち切りの条件の一例として、補正計算の回数を打ち切り条件として挙げることができる。また、第2評価点判定基準値(収束条件)に対して誤差範囲内(例えば10%以内)に収まっていることを条件に打ち切るというようにすることもできる。
<蓄積エネルギーのコントラストを向上させるための手法についての考察>
特に、上記ステップS4で示される各露光ショットの最適露光量を算出する操作に関連するものであって、設計パターンの輪郭線の近傍における蓄積エネルギーのコントラストを向上させるための手法について、以下2つのケースに分けて説明する。
(1)設計パターンの幅、および隣接する設計パターンの間隔が比較的大きい場合(以下、単に「幅、間隔が大きい場合」と称す場合がある)
設計パターンの輪郭線の近傍における蓄積エネルギーのコントラストを向上させるには、設計パターン内部の露光量を、レジストが反応する最低蓄積エネルギー程度まで小さくし、外周部の露光量を高くする方法が経験的に知られている。ただし、この経験則は本発明のごとく設計パターンの輪郭線近傍の蓄積エネルギーのコントラストを評価しながら露光量の補正をしているわけではない。
ここで、「幅、間隔が大きい場合」とは、設計パターンの幅、および隣接する設計パターンの間隔が、使用する描画装置の前方散乱径、ビームブラー(ショットサイズによって変化するので、最大ショットサイズの時の大きさとする)のうち、値が大きい方の径の3〜5倍程度以上であるような設計ルールのことである。
(2)隣接する設計パターンの間隔が比較的小さい場合(以下、単に「間隔が小さい場合」と称す場合がある)
「間隔が小さい場合」とは、上記の「幅、間隔が大きい場合」における隣接する設計パターンの間隔を満たさず、小さい場合である。このような場合、隣り合うパターンの前方散乱、ビームブラーによる蓄積エネルギーの干渉によって、設計パターンの輪郭線における蓄積エネルギーコントラストが低下する傾向にある。
このような場合には、以下の実施例に示すような方法を用いることによって、設計パターンの輪郭線における蓄積エネルギーコントラストを向上させることが可能となる。
<システム(ブロック図)>
図14には、上述した本発明の電子線照射量決定方法を実施するためのシステム100(ブロック図)の一例が示される。処理ユニット101内には、入力部102、記憶部103、近接効果補正計算部104、描画フォーマット変換部105、出力部106が備えられており、処理ユニット101の外部には入力装置99、出力装置110が接続されている。
図14に示されるように、入力装置99から「パターンデータ」、「EIDパラメータ」、「描画フォーマット変換パラメータ」などの必要な入力要素が入力部102に入力される。入力された各種のデータ、パラメータは記憶部103に記憶される。
近接効果補正計算部104では、記憶部103から適宜必要な情報を取り出し、上記の照射量補正工程を含む近接効果補正計算を実施していく(例えば図8におけるステップS1〜S10、図9におけるステップS1〜S10等)。なお記憶部103には、近接効果補正計算、描画フォーマット変換時などの一時データも記憶させることが可能である。
描画フォーマット変換部105では、照射量を補正する近接効果補正完了後、各種描画フォーマットへの変換が行われる。なお、場合によっては、描画フォーマットへ変換後、近接効果補正を実施するようにしてもよいし、近接効果補正と描画フォーマットとを同時に行ってもよい。
例えば、近接効果補正を行い描画フォーマットへ変換した後、出力部106より出力装置110を用いて、描画データを出力することができる。なお、場合によっては出力装置110が直接、描画装置へ接続されるようにしてもよい。
また、上述してきた本発明の電子線照射量決定方法は、その要部を含ませた電子線照射方法、および電子線照射量の決定システムの発明群に応用展開することができる。すなわち、本発明の電子線照射方法は、電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する方法であって、設計パターンの輪郭線上に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点を設定する工程と、設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第2評価点を設定する工程と、前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストが所定の許容値以下となる条件下で電子線を前記レジストに照射する電子線照射工程と、を有するように構成される。
また、本発明の電子線の照射量を決定するシステムは、電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する際に、電子線の照射量を決定するシステムであって、設計パターンの輪郭線上および設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点および第2評価点をそれぞれ設定する評価点設定部と、前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストに基づいて電子線の照射量を適宜補正する照射量補正部と、を有するように構成され、さらに、前記システムにおける照射量補正部は、露光量の算出操作部、蓄積エネルギー算出部、および蓄積エネルギーの変化割合の算出部を含み、前記蓄積エネルギーのコントラストが所望の条件に達していない場合には、前記露光量の算出操作部において露光量の算出操作が再度行なわれ、その後、蓄積エネルギー算出部において前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーが求められ、前記蓄積エネルギーのコントラストの算出部において前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストが求められるように構成される。
以下、本発明の電子線照射量決定方法を実施した場合と、従来法の電子線照射量決定方法を実施した場合において、得られる露光量変調の様子および蓄積エネルギーの様子を具体的に対比しながら説明することとする。
(実施例)
図10(A)は、本発明の実施例として表示した設計パターンの平面図であって、寸法100μm×100μmの正方形の大図形パターン200と、この正方形の大図形パターン200の一辺に沿って、20nmの間隔を空けた状態で幅20nm、長さ100μmの長細い長方形の小図形パターン300を隣設させた状態を示す平面図である。
図10(B)は、本発明の実施例に係る図面であって、図10(B)は図10(A)のα−β間の領域における本発明の電子線照射量決定方法の実施、すなわち、設計パターンの輪郭線近傍に複数の評価点を設けて、評価点ごとに電子線の蓄積エネルギーを算出して蓄積エネルギーのコントラストを求め、蓄積エネルギーが急峻に変化するように電子線の照射量を決定する方法の実施によって得られた露光量変調の様子を示した図面である。図面に描かれた斜線の密度によって、露光量の大小を表現しており、斜線の密度が高い程、露光量は大きい。
図10(B)に示されるように、正方形の大図形パターン200の外周部のエリア201から少し内側に入ったエリア202が最も露光量が大きく、エリア202よりも外のエリア201およびエリア202よりもさらに内側に順次入るエリア204、205、206、207は露光量は小さい。外周部のエリア201の露光量は、エリア204、205、206、207の露光量より小さい。また、長細い長方形の小図形パターン300については、中央のエリア302が最も露光量が大きく、その両側のエリア301、303の露光量は小さい。全体的に見ると、図示のごとくエリア302とエリア202が最も露光量が大きく、エリア301、303の露光量は、エリア201の露光量よりも小さい。
図10(B)に示される露光量変調が得られるまでの操作過程の一例は以下のとおり。
本発明の各露光ショットの最適露光量を算出する操作においては、最終的に設計パターン輪郭線近傍における蓄積エネルギーのコントラストを向上させることができるように露光量変調の操作を組み込むことが要求されているため、例えば、パターン最外周である輪郭線上のショットの露光量を小さくし、パターン間の前方散乱(ビームブラーを含むみかけの前方散乱径)による蓄積エネルギーの干渉を抑えることでパターン外周部(非露光部)の蓄積エネルギーを下げることを一つの手法として試みた。しかしながら、これでは設計パターンの輪郭線の蓄積エネルギーがEdevを満たさない場合があったため、好ましい態様の一つとして設計パターン内の輪郭線近傍(近傍とは輪郭線上ではない(図10(B)におけるエリア202,302))の露光量を大きくすることで、設計パターンの輪郭線の評価点が目的とする蓄積エネルギーとなるように最適化させた。
なお、露光量の高いショット同士の距離W(図10(B)に示されるエリア202とエリア302との距離W)は、前方散乱径(ビームブラーを含むみかけの前方散乱径)の3〜5倍の距離程度に十分に分離させた。
(比較例)
図11(A)は、比較例として表示した設計パターンの平面図であって、寸法100μm×100μmの正方形の大図形パターン200と、この正方形の大図形パターン200の一辺に沿って、20nmの間隔を空けた状態で幅20nm、長さ100μmの長細い長方形の小図形パターン300を隣設させた状態を示す設計パターンの平面図である。
図11(B)は、比較例に係る図面であって、図11(B)は図11(A)のα−β間の領域におけるいわゆる従来から行われていた「設計パターンの輪郭線上に設けられた評価点Ponにおける蓄積エネルギーをEdevとする」のみの判断で電子線の照射量を決定する方法の実施によって得られた露光量変調の様子を示した図面である。図面に描かれた斜線の密度によって、露光量の大小を表現しており、斜線の密度が高い程、露光量は大きい。
図11(B)において、正方形図形パターン200の外周部のエリア201が最も露光量が大きく、エリア201よりもさらに内側に入るエリア202、さらに内側に入るエリア203、204、205、206、207と露光量は小さい。
また、長細い長方形の小図形パターン300については、エリア301、302、303における露光量の変化は付けずに、小図形パターン300全体の露光量を大きく設定した。全体的に見ると、図示のごとくエリア301、302、303とエリア201が最も露光量が大きい。
図11(B)に示される露光量変調の態様は、従来より一般的に行われているものであり、小パターンほど露光量が大きくなるように設定されること、パターンの輪郭線に近づくほど露光量が大きくなるように設定されること、複数描画ショットで構成されるパターンにおいては、露光量の変化がなだらかとなり、急変しないように決定されること、等を考慮して露光量変調した。
(電子線の照射量を決定する方法実施後の蓄積エネルギーの様子)
上記の実施例および比較例で示される露光量変調に基づいて電子線シュミレーションソフト(みずほ情報総研株式会社、 FabMeister-EL)を用いて、図12(A)に示されるαーβ間における蓄積エネルギーの分布を計算した。その計算結果を図12(B)に示した。図12(A)は、上述した図10(A)および図11(A)と同様の図面であって、寸法100μm×100μmの正方形の大図形パターン200と、この正方形の大図形パターン200の一辺に沿って、20nmの間隔を空けた状態で幅20nm、長さ100μmの長細い長方形の小図形パターン300を隣設させた状態を示す設計パターンの平面図である。
図12(B)は、正方形の大図形パターン200と長方形の小図形パターン300との隙間である20nmの間隔の中央を基準となる零ポジションとして、その基準となる零ポジションから長方形の小図形パターン300方向への距離を正の距離として表示し、基準となる零ポジションから正方形の大図形パターン200方向への距離を負(マイナス)の距離として表示している。−10nm〜+10nmのポジション間のエリアが大図形パターン200と小図形パターン300との20nmの間隔に相当する。
図12(C)は、図12(B)に示される蓄積エネルギーの分布の−20nm〜+20nmのポジション間のエリアの拡大図である。図13(A)は、図12(C)に示される蓄積エネルギーの分布の拡大図を、大図形パターン200の設計パターンの輪郭線である−10nmポジションの近傍(−10.1nm〜−9.9nmのポジション間のエリア)でさらに拡大した図面である。図13(B)は、図12(C)に示される蓄積エネルギーの分布の拡大図を、小図形パターン300の設計パターンの輪郭線である+10nmポジションの近傍(9.9〜10.1nmのポジション間のエリア)でさらに拡大した図面である。なお、図12(B)、図12(C)、図13(A)、および図13(B)に示されるグラグの縦軸の蓄積エネルギーの数値は、一つの基準値を基に規格化された蓄積エネルギー相対値を示している。
図13(A)および図13(B)に示されるように、実施例および比較例ともに、設計パターンの輪郭線上の蓄積エネルギーは一致している。しかしながら、本発明である実施例の多点評価法のほうが、傾きが大きく蓄積エネルギーのコントラストが高いことが示される。
また、図12(C)に示されるように、本発明である実施例の多点評価法のほうが非露光部における蓄積エネルギーが小さくなっており、特に、設計パターンの間隔が狭い場合にも、本発明の多点評価法が有効であるものと考察される。
電子線を用いて微細パターンを描く技術において幅広く利用可能である。
10…設計パターン
11…輪郭線
Pon…第1評価点
Pout…第2評価点

Claims (10)

  1. 電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する際に、電子線の照射量を決定する方法であって、
    設計パターンの輪郭線上に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点を設定する工程と、
    設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第2評価点を設定する工程と、
    前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、これらの蓄積エネルギーを評価して、当該評価に基づいて、電子線の照射量を補正する照射量補正工程と、を有することを特徴とする電子線照射量決定方法。
  2. 前記照射量補正工程は、前記第2評価点における蓄積エネルギーの評価であって、前記第1評価点における蓄積エネルギーを基準として前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストを考慮した第2評価点判定基準値に基づく第2評価点判定操作を含む、請求項1に記載の電子線照射量決定方法。
  3. 前記照射量補正工程は、前記第2評価点判定操作よって第2評価点判定基準値を満たさないと判断された場合に操作される最適露光量算出操作、を含む請求項2に記載の電子線照射量決定方法。
  4. 前記照射量補正工程は、前記第1評価点における蓄積エネルギーの評価であって、前記第1評価点における蓄積エネルギーが第1評価点判定基準値(収束条件)を満たすか否かの第1評価点判定操作を含み、
    当該第1評価点における蓄積エネルギーの評価は、前記第2評価点における蓄積エネルギーの評価の前に行われる請求項2または請求項3に記載の電子線照射量決定方法。
  5. 前記照射量補正工程は、前記第1評価点判定操作よって第1評価点判定基準値を満たさないと判断された場合に操作される最適露光量算出操作、を含む請求項4に記載の電子線照射量決定方法。
  6. 前記第2評価点は設計パターンの輪郭線の接線に対する法線上に配置され、
    前記第1評価点および前記第2評価点は前記法線上に存在する請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電子線照射量決定方法。
  7. 前記設計パターンは多角形であり、多角形の頂角の2等分線上に前記第1評価点および前記第2評価点が配置される請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電子線照射量決定方法。
  8. 電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する方法であって、
    設計パターンの輪郭線上に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点を設定する工程と、
    設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第2評価点を設定する工程と、
    前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストが所定の許容値を満たす条件下で電子線を前記レジストに照射する電子線照射工程と、を有する電子線照射方法。
  9. 電子線感応性のレジストに対して設計パターンに基いて電子線を照射する際に、電子線の照射量を決定するシステムであって、
    設計パターンの輪郭線上および設計パターンの輪郭線の外側に、照射される電子線の蓄積エネルギーを評価する第1評価点および第2評価点をそれぞれ設定する評価点設定部と、
    前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーを求め、前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄積エネルギーのコントラストに基づいて電子線の照射量を適宜補正する照射量補正部と、を有する電子線照射量の決定システム。
  10. 前記照射量補正部は、露光量の算出操作部、蓄積エネルギー算出部、および蓄積エネルギーのコントラストの算出部を含み、
    前記蓄積エネルギーのコントラストが所望の値に達していない場合には、前記露光量の算出操作部において露光量の算出操作が再度行なわれ、
    その後、蓄積エネルギー算出部において前記第1評価点および前記第2評価点におけるそれぞれの蓄積エネルギーが求められ、前記蓄積エネルギーの変化割合の算出部において前記第1評価点から前記第2評価点に至るまでの前記レジスト面内における蓄蓄積エネルギーのコントラストが求められる請求項9に記載の電子線照射量の決定システム。
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