JP2013181911A - 非鉄金属の表面状態の定量評価方法および定量評価装置、並びに、電着金属板 - Google Patents

非鉄金属の表面状態の定量評価方法および定量評価装置、並びに、電着金属板 Download PDF

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Abstract

【課題】実験室規模はもとより、生産現場規模であっても高い代表性が得られ、定量性の良い非鉄金属の定量評価方法を提供する。
【解決手段】撮影手段により当該電着金属板の表面を撮影し、得られた画像の輝度分布の標準偏差σの値を演算手段により算定し、その値から当該電着金属板の表面状態を評価する非鉄金属の表面状態の定量評価方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非鉄金属の表面状態の定量評価方法および定量評価装置に関し、特に、亜鉛などの非鉄金属を、電解液から電解採取または電解精製を行なう際、カソード電極上に析出または付着して得られた電着金属の表面状態を、定量的に評価する方法および定量評価装置並びに電着金属板に関する。
以下、電着金属の例として亜鉛を挙げて説明する。
電着亜鉛は、平板のカソードに電着して得られるため、板状にて電着され電着亜鉛板となる。カソード自体は平板であるが、亜鉛が電着する際は、当該亜鉛が均一な板厚で成長するとは限らない。さらに、当該成長の制御は困難なため、得られる電着亜鉛板の表面は凹凸となる。尤も、当該電着亜鉛をカソードから剥ぎ取れば、当該電着亜鉛板のカソード側に被着していた面は、カソードと同様な平面である。しかし、その反対面である電着側は凹凸である。
従来、電着亜鉛板における電着側の表面状態の評価方法として、目視観察を基準として表面の凹凸の多少を判断し、良い、普通、悪い、等の3〜4段階による離散値で半定量的に評価する方法が知られている。
また、電着亜鉛板に限らず、物体の表面状態を定量的に評価する方法として、当該物体の断面曲線を測定し、算術平均粗さ、または、算術平均うねりを算出して評価する方法(非特許文献1、2)が知られている。そして、当該断面曲線を測定する方式として、触針が表面に直接触れる接触式と、光の反射等を利用する非接触式とが知られている。
JIS B 0601 JIS B 0633
しかしながら、上述した目視観察による表面状態の半定量的評価方法では、評価者の経験に頼る部分が強いうえ、段階間での線引きが難しい。そのため、同一人物が同一の電着金属の表面状態を評価した場合においても、評価日時によって評価結果が異なることがよく見られる。さらに、3〜4段階による離散値評価では取り得る段階の水準が少ない為、必然的に定量性が向上しない。
また、4直3交替をとる生産現場における電着金属の表面状態については、その番方のオペレーターが電極から電着金属を剥ぎ取る際に、目視観察で評価している。しかし、定量性や客観性に問題があり、日によって評価者が異なることからも、定量性に課題が残る。
一方、物体の断面曲線による表面状態の定量評価方法は定量性が良く、同一箇所を測定した場合に評価日時によって評価結果が異なることは見られ難い。しかし、接触式または非接触式のいずれの測定方式においても、測定範囲は、大きく取っても1cm未満と狭い。そのため、電着金属の表面状態によっては、実験室規模(例えば5cm×7cm)の電着金属においても代表性を得ることが困難な場合がある。まして、生産現場規模(例えば78cm×109cm)の電着金属においては代表性を得るための困難性が、実験室規模と比較して遥かに増す。
さらに、接触式は針が表面に接触しているので信頼性が高いが、表面に傷を残し、測定時間が長い。一方、非接触式は表面に傷を残さず、軟質材でも測定可能であるが、表面反射率の影響を受け易い。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて成されたものであり、その解決しようとする課題は、実験室規模はもとより、生産現場規模であっても高い代表性が得られ、定量性の良い非鉄金属の表面状態の定量評価方法、定量評価装置、並びに、当該非鉄金属の表面状態の定量評価方法が適用され、当該表面状態が、後工程へ送ることが可能と評価されたことを特徴とする電着金属板を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、上述した電解液を用いた電解採取または電解精製によって得られた電着金属の表面状態を定量的に評価する為に、電着金属の表面を撮影し、得られた画像に係る輝度分布の標準偏差σの値を求める構成に想到した。
当該得られた画像についての輝度分布の標準偏差σの値を求める構成により、生産現場規模の電着金属であっても、高い代表性が得られた上、客観的かつ定量性良く電着金属の表面状態を連続値で評価できることを知見し、本発明を完成するに至った。
即ち、上述の課題を解決する為の第1の発明は、
非鉄金属を含む電解液から、当該非鉄金属を電解採取または電解精製した場合に得られる電着金属板の表面状態を定量的に評価する方法であって、
撮影手段により当該電着金属板の表面を撮影し、得られた画像の輝度分布の標準偏差σの値を演算手段により算定し、その値から当該電着金属板の表面状態を評価することを特徴とする、非鉄金属の表面状態の定量評価方法である。
第2の発明は、
前記得られた画像がデジタル画像であることを特徴とする、第1の発明に記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法である。
第3の発明は、
前記電着金属板の表面を撮影する際、当該電着金属板の表面を乾燥させておくことを特徴とする、第1または第2の発明に記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法である。
第4の発明は、
前記電着金属板の表面を撮影する際、当該電着金属板表面の中央にピントが合う範囲で、撮影範囲中における電着亜鉛板表面が占める割合が80〜100%となるよう、前記電着金属板と前記撮影手段との間隔を設定することを特徴とする、第1から第3の発明のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法である。
第5の発明は、
前記撮影手段として、100万画素以上の画素数を有する撮影手段を用いることを特徴とする、第1から第4の発明のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法である。
第6の発明は、
前記撮影手段により前記電着金属板の表面を撮影した後、得られたカラー画像をモノクロ画像に変換した後、輝度分布を測定することを特徴とする、第1から第5の発明のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法である。
第7の発明は、
前記撮影手段により前記電着金属板の表面を撮影する際、前記電着金属板の前処理条件および撮影条件を統一しておくことを特徴とする、第1から第6の発明のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法である。
第8の発明は、
前記撮影手段がデジタルカメラであることを特徴とする、第1から第7の発明のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法である。
第9の発明は、
前記非鉄金属が亜鉛であることを特徴とする、第1から第8の発明のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法である。
第10の発明は、
非鉄金属を含む電解液から、当該非鉄金属を電解採取または電解精製した場合に得られる電着金属板の表面状態を定量的に評価する装置であって、
当該電着金属板の表面を撮影し、撮影された画像上の点の輝度をデータ化する撮影手段と、
当該データ化された画像上の点の輝度を統計処理し標準偏差σの値を算出する演算手段とを有する、ことを特徴とする、非鉄金属の表面状態の定量評価装置である。
第11の発明は、
カソード電極上に、非鉄金属が析出または付着して得られた電着金属板であって、
第1から第9の発明のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法が適用され、当該表面状態が、後工程へ輸送可能と評価されたことを特徴とする電着金属板である。
本発明によれば、電着亜鉛を初めとする電着金属の表面状態を定量的に評価する方法において、高い代表性が得られ、且つ、客観的かつ定量性良く電着金属の表面状態を連続値で評価できる。特に、電着亜鉛板の規模は、実験室規模(例えば5cm×7cm)から生産現場規模(例えば78cm×109cm)に至るまで幅広く適用可能である。
実施例1に係る電着亜鉛板K1〜K6の表面状態を示す写真である。 実施例1に係る電着亜鉛板の表面状態を示す写真である。 実施例1に係る電着亜鉛板K1〜K6における輝度分布の標準偏差σの値を示すグラフである。 比較例1に係る電着亜鉛板K1〜K6における算術平均粗さRaを示すグラフである。 実施例2に係る電着亜鉛板A1〜C2の表面状態を示す写真である。 実施例2に係る電着亜鉛板A1〜C2における輝度分布の標準偏差σの値を示すグラフである。 比較例2に係る電着亜鉛板A1〜C2における算術平均粗さRaを示すグラフである。 実施例3に係る電着亜鉛板Z1〜Z4の表面状態を示す写真である。 実施例3に係る電着亜鉛板Z1〜Z4における輝度分布の標準偏差σの値を示すグラフである。 実施例4に係る電着亜鉛板の乾燥時間と、輝度分布の標準偏差σの値との関係を示すグラフである。 実施例5に係る電着亜鉛板D1、D2、D3と撮影手段との間隔と、輝度分布の標準偏差σの値との関係、および、当該間隔とデータ数との関係を示すグラフである。 参考例1に係る電着亜鉛板E1、E2、E3を、撮影手段のズーム機能を用いて撮影した際における、電着亜鉛板と撮影手段との間隔と、輝度分布の標準偏差σの値との関係を示すグラフである。 実施例6に係る電着亜鉛板F1、F2、F3において、記録画素数と輝度分布の標準偏差σの値との関係を示すグラフである。 実施例7に係る電着亜鉛板G1、G2、G3において、カメラの種類と輝度分布の標準偏差σの値との関係を示すグラフである。 実施例8に係る電着亜鉛板H1、H2、H3において、ホワイトバランスと輝度分布の標準偏差σの値との関係を示すグラフである。 実施例9に係る電着亜鉛板J1、J2、J3において、データの圧縮と輝度分布の標準偏差σの値との関係を示すグラフである。 実施例10に係る電解液中の膠濃度と、電着亜鉛板における輝度分布の標準偏差σの値との関係を示すグラフである。 実施例11に係る電解液中の膠原単位と、電着亜鉛板の輝度分布の標準偏差σの値の経時変化との関係を示すグラフである。
本発明に係る金属の表面状態を定量評価する方法は、電着金属の表面を撮影し、得られた画像についての輝度分布を測定して、その標準偏差σの値を求め、その標準偏差σの値の数値から電着金属の表面状態が凸凹であるのか平坦であるのかを、客観的、定量的に評価するものである。
一方、本発明に係る金属の表面状態を定量評価する装置は、金属表面を撮影する手段と、当該撮影された金属表面の輝度をデータ化する手段と、当該データ化された輝度データの分布から、当該輝度データの標準偏差σの値を算出するデータ処理手段とを有している。
当該非鉄金属の表面状態の定量評価装置および定量評価方法において、輝度分布の測定に用いられる画像は、デジタル画像であることが好ましい。また、電着金属の表面の撮影手段にはデジタルカメラを用いるのが好ましい。さらに、電着金属の表面を撮影する際には、当該電着金属が、乾燥していることが好ましい。電着金属と撮影手段との間隔は、電着金属の表面中央にピントが合う範囲で、撮影範囲内における電着金属表面が占める割合が大きいこと、および、電着金属の表面全域が撮影範囲内に収まるように設定するのが好ましい。ただし、撮影範囲内における電着金属表面が占める割合を大きくする手段としては、撮影間隔を調整する方法が好ましい。撮影手段の記録画素数は、100万画素以上とするのが好ましい。さらに、輝度分布の標準偏差σの値を算定する前に、得られた画像をカラー画像からモノクロ画像に変換しておくことが好ましい。さらに、同一金属、同一生産ラインにおいては撮影条件やデータ処理条件を統一しておくことが好ましい。
以下、非鉄金属として亜鉛を例とし、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
亜鉛等が溶解された電解液からの亜鉛の電解採取では、電解システムを用いてアノード、カソードに通電し、カソードに金属亜鉛として電着亜鉛を電着させる。カソードに電着した金属亜鉛は板状であり、電着亜鉛板となる。
本発明は、当該電着亜鉛板を初めとする、電解液からカソード表面に電着することで成長した電着金属表面を、定量的に評価する。そこで以下、この電着亜鉛板の表面側を「電着亜鉛板」と記載する。
本発明者らの知見によると、電着亜鉛板の表面状態の凸凹が顕著な場合、画像における画素の明暗差が大きくなり、そうでない場合、画素の明暗差が小さくなる。そこで、本発明者らは、当該電着亜鉛板の表面状態と、画像の画素の明暗差との関係を求める定量評価装置を用いて、電着亜鉛の表面状態の評価を行う構成に想到した。
本発明に係る電着亜鉛板の表面状態の定量評価装置は、電着亜鉛板の表面を撮影し、撮影された画像上の点の輝度をデータ化する撮影手段と、当該データ化された画像上の点の輝度を統計処理し標準偏差σの値を算出する演算手段とを有する。
撮影される画像は、デジタル画像であることが好ましい。デジタル画像のファイル形式にはJPEG、PNGまたはBMPなどを用いることができるが、中でもJPEGを用いるのが好ましい。
当該デジタル画像の撮影手段には、デジタルカメラ、フィルムカメラまたはビデオカメラなどを用いることができるが、中でもデジタルカメラを用いるのが好ましい。メーカーによってデジタルカメラ内部での画像処理方法が若干異なるが、電着亜鉛板の表面状態と輝度分布の標準偏差σの値との相関性には影響しないため、どのメーカーのカメラを用いてもよい。カメラの種類についても、レンズ一体型コンパクトカメラまたはレンズ交換式一眼レフカメラのどちらを用いてもよい。
撮影間隔(電着亜鉛板と撮影手段との位置関係)は、電着亜鉛板の表面中央にピントが合う範囲であって、撮影範囲内における電着金属表面が占める面積が80〜100%となるように設定することが好ましい。ただし、撮影範囲内において電着金属表面が占める面積の割合を大きくする手段としては、電着金属表面と撮影手段との間隔を調整することが好ましい。
撮影手段としてデジタルカメラを用いる場合、当該デジタルカメラの記録画素数(撮影画像全体の総画素数)は、100万画素以上とするのが好ましい。尚、当該記録画素数に、測定範囲が撮影範囲内に占める割合を掛けたものが、測定範囲における輝度分布の総データ数となる。
フラッシュ撮影については、強制発光または発光禁止のどちらで行っても良い。但し、電着金属表面と撮影手段との間隔が100cm以上ある場合は、強制発光で行うのが好ましい。
撮影手段において、データの圧縮については、通常または高画質のどちらでも良い。また、ホワイトバランスは、オートまたはマニュアルのどちらでも良い。さらに、ISO感度は、オートまたはマニュアルのどちらでも良いが、マニュアル時はフラッシュ発光の有無によらず200以下で行うのが好ましい。
撮影された電着亜鉛板表面における表面状態の測定範囲は、測定値の代表性を高めるために、電着亜鉛板の表面全域、具体的には、縁を除いた電着亜鉛板の表面全域とするのが好ましい。
例えば、電着亜鉛板の表面全域の外縁5%を除いて測定するとすれば(1−0.05×2)=0.81より、電着亜鉛板の表面全域の81%の面積を評価することとなり、外縁1%を除いて測定するとすれば(1−0.01×2)=0.96より、電着亜鉛板の表面全域の96%の面積を評価することとなる。
一方、電着亜鉛板と撮影手段との間隔によっては、フラッシュ撮影の際の発光によって、電着亜鉛板の表面の明るさが、フラッシュ発光の中心に偏り、当該中心部分の測定値が過剰に大きくなる場合がある。そこで、このような撮影条件となってしまう場合には、同一の画像中における電着亜鉛板の縁を除く表面全域において、測定範囲をいくつかに分割し、それらの測定範囲の平均を測定対象の代表値として用いればよい。このようにすれば、一括で測定した場合と比較して、発光の偏りによる測定値の過剰分を減少させることができる。
電着亜鉛板の表面を撮影して得られた画像の画素毎の輝度データから、当該輝度データの分布の標準偏差σの値を算定する前に、カラー画像をモノクロ画像に変換しておくことが好ましい。当該変換により不必要な情報を削除出来、標準偏差σの値の算定を円滑に行うことができる。
モノクロ変換した画像を用いて輝度分布の標準偏差σの値を算定する際に、撮影条件および電着亜鉛板の規模に合わせて、フィルタによる画像処理を行うのが好ましい。当該フィルタによる画像処理により、ノイズや画像の鮮明不足に起因する測定値の誤差を概ね除去出来、定量性をより向上させることが出来る。
但し、電着亜鉛板の規模等に合わせて、撮影条件や画像の前処理条件を統一しておくことが好ましい。当該条件を統一することで、輝度分布の標準偏差σの値を用いて表面状態を比較する際、当該条件の差異に起因する標準偏差σの値の差異を削除し、電着金属の表面状態を定量的に比較することが出来る。
以上、詳細に説明したように、亜鉛を始めとする非鉄金属の生産現場において、電着金属の表面状態の評価は重要である。これは、電着金属の表面状態の凸凹が顕著なまま次工程へ進むと、電着金属を熔解して鋳造する際に、ドロスの発生率が高くなり、熔体飛散も起こりやすくなるからである。また、鋳造せず電着金属のまま出荷する際であっても、例え、金属自体の品質が基準を満たしていても、当該表面状態の凸凹が顕著であると不良品扱い(荷姿不良)となり、出荷できない場合もあるからである。
従って、電着金属の表面状態を定量的に評価することが可能になることで、電着金属の表面状態を管理し易くなると同時に、当該表面状態の凸凹が顕著になった場合にも、いち早く対応できるようになる。
つまり、本発明に係る非鉄金属の表面状態の定量評価方法が適用され、当該表面状態が、後工程へ送ることが可能と評価された、カソード電極上に非鉄金属が析出または付着して得られた電着金属板は、後工程である当該電着金属の熔解、鋳造工程におけるドロス・熔体飛散、および、荷姿不良の発生が未然に防止され、生産性の向上と工数の削減とに大きく寄与した。
以下、実施例を参照しながら、本発明に係る電着亜鉛板の表面状態の定量評価装置と定量評価方法について、具体的に説明する。
[実施例1]
まず、実験室規模(5cm×7cm)の電着亜鉛板K1〜K6を用意した。当該電着亜鉛板K1〜K6の表面状態を示す写真を図1に示す。なお、電着亜鉛板は、亜鉛の金属色の単色である。
図1に係る電着亜鉛板K1〜K6において、試料番号が大きくなるにつれて凸凹が顕著なものから、そうでないものになるように並べた。
次に、撮影手段として市販のレンズ一体型コンパクトデジタルカメラ(OLYMPUS社製、μ1020)を準備し、記録画素数を1000万画素、圧縮は通常、ホワイトバランスとISO感度はともにオートに設定した。
電着亜鉛板とカメラとの撮影間隔は、ズーム無しで電着亜鉛板の表面全域が撮影範囲に収まる位置(15cm)とし、フラッシュを強制発光して電着亜鉛板の電着側の表面を撮影した。当該撮影された電着亜鉛板の表面状態を示す写真を図2に示す。
得られた電着亜鉛板(K1〜K6)の画像について、初めにモノクロ化処理を行い、電着亜鉛板の画像をカラーからモノクロへ変換した。
そして、演算手段としてパソコン上に搭載した画像処理ソフト(三谷商事株式会社製、WinRoof)を用い、モノクロ化された電着亜鉛板の画像の画像解析を行った。当該画像解析の際、測定範囲を、当該電着亜鉛板の表面全域の外縁5%を除いた表面域に設定した。尚、当該外縁5%と測定範囲とを模式的に示す枠線を、図2に記載した。
そして、当該設定された測定範囲において、平均化フィルタ(5×5)による画像処理を2回行った。当該画像処理により得られた測定範囲における画素毎の輝度分布の標準偏差σの値(画素毎のデータ数は、約400万点)を測定した。当該測定結果を図3に示す。
図3は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値をとり、横軸に電着亜鉛板(K1〜K6)をとった、電着亜鉛板K1〜K6における輝度分布の標準偏差σの値を示すグラフである。
図3より、外観観察による表面状態によって、凸凹が最も顕著な電着亜鉛板K1の輝度分布の標準偏差σの値は35であった。一方、外観観察による表面状態が最も平坦に近い電着亜鉛板K6の輝度分布の標準偏差σの値は8となった。即ち、画素毎の輝度分布の標準偏差σの値は、外観観察による表面状態の判断と同様に、電着亜鉛板の番号が大きくなる程、小さくなっていた。従って、輝度分布の標準偏差σの値により、各電着亜鉛板の表面状態において、凸凹が顕著であるのか、そうではないのかについて定量的に判別することが出来ることが判明した。
[比較例1]
実施例1で用いた電着亜鉛板K1〜K6について、その表面の断面曲線を測定し、算術平均粗さRaを算出して表面状態を評価した。
具体的には、電着亜鉛板表面の一部(4.7mm×6.3mm)を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス株式会社製、VHX−1000)を用いて、倍率50倍で3次元撮影し、3次元画像として保存した。尚、代表性を高める為、1つの電着亜鉛板につき、同様の条件で5ヵ所を3次元撮影した。
次に、当該3次元画像データを、変換ソフト(三谷商事株式会社製、VHX 3D Exporter)を用いてCSVファイルに変換した。さらに、当該CSVファイルを、変換ソフト(三谷商事株式会社製、Tresvalle 7)を用いてFRNファイルに変換した。当該FRNファイルを、CSVファイル(三谷商事株式会社製、Win ROOF)に読み込んだ。
当該CSVファイルを用いて、前記3次元画像データのキャリブレーションを行った後、測定範囲を撮影範囲全域(4.7mm×6.3mm)とし、カットオフ値を0.8mmで一定とし、算術平均粗さRaを算出した。
この結果、1つの電着亜鉛板に付き5つのRaが得られた。当該測定結果を図4に示す。
図4は、縦軸に算術平均粗さRaをとり、横軸に電着亜鉛板(K1〜K6)をとった、電着亜鉛板K1〜K6における算術平均粗さRaを示すグラフである。そして、各試料のRaの算術平均値を代表値としてプロットし、最大値と最小値とをエラーバーにより表記したものである。
図4より、外観観察により顕著な凸凹がある電着亜鉛板K1、K2、K3の算術平均粗さRaは41〜53μmであった。一方、外観観察により殆ど平坦な電着亜鉛板K4、K5、K6のRaは8〜16μmであった。即ち、これら2グループ間における表面状態の差異については、問題なく判別することが出来た。
しかし、外観観察により顕著な凸凹がある電着亜鉛板K1、K2、K3については、エラーバーの範囲が広く、当該電着亜鉛板K1、K2、K3間において、どの電着亜鉛板の凸凹が顕著か、より平坦かについての判別が困難だった。また、外観観察による表面状態が平坦な電着亜鉛板K4、K5、K6間についても、互いのエラーバーの範囲が重複している為、どの電着亜鉛板の凸凹が顕著か、より平坦かについての判別が困難だった。
[実施例2]
生産現場規模(78cm×109cm)の電着亜鉛板から、電着亜鉛板(10cm×10cm)6枚を切り出しA1、A2、B1、B2、C1、C2とした。ここで、外観観察により凸凹が顕著なものから、より平坦なものに向かってA群、B群、C群とした。当該電着亜鉛板A1〜C2の表面状態を示す写真を図5に示す。
電着亜鉛板とカメラとの撮影間隔を25cmとした以外は、実施例1と同様の条件で電着亜鉛板の表面を撮影した。次に、電着亜鉛板の画像を、実施例1と同様の手順で画像処理をした後、輝度分布の標準偏差σの値(画素毎のデータ数は、約150万点)を測定しグラフ化した。当該輝度分布の標準偏差σの値のグラフを図6に示す。
図6は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値をとり、横軸に電着亜鉛板(A1〜C2)をとった、電着亜鉛板A1〜C2における輝度分布の標準偏差σの値を示すグラフである。
図5および図6より、電着亜鉛板A群〜C群における輝度分布の標準偏差σの値の大小関係は、外観観察による表面状態とほぼ一致しており、標準偏差σの値はA群が14、B群が9、C群が7、と順に小さくなることが判明した。
[比較例2]
実施例2で作製した電着亜鉛板A1〜C2の6枚について、その表面の断面曲線を測定し、算術平均粗さRaを算出して表面状態を評価した。
具体的には、実施例2と同様の手順で、1つの電着亜鉛板につき5つの算術平均粗さRaを算出した。当該測定結果を図7に示す。
図7は、縦軸に算術平均粗さRaをとり、横軸に電着亜鉛板(A群〜C群)をとった、電着亜鉛板A群〜C群における算術平均粗さRaを示すグラフである。そして、各試料のRaの算術平均値を代表値としてプロットし、最大値と最小値とをエラーバーにより表記したものである。
図7より、電着亜鉛板A群〜C群の平均値のみに着目すると、電着亜鉛板C群の算術平均粗さRaは、10および12μmであった。これは、電着亜鉛板A群のRa(21および19μm)よりも完全に小さく、電着亜鉛板A群対C群においては、表面状態が凸凹であるのか平坦であるのかを、判別することが出来た。
しかし、電着亜鉛板B群対C群においては、電着亜鉛板B1のRaが15μmとC群より大きかった。これに対し、電着亜鉛板B2のRaは9.5μmであり、C群より小さくなった。エラーバーを含めると、電着亜鉛板B群はC群と範囲が重複している。さらに、電着亜鉛板B1に至ってはA群とも範囲が重複している。
この結果、電着亜鉛板A群対B群、および、電着亜鉛板B群対C群において、どちらの凸凹がより顕著であるのかを判別することは困難であった。
[実施例3]
生産現場規模(78cm×109cm)の電着亜鉛板Z1〜Z4を用意した。当該電着亜鉛板Z1〜Z4の表面状態を示す写真を、図8に示す。電着亜鉛板Z1〜Z4において、試料番号が大きくなるにつれて、表面状態の外観が凸凹から平坦になるように並べた。
市販のレンズ一体型コンパクトデジタルカメラ(OLYMPUS社製、μTOUGH−6010)を準備し、記録画素数を1200万画素、圧縮は通常、ホワイトバランスとISO感度はともにオートに設定した。
電着亜鉛板とカメラとの撮影間隔は、ズーム無しで電着亜鉛板の表面全域が撮影範囲に収まる間隔(110cm)とした。そして、強制発光して電着亜鉛板の電着側の表面を撮影した。
撮影された電着亜鉛板の画像について、実施例1で説明した平均化フィルタ(5×5)による画像処理を2回行う代わりに、鮮鋭化フィルタ(3×3)による画像処理を1回行った以外は、実施例1と同様の手順で、画素毎の輝度分布の標準偏差σの値(画素毎のデータ数は、約550万点)を測定しグラフ化した。当該測定結果を図9に示す。
図9は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値をとり、横軸に電着亜鉛板(Z1〜Z4)をとった、電着亜鉛板Z1〜Z4における輝度分布の標準偏差σの値を示すグラフである。
図9の結果より、外観観察による表面状態が最も凸凹な電着亜鉛板Z1の輝度分布の標準偏差σの値は45であった。一方、外観観察による表面状態が最も平坦な電着亜鉛板Z4の標準偏差σの値は20となった。
即ち、画素毎の輝度分布の標準偏差σの値は、外観観察による表面状態の判断と同様に、電着亜鉛板の番号が大きくなる程、小さくなっていた。従って、輝度分布の標準偏差σの値により、各電着亜鉛板の表面状態が、凸凹であるのか平坦であるのかを客観的かつ定量的に判別することが出来ることが判明した。
以上、説明したように、電着亜鉛板の表面状態を撮影し、得られた画像について画素毎の輝度分布の標準偏差σの値を求め、当該標準偏差σの値によって表面状態を評価した実施例1〜3においては、いずれも電着亜鉛板の表面状態を定量化し、各々の電着状態が凸凹であるのか平坦であるのかを、客観的かつ正確に判別することができた。
一方、電着亜鉛板の表面状態を断面曲線から得られる算術平均粗さRaによって評価した比較例1、2においては、いずれも、代表性に欠けており、各々の電着状態が凸凹であるのか平坦であるのかを、客観的かつ正確に判別することが困難であった。
[実施例4]
実験室規模(5cm×7cm)の電着亜鉛板を1枚準備した。
当該電着亜鉛板を60℃の水道水に1分間浸した後、水中から取り出し、実施例1と同様の条件で表面を撮影した。
当該撮影後、ドライヤー(KOIZUMI製、KHD−1237/K)を用いて当該電着亜鉛板の表面の乾燥を開始した。
当該乾燥開始から、任意の時間毎に乾燥を中断し、実施例1と同様の条件で当該電着亜鉛板の表面を撮影し、その後、乾燥を再開する操作を繰り返した。
得られた画像データに、実施例1と同様の手順で画像処理をした後、画素毎の輝度分布の標準偏差σの値(画素毎のデータ数は、約400万点)を測定した。当該測定結果を図10に示す。
図10は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値をとり、横軸に電着亜鉛板の乾燥時間をとったグラフである。図10の結果より、電着亜鉛板の乾燥時間の経過とともに、輝度分布の標準偏差σの値は減少することが判明した。そして、乾燥時間が120sec以降になると、標準偏差σの値は一定になった。
従って、電着亜鉛板の表面が乾燥し終える(水分の気化による表面の変色が起こらない状態になる)前の撮影は、誤差を含んだ測定となると考えられる。故に、電着亜鉛板の表面が乾燥し終えた後に、電着亜鉛板の表面を撮影することが好ましい。
[実施例5]
実験室規模(5cm×7cm)の電着亜鉛板D1、D2、D3を準備した。
電着亜鉛板とカメラとの撮影間隔を12cmから40cmの範囲とした以外は、実施例1と同様の条件で電着亜鉛板の表面を撮影した。それに伴い、撮影範囲中における電着亜鉛板の表面全域が占める割合が100%から5%と、撮影間隔が長くなるほど減少した。
そして、平均化フィルタ(5×5)による画像処理を行わないこと以外は、実施例1と同様の手順で、画素毎の輝度分布の標準偏差σの値を測定した。なお、輝度分布のデータ数も、撮影範囲中における電着亜鉛板表面が占める割合に比例して、撮影間隔が長くなるほど減少した。当該測定結果を図11に示す。
図11は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値と、輝度分布のデータ数とをとり、横軸に電着亜鉛板と撮影手段との撮影間隔をとったグラフである。そして電着亜鉛板D1を■でプロットし、D2を●でプロットし、D3を▲でプロットした。一方、輝度分布のデータ数を◇でプロットした。
図11より、撮影間隔が13cmより長くなる程、輝度分布の標準偏差σの値が小さくなった。それに伴い、電着亜鉛板D1−D2間、および、D2−D3間の標準偏差σの値の差の値も小さくなった。
一方、撮影間隔が13cmより短くなった場合も標準偏差σの値が減少し、各電着亜鉛板間の標準偏差σの値の差も減少した。これに対し、データ数は、撮影間隔の短縮と伴に増加していた。
これは、撮影間隔が12cmの撮影では、電着亜鉛板の表面中央にピントを合わせることが出来なかった為であると考えられる。従って、電着亜鉛板の表面を撮影する際の撮影間隔は、電着亜鉛板の表面中央にピントを合わせることが出来る範囲で、且つ、撮影範囲内における電着亜鉛板の表面が占める割合が大きくなる設定を行なうことが、好ましいことが判明した。
[参考例1]
実験室規模(5cm×7cm)の電着亜鉛板E1、E2、E3を準備した。
電着亜鉛板とカメラとの撮影間隔およびズーム使用の有無以外は、実施例1と同様の手順で、電着亜鉛板の電着側の表面を撮影した。具体的には、電着亜鉛板とカメラとの撮影間隔は17から31cmの範囲とした。そして、撮影間隔を17から31cmの範囲としても、撮影範囲内における電着亜鉛板の表面全域が占める割合が、撮影間隔が17cmの場合と同じ、40%になるようズームを設定した。当該撮影間隔の増減とズームの設定以外は、実施例1と同様の手順で画像処理をした後、画素毎の輝度分布の標準偏差σの値(画素毎のデータ数は、約300万点)を測定した。当該測定結果を図12に示す。
図12は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値をとり、横軸に電着亜鉛板と撮影手段との撮影間隔をとったグラフである。そして電着亜鉛板E1を■でプロットし、E2を●でプロットし、E3を▲でプロットした。
図12より、電着亜鉛板E1〜E3において撮影間隔が17cmより長くなる(即ち、ズーム倍率が大きくなる)程、画素毎の輝度分布の標準偏差σの値が小さくなった。それに伴い、電着亜鉛板E1−E2間および電着亜鉛板E1−E3間における標準偏差σの値の差も小さくなった。
従って、電着亜鉛板の表面を撮影するに際し、撮影範囲内における電着亜鉛板表面が占める割合を大きくする手段としては、ズームを用いるよりも撮影間隔を調整することが好ましいことが判明した。
[実施例6]
実験室規模(5cm×7cm)の電着亜鉛板F1、F2、F3を準備した。
記録画素数を、30万から1000万画素(0.3から10Mpixel)の範囲とした以外は、実施例1と同様の条件で電着亜鉛板の電着側の表面を撮影した。
次に、実施例5と同様の手順で、画素毎の輝度分布の標準偏差σの値を測定した。なお、輝度分布のデータ数は記録画素数に比例している。当該測定結果を図13に示す。
図13は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値と、輝度分布のデータ数とをとり、横軸に撮影手段の記録画素数をとったグラフである。そして電着亜鉛板F1を■でプロットし、F2を●でプロットし、F3を▲でプロットした。一方、輝度分布のデータ数を◇でプロットした。
図13より、画素数が、1000万から100万画素へと小さくなるにつれて、F1〜F3において僅かながらに標準偏差σの値が減少する傾向が見られた。しかし、各電着亜鉛板間における標準偏差σの値の差は、概ね一定の為、当該1000万から100万画素への画素数の減少は、定量性に悪影響を与えていないと考えられる。
一方、画素数の減少により100万画素を下回ると、電着亜鉛板F1とF2との標準偏差σの値が減少し、それに伴い、電着亜鉛板F1−F2間およびF2−F3間の標準偏差σの差の値も減少した。
以上のことから、電着亜鉛板の表面を撮影するに際し、撮影画像の画素数は100万画素以上とするのが好ましいことが判明した。
[実施例7]
実験室規模(5cm×7cm)の電着亜鉛板G1、G2、G3を準備した。
記録画素数を300万画素、ホワイトバランスをマニュアル(晴天)、ISO感度を200、撮影間隔を20cmとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で電着亜鉛板の電着側の表面を撮影した。
同時に、市販のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ(Panasonic社製、DMC−GX1)を用い、記録画素数を350万画素にしたこと以外は、上記と同様の条件で電着亜鉛板の電着側の表面を撮影した。
前記両カメラで撮影したデータを、実施例1と同様の手順で画像処理をした後、輝度分布の標準偏差σの値(データ数約50万)を測定した。当該測定結果を図14に示す。
図14は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値をとり、横軸に電着亜鉛板(G1〜G3)をとり、電着亜鉛板(G1〜G3)の撮影手段としてコンパクトカメラを用いた場合を■、一眼レフカメラを用いた場合を▲でプロットしたグラフである。
図14の結果より、各電着亜鉛板において一眼レフカメラの方が標準偏差σの値が大きくなった。だが両カメラともに、各電着亜鉛板間の電着側の表面状態と、標準偏差σの値との間の相関性に、概ね違いは見られなかった。
従って、電着亜鉛板の電着側の表面を撮影手段としては、コンパクトカメラ、一眼レフカメラのどちらを用いても良いと考えられる。
[実施例8]
実験室規模(5cm×7cm)の電着亜鉛板H1、H2、H3を準備した。
撮影手段として、ホワイトバランスはオートまたはマニュアル(晴天)とした以外は、実施例8と同様の条件でコンパクトカメラを用い、電着亜鉛板の電着側の表面を撮影した。
撮影データを実施例1と同様の手順で画像処理をした後、輝度分布の標準偏差σの値(データ数約50万)を測定した。当該測定結果を図15に示す。
図15は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値をとり、横軸に電着亜鉛板(H1〜H3)をとり、ホワイトバランスをオートとした場合を■、マニュアル(晴天)とした場合を▲でプロットしたグラフである。
図15より、各電着亜鉛板において、ホワイトバランスの設定による標準偏差σの値の違いは、殆ど見られなかった。
従って、電着亜鉛板の電着側の表面を撮影する際のホワイトバランスの設定は、オートまたはマニュアルのどちらでも良いと考えられる。
[実施例9]
実験室規模(5cm×7cm)の電着亜鉛板J1、J2、J3を準備した。
ホワイトバランスをマニュアル(白熱灯)、ISO感度を160としたこと以外は、実施例8と同様の条件で、電着亜鉛板の電着側の表面を一眼レフカメラで撮影した。ただし、圧縮については通常または高画質とした。
撮影データを実施例1と同様の手順で画像処理をした後、輝度分布の標準偏差σの値(データ数約50万)を測定した。当該測定結果を図16に示す。
図16は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値をとり、横軸に電着亜鉛板(J1〜J3)をとり、圧縮を通常とした場合を■、高画質とした場合を▲でプロットしたグラフである。
図16より、各電着亜鉛板において圧縮の差異による標準偏差σの値の違いは、概ね見られなかった。
従って、電着亜鉛板の電着側の表面を撮影する際の圧縮は、通常または高画質のどちらでも良いと考えられる。
[実施例10]
硫酸亜鉛を含む電解液として亜鉛製錬工程で得られた電解尾液(Zn:70g/L、HSO:150g/L)と、Pb−Ag合金のアノード板と、Alからなるカソード板を準備した。
カソード板の入換周期を24時間とし、電解液中の塩濃度を一定(Zn:70g/L、HSO:150g/L)に保つために、亜鉛製錬工程で得られた電解元液(Zn:160g/L、HSO:0.01g/L)を常時添加し、アノード板とカソード板との極間間隔を26mmとし、電解液温を42℃とし、電流密度を600A/mで、実験室規模での電解採取を行った。その際、電解元液に膠(ニカワ、ニッピ株式会社製のポリペプタイドDV)を任意量溶解した。
上記の電解採取から得られた実験室規模(5cm×7cm)の電着亜鉛板について、実施例1と同様の手順で電着亜鉛板の電着側の表面を撮影し、画像処理をした後、輝度分布の標準偏差σの値(データ数約400万)を測定し、電解液中の膠濃度と、電着亜鉛板の表面状態の関係について検討した。当該測定結果を図17に示す。
図17は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値をとり、横軸に膠濃度をとったグラフである。
図17より、電解液中の膠濃度が0.003g/Lから0.3g/Lの範囲内において、膠濃度が0.05g/L付近のとき、輝度分布の標準偏差σの値が極大になった。以降は電解液中の膠濃度が高くなるほど標準偏差σの値が小さくなった。
一方、目視による外観観察においても、膠濃度が0.05g/L付近のとき電着亜鉛板の電着側の表面は凸凹になり、以降は電解液中の膠濃度が高くなるほど平坦になっていった。
以上より、本発明により、電解液中の膠濃度と、電着亜鉛板の電着側の表面状態との関係について、客観的かつ定量的に評価出来ることが判明した。
[実施例11]
生産現場規模を想定した電解採取を行った。
カソード板の入換周期は、平日では48時間毎、土日では24時間毎とした。
電解採取の電流密度は、平日では600A/mで10時間の後、60A/mで14時間の後、600A/mで10時間の後60A/mで14時間のパターンとし、土日では600A/mで24時間とした。
当該カソード板の入換周期および電解採取の電流密度のパターン以外は、実施例11と同様の方法により、生産現場規模を想定した電解採取を行った。
得られた生産現場規模(78cm×109cm)の電着亜鉛板について、実施例3と同様の手順で電着亜鉛板の電着側の表面を撮影と画像処理をした後、輝度分布の標準偏差σの値(データ数約550万)を測定した。
当該生産現場規模を想定した電解採取において、電着亜鉛板1tを製造するのに使用した膠(ニッピ株式会社製、ポリペプタイドDV)の重量(本発明において、「膠原単位」と記載する場合がある。)と、電着亜鉛板の電着側の表面状態の関係とについて検討した。当該測定結果を図18に示す。
図18は、縦軸に輝度分布の標準偏差σの値と、膠原単位とをとり、横軸に日数をとったグラフであり、電着亜鉛板の輝度分布の標準偏差σの値を−■−でプロットし、膠原単位を−●−でプロットしたものである。
図18より、膠原単位を190g/(t−Zn)から125g/(t−Zn)へ減少させると、それに伴って、輝度分布の標準偏差σの値が小さくなる、即ち、表面状態が平坦になるという傾向を、定量的に知見出来た。
これに対し、従来では、カソード板からの電着亜鉛板剥ぎ取りに立ち会うオペレーターの目視によって電着亜鉛板の電着状態が評価されていた為、操業条件と電着亜鉛板の電着状態の関係についての定量的な把握は、困難であった。
即ち、本発明を適用することで、生産現場での操業条件と電着亜鉛板の表面状態との因果関係を、客観的かつ定量的に評価することが可能になった。

Claims (11)

  1. 非鉄金属を含む電解液から、当該非鉄金属を電解採取または電解精製した場合に得られる電着金属板の表面状態を定量的に評価する方法であって、
    撮影手段により当該電着金属板の表面を撮影し、得られた画像の輝度分布の標準偏差σの値を演算手段により算定し、その値から当該電着金属板の表面状態を評価することを特徴とする、非鉄金属の表面状態の定量評価方法。
  2. 前記得られた画像がデジタル画像であることを特徴とする、請求項1に記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法。
  3. 前記電着金属板の表面を撮影する際、当該電着金属板の表面を乾燥させておくことを特徴とする、請求項1または2に記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法。
  4. 前記電着金属板の表面を撮影する際、当該電着金属板表面の中央にピントが合う範囲で、撮影範囲中における電着亜鉛板表面が占める割合が80〜100%となるよう、前記電着金属板と前記撮影手段との間隔を設定することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法。
  5. 前記撮影手段として、100万画素以上の画素数を有する撮影手段を用いることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法。
  6. 前記撮影手段により前記電着金属板の表面を撮影した後、得られたカラー画像をモノクロ画像に変換した後、輝度分布を測定することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法。
  7. 前記撮影手段により前記電着金属板の表面を撮影する際、前記電着金属板の前処理条件および撮影条件を統一しておくことを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法。
  8. 前記撮影手段がデジタルカメラであることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法。
  9. 前記非鉄金属が亜鉛であることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法。
  10. 非鉄金属を含む電解液から、当該非鉄金属を電解採取または電解精製した場合に得られる電着金属板の表面状態を定量的に評価する装置であって、
    当該電着金属板の表面を撮影し、撮影された画像上の点の輝度をデータ化する撮影手段と、
    当該データ化された画像上の点の輝度を統計処理し標準偏差σの値を算出する演算手段とを有する、ことを特徴とする、非鉄金属の表面状態の定量評価装置。
  11. カソード電極上に、非鉄金属が析出または付着して得られた電着金属板であって、
    請求項1から9のいずれかに記載の非鉄金属の表面状態の定量評価方法が適用され、当該表面状態が、後工程へ送ることが可能と評価されたことを特徴とする電着金属板。
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