JPWO2022201535A5 - - Google Patents

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本発明は、WLP(wafer level packaging)やPLP(panel level packaging)、又は厚さが極めて薄い(極薄)半導体ウエハの処理工程などのような、製品となるワークの製造過程において、支持体に仮止め保持されたワークを支持体から剥離するために用いられるワーク分離装置、及び、ワーク分離装置を用いたワーク分離方法に関する。
従来、この種のワーク分離装置及びワーク分離方法として、基板上に結晶層が形成されてなるワークに対し、基板を通してパルスレーザ光を照射して、ワークへのパルスレーザ光の照射領域を刻々と変えながら、照射領域の移動方向に互いに隣接する照射領域の端部が重畳するように、かつ、移動方向に直交する方向で互いに隣接する照射領域の端部が重畳するように照射し、基板と結晶層との界面で結晶層を基板から剥離するレーザリフトオフ方法及びレーザリフトオフ装置がある(例えば、特許文献1参照)。
レーザリフトオフ装置は、パルスレーザ光を発生するレーザ源と、レーザ光を所定の形状に成形するためのレーザ光学系と、ワークが載置されるワークステージと、ワークステージを搬送するコンベヤのような搬送機構と、レーザ源で発生するレーザ光の照射間隔及び搬送機構などの動作を制御する制御部を備えている。
ワークは、パルスレーザ光の1ショット(1パルス)に相当するサイズの照射領域に分割される。各照射領域に対するレーザ光学系からワークへのパルスレーザ光の照射方法は、搬送機構やワークステージによりワークが三方向のいずれかに搬送され、これらの搬送動作と連動するように各照射領域に対して照射領域の端部(エッジ部)を重畳させながら、それぞれ1回ずつパルスレーザ光を照射している。レーザ源で発生したパルスレーザ光は、レーザ光学系を通過してワーク上に投影され、基板を通じて基板と結晶層(GaN系化合物の材料層)の界面に照射される。基板と材料層の界面では、パルスレーザ光が照射されることにより、材料層の基板との界面付近のGaNが分解されて材料層が基板から剥離される。
特開2012-024783号公報
ところで、特許文献1に記載のパルスレーザ光を発生するレーザ源としては、主にレーザ発振器が用いられる。レーザ発振器は、レーザ媒体からの発光が共振して増幅され、一定レベルを超えた時にレーザ光として発振される。このため、レーザ発振器の作動開始時は、レーザ媒体からの発光を必要レベルまで増幅できず、出力が低くてレーザ光のビーム形状が歪んで安定しない。
特許文献1に記載のレーザリフトオフ方法及びレーザリフトオフ装置では、搬送機構によってワークがワークステージと共に搬送されながら、レーザ源よりレーザ光学系を介してパルスレーザ光が出射され、ワークにおいて隣接する各照射領域が重畳するように照射している。
しかし、ワークの各照射領域に対するレーザ光学系からのパルスレーザ光の照射タイミングは、搬送機構によりワークの照射領域がレーザ光学系からの照射位置に搬送された後でなければ行えない。その理由は、搬送機構によりワークの照射領域がレーザ光学系からの照射位置まで搬送される前に、照射領域以外の周辺などにパルスレーザ光を試し照射すると、試し照射された部位のみが部分的に変性して、後の剥離に悪影響を及ぼすからである。これにより、レーザ源(レーザ発振器)の作動は、搬送機構でワークの照射領域が照射位置に搬送されてから所定時間後となり、間欠的な作動となる。
このようなレーザ発振器の間欠的な作動によってレーザ発振器の起動当初から数秒間程度は、前述のとおりレーザ光のビーム形状が歪んだ不安定な照射となるため、起動当初のパルスレーザ光が照射される照射領域の一部は、隣り合うパルスレーザ光とパルスレーザ光の間に隙間ができて未照射部位が発生してしまう。
これにより、ワークと基板(支持体)の間に積層された材料層(分離層)において未剥離部位が生じた箇所は、レーザの照射による分離層の変質のみではワークと支持体をスムーズに剥離できない。このような未剥離部位が有る状態で、ワークと支持体を大きな力で無理に剥離すると、ワークや支持体に部分的な破損や割れ目,裂け目を生じることがあり、その後の生産過程において異常を起こすという問題があった。
このような課題を解決するために本発明に係るワーク分離装置は、回路基板を含むワークが支持体と分離層を介して積層される積層体を搬入し、前記積層体に対するスポット状のレーザ光の照射に伴う前記分離層の変性により前記ワークから前記支持体を剥離させて搬出するワーク分離装置であって、搬入された前記積層体を着脱自在に保持する保持部材と、レーザ光源で発生された前記レーザ光を、前記保持部材に保持された前記積層体の前記分離層に向け光路に沿って照射するレーザ照射部と、前記レーザ光源から前記レーザ照射部を介して前記積層体に向かう前記レーザ光を、前記光路より外れた捨て場に向けて誘導するレーザ転向部と、前記レーザ照射部及び前記レーザ転向部を作動制御する制御部と、を備え、前記レーザ照射部は、前記レーザ光を前記積層体に沿って動かすレーザスキャナを有し、且つ前記分離層の照射面が、複数の照射領域に分割されるとともに、前記複数の照射領域に対する前記レーザスキャナからの前記レーザ光の照射が、この光照射方向と交差する平面上で前記レーザ光の一部が重なり合うように並んだ整列照射を行うものであり、前記制御部は、前記レーザ転向部の作動により、前記レーザ光源の始動で生じるビーム形状の歪んだレーザ光が前記捨て場に誘導され、前記レーザ転向部の作動後に前記レーザスキャナの作動で、隣り合う前記レーザ光による照射痕同士のビーム間に未照射部位を発生しないように前記整列照射が行われて、前記照射面の全体が前記整列照射で隙間なく埋め尽くされるように制御することを特徴とする。
また、このような課題を解決するために本発明に係るワーク分離方法は、回路基板を含むワークが支持体と分離層を介して積層される積層体を搬入し、前記積層体に対するスポット状のレーザ光の照射に伴う前記分離層の変性により前記ワークから前記支持体を剥離させて搬出するワーク分離方法であって、搬入された前記積層体を保持部材に着脱自在に保持する保持工程と、レーザ光源で発生された前記レーザ光をレーザ照射部から、前記保持部材に保持された前記積層体の前記分離層に向け光路に沿って照射するレーザ照射工程と、前記積層体の前記分離層に対する前記レーザ照射部からのレーザ照射位置を、少なくとも前記レーザ照射部からのレーザ照射方向と交差する方向へ相対的に移動させる相対移動工程と、を含み、前記レーザ照射部は、前記レーザ光を前記積層体に沿って動かすレーザスキャナを有し、且つ前記分離層の照射面が、複数の照射領域に分割されるとともに、前記複数の照射領域に対する前記レーザスキャナからの前記レーザ光の照射が、この光照射方向と交差する平面上で前記レーザ光の一部が重なり合うように並んだ整列照射を行うものであり、前記レーザ照射工程では、レーザ転向部の作動によ前記レーザ光源の始動で生じるビーム形状の歪んだレーザ光が捨て場に誘導され、前記レーザ転向部の作動後に前記レーザスキャナの作動で、隣り合う前記レーザ光による照射痕同士のビーム間に未照射部位を発生しないように前記整列照射が行われて、前記照射面の全体が前記整列照射で隙間なく埋め尽くされることを特徴とする。
本発明の実施形態(第一実施形態)に係るワーク分離装置及びワーク分離方法の全体構成を示す説明図であり、(a)が一部切欠した縦断正面図、(b)が同横断平面図である。 本発明の実施形態(第二実施形態)に係るワーク分離装置及びワーク分離方法の全体構成を示す説明図であり、(a)が一部切欠した縦断正面図、(b)が同横断平面図である。 分離層に対するレーザ光の照射状態を示す説明図であり、レーザ照射工程の部分拡大横断平面図である。 従来の分離層に対するレーザ光の照射状態を示す説明図であり、レーザ照射工程の部分拡大横断平面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るワーク分離装置A及びワーク分離方法は、図1~図3に示すように、回路基板(図示しない)を含むワーク1が支持体2と分離層3を介して積層されてなる積層体Sに対し、ワーク1や支持体2を透した分離層3へのレーザ光Lの照射により、レーザ光Lの吸収で分離層3が剥離可能に変性(変質)して、ワーク1から支持体2を剥離させるレーザリフトオフ装置とレーザリフトオフ方法である。WLP(wafer level packaging)やPLP(panel level packaging)のような半導体パッケージなどを製造することや、厚さが極めて薄い半導体ウエハ(以下「極薄ウエハ」という)の処理工程のために用いられる。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係るワーク分離装置Aは、積層体Sを着脱自在に保持するように設けられる保持部材10と、積層体Sの分離層3に向けレーザ光源21からのレーザ光Lを照射するように設けられる光学系20のレーザ照射部22と、レーザ光源21からレーザ照射部22を介して積層体Sに向かうレーザ光Lを光路Lpより外すように設けられるレーザ転向部30と、を主要な構成要素として備えている。
さらに、積層体Sの分離層3に対するレーザ照射部22からのレーザ照射位置Pを相対的に移動させるように設けられる駆動部40と、レーザ照射部22及び駆動部40などを作動制御するように設けられる制御部50と、を備えることが好ましい。
なお、図1~図3に示されるように、保持部材10に対して積層体Sは通常、上下方向へ載置され、保持部材10上の積層体Sに向けてレーザ照射部22からレーザ光Lが下方向へ照射される。保持部材10に対する積層体Sの保持方向や、レーザ照射部22から積層体Sに向かうレーザ光Lの照射方向(光照射方向)を以下「Z方向」という。レーザ光Lの照射方向(Z方向)と交差する二方向を以下「XY方向」という。
ワーク1は、後述する支持体2に貼り合わされた積層状態で、回路形成処理や薄化処理などの半導体プロセスが供された回路基板を含む搬送可能な基板などからなり、シリコンなどの材料で薄板状に形成される。
ワーク1の全体形状は、矩形(長方形及び正方形を含む角が直角の四辺形)のパネル形状や、円形のウエハ形状などが含まれる。
ワーク1の厚みは、例えば15~3,000μmとなどに薄化された矩形や円形の基板も含まれる。特にワーク1の厚みが数十μm程度などのように極めて薄い(以下「極薄」という)パネル形状やウエハ形状の場合には、ダイシングテープなどのようなテープ状の保持用粘着シートにワーク1の全面を貼り付けてサポートすることや、ダイシングフレームなどのような四角枠状や円形枠状(リング状)の保持フレームで外周部が補強されたテープ状の保持用粘着シートに対しワーク1を貼り付けることでサポートすることも可能である。
支持体2は、ワーク1の薄化工程や各種処理工程や搬送工程などでワーク1を支持することにより、ワーク1の破損や変形などが防止されるように必要な強度を有するサポート基板やキャリア基板と呼ばれるものである。このため、支持体2は、硬質な剛性材料で、ワーク1に対応したサイズの矩形や円形に形成される。
ワーク1又は支持体2のいずれか一方若しくは両方は、特定の波長のレーザ光Lが透過可能な透明又は半透明な剛性材料で形成される。
支持体2の具体例として図示例の場合には、特定波長のレーザ光Lが透過する透明又は半透明のガラス板やセラミック板やアクリル系樹脂製の板などが用いられ、厚みを例えば300~3,000μmに設定している。
分離層3は、適度な接着力を有し且つその接着力が制御可能に変性(変質)する材料で、ワーク1と支持体2との間に挟み込むように積層形成される。
分離層3の接着力を制御する方法としては、ワーク1又は支持体2を介して照射されたレーザ光Lを吸収することにより、接着力を低下させるように変性して、僅かな外力を受けると接着性を失い剥離するか、又は破壊し得るように変質する層である。さらに分離層3は、ワーク1と支持体2の剥離後において、容易に洗浄除去できるものを用いることが好ましい。
分離層3の一例として例えばポリイミド樹脂などのような十分な接着性を有する材料からなる場合には、図1に示されるように、分離層3のみでワーク1と支持体2とを着脱自在に接合させている。
分離層3の他の例として必要な接着力を有していない材料からなる場合には、図2に示されるように、分離層3の補助材として接着層4が介装され、接着層4でワーク1と分離層3とを着脱自在に接合させている。
積層体Sとしては、矩形の場合に一辺が500mm以上、円形の場合に直径が200mmや300mm以上など、XY方向の全体サイズが大型であるものの、Z方向の厚みを薄化したものが主に用いられる。
積層体Sは、ワーク1,支持体2及び分離層3や接着層4に加えて封止層5を有する。封止層5は、例えばエポキシ樹脂などの液状の封止材からなり、ワーク1と分離層3や接着層4を覆うように積層形成されてワーク1を気密状に保護している。
積層体Sの一例として図1(a)(b)に示される第一積層体S1は、ワーク1と支持体2が分離層3で接合され、ワーク1及び分離層3に沿って封止層5を積層した四層構造に形成されている。
積層体Sの他の例として図2(a)(b)に示される第二積層体S2は、ワーク1と分離層3を接着層4で接合し、ワーク1及び接着層4に沿って封止層5が積層された支持体2を含む五層構造に形成されている。
なお、後述するレーザ光Lがワーク1側を透して分離層3に向け照射される場合には、封止層5の封止材や接着層4の接着剤として、レーザ光Lが透過可能な透明や半透明の材料からなるものを用いることも可能である。
積層体Sとして図示例の場合には、第一積層体S1及び第二積層体S2が共にパネル形状(矩形)に形成され、ワーク1として支持体2や分離層3などよりもXY方向サイズが小さな矩形で極薄な複数の半導体素子1aを、XY方向へ所定間隔(等間隔)毎にそれぞれ並列状に搭載している。複数の半導体素子1aを保護するために封止層5でモールド成形されている。このような第一積層体S1や第二積層体S2は、最終的にダイシングなどでXY方向へ切断した後に、再配線層などを介して電極取り出し部を取り付けるなどの最終工程を経ることにより、最終製品である複数の電子部品が製造される。
図示例では、後述するレーザ照射部22からレーザ光Lが、透明や半透明の支持体2を透過して分離層3に照射され、レーザ光Lの吸収により分離層3を剥離可能に変質させるようしている。
また、積層体Sの他の例として図示しないが、ワーク1のサイズ又は配置個数を変更することや、支持体2,分離層3,接着層4,封止層5などの厚みを変更することなど、図示例以外の構造に変更することも可能である。
保持部材10は、金属などの剛体で歪み変形しない厚さで、積層体S(第一積層体S1,第二積層体S2)の外形寸法よりも大きい矩形又は円形の定盤などで構成される。
保持部材10において積層体S(第一積層体S1,第二積層体S2)と厚み方向(Z方向)へ対向する平滑な保持面10aには、積層体S(第一積層体S1,第二積層体S2)のワーク1側(封止層5)又は支持体2のいずれか一方を着脱自在に保持する保持チャック11が設けられる。
なお、保持部材10の他の例として図示しないが、平滑な保持面10aに代えて複数の支持ピンによりワーク1を介して積層体Sの全体が固定(移動不能で且つ着脱自在に保持)される構造や、ハニカムによる定盤構造も含まれる。ピンによりワーク1が固定される構造の場合には、複数の支持ピンの一部又は全部の先端でワーク1を吸着固定できるように構成することが好ましい。
レーザ照射部22は、光学系20の一部としてレーザ発振器などのレーザ光源21からレーザ光Lを、積層体S(第一積層体S1,第二積層体S2)に対して厚み方向(Z方向)へ向けて導くように設けられる。レーザ照射部22は、光学系20で導かれたレーザ光Lを積層体S(第一積層体S1,第二積層体S2)に沿ってXY方向へ移動させる走査(掃引)機能を有する。これにより、光学系20で導かれたレーザ光Lが積層体Sのワーク1又は支持体2を透過して分離層3の全面に照射される。
レーザ照射部22から積層体Sに向け照射するレーザ光Lとしては、ワーク1又は支持体2を透過し且つ分離層3が吸収可能な波長のレーザを用いることが好ましい。
詳しく説明するとレーザ光Lの中でも、投影形状がライン(スリット)状のレーザ光Lよりは、高出力なレーザが容易に得られるスポット(点)状のレーザ光Lが好ましい。連続発振されるレーザ(連続波レーザ)よりは、分離層3内に吸収されたレーザエネルギーによる熱の影響を抑えられ、且つ高エネルギーを分離層3内に与えるため、パルス発振されるレーザ光(パルスレーザ光)Lが好ましい。
すなわち、レーザ照射部22には、レーザ光源21で発生されたスポット状などのレーザ光Lの光軸(主軸)L1を動かすためのレーザ掃引手段(レーザスキャナ)22aが設けられ、レーザスキャナ22aにより積層体Sに対してレーザ光LをXY方向へ走査(掃引)させるように構成することが好ましい。このため、レーザスキャナ22aのみでも、積層体Sの分離層3に対してレーザ光Lを相対的に移動させることが可能になる。
レーザ照射部22としては、図1(a)や図2(a)に示されるように、レーザ光源21で発生されたスポット状のレーザ光Lの光軸L1を、積層体Sに沿って動かすレーザスキャナ22aと、レーザスキャナ22aからのレーザ光Lを分離層3に向けて導くレンズ22bと、を有することが好ましい。
レーザスキャナ22aとしては、ガルバノスキャナやポリゴンスキャナなどが用いられ、レーザスキャナ22aから分離層3へ向かうレーザ照射方向(Z方向)と交差するXY方向のいずれか一方、又はXY方向の両方へ掃引させることが好ましい。
レンズ22bは、レーザスキャナ22aからのレーザ光Lを集光する機能を有しており、ガルバノスキャナやポリゴンスキャナなどと組み合わせて使用されるfθレンズを用いることが好ましい。fθレンズは、レンズの中心部やその周辺部で走査速度を一定にし、且つ一つの平面上に焦点を置くことが可能になる。
さらにレンズ22bとしては、レンズ中心を通りレンズ面に垂直な光軸L1に対して主光線L2が様々な角度に配置可能な非テレセントリック系レンズや、光軸L1に対して主光線L2が平行に配置可能なテレセントリック系レンズを用いることが好ましい。
特に非テレセントリック系レンズの場合には、レーザ光Lの照射が安定するレンズ中心部(レンズ中央とその周辺部分)を主に使用し、レーザ光Lの照射が不安定なレンズ外周端部は使用しないことが好ましい。
光学系20及びレーザ照射部22の具体例として図1(a)や図2(a)に示される場合には、先ずレーザ光源21となるレーザ発振器で発生されたレーザ光Lを、ビームエキスパンダ23に通すことでビーム径が調整される。これに続きステアリングミラーなどの反射鏡24,25でレーザ光Lの向きを変えて、レーザ照射部22となるレーザスキャナ22aに導かれる。最後にレーザスキャナ22aから超短パルスのレーザ光Lがレンズ22bを通して、保持部材10に保持した積層体Sの目標位置に対し、順次照射されて掃引する。
レーザスキャナ22a及びレンズ22bの一例として図1(a)や図2(a)に示される場合には、レーザスキャナ22aとしてガルバノスキャナを用い、XY方向のいずれか一方のみに掃引させている。図示例ではレーザ光LをX方向に往復移動させている。レンズ22bとしては、非テレセントリック系レンズを用いている。
また、その他の例として図示せぬが、レーザスキャナ22aとしてポリゴンスキャナを用いることや、ガルバノスキャナ及びポリゴンスキャナの組み合わせ又は複数のガルバノスキャナ若しくはそれ以外の構造のものを用いて、XY方向の両方へ掃引するなどの変更も可能である。レンズ22bとしてはテレセントリック系レンズや、それ以外の構造のものを用いることも可能である。
一方、レーザスキャナ22aなどのレーザ照射部22から積層体Sに対してレーザ光Lが照射可能な範囲には限界があり、比較的に大きな面積の積層体Sでは、分離層3の全体に亘ってレーザ照射部22からのレーザ光Lを一度に照射することが困難である。
またワーク1から支持体2を確実に剥離するには、レーザ照射部22から分離層3に照射したレーザ光Lのエネルギー量(エネルギー密度)により、分離層3の全面を均一に分解して剥離可能な程度まで変質させる必要がある。分離層3の材質によっても分解変質に必要なエネルギー量が異なる。
このような状況下で例えば特開2012-024783号公報に記載されるように、分離層3の全体を複数の照射領域に分割して、各照射領域に対しレーザ照射部22からレーザ光Lを1回(1ショット)ずつ照射することが考えられる。
しかし、分離層3の全体を複数の照射領域に分割した程度では、各照射領域のサイズが大き過ぎて、各照射領域に対してレーザ光Lを十分に集中させることができず、各照射領域に照射したレーザ光Lのエネルギー量(エネルギー密度)が、分離層3の全面を均一に分解させるレベルまで達しないことがあった。分離層3の材質によっては、各照射領域の全面を均一に分解して剥離可能な程度まで変質できず、剥離ムラが発生した。
このような問題点を解決するには、積層体S(分離層3)の全体を複数の照射領域Rに分割するとともに、複数の照射領域Rに対してレーザスキャナ22aからスポット状のレーザ光Lを整列照射することが好ましい。整列照射とは、レーザ照射部22から積層体Sに向かうレーザ光Lの照射方向(光照射方向)と交差する平面上でスポット状のレーザ光Lの一部が重なり合うように並べて照射することをいう。
すなわち、保持部材10に保持された積層体S(分離層3)に向けてレーザスキャナ22aから照射されるレーザ光Lの領域は、図1(b)や図2(b)に示されるように、分離層3の照射面3aの全体を複数の照射領域Rに分割し、この分割された複数の照射領域Rに対してレーザスキャナ22aからスポット状のレーザ光Lを各照射領域R毎(単位照射領域毎)にそれぞれ整列照射する。
詳しく説明すると、複数の照射領域Rは、積層体S(分離層3)の全体面積よりも小さい面積となるように分割され、分割された各照射領域Rの形状を矩形(正方形及び長方形を含む角が直角の四辺形)形状やXY方向のいずれか一方へ長尺な帯状とすることが好ましい。複数の照射領域Rの分割方向(配列方向)は、レーザスキャナ22aによるレーザ光L(光軸L1)の移動方向や、後述する駆動部40による相対的な移動方向と同じX方向やY方向に配列される。複数の照射領域Rのサイズは、後述する制御部50によって調整可能に設定することが好ましい。複数の照射領域Rに対してレーザスキャナ22aからレーザ光Lをレーザ照射する順序についても、後述する制御部50によって調整可能に設定し、任意に設定された順序でレーザスキャナ22aからレーザ光Lを各照射領域Rの全面にそれぞれ照射することが好ましい。
積層体S(分離層3)における複数の照射領域Rに対してレーザスキャナ22aから照射されるスポット状のレーザ光Lの形状は、各レーザ光Lのビーム形状(断面形状)が円形や略円形又は矩形などである。特にガウシャンビームの断面形状と同じ円形に設定することが好ましい。
各照射領域R毎に対するレーザ光Lの照射は、各レーザ光Lによる照射痕の一部が互いに重なり合うように少なくともレーザスキャナ22aの作動のみ、又はレーザスキャナ22a及び後述する駆動部40の組み合わせで、X方向及びY方向へ並べて順次それぞれ整列照射させることが好ましい。
この場合には、図1(b)や図2(b)に示されるように、複数の照射領域Rのうち一つの照射領域R(図示例では第一照射領域R1)の全体が、多数のスポット状のレーザ光Lによる照射痕で隙間なく埋め尽くされる。一つの照射領域R(図示例では第一照射領域R1)の全体が多数のスポット状のレーザ光Lによる照射痕で埋め尽くされた後は、次の照射領域R(図示例では第二照射領域R2)に対するスポット状のレーザ光Lの整列照射が同様に繰り返し行われる。最終的には複数の照射領域Rのすべてが整列照射される。
これに加えて、図3に示されるように、複数の照射領域Rの境目Raを挟んで整列照射されるスポット状のレーザ光Lの間隔Lbは、レーザ光Lのビーム径Ldよりも小さく設定され、境目Raの反対側に配置されるスポット状のレーザ光Lをそれぞれの端部同士が互いに接するように整列照射させることが好ましい。
複数の照射領域Rの境目Raとは、X方向及びY方向へ配列された隣り合う照射領域Rの間に形成される境界線である。境目Raの間隔Lbとは、境目Raを挟んで整列照射されるスポット状のレーザ光Lにおいてビーム中心Lоの間に亘る距離をいう。これにより、照射領域Rの全体がすべて多数のスポット状のレーザ光Lで埋め尽くされるとともに、照射領域Rの境目Raにおいても、多数のスポット状のレーザ光Lで埋め尽くされる。
ところで、レーザ光源21を構成するレーザ発振器は、レーザ媒体からの発光が共振して増幅され、一定レベルを超えた時にレーザ光として発振される。このため、レーザ発振器の作動を開始(起動)させても、レーザ媒体の発光の共振の繰り返しで徐々に増幅されるから、その起動より瞬時に発光の共振をレーザ光の発振レベルまで増幅できない。
つまり、レーザ光源21となるレーザ発振器を間欠的に作動させると、図4に示されるように、レーザ発振器の起動当初から数秒間程度は、レーザ媒体や共振器を十分に温めらず出力が低くて安定せず、レーザスキャナ22aから照射されるレーザ光L′のビーム形状が歪んでしまう。これにより、起動当初のレーザ光L′が照射される照射領域Rの一部は、隣り合うレーザ光L′による照射痕同士のビーム間に隙間ができて未照射部位が発生してしまう。
そこで、本発明の実施形態に係るワーク分離装置A及びワーク分離方法は、レーザ発振器の起動当初から不安定な数秒間程度に発振されたビーム形状が歪んだレーザ光L′を捨て打ちするために、光路Lp中にレーザ転向部30を備えている。
レーザ転向部30は、レーザ光源(レーザ発振器)21からレーザ照射部22を介して積層体Sに向かうレーザ光Lの進行方向を光路Lpの外に変えるために設けられる偏向部材31と、レーザ光Lの光路Lpとは別に光路Lpから外れた位置に設けられる捨て場32と、を有する。
偏向部材31は、レーザスキャナ22aやAO偏向器などの光学部品31b又はこれらに類似する部材からなり、レーザ光源21からレーザ照射部22を介して積層体Sに向かうレーザ光Lの光路Lpからレーザ光Lを、捨て場32に向けて誘導するように構成される。
捨て場32は、レーザ光Lを吸収するビームダンパや、レーザ光Lを拡散反射させる反射部材などからなり、偏向部材31で誘導したレーザ光Lが積層体Sの分離層3(照射領域R)に向け照射されないように構成している。反射部材としては、酸化アルミニウムなどからなる反射板が用いられる。
レーザ転向部30の一例として図1(a)(b)に示される場合には、偏向部材31となるレーザスキャナ22aの作動により、レーザ照射部22の下流側で光路Lpからレーザ光Lを外して、捨て場32となる第一ビームダンパ32aに誘導され、レーザ光Lの吸収で廃棄している。
レーザ転向部30の一例として図2(a)(b)に示される場合には、偏向部材31となる光学部品(AO偏向器)31bの作動により、レーザ照射部22の上流側で光路Lpからレーザ光Lを外して、捨て場32となる第二ビームダンパ32bに誘導され、レーザ光Lの吸収で廃棄している。
駆動部40は、保持部材10又はレーザ照射部22(レーザスキャナ22a)のいずれか一方か若しくは保持部材10及びレーザ照射部22(レーザスキャナ22a)の両方を移動することにより、レーザスキャナ22aから照射したレーザ光Lが、保持部材10に保持した積層体Sに対して、少なくともレーザスキャナ22aからのレーザ光Lの照射方向(Z方向)と交差する二方向(XY方向)へ相対的に移動するように構成した光軸相対移動機構である。
駆動部40による相対的な移動方向は、XY方向のみに限られず、必要に応じてZ方向も含まれる。
駆動部40となる光軸相対移動機構には、主に保持部材10及び積層体Sを動かすワーク側移動タイプと、レーザスキャナ22aを動かす光軸側移動タイプがある。
駆動部40の具体例として図1(a)(b)や図2(a)(b)に示されるワーク側移動タイプの場合は、保持部材10に駆動部40が設けられ、駆動部40で保持部材10をX方向及びY方向やZ方向へ動かすことにより、レーザスキャナ22aからのレーザ照射位置PをXY方向やZ方向へ移動させる。この場合の駆動部40としては、XYステージやXYテーブルなどが用いられ、モータ軸などからなるX軸移動機構41及びY軸移動機構42を有している。さらに必要に応じて保持部材10をZ方向へ動かすZ軸移動機構(図示しない)を設けることが好ましい。
なお、ワーク側移動タイプの他の例として図示せぬが、駆動部40としてXYステージやXYテーブルなどに代えて、コンベアなどの搬送機構を用いることも可能である。
また、光軸側移動タイプの場合は、図示しないが光学系20の一部のみに駆動部40を設けて、保持部材10が動かずレーザスキャナ22aからのレーザ照射位置PをXY方向やZ方向へ移動させるように構成される。この場合の駆動部40としては、ガルバノスキャナやポリゴンスキャナなどからなるXY軸移動機構を有している。さらに必要に応じてZ方向へ相対移動させる場合には、保持部材10にZ軸移動機構を設けるか、或いはレーザスキャナ22aを駆動部40によってZ方向へ動かす。
制御部50は、保持部材10の保持チャック11の駆動源と、光学系20のレーザ光源21やレーザ照射部22などと、レーザ転向部30や、駆動部40による光軸相対移動機構などに対してそれぞれ電気的に接続するコントローラーである。
さらに制御部50は、それ以外にも分離前の積層体Sを保持部材10に向けて搬送するための搬入機構(図示しない),レーザ照射後の積層体Sから支持体2のみを保持して引き離す剥離機構(図示しない),剥離後の積層体S(ワーク1)を保持部材10から搬送するための搬出機構(図示しない)などにも電気的に接続するコントローラーでもある。
制御部50となるコントローラーは、その制御回路(図示しない)に予め設定されたプログラムに従って、予め設定されたタイミングで順次それぞれ作動制御している。すなわち制御部50は、レーザ光源21からレーザ照射位置Pに照射されるレーザ光LのON/OFF制御を始めとするワーク分離装置Aの全体的な作動制御を行うだけでなく、これに加えてレーザ光Lの各種パラメーターの設定などの各種設定も行っている。
制御部50によって光学系20のレーザ照射部22(レーザスキャナ22a)や駆動部40は、保持部材10に保持された積層体Sの分離層3を分割した複数の照射領域Rに対して、レーザスキャナ22aからのレーザ光Lの照射を各照射領域R毎に行い、且つレーザ光Lの照射角度が支持体2や分離層3の表面と略垂直又は所定角度になるように制御している。
これに加えて制御部50となるコントローラーは、タッチパネルなどの入力手段51や表示部(図示しない)などを有し、入力手段51の操作によりレーザスキャナ22aの走査距離や、複数の照射領域Rのサイズや、複数の照射領域Rに対するレーザスキャナ22aからのレーザ光Lの照射順序などが設定可能に構成されている。
そして、制御部50の制御回路に設定されたプログラムを、ワーク分離装置Aによるワーク分離方法として説明する。
本発明の実施形態に係るワーク分離装置Aを用いたワーク分離方法は、保持部材10に積層体Sのワーク1又は支持体2のいずれか一方側を保持部材10に着脱自在に保持する保持工程と、保持部材10に保持された積層体Sの支持体2又はワーク1の他方側を透して分離層3に向けレーザ照射部22からレーザ光Lを照射するレーザ照射工程と、を主要な工程として含んでいる。
さらに、レーザ照射工程の後工程として、保持部材10に保持された積層体Sの分離層3に対するレーザ照射部22からのレーザ照射位置Pを相対的に移動させる相対移動工程と、積層体Sのワーク1から支持体2を剥離する分離工程と、を含むことが好ましい。
また、分離工程の後工程として、分離層3から分離したワーク1に残留している分離層3の残渣を洗浄液で除去する洗浄工程と、洗浄工程後のワーク1をダイシングなどで切断する切り離し工程と、を含むことが好ましい。
保持工程では、搬送ロボットなどからなる搬入機構(図示しない)の作動により、分離前の積層体Sを保持部材10へ向けて搬入し、保持部材10の保持面において所定位置に分離前の積層体Sが保持チャック11で移動不能に保持される。
レーザ照射工程では、光学系20のレーザ光源21及びレーザ照射部22のレーザスキャナ22aなどの作動により、レーザ光源21で発生されたレーザ光Lがレーザスキャナ22aから、保持部材10に保持された積層体Sの支持体2又はワーク1を透して分離層3に照射される。
さらに、レーザ照射工程において、レーザ光源21の作動開始(始動)によりレーザスキャナ22aから分離層3の照射面3aに向けレーザ光Lが照射開始される前には、レーザ転向部30の作動によって、レーザ光源21からレーザ照射部22を介して積層体Sに向かうレーザ光Lの光路Lpより外れた捨て場32に向けてレーザ光Lを誘導し、レーザ転向部30の作動後に、レーザスキャナ22aの作動により整列照射が行われて、照射面3aの全体が整列照射で隙間なく埋め尽くされる。
相対移動工程では、レーザ照射部22(レーザスキャナ22a)や駆動部40の作動により、保持部材10に保持した積層体Sとレーザスキャナ22aとがXY方向やZ方向へ相対的に移動される。
また、相対移動工程においても、複数の照射領域Rのうち一つの照射領域Rから次の照射領域Rに移る間に、レーザ転向部30の作動によりレーザ光Lが捨て場32に誘導され、レーザ転向部30の作動後に、レーザスキャナ22aの作動で前記次の照射領域Rに対する整列照射を行うことが好ましい。
制御部50によるレーザ転向部30の作動制御の具体例として図3に示される場合には、レーザ光源21を構成するレーザ発振器の起動タイミングに相当する複数の照射領域Rのうち最初の照射領域R(図示例では第一照射領域R1)に対するレーザ光Lの照射開始時に、レーザ転向部30を設定時間に亘り作動させている。
このようなレーザ発振器の起動時を、図4に示されるレーザ発振器が間欠的な作動となる従来の照射状態と比較すると、レーザ発振器の起動当初から数秒間程度は、レーザ光L′のビーム形状が歪んで、隣り合うレーザ光L′のビーム同士の間に隙間が生じる。
これを防ぐため、図3に示される本発明の照射状態では、レーザ発振器の起動当初から数秒間程度に生じるビーム形状が歪んだレーザ光L′を、レーザ転向部30の作動で捨て場32に誘導して廃棄させ、これに続く起動当初から数秒間経過後には、レーザ転向部30が作動終了して、ビーム形状が安定したレーザ光Lを第一照射領域R1に整列照射している。
これに加えて、複数の照射領域Rのうち一つの照射領域R(図示例では第一照射領域R1)から次の照射領域R(図示例では第二照射領域R2)へ移動時にも、レーザ転向部30を設定時間に亘り作動させることが好ましい。
その具体例を挙げると、第一照射領域R1に対する整列照射の完了後に、駆動部40による光軸相対移動機構などにより、保持部材10に保持された積層体Sの分離層3に対するレーザ照射部22からのレーザ照射位置PをXY方向へ相対的に移動させる場合がある。この相対移動で次の第二照射領域R2がレーザ照射位置Pと位置合わせされるまでの間は、レーザ光Lの照射ができないため、レーザ照射が不要なタイミングとなり、レーザ光源(レーザ発振器)21の作動を一時停止させる必要性がある。
このような各照射領域R同士の移動時を、図4に示されるレーザ発振器が間欠的な作動となる従来の照射状態と比較すると、第一照射領域R1から第二照射領域R2に移る間の照射不要タイミングにレーザ発振器の作動を一時停止させるため、次の第二照射領域R2に対するレーザ発振器の起動当初から数秒間程度は、レーザ光L′のビーム形状が歪んで、隣り合うレーザ光L′のビーム同士の間に隙間が生じる。
これを防ぐため、図3に示される本発明の照射状態では、第一照射領域R1から第二照射領域R2に移る間の照射不要タイミングに、レーザ転向部30の作動によりレーザ光源21が一時停止せず連続作動させて、レーザ光L′を捨て場32に誘導して廃棄させ、これに続く次の第二照射領域R2に対しては、レーザ転向部30が作動終了して、ビーム形状が安定したレーザ光Lを第二照射領域R2に整列照射している。
このような本発明の実施形態に係るワーク分離装置A及びワーク分離方法によると、レーザ発振器からなるレーザ光源21の作動開始時(起動当初から数秒間程度)は、ビーム形状が歪んだレーザ光L′となるため、レーザ転向部30の作動で不安定なレーザ光L′を、光路Lpから外れた捨て場32に誘導して廃棄する。
これに続くレーザ光源21の作動開始時から所定時間経過後には、レーザ転向部30を作動終了させて、レーザスキャナ22aからビーム形状が安定した均一なレーザ光Lが、積層体Sの分離層3の照射面3aに向けて整列照射される。
このため、分離層3の照射面3aの全体が隙間なく埋め尽くされ、照射面3aの全体がワーク1と支持体2を剥離可能に変質する。
したがって、レーザ光源(レーザ発振器)21の一時的な出力低下に影響されず、分離層3の照射面3aに均一なスポット状のレーザ光Lを満遍なく照射して、ワーク1から支持体2を確実に剥離させることができる。
その結果、レーザ源(レーザ発振器)の間欠的な作動で積層体の分離層に未照射部位が発生する従来のものに比べ、レーザ光源(レーザ発振器)21の連続作動で出力を高く安定させてレーザ光Lのレーザビームの形状が歪まず、部分的な未照射部位による剥離不良の発生を防止できる。
このため、ワーク1と支持体2を大きな力で無理に剥離する必要がないから、ワーク1や支持体2に部分的な破損や割れ目,裂け目が生じることを防止できるとともに、その後の生産過程において異常の発生をも防止できる。
これにより、ワーク1からの支持体2の高精度な分離が実現できて、ワーク1の生産過程における歩留まりの向上や加工性向上が図れる。
特に、分離層3の照射面3aが、複数の照射領域Rに分割されるとともに、複数の照射領域Rに対するレーザスキャナ22aからのレーザ光Lの照射が整列照射であり、制御部50は、レーザスキャナ22aからのレーザ光Lの照射が、複数の照射領域Rのうち一つの照射領域R(図示例では第一照射領域R1)から次の照射領域R(図示例では第二照射領域R2)に移る間に、レーザ転向部30の作動によりレーザ光Lが捨て場32に誘導され、レーザ転向部30の作動後に、レーザスキャナ22aの作動で次の照射領域Rに対する整列照射が行われように制御することが好ましい。
この場合には、分離層3の照射面3aを分割した複数の照射領域Rのうち、一つの照射領域R(図示例では第一照射領域R1)から次の照射領域R(図示例では第二照射領域R2)に移る間の照射不要タイミングでは、レーザ転向部30の作動によりレーザ光源21が連続作動して、レーザ光L′を光路Lpから外れた捨て場32に誘導して廃棄する。
これに続いてレーザ転向部30の作動終了により、レーザスキャナ22aから均一なレーザ光Lが、次の照射領域R(図示例では第二照射領域R2)に向け整列照射される。
したがって、分割された各照射領域Rの間でもレーザ光源21が一時停止せず連続した均一なレーザ光Lの照射を行うことができる。
その結果、分離層のレーザ照射面積の拡大化に伴い複数に分割された照射領域に対して整列照射を順次行う際に、レーザ発振器を間欠的に作動させる必要があるものに比べ、分離層3の照射面3aが大型(大面積)になっても、レーザ光源(レーザ発振器)21の連続作動で出力を高く安定させてレーザ光Lの形状が歪まず、部分的な未照射部位による剥離不良の発生を防止できる。
このため、ワーク1からの支持体2の高精度で且つ大面積な分離が実現できて、ワーク1の生産過程における歩留まりの向上や加工性向上が図れる。 さらに、分割された各照射領域Rの間で、レーザ光源(レーザ発振器)21の起動時からビーム形状が安定するまでレーザ光Lを捨て打ち工程が必要ないため、タクトタイムの短縮化が図れる。
また、レーザ光源(レーザ発振器)21の起動時におけるビーム形状の歪みを考慮して、レーザ光Lの照射ピッチを狭くするなどの対処も必要無いため、照射制御が容易でタクトタイムの延長も防止できる。
さらに、レーザ転向部30が、レーザスキャナ22aから積層体Sに向かう光路Lpの間で、レーザスキャナ22aの作動によりレーザ光Lを捨て場32に誘導することが好ましい。
この場合には、レーザスキャナ22aの作動でレーザ光Lが光路Lpから外れた捨て場32(第一ビームダンパ32a)に誘導される。
したがって、レーザスキャナ22aの作動制御で不要なレーザ光Lを積層体Sとは異なる箇所に廃棄することができる。
その結果、レーザ転向部30としてレーザスキャナ22aを利用するため、部品点数が少なくて装置全体の構造を簡素化できる。
また、レーザ転向部30が、レーザ光源21からレーザスキャナ22aに至る光路Lpの間で、光学部品31bの作動によりレーザ光Lを捨て場32に誘導することが好ましい。
この場合には、光学部品31bの作動でレーザ光Lが光路Lpから外れた捨て場32(第二ビームダンパ32b)に誘導される。
したがって、レーザスキャナ22aよりも上流側で不要なレーザ光Lを積層体Sとは異なる箇所に廃棄することができる。
その結果、不要なレーザ光Lの廃棄のためレーザスキャナ22aに負荷をかけず、レーザスキャナ22aの作動を長期に亘り安定化させることができる。
さらに、積層体Sの分離層3に対するレーザスキャナ22aからのレーザ照射位置Pを、少なくともレーザ照射部22からの光照射方向(Z方向)と交差する一方向(XY方向のいずれか一方)へ相対的に移動させる駆動部40を備え、制御部50は、レーザスキャナ22aからのレーザ光Lの照射を、レーザスキャナ22a及び駆動部40の作動により整列照射が行われるように制御することが好ましい。
この場合には、レーザスキャナ22a及び駆動部40による少なくとも光照射方向(Z方向)と交差する一方向(XY方向のいずれか一方)の移動により、分離層3の照射面3aの全体に対して、レーザスキャナ22aからスポット状のレーザ光Lが各照射領域R毎(単位照射領域毎)にそれぞれ整列照射される。
これにより、レーザ光Lが単位照射領域R毎に満遍なく照射される。最終的には複数の照射領域Rのすべてにレーザ光Lが照射ムラを生じることなく照射され、分離層3の全面がワーク1と支持体2を剥離可能に変質する。
したがって、分離層3の全体に対するスポット状のレーザ光Lの照射を高速化してワーク1から支持体2をより効率的に剥離することができる。
その結果、ワーク1からの支持体2の高精度な分離が短時間で実現できて、製造コストの低減化が図れる。
なお、前示の実施形態において第一実施形態では、四層構造の第一積層体S1と、レーザスキャナ22aよりも下流側の光路Lpからレーザ光Lを外すレーザ転向部30とを組み合わせ、第二実施形態では、接着層4を含む五層構造の第二積層体S2と、レーザスキャナ22aよりも上流側の光路Lpからレーザ光Lを外すレーザ転向部30とを組み合わせたが、これに限定されず、これらを逆に組み合わせてもよい。
さらに図示例では、積層体Sとしてパネル形状(正方形)のみを示したが、これに限定されず、パネル形状(正方形)の積層体Sに代えて、パネル形状(長方形)の積層体Sや、ウエハ形状(円形)の積層体Sに変更することも可能である。
また図示例では、駆動部40となる光軸相対移動機構により主に積層体S側を移動させるワーク側移動タイプを示したが、これに限定されず、光学系20の一部のみに設けた駆動部40によりレーザ照射部22が動く光軸側移動タイプを採用してもよい。
その具体例としては、光学系20の一部としてレーザ照射部22のレーザスキャナ22a(ポリゴンスキャナやガルバノスキャナ)などをZ方向へ動かすことにより、同一の照射領域R内での照射においては、保持部材10が動かずにレーザスキャナ22aからのレーザ照射位置PをZ方向へ移動させることも可能である。
A ワーク分離装置 S 積層体
1 ワーク 2 支持体
3 分離層 3a 照射面
10 保持部材 21 レーザ光源
22 レーザ照射部 22a レーザスキャナ
30 レーザ転向部 31b 光学部品
32 捨て場 40 駆動部
50 制御部 L レーザ光
Lp 光路 P レーザ照射位置
R 照射領域

Claims (6)

  1. 回路基板を含むワークが支持体と分離層を介して積層される積層体を搬入し、前記積層体に対するスポット状のレーザ光の照射に伴う前記分離層の変性により前記ワークから前記支持体を剥離させて搬出するワーク分離装置であって、
    搬入された前記積層体を着脱自在に保持する保持部材と、
    レーザ光源で発生された前記レーザ光を、前記保持部材に保持された前記積層体の前記分離層に向け光路に沿って照射するレーザ照射部と、
    前記レーザ光源から前記レーザ照射部を介して前記積層体に向かう前記レーザ光を、前記光路より外れた捨て場に向けて誘導するレーザ転向部と、
    前記レーザ照射部及び前記レーザ転向部を作動制御する制御部と、を備え、
    前記レーザ照射部は、前記レーザ光を前記積層体に沿って動かすレーザスキャナを有し、且つ前記分離層の照射面が、複数の照射領域に分割されるとともに、前記複数の照射領域に対する前記レーザスキャナからの前記レーザ光の照射が、この光照射方向と交差する平面上で前記レーザ光の一部が重なり合うように並んだ整列照射を行うものであり、
    前記制御部は、前記レーザ転向部の作動により、前記レーザ光源の始動で生じるビーム形状の歪んだレーザ光が前記捨て場に誘導され、前記レーザ転向部の作動後に前記レーザスキャナの作動で、隣り合う前記レーザ光による照射痕同士のビーム間に未照射部位を発生しないように前記整列照射が行われて、前記照射面の全体が前記整列照射で隙間なく埋め尽くされるように制御することを特徴とするワーク分離装置。
  2. 記制御部は、前記レーザ光源の始動による前記レーザスキャナからの前記レーザ光の照射開始前に、前記レーザ転向部を所定時間に亘り作動して前記ビーム形状の歪んだレーザ光が前記捨て場に誘導され、前記レーザ転向部の作動開始から所定時間経過に前記レーザ光の前記整列照射が行われることを特徴とする請求項1記載のワーク分離装置。
  3. 前記レーザ転向部が、前記レーザスキャナから前記積層体に向かう光路の間で、前記レーザ転向部の作動により前記ビーム形状の歪んだレーザ光前記捨て場に誘導されることを特徴とする請求項1又は2記載のワーク分離装置。
  4. 前記レーザ転向部が、前記レーザ光源から前記レーザスキャナに至る光路の間で、光学部品の作動により前記ビーム形状の歪んだレーザ光前記捨て場に誘導されることを特徴とする請求項1又は2記載のワーク分離装置。
  5. 前記積層体の前記分離層に対する前記レーザスキャナからのレーザ照射位置を、少なくとも前記レーザ照射部からの光照射方向と交差する一方向へ相対的に移動させる駆動部を備え、
    前記制御部は、前記レーザスキャナからの前記レーザ光の照射を、前記レーザスキャナ及び前記駆動部の作動により前記整列照射が行われるように制御する請求項2記載のワーク分離装置。
  6. 回路基板を含むワークが支持体と分離層を介して積層される積層体を搬入し、前記積層体に対するスポット状のレーザ光の照射に伴う前記分離層の変性により前記ワークから前記支持体を剥離させて搬出するワーク分離方法であって、
    搬入された前記積層体を保持部材に着脱自在に保持する保持工程と、
    レーザ光源で発生された前記レーザ光をレーザ照射部から、前記保持部材に保持された前記積層体の前記分離層に向け光路に沿って照射するレーザ照射工程と、
    前記積層体の前記分離層に対する前記レーザ照射部からのレーザ照射位置を、少なくとも前記レーザ照射部からのレーザ照射方向と交差する方向へ相対的に移動させる相対移動工程と、を含み、
    前記レーザ照射部は、前記レーザ光を前記積層体に沿って動かすレーザスキャナを有し、且つ前記分離層の照射面が、複数の照射領域に分割されるとともに、前記複数の照射領域に対する前記レーザスキャナからの前記レーザ光の照射が、この光照射方向と交差する平面上で前記レーザ光の一部が重なり合うように並んだ整列照射を行うものであり、
    前記レーザ照射工程では、レーザ転向部の作動によ前記レーザ光源の始動で生じるビーム形状の歪んだレーザ光が捨て場に誘導され、前記レーザ転向部の作動後に前記レーザスキャナの作動で、隣り合う前記レーザ光による照射痕同士のビーム間に未照射部位を発生しないように前記整列照射が行われて、前記照射面の全体が前記整列照射で隙間なく埋め尽くされることを特徴とするワーク分離方法。
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