JP2015228600A - 圧電デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パッケージの溶接工程において、コーナー部手前でレーザービームを停止させることによって、気密封止の歩留りを向上させることができる圧電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】圧電デバイスの製造方法は、ベース基板31と、コーナー部78を有する蓋体35とを、用意する工程と、前記蓋体35を前記接合部に重ねて配置する工程と、前記蓋体35の前記接合部と重なっている部分に、エネルギービームを走査しながら照射して、前記ベース基板31と前記蓋体35とを溶接する工程と、を含み、前記溶接する工程では、前記走査するエネルギービームが前記コーナー部78の手前で、前記エネルギービームの照射を停止させることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電デバイスの製造方法に関する。
従来、水晶素子や半導体素子などの素子や圧電体などの電子部品を備えているワークに、レーザービームを照射して、リッドとパッケージとを溶接するレーザー溶接方法が知られていた。
このような溶接方法では、例えば、特許文献1に開示されているように、レーザービームがリッドの角付近を通過する際に、レーザービームの照射出力を大きく低減させることによって、リッドが加熱される温度を調整し、リッドの角付近の溶接が強くなったり、角付近に熱が溜まって、深い溶接跡や穴が開いてしまうといった不具合の発生を抑制することができた。また、リッドの角付近とその他の領域との溶接のばらつきを抑制し、ワーク上で大きな温度分布が生じてしまうことを抑制し、均等な溶接を行うことが可能であった。
特開2007−313544号公報
しかし、エネルギービーム(レーザービーム)を照射して、蓋体(リッド)と圧電素子(電子部品)が搭載されているベース基板(パッケージ)とを溶接してパッケージを封止する工程において、生産効率を上げるために、エネルギービームの走査速度は速くなる傾向にあり、特許文献1に記載の溶接方法では、エネルギービームの走査速度に対して、エネルギービームの照射出力(レーザー出力)を変更する制御が追い付かず、ずれが生じてしまう。また、近年の製品小型化により、その影響は顕著となっている。
そのため、予め、エネルギービームの照射出力が低減するように設定されている蓋体のコーナー部(角付近)において、エネルギービームの照射出力を設定通りに精度よく低減させることが難しくなり、コーナー部以外の領域と比較して溶接が強くなってしまっていた。その結果、圧電デバイス(ワーク)のパッケージの溶接強度がばらつき、製品の歩留りが低下してしまうという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に記載の圧電デバイスの製造方法は、圧電素子が搭載され、前記圧電素子の平面視で、前記圧電素子を囲むように接合部が配置されているベース基板と、コーナー部を有する蓋体とを、用意する工程と、前記ベース基板と前記蓋体との間に前記圧電素子を収容するように、前記蓋体を前記接合部に重ねて配置する工程と、前記蓋体の前記接合部と重なっている部分に、エネルギービームを走査しながら照射して、前記ベース基板と前記蓋体とを溶接する工程と、を含み、前記溶接する工程では、走査する前記エネルギービームが前記コーナー部の手前で、前記エネルギービームの照射を停止させることを特徴とする。
本適用例の圧電デバイスの製造方法によれば、ベース基板と蓋体とを溶接する際に、蓋体のコーナー部の手前でエネルギービームの照射を停止する。しかし、蓋体にエネルギービームの照射が開始されるとすぐに蓋体とベース基板とが加熱されて温度が上昇するので、これから溶接しようとしている蓋体のコーナー部の手前でエネルギービームの照射が停止されても、蓋体においては、停止するまでにすでに照射され加熱されている部分で、発生し蓄積されている熱がある。この熱が、これから溶接する蓋体のコーナー部まで伝わることによって、気密が確保される程度に、蓋体のコーナー部とベース基板とを溶接することが可能になっている。
つまり、本適用例の圧電デバイスの製造方法によれば、エネルギービームの照射によって蓋体のコーナー部の溶接が強くなることを低減し、蓋体の溶接される部分において、溶接強度を均等にすることが可能になる。従って、蓋体に蓄積されている熱が解放されずに滞留することを低減し、この蓄積されている熱による歪みを低減するので、ベース基板が受ける損傷を軽減することができる。
また、蓋体のコーナー部が高温になり、蓋体が溶け過ぎて、蓋体とベース基板との間にリークパスが形成され、気密が確保されずに封止が不完全になることを低減できる。従って、蓋体とベース基板とを確実に溶接することが可能であり、製品の歩留りの低下を低減することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の圧電デバイスの製造方法において、前記用意する工程では、前記蓋体は一方の面にろう材を有しており、前記配置する工程では、前記一方の面を前記接合部側に向けて配置することを特徴とする。
本適用例の圧電デバイスの製造方法によれば、ろう材を用いることなく溶接する場合と比べて、溶接温度を下げることが可能である。これにより、ベース基板と蓋体との溶接が容易になると共に、ベース基板が受ける損傷を軽減することが可能である。
[適用例3]上記適用例に記載の圧電デバイスの製造方法において、前記用意する工程では、前記ベース基板は凹型のキャビティを有し、前記蓋体は平板形状であることを特徴とする。
本適用例の圧電デバイスの製造方法によれば、ベース基板の凹型のキャビティ(内部空間)に、圧電素子やICなどの電子部品を収容することができる。従って、タイミングデバイスやセンサーデバイスとしての機能を有する圧電デバイスが得られる。
[適用例4]上記適用例に記載の圧電デバイスの製造方法において、前記用意する工程では、前記ベース基板は平板形状であり、前記蓋体はキャップ形状であることを特徴とする。
本記適用例の圧電デバイスの製造方法によれば、平板形状のベース基板とキャップ形状の蓋体とを用いて圧電デバイスを製造すれば、蓋体の膨らみにより、圧電素子を収容することが可能になり、圧電素子が振動可能な内部空間を確保できる。また、ベース基板を平板形状とすることができ、凹型の凹部が設けられている場合と比較して、ベース基板の製造が容易となり、コスト低減が可能である。
[適用例5]上記適用例に記載の圧電デバイスの製造方法において、前記溶接する工程では、前記エネルギービームの走査方向における前記接合部の長さに対して、1%以上30%以下の長さに相当する部分を残して、前記エネルギービームの照射を停止させることを特徴とする。
本適用例の圧電デバイスの製造方法によれば、エネルギービームの照射されない部分の長さが、エネルギービームの走査方向における接合部の長さに対して、30%より長い場合には、これから溶接しようとしている蓋体のコーナー部まで十分に熱が伝わらず、コーナー部が加熱溶融されて、気密が確保される程度に溶接されるのに必要な熱が不足してしまう。
また、エネルギービームの照射されない部分の長さが、エネルギービームの走査方向における接合部の長さに対して、1%より短い場合には、これから溶接しようとしている蓋体のコーナー部が溶け過ぎて、蓋体とベース基板との間にリークパスが形成され、気密が確保されずに封止が不完全になってしまう。
[適用例6]上記適用例に記載の圧電デバイスの製造方法において、前記溶接する工程では、前記エネルギービームがレーザービームであることを特徴とする。
本適用例の圧電デバイスの製造方法によれば、電子ビームなどと比較して、ビームの走査速度を速くすることができる。従って、ビームが照射されることによって蓋体が高温にさらされる時間を短縮できるため、蓋体から熱を受けるベース基板が高温の影響によって損傷することを低減でき、信頼性の高い圧電デバイスを製造することが可能になる。
また、溶接に必要な加工時間を短縮できるので、製造コストを低減できる。
[適用例7]上記適用例に記載の圧電デバイスの製造方法において、前記溶接する工程では、少なくとも1つの前記コーナー部を溶接せず未溶接部として残し、残りの前記コーナー部を溶接する第1溶接ステップと、前記未溶接部を減圧雰囲気で溶接する第2溶接ステップと、を含むことを特徴とする。
本適用例の圧電デバイスの製造方法によれば、第2溶接ステップにおいて、エネルギービームを照射して蓋体とベース基板とが溶接される部分は、第1溶接ステップにおいて、溶接せずに残されている未溶接部であるから、第2溶接ステップでは、溶接される距離が短く、加熱される時間も短い。従って、蓋体の外周を一段階で一周して溶接する場合と比較して、溶接する際に蓋体とベース基板とに発生する熱応力による歪みが低減されるので、圧電デバイスが受ける損傷を軽減できる。その結果、信頼性の高い圧電デバイスを製造することが可能になる。
また、第1溶接ステップでは、溶接しない一部領域があることから、第1溶接ステップでは、発生するアウトガスを圧電デバイスの内部に停滞させることなく外部に放出し、第2溶接ステップにおいて真空度の高い圧電デバイスの封止が可能となる。
本発明の第1実施形態に係る水晶振動子の製造方法に用いるレーザー溶接装置の構成を示す概略図。 本発明の第1実施形態に係るレーザービームの走査軌跡を示す斜視図。 本発明の第1実施形態に係る水晶振動子の構造を示す断面図。 本発明の第1実施形態に係る水晶振動子の製造工程を示すフローチャート。 本発明の変形例1に係る水晶振動子の構造を示す断面図。 本発明の変形例2に係る水晶振動子の製造過程における蓋体シート、ベース基板シートの説明図。 本発明の第2実施形態に係るレーザービームの走査軌跡を示す斜視図。 本発明の第2実施形態に係る水晶振動子の製造工程を示すフローチャート。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る圧電デバイスとしての水晶振動子の製造方法に沿って、圧電デバイスのパッケージを封止する方法について説明する。
以下の図においては、同一または類似の構成要素には、同一または類似の参照符号を付して示す。説明の便宜上、ベース基板31と蓋体35とが重なる方向から見たときの平面視において、蓋体35側の面を上面、ベース基板31側の面を下面として説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る水晶振動子の製造方法に用いるレーザー溶接装置の構成を示す概略図である。つまり、本実施形態の圧電デバイスの製造方法に用いるのに適したパッケージの溶接装置の構成を示している。
以下に、エネルギービームとしてのレーザービームが照射されることによって水晶振動子のパッケージが封止されるパッケージの溶接装置について説明する。
<パッケージの溶接装置>
まず、図1を参照して、パッケージの溶接装置の一例として、水晶振動子20のパッケージ30を封止するのに適したレーザー溶接装置10について説明する。
図1に示すように、レーザー溶接装置10は、エネルギービーム源としてのレーザービーム源11と、透過部12を有するチャンバー13と、加工ステージ14と、を備えている。そして、チャンバー13の内部には、水晶振動子20のパッケージ30が配置されている。
さらに、レーザー溶接装置10は、チャンバー13に接続されている通気管16aを介して、チャンバー13の内部空間19の気圧を大気圧より高くすることができるコンプレッサー17と、通気管16bを介して、内部空間19の気圧を大気圧より低くすることができる真空ポンプ18と、を備えている。
このように、チャンバー13は、内部空間19の気圧を調整できるように密閉されているので、例えば、N2、Arなどの不活性ガスを充填するなどして雰囲気を変えつつ、大気圧より高くして溶接したい場合には加圧され、大気圧より低くして溶接したい場合には減圧されるといった選択をすることによって、水晶振動子20の内部空間29の気圧や雰囲気を自由に変えて、パッケージ30を溶接することが可能になっている。
また、レーザービーム源11は、YAGレーザーのようなパルス波でもよいが、本実施形態では、照射出力を低くしても信頼性の高いパッケージ30の溶接が可能な連続波(Continuous Wave)のレーザービームLが出射される半導体レーザー発振器を使用している。
本実施形態では、エネルギービームとしてレーザービームLを選択することによって、電子ビームなどと比較して、ビームの走査速度を速くすることができる。その結果、ビームによって蓋体35が加熱される時間を短縮できるため、熱の影響によってパッケージ30が受ける損傷を低減することが可能になる。従って、信頼性の高い水晶振動子20を製造することができる。また、加工時間も短縮されるので、製造コストを低減することも可能になる。
透過部12は、チャンバー13の上面の一部に設けられており、チャンバー13の外部の上面側から出射されるレーザービームLをチャンバー13内部に透過することができる。このことから、透過部12の材料としては、レーザービームLを透過する材料、例えば、ソーダガラス、石英ガラス、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されるガラスやプラスチックなどを用いることができる。
チャンバー13は、内部空間19を一定の気圧、一定の雰囲気に保てるように、変形しない部材、かつ、熱を加えてもガスの発生が少ない部材、例えば、鉄(Fe)、鋼、ステンレス鋼(SUS)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)などの金属を用いることができる。
<レーザー封止>
次に、レーザー封止の概要について説明する。図1に示すように、チャンバー13の外部に設けられているレーザービーム源11から出射されるレーザービームLは、チャンバー13に設けられている透過部12を透過し、チャンバー13で密閉されている内部空間19の加工ステージ14に載置されている水晶振動子20の蓋体35に照射される。
レーザービームLに照射され加熱される蓋体35から、ベース基板31の上面に配置されているシームリング34に熱が伝わることによって、蓋体35とシームリング34とが互いに溶融して接合される。ここで、ベース基板31が蓋体35と接合する部分を接合部という。このようにして、ベース基板31と蓋体35とが溶接されて水晶振動子20のパッケージ30が封止される。
水晶振動子20の内部空間29は、溶接時のチャンバー13の内部空間19の雰囲気に依存し、本実施形態では、チャンバー13の内部空間19の気圧が大気圧より低い雰囲気に減圧されているので、水晶振動子20の内部空間29も減圧状態で封止される。
あるいは、チャンバー13の内部空間19は不活性ガスなどで充填されていてもよい。その場合には、水晶振動子20の内部空間29も不活性ガスで充填されて封止される。
図2は、本発明の第1実施形態に係るレーザービームの走査軌跡を示す斜視図である。レーザービームLの照射が開始されるとすぐに蓋体35の温度が上昇する。特に、図2に示すように、蓋体35の4つの角部に位置するコーナー部78は、レーザービームLが照射されることによって、直線部77と比較して、熱が開放される方向が限られている。
この理由から、蓋体35のコーナー部78では熱が蓄積しやすく、局所的に温度上昇がはげしくなり、蓋体35が溶け過ぎて、蓋体35とベース基板31との間にリークパスが発生してパッケージ30の封止が不完全になってしまうことがある。
さらに、最近では、生産効率を上げるために、レーザービームの走査速度が年々速くなる傾向にあり、レーザービームLの走査速度に対して、レーザービームLの照射出力を変更する制御が追い付かずに遅れてしまう。
つまり、蓋体35が加熱される温度を調整するために、予めレーザービームLの照射出力を低減するように設定されている蓋体35のコーナー部78において、レーザービームLの照射出力を精度よく低減することが難しくなっている。その結果、水晶振動子20の溶接強度がばらつき、製品の歩留りが低下してしまっていた。
しかし、本実施形態の水晶振動子20の製造方法によれば、蓋体35のコーナー部78の手前、例えば、レーザービームLの走査方向における接合部としての直線部77の長さに対して、1%以上30%以下の長さに相当する部分の手前で、レーザービームLの照射を停止させる。
先述のように、レーザービームLの照射が開始されるとすぐに蓋体35の温度が上昇するから、これから溶接しようとしている蓋体35のコーナー部78の手前でレーザービームLの照射を停止させても、蓋体35においては、照射を停止するまでにすでにレーザービームLが照射され加熱されている部分で発生し蓄積されている熱がある。この熱が、これから溶接する蓋体35のコーナー部78まで伝わることによって、気密が確保される程度に、蓋体のコーナー部とベース基板とを溶接することが可能になっている。
つまり、本実施形態の水晶振動子20の製造方法によれば、ベース基板31と蓋体35とを溶接する際に、蓋体35のコーナー部78の手前でレーザービームLの照射を停止するので、レーザービームLの照射によって蓋体35のコーナー部78の溶接が強くなることを低減し、蓄積される熱が解放されずに滞留することを低減させることが可能になる。従って、この蓄積されている熱による歪みの発生を低減し、水晶振動子20が受ける損傷を軽減することができる。
また、蓋体35が溶け過ぎて、蓋体35とベース基板31との間にリークパスが形成され、気密が確保されずに封止が不完全になることを低減できる。従って、パッケージ30を確実に溶接することが可能であり、水晶振動子20の溶接強度のばらつきを低減し、製品の歩留りの低下を低減することが可能になる。
<レーザービームの走査>
図2に示すように、レーザービームLの走査軌跡70は、蓋体35の外周に沿って、蓋体35の矩形の各辺に対応する4つの直線部77と、その間の角部に対応する4つのコーナー部78と、から構成されており、レーザービームLを走査させてベース基板31と溶接される蓋体35上の位置を示している。
本実施形態では、蓋体35上に設定されたいずれかの開始位置71(コーナー部78)からレーザービームLの走査が開始され、レーザービームLの走査軌跡70における次のコーナー部78の若干手前に位置する終了位置72までの直線部77上を走査させて、レーザービームLの照射を停止させる。
レーザービームLの照射を停止させる方法としては、レーザービーム源11の電源を切るか、または照射停止機能が働くスイッチが入るように、予め制御装置(図示せず)のプログラムを設定しておく。または、レーザービームLが通過する蓋体35までの光学経路上に、レーザービームLを遮るシャッターなどが設置されていてもよい。
このように、蓋体35上の開始位置71から終了位置72までの各直線部77上を走査する方法を繰り返し、走査軌跡70を略一周するようにレーザービームLを順次走査させる。本実施形態では、蓋体35の上面が矩形のため、走査を4回繰り返す。
レーザービームLの走査方向の変更は、各コーナー部78において、レーザー溶接装置10の制御装置(図示せず)により、レーザービームLの走査方向の向きを蓋体35の面内に90度変化させることによって行う。また、レーザービームLの走査は周回させる向きや順番を変更してもよい。
レーザービームLの走査速度は事前に設定され、先述した制御装置、またはその制御装置に接続されているメモリー装置(図示せず)に記憶されている走査速度パターンに従って、走査軌跡70の開始位置71から終了位置72まで制御される。
通常、走査速度は照射開始直後のわずかな時間に急加速され、照射終了直前のわずかな時間に急減速される。これらの照射開始直後および終了直前のわずかな時間を除いてそれ以外の時間でも、走査軌跡70全体で走査速度は一定ではなく、連続的に、または断続的に変化させるように設定されているのが一般的である。
本実施形態では、照射開始直後のわずかな時間は、それ以外の時間と比較して走査速度を若干遅く設定し、その後、走査速度を若干早くして、そのまま終了位置72まで一定の走査速度に設定されている。
<水晶振動子>
図3は、本発明の第1実施形態に係る水晶振動子の構造を示す断面図である。以下に、圧電デバイスとしての水晶振動子20について図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、水晶振動子20は、ベース基板31、蓋体35からなるパッケージ30と、後述する水晶振動片60と、を備えている。さらに、ベース基板31は、中央に水晶振動片60が搭載されている凹型の凹部38を有する矩形の底板32と、ベース基板31の内側に形成され、蓋体35側が開放されている内部空間29と、底板32の上面に積層され、水晶振動片60を囲むように配置されている側壁33と、その側壁33の上面に積層されているシームリング34と、から構成されている。
ベース基板31の平面視で、蓋体35の下面の接合面36側が、ベース基板31のシームリング34と重なるように密着した状態で蓋体35が載置されている。言い換えれば、蓋体35は、凹部38の上面の開口を閉じるように、接合面36をベース基板31のシームリング34に対向させてシームリング34の上面に載置されている。
この時、蓋体35の外周部37の外縁は、全周に亘りシームリング34の外縁より小さく設定されている。そのため、ベース基板31の平面視で、外周部37の外縁とシームリング34の外縁との間隔Wが、全周に亘り略一定となるように載置されている。
蓋体35の接合面36には、例えば、銀(Ag)ろうからなるろう材(図示せず)が設けられていて、溶接工程では、蓋体35の接合面36と、ベース基板31のシームリング34と、がこのろう材が溶融することによって溶接される。
ろう材を用いることにより、ろう材を用いないで溶接される場合に比べて、溶接に必要な温度を下げることが可能である。従って、溶接が容易になると共に、蓋体35とシームリング34とを含むパッケージ30が受ける損傷を軽減することが可能になり、信頼性の高い圧電デバイスを製造することができる。
ベース基板31は、絶縁材料である酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートで成形され、成形後に焼結処理により形成されている。また、ベース基板31は、ベース基板31の底板32の上面に設けられているパッド電極部40と、底板32の下面に設けられ、パッド電極部40と電気的に接続している実装電極部41と、を有している。
そして、内部空間29には、後述する圧電素子としての水晶振動片60などが収容されており、パッド電極部40に導電性接着剤61を塗布して電気的に接続されて固定されている。
パッド電極部40は、実装電極部41を介して外部の実装基板と接続して、水晶振動片60に駆動電圧を供給するために使用されるパッド状の電極である。パッド電極部40および実装電極部41は、例えば、タングステン(W)上にニッケル(Ni)めっき、および金(Au)めっきで形成されている。
導電性接着剤61は、接合力を発揮する接着剤成分としてのエポキシ系合成樹脂剤に、銀(Ag)、または銅(Cu)などの微細粒子(導電性フィラー)を含有させたものである。導電性接着剤61は、合成樹脂剤がエポキシ系であることに限定されず、シリコーン系、ビスマレイミド系、ポリイミド系導電性接着剤などを利用することができ、微細粒子は、銀(Ag)、銅(Cu)以外の金属であってもよい。
さらに、金(Au)スタッドバンプなどの金属製の突起電極でもよく、金(Au)の他に銅(Cu)、アルミ(Al)、はんだボールなど、他の導電性材料でもよい。
また、蓋体35は、ベース基板31との熱膨張率が近似し溶接の容易な材料を用いることが好ましく、例えば、ベース基板31と同じセラミック材、または鉄(Fe)とコバルト(Co)の合金であるコバール、ステンレス鋼などの金属を用いることができる。ここではコバールを用いており、コバールの表面にニッケル(Ni)めっき(図示せず)を施している。
シームリング34は、水晶振動片60の平面視で、水晶振動片60を囲むようにベース基板31の側壁33の上面に、予め接合され、蓋体35をベース基板31に溶接しやすくするための接合材であり、例えば、コバール材で形成されている。
蓋体35およびシームリング34を構成するコバールの融点は、約1450℃の高温であるから、蓋体35とシームリング34とが重なっている部分は、局部的に、かつ短時間で溶接されることが望ましい。
<水晶振動片>
次に、水晶振動子20の内部空間29に収容されている、圧電素子としての水晶振動片60について説明する。
圧電素子の一例である水晶振動片60は、圧電材料の一例としての水晶により形成されているATカット水晶基板(圧電基板)が用いられている。水晶などの圧電材料は三方晶系に属し、互いに直交する結晶軸X軸、Y軸、Z軸を有する。X軸、Y軸、Z軸は、それぞれ電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。
そして、水晶基板は、XZ面をX軸の回りに所定の角度θだけ回転させた平面に沿って、水晶から切り出された平板が水晶振動片60として用いられる。例えば、ATカット水晶基板の場合は、θは略35°15′である。なお、Y軸およびZ軸もX軸の回りにθ回転させて、それぞれY’軸、およびZ’軸とする。従って、ATカット水晶基板は直交する結晶軸X、Y’、Z’を有する。
ATカット水晶基板は、厚み方向がY’軸であって、Y’軸に直交するXZ’面(X軸およびZ’軸を含む面)が主面であり、厚みすべり振動が主振動として励振される。このATカット水晶基板を加工して、水晶振動片60の圧電素子としての圧電基板を得ることができる。
すなわち、圧電基板は、X軸(電気軸)、Y軸(機械軸)、Z軸(光学軸)からなる直交座標系のX軸を中心として、Z軸をY軸の−Y方向へ傾けた軸をZ’軸とし、Y軸をZ軸の+Z方向へ傾けた軸をY’軸とし、X軸とZ’軸に平行な面で構成され、Y’軸に平行な方向を厚みとするATカット水晶基板からなる。
なお、本実施形態に係る圧電素子は、前述のような角度θが略35°15′のATカット水晶基板に限定されるものではなく、ATカット振動片以外の種々の形態のもの、例えば音叉型振動片、ジャイロセンサー振動片、BTカット振動片、などの他の圧電基板も適用できる。
また、例えば、水晶の電気軸をX軸、機械軸をY軸、光学軸をZ軸とし、前記Z軸の回りに時計方向に、前記X軸をα=3°以上30°以下回転させて設定したX’軸に平行な辺を有し、前記X’軸の回りに時計方向に前記Z軸をβ=33°以上36°以下回転させたZ’軸に平行な辺を有する、いわゆるダブルローテーションカットの水晶基板を用いてもよい。この時、α=約22°、β=約34°としたとき、SCカット振動片となる。
本実施形態の水晶振動片60は、前述のATカット水晶基板が分割された矩形状の振動片が用いられている。振動片には表裏面に設けられた励振電極、他の電極と接続するための接続電極、励振電極と接続電極とを繋ぐ引き出し電極などの種々の電極(図示せず)が形成されている。
さらに、材質が水晶以外のタンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの他の圧電材料や、圧電材が巻装されているなどの構成を有するシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの非圧電材料などであってもよい。
<水晶振動子の製造工程>
次に、本発明の第1実施形態に係る圧電デバイスとしての水晶振動子20の製造工程について、ベース基板31と蓋体35とを溶接する工程、つまりパッケージ30の封止工程を中心に、フローチャートに沿って図1と図4とを参照して、以下に説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る水晶振動子の製造工程を示すフローチャートである。
[蓋体とベース基板とを用意する工程 ST1]
まず、水晶振動片60の平面視で、水晶振動片60を囲むようにシームリング34が配置されているベース基板31と、コーナー部78を有する蓋体35と、レーザービーム源11、透過部12を有するチャンバー13を備えているレーザー溶接装置10と、を用意する。ここでは、蓋体35と、ベース基板31と、を別々に製造して用意しておく。
[蓋体をベース基板に載置する工程 ST2]
ベース基板31のシームリング34と蓋体35との間に水晶振動片60を収容するように、蓋体35をシームリング34の上面に重なるように載置する。
[蓋体とシームリングとを溶接する工程 ST3]
チャンバー13の外部に設けられているレーザービーム源11から出射したレーザービームLを、チャンバー13の上面に設けられている透過部12を透過させ、チャンバー13で密閉されている内部空間19の加工ステージ14に載置されている水晶振動子20の蓋体35に照射し、蓋体35とベース基板31のシームリング34とを溶接する。
この時、ベース基板31と蓋体35とが配置されているチャンバー13の内部空間19は、真空ポンプ18を用いて、気圧が大気圧より低い雰囲気に減圧されている。あるいは、コンプレッサー17を用いて不活性ガスで充填されて、気圧が大気圧より若干高い雰囲気にされていてもよい。
レーザービームLの走査は、先述のように、蓋体35のコーナー部78の手前、例えば、レーザービームLの走査方向におけるベース基板31のシームリング34の長さに対して、1%以上30%以下の長さに相当する部分の手前で、レーザービームLの照射を停止させるという方法で実施する。
このように、蓋体35とシームリング34とが、レーザービームLが照射されることによって加熱され溶融されることによって、水晶振動子20の内部空間29が外部と気密的に遮断され、水晶振動子20のパッケージ30が封止される。
以上の工程で、水晶振動子20の製造工程が終了し、水晶振動子20が完成する。
なお、エネルギービームは、レーザービームLに限らず、電子ビームや他のレーザーなどを含むものも指す。
以上のことから、本実施形態の水晶振動子20の製造方法によれば、蓋体35のコーナー部78において、溶接が強くなることを低減し、レーザービームLの照射によって蓄積されている熱が解放されずに滞留することを低減できる。従って、局所的に温度が上昇することを低減し、蓄積されている熱による歪みを低減し、水晶振動子20が受ける損傷を軽減できる。
また、蓋体35が溶け過ぎて、蓋体35とベース基板31との間にリークパスが形成され気密が確保されずにパッケージ30の封止が不完全になることを低減できる。その結果、水晶振動子20の溶接強度のばらつきを低減し、製品の歩留り低下を低減することが可能になる。
(変形例1)
図5は、本発明の変形例1に係る圧電デバイスとしての水晶振動子の構造を示す断面図である。以下に、変形例1に係る水晶振動子20aの製造方法について、図5を参照しながら説明する。なお、変形例1に係る水晶振動子20aは、上記第1実施形態の水晶振動子20とはパッケージの構造が異なるものである。上記第1実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
<水晶振動子>
図5に示すように、水晶振動子20aは、平板形状のベース基板31a、キャップ形状の蓋体35aからなるパッケージ30aと、水晶振動片60と、を備えている。
ベース基板31aおよび蓋体35aは、共に、ベース基板31aの平面視で、略長方形(矩形)をなしている。ただし、ベース基板31aおよび蓋体35aの平面視形状は、矩形に限らず、六角形や八角形などの多角形であっても構わない。
蓋体35aは、ステンレス(SUS)、コバールなどの金属板を用いて、プレス加工によって水晶振動片60を覆う凹部45の外周にフランジ部(つば部)46を備えたキャップ形状(帽子状)に形成されている。また、蓋体35aの表面には、ニッケル(Ni)、金(Au)などの金属被膜がめっきなどによって形成されている。
蓋体35aのフランジ部46の下面には、例えば、銀(Ag)ろうからなるろう材(図示せず)が設けられており、溶接する際には、レーザービームLが照射されて、このろう材が溶融することによって、フランジ部46の下面と、ベース基板31aの上面に枠状に形成されているシームリング34aと、が接合される。ろう材は銀(Ag)ろうに限らず、銅(Cu)ろう、金錫(Au−Sn)であってもよい。
なお、ベース基板31aと蓋体35aの接合方法は、これに限定されず、例えば、低融点ガラスなどを用いて接合されていてもよい。
このように、蓋体35aの凹部45の開口部がベース基板31aで塞がれて、下向き(ベース基板31a側)に凹状となって、内部空間29aが形成される。そして、内部空間29aには、先述した圧電素子としての水晶振動片60などが収容されており、その水晶振動片60は、ベース基板31aの上面に配置されているパッド電極部40に導電性接着剤61を塗布して電気的に接続され固定されている。
凹部45は、側壁47と天井面48とから構成されており、天井面48とフランジ部46が平行に形成され、側壁47の壁面が、天井面48およびフランジ部46に対して直交するように形成されている。
換言すれば、蓋体35aは、ベース基板31aと溶接されてベース基板31aを水平に配置したとき、側壁47がベース基板31aに対して垂直、つまりベース基板31aの上面と側壁とのなす角度が90度、となるように形成されている。
ベース基板31aは、第1実施形態と同様に、絶縁材料である酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートで成形され、成形後に焼結処理により形成されている。また、ベース基板31aは、下面に実装電極部41を備えている。
シームリング34aの構成材料としては、例えば、タングステン(W)、モリブテン(Mo)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)などの金属材料を用いることができる。
以上のことから、本変形例の水晶振動子20aによれば、平板形状のベース基板31aとキャップ形状の蓋体35aとを備えていることから、蓋体の膨らみにより、水晶振動片60が振動可能な内部空間を確保できる。また、ベース基板31aを平板状とすることができ、凹部が設けられている場合と比較して、ベース基板の製造が容易となり、コスト低減が可能である。
(変形例2)
図6は、本発明の変形例2に係る水晶振動子の製造過程における蓋体シート、ベース基板シートの説明図である。以下に、変形例2に係る圧電デバイスとしての水晶振動子20の製造方法について、図6を参照しながら説明する。上記第1実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
<水晶振動子の製造工程>
図6に示すように、複数のベース基板31が、所定の間隔で配列されているシート状のベース基板シート51と、ベース基板31に相当する大きさに切断されて蓋体35となるシート状の蓋体シート55と、を用意する。
ベース基板シート51の個々のベース基板31は、第1実施形態と同様に、上面側中央の凹部38に導電性接着剤61が塗布されることによって搭載されている水晶振動片60と、水晶振動片60を囲むように上面側に枠状に配置されているシームリング34と、を有している。
個々のベース基板31と個々の蓋体35とが重なるように位置を調整して、ベース基板シート51のシームリング34の上面に蓋体シート55を重ねて載置する。
次に、ベース基板シート51のシームリング34と重なっている部分に相当する蓋体シート55に向けてレーザービームLを照射し、先述したレーザービームLの走査方法で、ベース基板シート51と蓋体シート55とを一括して溶接する。
次に、蓋体シート55とベース基板シート51とが溶接されて一体になったものを、水晶振動子20の外形形状に合わせてダイシングなどで切断分割して個片化する。このようにして、一度に複数の水晶振動子20を得ることができる。
以上のことから、本発明の水晶振動子20の製造方法によれば、レーザービームLが照射される蓋体の表面積が大きくなってシート状になっているため、蓋体35のコーナー部78において、レーザービームLの照射によって加熱されて発生する熱が周辺の蓋体シート55に解放されやすくなっている。
従って、蓋体35のコーナー部78において、熱応力による歪みを低減し、パッケージ30が受ける損傷を軽減することができる。その結果、水晶振動子20の溶接強度のばらつきを低減し、製品の歩留りが低下することを低減することが可能になる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る圧電デバイスとしての水晶振動子の製造方法の一例として、水晶振動子の製造方法に沿って、水晶振動子20のパッケージ30を封止する方法について説明する。なお、第1実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態では、第1実施形態で説明した溶接する工程を、第1溶接工程(ST3)、第2溶接工程(ST5)の2段階に分けて溶接することによって、水晶振動子20の内部空間29が大気圧より気圧が低い雰囲気(略真空)で封止されることを可能にする。これを以下に説明する。
<レーザービームの走査>
図7は、本発明の第2実施形態に係るレーザービームの走査軌跡を示す斜視図である。
まず、図7に示すように、いずれかの直線部77に設定した開始位置71からレーザービームLの走査を開始し、次のコーナー部78の若干手前に位置する終了位置72まで走査させて、レーザービームLの照射を停止させる。このようにして、次々に別の直線部77において、先述した走査方法を繰り返し、走査軌跡70上を、蓋体35の外周を一周するように走査させる。
この時、或る1つのコーナー部78を溶接せずに残して、他の領域を溶接する。つまり、蓋体35の外周部37を略一周するように最初の直線部77に向かって、開始位置71の手前に位置する第1の終了位置73まで走査する。この工程を第1溶接工程と呼ぶ。
次に、第1溶接工程でレーザービームLを走査した走査軌跡70と一部分が重なるように、第1の終了位置73の若干手前に位置する第2の開始位置75から走査を開始し、蓋体35の外周に沿って、最初に溶接を開始した直線部77の開始位置71を若干過ぎた第2の終了位置76まで走査する。この工程を第2溶接工程と呼ぶ。つまり、第1溶接工程と第2溶接工程とを経ることによって水晶振動子20の封止が完了する。
<水晶振動子の製造工程>
図8は、本発明の第2実施形態に係る水晶振動子20の製造工程を示すフローチャートである。本発明の第2実施形態に係る圧電デバイスとしての水晶振動子の製造方法について、ベース基板31と蓋体35とを溶接する工程、つまり、封止工程を中心に、図8を参照しながら溶接工程を2段階に分ける製造方法について、以下に説明する。
第2実施形態においても、第1実施形態にて先述したST1,ST2については、同様であるため説明は省略する。
[蓋体とシームリングとを溶接する工程(第1溶接工程) ST3]
まず、不活性ガスを充填した、大気圧より気圧が高い雰囲気において、走査軌跡70に沿ってレーザービームLを照射し、蓋体35の一部領域80を残して、蓋体35と、ベース基板31のシームリング34を互いに溶融して、蓋体35とベース基板31のシームリング34とを溶接する。
この状態では、ベース基板31の内部空間29は、溶接せずに残されている一部領域80、つまり蓋体35とシームリング34との間を介して、チャンバー13の内部空間19と連通している状態である。
[ベース基板の内部空間を減圧する工程 ST4]
次に、チャンバー13に接続されている真空ポンプ18で、チャンバー13の内部空間19の気圧を大気圧より低く減圧する。ここでは、ST3において、走査軌跡70の一部領域80を溶接せずに残して溶接した蓋体35とベース基板31とを、大気圧より気圧の低い雰囲気、例えば、10Pa程度の減圧雰囲気内に配置する。
ベース基板31の内部空間29の空気は、溶接せずに残されている一部領域80、つまり、蓋体35とベース基板31のシームリング34との間を介して、大気圧より気圧の低い減圧雰囲気になっているチャンバー13の内部空間19側へ排出される。
これにより、ベース基板31の内部空間29は、チャンバー13の内部空間19側と同じ雰囲気、つまり、大気圧より気圧の低い減圧雰囲気となる。なお、チャンバー13の内部空間19は、大気圧より気圧の低い減圧雰囲気に限らず、第1実施形態と同様に、不活性ガス雰囲気にしてもよい。
[蓋体とシームリングとを溶接する工程(第2溶接工程) ST5]
次に、溶接せずに残されている蓋体35の一部領域80へレーザービームLを照射して、蓋体35とベース基板31のシームリング34とが互いに溶融されて、蓋体35とベース基板31のシームリング34とを気密を確保して溶接する。
この工程では、ST3で走査した走査軌跡70と一部分が重なるように、第2の開始位置75から走査を開始し、蓋体35の外周に沿って、最初の直線部77の開始位置71を若干過ぎた第2の終了位置76まで走査する。
このように、シームリング34がレーザービームLに照射されて、シームリング34が溶融されることによって、ベース基板31と蓋体35とが溶接されて、内部空間19が外部と気密的に遮断され、水晶振動子20のパッケージ30が封止される。これで、水晶振動子20の製造工程が終了し、内部空間29の雰囲気が大気圧より気圧の低い雰囲気(略真空)になっている水晶振動子20が完成する。
本実施形態では、図7に示すように、蓋体35の一部領域80を残して、残りの領域をパッケージ30に対して溶接している。つまり、ST3において、部分的に溶接をしない一部領域80を形成する。このような一部領域80は、図7のように1箇所でもよく、2箇所でも、それ以上でもよいが、あまり多いと、後の作業が煩雑になる。また、ST3において、部分的に溶接をしない一部領域80は、パッケージ30の内部空間29と外部とを通気できる程度に小さくすることが好ましい。
また、ST5のレーザービームLによって蓋体35とベース基板31とが溶接される部分は、ST3において溶接せずに残されている蓋体35の一部領域80であるため、溶接される距離が短く、加熱される時間も短い。従って、蓋体35の外周を一段階で一周して溶接する場合と比較して、溶接する際に発生する熱応力による歪みが低減されるので、パッケージ30が受ける損傷を軽減できる。その結果、水晶振動子20の溶接強度のばらつきを低減し、製品の歩留りが低下することを低減することが可能になる。
また、ST3では、溶接しない一部領域80があることから、ST3で発生するアウトガスを水晶振動子20の内部に停滞させることなく、ST5においては蓋体35を加熱する時間が短縮されるので、蓋体35の外周を一段階で一周して溶接する場合と比較して、アウトガスの発生を低減し、真空度の高い水晶振動子20の封止が可能となる。その結果、CI(クリスタル・インピーダンス)値が低い水晶振動子20を得ることができる。
10…レーザー溶接装置、11…レーザービーム源、12…透過部、13…チャンバー、14…加工ステージ、16a…通気管、16b…通気管、17…コンプレッサー、18…真空ポンプ、19…内部空間、20…水晶振動子、29…内部空間、30…パッケージ、31…ベース基板、32…底板、33…側壁、34…シームリング、35…蓋体、36…接合面、37…外周部、38…凹部、40…パッド電極部、41…実装電極部、45…凹部、46…フランジ部(つば部)、47…側壁、48…天井面、51…ベース基板シート、55…蓋体シート、60…水晶振動片、61…導電性接着剤、70…走査軌跡、71…開始位置、72…終了位置、73…第1の終了位置、75…第2の開始位置、76…第2の終了位置、77…直線部、78…コーナー部、80…一部領域、L…レーザービーム、W…間隔。

Claims (7)

  1. 圧電素子が搭載され、前記圧電素子の平面視で、前記圧電素子を囲むように接合部が配置されているベース基板と、コーナー部を有する蓋体とを、用意する工程と、
    前記ベース基板と前記蓋体との間に前記圧電素子を収容するように、前記蓋体を前記接合部に重ねて配置する工程と、
    前記蓋体の前記接合部と重なっている部分に、エネルギービームを走査しながら照射して、前記ベース基板と前記蓋体とを溶接する工程と、を含み、
    前記溶接する工程では、走査する前記エネルギービームが前記コーナー部の手前で、前記エネルギービームの照射を停止させることを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
  2. 前記用意する工程では、前記蓋体は一方の面にろう材を有しており、
    前記配置する工程では、前記一方の面を前記接合部側に向けて配置することを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイスの製造方法。
  3. 前記用意する工程では、前記ベース基板は凹型のキャビティを有し、前記蓋体は平板形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電デバイスの製造方法。
  4. 前記用意する工程では、前記ベース基板は平板形状であり、前記蓋体はキャップ形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電デバイスの製造方法。
  5. 前記溶接する工程では、前記エネルギービームの走査方向における前記接合部の長さに対して、1%以上30%以下の長さに相当する部分を残して、前記エネルギービームの照射を停止させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の圧電デバイスの製造方法。
  6. 前記溶接する工程では、前記エネルギービームがレーザービームであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の圧電デバイスの製造方法。
  7. 前記溶接する工程では、少なくとも1つの前記コーナー部を溶接せず未溶接部として残し、残りの前記コーナー部を溶接する第1溶接ステップと、
    前記未溶接部を減圧雰囲気で溶接する第2溶接ステップと、を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の圧電デバイスの製造方法。
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