JP2013182977A - 電子デバイスのパッケージの封止方法及び電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】電子デバイスのパッケージの封止において、先に照射したエネルギービームの蓄熱に起因して、照射位置によってベースとリッドとの接合状態に生じるばらつきを低減抑制し、安定して高い封止品質を実現する。
【解決手段】出力一定のレーザービームLをベース11とリッド12との接合部に、ガルバノメーター8,9により走査軌跡Tに沿って連続的に照射し、リッド下面のろう材層14を加熱溶融させて、ベース上端面のメタライズ層13と溶接する。レーザービームの走査速度は、所定の走査速度パターンに従って走査軌跡に沿って連続的に又は断続的に変化させるように制御される。走査速度パターンは、目的とする封止が得られるように事前に設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】出力一定のレーザービームLをベース11とリッド12との接合部に、ガルバノメーター8,9により走査軌跡Tに沿って連続的に照射し、リッド下面のろう材層14を加熱溶融させて、ベース上端面のメタライズ層13と溶接する。レーザービームの走査速度は、所定の走査速度パターンに従って走査軌跡に沿って連続的に又は断続的に変化させるように制御される。走査速度パターンは、目的とする封止が得られるように事前に設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、様々な電子デバイスのパッケージを封止する方法、及び電子デバイスに関する。
従来より、例えば圧力センサー、ジャイロセンサー、加速度センサー又は振動子として水晶デバイス、MEMSデバイス、シリコンデバイス、セラミックデバイス等の電子デバイスが広く使用されている。多くの電子デバイスは、互いに気密に接合されるベースとリッドとからなるパッケージを備え、前記ベースとリッドとの間に画定される空間内に電子部品を収容し、気密に封止する。
電子デバイスを気密に封止するために、パッケージのベースとリッドとの接合部にレーザービーム、電子ビーム等のエネルギービームを照射して加熱する方法が広く採用されている。例えば、パッケージのベースの周縁部にメタライズ層及びその上に金属めっき層を形成し、その上に平板状の金属リッドを載置し、該リッドの上からレーザービーム又は電子ビームをベース周縁部に照射して前記リッドを加熱溶融させ、ベース周縁部の金属めっき層と溶融接合して気密封止する電子部品パッケージが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
レーザービーム又は電子ビームの照射によってベースに接合されるリッドには、金属板の片面にろう材をクラッドしたものが多く使用されている(例えば、特許文献2、3を参照)。多くの場合、レーザービーム又は電子ビームは、ベースの上に載置したリッドの外周に沿って走査しながら照射され、リッド外周部のろう材を加熱して拡散溶融させ、リッドをその外周部においてベース上面のメタライズ層に溶接する。
また、特許文献2記載の電子部品用パッケージの封止方法では、蓋体の外周を1周するレーザービーム又は電子ビームの照射を複数回に分けて移動、停止させる。これにより、ビーム照射熱を効率良く放熱させて溶接時の蓋体とケースとの温度差を小さくし、ケースのクラック発生を防止している。
封止しようとする電子デバイスが小さくなると、レーザービームの照射位置がその走査軌跡に沿って移動するに連れて、先に照射したビーム照射熱が直ぐに放熱されずに蓄積されていく虞がある。この蓄熱作用によって、まだ照射していない後の照射位置が予め加温され、かつ照射位置が後になるほどより高温になっていく。その結果、レーザービームを一定の出力で連続的に照射すると、溶接始めと終わりとで溶接状態が異なり、リークを発生させる場合があることが知られている。
かかる問題を解消するために、ワークに対して照射位置を移動させながらレーザービームを連続的に照射する際に、レーザー出力を変化させるビーム溶接方法が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。具体的には、ワークに対する溶接の進行に従って、レーザー出力を段階的又は断続的に低減させることにより、ワークを均等に溶接できるとしている。また、ワークの角付近の領域を通過する際に、レーザー出力を大きく低減させることによって、ワークの角付近で溶接が強くなったり熱が溜まることによる不具合を抑制している。
しかしながら、特許文献4に記載される従来のビーム溶接方法では、ワークが小さい場合、レーザービームを走査する距離が短くなり、レーザー照射時間が短くなるため、連続的に照射するレーザービームの出力を高速で高精度に制御することが困難になる。特に、一般に使用されているレーザー装置は、その出力が僅かに変化するだけで、ろう材の溶融状態が大きく変化することを、本願発明者は確認した。しかも、特許文献4には、短時間に照射されるレーザービームの出力を連続的に変化させたり調整するための具体的な手段及び構成が開示されていない。このように特許文献4記載の方法は、工業的に実現することが困難である。
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レーザービーム、電子ビーム等のエネルギービームを走査軌跡に沿って連続的に照射することによってベースとリッドとを接合し、電子デバイスのパッケージを封止する方法において、ベースとリッドとの接合状態が、照射したエネルギービームの蓄熱に起因して、リッド上のエネルギービームの照射位置によってばらつきを生じることを低減、抑制し、それにより、安定して高い品質の接合、封止を実現することにある。
更に、本発明の目的は、特にMEMSに適した電子デバイスのパッケージの封止方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、ベースとリッドとの接合状態にばらつきが少なく、パッケージの封止品質に優れた高い信頼性の電子デバイスを提供することにある。
本発明の電子デバイスのパッケージの封止方法は、上記目的を達成するために、電子部品を搭載したベースと、一方の面にろう材を配置した金属製のリッドとを用意する工程と、
電子部品をリッドとベースとの間に有し、リッドの前記一方の面がベースと対向するように、リッドを配置する工程と、
エネルギービームを走査してリッド上に照射し、ろう材を加熱溶融させてベースとリッドとを接合する工程と、を含み、
ベースとリッドとを接合する前記工程において、エネルギービームを走査する速度を変化させることを特徴とする。
電子部品をリッドとベースとの間に有し、リッドの前記一方の面がベースと対向するように、リッドを配置する工程と、
エネルギービームを走査してリッド上に照射し、ろう材を加熱溶融させてベースとリッドとを接合する工程と、を含み、
ベースとリッドとを接合する前記工程において、エネルギービームを走査する速度を変化させることを特徴とする。
エネルギービームには、一般に広く使用されているレーザービームや電子ビーム、その他のエネルギービームを用いることができる。
一般に、エネルギービームの走査速度を高速にすると、リッド上では、エネルギービームの各照射位置においてエネルギービームの滞在時間が短くなるので、リッド及びベースに供給される熱量が少なくなり、その温度上昇を小さく抑制できる。逆に走査速度を低速にすると、リッド上でエネルギービームの各照射位置においてエネルギービームの滞在時間が長くなり、リッド及びベースに供給される熱量が多くなって、その温度上昇は大きくなる。特にレーザービームの走査速度を変化させた場合、ビーム照射により直接供給される熱量が、レーザービームの出力を調整する場合と比較して緩やかに変化することを、本願発明者は確認した。
本発明によれば、上述したようにエネルギービームの走査速度を変化させることによって、リッド上のエネルギービームの各照射位置において、ビーム照射により直接供給される熱量を有効に調整することができる。ビーム照射により直接供給される熱量の調整は、先に他の照射位置に供給された熱量による蓄熱を考慮することによって、リッド上のエネルギービームの照射位置によって部分的に熱量が過剰に供給されたり不足する虞を解消することができる。従って、リッド上でエネルギービームを走査する軌跡に沿って、ろう材の溶融状態を調整し、ベースとリッドとの接合状態のばらつきを低減又は抑制し、電子デバイスのパッケージを安定して高い品質で封止することができる。更に、エネルギービームを照射する過程において、過剰な熱の供給によるリッド又はベースへのダメージを防止することができる。
一般に、リッドのコーナー部は、エネルギービームの照射により直接供給された熱を拡散させる領域が狭く、蓄熱し易い性質が認められる。或る実施例では、リッドのコーナー部において、エネルギービームを走査する速度を速くすることによって、蓄熱の影響を低減又は緩和させることができる。
別の実施例では、ベースとリッドとを接合する工程の後に、ベースとリッドとの接合を評価する工程と、この接合の評価に基づいてエネルギービームの走査速度を設定する工程と、を更に含む。接合部におけるリークの程度は、従来より様々な評価方法、試験方法が確立されているので、封止接合の目的又は用途に応じてエネルギービームの走査速度を最適に設定することが可能である。
また別の実施例では、エネルギービームがガルバノメーターを用いて走査される。一般にガルバノメーターは分解能が高いので、走査速度を高速で高精度に制御することができる。従って、接合の対象が非常に小さいMEMSにおいても、様々な走査速度パターンに対応してエネルギービームを走査することができ、かつ所望の封止を実現することが可能である。
本発明の別の側面によれば、ベースと、リッドと、ベースとリッドの間の空間内に電子部品とを備え、ベースとリッドとが上述した本発明の方法により封止されている電子デバイスが提供される。本発明の電子デバイスは、ベースとリッドとの接合部に所望の封止品質を確保することができるので、高い信頼性が得られる。
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明による方法の好適な実施例を用いて、電子デバイスのパッケージを気密に封止する工程を詳細に説明する。尚、添付図面において、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の参照符号を付して示す。
図1は、本発明の方法に使用するのに適したレーザー接合装置の構成を概略的に示している。このレーザー接合装置1は、レーザー発振器2と、ガルバノメーター型の光学スキャナー3と、fθレンズからなる集光レンズ4と、ワークを載置するための加工ステージ5とを備える。光学スキャナー3は、それぞれガルバノミラー6,7を有するX軸方向及びY軸方向のガルバノメーター8,9から構成されている。別の実施例では、2軸方向に制御して傾動させることができるプラットホームにガルバノミラーを取り付けたピエゾ式ガルバノメーターからなる光学スキャナーを用いることもできる。
加工ステージ5には、封止の対象となるワークとして電子デバイスのパッケージ10が載置されている。図2(A)、(B)に示すように、パッケージ10は、中央に凹部11aを有する矩形箱型のベース11と、薄い矩形平板のリッド12とから構成される。ベース11は金属又はセラミック材料等で形成され、例えば振動片やIC等の電子部品(図示せず)が凹部11a内に搭載されている。
ベース11の凹部11aを囲む枠部11bの上端面には、図3に示すように、メタライズ層13が設けられている。メタライズ層13は、例えば下地膜のCu層の上にNi層、Au層を積層して形成することができる。ベース11が金属で形成されている場合には、前記メタライズ層を省略することができる。
リッド12は、前記電子部品を収容した凹部11aの上部開口を閉じるように、その下面をベース11に対向させて枠部11bの上に配置されている。リッド12の下面には、枠部11bの上端面に接合するために、例えばAgろうからなるろう材層14が設けられている。
本実施例では、パルス波ではなく連続波のレーザービームを出射するレーザー発振器2を使用する。レーザー発振器2から出射されたレーザービームLは、ガルバノミラー6とガルバノミラー7とで反射され、集光レンズ4で集光されてベース11とリッド12との接合部に照射される。集光レンズ4は、レーザー接合装置1の図示しない制御装置によって、レーザービームLの焦点位置を前記接合部に合わせるように調整される。
レーザービームLは、リッド12の外周を概ね一周する所定の走査軌跡Tを走査しながら連続的に照射する。走査軌跡Tは、図2(A)に示すように、リッド12の矩形の各辺に対応する4つの直線部分と前記矩形の各角部に対応する4つコーナー部分とから構成されている。本実施例では、走査軌跡Tが或る直線部分に設定した始点位置Sから開始し、リッド12の外周を一周して最初の直前部分に戻り、始点位置Sを少し越えた終点位置Eで終了している。走査軌跡Tは、様々に設定することができ、前記リッドの矩形の角部付近から開始したり終了させることもできる。また、走査軌跡Tは、リッド12の外周を複数回周回するように設定することもできる。
レーザービームLの走査は、レーザー接合装置1の前記制御装置によりガルバノメーター8,9を駆動し、ガルバノミラー6,7の向きを変化させることによって行う。ガルバノミラー6,7の向きは、高速で高い分解能をもって高精度に駆動しかつ制御することができる。
レーザービームLの走査速度は、事前に設定されかつ前記制御装置又は該制御装置に接続されたメモリ装置に記憶されている走査速度パターンに従って、走査軌跡Tの始点位置Sから終点位置Eまで制御される。通常、走査速度は照射開始直後の僅かな時間に急加速され、照射終了直前の僅かな時間に急減速される。これら照射開始直後及び終了直前の僅かな時間を除いて走査軌跡T全体で、走査速度は一定ではなく、連続的に又は断続的に変化させるように設定されている。
図4(A)〜(C)は、それぞれ異なる走査速度パターンを示している。同図において、横軸のt0、t9は、図2(B)に示すように、走査軌跡Tに沿ってレーザービーム照射の始点位置S及び終点位置Eにおける時刻である。t1〜t8は、走査軌跡Tに沿って直線部分が終了して次のコーナー部分に入る時刻、又はコーナー部分が終了して次の直線部分に入る時刻を示している。
図4(A)の走査速度パターンは、走査軌跡Tの前記各直線部分における走査速度、及び前記各コーナー部分における走査速度がそれぞれ一定に設定されている。一般に、走査軌跡Tのコーナー部分では、レーザービームの照射熱の拡散領域が狭く、直線部分に比して蓄熱し易い。そこで、前記各コーナー部分の走査速度は、直線部分よりも段階的に高くし、蓄熱の影響を低減又は緩和させるようになっている。
図4(B)の走査速度パターンは、前記各直線部分の走査速度、及び前記各コーナー部分の走査速度が、それぞれ直線的に増加するように設定されている。前記各コーナー部分は、上述した蓄熱し易さをも考慮して、前記直線部分よりも走査速度を段階的に高くしかつ走査速度の上昇率を高くしている。これにより、走査軌跡Tに沿って前記直線部分及びコーナー部分の双方において、照射時間の経過及び照射位置の移動に伴う蓄熱量に合わせて、レーザー照射により供給する熱量を徐々に減少させることができる。
図4(C)の走査速度パターンは、走査速度が、図4(A)と同様に走査軌跡Tの前記直線部分毎及び前記コーナー部分毎にそれぞれ一定に設定されていると共に、走査軌跡Tに沿って後になるほど段階的に高くなっている。また、図4(A)〜(C)のいずれの走査速度パターンも、走査速度は、照射開始の時刻t0から僅かな時間急加速され、照射終了の時刻t9直前の僅かな時間急減速されている。同様に、直線部分からコーナー部分に入った直後は走査速度を急加速し、コーナー部分から直線部分に入った直後は急減速することができる。
例えばベース11の平面寸法が2×2mmの場合、走査軌跡Tの前記直線部分は一辺が約1.6mmであるから、走査軌跡Tに沿ってリッドを1周するレーザービームの走査時間は約10ミリ秒である。このように非常に短い走査時間であっても、前記ガルバノメーターを用いてレーザービームを走査しているので、図4(A)〜(C)に示すような走査速度パターンを容易に実現することができる。
前記走査速度パターンは、実際に走査速度を様々に変化させて接合した多数の前記パッケージの接合状態、封止状態を評価し、目的とする気密な封止に対して最適と考えられるものを事前に決定する。前記パッケージの接合状態、封止状態の評価は、従来の評価方法を用いて行うことができる。
例えば、接合後の前記パッケージの真空度、リーク性をパラメーターとして定量化したり、トレーサーガスを用いたリーク試験の結果や、接合部におけるろう材の溶融状態、接合状態、又は、接合後に測定した電子デバイスの特性を評価基準とすることができる。これらの評価基準は、例えば完全な真空封止が要求される場合から、パッケージの封止ガスが漏出しない程度の比較的緩やかな気密性まで、電子デバイスの目的・用途に応じて許容し得る範囲で幅をもたせることができる。また、接合部の接合状態は、使用するろう材の種類や厚さ、ろう材とリッド又はメタライズ層との組合せ、前記メタライズ層又はろう材層が設けられている前記ベース又はリッドを構成する基材の素面の表面状態によっても異なる。
前記接合部の接合状態は、例えば、接合部材即ちリッド12をベース11から剥がしてメタライズ層13がどの程度剥離するかを評価する剥離観察、前記接合部を切断しかつ断面を研磨して表出させ、金属・電子顕微鏡で観察する断面観察、前記接合部をX線で観察してリークパスの有無を確認するX線観察などがある。剥離観察では、前記メタライズ層のレーザー照射した部分の全部がリッド側に付着していれば、良品と判断することができる。断面観察では、クラック、未接合部分等のリークパスやその原因となる過剰溶融部分が無いことを確認して評価する。X線観察では、リークパスが無いことを確認して評価する。
図5(A)〜(D)は、ベース11とリッド12との接合部における様々な接合状態を例示している。図5(A)は、良好な接合状態を示しており、ろう材層14とメタライズ層13のAu層とが個々に分かれた状態できれいに密着し、その境界にはボイド(空隙)が全く無い。図5(B)は、溶融不足を示しており、ろう材層14とメタライズ層13のAu層との境界にボイド15が発生して、リッド12がベースの枠部11aから浮いているような状態である。図5(C)は、メタライズ層13のAu層とNi層とを明確に判別できず、ろう材層14と前記メタライズ層との境界16が波立って混ざり始めている過剰溶融の初期状態を示している。図5(D)は、ろう材層14とメタライズ層13との境界が無くなって混ざり合った過剰溶融状態を示している。
高い気密封止が要求される場合には、図5(A)の接合状態が好ましい。一般的な気密封止の程度では、図5(C)の接合状態でも実用上問題ないと考えられる。図5(B)の接合状態は、要求される気密封止の程度が比較的低ければ、実用的に使用可能な場合も考えられる。図5(D)は、この接合状態がひどくなると、前記メタライズ層がベース11から剥離したり、前記ベースの基材自体にクラック等のダメージを生じる虞がある。このように様々な接合状態から、パッケージ10全体として要求される気密の程度に応じて接合状態の上限及び下限を決定し、それに合わせて走査軌跡に沿って好ましい走査速度パターンを調整する。
このように要求される気密の程度に応じて、一定のレーザー出力で、走査速度がレーザービームの走査軌跡に沿って連続的又は断続的に変化する好ましい走査速度パターンを事前に設定することができる。これにより、前記走査軌跡に沿ってレーザービームの各照射位置において、ビーム照射により直接供給される熱量を調整し、これと先に他の照射位置に供給された熱量による蓄熱とを総合したときに、部分的に熱量が過剰に供給されたり不足する虞を解消することができる。その結果、リッド12の全周に亘ってベース11との接合部に安定して所望の接合状態を得ることができる。
更に、所望の気密な封止に加えて、過剰な熱の供給による接合部材へのダメージを防止することができる。特に、接合部材がリッド12のように比較的薄い金属板であっても、レーザービームの照射により変形する虞を解消又は低減することができる。
本発明によれば、レーザー出力を一定に設定しているので、走査軌跡Tに沿って各照射位置における照射時間の短長によって、ろう材の溶融状態の変化が緩やかになるように調整することが容易である。上述したように、本実施例では、レーザービームの走査に前記ガルバノメーターを用いることにより、最適の走査速度パターンに基づいて走査軌跡Tに沿って走査速度を高速で高精度に制御することができる。言い換えれば、走査軌跡Tに沿って各照射位置におけるレーザービームの照射時間を高精度に制御することができる。従って、リッド12とベース11との接合部に供給される熱量のばらつきを走査軌跡Tの全長に亘って低減又は抑制し、安定してパッケージ10の所望の気密な封止を実現することができる。
別の実施例では、多数の前記リッドを1つのシート状に配置したリッド板を用いることができる。この場合、前記リッド板のリッド数と同数の前記ベースを前記ステージ上に配置し、それらの上に前記リッド板を、対応する前記各リッドと前記各ベースとの位置を整合させて載置する。次に、対応する前記リッドと前記ベースとの接合部にレーザービームを照射して、各前記パーケージを気密に封止する。全ての前記パッケージの封止が終了した後、前記リッド板を切断して前記各パーケージを個片化する。これにより、多数の電子デバイスのパッケージを一連のレーザー接合によって連続的に封止することができる。
このように多数の前記リッドを配置したリッド板を用いる場合、レーザービームの連続的な照射によって前記リッド板に生じる熱の伝搬や蓄熱、温度分布は、個別のリッドをベースに接合する場合とは異なる。これは、前記リッド板のサイズや各前記リッドの配置によっても異なる。例えば、次に接合しようとするリッドは直前に接合したリッドから離れた位置となるように、リッドの接合順を決定することによって、前記リッド板において或るリッドへのビーム照射による熱が他のリッドの接合に及ぼす影響を低減又は抑制することができる。
本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、その技術的範囲内で様々な変形又は変更を加えて実施することができる。例えば、本発明を適用し得る電子デバイスのパッケージは、上記実施例の構造に限定されない。前記ベースを平坦な基板状とし、これにキャップ状のリッドを接合する構造であっても良い。更に本発明の封止方法は、電子デバイスのパッケージ以外の対象物を接合するために用いることができる。
また、上述したAgろう以外のろう材や、ろう材以外にはんだ等の封止材料を用いて、接合部材を気密に接合することもできる。更に、リッドがガラス等の無機材料から形成されている場合には、低融点ガラスを封止材に用いることができる。
また、封止材を加熱溶融させるために、レーザービームに代えて電子ビーム等、他のエネルギービームを用いることができる。これらエネルギービームの照射を走査する手段として、他の公知の様々なスキャニング手段を用いることができる。例えば、加工ステージを機械的にXY方向に移動させることも可能である。
1…レーザー接合装置、2…レーザー発振器、3…光学スキャナー、4…集光レンズ、5…加工ステージ、6,7…ガルバノミラー、8,9…ガルバノメーター、10…パッケージ、11…ベース、11a…凹部、11b…枠部、12…リッド、13…メタライズ層、14…ろう材層、15…ボイド、16…境界。
Claims (5)
- 電子部品を搭載したベースと、一方の面にろう材を配置した金属製のリッドとを用意する工程と、
前記電子部品を前記リッドと前記ベースとの間に有し、前記リッドの前記一方の面が前記ベースと対向するように、前記リッドを配置する工程と、
エネルギービームを走査して前記リッド上に照射し、前記ろう材を加熱溶融させて前記ベースと前記リッドとを接合する工程と、
を含み、
前記ベースと前記リッドとを接合する工程において、前記エネルギービームを走査する速度を変化させることを特徴とする電子デバイスのパッケージの封止方法。 - 前記リッドのコーナー部では、前記エネルギービームを走査する速度を速くすることを特徴とする電子デバイスのパッケージの封止方法。
- 前記ベースと前記リッドとを接合する工程の後に、前記ベースと前記リッドとの接合を評価する工程と、
前記接合の評価に基づいて前記エネルギービームの走査速度を設定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイスのパッケージの封止方法。 - 前記エネルギービームがガルバノメーターを用いて走査されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の封止方法。
- ベースと、リッドと、前記ベースと前記リッドの間の空間内に電子部品とを備え、前記ベースと前記リッドとが請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法により封止されている電子デバイス。
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